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リングギア用平線の製造方法 - 特開2008−18468 | j-tokkyo
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【発明の名称】 リングギア用平線の製造方法
【発明者】 【氏名】串田 仁

【氏名】石上 修

【氏名】大河内 則夫

【氏名】宮崎 庄司

【要約】 【課題】丸鋼素材を用いて、平線製品表面硬さと寸法精度の両方を満足し、かつ、硬さのバラツキを低減させ、平線表面の硬度上昇を緩和するための熱処理が不要であるリングギア用平線を製造する方法を提供することである。

【構成】炭素含有量が0.30〜0.60%の丸鋼を素材として、冷間加工工程によりリングギア用平線を製造する際に、少なくとも1回の、冷間圧延または冷間ローラ引抜きを行なった後、少なくとも1回の、幅方向圧下または4方向圧下を行ない、この冷間加工工程の最終段階で、穴ダイスにより平線の全周面を加工する引抜きを行ない、かつ、この冷間加工工程での総断面減少率が最大65%以下になるようにした。それにより、良好な寸法精度と幅方向および厚さ方向の硬さのバラツキ低減を実現することができ、中間熱処理を必要とせずに、平線側面の割れ発生を抑制して所要の硬さを得ることができる。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
炭素含有量が0.30〜0.60%の丸鋼素材から冷間加工工程によりリングギア用平線を製造する方法であって、前記冷間加工工程が少なくとも1回の、冷間圧延または冷間ローラ引抜きを行なった後、この冷間加工工程の最終段階で、穴ダイスにより平線の全周面を加工する引抜きを行なう工程を備え、この冷間加工工程における総断面減少率を、上記炭素含有量に対応して、55〜65%以下としたことを特徴とするリングギア用平線の製造方法。
【請求項2】
前記冷間圧延または冷間ローラ引抜きと仕上げ引抜きとの間に、平線の側面を少なくとも1回幅方向に圧下する工程、または平線の上下面および側面を少なくとも1回4方向から圧下する工程を備えたことを特徴とする請求項1に記載のリングギア用平線の製造方法。
【請求項3】
炭素含有量が0.30〜0.60%の丸鋼素材から冷間加工工程によりリングギア用平線を製造する方法であって、冷間加工工程において少なくとも1回の冷間圧延または冷間ローラ引抜きを行った素材を、該冷間加工工程の最終工程で、穴ダイスにより平線の全周面を加工する引抜きを行う工程を備えこの冷間加工工程における総断面減少率を、上記炭素含有量に対応して、55〜65%以下としたことを特徴とするリングギア用平線の製造方法。
【請求項4】
前記冷間圧延または冷間ローラ引抜きを行った素材を、仕上げ引抜き工程の前に、平線の側面を少なくとも1回幅方向に圧下する工程、または平線の上下面および側面を少なくとも1回4方向から圧下する工程を備えたことを特徴とする請求項1に記載のリングギア用平線の製造方法。
【発明の詳細な説明】【技術分野】
【0001】
この発明は、丸鋼素材から平線を製造する冷間加工工程で、素材表面の硬度上昇を緩和するための熱処理が不要で、製品寸法精度が良好なリングギア用平線の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
リングギアやうず巻ばねなどの材料として使用される平線の製造方法として、熱間圧延された平線(平鋼)素材から引抜きにより製造する方法、熱間圧延された丸鋼素材から引抜きにより平線を製造する方法、熱間圧延された丸鋼素材から冷間圧延工程のみで平線を製造する方法、前記丸鋼素材から熱間圧延工程のみで平線を製造する方法などが知られている。
【0003】
前記丸鋼素材から冷間圧延工程または熱間圧延工程のみで平線を製造する場合、引抜き工程により製造する場合に比べて、圧延速度を上昇させることができるため、生産性が向上する反面、圧延加工である故に製品寸法精度は低下する。とくに熱間圧延工程による場合では、冷間圧延工程による場合以上に製品寸法精度が問題となる上に、スケールや脱炭層を除去するための機械加工などの処理が必要となる。また、前記丸鋼素材から引抜き工程により平線を製造する場合、図6(a)に示すように、引抜き前の丸鋼素材1の幅は製品平線(引抜きダイス5)の幅寸法よりも大きくなければ、素材が引抜きダイス5内に充満しない。このため、平線の扁平率が高くなると、図6(b)に示すように、極端に大きな丸鋼素材1が必要となり、断面減少率が大きくなり過ぎて断線を引き起こす。
【0004】
一方、前記丸鋼素材から冷間加工工程により、冷間加工率の大きい幅の広い平線を製造する場合には、平線の側面部で割れが発生しやすいため、例えば、特許文献1では、冷間圧延加工の最初または任意の段階で、平線の側面部に幅方向に1.5〜15%の減面加工を少なくとも1回行ううず巻きばね用平線の製造方法が開示されている。
【特許文献1】特開昭64−27703号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
前記特許文献1に記載された平線側面部の幅方向の断面加工率の範囲1.5〜15%は、本発明者らが実験により検討を行なったところでは、冷間加工により製造されたリングギア用平線の要求硬さスペック(仕様)とは直接には関係しておらず、このリングギア用平線の硬さは冷間加工工程での総断面減少率によって決まることが明らかとなった。また、特許文献1に記載されている冷間圧延加工のみで平線に仕上げた場合、前述のように、製品平線の寸法精度が低下する上に、厚さ方向と幅方向とで硬さにバラツキを生じ、良好な平線製品が製造できないことが明らかになった。
【0006】
そこで、この発明の課題は、丸鋼を素材として用い、リングギア用平線の要求仕様である製品表面硬さと寸法精度の両方を満足し、かつ、平線の幅方向および厚さ方向のバラツキを低減させ、平線表面の硬度上昇を緩和するための熱処理が不要であるリングギア用平線の製造方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
前記の課題を解決するために、この発明では以下の構成を採用したのである。
【0008】
即ち、請求項1に係る発明は、炭素含有量が0.30〜0.60%の丸鋼素材から冷間加工工程によりリングギア用平線を製造する方法であって、前記冷間加工工程が少なくとも1回の、冷間圧延または冷間ローラ引抜きを行なった後、この冷間加工工程の最終段階で、穴ダイスにより平線の全周面を加工する引抜きを行なう工程を備え、この冷間加工工程における総断面減少率を、上記炭素含有量に対応して、55〜65%以下としたことを特徴とするリングギア用平線の製造方法である。
【0009】
また、請求項2に係る発明は、前記冷間圧延または冷間ローラ引抜きと仕上げ引抜きとの間に、平線の側面を少なくとも1回幅方向に圧下する工程、または平線の上下面および側面を少なくとも1回4方向から圧下する工程を備えたことを特徴とする上記請求項1に記載のリングギア用平線の製造方法である。
【0010】
そして、請求項3に係る発明は、炭素含有量が0.30〜0.60%の丸鋼素材から冷間加工工程によりリングギア用平線を製造する方法であって、冷間加工工程において少なくとも1回の冷間圧延または冷間ローラ引抜きを行った素材を、該冷間加工工程の最終工程で、穴ダイスにより平線の全周面を加工する引抜きを行う工程を備えこの冷間加工工程における総断面減少率を、上記炭素含有量に対応して、55〜65%以下としたことを特徴とするリングギア用平線の製造方法である。
【0011】
また、請求項4に係る発明は、前記冷間圧延または冷間ローラ引抜きを行った素材を、仕上げ引抜き工程の前に、平線の側面を少なくとも1回幅方向に圧下する工程、または平線の上下面および側面を少なくとも1回4方向から圧下する工程を備えたことを特徴とする上記請求項3に記載のリングギア用平線の製造方法である。
【0012】
図1は、図中に表示した炭素含有量Cが異なる3種類の丸鋼(直径15mm)を素材とし、上記冷間加工工程で、冷間圧延と穴ダイスにより平線の全周面を加工する仕上げ引抜きを行った後の製品平線の表面硬さS(HRB(ロックウエル硬さBスケール))とこの冷間加工工程での総断面減少率Rtとの関係を示したものである。ここで、表面硬さSは、製品平線の広面(上面または下面)と側面の硬さの平均値である。図1から、いずれの炭素含有量の場合でも、製品平線の表面硬さSは、冷間圧延や引抜きの加工方法によらず、冷間加工工程における総断面減少率Rtで整理できることがわかる。リングギア用平線の場合、製品平鋼をリングに曲げ加工する際の加工性およびクラックの発生回避の観点から、通常、製品硬さ(表面硬さ)は105HRB(ロックウエル硬さBスケール)以下とする必要があるため、図1から、丸鋼素材の炭素含有量Cが0.30%〜0.40%の場合には、冷間加工工程での総断面減少率Rtを65%以下に、炭素含有量Cが0.40%〜0.50%の場合には、総断面減少率Rtを60%以下に、炭素含有量Cが0.50%〜0.60%の場合には、総断面減少率Rtを55%以下に、それぞれ調整すればよいことがわかる。すなわち、前記総断面減少率Rtを、前記炭素含有量Cに対応して、55〜65%以下にする必要がある。また、リングギア用以外の平線の場合でも、加工性と切削性が要求されるため、冷間加工工程での総断面減少率を最大65%以下にして製品平線の硬さを下げておくことが望ましい。さらに、冷間加工工程の最終段階で、穴ダイスを用いた引抜きにより、平線の全周面を加工して製品に仕上げるため、寸法精度が良好となり、かつ、製品平線の幅方向および厚さ方向のバラツキを低減させることができる。そして、冷間加工工程の最終段階で前記引抜き加工を施すため、冷間圧延での幅広がりを利用して製品平線への加工に要する断面減少率の増加を抑制することができ、かつ、冷間加工工程での総断面減少率の上限値を上記のように55〜65%以下に規定したことから、平線表面の硬度上昇が比較的小さく、硬度上昇を緩和するための熱処理を必要とせずに、平線側面の割れ発生を回避することができる。
【0013】
図2に模式的に示すように、丸鋼素材1から前記冷間圧延または冷間ローラ引抜きを行なうと、平線2(被成形材)は矢印P方向に圧下されて、その側面(自由表面)2bの形状は、凸形状となる。前記冷間加工工程での最終段階における引抜きに用いる穴ダイスの側面形状は平面であるため、側面が凸状の平線を引抜くと、側面の加工率が一様ではなくなり、側面の表面肌がフラット面の上下面に比べてわるくなる。上記のように、平線の側面を幅方向に圧下することにより、側面の凸形状が是正されるため、製品平線の全周面にわたって良好な表面肌を実現することができる。また、平線の製品形状には、片側または両側の側面にRが形成されたものがあり、この場合には、孔型ロールを用いて平線の側面を幅方向に圧下することができる。
【発明の効果】
【0014】
この発明では、丸鋼を素材として冷間加工工程でリングギア用の平線を製造する際に、冷間圧延または冷間ローラ引抜きを行なった後、この冷間加工工程の最終段階で、穴ダイスにより平線の全周面を加工する引抜きを行ない、かつ、この冷間加工工程における総断面減少率を、丸鋼素材の炭素含有量に対応して、55〜65%以下となるようにしたので、良好な寸法精度と製品平線の幅方向および厚さ方向の硬さバラツキの低減を実現することができ、中間の熱処理を必要とせずに、平線側面の割れ発生を抑制して所要の硬さを得ることができる。
【0015】
また、前記冷間圧延または冷間ローラ引抜きと仕上げ引抜きとの間に、平線の側面を少なくとも1回幅方向に、または平線の上下面および側面を少なくとも1回4方向から圧下するようにしたので、平線の側面の凸形状が是正されて製品平線の全周面にわたって良好な表面肌を実現することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
以下に、この発明の実施形態を、実施例を交えて、添付の図3から図5に基づいて説明する。
【0017】
図3は、実施形態のリングギア用平線の冷間加工工程による製造方法の流れを示したもので素材として、素材として炭素含有量が0.30%〜0.60%の丸鋼を用いて、まず、冷間圧延または冷間ローラ引抜きにより、丸鋼を圧下して扁平形状に順次加工していく(S10)。この加工過程で、図2に示したように、圧下により凸形状となった平線2(被加工材)の側面2bを少なくとも1回幅方向に圧下(2方向圧下)するか、または平線2の上下面2aおよび側面2bを少なくとも1回4方向から圧下(4方向圧下)して、側面の凸形状を是正する(S10a)。この2方向圧下または4方向圧下は、冷間圧延または冷間ローラ引抜きによる上下面(広幅面)2a(図2参照)の圧下と交互に行なうことが望ましい。次に、この冷間加工工程の最終段階で、穴ダイスを用いた引抜きにより、平線の全周面を加工する(S20)。この引抜きによる断面減少率は10〜50%の範囲で決定することができ、一般的には30%程度が望ましい。そして、上記冷間加工工程(S10、S10a、S20)における総断面減少率を、上記丸鋼の炭素含有量に対応して、55%〜65%以下にして製品平線に仕上げる。
【実施例1】
【0018】
炭素含有量が0.48%の直径15mmの丸鋼(線材)を素材として、図4に、丸鋼素材1、各パス出側形状およびその寸法(厚さ×幅)を示すように、矢印Pで示した圧下方向を交互に90°変えて上下面2a(広幅面)および側面2bを交互に圧下する4パスの冷間圧延を行なった。この4パス冷間圧延の終了後、厚さ11mm×幅14.5mmの平線(被加工材)から、穴ダイスで仕上げの1パスの引抜きを行い、厚さ9mm×幅12mmの製品平線に仕上げた。丸鋼素材からの総断面減少率は、約40%である。表1に、4パス冷間圧延後および仕上げの1パス引抜き後の平線の表面硬さ(HRB)を示す。表1で、広面部および狭面部は、平線の上下面2aおよび側面2bを示す。
【0019】
【表1】


【0020】
表1から、4パス冷間圧延終了後には、広面部中心と狭面部中心との硬さの差は7(HRB)存在していたが、1パス引抜き後には、広面部中心、狭面中心ともに硬さはいずれも100(HRB)となり、前記硬さの差は解消していることがわかる。また、上記4パス冷間圧延では、1パス置きに、側面(狭面部)が幅方向に圧下されているため、引抜き後の製品平線の表面肌も全周にわたって良好であった。
【実施例2】
【0021】
前記冷間加工工程および総断面減少率を変化させて、厚さ9mm×幅12mmの0.48%炭素鋼の製品平線を、製造した後の硬さおよびそのバラツキ、寸法精度および表面肌をまとめて表2に示す。2方圧延機のロール径はΦ270mmであり、総断面減少率は、丸鋼素材の直径を変更することによって変化させた。表2で、最終硬さ(製品硬さ)の○印は100HRB以下の場合を、最終硬さのバラツキの○印は、製品平線の側面における厚さ方向の中心硬さ(3点の平均値)と上面(または下面)における幅方向の中心硬さ(3点の平均値)の差が5(HRB)以下の場合を、寸法精度の○印は、製品寸法(厚さ9mm×幅12mm)に対して通常の寸法規格である±0.05mm以内の場合を、△印は、±0.10mm以内の場合を、製品表面肌の◎印は、目視で表面肌のムラが認められず極めて良好な状態を、○印は目視で表面肌のムラがほとんど認められず良好な状態を、△印は目視で表面肌のムラが部分的に認められる状態をそれぞれ示す。
【0022】
【表2】


【0023】
表2から、冷間加工工程が2方圧延のみの場合(No.1〜No.3)には、硬さ(製品硬さ)のバラツキが許容値に収まらず、寸法精度および表面肌(製品表面肌)も許容レベルを満足していない。これに対し、冷間圧延後にダイス引抜きを実施した場合(No.4〜No.7)には、製品硬さとそのバラツキ、寸法精度および表面肌はいずれも良好であり、とくに、図5に示すように、1パス目の圧延形状に対して、2方ロール3、3による幅方向圧延(No.8〜No.11)、または4方ロール4a〜4dによる幅方向圧延(No.12〜No.15)を実施し
た場合には、製品表面肌がとくに良好であった。しかし、No.4〜No.7、No.8〜No.11、No.12〜No.15のいずれの冷間加工工程の場合でも、総断面減少率が60%を超えると、製品
硬さとそのバラツキは許容値に収まらなくなる。なお、前記総断面減少率は、丸鋼素材の炭素含有量によって若干の差はあるものの、40%程度確保しておくことが望ましい(No.4、No.8、No.12)。これらの結果により、本発明の有効性が確認された。なお、平線の
製品形状を、片側または両側の側面にRが形成されたものとする必要がある場合には、幅方向の圧延を行なうロール3、3およびロール4c、4dのいずれか一方または両方に孔型ロールを用いることができる。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【図1】冷間加工工程での総断面減少率と表面硬さとの関係を示す説明図である。
【図2】冷間加工工程で上下面(広面部)を圧下したときの側面(狭面部)の形状を模式的に示す説明図である。
【図3】実施形態の冷間加工工程の流れを示す説明図である。
【図4】実施形態での冷間加工工程の一例を示す説明図である。
【図5】2方向幅方向圧延または4方向圧延を模式的に示す説明図である。
【図6】丸鋼から平線への引抜きを模式的に示す説明図である。
【符号の説明】
【0025】
1:丸鋼(素材)2:平線 2a:上下面(広面部) 2b:側面(狭面)
3:側方ロール 4a、4b:上下ロール 4c、4d:側方ロール
5:引抜きダイス
【出願人】 【識別番号】000001199
【氏名又は名称】株式会社神戸製鋼所
【出願日】 平成19年3月1日(2007.3.1)
【代理人】 【識別番号】100089196
【弁理士】
【氏名又は名称】梶 良之

【識別番号】100104226
【弁理士】
【氏名又は名称】須原 誠

【識別番号】100131750
【弁理士】
【氏名又は名称】竹中 芳通


【公開番号】 特開2008−18468(P2008−18468A)
【公開日】 平成20年1月31日(2008.1.31)
【出願番号】 特願2007−51758(P2007−51758)