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【発明の名称】 平角線の製造方法
【発明者】 【氏名】鹿嶋 泰規

【氏名】川上 恭昌

【氏名】上林 裕之

【氏名】池田 毅

【要約】 【課題】長手方向に渡って幅寸法・厚さ寸法が変化する平角線であっても断面積を同一にすることができる平角線の製造方法を提供することを目的とする。

【構成】横断面円形の金属線Dを相対的に接近離間制御される第1圧延ロール1,1及び第2圧延ロール2,2に順次送り込んで最終厚さ寸法と最終幅寸法が連続的に変化する平角線を製造する平角線の製造方法に於て、最終厚さ寸法の大小と逆の厚さ寸法に、上記接近離間制御しつつ第1圧延ロール1,1にて中間線材Mを圧延する方法である。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
中間線材(M)として断面積(Z)が長手方向に大小変化するものを製造し、次に、該中間線材(M)を圧延ロール(2)(2)に送り込んで、上記断面積(Z10)の大きい部位(26)を平角線(C)の最終厚さ寸法(T2 )の小さい部位(31)に、かつ、上記断面積(Z1 )の小さい部位(27)を平角線(C)の最終厚さ寸法(T20)の大きい部位(30)に、各々対応するように、上記圧延ロール(2)(2)を接近離間制御しつつ圧延することを特徴とする平角線の製造方法。
【請求項2】
中間線材(M)として断面積(Z)が長手方向に大小変化するものを製造する第1工程(61)と、上記圧延ロール(2)(2)によって圧延する第2工程(62)とを、連続的に行う請求項1記載の平角線の製造方法。
【請求項3】
中間線材(M)として断面積(Z)が長手方向に大小変化するものを製造する第1工程(61)と、上記圧延ロール(2)(2)によって圧延する第2工程(62)とを、非連続的に行うように、上記中間線材(M)を一旦巻取って、その後、繰出して、上記第2工程62に移る請求項1記載の平角線の製造方法。
【請求項4】
金属線(D)を相対的に接近離間制御される第1圧延ロール(1)(1)及び第2圧延ロール(2)(2)に順次送り込んで最終厚さ寸法と最終幅寸法が長手方向に大小変化する平角線を製造する平角線の製造方法に於て、
上記最終厚さ寸法の大小と逆の厚さ寸法に、上記接近離間制御しつつ上記第1圧延ロール(1)(1)にて中間線材(M)を圧延することを特徴とする平角線の製造方法。
【請求項5】
金属線(D)を相対的に接近離間制御される第1圧延ロール(1)(1)間へ送って、厚さ寸法と幅寸法が連続的に変化する中間線材(M)を形成し、その後、第2圧延ロール(2)(2)間へ該中間線材(M)の上記厚さ寸法に対してロール間隔寸法(X2 )が大小逆となるように相対的に接近離間制御しつつ上記中間線材(M)を送り込み、最終厚さ寸法と最終幅寸法が長手方向に大小変化する平角線を製造することを特徴とする平角線の製造方法。
【請求項6】
上記第2圧延ロール(2)(2)のロール径(R2 )を上記第1圧延ロール(1)(1)のロール径(R1 )より大径にした請求項4又は5記載の平角線の製造方法。
【請求項7】
平角線の最終厚さ寸法と最終幅寸法の積が一定であるように圧延する請求項1,2,3,4又は5記載の平角線の製造方法。
【発明の詳細な説明】【技術分野】
【0001】
本発明は、平角線の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
モータに於て、磁性材料から成る短筒状のステータコアには、(周方向に)多数個の凹状スロットと多数個の凸状磁極とが交互に配設され、マグネットワイヤが磁極に巻回されると共にスロット内へ積層状に挿入されて、磁界を発生させるためのステータが形成される。
モータが大きい回転トルクを効率良く得るためには、スロット(空間)内のマグネットワイヤの占積率(マグネットワイヤの占める体積の割合)を高くする必要があり、従来、横断面円形のマグネットワイヤよりも密(高占積率)に巻回することができる横断面矩形のマグネットワイヤ(平角線)がある。
【0003】
また、図14に示すような内径側に開口する多数個のスロット41を有するステータコア40は、そのスロット41の幅寸法がスロット底部から先端開口部へ向かってテーパ状に小さくなっているため、マグネットワイヤを密に巻回するためには、マグネットワイヤの幅寸法を長手方向に渡って変化させて成型する必要があった。
具体的には、図13に示すように、幅寸法Wを長手方向に渡って連続的に大きく(又は小さく)した平角線42を作製し、図14に示すように、その平角線42の幅広部をスロット41の底部に配置し、先端開口部へ向かって螺旋状に巻回して装着していた。
【0004】
このような幅寸法が長手方向に渡って変化する平角線は、丸線を平角線に成型する従来の製造装置(例えば、特許文献1参照)の一対の圧延ロールのロール間隔を接近離間させることで製造することができる。
また、幅寸法が変化する平角線に於て、電気抵抗を均一にするために、その断面積を長手方向に渡って同一となるように成型することが望まれている。
【特許文献1】特開2004−122165号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、上記平角線の製造方法では、圧延倍率によって平角線の断面積が変化するといった問題があった。このことを示すデータを下記の表1と表2に示す。
【0006】
【表1】


【0007】
【表2】


【0008】
表1で示すのは、長手方向に渡って同一断面積の丸線を平角線に圧延加工した場合のデータである。表1では、圧延倍率が8倍、11.8倍、14.9倍の部分では、それぞれの断面積が2.005 mm2 、1.887 mm2 、1.817 mm2 と変化している。11.8倍、14.9倍の部分では、所定の断面積2mm2 から約10%減少している。
また、表2も、同様に丸線を平角線に圧延加工した場合のデータであり、圧延倍率が5.3 倍、10.2倍の部分で、断面積が2.972 mm2 、2.742 mm2 と変化し、10.2倍のときは所定の断面積3mm2 から約10%減少している。
なお、表1と表2に於て括弧内のパーセント値は平角線の所定(所望の)断面積に対する各断面積の比率であり、圧延倍率は、作製した平角線の“幅寸法÷厚さ寸法”で計算した値である。
【0009】
そして、表1と表2とからわかるように、圧延倍率が高くなる(大きく圧延する)ほどその部分の断面積は小さくなり、断面積を長手方向に渡って同一にすることができなかった。
【0010】
そこで、本発明は、長手方向に渡って幅寸法・厚さ寸法が変化する平角線であっても断面積を略同一にすることができる平角線の製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記目的を達成するために、本発明に係る平角線の製造方法は、中間線材として断面積が長手方向に大小変化するものを製造し、次に、該中間線材を圧延ロールに送り込んで、上記断面積の大きい部位を平角線の最終厚さ寸法の小さい部位に、かつ、上記断面積の小さい部位を平角線の最終厚さ寸法の大きい部位に、各々対応するように、上記圧延ロールを接近離間制御しつつ圧延する方法である。
また、中間線材として断面積が長手方向に大小変化するものを製造する第1工程と、上記圧延ロールによって圧延する第2工程とを、連続的に行う方法である。
あるいは、中間線材として断面積が長手方向に大小変化するものを製造する第1工程と、上記圧延ロールによって圧延する第2工程とを、非連続的に行うように、上記中間線材を一旦巻取って、その後、繰出して、上記第2工程に移る方法である。
【0012】
また、金属線を相対的に接近離間制御される第1圧延ロール及び第2圧延ロールに順次送り込んで最終厚さ寸法と最終幅寸法が長手方向に大小変化する平角線を製造する平角線の製造方法に於て、上記最終厚さ寸法の大小と逆の厚さ寸法に、上記接近離間制御しつつ上記第1圧延ロールにて中間線材を圧延する方法である。
【0013】
また、金属線を相対的に接近離間制御される第1圧延ロール間へ送って、厚さ寸法と幅寸法が連続的に変化する中間線材を形成し、その後、第2圧延ロール間へ該中間線材の上記厚さ寸法に対してロール間隔寸法が大小逆となるようにように相対的に接近離間制御しつつ上記中間線材を送り込み、最終厚さ寸法と最終幅寸法が長手方向に大小変化する平角線を製造する方法である。
また、上記第2圧延ロールのロール径を上記第1圧延ロールのロール径より大径にするのが望ましい。
そして、平角線の最終厚さ寸法と最終幅寸法の積が一定であるように圧延する方法である。
【発明の効果】
【0014】
本発明は、次のような著大な効果を奏する。
本発明に係る平角線の製造方法によれば、幅寸法と厚さ寸法が変化し、かつ、長手方向に渡って断面積が略同一となる平角線を製造することができる。
従来の製造方法では、平角線の断面積が均一でないため、全体の通電能力は最小断面積の部分の通電能力に限られてしまうといった欠点があったが、本発明の製造方法により、平角線全長の電気抵抗を均一にすることができ、高性能の平角線(マグネットワイヤ)を連続して製造することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
図1は、本発明の平角線の製造方法を実施するための製造装置を示す全体概略図である。
図に於て、左端の10は銅製等の横断面円形又は正方形若しくは矩形や他の断面形状の金属線Dを巻設した供給ドラム、右端の13は製造した平角線を巻き取る巻取ドラムであり、左側から右側へ金属線Dが送られる。供給ドラム10と巻取ドラム13との途中には、一対の第1圧延ロール1,1と、一対の第2圧延ロール2,2とが上流から下流へ順次設置されている。第1圧延ロール1,1と第2圧延ロール2,2は、どちらも相対的に接近離間制御されるようになっている。また、第1圧延ロール1,1と第2圧延ロール2,2のそれぞれの下流には、各圧延ロールのロール間隔やロール接近離間速度等を制御するロール制御装置11,12が設置されている。14と15は張力調整装置である。なお、図に於て、第1圧延ロール1,1と第2圧延ロール2,2は、それぞれ上下に並設された上下圧延ロールである。
【0016】
まず、本発明の平角線の製造方法の概略について説明する。
図1に於て、供給ドラム10から長手方向に渡って同一円形断面の金属線Dを繰り出し、相対的に接近離間制御される第1圧延ロール1,1の間に供給し圧延すると、図2の(I)に示すような厚さ寸法と幅寸法が(長手方向に渡って)大小変化する中間線材Mが形成される。図2(I)に於ては、中間線材Mの厚さ寸法と幅寸法が連続的(直線的)に変化している場合を例示する。
【0017】
そして、中間線材Mを第2圧延ロール2,2へと送る。第2圧延ロール2,2は、そのロール間隔寸法が送り込まれる中間線材Mの厚さ寸法に対して大小逆となるように相対的に接近離間制御され、このように制御しつつ通過する中間線材Mを圧延して、図2の(II)に示すような厚さ寸法と幅寸法とが(長手方向に渡って)連続的に変化する平角線(完成品)Cが形成される。
【0018】
即ち、第2圧延ロール2,2にて、中間線材Mをその厚さ寸法が厚い部分ほど薄くなるように圧延する。そして、図2の(I)(II)の如く、平角線Cの厚さ寸法・幅寸法の大小は、中間線材Mの厚さ寸法・幅寸法の大小と逆になるように形成される。
【0019】
言い換えれば、第1圧延ロール1,1のロール間隔寸法を制御し、平角線Cの最終厚さ寸法の大小と逆の厚さ寸法に第1圧延ロール1,1にて中間線材Mを圧延成型する。
【0020】
図2に示すように、中間線材Mは、厚さ寸法が大きく幅寸法が小さい仮幅狭部S1 と、厚さ寸法が小さく幅寸法が大きい仮幅広部H1 とが、交互に形成され、また、平角線Cは、厚さ寸法が小さく幅寸法が大きい最終幅広部H2 と、厚さ寸法が大きく幅寸法が小さい最終幅狭部S2 とが、交互に形成されている。そして、仮幅狭部S1 が最終幅広部H2 となり、仮幅広部H1 が最終幅狭部S2 となるように(第2圧延ロール2,2にて)圧延される。
【0021】
また、図3は、金属線Dから中間線材Mを経て平角線Cへと形成する圧延工程の流れを断面視にて示した図であり、(イ)は、金属線D→仮幅広部H1 →最終幅狭部S2 へと変化する様子を示し、(ロ)は金属線D→仮幅狭部S1 →最終幅広部H2 へと変化する様子を示す。(イ)(ロ)に於て、(O)は圧延加工前の金属線Dの横断面を示し、(I)は第1圧延ロール1,1で圧延して成型した中間線材Mの横断面、(II)は第2圧延ロール2,2で圧延して成型した平角線Cの横断面を示す。
【0022】
次に、本発明の平角線の製造方法、及び、第1圧延ロール1,1・第2圧延ロール2,2の作用について詳しく説明する。
第1圧延ロール1,1はその上ロール1aが所定速度で上昇下降するように(下ロール1bに対し接近離間するように)ロール制御装置11にて制御されており(図1参照)、図4に示すように、第1圧延ロール1,1はそのロール間隔寸法X1 を変化させつつ送り込まれる金属線Dを圧延して中間線材Mを成型する。中間線材Mは、上下に平坦なロール押圧面3,3が形成され(図3参照)、図4に於て、上側のロール押圧面3は送り方向(長手方向)に上昇下降を繰り返すように傾斜して形成され、下側のロール押圧面3はストレート状となっている。
【0023】
図5の(a)は中間線材Mの平面説明図、(b)は正面説明図であり、径寸法rの金属線Dを比較のために二点鎖線で示している。
図5(a)に於て、中間線材Mはその幅寸法が連続的に拡大縮小し、言い換えれば、中間線材Mの左右端縁はテーパ状に接近離間するように対称に配設されている。また、中間線材Mに於て、最大の幅寸法W10の仮幅広部H1 と、最小幅寸法W1 の仮幅狭部S1 とが、交互に配設されている。そして、隣り合う仮幅広部H1 と仮幅狭部S1 との間は、同じ長さ寸法(ピッチ)L1 に形成されている。また、図5(b)に示すように、中間線材Mの厚さ寸法は、仮幅広部H1 で最小の厚さ寸法T1 になり、仮幅狭部S1 で最大の厚さ寸法T10となっている。
【0024】
第1圧延ロール1,1で圧延され作製された中間線材Mは、第2圧延ロール2,2へと送られる。第2圧延ロール2,2はその上ロール2aが所定速度で上昇下降するように(下ロール2bに対し接近離間するように)ロール制御装置12にて制御されており(図1参照)、図6と図7に示すように、第2圧延ロール2,2はそのロール間隔寸法X2 を変化させつつ送り込まれる中間線材Mを圧延して平角線Cを形成する。
【0025】
さらに、第2圧延ロール2,2は中間線材Mの厚さ寸法に対してロール間隔寸法X2 が大小逆となるように制御されている。このことを、模式図8で説明する。
図8は金属線D→中間線材M→平角線Cの圧延(変形)の過程をひとつにまとめて描いた図であり、二点鎖線は金属線Dの上端縁、一点鎖線は中間線材Mの上端縁(ロール押圧面)を示し、実線と斜線にて平角線Cを示す。なお、金属線Dと中間線材Mのそれぞれの下端縁は、平角線Cの下端縁と重なって示されている。
【0026】
また、図8に於て、第2圧延ロール2,2のロール間隔寸法X2 の時間変化を右から左へ表す。このように、中間線材Mの厚さ寸法が(右端から中間へ向かって)大きくなるにつれてロール間隔寸法X2 を小さくなるように制御し、中間線材Mの厚さ寸法が(中間から左端へ向かって)小さくなるにつれてロール間隔寸法X2 を大きくなるように制御する。
【0027】
具体的には、図6に於て、上下ロール2a,2bの各々の外周面の接近する位置を圧延ポイントPとすると、中間線材Mの最小厚さ寸法の仮幅広部H1 が、圧延ポイントPに達したときのロール間隔寸法X2 が最大となり、その後、圧延ポイントPを通過する中間線材Mの厚さ寸法が大きくなるにつれてロール間隔寸法X2 が小さくなるように制御しつつ圧延する。
【0028】
そして、図7に示すように、最大厚さ寸法の仮幅狭部S1 が圧延ポイントPに達したときにロール間隔寸法X2 が最小となり、圧延ポイントPを通過する中間線材Mの厚さ寸法が小さくなるにつれてロール間隔寸法X2 が大きくなるように制御しつつ圧延する。その後、図6と図7で説明した圧延を繰り返し行う。
【0029】
このように、第2圧延ロール2,2にて圧延して作製された平角線Cは、図9(a)の平面説明図に示すように、幅寸法が連続的に拡大縮小し、言い換えれば、平角線Cの左右端縁はテーパ状に接近離間するように対称に配設されている。この平角線Cに於て、最小の幅寸法W2 の最終幅狭部S2 と、最大の幅寸法W20の最終幅広部H2 とが、交互に配設されている。そして、隣り合う最終幅狭部S2 と最終幅広部H2 との間は、同じ長さ寸法(ピッチ)L2 に形成されている。
【0030】
また、図9(b)に示すように、平角線Cの厚さ寸法は連続状に拡大縮小し、上側のロール押圧面3は長手方向に上昇下降を繰り返すように傾斜して形成され、下側のロール押圧面3はストレート状となっている。平角線Cの厚さ寸法は、最終幅狭部S2 で最大の厚さ寸法T20となり、最終幅広部H2 で最小の厚さ寸法のT2 となっている。
なお、図9(a)(b)に於て、比較のために二点鎖線で径寸法rの金属線Dを示している。
【0031】
図10の(a)(b)は中間線材Mと平角線Cとのそれぞれの平面説明図と正面説明図とを重ね合わせた図である。図10(b)に示すように、中間線材Mの仮幅狭部S1 から平角線Cの最終幅広部H2 への圧延加工が最も圧縮量(圧延倍率)が大きく、これにより、図10(a)に示す如く、幅寸法がW1 からW20へ最も大きく拡大している。また、中間線材Mの仮幅広部H1 から最終幅狭部S2 への圧延加工は最も圧縮量(圧延倍率)が小さく、幅寸法はW10からW2 へと拡大量が小さい。
【0032】
また、中間線材Mを第2圧延ロール2,2にて圧延する際、長手方向にも伸びるので、図10(a)に示すように、作製された平角線Cの長さ寸法L2 は中間線材Mの長さ寸法L1 より長くなっている。なお、図8は模式図のため中間線材Mと平角線Cとを同じ長さ寸法(同じピッチ)で図示している。また、中間線材M及び平角線Cの長さ寸法L1 ,L2 は、実際はそれぞれの幅寸法・厚さ寸法に対して非常に大きい(長い)寸法となっているが、図2、図4〜図10では分かりやすくするため実際の寸法とは異なる寸法で描いている。
【0033】
このように、製造された平角線Cは、その長手方向に渡って断面積が略同一となっている。この原理を以下説明する。
上記表1と表2で説明したように、圧延倍率(圧縮量)が大きいほど圧延後の金属線の断面積が小さくなる(減少する)ことが一般的に知られており、本発明はこの原理を応用している。
【0034】
図3(イ)(ロ)の(O)から(I)への圧縮で示すように、径寸法rの金属線Dが、厚さ寸法T1 の仮幅広部H1 と、厚さ寸法T10の仮幅狭部S1 とに圧縮(圧延)されている。図からわかるように、厚さ寸法T1 の方が厚さ寸法T10より小さく、言い換えれば、金属線Dからの圧縮量(圧延倍率)は、仮幅広部H1 の方が仮幅狭部S1 より大きいので、仮幅広部H1 の断面積Z1 は、仮幅狭部S1 の断面積Z10よりも減少し小さくなる。
【0035】
そして、図3(イ)(ロ)の(I)から(II)への圧縮では、厚さ寸法T10からT2 への圧縮量は、厚さ寸法T1 からT20への圧縮量より大きい。つまり、(I)の状態でZ1 <Z10の関係にあった断面積が、(II)の状態へと圧縮されるときに、断面積Z10の方がZ1 より減少するので、最終幅狭部S2 の断面積Z20と最終幅広部H2 の断面積Z2 とを同じ(略同一)となるように調整することができる。
【0036】
また、(イ)(ロ)の(II)での平角線Cの最終厚さ寸法T20とT2 とを比較すると、金属線Dからの累積圧縮量が異なるにもかかわらず、断面積Z20とZ2 とが略同一とすることができるのは、(O)から(I)へ圧縮する際の断面積減少率(単位圧縮量当たりの断面積減少量)より、(I)から(II)へ圧縮する際の断面積減少率(単位圧縮量当たりの断面積減少量)の方が小さいからである。
【0037】
図8に於て(イ)(ロ)のそれぞれの縦方向の(O)→(I)→(II)の変化は、図3の(イ)(ロ)の(O)→(I)→(II)の変化と対応して示したものであり、図8に示すように、(ロ)の(I)→(II)への圧縮が最も大きく変化している。(ロ)場合の(O)→(II)までの圧縮による断面積の減少には、この(I)→(II)への圧縮が大きく影響する。そして、本発明では、(O)→(I)へ圧縮する際の断面積減少率より、(I)→(II)へ圧縮する際の断面積減少率の方が小さくなることで、(ロ)の場合に大きく圧縮されても断面積の減少を抑えて、結果として(イ)の(II)の状態と断面積を略同一となるようにしている。言い換えれば、大きく圧延する部分を第2圧延ロール2,2にて圧延することで、断面積の減少を抑え平角線Cの断面積を長手方向に渡って略同一となるようにしている。
【0038】
このように断面積の減少率が(O)→(I)と(I)→(II)とで異なる理由について説明する。
図3に於て、(O)→(I)へ圧縮する場合、円形断面の金属線Dに平坦なロール押圧面3を形成しつつ第1圧延ロール1,1間を通過させるので(図4参照)、通過の際の抵抗が大きい。これに対し、(I)→(II)へ圧縮する場合は、既に中間線材Mにロール押圧面3が形成されているため、中間線材Mが第2圧延ロール2,2間を通過する際の抵抗が小さく(図6、図7参照)、第1圧延ロール1,1より通過し易い。
【0039】
即ち、金属線Dは第1圧延ロール1,1間を越えにくく(通過しにくく)、通過時の断面積の減少量が大きくなる。これに対し、中間線材Mは第2圧延ロール2,2間をスムーズに越え易く、通過時の断面積の減少量が小さい。
このように、第2圧延ロール2,2の金属線(中間線材M)の圧延時の断面積減少率(単位圧縮量当たりの断面積減少量)が、第1圧延ロール1,1の金属線(金属線D)の圧延時の断面積減少率(単位圧縮量当たりの断面積減少量)より、小さくなる。
【0040】
さらに、一般に、ロール径が大きいほど、金属線とのロールの接触面がなだらかになり、金属線は通過し易くなる。そして、本発明では、図1に示すように、第2圧延ロール2,2のロール径R2 を第1圧延ロール1,1のロール径R1 より大径にすることで、第2圧延ロール2,2の方が通過し易く、即ち、圧延時の金属線(中間線材)の断面積減少率が(第1圧延ロール1,1より)小さくなる。
また、ロール圧延時の金属線断面積減少率は、ロールと金属線との間に生じる摩擦力や、金属線に付与する張力等によっても異なり、これらを調整することによって、第1圧延ロール1,1と第2圧延ロール2,2との金属線断面積減少率を調整してもよい。
【0041】
ところで、図15に示した他の実施の形態のように、最終製品としての平角線Cに、(同一断面形状が短い所定長さにわたって形成された)渡り部50を設けるも望ましく、そのために、(必要に応じて)中間線材Mにも渡り(予定)部52を形成する。この渡り部50とは、完成製品には使用しないが、製造上必要な部分を指し、例えば、長尺の線状部材(平角線)を巻くときの掴持代(つかみ代)としたり、長さ調整のための余備代等に利用される。さらに説明すれば、所定長さに切断して完成製品として使用する場合、その所定長さの何倍も長尺の平角線Cを製造し、その後、上記所定長さ毎に切断する際、上記渡り部50にて切断して、寸法調整したり、あるいは、工具(治具)のつかみ代として活用可能である。
この図15は、既述した図2の変形例と言うこともできる。即ち最終幅狭部S2 、及び/又は、最終幅広部H2 に、幅寸法と厚さ寸法の変化しない領域を形成して、上記渡り部50とする。そのとき、中間線材Mに於ては、図15(I)では、渡り予定部52を予め形成した場合を示すが、所望により、この渡り予定部52を予め形成した場合を示すが、所望により、この渡り予定部52を省略することも可能な場合ある。
【0042】
図11と図12で示すのは、本発明の製造方法で製造した平角線の厚さ寸法・幅寸法・断面積の値を長手方向に渡って示したグラフ図であり、図11と図12は共に平角線の長さ寸法を横軸として対応して示されている。
図11に於て、実線で示すのは幅寸法、二点鎖線で示すのは厚さ寸法であり、幅寸法と厚さ寸法はそれぞれ互い違いに拡大縮小を繰り返して表示され、図11には、図15の渡り部50に対応して、厚さ寸法・幅寸法が一定の部位が山頂フラット部・谷底フラット部として、示されている。
このように、幅寸法と厚さ寸法とが長手方向に変化する平角線であるが、図12に示すように、その断面積は3mm2 近傍の値を示し、長手方向に渡って略同一となっていることがわかる。
【0043】
また、下記の表3と表4に示すのは、本発明の製造方法で製造した別の2種類の平角線の圧延倍率に対する断面積のデータである。なお、表3と表4に於て括弧内のパーセント値は平角線の所定断面積に対する各断面積の比率であり、圧延倍率は、作製した平角線の“幅寸法÷厚さ寸法”で計算した値である。
【0044】
【表3】


【0045】
【表4】


【0046】
表3は、断面積同一の丸線を平角線に圧延加工した場合のデータである。圧延倍率が9.28倍、12.7倍、16.6倍の部分に於て、それぞれの断面積が2.022 mm2 、2.036 mm2 、2.029 mm2 となり、どれも所定断面積2mm2 とほぼ同じ値となった。
また、表4では、同様に丸線を平角線に圧延加工した場合のデータであり。圧延倍率が 5.5倍、 7.5倍、10.8倍の部分に於て、それぞれの断面積が3.016 mm2 、3.031 mm2 、3.026 mm2 となり、どれも所定断面積3mm2 とほぼ同じ値となった。
【0047】
上記表1と表2に示した従来の平角線の製造方法では、圧延倍率が高くなると所定の断面積に対し約10%減少していたが、本発明の平角線の製造方法では、圧延倍率が高い部分でも所定の断面積に対し約1%の微小な差に抑えることができた。
【0048】
ところで、上述の実施の形態(図3等参照)に於ては、金属線Dは、断面円形の場合について説明したが、本発明に係る製造方法では、この断面円形以外に、断面矩形(正方形を含む)や、その他異形断面の金属線Dとするも、上述の実施の形態と同様の作用効果が得られ、図1〜図12にて説明したと同様の構成である。
【0049】
また、図21(a)に於て、図15(II)にて説明した平角線Cの正面図(縦断面図)を示し、(同一厚さ寸法の)渡り部50を有すると共に、ストレート状に連続的に厚さ寸法が大小変化している。下面17が平坦面であると共に、上面18が勾配部19と水平部20を有する(この水平部20が渡り部50を形成する。)
【0050】
次に、図21(b)に示す正面図に於ては、上面18と下面17が上下対称形に、水平部20, 20及び勾配部19, 19を有するように、ストレート状に連続的に、厚さ寸法が大小変化させることも、既述の製造方法にて、製造可能であり、このようにすることも好ましことを示している。
また、図21(c)に於ては、下面17は平坦面であると共に、上面18が段階的に変化しており、既述の製造方法に於て、第1・第2圧延ロール(1)(1);(2)(2)を、相対的に、かつ、段階的に接近離間させるように制御して、最終厚さ寸法を段階的に大小変化させて製造することが可能である。なお、図21(c)では最小厚さ寸法の一部長さのみを、渡り部50とした場合を例示している。
【0051】
次に、図21(d)に於ては、上面18と下面17を、上下対称形に、段階的に変化させて、既述の製造方法に於て、第1・第2圧延ロール(1)(1);(2)(2)を、相対的に、かつ、段階的に、接近離間制御して、最終厚さ寸法を、図の如く、大小変化した平角線を製造することが可能である。なお、図21(d)では、最小厚さ寸法の一部長さのみを、渡り部50とした場合を例示した。
【0052】
さらに、図22(a)又は(b)に示すように、平角線(C)の厚さ寸法を長手方向に変化させるも、自由である。即ち、図22(a)に示すように、下面17は平坦面であると共に、上面18が非ストレート状に連続的に増減(大小)変化している。つまり、上面18が、凹曲線状(実線)又は凸曲線状(2点鎖線)として、勾配部19Aが改正されている。なお、水平部20も付加形成され、この水平部20の一部乃至全部を、渡り部50としても良い。他方、図22(b)に於ては、上面18と下面17が上下対称形として、各々が、非ストレート状に連続的に増減(大小)変化している。つまり、上面18及び下面17が、実線にて示した凹曲線状、又は、2点鎖線にて示した凸曲線状として、勾配部19Aが上下対称形に形成されている。そして、水平部20も付加形成されており、所望により、この水平部20の一部乃至全部を、渡り部50としても良い。
【0053】
既述の製造方法に於て、第1・第2圧延ロール(1)(1);(2)(2)を、相対的に、かつ、段階的に、接近離間制御して、最終厚さ寸法を、図22(a)や図22(b)のように、製造することも可能であることを、示す。
次に、図23(a)又は(b)に示すような最終厚さ寸法を大小変化させるも、望ましいことがある。つまり、図23(a)は、上述の図21(a)と(c)とを合わせた構成であって、最終厚さ寸法を、段階的かつ漸増・漸減するように、大小変化させている。なお、図23(a)では、下面17は平坦面であり、上面18が段差21のある段階的変化、及び、各ステップ面が勾配部19Bとした、図12(a)と(c)との合体変化を示す。
【0054】
また、図23(b)は、上述の図21(b)と(d)とを合わせた構成であり、最終厚さ寸法を、段階的かつ漸増・漸減するように、長手方向大小変化させている。なお、図23(b)では、上面18と下面17は上下対称形に変化しており、各々は、段差21のある段階的変化、及び、各ステップ面が勾配部19Bとした、図21(b)と(d)との合体変化を示す。
【0055】
この図23 (a)(b) のような最終厚さ寸法となるように、既述の製造方法に於て、第1・第2圧延ロール(1)(1);(2)(2)を、相対的に、かつ、段階的に、接近離間制御して、製造できる。
ところで、図21〜図23に於て、対応する平面図に関しては、図示省略したが、既述の図2〜図10の如く、厚さ寸法の大きいところは幅寸法が小さく、かつ、厚さ寸法の小さいところは幅寸法が大きく、略同一の断面積となる。即ち、平角線Cの最終厚さ寸法と最終幅寸法の積が一定であるように圧延にて形成する。
【0056】
また、本発明の製造方法は設計変更自由であり、図1に於て、成型した平角線Cを巻取ドラム13にて巻き取らずに、そのまま下流側に設けられた(図示省略の)電着バス、乾燥装置、焼付け炉とに順次連続して搬送し、平角線Cの外周面に絶縁材料を均一に付着(電着)するようにしてもよい。
なお、第1圧延ロール1,1と第2圧延ロール2,2とを、それぞれ左右一対の圧延ロールとしてもよく、また、それぞれの一対圧延ロールを両方とも動かして接近離間するように制御しても構わない。
【0057】
また、圧延ロールを一対だけ配置し、その圧延ロールで中間線材Mを製造した後、一旦巻取り、その後、同じ圧延ロールに中間線材Mを送り平角線Cを製造してもよい。即ち、この場合は、1台(一対)の圧延ロールが、第1圧延ロール1,1と第2圧延ロール2,2との役割を兼ねている。
【0058】
また、圧延ロールは3台以上設置しても自由である。この場合は、最下流の圧延ロールが上記第2圧延ロール2,2の役割を果たし、その一つ上流側の圧延ロールが上記第1圧延ロール1,1の役割を果たす。そして、各圧延ロールのロール径を下流に向かって大きくなるように設定してもよい。
【0059】
なお、図9のように製造された平角線Cは、1ピッチ(長さ寸法L2 )ごとに切断してステータコアに巻設してもよく、また、巻設の仕方によって2ピッチごと、3ピッチごと等に切断箇所を適宜変えて使用しても自由である。なお、図9では渡り部が省略されていることは既に述べたが、図15(II)、及び、図21〜図23のように、渡り部50を設けておけば、切断する際の長さ調整が容易である。
【0060】
次に、図16(a)と図17と図18は、他の実施の形態を示す。即ち、中間線材Mとして断面積Zが長手方向に大小変化するものとして、例えば、図17(I)のように、断面円形で連続的に大小大小…と繰返し変化するものを、製造する。これを第1工程と呼べば、図16(a)では、この第1工程にて得た中間線材Mを、一旦ロール状22に巻取る。その後、ロール状22の中間線材Mを繰出して、圧延ロール2,2によって圧延する第2工程によって、平角線Cを製造する。
【0061】
上記第1工程について説明すると、図18(O)に示す大径(大断面積)の円形素材23を、ロールフォーミングによって(後述の図16(b)のロールフォーミング手段24参照)、又は、機械的切削(研削)によって、図17(I)に示すように、断面積が大小大小…と変化する中間線材Mを、製造する。
【0062】
次に、第2工程について説明する。図16に於て、25は、このような中間線材Mをロール状22に巻設した供給ドラムを示し、同図の右端には製造した平角線Cを巻き取る巻取ドラムであり、矢印F方向に中間線材Mは送られる。圧延ロール2,2は、既述の実施の形態(図1)の第2圧延ロールと同様の構成であって、同様の作動を行う。つまり、この圧延ロール2,2は相対的に接近離間制御され、かつ、ロール制御装置12が付設され、圧延ロール2,2の間隔やロール接近離間速度等の制御を行う。この圧延ロール2,2は、そのロール間隔寸法が、送り込まれる中間線材Mの断面積Zの大小と、大小逆となるように制御される。
【0063】
つまり、中間線材Mを圧延ロール2,2に送り込んで、断面積Z10の大きい部位26を、平角線Cの最終厚さ寸法T2 の小さい部位31に、かつ、中間線材Mの断面積Z1 の小さい部位27を平角線Cの最終厚さ寸法T20の大きい部位30に、各々対応するように、圧延ロール2,2を接近離間制御しつつ、圧延して、巻取ドラム13に巻取る。
図16(a)では、一旦、中間線材Mをドラム25に巻取って、その後、繰出すので、第1工程と第2工程は、非連続的に行っているといえる。
【0064】
これに対して、図16(b)では、中間線材Mとして断面積Zが長手方向に大小変化するものを製造する第1工程61と、圧延ロール2,2によって圧延する第2工程62とを、連続的に行う実施の形態を示す。即ち、図16(b)に於て、図18に示した(円形)素材23を巻設したドラム25Aから、素材23を繰出して、その断面に於て異なるラジアル方向から、フォーミングローラ32, 32;33, 33にて縮径加工を行い、しかも、図17(I)に例示の如く、断面積Zが大小大小…と変化するように、塑性加工率(度合)を変化させつつ送って、引続いて圧延ロール2,2にて(既述の方法にて)平角線Cを連続工程で製造する。
【0065】
次に、図24と図25は、さらに他の実施の形態を示す。即ち、中間線材Mとして断面積Zが長手方向に大小変化するものとして、図24(I)のように、機械的切削(研削)によって、例えば、断面形状を円形から一弦を切削(研削)除去して形成した形状として、連続的に大小大小…と繰返し変化するものを、製造する。これを第1工程と呼べば、その後、図16(a)に示したように、この第1工程にて得た中間線材Mを、一旦ロール状22に巻取る。その後、ロール状22の中間線材Mを繰出して、圧延ロール2,2によって圧延する第2工程によって、平角線Cを製造する。
【0066】
上記第1工程について説明すると、図25(O)に示す円形素材23′を、機械的切削(研削)によって、図24(I)に示すように、断面積が大小大小…と変化する中間線材Mを、製造する。その後は、図16(a)にて示した第2工程に於て、このような中間線材Mをロール状22に巻いた供給ドラムから繰出して、記述の製法と同様にして、図25(I)から(II)に示す如く、圧延ロール2, 2によって、送り込まれる中間線材Mの断面積Zの大小と、大小逆となるように制御しつつ圧延して、巻取ドラム13に巻取られる。
図16(a)では、第1工程と第2工程は、非連続的に行っている。
なお、図16(b)に於て、ロールフォーミング手段24の部位に、連続的に機械加工(切削や研削)にて、図25(O)から(I)への横断面を長手方向に変化させる機械加工装置を、放置するのも望ましい。そうすれば、中間線材Mとして断面積Zが、長手方向に大小変化するものを製造する第1工程61と、図25(I)から(II)のように、圧延ロール2, 2によって圧延する第2工程62とを、連続的に行い得る。
【0067】
要するに、図16〜図18、又は、図6と図24, 図25に示した本発明の製法の実施の形態では、中間線材Mとして断面積Zが長手方向に大小変化するものを製造し、次に、該中間線材Mを圧延ロール2,2に送り込んで、上記断面積Z10の大きい部位26を平角線Cの最終厚さ寸法T2 の小さい部位31に、かつ、上記断面積Z1 の小さい部位27を平角線Cの最終厚さ寸法T20の大きい部位30に、各々対応するように、上記圧延ロール2,2を接近離間制御しつつ圧延する方法であるが、既述の図1〜図3の実施の形態の製法も、(言い方を換えれば、)同様の構成である。従って、図1〜図3の場合に、図6〜図8等にて説明した原理によって、最終製品(平角線C)の断面積は略同一となる。
なお、図17(II), 図24(II)に於て、渡り部50を形成した場合を示している。
【0068】
次に、図19と図20は、別の実施の形態を示し、図17と図18に各々対応する図面である。即ち、図19(I)と図20(O)(I)に示すように、断面矩形(正方形を含む)の素材23から、断面積Zが長手方向に大小変化する断面矩形(正方形を含む)の中間線材Mを製造する第1工程と、その後、この中間線材Mから平角線Cを製造する第2工程とから、構成され、横断面形状が相違する以外は、図16及び図17と図18と同様の構成であるので、詳細説明を省略する。なお、図19と図20と、図17と図18と同様の構成であるので、詳細説明を省略する。なお、図19と図20と、図17と図18と、同一符号は同様の構成である。(なお、図19(I)に於て、渡り予定部52を形成している場合を例示した。)
【0069】
なお、図17(II)又は図19(II)若しくは図24(II)に於て、平角線Cの厚さを示す形状(正面視形状)は、図21(a)又は(b)のようにストレート状に漸増・漸減する勾配部19を有する形状を、例示した。しかしながら、図16〜図20、又は、図24, 25に示した製造方法にあっても、製造される平角線Cの正面視形状は、図21 (c)(d) 、図22 (a)(b) 及び図23 (a)(b) のように、種々設計変更自由であり、その場合、図17(I)や図19(I)や図24(I)に示したように、中間線材Mがストレートテーパ型に変化する以外に、(段差をもって)段階的に変化したり、凹曲面状や凸曲面状に変化したり、さらには、段階的変化とテーパ型変化とを結合した変化を呈する形状とする。
なお、上述の第1工程にて、素材23から中間線材Mを製造するために、ロールフォーミング又は機械的切削(研削)の方法については既に説明したが、これ以外の方法を用いるも自由である。例えば、引抜き速度を変化させる引抜き加工、又は、スウェージングマシンによる方法やプレスによる塑性加工等がある。なお、前述した第1圧延ロール1, 第2圧延ロール2については、サイズにもよるが、駆動式でも、非駆動式でも、選択自由である。
【0070】
上述の如く、本発明の平角線の製造方法は、中間線材Mとして断面積Zが長手方向に大小変化するものを製造し、次に、該中間線材Mを圧延ロール2,2に送り込んで、上記断面積Z10の大きい部位26を平角線Cの最終厚さ寸法T2 の小さい部位31に、かつ、上記断面積Z1 の小さい部位27を平角線Cの最終厚さ寸法T20の大きい部位30に、各々対応するように、上記圧延ロール2,2を接近離間制御しつつ圧延する方法であるので、ロールフォーミングや機械的切削(研削)等にて中間線材Mを容易に製造できて、平角線Cとして、厚さ寸法及び幅寸法を所望のものとして容易に得られる。しかも、平角線の断面積が長手方向に渡って均等としやすい。従って、平角線全長の電気抵抗を均一化して、マグネットワイヤ等に好適な高性能なものが得られる。
【0071】
また、中間線材Mとして断面積Zが長手方向に大小変化するものを製造する第1工程61と、上記圧延ロール2,2によって圧延する第2工程62とを、連続的に行うことによって、高能率で連続して平角線Cが製造でき、中間線材Mの在庫スペースを必要としない。
【0072】
また、中間線材Mとして断面積Zが長手方向に大小変化するものを製造する第1工程61と、上記圧延ロール2,2によって圧延する第2工程62とを、非連続的に行うように、上記中間線材Mを一旦巻取って、その後、繰出して、上記第2工程62に移る方法であれば、中間線材Mを製造する第1工程用の製造設備と、その後の平角線Cを製造する第2工程用の製造設備とを、各々、最適なものとすることができ、かつ、各々の生産能力を最適化して、全体としての生産能率アップを量り得る。
【0073】
また、本発明の平角線の製造方法は、横断面円形の金属線Dを相対的に接近離間制御される第1圧延ロール1,1及び第2圧延ロール2,2に順次送り込んで最終厚さ寸法と最終幅寸法が連続的に変化する平角線を製造する平角線の製造方法に於て、最終厚さ寸法の大小と逆の厚さ寸法に、上記接近離間制御しつつ第1圧延ロール1,1にて中間線材Mを圧延するので、幅寸法と厚さ寸法が変化し、かつ、断面積が長手方向に渡って略同一となる平角線を製造することができる。
即ち、第1圧延ロール1,1では、円形断面の金属線Dを圧延して平坦面を形成し中間線材Mを製造するので、金属線Dは第1圧延ロール1,1間を越えにくく(通過しにくく)、通過時の断面積の減少量が大きくなる。これに対し、第2圧延ロール2,2では、既に平坦面が形成された中間線材Mを圧延して平角線を製造するので、中間線材Mは第2圧延ロール2,2間をスムーズに越え易く、通過時の断面積の減少量が小さい。このように、大きく圧延する部分を第2圧延ロール2,2にて圧延することで、断面積の減少を抑え長手方向に渡って略同一断面の平角線を製造することができる。
【0074】
従来の製造方法では、平角線の断面積が均一でないため、全体の通電能力は最小断面積の部分の通電能力に限られてしまうといった欠点があったが、本発明の製造方法により、平角線全長の電気抵抗を均一にすることができ、高性能の平角線(マグネットワイヤ)を連続して製造することができる。
また、既存の設備の簡単な改造をするだけで、本発明の方法にて平角線を製造することができ、安価に製造することが可能となる。
【0075】
また、横断面円形の金属線Dを相対的に接近離間制御される第1圧延ロール1,1間へ送って、厚さ寸法と幅寸法が連続的に変化する中間線材Mを形成し、その後、第2圧延ロール2,2間へ中間線材Mの厚さ寸法に対してロール間隔寸法X2 が大小逆となるように相対的に接近離間制御しつつ中間線材Mを送り込み、最終厚さ寸法と最終幅寸法が連続的に変化する平角線を製造するので、幅寸法と厚さ寸法が変化し、かつ、断面積が長手方向に渡って略同一となる平角線を製造することができる。
即ち、第1圧延ロール1,1では、円形断面の金属線Dを圧延して平坦面を形成し中間線材Mを製造するので、金属線Dは第1圧延ロール1,1間を越えにくく(通過しにくく)、通過時の断面積の減少量が大きくなる。これに対し、第2圧延ロール2,2では、既に平坦面が形成された中間線材Mを圧延して平角線を製造するので、中間線材Mは第2圧延ロール2,2間をスムーズに越え易く、通過時の断面積の減少量が小さい。このように、大きく圧延する部分を第2圧延ロール2,2にて圧延することで、断面積の減少を抑え長手方向に渡って略同一断面の平角線を製造することができる。
【0076】
従来の製造方法では、平角線の断面積が均一でないため、全体の通電能力は最小断面積の部分の通電能力に限られてしまうといった欠点があったが、本発明の製造方法により、平角線全長の電気抵抗を均一にすることができ、高性能の平角線(マグネットワイヤ)を連続して製造することができる。
また、既存の設備の簡単な改造をするだけで、本発明の方法にて平角線を製造することができ、安価に製造することが可能となる。
【0077】
また、第2圧延ロール2,2のロール径R2 を第1圧延ロール1,1のロール径R1 より大径にしたので、第2圧延ロール2,2の金属線(中間線材M)の圧延時の断面積減少率を、第1圧延ロール1,1の金属線Dの圧延時の断面積減少率より、小さくすることができる。
即ち、ロール径が大きいほど、金属線とのロールの接触面がなだらかになり、金属線は通過し易くなるので、大径の第2圧延ロール2,2の方が小径の第1圧延ロール1,1より、金属線(中間線材M)が通過し易く、通過時(圧延時)の断面積の減少を抑えることができる。
【図面の簡単な説明】
【0078】
【図1】本発明の平角線の製造方法を実施するための製造装置を示す全体概略図である。
【図2】説明用斜視図であって、(I)は中間線材の斜視図、(II)は平角線の斜視図である。
【図3】要部断面図であって、(イ)(ロ)の(O)は金属線の要部断面図、(イ)(ロ)の(I)は中間線材の要部断面図、(イ)(ロ)の(II)は平角線の要部断面図である。
【図4】第1圧延ロールの作用説明図である。
【図5】中間線材の説明図であって、(a)は平面説明図、(b)は正面説明図である。
【図6】第2圧延ロールの作用説明図である。
【図7】第2圧延ロールの作用説明図である。
【図8】説明用の模式図である。
【図9】平角線の説明図であって、(a)は平面説明図、(b)は正面説明図である。
【図10】中間線材と平角線の比較のための説明図であって、(a)は平面説明図、(b)は正面説明図である。
【図11】グラフ図である。
【図12】グラフ図である。
【図13】平角線の斜視図である。
【図14】平角線をステータコアに巻設したステータ構造を示す一部断面正面図である。
【図15】他の実施の形態の説明用斜視図である。
【図16】本発明の別の実施の形態を示す製造方法と製造装置の全体概略図である。
【図17】別の実施の形態の説明用斜視図である。
【図18】工程順に説明した要部断面図である。
【図19】さらに別の実施の形態の説明用斜視図である。
【図20】工程順に説明した要部断面図である。
【図21】異なる実施の形態を示す正面説明図である。
【図22】さらに異なる実施の形態を示す正面説明図である。
【図23】さらに異なる実施の形態を示す正面説明図である。
【図24】さらに別の実施の形態の説明用斜視図である。
【図25】工程順に説明した要部断面図である。
【符号の説明】
【0079】
1 第1圧延ロール
2 第2圧延ロール
26 大きい部位
27 小さい部位
30 大きい部位
31 小さい部位
50 渡り部
61 第1工程
62 第2工程
C 平角線
D 金属線(導線)
M 中間線材
1 ロール径
2 ロール径
T,T2 ,T20 最終厚さ寸法
2 ロール間隔寸法
Z,Z1 ,Z10 断面積
【出願人】 【識別番号】000003263
【氏名又は名称】三菱電線工業株式会社
【出願日】 平成19年1月16日(2007.1.16)
【代理人】 【識別番号】100080746
【弁理士】
【氏名又は名称】中谷 武嗣


【公開番号】 特開2008−30116(P2008−30116A)
【公開日】 平成20年2月14日(2008.2.14)
【出願番号】 特願2007−6756(P2007−6756)