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継目無管の製造状況モニタリング装置及び方法並びに継目無管製造設備 - 特開2008−62294 | j-tokkyo
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【発明の名称】 継目無管の製造状況モニタリング装置及び方法並びに継目無管製造設備
【発明者】 【氏名】岩本 宏之

【要約】 【課題】継目無管製造設備の操業中における製造条件の速やかな修正を可能とする継目無管の製造状況モニタリング装置等を提供する。

【構成】本発明に係る継目無管の製造状況モニタリング装置20は、ビレットBを穿孔圧延して管Sを製造する穿孔圧延機10の出側に設置され、穿孔圧延機10によって製造された管Sの肉厚を測定する超音波肉厚計4と、穿孔圧延機10の出側に設置され、穿孔圧延機10によって製造された管Sの表面温度を測定する温度計5と、超音波肉厚計4によって測定した管Sの肉厚及び温度計5によって測定した管Sの表面温度に基づいて、管Sの周方向の肉厚分布及び管Sの周方向の表面温度分布を表示する演算表示手段6と、を備えることを特徴とする。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ビレットを穿孔圧延して管を製造する穿孔圧延機の出側に設置され、前記穿孔圧延機によって製造された管の肉厚を測定する超音波肉厚計と、
前記穿孔圧延機の出側に設置され、前記穿孔圧延機によって製造された管の表面温度を測定する温度計と、
前記超音波肉厚計によって測定した管の肉厚及び前記温度計によって測定した管の表面温度に基づいて、管の周方向の肉厚分布及び管の周方向の表面温度分布を表示する演算表示手段と、
を備えることを特徴とする継目無管の製造状況モニタリング装置。
【請求項2】
前記演算表示手段は、管の周方向の肉厚分布と管の周方向の表面温度分布との相関関係に基づいて、管に偏芯偏肉の生じた原因を判定することを特徴とする請求項1に記載の継目無管の製造状況モニタリング装置。
【請求項3】
前記演算表示手段は、管の周方向の肉厚分布に基づいて管の偏芯偏肉成分を抽出し、該抽出した管の偏芯偏肉成分及び管の周方向の表面温度分布を表示することを特徴とする請求項1に記載の継目無管の製造状況モニタリング装置。
【請求項4】
前記演算表示手段は、前記抽出した管の偏芯偏肉成分と管の周方向の表面温度分布との相関関係に基づいて、管に偏芯偏肉の生じた原因を判定することを特徴とする請求項3に記載の継目無管の製造状況モニタリング装置。
【請求項5】
前記超音波肉厚計は、レーザ超音波肉厚計であることを特徴とする請求項1から4の何れかに記載の継目無管の製造状況モニタリング装置。
【請求項6】
ビレットを穿孔圧延して管を製造する穿孔圧延機の出側に超音波肉厚計及び温度計を設置し、前記穿孔圧延機によって製造された管の周方向の肉厚分布及び表面温度分布を測定するステップと、
前記測定した管の周方向の肉厚分布又は該肉厚分布に基づいて抽出した管の偏芯偏肉成分と、前記測定した管の周方向の表面温度分布との相関関係に基づいて、管に偏芯偏肉の生じた原因を判定するステップと、
を含むことを特徴とする継目無管の製造状況モニタリング方法。
【請求項7】
前記超音波肉厚計は、レーザ超音波肉厚計であることを特徴とする請求項6に記載の継目無管の製造状況モニタリング方法。
【請求項8】
ビレットを穿孔圧延して管を製造する穿孔圧延機と、
請求項1から5の何れかに記載の製造状況モニタリング装置と、
を備えることを特徴とする継目無管製造設備。
【請求項9】
前記超音波肉厚計は、レーザ超音波肉厚計であることを特徴とする請求項8に記載の継目無管製造設備。
【発明の詳細な説明】【技術分野】
【0001】
本発明は、継目無管の製造状況モニタリング装置及び方法並びにこの製造状況モニタリング装置を適用した継目無管製造設備に関する。特に、本発明は、穿孔圧延機(ピアサ)によって製造される管の偏芯偏肉を穿孔圧延機出側で測定し、且つその偏芯偏肉の生じた原因を判定することにより、継目無管製造設備の操業中における製造条件の速やかな修正を可能とする継目無管の製造状況モニタリング装置及び方法並びにこの製造状況モニタリング装置を適用した継目無管製造設備に関する。
【背景技術】
【0002】
マンネスマン−マンドレルミル方式による継目無管の製造においては、まず素材のビレットを回転炉床式加熱炉で加熱した後、順次圧延ラインに供給する。具体的には、ビレットを穿孔圧延機でピアサプラグと圧延ロールとを用いて穿孔圧延してホローシェルを製造する。次に、前記ホローシェルの内面にマンドレルバーを串状に挿入し、複数のスタンドからなるマンドレルミルで外面を孔型圧延ロールで拘束して延伸圧延することにより、所定の肉厚まで減肉する。その後、マンドレルバーを抜き取り、前記減肉された素管を定径圧延機で所定外径に定径圧延して製品を得る。
【0003】
図1は、穿孔圧延機の概略構成を示す図であり、図1(a)は側面図を、図1(b)は平面図を示す。なお、図1(b)ではピアサプラグの図示を省略している。
図1に示すように、穿孔圧延機10は、互いに傾斜した一対の圧延ロール1a,1bと、マンドレル2に後端が支持された砲弾状のピアサプラグ3とを備えている。一対の圧延ロール1a,1bは、それらの軸方向が側面視で互いに平行或いは所定の交叉角で交叉するように設定される一方、平面視で互いに逆方向に傾斜角FAだけ傾けて配設されており、互いに同方向に回転するように構成されている。ピアサプラグ3は、一対の圧延ロール1a,1b間に配設される。
【0004】
上記の構成を有する穿孔圧延機10を用いて中実のビレットBを穿孔圧延するために、先ず、ビレットBを一対の圧延ロール1a,1b間に送給する。ビレットBが一対の圧延ロール1a,1bに噛み込んだ後は、圧延ロール1a,1bの摩擦力によってビレットBには回転させられる力と軸方向に前進させられる力が同時に作用する。そして、ピアサプラグ3の先端に到達するまでに、ビレットBの中心部には、圧延ロール1a,1bによって圧縮応力と引張り応力とが交互に連続して作用(回転鍛造効果)し、孔が開きやすい状態となる。ビレットBがピアサプラグ3に衝突すると、ビレットBの中心部に孔が開けられ、以降、圧延ロール1a,1bとピアサプラグ3との間で半回転毎に肉厚加工を受け、管(ホローシェル)Sが得られる。
【0005】
以上に説明した穿孔圧延機10による穿孔圧延において、製造される管Sひいては最終製品の寸法精度に関する最大の課題は、偏芯偏肉(1次偏肉)の発生である。
図2は、偏芯偏肉を説明するための管の断面図である。
図2に示すように、偏芯偏肉とは、管Sの外面の中心C1と内面の中心C2とが偏芯する(ズレる)ことによって生ずる管Sの周方向の偏肉(肉厚変動)であり、管Sの肉厚が周方向に360°周期で変動する偏肉である。
【0006】
この偏芯偏肉の発生が速やかに抑制されるように、穿孔圧延機など継目無管製造設備の製造条件を速やかに修正するには、穿孔圧延機の出側など圧延ライン上で実際に管の周方向の肉厚分布を測定し、この測定結果を製造条件の修正に反映させることが効果的である。
【0007】
圧延ライン上で管の周方向の肉厚分布を測定する方法として、γ線肉厚計を用いる方法が公知である。しかしながら、γ線肉厚計は、管に透過させたγ線の減衰量に基づいて肉厚を測定する原理であるため、穿孔圧延機の出側やマンドレルミルの入側のように、管内にピアサプラグやマンドレルバーのような工具が挿入された状態では肉厚を測定できないという制約がある。
【0008】
このため、従来提案されているのは、工具が管内に挿入されていないマンドレルミルの出側や定径圧延機の入側又は出側にγ線肉厚計を配置して管断面の複数の方向から肉厚を測定し、この測定結果に基づいて製造条件を設定・修正する方法である(例えば、特許文献1参照)。
【0009】
しかしながら、γ線肉厚計による測定方法では、γ線肉厚計の芯と管の芯との間にズレがあると、測定される肉厚分布、特に偏芯偏肉に大きな誤差が生じる。なお、γ線肉厚計の芯とは、仮想的な芯であり、例えば「鉄と鋼」(第70年第9号第1139頁〜第1145頁)に開示されているマルチビーム方式のγ線肉厚計の場合、管の肉厚を測定する各位置(複数の方向から照射された各γ線が交差する位置)の重心位置を意味する。圧延ライン上では上記の芯ズレが不可避であるため、実際には圧延後のオフライン検査に至るまで、精度良く偏芯偏肉を測定することは困難である。従って、オフライン検査の結果が出るまで待たざるを得ず、継目無管製造設備の操業中に製造条件を速やかに修正できないのが実情である。
【0010】
また、管の偏芯偏肉には、ビレットの周方向の偏熱(温度変動)に起因したものや、ピアサプラグの振れ回りに起因したものが存在するため、偏芯偏肉を抑制するには、各原因に応じた製造条件の修正が必要である。つまり、ビレットの周方向の偏熱に起因する偏芯偏肉である場合には、均熱加熱が施されるように加熱炉の条件を修正することが必要である。一方、ピアサプラグの振れ回りに起因する偏芯偏肉である場合には、穿孔圧延機の圧延ロールの芯を修正したり、異常なピアサプラグを廃棄する等の対策が必要である。従って、継目無管製造設備の操業中に製造条件を速やかに修正するには、圧延ライン上で管の偏芯偏肉を測定するのみならず、その発生原因を判定できる手段を講ずることが望まれる。
【特許文献1】特開平8−71616号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
本発明は、斯かる従来技術の問題を解決するためになされたものであり、穿孔圧延機によって製造される管の偏芯偏肉を穿孔圧延機出側で測定し、且つその偏芯偏肉の生じた原因を判定することにより、継目無管製造設備の操業中における製造条件の速やかな修正を可能とする継目無管の製造状況モニタリング装置及び方法並びにこの製造状況モニタリング装置を適用した継目無管製造設備を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
前記課題を解決するべく、本発明者は鋭意検討した結果、まずγ線肉厚計の代わりに、超音波の管内外面での反射時間差に基づいて肉厚を測定する超音波肉厚計を用いれば、管内にピアサプラグが挿入された状態でも精度良く肉厚を測定できることを見出した。この理由は、ピアサプラグが挿入された状態であっても、ピアサプラグ外面と管内面との間には空気層が介在するため、これにより管内面で超音波が反射するからだと考えられる。また、穿孔圧延機の出側で管は周方向に回転するため、管の周方向1箇所の肉厚を測定できるように超音波肉厚計を配置するだけで、管の周方向の肉厚分布を測定可能である。以上の知見により、本発明者は、超音波肉厚計を用いれば、従来のγ線肉厚計では測定できなかった穿孔圧延機の出側での管の周方向肉厚分布ひいては偏芯偏肉を測定可能であることに想到した。
【0013】
次に、本発明者は、偏芯偏肉の発生原因を判定する手法について鋭意検討した。まず本発明者は、ビレットに周方向の偏熱が生じている場合、その高温部では変形抵抗が小さくなるため、穿孔圧延後の管の対応する部位の肉厚は薄くなり易いことを見出した。逆に、低温部では高温部に比べて変形抵抗が大きくなるため、穿孔圧延後の管の対応する部位の肉厚は高温部に比べて厚くなり易いことを見出した。換言すれば、本発明者は、ビレットの偏熱に起因して管に偏芯偏肉が発生している場合、ビレットの周方向の偏熱(ひいてはこれに対応する穿孔圧延後の管の周方向の表面温度分布)と穿孔圧延後の管の肉厚分布とは負の相関関係(管の表面温度が高くなれば管の肉厚は薄くなり、管の表面温度が低くなれば管の肉厚は厚くなる関係)が強くなることを見出した。さらに、本発明者は、管の周方向の表面温度分布と穿孔圧延後の管の肉厚分布との相関関係が乏しい場合には、ピアサプラグの振れ回りに起因した偏芯偏肉が発生していると判断できることを見出した。以上の知見により、本発明者は、穿孔圧延機の出側で、管の周方向の表面温度分布を測定し、この表面温度分布と管の肉厚分布(又は偏芯偏肉)との相関関係を評価すれば、偏芯偏肉の発生原因を判定できることに想到した。
【0014】
本発明は、以上に述べた本発明者の知見に基づき完成されたものである。すなわち、本発明は、ビレットを穿孔圧延して管を製造する穿孔圧延機の出側に設置され、前記穿孔圧延機によって製造された管の肉厚を測定する超音波肉厚計と、前記穿孔圧延機の出側に設置され、前記穿孔圧延機によって製造された管の表面温度を測定する温度計と、前記超音波肉厚計によって測定した管の肉厚及び前記温度計によって測定した管の表面温度に基づいて、管の周方向の肉厚分布及び管の周方向の表面温度分布を表示する演算表示手段と、を備えることを特徴とする継目無管の製造状況モニタリング装置を提供するものである。
【0015】
本発明によれば、穿孔圧延機の出側において、管の肉厚が超音波肉厚計によって測定されると共に、管の表面温度が温度計によって測定され、演算表示手段によって管の周方向の肉厚分布及び表面温度分布が表示(例えば、モニタ表示やチャート出力など)される。これにより、例えば、表示された管の周方向の肉厚分布をオペレータが視認し、肉厚の変動量が所定の基準値よりも大きければ、管に偏芯偏肉が発生していると判定することが可能である。無論、演算表示手段が、肉厚の変動量あるいは肉厚の最大値・最小値を予め設定された所定の基準値と比較し、基準値を超えていれば管に偏芯偏肉が発生していると自動判定する構成としてもよい。また、本発明によれば、管の周方向の肉厚分布及び表面温度分布が表示されるため、例えば、両者の相関関係をオペレータが視認し、負の相関関係が強い傾向にあればビレットの偏熱に起因した偏芯偏肉であり、相関関係が乏しければピアサプラグの振れ回りに起因した偏芯偏肉であると判定することが可能である。
【0016】
好ましくは、前記演算表示手段は、管の周方向の肉厚分布と管の周方向の表面温度分布との相関関係に基づいて、管に偏芯偏肉の生じた原因を判定する構成とされる。
【0017】
斯かる好ましい構成によれば、演算表示手段によって管に偏芯偏肉の生じた原因が自動判定されるため、オペレータの負荷が軽減すると共に、オペレータの個人差に依存しない客観性の高い判定結果を得ることができる。なお、偏芯偏肉の生じた原因を自動判定するには、例えば、公知の信号処理手法を用いて管の周方向の肉厚分布と管の周方向の表面温度分布との相関関係の強さを示す指標である相関係数(−1〜+1の値)を算出し、該相関係数が予め定めた負の値未満であれば、ビレットの偏熱に起因した偏芯偏肉であり、前記負の値以上であれば、ピアサプラグの振れ回りに起因した偏芯偏肉であると判定する構成を採用可能である。
【0018】
また、好ましくは、前記演算表示手段は、管の周方向の肉厚分布に基づいて管の偏芯偏肉成分を抽出し、該抽出した管の偏芯偏肉成分及び管の周方向の表面温度分布を表示する構成とされる。
【0019】
斯かる好ましい構成によれば、測定値にノイズ等が含まれ得る管の周方向の肉厚分布を直接表示するのではなく、前記肉厚分布から管の周方向に360°周期で変動する偏芯偏肉成分のみを抽出し、該抽出した偏芯偏肉成分を表示するため、偏芯偏肉の発生及びその発生原因をより一層精度良く判定することが可能である。なお、偏芯偏肉成分は、管の周方向の肉厚分布に対して、例えばフーリエ解析等の公知の周波数解析手法を適用することにより抽出可能である。
【0020】
さらに好ましくは、前記演算表示手段は、前記抽出した管の偏芯偏肉成分と管の周方向の表面温度分布との相関関係に基づいて、管に偏芯偏肉の生じた原因を判定する構成とされる。
【0021】
斯かる好ましい構成によれば、抽出した偏芯偏肉成分を用いるために判定精度が高い上、演算表示手段によって管に偏芯偏肉の生じた原因が自動判定されるため、オペレータの負荷が軽減すると共に、オペレータの個人差に依存しない客観性の高い判定結果を得ることができる。
【0022】
また、前記課題を解決するべく、本発明は、ビレットを穿孔圧延して管を製造する穿孔圧延機の出側に超音波肉厚計及び温度計を設置し、前記穿孔圧延機によって製造された管の周方向の肉厚分布及び表面温度分布を測定するステップと、前記測定した管の周方向の肉厚分布又は該肉厚分布に基づいて抽出した管の偏芯偏肉成分と、前記測定した管の周方向の表面温度分布との相関関係に基づいて、管に偏芯偏肉の生じた原因を判定するステップと、を含むことを特徴とする継目無管の製造状況モニタリング方法としても提供される。
【0023】
さらに、前記課題を解決するべく、本発明は、ビレットを穿孔圧延して管を製造する穿孔圧延機と、前記何れかに記載の製造状況モニタリング装置と、を備えることを特徴とする継目無管製造設備としても提供される。
【0024】
なお、前記超音波肉厚計としては、非接触で管の肉厚測定が可能なレーザ超音波肉厚計を好適に用いることができる。
【発明の効果】
【0025】
本発明によれば、穿孔圧延機によって製造される管の偏芯偏肉を穿孔圧延機出側で測定し、且つその偏芯偏肉の生じた原因を判定可能である。従って、継目無管製造設備の操業中でも、偏芯偏肉の発生が抑制されるように製造条件を速やかに修正することが可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0026】
以下、添付図面を適宜参照しつつ、本発明の一実施形態について説明する。
図3は、本発明の一実施形態に係る製造状況モニタリング装置を適用した穿孔圧延機の概略構成を示す側面図である。
図3に示すように、本実施形態に係る製造状況モニタリング装置20は、ビレットBを穿孔圧延して管Sを製造する穿孔圧延機10の出側に設置され、穿孔圧延機10によって製造された管Sの肉厚を測定する超音波肉厚計4と、穿孔圧延機10の出側に設置され、穿孔圧延機10によって製造された管Sの表面温度を測定する温度計5と、超音波肉厚計4によって測定した管Sの肉厚及び温度計5によって測定した管Sの表面温度に基づいて、管Sの周方向の肉厚分布及び管Sの周方向の表面温度分布を表示する演算表示手段6とを備えている。
【0027】
穿孔圧延機10は、図1を参照して説明した穿孔圧延機の構成と同様であるため、ここではその詳細な説明を省略する。
【0028】
本実施形態に係る超音波肉厚計4は、レーザ超音波肉厚計とされている。レーザ超音波肉厚計4は、管Sの外面から内部に超音波を送信するためのパルスレーザと、管Sの内面で反射した超音波を受信するための連続発振レーザ及び干渉計とを備えている。斯かる構成において、パルスレーザから高強度のパルスレーザ光を出射すれば、当該パルスレーザ光は管Sの外面に衝突し、管Sに熱収縮が生じて超音波が発生する。発生した超音波は管Sの内部に伝搬され、管Sの内面で反射して再び管Sの外面に戻ってくる。連続発振レーザから出射したレーザ光は常に管Sの外面に照射されており、管S外面での反射光が干渉計に入射されるように配置されている。管Sの外面に超音波が戻ってくるとその表面が変位するため、干渉計に入射される前記反射光の位相が変化し、これにより干渉状態も変化することになる。パルスレーザからパルスレーザ光を出射してから前記干渉状態の変化を検出するまでの時間を測定することにより、管Sの肉厚を測定することが可能である。
【0029】
超音波肉厚計4は、管Sが静止していると仮定すれば、当該静止した管Sの周方向の所定の1箇所の肉厚を測定できるように配置されている。具体的には、前述したパルスレーザから出射した光と連続発振レーザから出射した光の双方が共に、管Sの前記所定箇所の外面を照射するように、各レーザの方向が設定されている。実際には管Sは周方向に回転するため、超音波肉厚計4によって管Sの周方向の肉厚分布が測定されることになる。
【0030】
本実施形態に係る温度計5は、管Sの表面温度(外面温度)を放射測温によって測定する放射温度計とされている。放射温度計5も、超音波肉厚計4と同様に、管Sが静止していると仮定すれば、当該静止した管Sの周方向の所定の1箇所の表面温度を測定できるように配置されている。具体的には、管Sから放射された熱放射光を検出する検出視野が管Sの前記所定箇所となるように、放射温度計5の受光光学系が調整されている。実際には管Sは周方向に回転するため、放射温度計5によって管Sの周方向の表面温度分布が測定されることになる。
【0031】
なお、後述するように、管Sの偏芯偏肉の発生原因を判定する際には、管Sの周方向の肉厚分布と管Sの周方向の表面温度分布との相関関係を評価する。従って、超音波肉厚計4及び温度計5は、管Sが静止していると仮定した場合に、管Sの周方向について略同一箇所の肉厚及び表面温度を測定するように配置することが好ましい。ただし、管Sの周方向について互いに異なる箇所を測定するように超音波肉厚計4及び温度計5を配置することも可能である。この場合には、両者の配置関係や管Sの回転速度等に基づいて、管Sの周方向の肉厚分布及び表面温度分布の周方向位置が互いに合致するように測定データを補正した後、両分布の相関関係を評価すればよい。
【0032】
また、図3に示すように、本実施形態においては、超音波肉厚計4及び温度計5を、超音波肉厚計4の方が穿孔圧延機10寄りとなるように配置した構成について例示しているが、本発明はこれに限るものではなく、温度計5の方が穿孔圧延機10寄りとなるように配置してもよい。
【0033】
以上に説明した超音波肉厚計4によって測定した管Sの肉厚及び温度計5によって測定した管Sの表面温度は、演算表示手段6に入力される。なお、演算表示手段6は、穿孔圧延機10を制御するためのプロセスコンピュータとは独立別個に設けることも可能であるが、プロセスコンピュータが演算表示手段6として機能する構成を採用してもよい。
【0034】
演算表示手段6は、管Sの回転に伴って連続的に又は間欠的に入力される管Sの複数の周方向位置における肉厚及び表面温度に基づき、管Sの周方向の肉厚分布及び管Sの周方向の表面温度分布を表示する(モニタ表示及び/又はチャート出力)。この際、入力された肉厚及び表面温度に対応する管Sの周方向位置は、例えば、演算表示手段6が、穿孔圧延機10に設定された各種の穿孔圧延条件に基づいて管Sの回転速度を予測し、この予測した管Sの回転速度と測定データ(肉厚、表面温度)入力開始からの経過時間とに基づいて算出することが可能である。また、穿孔圧延機の圧延ロールの回転速度と管Sの回転速度とは一定の相関関係を有するため、図3に示すように、パルスジェネレータ等により圧延ロール1aの回転位置(回転角度)を検出して演算表示手段6に入力し、演算表示手段6が、入力された圧延ロール1aの回転位置と前記相関関係とに基づいて管Sの回転位置(つまり周方向位置)を算出することも可能である。
【0035】
図4は、演算表示手段6によって表示される管Sの周方向の肉厚分布及び表面温度分布の一例を示す模式図である。なお、図4は、管Sの1周分(つまり管Sの周方向位置0°〜360°)の肉厚分布及び表面温度分布を表示する例を示しているが、2周分や3周分など、1周分を越える表示を行うことも無論可能である。
【0036】
図4に示すような管Sの周方向の肉厚分布をオペレータが視認し、肉厚の変動量が所定の基準値よりも大きければ、管Sに偏芯偏肉が発生していると判定することが可能である。演算表示手段6が、肉厚の変動量あるいは肉厚の最大値・最小値を予め設定された所定の基準値と比較し、基準値を超えていれば管Sに偏芯偏肉が発生していると自動判定する構成としてもよい。また、図4に示すような管の周方向の肉厚分布及び表面温度分布が表示されるため、例えば、両者の相関関係をオペレータが視認し、負の相関関係が強い傾向にあればビレットBの偏熱に起因した偏芯偏肉であり、相関関係が乏しければピアサプラグ3の振れ回りに起因した偏芯偏肉であると判定することが可能である。なお、図4に示す例では、管Sの表面温度が高くなれば管Sの肉厚は薄くなり、管Sの表面温度が低くなれば管Sの肉厚は厚くなる負の強い相関関係を示している。従って、これを視認したオペレータは、ビレットBの偏熱に起因した偏芯偏肉であると判定することができる。
【0037】
なお、オペレータの視認に頼るのではなく、管Sに偏芯偏肉の生じた原因を演算表示手段6が自動判定する構成を採用してもよい。このためには、例えば、演算表示手段6が、公知の信号処理手法を用いて、図4に示すような管Sの周方向の肉厚分布と表面温度分布との相関関係の強さを示す指標である相関係数(−1〜+1の値)を算出する構成とする。そして、前記相関係数が予め定めた負の値未満であれば、ビレットBの偏熱に起因した偏芯偏肉であり、前記負の値以上であれば、ピアサプラグ3の振れ回りに起因した偏芯偏肉であると判定すればよい。このように演算表示手段6によって管Sに偏芯偏肉の生じた原因が自動判定されれば、オペレータの負荷が軽減すると共に、オペレータの個人差に依存しない客観性の高い判定結果を得ることができる。
【0038】
また、演算表示手段6が表示するデータとしては、超音波肉厚計4によって測定した管Sの周方向の肉厚分布そのものではなく、該肉厚分布から抽出した管Sの偏芯偏肉成分としてもよい。このためには、例えば、演算表示手段6が、管Sの周方向の肉厚分布に対してフーリエ解析等の公知の周波数解析手法を適用する構成とする。そして、各種の周波数成分を有し得る肉厚分布から、管Sの周方向に360°周期で変動する偏芯偏肉成分のみを抽出すればよい。このように管Sの肉厚分布から抽出した偏芯偏肉成分を表示する構成とすれば、測定値にノイズ等が含まれ得る管Sの周方向の肉厚分布を直接表示する場合に比べて、偏芯偏肉の発生及びその発生原因をより一層精度良く判定することが可能である。なお、演算表示手段6が、抽出した偏芯偏肉成分の変動量あるいは偏芯偏肉成分の最大値・最小値を予め設定された所定の基準値と比較し、基準値を超えていれば管Sに偏芯偏肉が発生していると自動判定する構成としてもよい。
【0039】
さらに、管Sに偏芯偏肉の生じた原因を演算表示手段6が自動判定する構成を採用する場合に、前述したような管Sの周方向の肉厚分布そのものではなく、該肉厚分布から抽出した管Sの偏芯偏肉成分と、管Sの周方向の表面温度分布との相関関係を評価する構成としてもよい。つまり、演算表示手段6が、公知の信号処理手法を用いて、管Sの偏芯偏肉成分と表面温度分布との相関関係の強さを示す指標である相関係数(−1〜+1の値)を算出する構成とする。そして、前記相関係数が予め定めた負の値未満であれば、ビレットBの偏熱に起因した偏芯偏肉であり、前記負の値以上であれば、ピアサプラグ3の振れ回りに起因した偏芯偏肉であると判定すればよい。このように管Sの肉厚分布から抽出した偏芯偏肉成分を用いて、偏芯偏肉の生じた原因を演算表示手段6が自動判定する構成を採用すれば、管Sの肉厚分布そのものを用いる場合に比べて判定精度の向上が期待できる。
【0040】
以上に説明した本実施形態に係る製造状況モニタリング装置20によれば、穿孔圧延機10によって製造される管Sの偏芯偏肉を穿孔圧延機10の出側で測定し、且つその偏芯偏肉の生じた原因を判定可能である。従って、継目無管製造設備の操業中でも、製造条件を速やかに修正して、管Sにおける偏芯偏肉の発生を抑制することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0041】
【図1】図1は、穿孔圧延機の概略構成を示す図であり、図1(a)は側面図を、図1(b)は平面図を示す。
【図2】図2は、偏芯偏肉を説明するための管の断面図である。
【図3】図3は、本発明の一実施形態に係る製造状況モニタリング装置を適用した穿孔圧延機の概略構成を示す側面図である。
【図4】図4は、図3に示す演算表示手段によって表示される管の周方向の肉厚分布及び表面温度分布の一例を示す模式図である。
【符号の説明】
【0042】
1a,1b・・・圧延ロール
2・・・マンドレル
3・・・ピアサプラグ
4・・・超音波肉厚計
5・・・温度計
6・・・演算表示手段
10・・・穿孔圧延機
20・・・製造状況モニタリング装置
B・・・ビレット
S・・・管(ホローシェル)
【出願人】 【識別番号】000002118
【氏名又は名称】住友金属工業株式会社
【出願日】 平成18年9月11日(2006.9.11)
【代理人】 【識別番号】100114410
【弁理士】
【氏名又は名称】大中 実


【公開番号】 特開2008−62294(P2008−62294A)
【公開日】 平成20年3月21日(2008.3.21)
【出願番号】 特願2006−245712(P2006−245712)