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鋼板の冷却設備および冷却方法 - 特開2008−100255 | j-tokkyo
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【発明の名称】 鋼板の冷却設備および冷却方法
【発明者】 【氏名】中田 直樹

【氏名】黒木 高志

【氏名】藤林 晃夫

【氏名】上岡 悟史

【氏名】奥野 昭博

【要約】 【課題】鋼板の熱間圧延ラインにおいて、鋼板の板厚が変わっても冷却水を鋼板幅方向に均一に供給でき、鋼板全体を均一に冷却することができる鋼板の冷却設備および冷却設備方法を提供する。

【解決手段】鋼板10の板厚に応じて上ヘッダ21の設置高さを上下させて、鋼板上面から上ノズル22の先端までの高さHnを一定に保持するようにする。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
鋼板の熱間圧延ラインで使用する冷却設備であって、
鋼板の上面に対して、鋼板幅方向外側に向かう成分を持って冷却水を噴射するノズル列を有するヘッダと、
鋼板の厚みに応じて前記ヘッダの設置高さを上下させて、前記ノズルの先端から鋼板上面までの噴射線の長さを一定に保持するためのヘッダ昇降装置を有することを特徴とする鋼板の冷却設備。
【請求項2】
鋼板の熱間圧延ラインで使用する冷却設備であって、
鋼板の上面に対して、鋼板幅方向外側に向かう成分を持って冷却水を噴射するノズル列を有するヘッダと、
鋼板の厚みに応じて前記ヘッダを回転させて、前記ノズルの先端から鋼板上面までの噴射線の長さを一定に保持するためのヘッダ回転装置を有することを特徴とする鋼板の冷却設備。
【請求項3】
前記冷却水が棒状冷却水であることを特徴とする請求項1または2に記載の鋼板の冷却設備。
【請求項4】
前記冷却水の噴射線が鋼板の搬送方向に対して斜めであることを特徴とする請求項1乃至3のいずれかに記載の鋼板の冷却設備。
【請求項5】
鋼板の熱間圧延ラインで使用する冷却方法であって、
鋼板の上面に対して、鋼板幅方向外側に向かう成分を持って冷却水を噴射するノズル列を有するヘッダを用い、
鋼板の厚みに応じて前記ヘッダの設置高さを上下させて、前記ノズルの先端から鋼板上面までの噴射線の長さを一定に保持することを特徴とする鋼板の冷却方法。
【請求項6】
鋼板の熱間圧延ラインで使用する冷却方法であって、
鋼板の上面に対して、鋼板幅方向外側に向かう成分を持って冷却水を噴射するノズル列を有するヘッダを用い、
鋼板の厚みに応じて前記ヘッダを回転させて、前記ノズルの先端から鋼板上面までの噴射線の長さを一定に保持することを特徴とする鋼板の冷却方法。
【請求項7】
前記冷却水が棒状冷却水であることを特徴とする請求項5または6に記載の鋼板の冷却方法。
【請求項8】
前記冷却水の噴射線が鋼板の搬送方向に対して斜めであることを特徴とする請求項5乃至7のいずれかに記載の鋼板の冷却方法。
【発明の詳細な説明】【技術分野】
【0001】
本発明は、鋼板の冷却設備および冷却方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
鋼板(特に厚鋼板)の熱間圧延ラインにおいては、合金元素の削減や材質の向上および生産能率の向上を目的に、加速冷却装置や制御冷却装置など種々の冷却装置が用いられている。これら厚鋼板の冷却方法は、厚鋼板を搬送ロール上を搬送させながら上下面に冷却水を供給するのが一般的であり、いずれの冷却装置においても板幅方向、搬送方向に均一な冷却を行うことが重要である。
【0003】
そのために、例えば特許文献1に記載されたような冷却装置が提案されている。特許文献1に記載の冷却装置は、上下一対の鋼板拘束ロール二組からなる冷却ユニットを厚鋼板の搬送方向に複数配設した冷却装置において、出側拘束ロールや出側拘束ロールの出側に設けたエアースリットノズルだけではロールと鋼板の隙間から漏出する冷却水を完全に除去することができないので、出側拘束ロールの出側に板幅方向へ延びる冷却ヘッダを配設し、ヘッダに厚鋼板の搬送方向に相対向させ、かつ搬送方向に対し左右相反方向へ噴射口を向け冷却液噴射ノズルを傾斜配設した冷却装置である。
【0004】
すなわち、特許文献1に記載の冷却装置では、出側拘束ロールの出側で完全な水切りを行うために板幅方向へ多数ノズルを配設し、噴出する冷却水によって漏出した冷却水を強制的に厚鋼板の板幅方向へ押し流し、さらにエアースリットノズルより圧縮エアーを噴射して厚鋼板上の残留水を皆無にしている。
【0005】
しかし、その際に、冷却ユニットにおける水量密度を大きくすると十分に水が切れず、水切り能力を上げるためには設備を大きくしなければならず、また、厚鋼板の形状が悪い場合には、厚鋼板がノズルに衝突する危険性がある。
【0006】
そこで、本出願人は、特願2006−227404(未公開出願1)において、新たな鋼板の冷却技術を提案している。
【0007】
すなわち、図1に側面図、図2に平面図を示すように、鋼板10の上面に対して冷却水(棒状冷却水)23を所定の噴射角度(伏角)θで噴射する上ノズル群22を有する上ヘッダ21を鋼板搬送方向に一対配置し、それぞれの上ヘッダ21a、21bの上ノズル群22a、22bから噴射される冷却水23a、23bが鋼板搬送方向に鋼板上で所定の間隔を置いて互いに対向するようにするとともに、上方から見た噴射線が鋼板搬送方向となす角で定義される角度(外向き角)αを有するようにしている。
【0008】
一例として、図2においては、冷却水23の外向き角αを一定とし、冷却水23が鋼板10に衝突する位置(衝突点)が鋼板幅方向に等間隔となるように各ノズルを設置している。その際、鋼板幅方向中央付近では、左右の両幅方向外側に向けて噴射するノズルを設置しなくてはならないので、ノズルを取り付ける穴の加工が可能となるように、鋼板幅方向左端外側に向けて噴射するノズル列(例えば、図2中の上ヘッダ21a、21bにおいて上方向に噴射速度成分をもつノズル列)と鋼板幅方向右端外側に向けて噴射するノズル列(例えば、図2中の上ヘッダ21a、21bにおいて下方向に噴射速度成分をもつノズル列)を、鋼板搬送方向に交互に所定間隔ずらして設置している。ここで、鋼板幅方向中央部近傍では、鋼板幅方向左端外側に向けて噴射するノズルからの冷却水の噴射線と鋼板幅方向右端外側に向けて噴射するノズルからの冷却水の噴射線が交差している。
【0009】
これにより、未公開出願1においては、供給された冷却水23自身が鋼板10上の滞留冷却水24を堰き止めて適切に水切りを行うことになり、安定した冷却領域が得られ、鋼板10を均一に冷却することができる。
【特許文献1】特開昭60−206516号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
ただし、前記未公開出願1において、上ノズル22を鋼板幅方向外側に向けて噴射することによって冷却水23に鋼板幅方向成分を持たせると、冷却水23の排水性はよくなるが、鋼板10の厚みが変わると、冷却水23の衝突点が鋼板幅方向に移動するという問題がある。
【0011】
すなわち、図3に示すように、噴射高さ(テーブルローラ上端から上ノズル先端までの高さ)Hの上ノズル22からの冷却水噴射線aについてみれば、板厚h1の鋼板1から板厚h2の鋼板2(ここでは、h1<h2)に変わると、鋼板1に対する衝突点Aから鋼板2に対する衝突点Bに変化することになり、伏角θの影響で衝突点は鋼板搬送方向に移動することになるが、それとともに、図4に示すように、外向き角αの影響で衝突点が鋼板幅方向中央部側に移動することになる。そのため、鋼板1に対して鋼板幅方向で冷却水の衝突点が等間隔となるように上ノズル22が設置されている場合には、鋼板2に対して一部で衝突点の間隔が等間隔でない個所が生じることになる。
【0012】
具体的には、図4において、鋼板1に対する衝突点Aの間隔Wが等間隔となっているとすると、鋼板2に対する衝突点Bは、衝突点Aよりも鋼板幅方向中央側にΔWだけ移動することになり、その際に、鋼板幅方向中央部近傍以外では、同方向に噴射しているので、各衝突点が同方向にΔW移動することから、衝突点間隔はWを維持することになるが、鋼板幅方向中央部近傍では、異なる方向に噴射しているので、それらの衝突点が互いに接近する方向にΔWずつ移動し、衝突点間隔がW−2ΔWとなって狭くなることになる。
【0013】
その結果、鋼板2に対しては、鋼板幅方向中央部の冷却水供給量が他の部分に比べて多くなり、鋼板幅方向中央部が過冷却となって、鋼板幅方向に不均一な温度分布となり、品質の高い鋼板を製造できなくなる。
【0014】
本発明は、上記のような事情に鑑みてなされたものであり、鋼板の熱間圧延ラインにおいて、鋼板の板厚が変わっても冷却水を鋼板幅方向に均一に供給でき、鋼板全体を均一に冷却することができる鋼板の冷却設備および冷却設備方法を提供することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0015】
上記課題を解決するために、本発明者らは鋭意検討を行った結果、鋼板の板厚が変わった場合でも、上ヘッダを昇降あるいは回転させて、上ノズルの先端から鋼板上面までの噴射線の長さ(上ノズルの噴射長さ)を一定に保持すれば、幾何学的な関係から、鋼板上面の衝突点の板幅方向位置は同じになるので、上ヘッダをそのように調整することによって、鋼板上面の衝突点間隔を等間隔な状態に維持できるとの考えに至った。
【0016】
上記のような考え方に基づいて、本発明は以下のような特徴を有している。
【0017】
[1]鋼板の熱間圧延ラインで使用する冷却設備であって、
鋼板の上面に対して、鋼板幅方向外側に向かう成分を持って冷却水を噴射するノズル列を有するヘッダと、
鋼板の厚みに応じて前記ヘッダの設置高さを上下させて、前記ノズルの先端から鋼板上面までの噴射線の長さを一定に保持するためのヘッダ昇降装置を有することを特徴とする鋼板の冷却設備。
【0018】
[2]鋼板の熱間圧延ラインで使用する冷却設備であって、
鋼板の上面に対して、鋼板幅方向外側に向かう成分を持って冷却水を噴射するノズル列を有するヘッダと、
鋼板の厚みに応じて前記ヘッダを回転させて、前記ノズルの先端から鋼板上面までの噴射線の長さを一定に保持するためのヘッダ回転装置を有することを特徴とする鋼板の冷却設備。
【0019】
[3]前記冷却水が棒状冷却水であることを特徴とする前記[1]または[2]に記載の鋼板の冷却設備。
【0020】
[4]前記冷却水の噴射線が鋼板の搬送方向に対して斜めであることを特徴とする前記[1]乃至[3]のいずれかに記載の鋼板の冷却設備。
【0021】
[5]鋼板の熱間圧延ラインで使用する冷却方法であって、
鋼板の上面に対して、鋼板幅方向外側に向かう成分を持って冷却水を噴射するノズル列を有するヘッダを用い、
鋼板の厚みに応じて前記ヘッダの設置高さを上下させて、前記ノズルの先端から鋼板上面までの噴射線の長さを一定に保持することを特徴とする鋼板の冷却方法。
【0022】
[6]鋼板の熱間圧延ラインで使用する冷却方法であって、
鋼板の上面に対して、鋼板幅方向外側に向かう成分を持って冷却水を噴射するノズル列を有するヘッダを用い、
鋼板の厚みに応じて前記ヘッダを回転させて、前記ノズルの先端から鋼板上面までの噴射線の長さを一定に保持することを特徴とする鋼板の冷却方法。
【0023】
[7]前記冷却水が棒状冷却水であることを特徴とする前記[5]または[6]に記載の鋼板の冷却方法。
【0024】
[8]前記冷却水の噴射線が鋼板の搬送方向に対して斜めであることを特徴とする前記[5]乃至[7]のいずれかに記載の鋼板の冷却方法。
【発明の効果】
【0025】
本発明を用いることにより、鋼板の板厚が変わっても冷却水を鋼板幅方向に均一な流量分布で供給でき、鋼板全体を均一に冷却することができる。その結果、品質の高い鋼板を製造することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0026】
本発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。
【0027】
(第1の実施形態)
本発明の第1の実施形態における鋼板の冷却設備の基本的構成は、図1に側面図、図2に平面図を示したものである。
【0028】
すなわち、第1の実施形態に係る冷却設備は、鋼板の熱間圧延ライン上に設置される通過式の冷却設備であり、鋼板10の上面に向けて冷却水を供給するための一対の上ヘッダ21(第1上ヘッダ21a、第2上ヘッダ21b)と、鋼板10の下面に向けて冷却水を供給するための2個の下ヘッダ31を備えている。なお、図1中、13はテーブルローラである。
【0029】
そして、それぞれの上ヘッダ21a、21bには複数列の円管ノズル22(第1上ノズル22a、第2上ノズル22b)が取り付けられており、第1上ノズル22aから噴射角度(伏角)θで供給される棒状の冷却水23aと第2上ノズル22bから噴射角度(伏角)θで供給される棒状の冷却水23bが鋼板搬送方向に鋼板上で所定の間隔を置いて互いに対向するようにするとともに、棒状冷却水23(23a、23b)が鋼板幅方向外側に向かう速度成分を持つように、鋼板幅方向両外側に向けて所定の噴射角度(外向き角)αを有するようにしている。
【0030】
そして、その外向き角αを一定にし、棒状冷却水23が鋼板10に衝突する位置(衝突点)が鋼板幅方向に等間隔となるように各ノズル22を設置している。その際、鋼板幅方向中央付近では、左右の両幅方向外側に向けて噴射するノズルを設置しなくてはならないので、ノズルを取り付ける穴の加工が可能となるように、鋼板幅方向左端外側に向けて噴射するノズル列(例えば、図2中の上ヘッダ21a、21bにおいて上方向に噴射速度成分をもつノズル列)と鋼板幅方向右端外側に向けて噴射するノズル列(例えば、図2中の上ヘッダ21a、21bにおいて下方向に噴射速度成分をもつノズル列)を、鋼板搬送方向に交互に所定間隔ずらして設置している。ここで、鋼板幅方向中央部近傍では、鋼板幅方向左端外側に向けて噴射するノズルからの冷却水の噴射線と鋼板幅方向右端外側に向けて噴射するノズルからの冷却水の噴射線が交差している。また、鋼板幅方向中央を境にして、供給した冷却水23が鋼板幅端へ流れ出る方向(矢印Z)が異なるようになっている。
【0031】
一方、下ヘッダ31については、ここでは、2個の下ヘッダ31が配置されており、それぞれに円管ノズル群32が取り付けられ、テーブルローラ13の隙間から棒状の冷却水33を噴射して、通過する鋼板10の全幅に冷却水を供給するようになっている。その際、各円管ノズル群32は、それぞれの棒状冷却水33が鋼板10に衝突する位置(衝突点)が鋼板幅方向に等間隔となるように設置されている。
【0032】
ちなみに、本発明の棒状冷却水とは、円形状(楕円や多角の形状も含む)のノズル噴出口から噴射される冷却水のことを指している。また、本発明の棒状冷却水は、スプレー状の噴流や膜状のラミナーフローでなく、ノズル噴出口から鋼板に衝突するまでの水流の断面がほぼ円形に保たれ、連続性で直進性のある水流の冷却水をいう。
【0033】
その上で、この実施形態においては、上ヘッダ21の設置高さを鋼板10の板厚に応じて上下させて、上ノズル22の先端から鋼板上面までの噴射線の長さ(上ノズル22の噴射線長さ)を一定に保持するための上ヘッダ昇降装置(図示せず)を備えている。ちなみに、この場合は、鋼板上面から上ノズル22の先端(噴射口)までの高さHnを一定に保持すれば、上ノズル22の噴射線長さも一定に保持される。
【0034】
ここで、前述したように、例えば、板厚h1の鋼板1に対する衝突点Aの間隔が等間隔Wとなっているとした場合、そのままでは、板厚h2の鋼板2に対する衝突点Bの間隔が、鋼板幅方向中央部近傍ではW−2ΔWとなり、冷却水供給量が鋼板幅方向で不均一になってしまう。
【0035】
ちなみに、衝突点の鋼板幅方向移動量ΔWは下記の式で表される。
【0036】
【数1】


【0037】
そこで、この実施形態においては、鋼板10の板厚が変化した場合に、上記の上ヘッダ昇降装置を用いて上ヘッダ21の設置高さを調整して、図5に側面図、図6に正面図を示すように、鋼板上面から上ノズル22の先端までの高さHnを一定に保持するようにしており、これによって、板厚h1の鋼板1から板厚h2の鋼板2に変わっても、上ノズル22の高さ位置が板厚変化分Δh(=h2−h1)だけ変わるから、冷却水の噴射線が噴射線bから噴射線cのようになって、鋼板2に対する衝突点Cが鋼板1に対する衝突点Aの真上に位置するようになる。すなわち、鋼板上面に対する衝突点が鋼板搬送方向および鋼板幅方向には移動しないことになる。
【0038】
したがって、図6(a)に示すように、板厚h1の鋼板1の場合に鋼板上面の衝突点が鋼板幅方向に等間隔であれば、図6(b)に示すように、板厚h2の鋼板2の場合においても、鋼板上面の衝突点が鋼板幅方向に等間隔である状態が維持される。なお、鋼板下面の衝突点は鋼板10の板厚には影響されないので、鋼板下面の衝突点も鋼板幅方向に等間隔である。
【0039】
これによって、鋼板10の板厚が変わっても棒状冷却水22を鋼板幅方向に均一な流量分布で供給でき、鋼板10全体を均一に冷却することができる。その結果、品質の高い鋼板を製造することができる。
【0040】
しかも、冷却を行わない時は、上ヘッダ21を上方に上げて退避させておくことができるので、反りが大きい鋼板が衝突して上ヘッダ21を破損させるなどの危険性を小さくすることができるし、鋼板からの輻射熱による上ヘッダ21の熱変形を防止することができるなど、設備保全上の効果も大きい。
【0041】
(第2の実施形態)
本発明の第2の実施形態における鋼板の冷却設備の基本的構成も、図1に側面図、図2に平面図を示したものである。
【0042】
そして、この実施形態においては、上ヘッダ21を鋼板搬送方向と平行な垂直面内で回転させて、上ノズル22の噴射角度(伏角)θを鋼板10の板厚に応じて変化させることで、上ノズル2の先端から鋼板上面までの噴射線の長さ(上ノズル2の噴射線長さ)を一定に保持するための上ヘッダ回転装置(図示せず)を備えている。ちなみに、この場合は、上ノズル2の噴射線を鋼板搬送方向と平行な垂直面に投影した長さ(上ノズル噴射線の搬送方向垂直面への投影長さ)を一定に保持すれば、上ノズル2の噴射線長さも一定に保持される。
【0043】
したがって、板厚h0(標準板厚)の鋼板に対して鋼板上面の衝突点位置が鋼板幅方向で等間隔になる噴射角をθ0(標準噴射角)とすると、任意の板厚hの鋼板に対する噴射角θは、以下の式に基づいて設定すればよい。なお、噴射高さHは一定である。
【0044】
【数2】


【0045】
上記の上ヘッダ回転装置を用いて、図7に側面図を示すように、板厚h1の鋼板1から板厚h2の鋼板2に変わった場合、上ノズル2の噴射線長さが一定になるように、すなわち、上ノズル噴射線の搬送方向垂直面への投影長さが一定になるように、上ノズル22の噴射角度θを調整して、冷却水の噴射線を噴射線bから噴射線dとする。これにより、鋼板上面に対する衝突点が鋼板幅方向には移動しないことになる。
【0046】
したがって、板厚h1の鋼板1の場合に鋼板上面の衝突点が鋼板幅方向に等間隔であれば、板厚h2の鋼板2の場合においても、鋼板上面の衝突点が鋼板幅方向に等間隔である状態が維持される。なお、鋼板下面の衝突点は鋼板10の板厚には影響されないので、鋼板下面の衝突点も鋼板幅方向に等間隔である。
【0047】
これによって、鋼板10の板厚が変わっても棒状冷却水22を鋼板幅方向に均一な流量分布で供給でき、鋼板10全体を均一に冷却することができる。その結果、品質の高い鋼板を製造することができる。
【0048】
なお、上記の第1の実施形態および第2の実施形態では、棒状冷却水を外向きに噴射する場合を示したが、本発明はこれに限るものではなく、例えばスプレーノズルなどの噴霧状冷却水を外向きに噴射する場合に用いてもよい。その場合には、ノズルをはめ込む配管の軸心を噴射方向と考えればよい。
【0049】
また、本発明においては、板厚が変わっても冷却水衝突点の相対的な位置が板幅方向で変わらなければよいので、上ヘッダの高さ位置と上ノズルの噴射角の両方を変更することで、上ノズルの噴射線長さを一定に保持するようにしてもよい。
【0050】
また、ここでは、下面冷却ノズルが、冷却水の噴射方向が板幅方向外側に向かう成分をもたせるように設置してあるが、本発明はこれに限るものではなく、板幅方向外側に向かう成分をもたせなくともよい。ちなみに、鋼板下面の高さ位置は、板厚によって変わらないので、下面冷却ノズルを調整する必要はない。
【実施例1】
【0051】
本発明の実施例を以下に述べる。
【0052】
ここでは、図1、図2に示す基本的構成を備えた冷却設備を用いて、板厚が20mm、60mm、100mmの鋼板に対して、その順序で冷却を行った。
【0053】
その際、初期設定として、上ノズル22の噴射角度θを45°、外向き角αを20°、噴射高さHを1020mmとし、その時に板厚20mmの鋼板において、鋼板上面の冷却水衝突点が鋼板幅方向に60mmピッチで等間隔になるようにした。
【0054】
そして、本発明例1として、上記の本発明の第1の実施形態に基づいて、上ヘッダ21の高さ位置を調整して(すなわち、噴射高さHを調整して)冷却を行った。
【0055】
また、本発明例2として、上記の本発明の第2の実施形態に基づいて、上ノズル22の噴射角度θを調整して冷却を行った。
【0056】
これに対して、比較例として、上ノズル22の噴射高さHも噴射角度θも調整せずに冷却を行った。
【0057】
なお、冷却開始温度は800℃とし、冷却終了温度が目標の600℃となるように、冷却水量や冷却時間を調整した。
【0058】
その結果を表1および図8に示す。
【0059】
【表1】


【0060】
まず、比較例においては、板厚が20mmの時には、板幅最端部(耳きり対象で製品にならない部分)を除いた部分(製品部)の冷却終了時の温度ムラが10℃であったが、板厚が厚くなるとともに、板幅方向中央部への冷却水供給量が多くなったために、板幅方向中央部が過冷却となり、板幅方向温度分布が図8(a)に示すようになって、冷却終了時の製品部の温度ムラが大きくなった。すなわち、板厚60mmの時には60℃、板厚100mmの時には100℃になっている。
【0061】
これに対して、本発明例1においては、板厚が60mm、100mmと厚くなっても、鋼板上面から上ノズル22先端までの高さHnが一定になるように、すなわち、噴射高さHを板厚増加分だけ大きくなるように調整したので、鋼板上面の冷却水衝突点が鋼板幅方向に60mmピッチで等間隔の状態が維持され、板幅方向温度分布が図8(b)に示すように均一になった。これにより、製品部の温度ムラが10℃に抑えられた。
【0062】
また、本発明例2においては、板厚が60mm、100mmと厚くなっても、上ノズル22先端から鋼板上面までの噴射線の長さが一定になるように、噴射角度θを47.25°、49.42°と調整したので、鋼板上面の冷却水衝突点が鋼板幅方向に60mmピッチで等間隔の状態が維持され、板幅方向温度分布が図8(b)に示すように均一になった。これにより、製品部の温度ムラが10℃に抑えられた。
【0063】
以上のことから、本発明の有効性を確認することができた。
【図面の簡単な説明】
【0064】
【図1】本発明の実施形態における冷却設備の基本的構成を示す側面図である。
【図2】本発明の実施形態における冷却設備の基本的構成を示す平面図である。
【図3】冷却水の衝突点を表す側面図である。
【図4】冷却水の衝突点を表す平面図である。
【図5】本発明の第1の実施形態における冷却水の衝突点を表す側面図である。
【図6】本発明の第1の実施形態における冷却水の衝突点を表す正面図である。
【図7】本発明の第2の実施形態における冷却水の衝突点を表す側面図である。
【図8】本発明の実施例における鋼板幅方向温度分布を示す図である。
【符号の説明】
【0065】
10 鋼板
13 テーブルローラ
21 上ヘッダ
21a 第1上ヘッダ
21b 第2上ヘッダ
22 上ノズル
22a 第1上ノズル
22b 第2上ノズル
23 棒状冷却水
23a 棒状冷却水
23b 棒状冷却水
24 滞留冷却水
31 下ヘッダ
32 下ノズル
33 棒状冷却水
【出願人】 【識別番号】000001258
【氏名又は名称】JFEスチール株式会社
【出願日】 平成18年10月19日(2006.10.19)
【代理人】 【識別番号】100105968
【弁理士】
【氏名又は名称】落合 憲一郎

【識別番号】100130834
【弁理士】
【氏名又は名称】森 和弘


【公開番号】 特開2008−100255(P2008−100255A)
【公開日】 平成20年5月1日(2008.5.1)
【出願番号】 特願2006−284644(P2006−284644)