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【発明の名称】 形状制御方法及び制御装置
【発明者】 【氏名】藤村英徳

【要約】 【課題】圧延材の冷間圧延における出側張力テーパー制御中において、形状不良や圧延トラブルの発生を効率的に抑制することができる制御装置及び制御方法を提供することを目的とする。

【構成】圧延材を冷間圧延するに際し、圧延速度の加減速時に形状修正手段を制御して圧延材の形状を修正する圧延材の形状制御方法において、巻取り張力の下げ開始時における圧延荷重と、現在の圧延荷重と、前記第二工程で算出した圧延荷重の変化予測量とに基づいて、巻取り張力のテーパー制御中における当該張力の下げに起因する荷重変動量を算出し、算出した荷重変動量を用いて前記形状修正手段を制御する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
圧延材を冷間圧延するに際し、圧延速度の加減速時に形状修正手段を制御して圧延材の形状を修正する圧延材の形状制御方法において、
出側の圧延材の形状に基づいて前記形状修正手段の制御量を算出する第一工程と、
圧延速度の変化量に基づいて圧延荷重の変化予測量を算出する第二工程と、
巻取り張力の下げ開始時における圧延荷重と、現在の圧延荷重と、前記第二工程で算出した圧延荷重の変化予測量とに基づいて、巻取り張力のテーパー制御中における当該張力の下げに起因する荷重変動量を算出する第三工程と、
前記第一工程で算出した制御量と、前記第二工程で算出した圧延荷重の変化予測量と、前記第三工程で算出した荷重変動量とに基づいて、前記形状修正手段を制御する第四工程と、
を有することを特徴とする形状制御方法。
【請求項2】
圧延材を冷間圧延するに際し、圧延速度の加減速時に形状修正手段を制御して圧延材の形状を修正する圧延材の形状制御方法において、
巻取り張力の下げ開始時における圧延荷重と、現在の圧延荷重と、圧延速度の変化量に基づいて算出した圧延荷重の変化予測量とに基づいて、巻取り張力のテーパー制御中における当該張力の下げに起因する荷重変動量を算出し、算出した荷重変動量を用いて前記形状修正手段を制御することを特徴とする形状制御方法。
【請求項3】
圧延材を冷間圧延するに際し、圧延速度の加減速時に形状修正手段を制御して圧延材の形状を修正する圧延機の制御装置において、
出側の圧延材の形状を検出する形状検出手段と、
前記検出した出側の圧延材の形状に基づいて前記形状修正手段の制御量を算出する制御量算出手段と、
圧延速度を検出する圧延速度検出手段と、
前記検出した圧延速度の変化量に基づいて、圧延荷重の変化予測量を算出する変化予測量算出手段と、
圧延荷重を検出する圧延荷重検出手段と、
巻取り張力の下げ開始時における圧延荷重を記憶する記憶手段と、
前記記憶手段に記憶されている圧延荷重と、前記検出した現在の圧延荷重と、前記算出した圧延荷重の変化予測量とに基づいて、巻取り張力のテーパー制御中における当該張力の下げに起因する荷重変動量を算出する荷重変動量算出手段と、
前記制御量算出手段が算出した制御量と、前記変化予測量算出手段が算出した圧延荷重の変化予測量と、前記荷重変動量算出手段が算出した荷重変動量とに基づいて、前記形状修正手段を制御する制御手段と、
を有することを特徴とする圧延機の制御装置。
【請求項4】
圧延材を冷間圧延するに際し、圧延速度の加減速時に形状修正手段を制御して圧延材の形状を修正する圧延機の制御装置において、
圧延速度を検出する圧延速度検出手段と、
前記検出した圧延速度の変化量に基づいて、圧延荷重の変化予測量を算出する変化予測量算出手段と、
圧延荷重を検出する圧延荷重検出手段と、
巻取り張力の下げ開始時における圧延荷重を記憶する記憶手段と、
前記記憶手段に記憶されている圧延荷重と、前記検出した現在の圧延荷重と、前記算出した圧延荷重の変化予測量とに基づいて、巻取り張力のテーパー制御中における当該張力の下げに起因する荷重変動量を算出する荷重変動量算出手段と、
前記算出した荷重変動量を用いて、前記形状修正手段を制御する制御手段と、
を有することを特徴とする圧延機の制御装置。
【発明の詳細な説明】【技術分野】
【0001】
本発明は、金属板等の圧延材の冷間圧延における加減速時の板形状変動を抑制する形状制御方法及び制御装置に関する。
【背景技術】
【0002】
図6(1)は、金属板の冷間圧延における圧延速度と圧延荷重との関係を示す図である。
金属板の冷間圧延においては、圧延中に圧延材を加減速する場合がある。圧延材の加減速時においては、ロールと圧延材との間の油膜厚さ等が変化し、この変化に伴い、ロールと圧延材との間の摩擦係数が変化する。その結果、図6(1)に示すように、圧延荷重が大きく変動するため、定常速度時よりも大きな形状変動を生じる。
【0003】
圧延中における圧延材の形状を修正する方法として、一般的には、圧延材の出側の形状を常時モニタし、圧延材の出側の形状に基づいて、形状修正アクチュエータ(WRベンダー、圧下レベリング、クーラントスプレー等)を操作する方法がある。
【0004】
なお、図6(1)に示すように、圧延材の加減速時は荷重変化が大きいので、形状が変化しやすい。しかし、圧延材の出側の形状を検出した後に形状修正アクチュエータを操作するまでにはタイムラグがあるので、これが遅れ時間となり、加減速時の荷重変動に対応できず、圧延材に耳伸び・中伸びが発生し易いという問題があった。
【0005】
この問題を解決するために、特許文献1には、圧延速度の加減速時における速度変化量から圧延荷重変動量を予測し、加減速の速度変化と同時に、その予測された荷重変動量に応じた圧下装置を制御することによって、加減速時の板厚を高精度に修正する方法が開示されている。同様に、形状修正アクチュエータを制御する事で加減速時の形状を高精度に修正する事が可能である。
【0006】
図6(2)は、金属板の冷間圧延中の圧延減速時における圧延材の速度と圧延材の出側張力との関係を示す図である。
【0007】
ところで、圧延中のコイルの巻き方について、圧延定常部と同じ張力でコイルの終わりまでを巻き取ると、張力を抜いた後に、残留応力により巻き戻りが発生して擦り傷等を生じる場合がある。
【0008】
このようなスプリングバックを防止するために、巻き終わり間近になると、巻取り張力を弱める制御を実行する(出側張力テーパー制御)。つまり、図6(2)に示すように、圧延減速時に巻取り張力を徐々に小さくする方法等を行い、巻き戻りを防いでいる。しかし、入出側張力の変動は圧延荷重に影響を与え、巻取り張力を下げていく場合には、張力減少により荷重が上昇する。
【0009】
このため、圧延材の減速時は速度変化分の荷重変化と張力変化分の荷重変化とを合わせた荷重変化が生じるので、荷重変化がさらに大きくなり、形状が大きく変化しやすい。
【0010】
特許文献1に記載の技術により、速度変化に対しては荷重予測により高精度での形状修正を実現できるが、張力変化による荷重変動には対応できない。このため、減速時に巻取り張力を下げる時(テーパー制御中)は、張力減少による荷重上昇を考慮して、形状の耳伸びを抑制し、形状不良や圧延トラブルの要因を低減することが重要となる。
【0011】
そこで、減速時におけるテーパー制御中は、作業者が圧延材の形状を監視して手動でWRベンダー操作を行うことが多かった。ところが、手動でWRベンダー操作をする場合には、操作遅れや作業者による操作のばらつきが発生し、形状不良や圧延トラブルの要因を効率的に抑制することができないという問題があった。
【0012】
【特許文献1】特開平9−201609号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0013】
本発明は、これらの事情を考慮してなされたものであり、圧延材の冷間圧延における出側張力テーパー制御中において、形状不良や圧延トラブルの発生を効率的に抑制することができる形状制御方法及び制御装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0014】
前述の問題点を解決するために、本発明においては以下の技術的手段を講じた。
本発明は、圧延材を冷間圧延するに際し、圧延速度の加減速時に形状修正手段を制御して圧延材の形状を修正する圧延材の形状制御方法において、出側の圧延材の形状に基づいて前記形状修正手段の制御量を算出する第一工程と、圧延速度の変化量に基づいて圧延荷重の変化予測量を算出する第二工程と、巻取り張力の下げ開始時における圧延荷重と、現在の圧延荷重と、前記第二工程で算出した圧延荷重の変化予測量とに基づいて、巻取り張力のテーパー制御中における当該張力の下げに起因する荷重変動量を算出する第三工程と、前記第一工程で算出した制御量と、前記第二工程で算出した圧延荷重の変化予測量と、前記第三工程で算出した荷重変動量とに基づいて、前記形状修正手段を制御する第四工程とを有することを特徴とする。
【0015】
また、本発明は、圧延材を冷間圧延するに際し、圧延速度の加減速時に形状修正手段を制御して圧延材の形状を修正する圧延材の形状制御方法において、巻取り張力の下げ開始時における圧延荷重と、現在の圧延荷重と、圧延速度の変化量に基づいて算出した圧延荷重の変化予測量とに基づいて、巻取り張力のテーパー制御中における当該張力の下げに起因する荷重変動量を算出し、算出した荷重変動量を用いて前記形状修正手段を制御することを特徴とする。
【0016】
また、本発明は、圧延材を冷間圧延するに際し、圧延速度の加減速時に形状修正手段を制御して圧延材の形状を修正する圧延機の制御装置において、出側の圧延材の形状を検出する形状検出手段と、前記検出した出側の圧延材の形状に基づいて前記形状修正手段の制御量を算出する制御量算出手段と、圧延速度を検出する圧延速度検出手段と、前記検出した圧延速度の変化量に基づいて、圧延荷重の変化予測量を算出する変化予測量算出手段と、圧延荷重を検出する圧延荷重検出手段と、巻取り張力の下げ開始時における圧延荷重を記憶する記憶手段と、前記記憶手段に記憶されている圧延荷重と、前記検出した現在の圧延荷重と、前記算出した圧延荷重の変化予測量とに基づいて、巻取り張力のテーパー制御中における当該張力の下げに起因する荷重変動量を算出する荷重変動量算出手段と、前記制御量算出手段が算出した制御量と、前記変化予測量算出手段が算出した圧延荷重の変化予測量と、前記荷重変動量算出手段が算出した荷重変動量とに基づいて、前記形状修正手段を制御する制御手段とを有することを特徴とする。
また、本発明は、圧延材を冷間圧延するに際し、圧延速度の加減速時に形状修正手段を制御して圧延材の形状を修正する圧延機の制御装置において、圧延速度を検出する圧延速度検出手段と、前記検出した圧延速度の変化量に基づいて、圧延荷重の変化予測量を算出する変化予測量算出手段と、圧延荷重を検出する圧延荷重検出手段と、巻取り張力の下げ開始時における圧延荷重を記憶する記憶手段と、前記記憶手段に記憶されている圧延荷重と、前記検出した現在の圧延荷重と、前記算出した圧延荷重の変化予測量とに基づいて、巻取り張力のテーパー制御中における当該張力の下げに起因する荷重変動量を算出する荷重変動量算出手段と、前記算出した荷重変動量を用いて、前記形状修正手段を制御する制御手段とを有することを特徴とする。
【0017】
具体的には、第一工程(制御量算出手段)で、下記に示す(式4)を用いて前記形状修正手段の制御量を算出し、第二工程(変化予測量算出手段)で、下記に示す(式1)を用いて圧延荷重の変化予測量を算出し、第三工程(荷重変動量算出手段)で、下記に示す(式2)を用いて荷重変動量を算出した後に、下記に示す(式3)を用いて前記形状修正手段の制御量を算出する。
なお、形状修正手段の制御量を算出する際には、張力の下げに起因する荷重変動量の値に制御ゲインGtを乗じた値を用いて制御量を算出する。
また、制御ゲインGtは、圧延材の形状に基づいて決定される。圧延材の形状としては、板幅、板厚等がある。
また、前記形状制御方法を圧延機のコンピュータに実行させることができる。
【発明の効果】
【0018】
本発明によれば、速度変化による荷重変動から生じる形状変動を抑制するとともに、張力変化等による荷重変動から生じる形状変動に対しても形状修正アクチュエータを適切に操作することが可能となり、加減速時の形状品質を改善することができる。また、加減速時の形状不良による圧延トラブルを減少させ、生産性を向上させることができるという効果を奏する。
また、圧延材の冷間圧延における出側張力テーパー制御中において、形状不良や圧延トラブルの発生を効率的に抑制することができるという効果を奏する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0019】
以下、本発明の実施の形態である制御装置及び形状制御方法について、図面を参照して詳細に説明する。
【0020】
図1は、本発明の実施の形態である制御装置を具備する圧延機100の概略を示す概略構成図である。
【0021】
圧延機100は、本発明を実施可能な圧延設備であり、コントローラ(図示せず)と、パルスジェネレータ(図示せず)と、形状センサ10と、荷重計11と、形状制御装置12と、荷重変化予測部13と、荷重変動演算部14と、WRベンダー制御装置15と、圧下制御装置16と、クーラントスプレー制御装置17と、圧下装置18と、WRベンダー装置19と、クーラントスプレー装置20と、上下各一対のワークロール21a、21bと、上下各一対の中間ロール22a、22bと、上下各一対の補助ロール23a、23bと、巻き出し機24と、巻取り機25とを有する。
【0022】
圧延機100は、上下に対向配置された一対のワークロール21a、21b間に導かれる圧延材Wを所定の圧力で圧延する圧延機である。また、圧下装置18とWRベンダー装置19とクーラントスプレー装置20とが形状修正アクチュエータを構成する。
【0023】
コントローラ(図示せず)は、制御プログラムを格納するROMと圧延荷重値を記録する荷重メモリとを内蔵し、制御プログラムに従って制御装置全体を制御するコントローラである。また、コントローラは、制御プログラムに従って、次の制御周期の速度指令を出力し、巻取り張力の下げ開始指令を出力する。
【0024】
パルスジェネレータ(図示せず)は、ワークロール21aを駆動するモータの回転数を検出する。パルスジェネレータが検出した回転数とワークロール21aの径とに基づいて、コントローラが圧延速度実績値を求める。
【0025】
形状センサ10は、圧延機100の出側に設けられた形状検出器であり、圧延後の圧延材Wにおける幅方向の各部の伸び率εを測定し、測定した伸び率εの情報(実績値)を形状制御装置12に出力する。
【0026】
荷重計11は、補助ロール23aに取付けられ、圧延材Wにかけられた圧延荷重を測定する荷重計であり、圧延材Wの圧延中は圧延荷重を常時モニタし、測定した圧延荷重の情報を荷重変化予測部13と荷重変動演算部14とに出力する。
【0027】
形状制御装置12は、圧延機100の出側で検出された圧延材Wの形状に基づいて、形状修正アクチュエータを操作するフィードバック制御を実行する制御装置である。具体的には、形状制御装置12は、形状センサ10が検出した実績値を入力し、入力した実績値と目標形状との偏差を算出し、算出した偏差に基づいて、WRベンダー制御装置15と圧下制御装置16とクーラントスプレー制御装置17とのそれぞれの制御量を算出し、算出した制御量に応じた制御信号を出力する。
【0028】
荷重変化予測部13は、コントローラから受信した次の制御周期の速度指令と圧延速度の実績値とから速度変化ΔVを算出すると共に、下記の荷重変化予測式(式1)を用いて加減速時の荷重変化予測量ΔPを算出し、算出した荷重変化予測量ΔPに応じた制御信号をWRベンダー制御装置15に出力する。
【0029】
【数1】


【0030】
また、Pは圧延荷重、ΔPは微小圧延荷重変化量(加減速時の荷重変化予測量)、Vはパルスジェネレータに基づいて計測された圧延速度、ΔVは微小速度変化量である。
【0031】
荷重変動演算部14は、コントローラから巻取り張力の下げ開始が指示されると、巻取り張力の下げ開始時における荷重P0を荷重メモリに記録し、圧延停止までの間、下記の(式2)に従って、速度変化要因以外の荷重変動量ΔP2を算出し、算出した速度変化要因以外の荷重変動量ΔP2に応じた制御信号をWRベンダー制御装置15に出力する。なお、言い換えると、速度変化要因以外の荷重変動量ΔP2は、巻取り張力のテーパー制御中における当該張力の下げに起因する荷重変動量である。
【0032】
ΔP2=P0−P−ΔP……(式2)
ただし、ΔP2は速度変化要因以外の荷重変動、P0は張力下げ開始時の圧延荷重値、Pは実荷重、ΔPは加減速時の荷重変化予測量である。
【0033】
WRベンダー制御装置15は、下記の(式3)に従って、形状制御装置12が出力した制御量(フィードバック形状制御分)と、荷重変化予測部13が出力した制御量に「クラウン変化に対するWRB変化量」と「荷重変化に対するクラウン変化量」とを乗じた値(加減速補償制御分)と、荷重変動演算部14が出力した制御量に制御ゲインGtを乗じた値(張力下げ制御補償分)とを合計し、合計した制御量に基づいてWRベンダー装置19のWRベンダー制御量を決定する制御装置である。なお、手動操作分の制御量がある場合には、手動操作分の値を合計した制御量を使用する。
【0034】
WRベンダー制御量=(フィードバック形状制御分)+(加減速補償制御分)+(張力下げ制御補償分)+(手動操作分)…(式3)
【0035】
【数2】


【0036】
なお、(式4)の「S」は一般的なフィードバック制御における積分項を示し、(式4)の「Σ」は各時点での制御量の和を示す。
【0037】
また、加減速補償制御分のうち、「クラウン変化に対するWRB変化量」と「荷重変化に対するクラウン変化量」はモデル式や実験式により求める。なお、ΔPは、加減速時の一定時間毎(例えば50ms毎)の荷重変化予測量(式1)を使用する。
【0038】
図2は、制御ゲインGtを決定するための関数を示すグラフである。
荷重変動が形状に与える影響の度合いは圧延材の板幅、板厚によって異なる。このため、制御ゲインGtを一定値とせずに、例えば、図2に示すように、制御ゲインGtを圧延材の板幅に応じて決定する。
【0039】
WRベンダー装置19は、ワークロール21a、21b及び中間ロール22a、22bの軸の各両端部に配設され、WRベンダー制御装置15からの制御信号に基づいて、各ロールの曲げ量を変化させ、各ロールの軸を圧延材Wに対して凸状又は凹状にベンディングし、圧延材Wの形状を修正する装置である。
【0040】
圧下制御装置16は、形状制御装置12から出力された制御信号に基づいて圧下装置18を制御するものである。
【0041】
クーラントスプレー制御装置17は、形状制御装置12から出力された制御信号に基づいてクーラントスプレー装置20を制御するものである。
【0042】
圧下装置18は、補助ロール23bのロール軸の下方に配置され、圧下制御装置16の制御によって、補助ロール23bに圧延荷重を加える圧下装置である。
【0043】
クーラントスプレー装置20は、クーラントスプレー制御装置17の制御によって、ワークロール21a、21bに向かって所定量のクーラントを噴射するものである。
【0044】
ワークロール21a、21bは、圧延材Wを挟み込んで圧延し、圧延機100の出側において圧延材Wを所望とする製品仕様の板厚とするワークロールである。
【0045】
補助ロール23a、23bは、中間ロール22a、22bを介してワークロール21a、21bに圧延荷重を加えるバックアップロールである。
【0046】
巻き出し機24は、ワークロール21a、21bに圧延材Wを供給する巻き出し機であり、巻取り機25は、ワークロール21a、21bによって圧延された圧延材Wを巻き取る巻取り機である。
【0047】
次に、圧延機100の制御動作について説明する。
図3は、制御装置の動作を示すフローチャートである。
【0048】
圧延機100において圧延材の冷間圧延を実行している場合において、WRベンダー制御の条件が成立したか否かを判断し(S1)、成立していない場合には成立するまでループする(S1)。なお、WRベンダー制御の条件が成立する場合とは、圧延モードが入であり、かつ圧延荷重があり、かつ圧延材がある状態である。
【0049】
WRベンダー制御の条件が成立した場合には(S1)、形状センサ10が検出した出側形状の実績値(S2)と、目標形状との偏差を形状制御装置12が算出し(S3)、算出した偏差に基づいて、上記の(式4)を用いてフィードバック形状制御分の値(WRB_afc)を算出する(S4)。
【0050】
続いて、圧延速度を常時モニタし、圧延速度の変化があったか否かを判断する(S5)。圧延速度の変化があった場合には、上記の(式1)を用いて加減速時の荷重変化予測量ΔPを算出し(S6)、上記の(式5)を用いて加減速補償制御分の値(WRB_a)を算出する(S7)。圧延速度の変化がない場合にはステップS8に進む。
【0051】
続いて、巻取り張力の下げが開始されたか否かを判断する(S8)。巻取り張力の下げが開始された場合には、巻取り張力の下げ開始時における荷重P0を荷重メモリに記録し(S9)、上記の(式2)を用いて速度変化要因以外の荷重変動量ΔP2を算出し(S10)、上記の(式6)を用いて張力下げ制御補償分の値(WRB_t)を算出する(S11)。巻取り張力の下げ開始の指示がない場合にはステップS12に進む。
【0052】
続いて、オペレータによる手介操作があったか否かを判断する(S12)。手動操作があった場合には、手介操作によるWRベンダー制御量(WRB_m)を算出する(S13)。
【0053】
続いて、(式3)を用いて、ステップS4、ステップS7、ステップS11、ステップS13で求めた各値の合計値を算出し(S14)、算出した制御量に基づいてWRベンダー装置19の制御を実行する。つまり、圧延加減速時であって巻取り張力が下げの状態における制御については、(式3)を用いて求めた制御量を使用する。
【0054】
続いて、圧延動作の停止が指示されたか否かを判断し(S15)、圧延動作の停止が指示されていなければ、ステップS2に進み、ステップS2〜ステップS14の各動作を実行する。圧延動作の停止が指示されれば、制御動作を終了する。
【0055】
図4は、従来の方法を適用した場合における減速時の各種データを示す図である。
図4(1)は圧延速度の変化を示すグラフであり、図4(2)は圧延荷重の変化を示すグラフであり、図4(3)はベンダー量の変化を示すグラフであり、図4(4)は巻取り張力の変化を示すグラフであり、図4(5)は形状評価の変化を示すグラフである。なお、図4(5)に示す形状評価は、エッジ部分の形状伸び量を示す形状評価であり、大きな値ほど伸び形状であることを示す。
【0056】
従来の方法を適用した場合、図4に示すように、圧延速度の減速後、巻取り張力が下がり始めるまでは、速度変化による荷重変化予測を用いているので形状が安定している。しかし、巻取り張力が下がり始めると、伸び方向へ大きく変動する。つまり、圧延材の形状が大きく変化する。
【0057】
図5は、本発明を適用した場合における減速時の各種データを示す図である。
図5(1)〜(5)のぞれぞれは、図4(1)〜(5)に対応する図である。
本発明を適用した場合、図5に示すように、圧延速度の減速後、巻取り張力が下がり始めると、張力変化による荷重変動分のWRベンダー操作が加わるため、従来の方法よりも操作量が大きくなり、圧延材の形状変化を小さくすることができる。
【0058】
本実施の形態によれば、速度変化による荷重変動から生じる形状変動を抑制するとともに、張力変化等による荷重変動から生じる形状変動に対しても形状修正アクチュエータを適切に操作することが可能となり、加減速時の形状品質を改善することができる。また、加減速時の形状不良による圧延トラブルを減少させ、生産性を向上させることができる。また、圧延材の冷間圧延における出側張力テーパー制御中において、形状不良や圧延トラブルの発生を効率的に抑制することができる。
【0059】
なお、本実施の形態では、ステップS14で求めた制御量に基づいてWRベンダー装置19の制御を実行するが、この制御量に基づいて、WRベンダー装置19と共に、クーラントスプレー装置20を制御するようにしてもよい。また、ステップS14で求めた制御量に基づいて、WRベンダー装置19とクーラントスプレー装置20とのうちの少なくとも1つを制御するようにしてもよい。
【0060】
なお、上記各実施の形態をプログラムの発明として把握することができる。
つまり、上記各実施の形態で示した制御動作に係るプログラムを記憶媒体に記憶させ、この記憶媒体から上記プログラムを読み出し、読み出したプログラムを圧延機のコンピュータに実行させることで、本発明を実現することができる。
【産業上の利用可能性】
【0061】
アルミニウム等のワーク(圧延材)を冷間圧延する多段式の圧延機及びこれを制御するための制御プログラムに本発明を適用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0062】
【図1】圧延機100の概略を示す概略構成図。
【図2】制御ゲインGtを決定するための関数を示すグラフ。
【図3】制御装置の動作を示すフローチャート。
【図4】従来の方法を適用した場合における減速時の各種データを示す図。
【図5】本発明を適用した場合における減速時の各種データを示す図。
【図6】金属板の冷間圧延における圧延速度と圧延荷重、圧延速度と張力の関係を示す図。
【符号の説明】
【0063】
100……圧延機、
10……形状センサ、
11……荷重計、
12……形状制御装置、
13……荷重変化予測部、
14……荷重変動演算部、
15……WRベンダー制御装置、
16……圧下制御装置、
17……クーラントスプレー制御装置、
18……圧下装置、
19……WRベンダー装置、
20……クーラントスプレー装置、
21a、21b……ワークロール、
22a、22b……中間ロール、
23a、23b……補助ロール、
24……巻き出し機、
25……巻取り機。
【出願人】 【識別番号】000107538
【氏名又は名称】古河スカイ株式会社
【出願日】 平成18年7月27日(2006.7.27)
【代理人】 【識別番号】100095740
【弁理士】
【氏名又は名称】開口 宗昭


【公開番号】 特開2008−30077(P2008−30077A)
【公開日】 平成20年2月14日(2008.2.14)
【出願番号】 特願2006−204678(P2006−204678)