| 【発明の名称】 |
熱延鋼帯の冷却方法 |
| 【発明者】 |
【氏名】藤林 晃夫
【氏名】中田 直樹
【氏名】黒木 高志
|
| 【要約】 |
【課題】ランナウトテーブル上を搬送される熱延鋼帯を冷却水で冷却する際に、熱延鋼帯の先端から尾端まで均一に冷却を施すことができる熱延鋼帯の冷却方法を提供する。
【構成】鋼帯10の上面と下面との間に20℃以上の温度差が生じるように、鋼帯10の下面の冷却を上面に対して先行して開始する。 |
【特許請求の範囲】
【請求項1】 ランナウトテーブルを搬送される熱延鋼帯の上面および下面に冷却水を噴射する熱延鋼帯の冷却方法であって、 鋼帯の上面と下面との間に20℃以上の温度差が生じるように、鋼帯の上面または下面の冷却を他方に対して先行して開始することを特徴とする熱延鋼帯の冷却方法。 【請求項2】 ランナウトテーブルを搬送される熱延鋼帯の上面および下面に冷却水を噴射する熱延鋼帯の冷却方法であって、 鋼帯の上面と下面との間に20℃以上の温度差が生じるように、鋼帯の下面の冷却を上面に対して先行して開始することを特徴とする熱延鋼帯の冷却方法。 【請求項3】 前記鋼帯の上面と下面との間の温度差を20℃以上50℃以下とすることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の熱延鋼帯の冷却方法。 【請求項4】 前記上面または下面の冷却を他方に対して先行して開始する位置を、予め求めた板厚および水量密度と所要先行冷却時間との関係に基づいて決定することを特徴とする請求項1乃至3のいずれかに記載の熱延鋼帯の冷却方法。
|
【発明の詳細な説明】【技術分野】 【0001】 本発明は、熱間圧延された高温鋼帯のランナウトテーブル上での冷却方法に関する。 【背景技術】 【0002】 一般に、熱延鋼帯は、加熱炉においてスラブを所定温度に加熱し、加熱されたスラブを粗圧延機で所定厚みに圧延して粗バーとなし、ついでこの粗バーを複数基のスタンドからなる連続熱間仕上げ圧延機において所定の厚みの鋼帯となす。そして、この熱延鋼帯をランナウトテーブル上の冷却スタンドにおいて冷却した後、巻き取り機で巻き取ることにより製造される。 【0003】 このような圧延された高温の鋼帯を連続的に冷却するランナウトの冷却装置では、第一に鋼帯の通板性が考慮されている。 【0004】 たとえば、鋼帯の上面冷却をなすため、円管状のラミナー冷却ノズルから鋼帯搬送用のローラテーブル直上に、この幅方向に亘って直線状に複数のラミナー冷却水を注水している。一方、鋼帯の下面冷却として、ローラテーブル間にそれぞれスプレーノズルが設けられ、ここから冷却水を噴射する方法が一般的である。 【0005】 しかし、このような従来の冷却装置では以下のような問題がある。すなわち、鋼帯の上面側に注水された冷却水は、冷却後、鋼帯の上面に滞留し、鋼帯の進行につれて、鋼帯の下流側に冷却水が流れ、上面側の過冷却を引き起こす。過冷却状態は、鋼帯の長手方向において一様とはならず、したがって鋼帯長手方向における冷却停止温度にばらつきが生じる。特に、仕上圧延機から出てからまだ鋼帯が巻き取り機に到達する前の鋼帯に張力がかからない先端がフリーの状態では、鋼帯が前後に波を打ったように上下に振動しながら搬送される。この段階では、鋼帯の波の底の部分に前述の冷却水がたまって鋼帯の波の山の部分より過冷却される。その結果、鋼帯の長手方向に温度のハンチングが生じる。さらに、幅方向についても冷却水が鋼帯端部からライン両側へ流出するので、鋼帯中央部に比べて端部が過冷却になり易く、巻き取り段階での温度がばらついていた。その結果、材質が均一にならなかった。 【0006】 そこで、鋼帯上の冷却水を排除する水切り法としては、鋼帯を横切るように流体を斜め方向に噴射して鋼帯上面の冷却水を排出する方法(特許文献1)や、拘束ロールを水切りロールとして冷却水を堰き止める方法(特許文献2)のような水切り方法が提案されている。 【0007】 あるいは、他の方法としては、図7に示すような、あらかじめ鋼帯に曲げを与えて熱応力による変形を予防もしくは矯正するためのレベリング作用を付与する方法がある(特許文献3)。 【0008】 また、特許文献4では、厚鋼板の冷却において、冷却中の最大反り量を最小にするために、下面のスリット状冷却の開始位置を上面のそれよりも上面のノズルピッチの0.1〜0.5倍の長さ分先行させる方法が開示されている。その明細書における説明によれば、上面よりも下面の冷却を先行させることで、鋼板の上面および下面とも鋼板の幅方向の温度降下を均等にでき、かつ、冷却能をバランスさせることができ、冷却中の板変形を抑制できるということである。 【特許文献1】特開平9−141322号公報 【特許文献2】特開平10−166023号公報 【特許文献3】特開昭60−6218号公報 【特許文献4】特開平7−88533号公報 【発明の開示】 【発明が解決しようとする課題】 【0009】 しかしながら、前記特許文献1に記載の水切り方法に関しては、下流に行くに従って鋼帯上に大量の冷却水が累積的に滞留していくので後段側ほど水切り効果が小さくなる。また、前記特許文献2に記載の水切り方法では、圧延機を出てから巻き取り機に至るまでの鋼帯先端はフリーに搬送される無拘束の状態の先端をピンチロールに押し込むことは非常に難しかった。 【0010】 また、前記特許文献3に記載されているような、あらかじめ鋼帯に曲げを与えて熱応力による変形を予防もしくは矯正するためのレベリング作用を付与する方法は、押し込まれた状態のロール間に鋼帯の先端を挿入することが難しい。その上、上下のロールとの接触によってキズの発生が避けられなかった。 【0011】 また、前記特許文献4に記載されている技術は、冷却能の上下冷却能力をバランスさせて、厚鋼板の変形を抑制する技術であって、本発明が対象とする高速で搬送される熱延鋼帯の冷却や通板を安定化させる技術とは異なる。 【0012】 本発明は、上記の事情を考慮してなされたものであり、その目的とするところは、ランナウトテーブル上を搬送される熱延鋼帯を冷却水で冷却する際に、熱延鋼帯の先端から尾端まで均一に冷却を施すことができる熱延鋼帯の冷却方法を提供しようとするものである。 【課題を解決するための手段】 【0013】 本発明は、かかる問題点を解決するためになされていて、ランナウトテーブルを搬送される熱延鋼帯の上面および下面に冷却水を噴射する熱延鋼帯の冷却方法であって、鋼帯の上面と下面との間に20℃以上の温度差が生じるように、鋼帯の上面または下面の冷却を他方に対して先行して開始することを特徴とする熱延鋼帯の冷却方法である。すなわち、本発明においては、下面側の冷却を上面側の冷却に先行して開始し、鋼帯の下面が上面よりも20℃以上温度降下した後に上面側の冷却を開始する、あるいは、上面側の冷却を下面側の冷却に先行して開始し、鋼帯の上面が下面よりも20℃以上温度降下した後に下面側の冷却を開始する。 【0014】 下面側を上面側より先行して冷却を開始する、あるいは、上面側の冷却を下面側の冷却に先行して開始することで、鋼帯は幅方向に上を凸(図5(a))、あるいは下を凸(図5(b))にしてやや盛り上がったカマボコ型形状でローラテーブルを搬送されていく。鋼帯がカマボコ型形状に幅方向に反ることで、鋼帯が長手方向に波打ちが発生しにくくなる。その結果、従来見られていた長手方向の上下動(図6)が少なくなって、長手方向に生じた鋼帯の波の底の部分と山の部分の温度のばらつきが少なくなり、巻き取り機で巻き取る時点で、長手方向温度のハンチングが小さくなるので、鋼帯の材質(例えば硬度や伸び)が長手方向に一定になる。 【0015】 ここで、鋼帯の上面と下面との間の温度差を20℃以上としているのは、この温度差が20℃未満では、温度差に基づく上下歪差から発生する応力が、鋼帯の自重を超えないので幅方向の反りが発生せず、安定通板にはつながらないためである。一方、上下面で温度差が大きくなりすぎると、上面と下面の組織が異なるといった弊害が生じる恐れがあるため、上面と下面との温度差は50℃以下とすることが好ましい。 【0016】 なお、上面側の冷却を下面側の冷却に先行して開始した場合には、下を凸にした樋状の形状となり水がたまりやすくなるため、下面側の冷却を上面側の冷却に先行して開始する方が好ましい。ただし、上面側の冷却を先行開始して下を凸にした樋状の形状となった場合でも、冷却装置の間に幅方向に滞留水をパージするパージノズルを設けて適宜滞留水を噴射すればよい。 【発明の効果】 【0017】 本発明によれば、以下に述べるような効果を奏することとなる。 (1)鋼帯の長手方向の波打ちが発生しにくくなり、安定通板が可能となる。 (2)鋼帯の先端から後端に至るまで均一な冷却条件での冷却が可能となり、特に鋼帯の長手方向で鋼帯の品質が安定する。 【発明を実施するための最良の形態】 【0018】 以下、本発明の実施の形態を、図面を参照して説明する。 【0019】 図1は、本発明の一実施形態において用いる熱延鋼帯の製造設備を概略的に示す図である。粗圧延機1で圧延された粗バー2はローラテーブル3上を搬送されて、連続的に7つの連続仕上げ圧延機群4で所定の厚みまで圧延された後、最終仕上げ圧延機4Eの後方の鋼帯搬送路を構成するランナウトテーブル5に導かれる。このランナウトテーブル5は全長約100mあり、そのほとんど大部分は冷却装置6を構成していて、鋼帯10は、ここで冷却されたあと、後方の巻き取り機11で巻き取られて熱延コイルとなる。 【0020】 ランナウトテーブル5に設けている冷却装置6は、ランナウトテーブル5の上面側に所定ピッチで幅方向に列状に配置される複数の円管ラミナーノズル7と、下面側で鋼帯搬送用のローラテーブル8間に列状に配置される複数のスプレーノズル9からなっている。 【0021】 上記冷却装置6の周辺の構成は図2に示すようになっている。ランナウトテーブル5において、長手方向に約400mmピッチで、直径350mmの回転する鋼帯搬送用のローラテーブル8が配置され、これらローラテーブル8は鋼帯10の下面側に位置している。上面の冷却装置としては、上面冷却ノズルヘッダ12aに幅方向に30mmピッチで円管ラミナーノズル7が列状に設けられている。一方、下面の冷却装置としては、下面冷却ノズルヘッダ12bに100mmピッチでスプレーノズル9が列状に設けられている。なお、上面側の円管ラミナーノズル7と下面側のスプレーノズル8とは独立して各列ごとにオン−オフ制御が可能である。 【0022】 通常、この冷却装置6によって鋼帯10を冷却する際の制御は、次のように行なわれる。圧延仕上温度と目標冷却停止温度から、冷却水を噴射する冷却ゾーンの長さを求め、求まった冷却ゾーン長さ分の上面冷却ノズルヘッダ12aと下面冷却ノズルヘッダ12bの冷却水供給バルブを開いて、その列の円管ラミナーノズル7とスプレーノズル9から冷却水を噴射する。それ以降は、冷却後の温度計の実績をみて、鋼帯速度の変更(加速・減速)を勘案しながら、冷却ゾーン長さを変更する。 【0023】 そして、この実施形態の特徴は、上記において、図2に示すように、鋼帯10下面の冷却を鋼帯10上面の冷却に先行して開始する点にある。 【0024】 上面に対して下面を先行して冷却を開始すると、鋼帯10は下面側の温度が上面側に比べて下がるので、上に凸の形状となる。たとえば、そのときの鋼帯10の断面形状は、図3(a)に示すような凸形状(かまぼこ型)や、図3(b)に示すようなM字型形状になる。このように、鋼帯10がカマボコ型形状に幅方向に反ることで、鋼帯10が長手方向に波打ちが発生しにくくなり、安定通板が可能となるとともに、鋼帯の先端から後端に至るまで均一な冷却条件での冷却が可能となり、鋼帯10の材質(例えば硬度や伸び)が長手方向に一定になる。 【0025】 なお、この時、上面と下面の温度差が20℃以下では、温度差に基づく上下歪差から発生する応力が、鋼帯10の自重を越えないので、上記のような幅方向の反りが発生せず、その場合、安定通板にはつながらない。一方、あまり下面側を冷やしすぎると品質的に上面と下面の組織が異なるといった弊害が出るおそれがあるので、上面冷却開始時点の上面と下面の温度差を50℃以下に抑えることが望ましい。従って、上面と下面の温度差は望ましくは20〜50℃程度である。 【0026】 この20〜50℃の温度差をつけるためには、冷却は、強冷却であると望ましい。すなわち、冷却が弱いと、上面冷却に先立って冷却する下面冷却の長さが長くなったり、あるいは、いくら下面を先行して冷却しても上下面に20℃を越える温度差がつかなかったりするからである。 【0027】 図4に、鋼帯の板厚が2mm、3mm、4mm、10mmの場合について、上面と下面に50℃の温度差を生じさせるために必要な先行する下面のみの冷却時間(所要先行冷却時間)を示しているが、水量密度Wを多くすればするほど、すなわち冷却を強くすればするほど所要先行冷却時間を短くできる。最低でも1000L/minm2以上、望ましくは2000L/minm2以上の水量密度で冷却を施すのが望ましい。例えば、板厚が2mm、3mm、4mmの場合、水量密度Wを2000L/minm2で冷却すれば、上下面温度差を50℃とするための所要先行冷却時間は0.13秒となり、上面冷却の開始前に0.13秒先行させて下面冷却を行なえばよい。逆に、水量密度Wが1000L/minm2未満では所要先行冷却時間が長くなり現実的ではなくなる。これは、下面冷却中に熱の拡散により熱が上面側から下面側に向かって拡散するので、上下面に50℃の温度の差をつけにくくなるためである。この傾向は板厚が厚い10mmで顕著である。また、図4より、例えば0.1秒程度の短時間で上下面に温度差をつけるためには、水量密度を2000L/minm2程度の強い冷却が必要であることがわかる。このように、図4に示すような、板厚および水量密度と所要先行冷却時間との関係を予め求めておき、それに基づいて下面冷却を上面冷却に先行して開始する。 【0028】 その際、冷却装置6の制御は次のように行う。鋼帯の速度、計測した温度、板厚目標の冷却停止温度までの冷却量から噴射する冷却ゾーンの長さ(冷却ノズルの列数)を求める。求めた冷却ノズルの列数だけ冷却水を噴射するように設定するが、その時、下面冷却の開始位置と上面冷却のそれぞれの開始位置(噴射開始位置)については、鋼帯速度が変化しても、常に所要先行冷却時間を確保できるように設定する。すなわち、鋼帯速度が増加するにつれて、冷却水を噴射する冷却ノズルの列数を増やし、冷却ゾーンを鋼帯先端方向に伸ばしていくが、常に所要先行冷却時間を確保できるように、途中で下面と上面の各噴射開始位置を調整する。 【0029】 上記のようにして、この実施形態においては、鋼帯10がカマボコ型形状に幅方向に反るように冷却しているので、鋼帯10の長手方向の波打ちが発生しにくくなり、安定通板が可能となるとともに、鋼帯10の先端から後端に至るまで均一な冷却条件での冷却が可能となり、特に鋼帯10の長手方向で鋼帯の品質が安定する。 【0030】 なお、前述したように、鋼帯10の断面形状が、図3(a)に示すようなかまぼこ型になる場合と、図3(b)に示すようなM字型になる場合があるが、鋼帯厚が薄く、鋼帯幅が広い場合には、M字型になる可能性が高い。M字型の断面形状になった場合には、M字型の中心部がへこんだ状態になるので、そこに冷却水が溜まりやすくなるおそれがあるが、その場合は、図2に示すように、冷却装置6に、幅方向に空気乃至水を噴射して滞留水を吹き飛ばすパージノズル13を適宜設けて、滞留水の排除を行なえばよい。こうすれば、長手方向には波を打ったような上下振動が起こらないので、どの断面でも温度が一様で、同じ熱履歴を経て冷却されることとなり、鋼帯を巻いたコイルの品質が全体として一様になる。 【0031】 また、上記の実施形態においては、下面側を先行して冷却する場合について説明したが、上面側を先行して冷却する場合についても、下面側を先行して冷却した場合と同様の効果を得ることができる。ただし、上面側を先行して冷却した場合には、鋼帯が樋形状となるので、そこに冷却水が滞留して幅方向の中心部が過冷却になるおそれがある。この場合も、図2に示すように、冷却装置6に、幅方向に空気乃至水を噴射して滞留水を吹き飛ばすパージノズル13を適宜設けて、滞留水の排除を行なえばよい。 【実施例1】 【0032】 本発明の具体的な実施例について説明する。 【0033】 本発明例1として、上述の本発明の一実施形態に基づいて、図1で示す設備を使って、板幅が1600mmで仕上げ板厚が2.8mmの鋼帯を製造した。仕上げ圧延機の鋼帯の出口速度は先端部で700mpm、先端部が巻き取り機に到達して以降は順次速度を上げて最高1000mpmまで増速した。鋼帯の仕上げ圧延機出側の温度は850℃で、目標の巻き取り温度である400℃まで冷却した。 【0034】 ここで、この鋼帯に反り高さが30mm程度のかまぼこ型形状を付与することとし、そのため、上面冷却よりも下面冷却を先行して開始することにより上下面の温度差を50℃付けることとした。なお、この時の反り高さ30mm程度のカマボコ型形状は、上面冷却に先行して開始した下面冷却を、上面冷却に先行して停止すれば、巻き取り機で巻き取る段階では、このカマボコ型形状は消失する。すなわち、塑性変形には至らない程度の反り量である。 【0035】 そこで、図4より、水量密度2000L/minm2で、下面冷却を上面冷却に対して0.15秒先行して冷却を開始すべく、各冷却ノズルの噴射のオン−オフを設定して、鋼帯先端を通過させた。鋼帯の先端が通過中、並びに、巻き取られた後もキズや弛みの発生はなかった。 【0036】 その結果、本発明例1においては、鋼帯長手方向の波打ちが発生せず、巻き取り温度が400℃±10℃以内となる非常に均一な冷却が実現できた。それにより、長手方向に均一な材質を備えた鋼帯を得ることができた。 【0037】 これに対して、比較例1として、図1で示す設備を使って、板幅が1600mmで仕上げ板厚が2.8mmの鋼帯を製造した。その際に、上面冷却と下面冷却を同時に開始して同時に停止した以外は、本発明例1と同じ条件とした。 【0038】 その結果、比較例1では、鋼帯長手方向の波打ちが発生し、鋼帯長手方向に温度のハンチングが見られた。これは、鋼帯の長手方向に傾斜した面では冷却が水平面と異なることや、滞留水が鋼帯の波の底になった部分に滞留することから、長手方向に温度のハンチングが生じたものと考えられる。そのために、鋼帯内の温度のばらつきが大きくなり、巻き取り温度が狙いの温度400℃に対して300〜420℃と大きくばらつき、それにより、鋼帯内の強度のばらつきも大きかった。 【実施例2】 【0039】 本発明の別の実施例を説明する。この実施例は実施例1で用いた冷却装置よりも強冷却が可能な冷却設備で本発明の冷却方法を実施した場合(本発明例2)である。すなわち、本発明例2で用いた冷却設備は、ランアウトテーブルの中間付近において鋼帯の上面と下面に多数の柱状冷却水を注水する強冷却が可能な冷却装置であって、水量密度を2000〜10000L/minm2とした冷却が可能である。 【0040】 この冷却設備を使って、板幅が1600mmで仕上げ板厚が2.8mmの鋼帯を冷却した。なお、仕上げ圧延機の鋼帯の出口速度は先端部で700mpm、先端部が巻き取り機に到達して以降は順次速度を上げて最高1000mpmまで増速した。鋼帯の仕上げ圧延機出側の温度は850℃であり、巻き取り目標温度420℃まで冷却した。 【0041】 ここで、この鋼帯に反り高さが30mm程度のかまぼこ型形状を付与することとし、そのため、上面冷却よりも下面冷却を先行して開始することにより上下面の温度差を50℃付けることとした。 【0042】 そこで、図4より、水量密度3000L/minm2で、下面冷却を上面冷却に対して0.1秒先行して冷却を開始すべく、各冷却ノズルの噴射のオン−オフを設定して、鋼帯先端を通過させた。鋼帯の先端が通過中、並びに、巻き取られた後もキズや弛みの発生はなかった。 【0043】 その結果、本発明例2においては、鋼帯長手方向の波打ちが発生せず、巻き取り温度が400℃±10℃以内となる非常に均一な冷却が実現できた。それにより、材質もきわめて均質な鋼帯を安定製造することができた。 【図面の簡単な説明】 【0044】 【図1】本発明の一実施形態において用いる圧延設備の概略の構成図である。 【図2】本発明の一実施形態において用いる冷却装置の拡大図である。 【図3】鋼帯の断面形状変化を模式的に示した図である。 【図4】鋼帯の板厚および水量密度と所要先行冷却時間の関係を示した図である。 【図5】鋼帯がカマボコ型形状でローラテーブルを搬送されていく状態を示した図である。 【図6】鋼帯が長手方向に上下動しながらローラテーブルを搬送されていく状態を示した図である。 【図7】従来技術を示す図である。 【符号の説明】 【0045】 1…粗圧延機 2…粗バー 3…ローラテーブル 4…連続仕上げ圧延機群 4E…最終仕上げ圧延機 5…ランナウトテーブル 6…冷却装置 7…円管ラミナーノズル 8…ローラテーブル 9…スプレーノズル 10…鋼帯 11…巻き取り機 12a…上面冷却ノズルヘッダ 12b…下面冷却ノズルヘッダ 13…水切りパージノズル
|
| 【出願人】 |
【識別番号】000001258 【氏名又は名称】JFEスチール株式会社
|
| 【出願日】 |
平成18年6月30日(2006.6.30) |
| 【代理人】 |
【識別番号】100105968 【弁理士】 【氏名又は名称】落合 憲一郎
【識別番号】100130834 【弁理士】 【氏名又は名称】森 和弘
|
| 【公開番号】 |
特開2008−6488(P2008−6488A) |
| 【公開日】 |
平成20年1月17日(2008.1.17) |
| 【出願番号】 |
特願2006−181396(P2006−181396) |
|