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【発明の名称】 直送圧延における鋳片分割長調整方法および装置
【発明者】 【氏名】西垣内 徳生

【要約】 【課題】直送圧延において、冷却床に取り込まれる最終分割材の残長を最小限に留め、通常分割長を最大化して前記冷却床の有効な活用を図るとともに、材料の歩留まり向上を図り得る鋳片分割長調整方法を提供する。

【解決手段】連続鋳造機1で鋳造された鋳片3を分割した後に直ちに圧延機2に搬送し、この鋳片3aを圧延した後の棒鋼3bを冷却床8へ搬入する直送圧延における鋳片分割長調整方法であって、圧延後の冷却床8における棒鋼3cの最終分割材残長を裁断して、この裁断された棒鋼の最終分割材残長重量を測定し、この最終分割材残長重量に基づき前工程の連続鋳造機1において分割される鋳片3aの設定重量を、前記冷却床8へ搬入される棒鋼長さを最大化するように調整する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
連続鋳造機で鋳造された鋳片を分割した後に直ちに圧延機に搬送し、この鋳片を圧延した後の棒鋼を冷却床へ搬入する直送圧延における鋳片分割長調整方法であって、圧延後の冷却床における棒鋼の最終分割材残長を裁断して、この裁断された棒鋼の最終分割材残長重量を測定し、この最終分割材残長重量に基づき前工程の連続鋳造機において分割される鋳片の設定重量を、前記冷却床へ搬入される棒鋼長さを最大化するように調整することを特徴とする直送圧延における鋳片分割長調整方法。
【請求項2】
前記連続鋳造機で鋳造された鋳片の分割において、初回(n=1)に分割される鋳片の分割目標重量Waを算出し、この算出された分割目標重量Waを鋳片分割目標重量Wとして前記鋳片を分割し、分割された前記鋳片を前記圧延機に直送した後に圧延して棒鋼となし、圧延後の棒鋼を冷却床に搬入する最終分割材残長を裁断して、裁断されたこの最終分割材残長重量Wbm(n)を測定し、この最終分割材残長重量Wbm(n)が次式(1)を満足する場合はWbmをWbm(n)に置き換え、この最終分割材残長重量Wbm(n)が次式(1)を満足しない場合はWbmを(n−1)回目以前の最終分割材残長の内の最大重量Wbm(max)に置き換えて、次式(2)によって鋳片分割目標補正重量Wnを求め、2回目以降n回目の鋳片分割時は、この補正された鋳片分割目標補正重量Wnを鋳片分割目標重量Wとし、この鋳片分割目標重量Wを基に分割長を調整することを特徴とする請求項1に記載の直送圧延における鋳片分割長調整方法。
Wbm(n)−Wbm(max)>0 (1)
Wn=W−Wbm+Wv (2)
ここで、
Wv:フライングシャーの切断ばらつきを考慮して、最終残長を負値としな
いための設定値
n:連続鋳造機における鋳片分割回数(=1,2,3‥‥)
【請求項3】
連続鋳造機で鋳造された鋳片を分割した後に直ちに圧延機に搬送し、この鋳片を圧延した後の棒鋼を冷却床へ搬入する直送圧延における鋳片分割長調整装置であって、鋳造後の前記鋳片を分割する鋳片分割手段と、直送圧延後の前記棒鋼を冷却床に搬入するため分割材として切断するとともに、この分割材の最終分割材残長を裁断する棒鋼切断手段と、裁断されたこの前記最終分割材残長重量Wbm(n)を測定する重量測定手段と、前記鋳片の分割目標を演算指令する鋳片分割目標制御手段とを備え、この鋳片分割目標制御手段が、初回(n=1)の分割時は、前記鋳片の分割目標重量Waを算出しこの分割目標重量Waを鋳片分割目標重量Wに置き換え、前記鋳片分割目標重量Wで鋳片を分割するよう前記鋳片分割手段に指令するとともに、2回目以降n回目の鋳片分割時は、裁断された前記最終分割材残長重量Wbm(n)を重量測定するよう前記重量測定手段に指令するとともに、この測定された最終分割材残長重量Wbm(n)が次式(1)を満足する場合はWbmをWbm(n)に置き換え、この最終分割材残長重量Wbm(n)が次式(1)を満足しない場合は、Wbmを(n−1)回目以前の最終分割材残長の内の最大重量Wbm(max)に置き換えて、次式(2)によって鋳片分割目標補正重量Wnを求め、この補正された鋳片分割目標補正重量Wnを鋳片分割目標重量Wに置き換えて、この鋳片分割目標重量Wを基に分割長を調整して鋳片を分割するよう前記鋳片分割手段に指令する構成となしたことを特徴とする直送圧延における鋳片分割長調整装置。
Wbm(n)−Wbm(max)>0 (1)
Wn=W−Wbm+Wv (2)
ここで、
Wv:フライングシャーの切断ばらつきを考慮して、最終残長を負値としな
いための設定値
n:連続鋳造機における鋳片分割回数(=1,2,3‥‥)
【発明の詳細な説明】【技術分野】
【0001】
本発明は、連続鋳造機で鋳造された鋳片を分割した後に直ちに圧延機に搬送し、分割された前記鋳片を圧延して棒鋼となし、この棒鋼を再分割して冷却床へ搬入する直送圧延における鋳片分割長調整方法および装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、連続鋳造機と圧延機とを搬送ラインで直結して、前記連続鋳造機により鋳造された鋳片を直ちに圧延機に搬送して直送圧延する方法が知られている。このような連続鋳造機においては、連続して鋳造された鋳片を所定の分割長に分割するための分割機が設けられている。そして、この所定長の鋳片が前記圧延機に直送され、圧延完了後に後続の冷却床の長さスペースを考慮して圧延された棒鋼を分割シャーにより分割し、分割材として前記冷却床に複数本横並びに載置冷却した後、この分割材を冷間シャーによって最終製品長に切断している。
【0003】
圧延完了後の棒鋼を分割シャーにより分割して分割材となす一般的な方法について、添付図4を参照しながら以下説明する。図4は、1個の鋳片が複数個の分割材として分割され、冷却床へ搬入された状態を模式的に示す模式図である。
【0004】
このような分割材30の分割長は、冷却床全長を有効に活用するため、製品長を整数倍した長さで冷却床全長未満となる最大値とするのが通常である。また、分割材30は、冷間シャーで複数本を同時に製品長に切断し、その切断回数×同時切断本数で製品数をカウントしている。この場合、最終分割材30bが通常の分割材30より短いと製品本数不足が生じるため、最終分割材30bは必ず前記分割長より長くなるように分割される。尚、先端クロップ31および後端クロップ32は、冷却後の分割材を冷間シャーにて製品長に切断する際切り取られる。
【0005】
このような分割方法の問題点は、最終分割材30bに最終残長Lbが必ず必要であるため、冷却床への取り込み長さが、製品長を整数倍した長さで冷却床全長未満となる最大値よりも長くなってしまい、冷却床全長を有効活用することが出来ないことである。冷却床取り込み長さが短くなると、冷却床上での材料冷却時間が短くなり、冷却床での冷却能力が低下することになる。
【0006】
例えば、製品長が6mとなる分割材を、全長90mの冷却床に取り込もうとすれば、通常の分割長は6m×14本=84mとなるが、最終分割材の長さは、最終残長を最大5mとすれば、84m+5m=89mとなる。しかしながら、冷却床取り込み時のばらつきとして5mを考慮すると、通常分割材は6m×13本=78m、最終分割材は78m+5m=83mのケースしか分割計画出来なくなる。
【0007】
このときの冷却床での材料冷却時間は、圧延能力が同一の場合には分割材長さに反比例するから、78/84=0.928となり、冷却時間が約7%短くなる。例えば、製品サイズD10で、1000℃から冷却時間300秒(=5分)と278秒(=300秒×0.928)冷却した場合の材料温度を比較すると、370℃と330℃となり40℃の温度差が生じる。
【0008】
このような問題点を解消する方法として、分割シャーにチョッパーを設置し、冷却床入口側で最終残長を切断することにより、最終分割長も通常分割長と同じ長さとする方法がある。この方法によれば、冷却床全長を有効に使用するように分割計画出来るので、冷却床全長の有効活用の観点からは本方法の方が優れている。
【0009】
しかしながら、前記方法は最終残長Lbを常にクロップとして廃棄することになるので、最終残長Lbを短縮することが歩留まり向上のために必須となる。ところが、前記最終残長Lbはチョッパーによって細かく裁断されるので、この最終残長Lbを目視確認したり測定したりすることが出来ず、鋳片重量にフィードバックして、鋳片重量調整により最終残長Lbを最少にし、歩留まり向上を図ることが困難である。
【0010】
一方、連続鋳造設備では、鋳片を連続的に引き抜いていく際、通常その引き抜き部が一定長になれば切断機で切断する。このような連続鋳造設備において、切断された鋳片の重量は出来る限り均一であることが望ましい。そのために、鋳片計重装置(秤量器)を設置し、切断された鋳片(ブルームまたはビレット)の実計重値と目標値との差を補正すべく、その差を次の鋳片の切断長決定にフィードバックする方法が一般的に用いられている。
【0011】
このような連続鋳造設備の鋳片切断長を制御するその他の従来技術について、以下図5および図6を参照しながら説明する。図5は従来例に係る切断長制御装置の全体ブロック図、図6は他の従来例に係る一実施の形態による鋳片切断制御方法を実現する鋳片切断制御装置を示すブロック図である。
【0012】
図5において、この従来例に係る連続鋳造設備の切断長制御装置300は、圧下制御装置が設置された連続鋳造設備の切断長制御装置において、圧下制御装置102の圧下制御中信号を用いて鋳造鋳片における圧下開始位置、圧下終了位置をトラッキング管理することにより圧下操業が行われた鋳造鋳片の圧下範囲を把握する手段41と、圧下制御装置102の圧下力信号から鋳片断面サイズへの影響度である圧下補正係数を決定する手段42と、圧下範囲と圧下補正係数を考慮して鋳造長を補正計算する手段43、および補正計算された鋳造長を用いて切断制御装置104への切断長設定値を目標の鋳片重量となるように切断長を演算する切断長演算手段44を備えている(特許文献1参照)。
【0013】
また、図6に示す従来例に係る連続鋳造設備の鋳片切断制御方法は、過渡運転モードにおける各種鋳造条件ごとの実績データを実績テーブル321に格納しておき、過渡運転モードでは、同一の鋳造条件のものを前記実績テーブル321から探し出して、その探し出した実績データを使用して前記鋳片の切断制御を行い、定常運転モードでは、今回の実測データのみを使用して前記鋳片の切断制御を行うものである(特許文献2参照)。
【特許文献1】特開平8−117942号公報
【特許文献2】特開2000−263205号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0014】
ところが、これら従来例に係る鋳片切断長制御装置および制御方法は、連続鋳造設備の範囲で鋳片を正確な重量で切断することを目的とするものであって、連続鋳造設備と圧延設備とを直結した直送圧延設備全体として歩留まりの向上を図ることを目的とする本発明とは異なる。
【0015】
即ち、本発明の目的は、直送圧延において、冷却床に取り込まれる最終分割材の残長を最小限に留め、通常分割長を最大化して前記冷却床の有効な活用を図るとともに、材料の歩留まり向上を図り得る鋳片分割長調整方法および装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0016】
前記目的を達成するために、本発明の請求項1に係る直送圧延における鋳片分割長調整方法が採用した手段は、連続鋳造機で鋳造された鋳片を分割した後に直ちに圧延機に搬送し、この鋳片を圧延した後の棒鋼を冷却床へ搬入する直送圧延における鋳片分割長調整方法であって、圧延後の冷却床における棒鋼の最終分割材残長を裁断して、この裁断された棒鋼の最終分割材残長重量を測定し、この最終分割材残長重量に基づき前工程の連続鋳造機において分割される鋳片の設定重量を、前記冷却床へ搬入される棒鋼長さを最大化するように調整することを特徴とするものである。
【0017】
本発明の請求項2に係る直送圧延における鋳片分割長調整方法が採用した手段は、請求項1に記載の直送圧延における鋳片分割長調整方法において、前記連続鋳造機で鋳造された鋳片の分割において、初回(n=1)に分割される鋳片の分割目標重量Waを算出し、この算出された分割目標重量Waを鋳片分割目標重量Wとして前記鋳片を分割し、分割された前記鋳片を前記圧延機に直送した後に圧延して棒鋼となし、圧延後の棒鋼を冷却床に搬入する最終分割材残長を裁断して、裁断されたこの最終分割材残長重量Wbm(n)を測定する。
【0018】
同時に、この最終分割材残長重量Wbm(n)が次式(1)を満足する場合はWbmをWbm(n)に置き換え、この最終分割材残長重量Wbm(n)が次式(1)を満足しない場合は、Wbmを(n−1)回目以前の最終分割材残長の内の最大重量Wbm(max)に置き換えて、次式(2)によって鋳片分割目標補正重量Wnを求め、2回目以降n回目の鋳片分割時は、この補正された鋳片分割目標補正重量Wnを鋳片分割目標重量Wとし、この鋳片分割目標重量Wを基に分割長を調整することを特徴とするものである。
Wbm(n)−Wbm(max)>0 (1)
Wn=W−Wbm+Wv (2)
ここで、
Wv:フライングシャーの切断ばらつきを考慮して、最終残長を負値としな
いための設定値
n:連続鋳造機における鋳片分割回数(=1,2,3‥‥)
【0019】
本発明の請求項3に係る直送圧延における鋳片分割長調整装置が採用した手段は、連続鋳造機で鋳造された鋳片を分割した後に直ちに圧延機に搬送し、この鋳片を圧延した後の棒鋼を冷却床へ搬入する直送圧延における鋳片分割長調整装置であって、鋳造後の前記鋳片を分割する鋳片分割手段と、直送圧延後の前記棒鋼を冷却床に搬入するため分割材として切断するとともに、この分割材の最終分割材残長を裁断する棒鋼切断手段と、裁断されたこの前記最終分割材残長重量Wbm(n)を測定する重量測定手段と、前記鋳片の分割目標を演算指令する鋳片分割目標制御手段とを備えている。
【0020】
同時に、前記鋳片分割目標制御手段が、初回(n=1)の分割時は、前記鋳片の分割目標重量Waを算出しこの分割目標重量Waを鋳片分割目標重量Wに置き換え、前記鋳片分割目標重量Wで鋳片を分割するよう前記鋳片分割手段に指令するとともに、2回目以降n回目の鋳片分割時は、裁断された前記最終分割材残長重量Wbm(n)を重量測定するよう前記重量測定手段に指令するとともに、この測定された最終分割材残長重量Wbm(n)が次式(1)を満足する場合はWbmをWbm(n)に置き換え、この最終分割材残長重量Wbm(n)が次式(1)を満足しない場合は、Wbmを(n−1)回目以前の最終分割材残長の内の最大重量Wbm(max)に置き換えて、次式(2)によって鋳片分割目標補正重量Wnを求める。
【0021】
そして、この補正された鋳片分割目標補正重量Wnを鋳片分割目標重量Wに置き換えて、この鋳片分割目標重量Wを基に分割長を調整して鋳片を分割するよう前記鋳片分割手段に指令する構成となしたことを特徴とするものである。
Wbm(n)−Wbm(max)>0 (1)
Wn=W−Wbm+Wv (2)
ここで、
Wv:フライングシャーの切断ばらつきを考慮して、最終残長を負値としな
いための設定値
n:連続鋳造機における鋳片分割回数(=1,2,3‥‥)
【発明の効果】
【0022】
本発明の請求項1に係る直送圧延における鋳片分割長調整方法によれば、連続鋳造機で鋳造された鋳片を分割した後に直ちに圧延機に搬送し、この鋳片を圧延した後の棒鋼を冷却床へ搬入する直送圧延における鋳片分割長調整方法であって、圧延後の冷却床における棒鋼の最終分割材残長を裁断して、この裁断された棒鋼の最終分割材残長重量を測定し、この最終分割材残長重量に基づき前工程の連続鋳造機において分割される鋳片の設定重量を、前記冷却床へ搬入される棒鋼長さを最大化するように調整する。
【0023】
その結果、冷却床に取り込まれる分割材の通常分割長を最大化して前記冷却床を有効に活用することが出来る。また、前記残長の裁断重量を測定することによって、連続鋳造機における鋳片分割算出重量を容易に補正することが出来るので、歩留まり向上を図ることが出来る。
【0024】
また、本発明の請求項2に係る直送圧延における鋳片分割長調整方法によれば、初回(n=1)に分割される鋳片の分割目標重量Waを算出して、この算出された分割目標重量Waを鋳片分割目標重量Wとして前記鋳片を分割し、測定した最終分割材残長の重量Wbm(n)を基に鋳片分割目標補正重量Wnを求め、2回目以降n回目の鋳片分割時はこの補正された鋳片分割目標補正重量Wnを鋳片分割目標重量Wとし、この鋳片分割目標重量Wを基に分割長を調整するので、鋳片分割長の最大化を具体化して、前記冷却床の有効活用と歩留まり向上を図ることが出来る。
【0025】
更に、本発明の請求項3に係る直送圧延における鋳片分割長調整装置によれば、前記鋳片分割目標制御手段が、初回(n=1)の分割時は、前記鋳片の分割目標重量Waを算出しこの分割目標重量Waを鋳片分割目標重量Wに置き換え、前記鋳片分割目標重量Wで鋳片を分割するよう前記鋳片分割手段に指令するとともに、2回目以降n回目の鋳片分割時は、測定された最終分割材残長重量Wbm(n)を基に鋳片分割目標補正重量Wnを求め、この補正された鋳片分割目標補正重量Wnを鋳片分割目標重量Wに置換し、この鋳片分割目標重量Wを基に分割長を調整して鋳片を分割するよう前記鋳片分割手段に指令する構成となしたので、冷却床に取り込まれる最終分割材残長を最小限に留め、通常分割長を最大化して前記冷却床の有効活用と材料の歩留まり向上を図る手段を具体化した。
【発明を実施するための最良の形態】
【0026】
次に、本発明の実施の形態に係る直送圧延における鋳片分割長調整方法および装置について、以下添付図1〜図3を用い、図4も併用しながら説明する。図1は本発明の実施の形態に係る直送圧延における鋳片分割長調整方法および装置を説明するための模式図、図2は本発明の実施の形態に係る鋳片分割長調整装置における鋳片分割目標制御手段を構成する鋳片分割目標演算手段のフローを説明するためのフロー図、図3は本発明の実施の形態に係る鋳片分割長調整装置における鋳片分割目標制御手段を構成する鋳片分割目標補正制御手段のフローを説明するためのフロー図である。
【0027】
図1において、本発明の実施の形態に係る直送圧延設備は、連続鋳造機1、圧延機2およびこの直送圧延設備全体を運転制御するプラント制御器20により構成されている。そして、前記連続鋳造機1には連続鋳造制御器21、圧延機2には圧延制御器22が夫々備えられ、図示しない計装配線によって前記連続鋳造機1や圧延機2を構成する夫々の機器と制御信号や計測信号が送信されるよう構成されている。更に、前記連続鋳造制御器21と圧延制御器22とは、計装配線によって夫々プラント制御器20と接続され、前記同様に制御信号や計測信号が送信されるよう構成されている。そして、前記プラント制御器20内には、後述するような鋳片分割目標制御手段23が収納されている。
【0028】
このように構成された本発明の実施の形態に係る直送圧延設備において、前記連続鋳造機1によって鋳造された鋳片3は、先ず、切断機4aとメジャリングローラ4bとからなる鋳片分割手段4によって分割され、分割された鋳片3aの長さが前記メジャリングローラ4bによって測長されるとともに、この測長信号を連続鋳造制御器21を経てプラント制御器20へ送信するよう構成されている。
【0029】
次いで、分割された前記鋳片3aは秤量器5によって重量測定されるとともに、この重量測定信号も連続鋳造制御器21を経てプラント制御器20に送信された後、前記鋳片3aは直ちに圧延機2に直送されるように構成されている。この圧延機2は、粗圧延機2a、中間圧延機2b、仕上圧延機2cおよび冷却床8を備え、前記粗圧延機2aと中間圧延機2bとの間には、粗圧延機2aにより粗圧延されて変形を生じた鋳片3aの先端部をクロップとして切断するためのクロップシャー6が設けられている。
【0030】
また、仕上圧延機2cの後段には、分割シャー7aとチョッパー7bからなる棒鋼切断手段7が設けられ、前記仕上圧延機2cによって最終圧延された棒鋼3bは、図4に模式的に示した様に、冷却床8に載置される長さに前記分割シャー7aによって切断されて、分割材3c(図4の図番30)として前記冷却床8に搬入される。
【0031】
この分割材3cの最終分割材残長Lb(図4参照)は、前記チョッパー7bにより裁断されてクロップバッグに投入され、重量測定手段11によってこの最終分割材残長重量Wbm(n)を測定するように構成されている。前記冷却床8内で冷却を完了した分割材3cは、冷間シャー9によって所定長に切断され、製品3dとして精整装置10内に収納される。同時に、この分割材3cの先端クロップおよび後端クロップ(図4に示す図番41および42)が、この冷間シャー9によって切断される。
【0032】
このような直送圧延設備において、本発明の実施の形態に係る直送圧延における鋳片分割長調整装置は、前記連続鋳造機1の切断機4aによって初回(n=1)分割される鋳片3aの分割目標重量Waを算出する鋳片分割目標演算手段23aを前記鋳片分割目標制御手段23に備えている。
【0033】
このような鋳片分割目標演算手段23aにおける鋳片分割目標重量Waの算出方法について、以下図2を参照しながらステップを追って説明する。
(1)先ず、熱間製品長lt(m)を次式(3)により算出する(ステップA1)。
lt=l×α×ΔT (3)
但し、 l:製品長(m)
α:線膨張係数(m/℃)
ΔT:圧延温度−室温(℃)
【0034】
(2)次いで、鋳片分割長を(l×N)として算出する(ステップA2)。ここで、Nは次式(4)の整数部分として求められる。
N=(Lc−Lv)/lt (4)
但し、 Lc:冷却床全長(m)
Lv:冷却床取り込み速度による材料停止ばらつき
(速度による実績値;m)
【0035】
(3)製品重量Wp(kg)を次式(5)により算出する(ステップA3)。
Wp=v×l×N (5)
但し、 v:製品単位長当たりの重量(kg/m)
(4)最終残長重量Wb(kg)を次式(6)により算出する(ステップA4)。
Wb=v×Lb (6)
但し、 Lb:最終残長(製品サイズごとのテーブル値;m)
【0036】
(5)そして、鋳片分割目標重量Wa(kg)を次式(7)により算出する(ステップA5)。
Wa=Wp+Wb+(Wfc+Wcc+Ws) (7)
但し、 Wfc:フライングシャー・クロップロス重量(kg)
Wcc:冷間シャー・クロップロス重量(kg)
Ws:スケールロス重量(kg)
ここで、Wfc,WccおよびWsは、何れも製品サイズごとに予め設定されたテーブル値である。また、前記フライングシャーとは、クロップシャー6および分割シャー7aとチョッパー7bからなる棒鋼切断手段7を言う。
【0037】
更に、本発明の実施の形態に係る直送圧延における鋳片分割長調整装置は、初回(n=1)の鋳片分割時は、上述の鋳片分割目標演算手段23aによって算出された鋳片分割目標重量Waを鋳片分割目標重量Wとして前記鋳片を分割し、2回目以降n回目の鋳片分割時は、後述する補正された鋳片分割目標補正重量Wnを鋳片分割目標重量Wに置換し、この鋳片分割目標重量Wを基に分割長を調整して鋳片の分割を指令する鋳片分割目標補正制御手段23bが前記鋳片分割目標制御手段23内に備えられている。この鋳片分割目標重量Wを補正する鋳片分割目標補正制御手段23bについて、以下図3のステップに従って図1も併用しながら説明する。
【0038】
(1)先ず、初回(n=1)の鋳片分割時は、鋳片分割目標重量Wを、鋳片分割目標演算手段23aによって算出された鋳片分割目標重量Waと設定する(ステップB1)。
(2)連続鋳造機1から引き抜かれた鋳片3を、前期鋳片分割目標重量Wで分割するよう切断機4aに指令する(ステップB2)。
(3)分割された鋳片3aを圧延機2に直送し、棒鋼3aに圧延するよう連続鋳造機1および圧延機2に指令する(ステップB3)。
【0039】
(4)次いで、分割シャー7aによって前記棒鋼3bを、分割材3cとして冷却床取り込み長さに分割し、最終分割材残長をチョッパー7bにより裁断するよう指令する(ステップB4)。
(5)最終分割材残長重量Wbm(n)を、図示しないクロップバッグ架台に設置された重量測定手段11(ロードセル)で測定するよう指令する(ステップB5)。
【0040】
(6)そして、次式(1)が成立するか否かを判定する(ステップB6)。
Wbm(n)−Wbm(max)>0 (1)
但し、 Wbm(max):(n−1)回目以前の最終分割材残長の内の
最大重量(kg)
(7)上式(7)が成立する場合はステップB7、不成立の場合はステップB8へ進み、夫々Wbmを置換する。
【0041】
(8)そして、鋳片分割目標重量Wn(kg)を次式(2)により補正する(ステップB9)。
Wn=W−Wbm+Wv (2)
但し、 Wv:フライングシャーの切断ばらつきを考慮して、最終残長を負値
としないための設定値(kg)
(9)次回(n+1)回目の鋳片分割時においては、ステップB1にフィードバックし、上式(2)で求められたWnをWに置き換えて、以降上記(1)〜(9)に記載のステップを繰り返す。
【0042】
そして、上記ステップB9において補正された鋳片切断目標重量Wnを目標に、n回目の鋳片分割時の分割長を演算する鋳片分割長演算手段23cが前記鋳片分割目標制御手段23内に備えられている。以下、この鋳片分割長演算手段23cについて説明する。
(1)連続鋳造設備1のメジャーリングローラ4bと秤量器5によって、鋳片長さと鋳片重量を測定して、これらの測定信号をプラント制御器20に送信し、前記制御器20内の前記鋳片分割長演算手段23cによって前記両者の関係を演算する。
(2)演算された前記関係から、残長重量Wbmに対する鋳片長さLbmが算出される。
(3)(n−1)回目の分割長Lに対して、n回目の分割長Lnを次式(8)により算出して、鋳片3を分割するよう鋳片分割手段4を構成する切断機4aに指令する。
Ln=L−Lbm (8)
【0043】
以上のように鋳片分割目標重量Wnを補正して鋳片を分割する方法によって、常に冷却床取り込み時の棒鋼最終残長がゼロに近い状態で、鋳片を分割することが可能となる。従って、このような鋳片切断長制御方法および装置によって、クロップロス、スケールロス等の避けられないロスを除外した歩留まりを最高の状態に近づけることが可能となる。
【0044】
<実施例>
例えば、従来の分割方法に係る問題点において説明した場合と同様、製品長6mとする分割材を、全長90mの冷却床に取り込む場合、製品サイズD25(単重:3.98kg/m)とし、クロップロス、スケールロス等のロスを無視して考えると、鋳片重量は930kgとなる。その結果、
・通常分割材:78m(310kg)×2本=620kg
・最終分割材:78m(310kg)
となり、歩留まりは(930/930)×100=100%となる。
【0045】
<比較例>
従来の分割方法に係る問題点において説明した場合のように、通常分割材は6m×13本=78m、最終分割材は残長5mとして分割されるので、
・通常分割材:78m(310kg)×2本=620kg
・最終分割材:78m(310kg)+5m(20kg)=83m(330kg)
となり、歩留まりは{(950−20)/950}×100=97.9%となる。
【0046】
以上、本発明に係る直送圧延における鋳片分割長調整方法は、圧延後の冷却床における棒鋼の最終分割材残長を裁断して、この裁断された棒鋼の最終分割材残長重量を測定し、この最終分割材残長重量に基づき前工程の連続鋳造機において分割される鋳片の設定重量を、前記冷却床へ搬入される棒鋼長さを最大化するように調整するので、通常分割長を最大化して前記冷却床を最も有効に活用することが出来る。また、前記分割材残長重量を測定することによって、連続鋳造機における鋳片分割設定重量を容易に補正することが出来るので、歩留まり向上を図ることが出来る。
【0047】
また、本発明に係る直送圧延における鋳片分割長調整装置によれば、前記鋳片分割目標制御手段が、初回(n=1)の分割時は、前記鋳片の分割目標重量Waを算出しこの分割目標重量Waを鋳片分割目標重量Wに置き換え、前記鋳片分割目標重量Wで鋳片を分割するよう前記鋳片分割手段に指令するとともに、2回目以降n回目の鋳片分割時は、測定された最終分割材残長重量Wbm(n)を基に鋳片分割目標補正重量Wnを求め、この補正された鋳片分割目標補正重量Wnを鋳片分割目標重量Wに置換し、この鋳片分割目標重量Wを基に分割長を調整して鋳片を分割するよう前記鋳片分割手段に指令する構成となしたので、冷却床に取り込まれる最終分割材残長を最小限に留め、通常分割長を最大化して前記冷却床の有効活用と材料の歩留まり向上を図る手段を具体化した。
【0048】
本発明の実施の形態においては、本発明に係る直送圧延における制御器がプラント制御器、連続鋳造制御器および圧延制御器に分割された実施の形態で説明したが、前記制御器は必ずしも分割する必要はなく、例えばプラント制御器内に連続鋳造制御器と圧延制御器の機能も一括収納して1台の制御器とする構成でも良い。
【0049】
また、本発明に係る直送圧延における鋳片分割目標制御手段は、プラント制御器内に鋳片分割目標演算手段、鋳片分割目標補正制御手段および鋳片分割長演算手段に分割して収納した実施の形態で説明したが、必ずしも3分割する必要はなく、前記プラント制御器内に1つにまとめて収納しても良い。更に、前記鋳片分割目標制御手段は、必ずしも前記プラント制御器内に収納する必要はなく、連続鋳造制御器や圧延制御器の何れの制御器に収納されても良い。
【図面の簡単な説明】
【0050】
【図1】本発明の実施の形態に係る直送圧延における鋳片分割長調整方法および装置を説明するための模式図である。
【図2】本発明の実施の形態に係る鋳片分割長調整装置における鋳片分割目標制御手段を構成する鋳片分割目標演算手段のフローを説明するためのフロー図である。
【図3】本発明の実施の形態に係る鋳片分割長調整装置における鋳片分割目標制御手段を構成する鋳片分割目標補正制御手段のフローを説明するためのフロー図である。
【図4】1個の鋳片が圧延後複数個の分割材として分割され、冷却床へ搬入された状態を模式的に示す模式図である。
【図5】従来例に係る切断長制御装置の全体ブロック図である。
【図6】他の従来例に係る一実施の形態による鋳片切断制御方法を実現する鋳片切断制御装置を示すブロック図である。
【符号の説明】
【0051】
A1〜A5:鋳片分割目標演算手段のステップ
B1〜B9:鋳片分割目標補正制御手段のステップ
1:連続鋳造機
2:圧延機, 2a:粗圧延機, 2b:中間圧延機, 2c:仕上圧延機
3:鋳片, 3a:分割された鋳片, 3b:棒鋼, 3c:分割材, 3d:製品
4:鋳片分割手段, 4a:切断機, 4b:メジャーリングローラ
5:秤量器, 6:クロップシャー,
7:棒鋼切断手段, 7a:分割シャー, 7b:チョッパー
8:冷却床, 9:冷間シャー, 10:精整装置, 11:重量測定手段
20:プラント制御器, 21:連続鋳造制御器, 22:圧延制御器
23:演算手段, 23a:鋳片分割目標演算手段,
23b:鋳片分割目標補正制御手段, 23c:鋳片分割長演算手段
【出願人】 【識別番号】000001199
【氏名又は名称】株式会社神戸製鋼所
【出願日】 平成18年9月25日(2006.9.25)
【代理人】 【識別番号】100089196
【弁理士】
【氏名又は名称】梶 良之

【識別番号】100104226
【弁理士】
【氏名又は名称】須原 誠

【識別番号】100131750
【弁理士】
【氏名又は名称】竹中 芳通


【公開番号】 特開2008−73761(P2008−73761A)
【公開日】 平成20年4月3日(2008.4.3)
【出願番号】 特願2006−259409(P2006−259409)