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【発明の名称】 連続冷間圧延機の先端自動通板装置
【発明者】 【氏名】新田 哲也

【要約】 【課題】上位計算機からは、圧延時のワークロールギャップ値を受け取り、圧延ギャップとバイアス定数にてワークロールギャップ値を変更して圧延機噛み込み後、距離タイマーがタイムアップ後に圧延ギャップ設定に戻す事で実現するようにした連続冷間圧延機の先端自動通板装置を得る。

【構成】連続冷間圧延機の上下ワークロール間のギャップを調整することにより、圧延材の板厚を制御するものにおいて、管理されているプロダクションデータのうち、圧延ギャップデータを生成して送信する上位計算機(L2)と、上位計算機から送信される圧延ギャップデータを受け取り、受け取った制御用の圧延ギャップデータに対して、通板性を良くする為に、圧延ギャップデータにバイアス値を付加し通板用ギャップデータとすることができる操作端末4を有するプログラムコントローラ(L1)とを備える。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
連続冷間圧延機の上下ワークロール間のギャップを調整することにより、圧延材の板厚を制御する連続冷間圧延機の先端通板装置において、
管理されているプロダクションデータのうち、圧延ギャップデータを生成して送信する上位計算機と、
前記上位計算機から送信される圧延ギャップデータを受け取り、受け取った制御用の圧延ギャップデータに対して、通板性を良くする為に、圧延ギャップデータにバイアス値を付加し通板用ギャップデータとすることができる操作端末を有するプログラムコントローラと、
を備えたことを特徴とする圧延機の先端自動通板装置。
【請求項2】
プログラムコントローラ側の通板用ギャップを圧延ギャップに戻すタイミングを設定する機能を操作端末に設けたことを特徴とする請求項1記載の圧延機の先端自動通板装置。
【請求項3】
最終の圧延機前で停止させずにギャップを開放するために、圧延ギャップ値にバイアステーブルを付加する機能を操作端末に設けたことを特徴とする請求項1記載の圧延機の先端自動通板装置。
【請求項4】
油拭き取りロールを圧延機の前段に設け、そのロールの回転速度を制御する機能を設けたことを特徴とする請求項1記載の圧延機の先端自動通板装置。
【発明の詳細な説明】【技術分野】
【0001】
この発明は、鉄鋼分野の圧延過程における先端通板時間の短縮、先端材品質向上、オペレータの作業軽減、尾端尻抜け通板時間の短縮をすることを目的とする連続冷間圧延機の先端自動通板装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、鉄鋼分野の冷延設備における先端通板装置においては、上位計算機からの張力設定値を受け取り、オペレータが手動操作でワークロールのギャップを調整して、各圧延機噛み込み(メタルイン)後に張力設定値を見ながら張力の合わせ込みをして、巻き取りリールまで通板を行う、手動通板操業を採用していた。その為 通板に多くの時間を要し、また通板部におけるオフゲージが発生していた。このオフゲージ部分は、製品材にならず次工程でカットされる(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
【特許文献1】特開2004−34116号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
従来の鉄鋼分野の冷延設備における先端通板装置では、圧延開始前に各圧延機スタンドのワークロールギャップを板先端部噛み込みが可能となるように一定量を開放して、入側払い出しリールから被圧延材を通板する。板先端部が噛み込んだ圧延機は、低圧下率の低圧延荷重になるように荷重一定制御及び入側張力を前段の圧延機によるロール速度を用いて一定に入側張力一定制御を開始する。通板状態においては、板厚はワークロールギャップ、張力は前段圧延機によるロール速度によって制御するが、圧延速度が上昇後は、板厚制御は前段圧延機によるロール速度、張力制御はワークロールギャップによって実現している。
板先端部が次圧延機に到達し、出側張力が確立してから該当圧延機の圧下を閉して設定荷重に持っていく為、急激な圧下により発生する板先端部の蛇行がなかった反面、開放後に閉めるため、オフゲージが必ず出来てしまい、先端除去が必要となるのが課題であった。
【0005】
この発明は上記のような課題を解決するためになされたものであり、上位計算機からは、圧延時のワークロールギャップ値を受け取り、圧延ギャップとバイアス定数にてワークロールギャップ値を変更して圧延機噛み込み後、距離タイマーがタイムアップ後に圧延ギャップ設定に戻す事で実現するようにした連続冷間圧延機の先端自動通板装置を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
この発明に係る連続冷間圧延機の先端自動通板装置においては、連続冷間圧延機の上下ワークロール間のギャップを調整することにより、圧延材の板厚を制御するものにおいて、管理されているプロダクションデータのうち、圧延ギャップデータを生成して送信する上位計算機と、上位計算機から送信される圧延ギャップデータを受け取り、受け取った制御用の圧延ギャップデータに対して、通板性を良くする為に、圧延ギャップデータにバイアス値を付加し通板用ギャップデータとすることができる操作端末を有するプログラムコントローラとを備えたものである。
また、尾端尻抜け時に最終圧延機前停止させずに圧延ギャップ値にバイアスを付加する。油拭き取りロールを圧延機前段に設け、そのロールの回転速度を制御する。
【発明の効果】
【0007】
この発明によれば、オペレータ手動による通板でない為、圧延過程における 先端通板時間の短縮が可能である。例えば、5台の圧延機があり各圧延機間を4m、通板待機位置から第1圧延機まで3m、最終圧延機と巻き取りリールの間も5mとする(合計24m)。現状のオペレータ手動での圧延では、第1圧延機のワークロールギャップを開けて、板が蛇行しない為にガイド等の調整も実施した上で、第1圧延機が噛み込み(メタルイン)するまでに20秒位かかっている。各圧延機間も手動にてガイド、ギャップを開け閉をして板を通している。また途中で通板を止めるなどしており、圧延材先端速度30m/分にて、平均90秒かかっている。しかし、この発明による自動通板の改善では、例えば上位計算機からの圧延ギャップ、第1圧延機 0.082mm、第2圧延機 −0.584mm、第3圧延機 −0.932mm、第4圧延機 −0.910mm、第5圧延機 −0.760mmに対して、バイアス値、第1圧延機 0.500mm、第2圧延機 0.700mm、第3圧延機 0.900mm、第4圧延機 1.00mm、第5圧延機 1.00mmを付加し、ギャップを開けることにより、先端が入りやすくなる。
また圧延機噛み込み(メタルイン)後、 距離タイマー後に通板ギャップを圧延ギャップに戻すことができる為、オフゲージを減らすことができる。
自動通板では、平均90秒かかっていたところが60秒で通板待機位置から巻き取りリールまで通板でき、材料の品質向上が図れる。
また尾端尻抜け時に最終圧延機前停止させないことにより、現在平均50秒かかっている時間が削減され、操業稼働率の向上に貢献することが可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0008】
実施の形態1.
以下、この発明の実施の形態1を図1、図2に基づいて説明する。図1において、上位計算機(L2)で管理されているプロダクションデータ1のうち、圧延ギャップデータはL2ローリングギャップテーブル2としてプログラムコントローラ(PLC)(L1)への送信情報として生成され、プログラムコントローラ(L1)側の L1ローリングギャップテーブル3に送信される。プログラムコントローラ側操作端末4により、L1ローリングギャップテーブルにバイアス値を付加したテーブルがL1ローリングギャップテーブル+バイアス5に格納される。図2において、6は第1圧延機、7は第2圧延機、8は第3圧延機、9は第4圧延機、10は第5圧延機、11は先端材、12は入側払い出しリール、13は巻き取りリール、14は第1圧延機6の前に設けられた油拭き取りロールである。
図3はワークロールギャップの動作例を示す図で、15はワークロール、16は圧延材である。図4はギャップ値のバイアスを付加するプログラムコントローラ側操作端末の設定画面を示す図で、20は板厚、21は通板ギャップ用バイアス設定である。図5はタイムアップ値を設定するプログラムコントローラ側操作端末の画面を示す図で、22は出側板厚、23はメタルイン+長さ設定である。図6は図4のプログラムコントローラ側操作端末の設定によるギャップバイアスと出側板厚との関係を示す特性図で、24はギャップバイアスと出側板厚との特性グラフある。図6のグラフ24により出側板厚よりギャップバイアス値を算出する。
【0009】
次に動作について説明する。
図3において、プログラムコントローラ(L1)側の L1ローリングギャップテーブル3の圧延ギャップに対し、プログラムコントローラ側操作端末4による通板ギャップ用バイアス設定21を設定可能とし、通板ギャップを生成することができる。これにより、先端がワークロール15に引っかかりループになることなく通板することできる。
【0010】
実施の形態2.
なお、上記実施の形態1では、プログラムコントローラ(L1)側の L1ローリングギャップテーブル3の圧延ギャップに対し、プログラムコントローラ側操作端末4による通板ギャップ用バイアス設定21を設定可能とし、通板ギャップを生成することができたが、圧延ギャップに戻す為、図5に示すように、メタルイン+長さ (m)設定23を設けることにより、オフゲージ量を減らすることができる。
【0011】
実施の形態3.
なお、上記実施の形態1では、プログラムコントローラ(L1)側の L1ローリングギャップテーブル3の圧延ギャップに対し、プログラムコントローラ側操作端末4による通板ギャップ用バイアス設定21を設定可能とし、通板ギャップを生成することができたが、圧延材尻抜け時、次の材料の通板用に、ギャップを通板ギャップ(圧延ガップ+バイアス値)に変更できるようにし、ワークロール15に傷を付けることなく、操業時間を伸ばすことができる。
【0012】
実施の形態4.
なお、上記実施の形態1では、プログラムコントローラ(L1)側の L1ローリングギャップテーブル3の圧延ギャップに対し、プログラムコントローラ側操作端末4による通板ギャップ用バイアス設定21を設定可能とし、通板ギャップを生成することができたが、前段のラインにて油の付いている圧延材が来ることにより第1圧延機6のワークロールに板先端部が滑って通板できないことがある。
そこで、油拭き取りロール14を圧延機の前に設け、そのロールの回転速度を圧延材によりプログラムコントローラ(L1)で制御するようにした為、油が落とすことができ第1圧延機6のワークロールにメタルインし易くすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】この発明の実施の形態1における連続冷間圧延機の先端自動通板装置を示した説明図である。
【図2】この発明の実施の形態1における連続冷間圧延機の先端自動通板装置を示す構成図である。
【図3】この発明におけるワークロールギャップの動作例を示す図である。
【図4】この発明におけるギャップ値のバイアスを付加するプログラムコントローラ側操作端末の設定画面を示す図である。
【図5】この発明におけるタイムアップ値を設定するプログラムコントローラ側操作端末の画面を示す図である。
【図6】図4のプログラムコントローラ側操作端末の設定によるギャップバイアスと出側板厚との関係を示す特性図である。
【符号の説明】
【0014】
L1 プログラムコントローラ
L2 上位計算機
1 プロダクションデータ
2 L2ローリングギャップテーブル
3 L1ローリングギャップテーブル
4 プログラムコントローラ側操作端末
5 L1ローリングギャップテーブル+バイアス
6〜10 第1〜第5圧延機
11 先端材
12 入側払い出しリール
13 巻き取りリール
14 油拭き取りロール
15 ワークロール
16 圧延材
20 板厚
21 通板ギャップ用バイアス設定
22 出側板厚
23 メタルイン+長さ(m)設定
24 特性グラフ
【出願人】 【識別番号】501137636
【氏名又は名称】東芝三菱電機産業システム株式会社
【出願日】 平成18年6月22日(2006.6.22)
【代理人】 【識別番号】100082175
【弁理士】
【氏名又は名称】高田 守

【識別番号】100106150
【弁理士】
【氏名又は名称】高橋 英樹


【公開番号】 特開2008−788(P2008−788A)
【公開日】 平成20年1月10日(2008.1.10)
【出願番号】 特願2006−172552(P2006−172552)