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【発明の名称】 マンドレルバー洗浄設備
【発明者】 【氏名】中池 紘嗣

【氏名】日高 康善

【氏名】飯田 純生

【要約】 【課題】操業に支障を来すことなく、延伸圧延の際に管内面に生じる浸炭を効果的に抑制できるマンドレルバーの洗浄設備を提供する。

【構成】本発明に係るマンドレルバー洗浄設備15は、マンドレルミル8での管の延伸圧延に供された後、マンドレルバー搬送ラインから抜き出されたマンドレルバーBを洗浄する設備である。マンドレルバー洗浄設備15は、マンドレルバーBを周方向に回転させながら軸方向に搬送する搬送装置17、18と、搬送装置17、18によって搬送されるマンドレルバーBの側方に対向して配置され、マンドレルバーBの外面に向けて水圧が0.2〜150MPa(好ましくは、20〜150MPa)の高圧水を噴射する洗浄装置1dとを備えることを特徴とする。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
マンドレルミルでの管の延伸圧延に供された後、マンドレルバー搬送ラインから抜き出されたマンドレルバーを洗浄する設備であって、
マンドレルバーを周方向に回転させながら軸方向に搬送する搬送装置と、
前記搬送装置によって搬送されるマンドレルバーの側方に対向して配置され、マンドレルバーの外面に向けて水圧が0.2〜150MPaの高圧水を噴射する洗浄装置とを備えることを特徴とするマンドレルバー洗浄設備。
【請求項2】
前記高圧水の水圧は、20〜150MPaであることを特徴とする請求項1記載のマンドレルバー洗浄設備。
【発明の詳細な説明】【技術分野】
【0001】
本発明は、継目無管の製造に用いられるマンドレルバーの洗浄設備に関する。具体的には、本発明は、操業に支障を来すことなく、延伸圧延される管の内面に生じる浸炭を抑制できるマンドレルバーの洗浄設備に関する。
【背景技術】
【0002】
マンネスマン−マンドレルミル方式による継目無管の製造では、初めに、丸ビレット又は角ビレットを加熱炉により1200〜1260℃に加熱した後、ピアサにより穿孔圧延して中空の素管を製造する。次に、この素管の内面にマンドレルバーを挿入し、マンドレルミルにより延伸圧延することにより、所定の肉厚まで減肉して管とする。その後、減肉された管からマンドレルバーを引き抜いた後、この管を定径圧延機により所定の外径まで成形圧延して、製品である継目無管を製造する。
【0003】
延伸圧延時のマンドレルバーと素管とは焼付き易い。これを防止するため、マンドレルバー表面に潤滑剤が塗布される。この潤滑剤として、主に、耐摩耗特性や耐焼付き特性に優れた黒鉛を混合した黒鉛系潤滑剤が用いられる。本来、マンドレルバーは、その表面に塗布された潤滑剤が乾燥した後、例えば搬送ロール等から構成される搬送装置が配置された搬送ライン上を、搬送装置に接触しながらマンドレルミルまで搬送されて、延伸圧延に供される。しかし、実際の製造工程では、潤滑剤が完全に乾燥する時間を確保できないことが多い。このため、マンドレルバーの搬送時に、乾燥していない潤滑剤が滴り落ちて、マンドレルバーの下方にある搬送装置に付着する。また、たとえ潤滑剤が完全に乾燥してから搬送する場合でも、搬送中の振動などによって、潤滑剤の被膜が脱落し又は剥げ落ちて、搬送装置に付着する。このため、マンドレルバー搬送ラインに配置された搬送装置は、常に、付着した潤滑剤に含まれる黒鉛によって汚染される。このように、マンドレルバー搬送ラインに配置された搬送装置は黒鉛によって汚染されるので、この搬送装置に接触しながら搬送されるマンドレルバーも黒鉛によって汚染される。
【0004】
上記のように黒鉛によって汚染されたマンドレルバーを用いて、例えばSUS304Lなどの炭素含有量が0.04質量%以下の低炭素鋼からなる素管に延伸圧延を行うと、延伸圧延された管の内面が不可避的に浸炭される。
【0005】
この管内面の浸炭を防止するための対策として、マンドレルバー表面に非黒鉛系潤滑剤を塗布することが考えられる。しかしながら、一般的に非黒鉛系潤滑剤は黒鉛系潤滑剤に比較して高価であるため、普通鋼など如何なる鋼種の素管に対しても非黒鉛系潤滑剤を用いることは、経済性の点で実施することが難しい。また、低炭素鋼からなる素管の延伸圧延用として、非黒鉛系潤滑剤のみを用いる搬送ラインを設けることも、新たな設備投資を要するため、経済性の点で実施困難である。このため、黒鉛系潤滑剤をも用いるマンドレルバー搬送ラインを低炭素鋼の素管を延伸圧延する際にも共用すると共に、低炭素鋼の素管を延伸圧延する際には、マンドレルバーやマンドレルバー搬送ラインに配置された搬送装置を洗浄した後、マンドレルバー表面に非黒鉛系潤滑剤を塗布する対策が主として行われる(例えば、特許文献1、2参照)。
【0006】
また、マンドレルバー表面に付着した黒鉛系潤滑剤は、搬送ライン上でマンドレルバーを洗浄するだけでは、操業効率の点より比較的短時間で洗浄を終える必要があるために、十分に洗浄されず、延伸圧延に供する際に残存するおそれがある。このため、黒鉛系潤滑剤を塗布して延伸圧延に供された後のマンドレルバーを搬送ラインから抜き取り、再び搬送ラインに搬入して非黒鉛系潤滑剤を塗布する場合、搬送ラインに再び搬入する前に、黒鉛系潤滑剤が付着したマンドレルバー表面を予め清掃(オフライン清掃)することが有効である。
【0007】
従来のオフライン清掃は、たわし等の清掃道具を用いて作業者が手作業で行ったり、或いは、マンドレルバー表面に回転ブラシを摺過させることにより行われている。
【0008】
しかしながら、作業者の手作業による場合は無論のこと、回転ブラシを摺過させる場合であっても、清掃効率が良くない。つまり、マンドレルバー表面に付着した黒鉛系潤滑剤を管内面の浸炭が問題にならない程度まで十分に除去するには長い時間を要するため、操業に支障を来す場合がある。
【0009】
一方、特許文献1には、マンドレルバーに付着した黒鉛系潤滑剤をオフラインで水洗することが記載されているものの、その具体的な洗浄方法については何ら開示されていない。
【特許文献1】特開2002−28705号公報
【特許文献2】特開2000−24706号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
本発明は、斯かる従来技術の問題を解決するためになされたものであり、操業に支障を来すことなく、延伸圧延の際に管内面に生じる浸炭を効果的に抑制できるマンドレルバーの洗浄設備を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
前記課題を解決するべく、本発明は、マンドレルミルでの管の延伸圧延に供された後、マンドレルバー搬送ラインから抜き出されたマンドレルバーを洗浄する設備であって、マンドレルバーを周方向に回転させながら軸方向に搬送する搬送装置と、前記搬送装置によって搬送されるマンドレルバーの側方に対向して配置され、マンドレルバーの外面に向けて水圧が0.2〜150MPaの高圧水を噴射する洗浄装置とを備えることを特徴とするマンドレルバー洗浄設備を提供するものである。
【0012】
好ましくは、前記高圧水の水圧は、20〜150MPaとされる。
【発明の効果】
【0013】
本発明に係るマンドレルバー洗浄設備によれば、マンドレルバー表面に付着した黒鉛系潤滑剤を管内面の浸炭が問題にならない程度まで短時間で除去することが可能である。従って、黒鉛系潤滑剤をも用いるマンドレルバー搬送ラインを低炭素鋼の素管を延伸圧延する際にも共用可能であると共に、操業に支障を来すことなく、延伸圧延の際に管内面に生じる浸炭を効果的に抑制可能である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
以下、添付図面を参照しつつ、本発明の一実施形態について説明する。
なお、本実施形態では、表面に黒鉛系潤滑剤を塗布して延伸圧延に供したマンドレルバーを、マンドレルバー搬送ライン(以下、適宜「搬送ライン」という)から抜き出して本発明に係るマンドレルバー洗浄設備(以下、適宜「オフライン洗浄設備」という)で洗浄した後、再び搬送ラインに搬入して表面に非黒鉛系潤滑剤を塗布して低炭素鋼の素管を延伸圧延する場合を例にあげて説明する。
【0015】
図1は、本発明に係るオフライン洗浄設備を配置した継目無管の製造ラインを模式的に示す説明図である。
まず最初に、マンドレルバーB表面に黒鉛系潤滑剤を塗布して素管Sを延伸圧延し、管S1を製造する工程について説明する。図1に示すように、搬入テーブル6から搬送ラインに搬入されたマンドレルバーBは、潤滑剤塗布装置7によって表面に黒鉛系潤滑剤が塗布される。この後、マンドレルバーBは、マンドレルミル8の入側までの搬送ラインの途中で、ピアサ(図示せず)により穿孔圧延された素管Sに挿入される。素管Sは、マンドレルミル8により延伸圧延されて管S1となる。マンドレルバーBは、マンドレルミル8での延伸圧延が終了した後に引き抜かれ、リターンライン9上を搬送されて、水冷装置5で冷却される。この後、マンドレルバーBは、搬送ラインに配置されたマンドレルバー洗浄装置(以下、適宜「オンライン洗浄装置」という)2で洗浄された後、再び潤滑剤塗布装置7によって表面に黒鉛系潤滑剤が塗布され、前述と同様の工程で2パス目以降の延伸圧延に供される。マンドレルバーBは、以上に説明した循環使用によりマンドレルミル8での延伸圧延に供される。この循環使用により、マンドレルバーBの搬送ラインに配置された搬送装置(図示せず)は、黒鉛系潤滑剤に含まれる黒鉛によって汚染される。
【0016】
なお、マンドレルミル8で延伸圧延された管S1は、再加熱炉13で約940℃〜1060℃で約20〜35分間再加熱され、ストレッチレデューサ14で製品寸法に仕上げられて、継目無管が製造される。
【0017】
次に、マンドレルバーB表面に非黒鉛系潤滑剤を塗布して素管Sを延伸圧延し、低炭素鋼からなる管S1を製造する工程について説明する。上記のようにして表面に黒鉛系潤滑剤が塗布され延伸圧延に供されたマンドレルバーBは、搬送ラインから抜き出され、本発明に係るオフライン洗浄設備で洗浄される。このオフライン洗浄設備は、例えば、継目無管の製造ライン0から離間したマンドレルバーBを保管するためのバー保管庫3に設置することが例示される。
【0018】
図2は、本発明に係るオフライン洗浄設備の概略構成を示す説明図である。
図2に示すように、オフライン洗浄設備15は、マンドレルバーBを周方向に回転させながら軸方向に搬送する搬送装置と、該搬送装置によって搬送されるマンドレルバーBの側方に対向して配置され、マンドレルバーBの外面に向けて高圧水を噴射する洗浄装置とを備える。
【0019】
本実施形態に係る搬送装置は、マンドレルバーBを支持する搬送ロール17及びスキューロール18で構成されている。搬送ロール17を回転させることによりマンドレルバーBは軸方向に搬送され、スキューロール18を回転させることによりマンドレルバーBは周方向に回転する。したがって、搬送ロール17及びスキューロール18の双方を回転させることにより、マンドレルバーBは周方向に回転しながら軸方向に搬送されることになる。
【0020】
本実施形態に係る洗浄装置は、マンドレルバーBの下方に配置された2個の洗浄ノズル1dを備えている。洗浄ノズル1dを下方に配置することにより、マンドレルバーBの外径に関わらず洗浄ノズル1dとマンドレルバーB表面との距離を一定にすることが可能である。そして、2個の洗浄ノズル1dからマンドレルバーBの外面に向けて高圧水19を噴射しながら、搬送ロール17及びスキューロール18を回転させれば、マンドレルバーBの表面全体を洗浄することが可能である。なお、洗浄ノズル1dとマンドレルバーB表面との距離は数100mm程度に設定され、洗浄ノズル1dから噴射する高圧水19の拡がり角は10°〜20°に設定される。
【0021】
洗浄ノズル1dから噴射する高圧水の水圧は、0.2〜150MPa(好ましくは20〜150MPa)に設定される。以下、この理由について説明する。
【0022】
オフライン洗浄設備15の洗浄ノズル1dから噴射する高圧水の水圧を適宜変更して、表面に黒鉛系潤滑剤が十分に付着したマンドレルバーBの洗浄試験を行った。具体的には、潤滑剤の付着性や貯蔵安定性を確保するための有機バインダー(酢酸ビニルやアクリル樹脂など)が比較的多く添加された黒鉛系潤滑剤を付着させた場合と、有機バインダーの添加量が少ない黒鉛系潤滑剤を付着させた場合の双方について洗浄試験を行った。一般的に、有機バインダーの添加量が多い潤滑剤は耐水性を示すために洗浄し難く、添加量が少ない潤滑剤は非耐水性(水溶性)を示すために洗浄し易い傾向がある。そして、マンドレルバーBの搬送速度を適宜変更(マンドレルバー1本当たりの洗浄時間を変更)して洗浄を行い、洗浄後のマンドレルバーB表面の付着物を分析することにより、マンドレルバーB表面に残存する炭素付着量(g/m)を求めた。なお、この洗浄試験で用いたマンドレルバーB表面には、通常通り、焼付きの防止を目的として設けられた酸化皮膜が存在しており、洗浄後の酸化皮膜の状態を表面のミクロ観察によって確認した。
【0023】
以上に説明した洗浄試験の結果の一部を表1に示す。
【表1】


【0024】
表1に示すように、洗浄ノズル1dから噴射する高圧水の水圧を20〜150MPaに設定することにより、操業に支障を来すことがない洗浄時間(10分/本未満)で、マンドレルバーB表面に残存する黒鉛系潤滑剤を管S1内面の浸炭が問題にならない程度まで十分に低減すること(炭素付着量30g/m未満)が可能であった。
【0025】
また、高圧水の水圧を0.2MPa以上20MPa未満に設定した場合、有機バインダーの添加量が多い黒鉛系潤滑剤を付着させたマンドレルバーBについては、洗浄時間を許容範囲外である20分/本にしても、残存する黒鉛系潤滑剤を十分に低減することができなかった(炭素付着量30g/m以上)。一方、有機バインダーの添加量が少ない黒鉛系潤滑剤を付着させたマンドレルバーBについては、高圧水の水圧を0.2MPa以上20MPa未満に設定しても、洗浄時間及び炭素付着量の双方を許容範囲内(洗浄時間:10分/本未満、炭素付着量:30g/m未満)にすることが可能であった。有機バインダーの添加量が少ない非耐水性の潤滑剤を使用すると、一定時間にマンドレルミル8で素管Sを延伸圧延する頻度が高ければ(例えば、15〜30秒毎の延伸圧延)、延伸圧延の開始の直前まで圧延ロールに吹き付けられる冷却水の滴りや、圧延ロールから落下する水滴によって、マンドレルバーB表面に塗布された潤滑剤まで流れ落ちる。このため、延伸圧延時にマンドレルバーBと素管Sとが焼付くおそれがある。従って、延伸圧延する頻度の高い鋼種や製造ライン0に対して、非耐水性の潤滑剤を使用することは好ましくなく、有機バインダーの添加量が多い耐水性の潤滑剤を使用することが好ましい。このため、前述のように高圧水の水圧を20MPa以上に設定することが好ましい。しかしながら、延伸圧延する頻度が低い(例えば、60秒毎の延伸圧延)鋼種や製造ライン0に対しては、非耐水性の潤滑剤を使用しても、延伸圧延時にマンドレルバーBと素管Sとが焼付くおそれが少ない。このため、必ずしも高圧水の水圧を20MPa以上に設定する必要はなく、0.2MPa以上に設定しさえすればよい。
【0026】
一方、表1に示すように、高圧水の水圧を0.2MPa未満に設定すると、非耐水性の潤滑剤を付着させたマンドレルバーBであっても、許容範囲内の洗浄時間では、残存する黒鉛系潤滑剤を十分に低減することができなかった。また、150MPaより高い水圧の高圧水を噴射すると、マンドレルバーBの表面に形成された酸化皮膜が剥離した。
【0027】
以上の理由により、洗浄ノズル1dから噴射する高圧水の水圧は、0.2〜150MPa(好ましくは20〜150MPa)に設定される。
【0028】
なお、以上に説明したオフライン洗浄設備15によるマンドレルバーB表面の洗浄と、従来の回転ブラシを用いた擦過装置によるマンドレルバーB表面の清掃との効率を比較する試験も行った。試験前のマンドレルバーBの表面には、有機バインダーが多く添加された耐水性の黒鉛系潤滑剤を付着させた。
【0029】
図3は、上記試験に用いた従来のオフライン清掃に用いられる擦過装置の概略構成を示す説明図である。
図3に示すように、擦過装置16は、マンドレルバーBを支持する搬送ロール17及びスキューロール18と、マンドレルバーBに接触するように配置された回転ブラシ4とを備える。回転ブラシ4を回転させながら、スキューロール18を回転させてマンドレルバーBを周方向に回転させ、搬送ロール17を回転させてマンドレルバーBを軸方向に搬送する。これにより、マンドレルバーBの表面全体に回転ブラシ4が擦過して清掃できる。
【0030】
上記試験の結果を表2に示す。
【表2】


【0031】
表2に示すように、従来の擦過装置16を用いると、操業に支障を来すことがない清掃時間(5分/本)では、マンドレルバーB表面に残存する黒鉛系潤滑剤(炭素付着量)を管S1内面の浸炭が問題にならない程度まで十分に低減することができなかった。また、マンドレルバーB表面に残存する黒鉛系潤滑剤を十分に低減するには、清掃時間を許容範囲外である10分/本以上にする必要があり、操業上の問題がある。これに対して、オフライン洗浄設備15によれば、表1を参照して説明したのと同様に、操業に支障を来すことがない洗浄時間(10分/本未満)で、マンドレルバーB表面に残存する黒鉛系潤滑剤を管S1内面の浸炭が問題にならない程度まで十分に低減すること(炭素付着量30g/m未満)が可能であった。
【0032】
以上のようにして、オフライン洗浄設備15で洗浄されたマンドレルバーBは、搬入テーブル6から再び搬送ラインに搬入されるが、この搬入の前に、少なくともマンドレルバーBの搬送ラインに設置される潤滑剤塗布装置7からマンドレルミル8の入側までの間に配置される搬送装置を予め洗浄しておくことが好ましい。
【0033】
図4は、上記の搬送装置を構成する搬送ロールを洗浄するために用いられる搬送ライン洗浄装置1の概略構成を示す説明図である。
図4に示すように、搬送ライン洗浄装置1は、搬送ロール10の表面から数100mm上方に離間した位置に配置された2個の洗浄ノズル1a、1bを備える。搬送ロール10を回転させながら、洗浄ノズル1a、1bから搬送ロール10に向けて高圧水11を噴射することにより、搬送ロール10が洗浄される。なお、好ましくは、洗浄ノズル1a、1bから噴射する高圧水11の拡がり角は10°〜20°に設定され、高圧水11の水圧は30〜150MPaに設定される。
【0034】
上記のようにして、マンドレルバー搬送ラインに配置された搬送装置が予め洗浄された後、マンドレルバーBは、搬入テーブル6から再び搬送ラインに搬入される。搬入されたマンドレルバーBは、潤滑剤塗布装置7によって表面に非黒鉛系潤滑剤が塗布される。この後、マンドレルバーBは、マンドレルミル8の入側までの搬送ラインの途中で低炭素鋼からなる素管Sに挿入され、素管Sは、マンドレルミル8により延伸圧延されて管S1となる。マンドレルバーBは、マンドレルミル8での延伸圧延が終了した後に引き抜かれ、リターンライン9上を搬送されて、水冷装置5で冷却される。この後、マンドレルバーBは、搬送ラインに配置されたオンライン洗浄装置2で洗浄される。
【0035】
図5は、オンライン洗浄装置2の概略構成を示す説明図であって、図5(a)はオンライン洗浄装置2の正面図であり、図5(b)はオンライン洗浄装置2の配置を示す説明図である。
図5に示すように、オンライン洗浄装置2は、潤滑剤塗布装置7の上流側に配置され、延伸圧延を終了したマンドレルバーBを洗浄する。オンライン洗浄装置2は、マンドレルバーBとの距離が最大で数100mmとなるように環状に配設された計8個の洗浄ノズル1cを備える。各洗浄ノズル1cからマンドレルバーBに向けて高圧水12を噴射することにより、マンドレルバーBの表面が洗浄される。なお、好ましくは、洗浄ノズル1cから噴射する高圧水11の拡がり角は10°〜20°に設定され、高圧水12の水圧は30〜150MPaに設定される。
【0036】
上記のようにして、マンドレルバーBは、オンライン洗浄装置2で洗浄された後、再び潤滑剤塗布装置7によって表面に非黒鉛系潤滑剤が塗布され、前述と同様の工程で2パス目以降の低炭素鋼からなる素管Sの延伸圧延に供される。
【0037】
表3は、以上に説明した工程によって製造した低炭素鋼からなる継目無管内面の浸炭状況、及び、オフライン洗浄設備15によるマンドレルバーBのオフライン洗浄を行わずに製造した低炭素鋼からなる継目無管内面の浸炭の状況を評価した結果を示す。なお、浸炭状況の評価では、条件1、3についてはマンドレルミル8で2パス目に延伸圧延した継目無管の内面から、条件2、4については1パス目(したがって、オンライン洗浄は無し)に延伸圧延した継目無管の内面から、それぞれ分析用サンプルを切り出し、カントバック(発光分光分析)によって炭素濃度を測定した。そして、継目無管の素材の炭素濃度に対して同等以下(浸炭無し)である場合を◎とし、炭素濃度の増加量が0.001〜0.01%である場合(許容できる範囲)を○とし、それを超えて炭素濃度が増加した場合を×として、それぞれ評価した。
【表3】


【0038】
表3に示すように、マンドレルバーBのオフライン洗浄を行わずに製造した継目無管では浸炭が生じたのに対し、オフライン洗浄設備15によるマンドレルバーBのオフライン洗浄を行って製造した継目無管では、オンライン洗浄装置2による洗浄の有無に関わらず、浸炭を実用上問題ない程度に抑制できた。
【図面の簡単な説明】
【0039】
【図1】図1は、本発明に係るマンドレルバー洗浄設備(オフライン洗浄設備)を配置した継目無管の製造ラインを模式的に示す説明図である。
【図2】図2は、本発明に係るオフライン洗浄設備の概略構成を示す説明図である。
【図3】図3は、従来のオフライン清掃に用いられる擦過装置の概略構成を示す説明図である。
【図4】図4は、搬送ライン洗浄装置の概略構成を示す説明図である。
【図5】図5は、マンドレルバー洗浄装置(オンライン洗浄装置)の概略構成を示す説明図であって、図5(a)はオンライン洗浄装置の正面図であり、図5(b)はオンライン洗浄装置の配置を示す説明図である。
【符号の説明】
【0040】
0 製造ライン
1a,1b,1c,1d 洗浄ノズル
2 マンドレルバー洗浄装置(オンライン洗浄装置)
3 バー保管庫
4 回転ブラシ
5 水冷装置
6 搬入テーブル
7 潤滑剤塗布装置
8 マンドレルミル
9 リターンライン
10 搬送ロール
11,12,19 高圧水
13 再加熱炉
14 ストレッチレデューサ
15 マンドレルバー洗浄設備(オフライン洗浄設備)
16 擦過装置
17 搬送ロール
18 スキューロール
19 高圧水
【出願人】 【識別番号】000002118
【氏名又は名称】住友金属工業株式会社
【出願日】 平成18年8月22日(2006.8.22)
【代理人】 【識別番号】100114410
【弁理士】
【氏名又は名称】大中 実


【公開番号】 特開2008−49345(P2008−49345A)
【公開日】 平成20年3月6日(2008.3.6)
【出願番号】 特願2006−224812(P2006−224812)