Warning: copy(htaccessbak): failed to open stream: No such file or directory in /home/jtokkyo/public_html/header.php on line 10
鋼板の冷却方法 - 特開2008−43988 | j-tokkyo
トップ :: B 処理操作 運輸 :: B21 本質的には材料の除去が行なわれない機械的金属加工;金属の打抜き

【発明の名称】 鋼板の冷却方法
【発明者】 【氏名】小田 朋哉

【要約】 【課題】鋼板搬送方向の均一冷却性を高めることが可能な鋼板の冷却方法を提供すること。

【構成】冷却装置の前段部4aにおいて、鋼板の先端領域lが通過中は、冷却水量を無注水とし、先部領域lが通過するときは、冷却水量を基準水量密度Qの80〜95体積%(Qfront)から順次増加させて、先部領域と中央部領域との境界部が到達したとき冷却水量が基準水量密度となる様に注水し、中央部領域が通過中は、基準水量密度で注水を継続し、かつ、冷却装置の後段部4bにおいて、鋼板の先端領域が通過中は、冷却水量を基準水量密度の80〜95体積%とし、先部領域が通過するときは、冷却水量を基準水量密度の80〜95質量%から順次増加させて、先部領域と中央部領域との境界部が到達したとき冷却水量が基準水量密度となる様に注水し、中央部領域が通過中は、基準水量密度で注水を継続することを特徴とする。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
熱間圧延された鋼板を一方向に搬送しながら冷却装置内の上下に配置したノズルから前記鋼板に冷却水を供給して冷却する鋼板の冷却方法において、
前記鋼板を前記鋼板の搬送方向に対して先頭側から先端領域と、先部領域と、中央部領域とに区分すると共に、前記冷却装置を前記鋼板の搬送方向に対して前段部と、後段部とに区分し、
前記冷却装置の前記前段部において、前記鋼板の前記先端領域が通過中は、前記冷却水の冷却水量を無注水とし、前記先部領域が通過するときは、前記冷却水量を基準水量密度の80〜95体積%から順次増加させて、前記先部領域と前記中央部領域との境界部が到達したとき前記冷却水量が前記基準水量密度となる様に注水し、該中央部領域が通過中は、前記基準水量密度で注水を継続し、かつ、前記冷却装置の前記後段部において、前記鋼板の前記先端領域が通過中は、前記冷却水量を前記基準水量密度の80〜95体積%とし、前記先部領域が通過するときは、前記冷却水量を前記基準水量密度の80〜95質量%から順次増加させて、前記先部領域と前記中央部領域との境界部が到達したとき前記冷却水量が前記基準水量密度となる様に注水し、該中央部領域が通過中は、前記基準水量密度で注水を継続することを特徴とする、鋼板の冷却方法。
【請求項2】
前記鋼板の前記中央部領域より尾端側を前記鋼板の搬送方向に対して後部領域と、後端領域とに区分し、前記冷却装置の前記前段部及び前記後段部において、前記鋼板の前記中央部領域が通過し終えて前記後部領域が通過中は、前記冷却水量を前記基準水量密度から順次減少させて、前記後部領域と前記後端領域との境界部が到達したとき前記冷却水量が前記基準水量密度の80〜95体積%となる様に注水し、前記後端領域が通過中は、前記基準水量密度の80〜95体積%で注水することを特徴とする、請求項1記載の鋼板の冷却方法。

【発明の詳細な説明】【技術分野】
【0001】
本発明は、鋼板の冷却方法に関し、特に熱間圧延された鋼板の冷却方法に関する。
【背景技術】
【0002】
熱間圧延後の鋼板を冷却装置で連続的に冷却し、鋼板の組織制御を行うことで高強度、高靱性の厚鋼板を製造するプロセスが広く用いられている。この製造プロセスは、合金元素の削減による製造コスト低減、溶接作業効率の改善に寄与している。
【0003】
しかしながら、この製造プロセスにおいて、鋼板の先端部及び後端部は、前記冷却装置に移送される前に鋼板長手方向中央部に比べて温度が低くなっていることに加え、冷却装置内での注水冷却においても端面からの熱伝達、熱伝導の影響が大きいため、過冷現象が発生して平坦度、材質が不安定となり易い。
【0004】
そのため、例えば、特許文献1に開示されているように、鋼板位置をトラッキングしながら、該鋼板先端部及び後端部において冷却水の散水を停止するマスキングを行うことで、先端部及び後端部の過冷却を防止する方法の提案がある。
【0005】
【特許文献1】特開昭60−43435号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
上記特許文献1で示されたマスキング方法による鋼板先端部及び後端部への過冷却防止効果は大きい。しかし、これはON、OFF制御、即ち、マスキング部分は無注水で、マスキングしていない部分(非マスキング部分とも称す)は基準水量密度の冷却水が供給されていることから、この境界部では水量が急激に変化し、特に鋼板先端部においては大きな温度偏差が発生する。
【0007】
そのため、鋼板搬送方向(鋼板長手方向とも称す)での材質偏差が発生して歩留低下を招き、先端領域の形状も温度偏差の影響で鋼板搬送方向中央部に比べて悪化し易い。
【0008】
そこで、本発明は、上記問題に鑑みてなされたものであり、本発明の目的とするところは、鋼板搬送方向の均一冷却性を高めることが可能な、新規かつ改良された鋼板の冷却方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明は上記課題を解決するためになされたものであり、その特徴とする手段(1)は、熱間圧延された鋼板を一方向に搬送しながら冷却装置内の上下に配置したノズルから鋼板に冷却水を供給して冷却する鋼板の冷却方法において、鋼板の搬送方向に対して鋼板を先頭側から先端領域と、先部領域と、中央部領域とに区分すると共に、冷却装置を鋼板の搬送方向に対して前段部と、後段部とに区分し、冷却装置の前段部において、鋼板の先端領域が通過中は、冷却水量を無注水とし、先部領域が通過するときは、冷却水量を基準水量密度の80〜95体積%から順次増加させて、先部領域と中央部領域との境界部が到達したとき冷却水量が基準水量密度となる様に注水し、中央部領域が通過中は、基準水量密度で注水を継続し、かつ、冷却装置の後段部において、鋼板の先端領域が通過中は、冷却水量を基準水量密度の80〜95体積%とし、先部領域が通過するときは、冷却水量を基準水量密度の80〜95質量%から順次増加させて、先部領域と中央部領域との境界部が到達したとき冷却水量が基準水量密度となる様に注水し、中央部領域が通過中は、基準水量密度で注水を継続することを特徴とする、鋼板の冷却方法が提供される。
【0010】
かかる構成により、鋼板の長手方向においてマスキングしている厚鋼板の先端領域と非マスキング部分の先部領域との境界部の大幅な温度低下を抑制できる。さらには、鋼板長手方向の温度分布の差が減少するため、鋼板先端領域、先部領域の形状を良好にする事が可能となると共に鋼板長手方向の材質変化を抑制することが可能となる。
【0011】
上記鋼板の中央部領域より尾端側を鋼板の搬送方向に対して後部領域と、後端領域とに区分し、冷却装置の前段部及び後段部において、鋼板の中央部領域が通過し終えて後部領域が通過するときは、冷却水量を基準水量密度から順次減少させて、後部領域と後端領域との境界部が到達したとき冷却水量が基準水量密度の80〜95体積%となる様に注水し、後端領域が通過中は、基準水量密度の80〜95体積%で注水するとしてもよい。かかる構成により、厚鋼板の後部においても、鋼板形状及び材質を更に良好にする事が可能となる。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、鋼板搬送方向の均一冷却性を高めることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
以下に添付図面を参照しながら、本発明の好適な実施の形態について詳細に説明する。なお、本明細書及び図面において、実質的に同一の機能構成を有する構成要素については、同一の符号を付することにより重複説明を省略する。
【0014】
熱間圧延後の厚鋼板を冷却水によって強制冷却する方法において、冷却装置を前段領域と後段領域に分け、三方弁による冷却水のON、OFF制御による厚鋼板先端部及び後端部のマスキングを行うに際して、マスキングしている部分と非マスキング部分の境界部の温度低下が厚鋼板の先部で大きい(後部の1.5倍程度)ために、この温度低下を抑制する方法について、本発明者は種々実験、検討した。
【0015】
この境界部での温度低下を抑制するためには、冷却装置内の冷却ノズルに冷却水を供給する配管に流量調整可能な流量調節弁を設置し、境界部で冷却水量を順次増加する必要がある。しかし、境界部での温度低下領域は2〜3m以内と短く、かつ、流量調節弁の弁開放時間(全閉から全開までの時間)は早いものでも10s程度であり、しかも、鋼板搬送速度(1.0〜2.0 m/s)を減速することができない。
【0016】
このために、上記した様に流量調節弁の開度を全閉から順次開放して全開にすると、該流量調節弁が全開になるタイミングが温度低下領域を大きく過ぎて鋼板長手方向中央部側になり、温度が健全(温度低下のない領域)であった中央部側部分の温度が上昇する新たな問題が発生した。
【0017】
さらに、本発明者は詳細に調査、実験、検討を進めた結果、上記境界部の温度低下は15〜30℃程度が殆どであり、流量調節弁の開度を全閉から全開に順次開度を増加しなくても、基準水量密度(鋼板中央部へ供給される単位面積単位時間当たりの水量である水量密度(単位:m3/(m2・min))Qの80〜95体積%(以下、この水量密度をQfrontと称す)になる開度から順次開放して基準水量密度Qにすると、上記の健全部の温度上昇を伴うことなく、上記境界部の温度低下を実操業上問題のない程度に抑制できる事を見出した。
【0018】
なお、基準水量密度Qが、例えば、厚鋼板の場合は0.3〜1.5 m3/(m2・min)の範囲にすることが好ましい。即ち、この基準水量密度Qが、例えば1.5 m3/(m2・min)以上の水量密度を使用する厚鋼板では、冷却終了時の温度が低い場合が多く、冷却中の厚鋼板の表面温度も低くなる。そのため、このような厚鋼板の冷却を行う場合は、冷却が安定する核沸騰域での冷却が主体となることから、冷却後の温度偏差が大きくなることが少なく、温度偏差による悪影響が生じ難く、本発明で適用される頻度は低い。一方、基準水量密度Qが、例えば0.3 m3/(m2・min)以下の水量密度では、冷却速度が低くなるため、厚鋼板の組織の粗大化を防止することができるが、厚鋼板の強度向上を図ることができないため、0.3 m3/(m2・min)以下の水量密度は、使用される頻度が低く、本発明の適用可能性は低い。
【0019】
なお、基準水量密度Qは、主に冷却される鋼板の材質によって決定され、その他には、冷却装置で冷却する前の鋼板の温度と、目的とする冷却後の鋼板の温度との温度差や、鋼板の熱伝導率、冷却ノズル等の冷却形式などの様々な要因によって決定される。また、冷却前の鋼板の温度は、加熱炉から圧延機を経て冷却装置に至るまでの時間、圧延方法などの要因によって変動する。
【0020】
この知見を基にして本発明は成されたものであり、図1〜図5を参照して詳細に説明する。図1は、本発明の第1の実施形態に係る冷却方法を実施するための冷却装置を示す模式図である。図2は、本実施形態に係る冷却装置の前段領域での鋼板長手方向の水量密度分布を示す説明図である。図3は、本実施形態に係る冷却装置の後段領域での鋼板長手方向の水量密度分布を示す説明図である。図4は、本実施形態に係る鋼板長手方向における該鋼板の表面温度分布を示す説明図である。図5は、本実施形態に係る冷却装置の出側での鋼板の表面温度分布を示す説明図である。
【0021】
図1に示すように、本実施形態に係る冷却装置4に隣接して、厚鋼板の圧延機1が設置される。冷却装置4は、測長ロール2と、鋼板位置検出センサ3と、冷却ノズル4cと、三方弁5と、流量調節弁6と、ヘッダー管7と、制御部8とを備える。冷却装置4は、前段領域4aと、後段領域4bとに2分割される。冷却ノズル4cは、冷却対象鋼板Pの上面及び下面に冷却水を散水するために、該鋼板Pに対して長さ方向及び幅方向に複数設けられる。また、各冷却ノズル4cは、ヘッダー管7から分岐される配管の先端に設けられ、各配管の途中に、前段領域4aでは三方弁5と流量調節弁6が設けられ、後段領域4bでは流量調節弁6が設けられる。制御部8は、測長ロール2及び鋼板位置検出センサ3の検出情報を基にして鋼板Pの位置をトラッキングし、このトラッキング情報により、三方弁5及び流量調節弁6の開度を調整制御する。
【0022】
また、冷却対象の鋼板Pは、先端領域(鋼板先端から鋼板長手方向中心部側に向かって例えば0.5〜2mまでの領域)lと、先部領域(先端領域と先部領域との境界部から鋼板長手方向中心部側に向かって例えば4〜10mまでの領域)lと、中央部領域(先部領域と中央部領域との境界部よりも鋼板長手方向中心部側領域)との3つの領域に便宜上分けられて、冷却装置4から供給される冷却水量が調整制御される。これら3つの領域の範囲は、例えば、流量調節弁6の応答速度と鋼板の搬送速度の関係、水量密度や冷却終了時の鋼板の温度等の冷却条件によって決定される。また、冷却前の鋼板の温度分布によっても決定される。そして、この冷却前の鋼板の温度分布は、加熱炉から圧延機を経て冷却装置に至るまでの時間、圧延方法、鋼板の熱伝達率、材質などの様々な要因によって変動する。
【0023】
本実施形態では、先ず、圧延機1を通過して熱間圧延の完了した冷却対象鋼板Pが冷却装置4に向かってパスラインを移動する際、該鋼板Pの先端が鋼板位置検出センサ3により検出される。そして、鋼板Pの先端の検出情報が制御部8に入力される。次に、測長ロール2により鋼板Pの移動距離が求められて、その移動距離が制御部8に入力される。この両入力情報により制御部8は、搬送中の鋼板Pの位置をトラッキングする。
【0024】
次に、制御部8での流量調節弁6、三方弁5の制御について説明する。先ず、鋼板Pの先端が冷却装置4に進入する前に、冷却装置4の前段領域4a及び後段領域4bにおいて、水量密度がQfrontになるように流量調節弁6の開度を絞って通水する。さらに、前段領域4aにある三方弁5をオフライン側(鋼板Pのパスラインより外れた側)に開放する様に、流量調節弁6及び三方弁5が制御されている。これにより、水量密度Qfrontの冷却水が、前段領域4aではオフライン側に排水され、また、後段領域4bでは冷却ノズル4cから散水された状態になっている。
【0025】
この状態で、鋼板Pの先端が冷却装置4内に進入して、鋼板Pは上下の各冷却ノズル4c間を順次通過する。この際、冷却装置4の前段領域4aでは、各冷却ノズル4c全てにおいて、鋼板Pの先端領域lが冷却ノズル4c位置(各冷却ノズル4cが設けられた位置)を通過して、鋼板Pの先部領域lが冷却ノズル4c位置に達するとき、三方弁5をオンライン側に順次切り替えて、鋼板長手方向に設けた各冷却ノズル4cより鋼板Pに冷却水の散水を順次開始する。そして、その直後から鋼板Pの先部領域lが各冷却ノズル4c位置を通過し終えるまでの間に、各流量調節弁6の開度を順次増加して、鋼板Pの該先部領域lが抜ける直前に全開とする。これにより、前段領域4aの各冷却ノズル4cから散水される冷却水量密度は、Qfrontから順次増加して基準水量密度Qに達する。
【0026】
一方、冷却装置4の後段領域4bでは、各冷却ノズル4cから冷却水量密度Qfrontで散水されている中に鋼板Pの先端が進入することにより、鋼板Pの冷却が開始される。そして、鋼板Pの先部領域lが各冷却ノズル4cの位置に達すると、上記同様に各流量調節弁6の開度を順次増加し始めて、該先部領域lが抜ける直前に全開とする。
【0027】
この様な冷却方法により、例えば、厚鋼板Pの先部が図4に示す温度を有する場合、冷却装置4の前段領域4aにある冷却ノズル4cから散水される冷却水の水量密度が図2に示す様になり、さらに、冷却装置4の後段領域4bにある冷却ノズル4cから散水される冷却水の水量密度が図3に示す様になった。この結果、冷却装置4から出た鋼板Pの温度は図5に示す様な良好な温度分布となった。一方、本発明を用いず先端領域の散水を停止するマスキング制御のみを実施した場合、図6に示す様に先端領域と先部領域の境界での温度偏差が大きい。なお、図6は、従来の冷却装置の出側での鋼板の表面温度分布を示す説明図である。
【0028】
次に、本実施形態に係る厚鋼板Pの後部の冷却方法について説明する。厚鋼板Pの後部におけるマスキング部分と非マスキング部分の境界の温度低下は、上記した様に先部に比較して小さいが、この温度低下を防止する方が好ましいので、以下に説明する。
【0029】
冷却対象の鋼板Pは、後端領域(鋼板後端から鋼板長手方向中心部側に向かう領域)と、後部領域(後端領域から鋼板長手方向中心部側に向かう領域)と、中央部領域との3つの領域に便宜上分けられて、冷却装置4から供給される冷却水量が調整制御される。これら3つの領域の範囲は、例えば、流量調節弁6の応答速度と鋼板の搬送速度の関係、水量密度や冷却終了時の鋼板の温度等の冷却条件によって決定される。また、冷却前の鋼板の温度分布によっても決定される。そして、この冷却前の鋼板の温度分布は、加熱炉から圧延機を経て冷却装置に至るまでの時間、圧延方法、鋼板の熱伝達率、材質などの様々な要因によって変動する。
【0030】
この厚鋼板Pの後部の冷却装置4内の通過は、中央部領域、後部領域、後端領域の順番となることから、冷却装置4の前段領域4aにおいては、厚鋼板Pの中央部領域が通過中は基準水量密度Qで散水冷却しているが、冷却ノズル4c位置に厚鋼板Pの後部領域が到達すると、その冷却ノズル4cに設けた流量調節弁6の開度を順次絞って後端領域が到達するまでに水量密度が上記Qfrontになるようにする。そして、後端領域が冷却ノズル4c位置に到達すると三方弁5をオフライン側に切り替えて冷却水をオフライン側に排出して後端領域への冷却水の散水を停止する。この操作を冷却装置4の入側から出側方向の冷却ノズル4cについて、厚鋼板Pの後部に移動に従って順番に行う。また、冷却装置4の後段領域4bにおいては、厚鋼板Pの中央部領域が通過中は上記同様に基準水量密度Qで散水冷却しているが、冷却ノズル4cの下方に厚鋼板Pの後部領域が到達すると、その冷却ノズル4cに設けた流量調節弁6の開度を順次絞って後端領域が到達した際に水量密度が上記Qfrontになる様にする。そして、その後、その開度を維持した状態で後端領域を散水冷却する。
【実施例】
【0031】
本発明の実施例を比較例と共に表1、表2を参照して説明する。表1は、厚鋼板1〜3のそれぞれの板厚、板巾、板長及び冷却装置通過前の温度分布を示す表である。表2は、冷却装置で表1に示す厚鋼板1〜3を速度60 m/minで搬送しつつ冷却した場合の実施例1〜3と比較例1、2の水量密度と冷却後の厚鋼板の温度分布を示す表である。
【0032】
本発明の実施例では、冷却ノズル4cを鋼板搬送方向(鋼板長さ方向)に24列、該鋼板搬送方向とは直角方向(鋼板幅方向)に70本配置した冷却装置であり、そして、前段領域4aを冷却ノズル4cの12列目までとし、後段領域4bをそれ以降の24列目までとした。また、三方弁及び流量調整弁、制御部等は図1と同様な構成とした。また、鋼板の先端領域lは鋼板先端から1m、先部領域lは、先端領域lと先部領域lとの境界部から4m、中央部領域は先部領域lと中央部領域との境界部以降とした。
【0033】
この表2の実施例1は厚鋼板1の後部領域、後端領域においては本発明を適用せずに基準水量密度で冷却した場合の例であり、実施例2、3は先部領域、先端領域及び後部領域、後端領域に本発明を適用した例である。また、先部領域が冷却装置を通過する際の前段ゾーンの水量密度Qfrontは基準水量密度Qに対して、実施例1では90体積%、実施例2では82体積%、実施例3では95体積%から開始するとし、後部領域が冷却装置を通過し終える際の後段ゾーンの水量密度は基準水量密度Qに対して、実施例2では82体積%、実施例3では95体積%として、80〜95体積%の範囲内であり、実施例1〜3は本発明を適用した例である。
【0034】
実施例1〜3では、表2の最大温度偏差の欄に示すように、いずれも冷却後の鋼板の温度分布の最小値と最大値の差を表す最大温度偏差が20℃以下と小さくなった。一方、比較例1は、鋼板の先部領域、後部領域での冷却装置前段、後段での冷却水の水量密度が本発明の上限を外れた場合の例(97体積%)であり、比較例2は、本発明の水量密度の下限を外れた場合の例(75体積%)である。いずれの場合も冷却後の鋼板の最大温度偏差が実施例1〜3に比較して大幅に大きくなり(比較例1では27℃、比較例2では29℃)、冷却後における鋼板形状も悪化した。
【0035】
上述したとおり、本発明によれば、鋼板の長手方向においてマスキングしている厚鋼板の先端領域と非マスキング部分の先部領域との境界部の大幅な温度低下を抑制でき、鋼板先端領域、先部領域の形状を良好にする事が可能となると共に鋼板長手方向の材質変化を抑制することが可能となる。また、厚鋼板の後部においても、鋼板形状及び材質を更に良好にする事が可能となり好ましい。以上まとめると、本発明によれば、鋼板搬送方向の均一冷却性を高め、材質均一化と鋼板平坦度改善を図ることができる。
【0036】
以上、添付図面を参照しながら本発明の好適な実施形態について説明したが、本発明はかかる例に限定されないことは言うまでもない。当業者であれば、特許請求の範囲に記載された範疇内において、各種の変更例又は修正例に想到し得ることは明らかであり、それらについても当然に本発明の技術的範囲に属するものと了解される。
【0037】
【表1】


【0038】
【表2】


【図面の簡単な説明】
【0039】
【図1】本発明の第1の実施形態に係る冷却装置を示す模式図である。
【図2】同実施形態に係る冷却装置の前段領域4aでの鋼板長手方向の水量密度分布を示す説明図である。
【図3】同実施形態に係る冷却装置の後段領域4bでの鋼板長手方向の水量密度分布を示す説明図である。
【図4】同実施形態に係る鋼板長手方向における該鋼板の表面温度分布を示す説明図である。
【図5】同実施形態に係る冷却装置の出側での鋼板の表面温度分布を示す説明図である。
【図6】従来の冷却装置の出側での鋼板の表面温度分布を示す説明図である。
【符号の説明】
【0040】
1 圧延機
2 測長ロール
3 鋼板位置検出センサ
4 冷却装置
4a 前段領域
4b 後段領域
4c 冷却ノズル
5 三方弁
6 流量調節弁
7 ヘッダー管
8 制御部
先端領域
先部領域
P 鋼板
【出願人】 【識別番号】000006655
【氏名又は名称】新日本製鐵株式会社
【出願日】 平成18年8月18日(2006.8.18)
【代理人】 【識別番号】100095957
【弁理士】
【氏名又は名称】亀谷 美明

【識別番号】100096389
【弁理士】
【氏名又は名称】金本 哲男

【識別番号】100101557
【弁理士】
【氏名又は名称】萩原 康司


【公開番号】 特開2008−43988(P2008−43988A)
【公開日】 平成20年2月28日(2008.2.28)
【出願番号】 特願2006−223636(P2006−223636)