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【発明の名称】 熱間圧延線条材の冷却装置および冷却方法
【発明者】 【氏名】塚越 一基

【要約】 【課題】冷却の均一性や設置の自由度を有利に確保できる、熱間圧延線条材の冷却装置および冷却方法を提供する。

【解決手段】本発明装置は、内部を走行する熱間圧延線条材を強制冷却する冷却管を備えた、熱間圧延線条材の冷却装置において、冷却管が圧延材の周方向で複数に区分され、該区分毎に冷媒の供給系統を有し、また、冷媒供給系統毎に、冷媒の液体に気体を任意比率で混合させる気体送風系統を有し、また、冷却装置の入、出側に、圧延材の周方向複数区分の内の少なくとも2区分以上の圧延材温度を計測する温度計を配設し、また、圧延材のパスラインが所定のまたは漸次変化する曲率を有するように、冷却装置内の冷却管が配設されていることを特徴とする。本発明方法は、上記装置を用い、圧延材の周方向の複数の区分毎に、冷却条件を制御することを特徴とする。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
内部空間を走行通過する熱間圧延線条材を冷却媒体で強制冷却する冷却管を備えた、熱間圧延線条材の冷却装置において、前記冷却管が周方向に複数に区分され、該区分毎に、冷却媒体の供給系統を有することを特徴とする、熱間圧延線条材の冷却装置。
【請求項2】
前記冷却媒体が液体であり、前記冷却媒体の供給系統毎に、該液体に気体を任意の比率で混合させる気体送風系統を有することを特徴とする、請求項1に記載の熱間圧延線条材の冷却装置。
【請求項3】
前記冷却装置の入側および/または出側に、前記冷却管の複数の区分のうちの少なくとも2以上の区分に各々対応する部分についての圧延材の表面温度を計測する温度計を配設することを特徴とする、請求項1または2に記載の熱間圧延線条材の冷却装置。
【請求項4】
圧延材のパスラインが所定の曲率または漸次変化する曲率を有するように、前記冷却管が前記冷却装置内に1台または連続する複数台配設されていることを特徴とする、請求項1〜3のいずれかに記載の熱間圧延線条材の冷却装置。
【請求項5】
内部空間を走行通過する熱間圧延線条材を冷却媒体で強制冷却する冷却管を備えた冷却装置による熱間圧延線条材の冷却方法において、熱間圧延線条材の周方向の温度偏差を解消するように、圧延材の周方向を複数に区分して、該区分毎に、冷却条件を制御することを特徴とする、熱間圧延線条材の冷却方法。
【請求項6】
前記冷却媒体が液体であり、前記冷却の区分毎に、該液体と気体を任意の比率で混合させることにより前記冷却条件を制御することを特徴とする、請求項5に記載の熱間圧延線条材の冷却方法。
【請求項7】
前記冷却装置の入側および/または出側で、前記冷却管の複数の区分のうちの少なくとも2以上の区分に各々対応する部分についての圧延材の表面温度を計測し、その計測結果に基づいて、前記冷却条件を制御することを特徴とする、請求項5または6に記載の熱間圧延線条材の冷却方法。
【請求項8】
圧延材のパスラインが所定の曲率または漸次変化する曲率を有するように前記冷却装置内に1台または連続する複数台配設された前記冷却管内を、圧延材を曲げて走行通過させながら冷却することを特徴とする、請求項5〜7のいずれかに記載の熱間圧延線条材の冷却方法。
【発明の詳細な説明】【技術分野】
【0001】
本発明は、普通鋼、合金鋼、ステンレス鋼等を熱間連続圧延して、円形断面の棒材、線材等の線条材に成形する工程において、圧延途中または圧延終了後の線条材を水等の冷却媒体により冷却する冷却装置および冷却方法の改良に関する。
【背景技術】
【0002】
線材や棒材等の熱間圧延では、圧延終了後の線条材の機械的性質や表面性状の向上を狙い制御圧延や制御冷却を行うことが多い。圧延に伴う加工発熱による圧延材内部組織の再結晶を抑制し微細化を図ったり、表面スケールの生成を抑制したりするために、熱伝達係数の大きい冷却媒体として、殆どは水を用いて冷却を行っている。
【0003】
熱間圧延線条材の冷却装置には、これまでに様々な方式が開発されているが、多くは管内に水を吹き出して充満させその中に圧延材を通すことで冷却を行う冷却管方式が採られている。そして、線条材の機械的性質や表面性状を向上させる観点から、圧延材を均一に冷却するための様々な装置が発明されている。
【0004】
特許文献1および特許文献2では、冷却装置内に軸心が稼働するローラーガイドを設置し、装置通過中の圧延材に一方向からローラーガイドをあてがうか、圧延材を二方向からローラーガイドで挟むことで、冷却管中心と圧延材の中心を略一致させる発明が開示されている。これにより圧延材と冷却管内壁とで形成する間隙を一定にし、その周辺を流れる冷却媒体の条件を同じにし、冷却の均一化を図るものである。
【0005】
また、特許文献3では、冷却管内に圧延材周方向の旋回流を発生させることで冷却媒体のよどみや偏流をなくし冷却の均一化を図る発明が開示されている。
【0006】
さらに近年では、機械的性質や表面性状に対する品質要求の高まりから、圧延の途中の制御冷却の重要性が増しており、新設圧延ラインの多くは圧延途中に水冷装置を設置(以下、中間水冷装置と称す。)するか将来の設置スペースを設けることが一般的になっている。これに対し、既存の圧延ラインでも中間冷却装置を設置する動きがあるが、冷却に必要な直線長さが不足することがある。この場合は、特許文献4に記載の発明のように分岐させた迂回ラインを付加することで装置の設置スペースを得ている事例がある。
【特許文献1】特開昭54−141368号公報
【特許文献2】特開昭59−166317号公報
【特許文献3】特開昭62−139827号公報
【特許文献4】特開2000−094004号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、上記の従来技術による冷却手段には、なお、冷却の均一性や設置自由度の確保の面で改善の余地がある。
【0008】
はじめに、冷却の均一性の面からの課題について記す。
【0009】
従来は、上記特許文献1、2に記載の発明のように、冷却管と圧延材との隙間を均等にしたり、特許文献3に記載の発明のように、圧延材周囲の冷却水の偏流をなくしたりすることで、圧延材周囲の冷却条件を均一にすることに着目してきた。これらの従来技術は、圧延材の状態に拘らず周囲の冷却条件を均一にしようという考えに基づくものである。しかし、更に圧延材の冷却精度を高めるためには、冷却開始以前に圧延材自身に生じている不均一性を考慮する必要がある。この不均一性には、大きく圧延材の温度の不均一性と表面性状の不均一性が挙げられる。以下、それらの不均一性について詳述する。
【0010】
線条材の熱間圧延は、孔型を有するロールを用いるのが一般的である。その多くは、二対の孔型付ロールで材料を挟み込むように行うが、三方ロールあるいは四方ロールを用いることもある。図4は、二対の孔型ロールによる線条材の圧延の冷却開始前の最終圧延スタンドのロール直下の圧延材の状況を、ロール軸方向の垂直断面図で模式的に示す図である。すなわち、冷却開始前の最終圧延スタンドで円形に圧延されるときの、入側の材料形状32は多くの場合楕円である。この楕円形状32を円形3に変形する際、ロール31の孔型に拘束される部分33は、変形量が他の部分より大きくなり、従って、加工発熱量も孔型に拘束されない部分34より多くなる。この結果、周方向断面の温度分布は、孔型に拘束された部分33がより高く、拘束されない部分34はより低くなる。また、孔型に拘束された部分33の圧延材の表面は、ロール31の機械加工面が転写されて円滑に成形されるが、拘束されない部分34の表面は、ロール31に挟まれて圧縮され微細な皺が生じるために、表面粗さが増し冷却媒体との接触面積が増大する。圧延に伴うこれらの現象により、圧延材は、冷却前の最終圧延スタンドの孔型で拘束された部分33の温度が高く冷え難い状態となり、反対に、孔型で拘束されない部分34は、温度が低く冷えやすい状態となる。
【0011】
このように、圧延材自身の断面内温度や表面性状が不均一であると、上記従来技術のように周辺の冷却条件を均一にしても圧延材を均一に冷却するには自ずと限界があり、冷却後の機械的性質や表面性状の品質ばらつきをなくすことはできなかった。
【0012】
更に、圧延ラインでは、制御冷却の前後で圧延材の温度を計測し、この結果を冷却装置の条件設定、即ち、流量制御に利用することが多いが、殆どが圧延材の周方向のいずれか一点の温度を計っており、圧延材の周方向に温度差があってもそれが把握できなかった。また、たとえ周方向に複数点の温度計測をしていても、圧延材の周方向で冷却条件を変える手段がなく、その温度差を低減できなかった。
これまでは、圧延材の断面内温度や表面性状の不均一がある程度の範囲で生じ、その後の調整冷却を行っても線条材はある程度の品質ばらつきを持つものと捉えられ、その後の工程ではその分の安全率や歩留を見込んで加工を行っており特段の問題は生じなかった。しかし、近年は線条材に対する機械的性質や表面性状などの要求品質は厳格化が進んでおり、これに応えるためにも、これまで以上に冷却の均一化を行う必要が生じてきている。
【0013】
次に、設置自由度の面からの課題について記す。
【0014】
従来の冷却装置は、その内部を鋼材が通る軌跡(以下、パスラインと称す。)が直線である。これは、冷却装置内で鋼材が偏り冷却が不均一になることを避ける狙いがある。しかし、このように冷却装置のパスラインを直線にしなければならないということは、圧延ラインの設備レイアウトに制約を与えるという問題を有している。新しく圧延工場を建設する場合は、設備設計の自由度が大きく、設置スペースが問題となる場合は少ないが、既設圧延ラインでは、特に中間冷却装置の改造や増設の場合は、直線状の設置スペースを十分確保できないことが多いため、冷却装置の設置スペースの問題は深刻である。また、特許文献4のように分岐ラインを設ける場合でも、既設設備との干渉を回避しなければならないという問題がある。これら制約のために、不十分な長さの冷却装置、即ち、不十分な冷却能力を許容するか、或いは費用負担を増して干渉部を改造することになり、設置自由度が小さくなるという問題があった。
【0015】
そこで、本発明は、上記従来技術よりも均一な冷却を行うことができ、且つ設置の自由度を向上させた、熱間圧延線条材の冷却装置および冷却方法を提供することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0016】
本発明者らは、上記の従来技術の問題点を解決するため、鋭意検討を進めた結果、単純に冷却管の中心に圧延材を位置させたり、圧延材周囲を流れる冷却媒体の条件を均一にしたりするだけではなく、圧延材が冷却開始前に持っている断面内あるいは周方向の不均一性に応じて周方向の冷却条件を変えることで、一層の均一な冷却が可能なことを見出した。即ち、温度が高く表面が円滑で冷えにくい部位には多くの冷却媒体を吹き付け、逆に、温度が低く表面が粗くて冷えやすい部位には冷却媒体の吹き付け量を減らすといった具合に、圧延材の温度および表面性状に応じて周囲から与える冷却条件を任意に変えることで、圧延材周方向断面内の冷却の均一化を図り、機械的性質や表面性状のばらつきを従来に比べて小さくすることが可能となる。
【0017】
圧延する圧延材の成分組成や製品となる線条材の仕上りサイズによって、ロール孔型形状、上下ロール間のギャップ、圧延スタンド間張力などの圧延条件が変わるため、圧延材の周方向断面の不均一状態も変わることになる。ただし、このような圧延条件は、一般に製造標準として管理されているため、圧延材周方向の温度および表面性状の不均一状態も圧延する圧延材の種別やサイズによって再現性がある。従って、周方向に変える冷却条件も、圧延する圧延材の種別やサイズに応じて変える必要がある反面、予め圧延条件に応じて決めておくことができる。
【0018】
次に、均一化の精度をより高めるためには、圧延ラインにおいて圧延材の温度を周方向で温度差が生じやすい複数点を計測するようにし、その計測結果に応じて冷却装置の冷却媒体吹き付け条件を変えるフィードバック、或いはフィードフォワード制御を行うようにする。これにより、1ビレットの加熱履歴、ロール孔型の磨耗状況、スタンド間張力やロールギャップ等、製造標準の管理幅内で変動する圧延条件ばらつきに対しても対応することができる。
【0019】
さらに、圧延材を曲げて冷却装置内を通したときに、冷却管内で圧延材が偏り周囲の冷却媒体流れが不均一になっても、周方向の冷却条件を変えることで、断面内の温度ばらつきを小さくできる。曲げる軌跡は、冷却装置内で曲率一定としても、冷却装置内で変化させてもよく、また、曲げ方向も、水平や上下、さらにはこれらの組合せでもよい。この結果、冷却装置を設置する場所の自由度が飛躍的に高まる。
【0020】
本発明は、上記の知見に基づき、さらに検討を進めて初めてなされたものであり、その要旨は、次の通りである。
【0021】
(1) 内部空間を走行通過する熱間圧延線条材を冷却媒体で強制冷却する冷却管を備えた、熱間圧延線条材の冷却装置において、前記冷却管が周方向に複数に区分され、該区分毎に、冷却媒体の供給系統を有することを特徴とする、熱間圧延線条材の冷却装置。
【0022】
(2) 前記冷却媒体が液体であり、前記冷却媒体の供給系統毎に、該液体に気体を任意の比率で混合させる気体送風系統を有することを特徴とする、上記(1)に記載の熱間圧延線条材の冷却装置。
【0023】
(3) 前記冷却装置の入側および/または出側に、前記冷却管の複数の区分のうちの少なくとも2以上の区分に各々対応する部分についての圧延材の表面温度を計測する温度計を配設することを特徴とする、上記(1)または(2)に記載の熱間圧延線条材の冷却装置。
【0024】
(4) 圧延材のパスラインが所定の曲率または漸次変化する曲率を有するように、前記冷却管が前記冷却装置内に1台または連続する複数台配設されていることを特徴とする、上記(1)ないし(3)のいずれか1項に記載の熱間圧延線条材の冷却装置。
【0025】
(5) 内部空間を走行通過する熱間圧延線条材を冷却媒体で強制冷却する冷却管を備えた冷却装置による熱間圧延線条材の冷却方法において、熱間圧延線条材の周方向の温度偏差を解消するように、圧延材の周方向を複数に区分して、該区分毎に、冷却条件を制御することを特徴とする、熱間圧延線条材の冷却方法。
【0026】
(6) 前記冷却媒体が液体であり、前記冷却の区分毎に、該液体と気体を任意の比率で混合させることにより前記冷却条件を制御することを特徴とする、上記(5)に記載の熱間圧延線条材の冷却方法。
【0027】
(7) 前記冷却装置の入側および/または出側で、前記冷却管の複数の区分のうちの少なくとも2以上の区分に各々対応する部分についての圧延材の表面温度を計測し、その計測結果に基づいて、前記冷却条件を制御することを特徴とする、上記(5)または(6)に記載の熱間圧延線条材の冷却方法。
【0028】
(8) 圧延材のパスラインが所定の曲率または漸次変化する曲率を有するように前記冷却装置内に1台または連続する複数台配設された前記冷却管内を、圧延材を曲げて走行通過させながら冷却することを特徴とする、上記(5)ないし(7)のいずれか1項に記載の熱間圧延線条材の冷却方法。
【発明の効果】
【0029】
本発明によれば、圧延材に対して均一な冷却を行うことが可能になり、制御冷却の精度が向上する。このため、冷却後の圧延材の機械的性質および表面性状のばらつきを小さくできる結果、当該工程の品質外れ量を少なくできる。また、前記ばらつきの影響を小さくする目的で合金添加していた場合はその量を減らすことができる。或いは前記ばらつきがあるが故にオンラインでの制御冷却ができず圧延後に別工程で熱処理を行っていた場合は、これをオンライン制御冷却に変更でき、別工程で熱処理する場合に必要だった鋼材の再加熱が不要になり、製造コストを下げることができる。さらに、次工程でも前記ばらつきが小さくなることで、加工効率や歩留の向上を図ることができる。さらに、本発明によれば、パスラインが曲がった部分に冷却装置を設置した場合にも、均一な冷却を行うことができるため、従来公知技術では設置が不可能または困難であった部分に冷却装置を設置することが可能となり、パスライン設計の自由度が増す。この結果、従来はオンラインに冷却装置が設置できなかった事例でもオンラインで冷却装置を設置でき、別工程で行っていた熱処理を省略し製造コストを下げることができる。また、設置自由度が増すため、既設ラインに冷却装置を設ける場合などでは干渉設備が減り設置費用を削減することができる。以上のとおり、本発明によれば、従来の熱間圧延線条材の冷却における冷却の均一性や設置の自由度の問題を有利に解決できることから、産業上の効果は計り知れない。
【発明を実施するための最良の形態】
【0030】
以下に、本発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。
【0031】
図1は、本発明の実施の形態に係る冷却装置1の構成を模式的に説明する図である。同図において、冷却装置1の内部には圧延方向に冷却媒体を通す管を内蔵した架台4が組み込まれ、その上に冷却管2を設置する。
【0032】
図2(a)には、冷却管2の詳細を示す。冷却管2は、出側ボディ5と入側ボディ6とからなるボディ、出側冷却管7と入側冷却管8、仕切り板9、接続用配管10などで構成する。ボディ5、6は、仕切り板9を内蔵するため2分割構造とし、通しボルト等で結合するのが好ましい。ボディ5、6の内面と、出側冷却管7および入側冷却管8とに管軸方向に沿った溝を設け、図2(b)に単体図を示す仕切り板9が嵌り込むようにする。出側冷却管7と入側冷却管8は、ボディ組立後にその前後から差し込み、各々のフランジ部をボルトで固定することによって、入側冷却管8の内部空間と出側冷却管7の内部空間とが接続され、圧延材3を入側から出側に走行通過させることが可能な通路Pが形成されている。
【0033】
ボディ5、6の内部に各々挿入された出側冷却管7および入側冷却管8の間には、通路Pの外側から内側に冷却媒体を送込む吹き出し口として用いられる環状の隙間Tが形成されている。本実施の形態では、図2(a)に示すように出側冷却管7の入側端部では、外側部分が内側部分よりも入側に突出した形状をしており、この形状と整合するように、入側冷却管8の出側端部では、内側部分が外側部分よりも出側に突出した形状をしている。これにより、出側冷却管7および入側冷却管8の間に形成される隙間(吹き出し口)Tは入側(即ち、通路Pの外側)から出側(即ち、通路Pの内側)に向かって徐々に縮径する円錐形状に形成されている。
【0034】
図3には、図2(a)に示す冷却管2のB−B断面図を示す。本実施の形態では、図3に示すように、4枚の仕切り板9が用いられている。これら4枚の仕切り板9は、各々、ボディ5、6の内面と、出側冷却管7および入側冷却管8とに管軸方向に沿った溝に嵌め込まれている。これにより、出側冷却管7および入側冷却管8の外面とボディ5、6の内面との間に形成される空間Kと、この空間Kから通路P内に冷却媒体を送る環状の吹き出し口Tは、4枚の仕切り板9によって仕切られて、図3に示すように、周方向に沿って4つに区分されている。
【0035】
架台4の内部には圧延方向に冷却媒体を通す管を設け、架台4に冷却管2を取り付けた後、架台4内の配管と冷却管2とを接続用配管10で接続する。架台4内のそれぞれの配管には、冷却媒体本管11から分岐させた配管を接続するとともに途中に圧力調整弁12、流量計13、流量調整弁14、三方弁15等からなる圧力、流量調整手段を組み込む。さらに気体本管16から分岐させた配管を接続するとともに、途中に圧力調整弁17、オリフィス流量計18、流量調整弁19、遮断弁20、逆止弁21等からなる圧力、流量調整手段を組み込み、冷却媒体に気体を混入可能とする。
【0036】
出側冷却管7および入側冷却管8の内部に形成される通路Pの内面と圧延材3の外面との間には間隙がある。このため、吹き出し口Tを周方向に区切ってそれぞれの口から異なる条件で冷却媒体を吹き付けても、ほどなく冷却管内で互いに混ざり合ってしまう。このような事態が発生すると、冷却管2内の空間Kおよび吹き出し口Tを周方向に区分し、各区分毎の個別の設定を可能にした効果が低減する。この対策として、従来はボディ5、6から長く延ばしていた出側冷却管7および入側冷却管8をボディ5、6とほぼ同じ長さに抑えることで冷却管の圧延方向長を短くして、一定の圧延方向長に設置可能な冷却管の数を従来より多くし、冷却媒体の混合が進む前に圧延材に吹き付ける回数を多くするのが好ましい。また、ある区分の吹き付け冷却媒体量を減らすと圧力も低下し隣接した区分から冷却媒体が流れ込んで、冷却管2内の空間Kおよび吹き出し口Tを区分した効果が低減する。この対策として、気体を事前に混合し冷却媒体量が減ることに伴う圧力低下を補って隣接条件との圧力差を小さくし、通路P内で隣接区域間の冷却媒体同士の混合をされにくくするのが好ましい。
【0037】
また、冷却装置1前後の適当な位置で、温度計21により圧延材3の周方向温度を複数点計測する。望ましくは、冷却管2内の空間Kおよび吹き出し口Tを周方向に区分した各区分に対応する部分について、圧延材3の表面温度を計測する。その計測結果を、基準値と比べ、基準値より計測温度が高い場合は冷却媒体の量を多くし、逆に基準値より計測温度が低い場合は冷却媒体の量を少なくしその分気体の混合量を増やす。これを圧延中にフィードバック或いはフィードフォワードすることで、圧延材の実際の状態に合わせた精度のよい冷却を可能とする。望ましくは測定値と基準値の比較からそれに応じた冷却媒体の流量制御、気体の混合制御といったロジックを冷却装置の制御回路に組み込み自動で行う。
【0038】
以上の実施形態によれば、冷却管2内の空間Kおよび吹き出し口Tを周方向に区分し、各区分毎の個別の設定を可能にしたことによって、圧延材3に対して均一な冷却を行うことが可能になり、制御冷却の精度が向上する。このため、冷却後の圧延材の機械的性質および表面性状のばらつきを小さくできる結果、当該工程の品質外れ量を少なくできる。また、前記ばらつきの影響を小さくする目的で合金添加していた場合はその量を減らすことができる。或いは前記ばらつきがあるが故にオンラインでの制御冷却ができず圧延後に別工程で熱処理を行っていた場合は、これをオンライン制御冷却に変更でき、別工程で熱処理する場合に必要だった鋼材の再加熱が不要になり、製造コストを下げることができる。さらに、次工程でも前記ばらつきが小さくなることで、加工効率や歩留の向上を図ることができる。
【0039】
さらに、冷却管2内の空間Kおよび吹き出し口Tを周方向に区分し、各区分毎に冷却媒体の吹き付け条件を変える機能を持たせたことによって、冷却装置1が形成する圧延材3のパスラインを図5に示すように湾曲した構成にした場合にも均一な冷却を行うことが可能になる。圧延材3のパスラインは所定の曲率または漸次変化する曲率のいずれにも構成することができる。また、冷却管2は短管とすることで、各冷却管2内の出側冷却管7および入側冷却管8を管軸方向を直線状に形成してもよいが、望ましくは冷却装置1の曲率に合わせて管軸方向を湾曲形状に形成した出側冷却管7および入側冷却管8を用いる。なお、図5には7台の冷却管2によって、圧延材3の湾曲したパスラインが形成されているが、任意の台数の冷却管2を用いてもよい。更に、各冷却管2の間にガイドローラー35を設置することは圧延材3の表面疵防止や誘導性向上の観点から有効である。
【0040】
上述した利点によれば、パスラインが曲がった部分に冷却装置を設置した場合にも、均一な冷却を行うことができるため、従来公知技術では設置が不可能または困難であった部分に冷却装置を設置することが可能となり、パスライン設計の自由度が増す。この結果、従来はオンラインに冷却装置が設置できなかった事例でもオンラインで冷却装置を設置でき、別工程で行っていた熱処理を省略し製造コストを下げることができる。また、設置自由度が増すため、既設ラインに冷却装置を設ける場合などでは干渉設備が減り設置費用を削減することができる。以上のとおり、本発明によれば、従来の熱間圧延線条材の冷却における冷却の均一性や設置の自由度の問題を有利に解決できることから、産業上の効果は計り知れない。
【実施例】
【0041】
図1(a)において、冷却装置1は、冷却管2を9台内蔵する。図2において、それぞれの冷却管は、出側冷却管7および入側冷却管8で形成する吹き付け口Tを仕切り板9を4枚用いて上下左右の4区分(区画)に区切り、ボディ6にはそれぞれの区分に冷却媒体を送る貫通穴を開ける。架台4の内部には圧延方向に4つの配管を配し、それぞれに外部から接続用配管10を接続する。この架台4の内部の4つの配管には圧力調整弁12、流量計13、流量調整弁14、三方弁15等からなる圧力、流量調整手段を組み込む。さらに気体配管と圧力調整弁17、オリフィス流量計18、流量調整弁19、遮断弁20、逆止弁21等からなる圧力、流量調整手段を組み合わせた気体送風系統を接続し、冷却媒体の量あるいは圧力が小さい場合は気体を混入可能とする。こうして、ボディ5、6内の空間Kを仕切って周方向に4区分した各部屋ごとに冷却媒体を異なる量や圧力で送ることができるようにする。
【0042】
図1(a)において、冷却装置1の出側に温度計22を配置する。温度計22は図1(b)のように、圧延材周方向の上下左右の温度を計測できるように4台配置する。望ましくは、実施例のように冷却管2内の空間Kおよび吹き出し口Tを区分した各区分に対応した部分の温度を計測するが、温度や表面性状は、上下や左右の対称性が高いことから上下のいずれか一方と左右のいずれか一方を計測してもよい。ただし、この場合は上下左右配置した場合に比べ、計測しない側の冷却精度は劣る。そして、計測した温度を図示していない冷却制御装置内の基準温度と比較し、計測値の方が高ければ冷却媒体量を多くし、計測値の方が低ければ冷却媒体量を減らす。温度計22はフィードバック制御を主に行う場合は冷却装置1の出側に設置し、フィードフォワード制御を主に行う場合は冷却装置1の入側に設置する。温度計22を冷却装置1の入側と出側の両方に設置しそれぞれの測定値に重みをつけて評価し冷却媒体量を制御してもよい。また、計測した結果を次の圧延材に対する制御に用いてもよい。
【0043】
既設圧延ラインの中間冷却装置として組み込む場合、図5のように装置をラインに合わせて曲げる。同図では同一曲率で曲がる例を示すが、曲げ方は複数の曲率を組み合わせても、水平や上下の方向の曲げを組み合わせても、直線と組み合わせてもよい。また同図では擦り疵防止のために冷却管2の間にガイドローラー35を設置している。
【0044】
図6に既設圧延ラインに中間冷却装置を設置する例を示す。図6(a)は本発明を用いない例であり、水冷装置は直線になるため、所定の冷却長さを得るため、中間圧延機37間の曲がりトラフの延長を行っており、この結果、設置に必要なスペースが大きくなっている。これに対し図5(b)は本発明を用いた例であり、水冷装置は中間圧延機37の間に当初からあった曲がりトラフに置き換えて設置することができており、本発明を用いない場合に比べ設置スペースの拡大は抑えられ、費用が小さく済んでいる。
【産業上の利用可能性】
【0045】
本発明は、普通鋼、合金鋼、ステンレス鋼等を熱間連続圧延して、円形断面の棒材、線材等の線条材に成形する工程において、圧延途中または圧延終了後の線条材を水等の冷却媒体により冷却する冷却装置等に有用である。
【図面の簡単な説明】
【0046】
【図1】(a)は、本発明による冷却装置の一実施例を側面図にて模式的に説明する図であり、図1(b)は、本発明による冷却装置における温度計測の一実施例を模式的に説明する図である。
【図2】(a)は、本発明による冷却装置に組み込む冷却管の一実施例を側面断面図にて模式的に説明する図であり、(b)は、本発明による冷却管に組み込む仕切り板の一実施例を模式的に説明する図である。
【図3】本発明による冷却装置の一実施例を正面断面図および配管系統図にて模式的に説明する図である。
【図4】2対のロールによる圧延を模式的に説明する図である。
【図5】本発明による曲がり部を持つ冷却装置の一実施例を平面図にて模式的に説明する図である。
【図6】(a)は、本発明を用いずに既設圧延ラインに中間冷却装置を設置した例を模式的に説明する図であり、(b)は、本発明を用いて既設圧延ラインに中間冷却装置を設置した例を模式的に説明する図である。
【符号の説明】
【0047】
1 冷却装置
2 冷却管
3 圧延材
4 架台
5 (出側)ボディ
6 (入側)ボディ
7 出側冷却管
8 入側冷却管
9 仕切り板
10 接続用配管
11 冷却媒体本管
12 圧力調整弁
13 流量計
14 流量調整弁
15 三方弁
16 気体本管
17 圧力調整弁
18 流量計
19 流量調整弁
20 遮断弁
21 逆止弁
22 温度計
31 ロール
32 圧延前の材料形状
33 圧延材において孔型に拘束される部位
34 圧延材において孔型に拘束されない部位
35 ガイドローラー
36 粗圧延機群
37 中間圧延機群
38 シャー
39 仕上圧延機群
40 加熱炉
K 内部空間
P 通路
T 吹き出し口
【出願人】 【識別番号】000006655
【氏名又は名称】新日本製鐵株式会社
【出願日】 平成18年10月18日(2006.10.18)
【代理人】 【識別番号】100101557
【弁理士】
【氏名又は名称】萩原 康司

【識別番号】100096389
【弁理士】
【氏名又は名称】金本 哲男

【識別番号】100095957
【弁理士】
【氏名又は名称】亀谷 美明


【公開番号】 特開2008−100245(P2008−100245A)
【公開日】 平成20年5月1日(2008.5.1)
【出願番号】 特願2006−283305(P2006−283305)