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【発明の名称】 汚染土壌の浄化方法
【発明者】 【氏名】松井 啓二

【要約】 【課題】ダイオキシンや重金属類等で汚染された汚染土壌を、現位置において飛散させずに簡便且確実に不溶固定化できる汚染土壌の浄化方法を提供する。

【解決手段】汚染土壌の全体若しくは一部の区画を外気遮断区画体で区画し、その内部で汚染土壌を掘削し所定粒径に整粒したうえ、この整粒された汚染土壌重量に対し5乃至15重量%割合でシロキサン及びシラノール塩多分子量溶液を混合混練し、その外表面全体に略均等に混合付着のうえ、600℃以上の加熱処理を施して不溶固定化を図ったうえ掘削跡地に埋戻す。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
汚染土壌の全体若しくはその一部区画を、その内部で掘削作業や整粒作業或いは混合混練作業がなしえる内容積と寸法形状で、且その内部に加圧送風しえる送風機並びに防塵排出器と、膨脹展開しえるシート材及びその外面を包被固定するネット材からなり、而も設置と撤去が簡便になしえる外気遮断区画体を張設のうえ、適宜の掘削機で汚染土壌を掘削し所定の粒径に整粒させたうえ、この整粒された汚染土壌重量に対し5乃至15重量%割合でシロキサン及びシラノール塩多分子量溶液を混合混練して、その外表面全体に略均等に混合付着させ600℃以上の高温度で而も加熱分解ガスや臭気ガスを徐冷集塵のうえ排気させながら加熱処理を施すことにより、ダイオキシンや重金属類等の汚染物質をシロキサン結合内に取り込み、且その外表面にガラス被膜を強固に包着させて確実な不溶固定化を図ったうえ、掘削跡地に埋戻すことを特徴とする汚染土壌の浄化方法。
【請求項2】
整粒選別装置で非通落した汚染土壌等を破砕のうえ再度整粒して使用する、請求項1記載の汚染土壌の浄化方法。
【請求項3】
加熱処理により不溶固定化された汚染土壌を、更に冷却キルンにおいて冷却する請求項1乃至請求項2記載の汚染土壌の浄化方法。
【請求項4】
シロキサン及びシラノール塩多分子量溶液が、シロキサン及びシラノール塩からなり分子量換算で略4,000乃至8,000の多分子量化された錯化合物状で、且そのpH値が8.0乃至12.0に保持され而もシロキサン及びシラノール塩からなる固形分が45乃至75重量%に水分が25乃至55重量%割合からなる組成である、請求項1乃至請求項4記載の汚染土壌の浄化方法。
【発明の詳細な説明】【技術分野】
【0001】
本発明はダイオキシンや重金属類等の汚染物で汚染された土壌を、現位置において簡便且確実に不溶固定化して浄化することの可能な汚染土壌の浄化方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
我が国は今日まで著しい経済成長を遂げてきているが、この背景には化学工業や石油化学工業の発達が大きく関与してきている。そしてかかる化学工業や石油化学工業の大きな関与は、とりもなおさず膨大量の化学品や有機溶剤或いは合成樹脂製品等が生産され消費され且廃棄されてきたことに他ならない。
これがため極めて長期に亘って生産工場で排出若しくは拡散され、消費期間中に揮散や溶出され或いは廃棄による分解や変性若しくは溶出等とが相俟って、現状においては大気や水及び土壌にまで亘ってその環境汚染は極限に至っており、環境汚染の拡大防止はもとより環境浄化が国際的且緊急的課題とされるに至っている。
【0003】
とりわけ重大なことは、環境汚染が拡大化された大気や水或いは土壌において、大気及び水については自然環境の中での浄化作用が働くことから、汚染物質の排出や廃棄を削減させることにより環境浄化の可能な余地が期待できるものの、土壌においては浄化作用が働かないため、専ら汚染物質が重積され汚染の拡大の一途を辿る結果となる。
これがため我が国でも既に発生した土壌汚染については、その状況の把握と汚染の除去等の措置のための土壌汚染対策法が平成15年2月に施行され、特に特定有害物質として25物質について厳しい規制値の基準が定められるに至っている。従って土地の利用に際しては土壌の汚染調査となし、汚染土壌においてはその利用者等が浄化をなさぬ限りその土地利用も出来なくなり、土地の再利用再開発には重大な影響を与える。
【0004】
而してかかる厳しい土壌汚染対策法の汚染基準に対処すべき浄化手段としては、利用区画内の汚染土壌を掘削除去のうえ外部から未汚染土壌を搬入埋設する客土法を初め、汚染された土壌区画内に適宜間隔を以って注入穴を形成のうえ、該注入穴より高圧力を以って汚染土壌内全体に生コンクリートや凝固剤等を注入拡散せしめて有害物質を凝固固定化させる凝固法や、所要間隔毎にボーリング穴を形成のうえ、該ボーリング穴内に活性炭やシリカゲル或いはゼオライト等の吸着材を注入充填のうえ、別に形成させた加圧穴より土壌内に高圧を付加し土壌間隔内に潜在する有害物質を加圧移動させて吸着材に一旦吸着させたうえ除去する加圧吸着法、或いは汚染土壌に所定間隔毎に電極棒を埋入のうえ、この電極棒相互間に過大電流を通電せしめて重金属類を一方極に移行集着せしめて浄化を図る電極法等が提案されている。
【0005】
然るに土地の再利用や再開発は圧倒的に都市部や都市近郊に集中するものであって、反面前記客土法においては過去に膨大量の農薬や化学肥料等が山間部の農地や林地を初めゴルフ場等に散布使用され続けられてきているため、化学品や石油化学品の生産工場で排出され若しくは漏出して汚染される土壌以上に汚染が進んでおり、客土法による場合でも未汚染土壌の確保が至難なうえ、掘削除去した汚染土壌の浄化処理場所等も都市部や都市近郊では、確保できぬ問題を抱えている。
【0006】
更に凝固法においては、有害物質に汚染された土壌全体を凝固剤で凝固固定するものであるから、膨大量の凝固剤の使用に加えて土壌を著しく変質化させ、而も処理区画外に亘って凝固剤の浸透凝固の問題も内在する。
加えて加圧吸着法においては極めて大圧力の加圧装置が必要となり、且加圧移動される有害物質は土壌中に混在する有害ガスが主体とされ、土壌に固着する有害物質ではほとんど吸着除去がなしえず、而も有害物質が吸着された吸着材の浄化処理を別途なさねばならず、更には電極法においても極めて大電流を通電させる電力装置が必要となるばかりか、一方極に移行集着される有害物質は重金属類の一部に限定され、且移行集着された有害物質については別途浄化処理を施さねばならぬ等、提案されてなるこれら手段は莫大な浄化処理費用に加え確実な浄化処理にも問題を抱えるばかりか、現位置での浄化処理も不可能である。
【0007】
かかる実情に鑑み発明者は研究を重ねた結果、発明者はダイオキシンや重金属類を含む特定有害産業廃棄物の再利用化若しくは廃棄に際して確実な不溶固定化を図り環境汚染を防止しえる不溶固定化手段として、シロキサン及びシラノール塩多分子量溶液を特定有害産業廃棄物の外表面全体に均等に混合付着させたうえ、少なくとも600℃以上の加熱処理を施すことで、強力なシロキサン結合内にダイオキシンや重金属類が取り込まれ、且連続気泡構造で生成され而も高温度により連続気泡構造が閉塞されたガラス被膜により包着され、自然条件下に曝露され若しくは酸性条件においても再溶出化が確実に実現しえることを究明し、既に先願を出願済である。
【0008】
そこで発明者は汚染土壌全体若しくは一部を外気と遮断する遮断区画手段と、該遮断区画内において汚染土壌を掘削する掘削手段並びにこの掘削手段で掘削した汚染土壌の粒径を揃える整粒選別手段と、粒径の揃えられた汚染土壌にシロキサン及びシラノール塩多分子量溶液を所要重量割合で混合混練する混合混練手段及び、混合混練された汚染土壌を600℃以上の高温度で加熱処理しえる加熱処理手段とにより、現位置で有害物質を飛散させることなく簡便且能率的に不溶固定化処理が可能となることを解明し本発明に至った。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明は汚染土壌を現位置において、簡便且能率的に不溶固定化することの可能な汚染土壌の浄化方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上述の課題を解決するための手段は汚染土壌の全体若しくは一部区画を、その内部において掘削作業や整粒作業並びに混合混練作業のなしえる内容積で、且その内部に加圧空気を送風しえる送風機及び防塵排出器と、該加圧空気により所要の形状と内容積に膨脹展開しえるシート材及び該シート材の外面を包被固定するネット材からなり、而も設置並びに撤去が簡便自在になしえる外気遮断区画体を用い、該外気遮断区画体内で所要の面積と深さに汚染土壌を掘削機で掘削のうえ、この掘削された汚染土壌を所定の粒径以下に整粒させるために所定の網目合に形成され且傾斜配置される整粒板、及び該整粒板の下側に傾斜配位されるベルトコンベアとからなる整粒選別装置の整粒板上端部位に供給し、所定粒径以下の汚染土壌を通落させて整粒し且未通落塊を整粒板下端に除落させて選別させる。
【0011】
かくして所定粒径以下に整粒された汚染土壌には、シロキサン及びシラノール塩からなり、その分子量換算で略4,000乃至8,000程度の多分子量の錯化合物状で且そのpH値が8.0乃至12.0に保持され、而もシロキサン及びシラノール塩からなる固形分が45乃至75重量%と水分が25乃至55重量%割合からなるシロキサン及びシラノール塩多分子量溶液が、該整粒された汚染土壌に対し5乃至15重量%割合で混合し整粒された汚染土壌の外表面全体に均等に混合付着されるよう混合混練装置で混合混練させることにより、シロキサン及びシラノール塩多分子量溶液の外表面全体への混合付着と且その粘着性とによりダイオキシンや重金属類の一次飛散や溶出が防止される。
【0012】
かくして一次飛散や溶出防止のなされた汚染土壌は、少なくとも600℃以上の高温度で且加熱分解ガスや臭気ガス等を徐冷集塵のうえ排気させる排気機構が付帯された加熱処理装置において加熱処理を施し、膨大数に亘るシロキサン結合を促進せしめてダイオキシンや重金属類等の有害物質をシロキサン結合内に取り込み、且その外表面全体に混合付着させたシロキサン及びシラノール塩多分子量溶液の加熱融着性の創出と水分蒸散による連続気泡構構造の生成と、且高温度による生成連続気泡構造の閉塞によるガラス被膜の強固な包着により、ダイオキシンや重金属類の確実な不溶固定化を図ったうえ、再び掘削跡地に埋戻す現位置における汚染土壌の浄化方法に存する構成に存するものであり、更には未通落塊を破砕装置により所定の粒径以下に破砕整粒のうえ混合混練機においてシロキサン及びシラノール塩多分子量溶液と混合混練させる構成に存するものである。
【発明の効果】
【0013】
本発明はかかる構成を用いてなるため、汚染土壌の浄化に際しての掘削時にも、汚染土壌の全体若しくは一部の区画が外気遮断区画体により区画されてなされるため、降雨や降雪或いは強固時等においても掘削作業がなされるばかりか、該外気遮断区画体は所要の内容積に膨脹展開しえる寸法形状に形成されたシート材と且その外面を包被固定しえるネット材及びその内部に加圧空気を送風しえる送風機と防塵排出器とにより構成されるため、汚染土壌の適宜区画位置にシート材及びネット材の下端を埋入係止させるのみで、送風により所要の内容積に膨脹展開でき、且区画内での掘削や整粒選別或いは混合混練に際して発生する有害ガスや粉塵等も飛散することなく防塵排出器で除去され排気がなされる。
加えて他の区画位置への移動も、シート材及びネット材の埋入係止を取り除き新たな区画位置において埋入係止することで簡便に移動設置がなしえ、而も内部加圧と且包被固定するネット材とにより強風や降雪にも十分対抗できる。
【0014】
そしてかかる外気遮断区画体内は、十分に広大な内容積で膨脹展開されてなるから、汚染土壌の掘削には各種の掘削機が自在に使用でき、而も掘削された汚染土壌も整粒選別装置により所定の粒径以下に整粒され、更には所定粒径以上の未通落塊も破砕装置により破砕されて所定粒径以下に整粒されるため、シロキサン及びシラノール塩多分子量溶液を該整粒された汚染土壌に対し5乃至15重量%割合程度の少ない混合割合で混合混練させても、該整粒された汚染土壌の外表面全体に略均等に混合付着がなされることとなる。
【0015】
かくして整粒された汚染土壌の外表面全体に混合付着されたシロキサン及びシラノール塩多分子量溶液は、シロキサン及びシラノール塩をその分子量換算で略4,000乃至8,000程度の多分子量の錯化合物状に形成され、且そのpH値が8.0乃至12.0のアルカリで而もシロキサン及びシラノール塩からなる固形分が45乃至75重量%に水分が25乃至55重量%割合からなるため、600℃以上の高温度で加熱処理を施すことにより膨大数に亘るシロキサン結合が促進され、このシロキサン結合内にダイオキシンや重金属類が強固に取り込まれ、而も高温度により加熱融着性と水分蒸散により連続気泡構造が生成され、且高温度による該生成された連続気泡構造が閉塞されガラス化したガラス被膜により、強固に包着されることとも相俟って、ダイオキシンや重金属類が自然条件や酸性条件下に晒されても確実に不溶固定化が保持される。
而して不溶固定化のなされた汚染土壌を掘削された跡地に埋戻すことにより、現位置において簡便且能率的に汚染土壌の浄化がなしえる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
汚染土壌の全体区画若しくは一部区画に、所要の内容積で膨脹展開しえる外気遮断区画体を仮設したうえ、該外気遮断区画体内で汚染土壌を掘削のうえ整粒選別装置において所定粒径に整粒し、この整粒された汚染土壌の重量に対して5乃至15重量%割合にシロキサン及びシラノール塩多分子量溶液を混合混練してその外表面全体に均等に混合付着させてダイオキシンや重金属類の一次飛散や溶出を防止する。
而してこの一次飛散や溶出防止が施された汚染土壌を、その温度が600℃以上に保持された加熱処理装置で加熱処理して確実な不溶固定化を図ったうえ、掘削された跡地に埋戻しをなす。
【実施例1】
【0017】
以下に本発明実施例を図とともに詳細に説明すれば、図1は外気遮断区画体10の説明図であって、該外気遮断区画体10は汚染土壌1内に混在付着するダイオキシンや重金属類等の有害物質が掘削作業や、汚染土壌1の粒径選別作業或いは破砕作業若しくはシロキサン及びシラノール塩多分子量溶液2と整粒された汚染土壌1Aとの混合混練作業等に際して外部飛散や漏出せぬよう遮断し、而もその内部においてこれら作業等を容易になしえる内容積を以って、且広面積に亘る汚染土壌1の全体区画若しくは一部区画内に、該外気遮断区画体10を簡便に設置並びに撤去しえるように、更には強風や降雨にも対抗して使用できるよう膨脹展張できるものが望まれる。
【0018】
これがため該外気遮断区画体10は、その内部に加圧空気を通風することにより所要の内容積と寸法及び形状に膨脹展開しえるようフィルム材10Aが予め一体的に形成され、且その一方側には内部に所要の送風量と送風圧を以って加圧空気を送風しえる送風機10Bが配置されており、更に他方側には汚染土壌1内に混在するダイオキシンや重金属類等を含む粒塵を吸着除去のうえ外部排出をなす防塵排出器10Cが配置されている。加えてフィルム材10Aの外面には膨脹展開されるフィルム材10Aを包着固定して内部加圧力と包着固定力とをバランスさせて強風や降雪に対抗しえる展張となすネット材10Dが付帯するもので、フィルム材10Aとしては軽量で柔軟且強靭なものが望まれることから、塩化ビニールや酢酸ビニール、エチレン酢酸ビニル共重合若しくはポリエチレン素材からなる厚さ0.08乃至0.8mm程度のものが用いられる。
【0019】
更にネット材10Dも軽量で強靭なものが望まれるため、ポリエチレンやポリプロピレン或いはポリアミド系合成繊維で、且網糸分径では略2乃至5mmφ程度のものを用いその網目合を略30乃至45cm程度の無結節若しくは有結節編成させたものが好都合である。
そしてかかる外気遮断区画体10の設置に際しては、膨脹展開される場合のフィルム材10A及びその外面に包着固定させるネット材10Dの下端を、汚染土壌1内に埋入係止10Eさせることでなしえる。
かかるフィルム材10A及びネット材10Dの下端を埋入係止10Eさせたうえ、送風機10Bより所要の送風量と送風圧力で送風することにより、外気遮断区画体10は図示の如く膨脹展開がなされる。
【0020】
かくして所要の内容積と寸法形状に膨脹展開された外気遮断区画体10内においては、汚染土壌1を適宜の掘削機等で掘削20がなされるもので、掘削機には特段の制約はなく、汚染土壌1の汚染された深さまで掘削できるものであれば良い。
そして掘削された汚染土壌1はその粒度や形状も多様であって、確実な不溶固定化を図るうえからは、混合されるシロキサン及びシラノール塩多分子量溶液2が、少ない混合割合を以って汚染土壌1の外表面全体に均等に混合付着される必要がある。これがためには粒度や形状を所定の粒径に整粒されることが好都合であって、より望ましくは最大でも3mmφ以下に整粒された汚染土壌1Aとする。
【0021】
整粒手段30も多様な方法が提案されるが、具体的なものとしては図2に示す整粒選別装置31が挙げられるもので、該整粒選別装置31はその上側に所定の網目合31Aが全面に形成された整粒板31Bが傾斜して配位され、且この整粒板31Bの下側には該整粒板31Bの網目合31Aを通落した所謂整粒された汚染土壌1Aを移送させるためのベルトコンベア31Cが傾斜配位された構成のもので、整粒板31Bの上部位に掘削された汚染土壌1を供給することにより、整粒板31Bの網目合31Aを通落した整粒された汚染土壌1Aは、ベルトコンベア31Cにより移送されるもので、好ましくは該整粒板31Bに往復運動若しくは振動を付与させることである。
【0022】
当然に掘削された汚染土壌1には、大きな粒径や多様な形状の小石類や凝固塊等が混在し、これらは未通落塊として一旦整粒板31Bの下部位に除落されるため、適宜の破砕装置により再度破砕のうえ整粒された汚染土壌1Aとして使用される。
かくして整粒された汚染土壌1Aには、該整粒された汚染土壌1Aの重量に対して5乃至15重量%割合でシロキサン及びシラノール塩多分子量溶液2が混合され、且その外表面全体に略均等に混合付着がなされる。
【0023】
このシロキサン及びシラノール塩多分子量溶液2は、珪酸・SiOnHO等を素材として、ホウ酸ナトリウム等の存在下にシロキサン・HSiO(HSiO)nSiHとシラノール塩・HSiOHとからなり、分子量換算で略4,000乃至8,000程度の多分子量密な錯化合物状で、且pHが8.0乃至12.0のアルカリに保持され、而もシロキサン及びシラノール塩からなる固形分が45乃至75重量%に水分が25乃至55重量%の組成からなるもので、かかるシロキサン及びシラノール塩多分子量溶液2においては、その粘度が略1,200乃至8,000cp程度と低粘度のうえ粘着性も保持するため、混合混練に際して整粒された汚染土壌1Aの外表面全体への略均等な混合付着性が良好になしえること、及び加熱処理50に際して膨大数のシロキサン結合が促進されてこのシロキサン結合内にダイオキシンや重金属類等の有害物質が強力に取り込まれ、更には加熱融着性の創出と水分蒸散とにより連続気泡構造が生成され、且高温度に伴い該生成連続気泡構造が閉塞されたガラス被膜により強固に包着がなされダイオキシンや重金属等の確実な不溶固定化がなされ、而もダイオキシンにおいては加熱分解により生成される塩酸ガスがアルカリ中和されて、低温度域での再合成デノボ合成も防止されることにある。
【0024】
図3は混合混練40に使用する混合混練装置41の説明図であって、該混合混練装置41は整粒された汚染土壌1Aを供給するホッパー41Aに連接するドラム41B内に回転移送しえるスクリュー41Cが設けられ、且供給される整粒された汚染土壌1Aの重量に対して5乃至15重量%割合でシロキサン及びシラノール塩多分子量溶液2を混合させるため貯留槽41Dより計量器41Eを介してドラム41B内に混合しえるよう構成されている。そして混合混練されて混合付着された汚染土壌1Bは排出口41Fより排出される。
【0025】
かくしてシロキサン及びシラノール塩多分子量溶液2が整粒された汚染土壌1Aの外表面全体に略均等に混合付着して混合付着された汚染土壌1Bとなすことにより、ダイオキシンや重金属類等の有害物質の一次飛散や溶出が阻止される。
そしてかかる混合付着された汚染土壌1Bは加熱処理50が施され不溶固定化が図られる。この加熱処理50の手段を多様な方法が挙げられるが、具体例としては図4に示す加熱ロータリーキルンによる加熱処理装置51が提案される。
【0026】
この加熱処理装置51は一方側に混合付着された汚染土壌1Bを供給する供給口51Aが設けられ、且その他方側の供出口51Bは加熱キルン部51C中央線の先端部に設けられてなり、該加熱キルン部51Cには加熱回転部51Dが連接形成されてなり、供出口51Bより供出される混合付着された汚染土壌1Bは加熱回転部51D内で転動されつつ加熱処理50が施される。
そして該加熱キルン部51Cの他端には、加熱回転部51D内を少なくとも600℃以上1,000℃程度にまで加熱しえる加熱バーナー51Eが設けられている。
【0027】
更に該加熱処理50は600℃以上の高温度で加熱されることから混在する有機物の分解ガスや臭気ガス等も発生する。これがため加熱キルン部51Cの先端上部には吸気管51F及び吸引ポンプ51Gを介して徐冷槽51H内で分解ガスや臭気ガス等を徐冷のうえ、防塵防臭器511より外部排気される。
そして加熱回転部51Dの端部には、加熱処理50されて不溶固定化された汚染土壌1Cを排出する排出口51Jが設けられている。かかる場合に加熱回転部51Dに供給され且加熱処理50されて不溶固定化された汚染土壌1Cが自動的に排出されるよう加熱キルン51C及び加熱回転部51Dは、支持フレーム51Kに傾斜して設置されている。
【0028】
加熱処理装置51において加熱処理50された不溶固定化された汚染土壌1Cは、そのまま冷却を待って掘削した跡地への埋戻しをすることがなされるが、加熱処理50により不溶固定化された汚染土壌1Cの自然冷却を待たず急速に冷却を施し埋戻しをなす場合においては、該加熱処理装置51の排出口51Jの下方に、冷却キルン52を配位させて強制冷却を施すことが提案されるもので、該冷却キルン52はその供給部52Aより高温度で不溶固定化された汚染土壌1Cをキルン体52内に供給するとともに、該キルン体52Bの外面適宜割合部分が冷却水盤52Cに浸漬されており、所要の冷却がなされたうえは、その内部に配位されてなる移送スクリュー52Dにより他端側に設けられてなる供出部52Eより供出させたうえ、掘削された跡地に埋戻しがなされる。
【0029】
以下に本発明による汚染土壌の不溶固定化による浄化試験結果を述べれば、汚染土壌の浄化場所として横浜市青葉区荏田町地先の焼却炉の設置された隣接地330mの全体に縦15m横20m高さ3.6mの外気遮断区画体を設置し、送風機で毎分80mの送風量を以って送風し、且他方にはバグフィルターを介在させた集塵器を配備させて、該外気遮断区画体を膨脹展張させたうえ、この外気遮断区画体内の汚染土壌を採取し汚染物質を測定した結果は表1の通りである。
【0030】
【表1】


【0031】
かくしてなる汚染土壌をその粒径が3mm以下に整粒のうえ、シロキサン及びシラノール塩からなり分子量換算で略4,000の多分子量化錯化合物状で且そのpH値が8.5に保持され、而もシロキサン及びシラノール塩からなる固形分が45重量%に水分が55重量%割合からなるシロキサン及びシラノール塩多分子量溶液を、該整粒された汚染土壌重量に対して7.0重量%割合で混合混練のうえ、700℃の温度で30分間加熱処理を施し不溶固定化したものの溶出試験結果は表2の通りである。
【0032】
【表2】


【産業上の利用可能性】
【0033】
外気遮断区画体と掘削機、整粒選別装置、混合混練装置及び加熱処理装置を用いることで、汚染土壌を現位置において不溶固定化し且土壌を改質することなく浄化ができる。
【図面の簡単な説明】
【0034】
【図1】 外気遮断区画体の説明図である。
【図2】 整粒選別装置の説明図である。
【図3】 混合混練装置の説明図である。
【図4】 加熱処理装置の説明図である。
【符号の説明】
【0035】
1 汚染土壌
1A 整粒された汚染土壌
1B 混合付着された汚染土壌
1C 不溶固定化された汚染土壌
2 シロキサン及びシラノール塩多分子量溶液
10 外気遮断区画体
10A フィルム材
10B 送風機
10C 防塵排出器
10D ネット材
10E 埋入係止
20 掘削
30 整粒手段
31 整粒選別装置
31A 網目合
31B 整粒板
31C ベルトコンベア
40 混合紺練
41 混合混練装置
41A 混合混練装置のホッパー
41B ドラム
41C スクリュー
41D 貯留槽
41E 計量器
41F 排出口
50 加熱処理
51 加熱処理装置
51A 供給口
51B 供出口
51C 加熱キルン部
51D 加熱回転部
51E 加熱バーナー
51F 吸気管
51G 吸引ポンプ
51H 徐冷槽
51I 防塵防臭器
51J 排出口
51K 支持フレーム
52 冷却キルン
52A 冷却キルン供給部
52B キルン体
52C 冷却水盤
52D 移送スクリュー
52E 供出部
【出願人】 【識別番号】505384601
【氏名又は名称】株式会社ディ・トリップ
【出願日】 平成19年1月10日(2007.1.10)
【代理人】
【公開番号】 特開2008−168276(P2008−168276A)
【公開日】 平成20年7月24日(2008.7.24)
【出願番号】 特願2007−27331(P2007−27331)