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土壌浄化方法 - 特開2008−161778 | j-tokkyo
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【発明の名称】 土壌浄化方法
【発明者】 【氏名】島田 俊介

【氏名】小山 忠雄

【氏名】寺島 麗

【要約】 【課題】微生物代謝によって生ずる炭酸ガスを利用し、自然の状態で存在する物質の使用により環境への影響が少なく、改良地盤周辺や、地盤改良後においても有害物質を発生させない土壌浄化方法を提供する。

【解決手段】有害物20を含む地盤6に、シリカ化合物と微生物を注入して、微生物代謝によって発生する炭酸ガスによりシリカ化合物の固化と、微生物による有害物の分解を併用して行う。条件に応じ、炭酸ガス又は炭酸水を併用して、初期の改良度を促進し、また、微生物栄養源を有効成分とする組成物、あるいはさらに多価金属化合物、又は、ゲル化調整剤を併用する。地盤6中の有害物20を、注入管路19を通して注入する注入液の固化物21によって包み込む。注入液中のシリカ化合物が微生物により固結し、またこの中に含まれている有害物浄化剤と反応して無害化される。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
有害物を含む地盤の土壌浄化方法であって、該地盤に固結剤を注入し地盤中の有害物を分解することを特徴とする土壌浄化方法において、以下のいずれかによる土壌浄化方法。
(1)前記固結剤として、シリカ化合物と微生物、又はシリカ化合物と微生物と栄養源を注入して、微生物代謝により固結させる方法と共に、土壌浄化剤で有害物を分解する方法。
(2)前記固結剤として、シリカ化合物と微生物、あるいはシリカ化合物と微生物と栄養源を注入して地盤を固結すると共に有害物を分解する方法。
【請求項2】
請求項1において、地盤中の有害物の周りを取り囲み、あるいは有害物を包み込んで固結し、次いでその内側に土壌浄化剤を注入して有害物を分解する土壌浄化方法。
【請求項3】
請求項1又は2において、炭酸ガス又は炭酸水を併用して、初期の改良度を促進することを特徴とする土壌浄化方法。
【請求項4】
請求項1、2又は3の何れかにおいて、さらに多価金属化合物、又は、ゲル化調整剤を併用することを特徴とする土壌浄化方法。

【発明の詳細な説明】【技術分野】
【0001】
本発明は地盤を改良し、あるいは排出土等を固結する土の固結方法に関し、改良後も周囲の環境に影響の少ない方法に関する。また、建造物躯体の処理方法或いは地盤土の有害物の固定と有害物の浄化方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、地盤を改良するにあたり、水ガラスや、セメントを使用してきた。これらの注入材は強アルカリ又は強酸を使用することから、取り扱いに注意が必要であり、また、使用できる地盤が限定された。
【0003】
本発明者らは活性シリカや、水ガラスや、水ガラスをコロイド状にしたものを用いることで酸やアルカリの量を少なくしても長いゲル化時間と安定したゲルを得ることができるようになり、環境への影響が少ないグラウトを開発した(例えば、特許文献1:特開2005−075899号公報参照)。
【0004】
また、本出願人による特許文献2(特公平7−57870号公報)が既に公知となっている。特許文献2記載の発明は、水ガラスと炭酸ガスとを一定比率にて加圧供給し、炭酸ガスの吸収された水ガラス水溶液を吐出して地盤注入薬液を得るようにしたものである。
【0005】
本発明は微生物による代謝によって二酸化炭素を発生させることにより、不溶性シリカを生成することを目的としたものである。また、浄化対象地盤において、地盤改良剤を注入する際、地盤中の地下水により拡散し目的の地盤に注入できず、汚染物質と分解微生物が接触しにくいという問題点があった。
【0006】
【特許文献1】特開2005−075899号公報
【特許文献2】特公平07−057870号公報
【特許文献3】特開平07−289290号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明の目的は、環境への影響の低減を追及し、自然の状態で存在する物質だけを使用し、改良地盤周辺や、地盤改良後においても有害な物質を発生させない地盤改良方法を開発することにある。そこで、シリカ化合物に強酸や、強アルカリを添加することなく固結し、地盤を改良することを課題とした。
【0008】
本発明はこの問題を解決するために微生物代謝によって生ずる炭酸ガスを利用する方法を提供し、更にシリカを加えて固結性を高め、或いはまた微生物代謝によって有害物を含む土や廃棄物を固化し、かつ微生物代謝によって土や廃棄物中の有害物を分解する方法を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
そこで本研究者らは、二酸化炭素が水に溶解してpHを下げることから、シリカ化合物を硬化しゲル化させる方法において、微生物の代謝により栄養源がエタノールと二酸化炭素に分解することにより二酸化炭素を発生させることで、大掛かりな装置や、薬品を使うことなく地盤を改良することができ、また地盤改良領域周辺の環境への影響も少ないことを見出した。
6126 → 2C25OH+2CO2
【0010】
すなわち、地盤中にシリカ化合物と微生物を注入すると、微生物が代謝を行い二酸化炭素を放出することにより、シリカ化合物は炭酸ガスと反応しゲル化することから、土粒子間で固結し地盤を改良する。また、アルコール類も水ガラス等のシリカ溶液をゲル化させる機能を持つ。
【0011】
このとき、シリカ化合物として水ガラスが挙げられるが、その他に活性シリカやコロイダルシリカ等のシリカ化合物を使用することで、確実にゲル化させることができる。また、水ガラスに微量の酸を加え、コロイド化させたものを用いることで、ゲルタイムを早めることもできる。
【0012】
さらに、微生物と有機物を同時に注入することで、あるいは微生物を多く含む地盤においては有機物を地盤中に注入することで、微生物の呼吸を調節し、二酸化炭素の発生量を調節し、シリカ化合物のゲル化を促進或いは調節する。
【0013】
また、二酸化炭素や、酸素等の気体を同時に注入することで代謝を調整し、ゲル化を促進或いは調節することが可能である。
【0014】
シリカ化合物のゲル化促進或いは調整剤として、微生物に影響の少ないものを添加することでゲル化時間を調節することもできる。例としては、塩化カリウム、塩化ナトリウム等の無機塩や微量の酸、有機塩が挙げられる。また、カルシウム化合物やマグネシウム化合物を添加することで、微生物の代謝で放出した炭酸ガスと多価金属化合物が反応して不溶性の多価金属炭酸塩を形成し、ゲル化時間を調整できるのみならず、注入材の強度を上げることもできる。
【発明の効果】
【0015】
上記により、本発明により使用される物質は自然界に一般的に存在するものであり、地盤改良後も周辺の地盤に影響を与え難く、地下水や土壌を汚染することも少ないため、従来の地盤改良方法では未反応生成物が拡散し難い場所や、環境保全上デリケートな場所において有効に地盤改良し、改良後も環境汚染の恐れがない。
【0016】
大掛かりな装置や、有害な薬品を使う必要がないため、地盤改良の工事現場にて容易に設置できる。特に液状化対策工等、構造物基礎下のガス、電気、水道管等の地下埋設が多い条件の耐震補強にも適している。
【0017】
さらに、カルシウム化合物、栄養分、二酸化炭素、ゲル化調整剤の一種又は複数を注入することで、ゲル化時間を調整したり、改良地盤の強度を増加することができる。
【0018】
さらにまた、微生物代謝を応用した有害物を含む土や産廃物の固化による有害物の固定と有害物の分解に着目した浄化処理方法である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0019】
本発明の具体的な実施の方法を示す。
【0020】
本発明で使用されるシリカ化合物は、水ガラス、活性シリカ、シリカコロイド等のいかなるものでも良い。また、併用する微生物が活性化するpHに調整する必要があるため、少量のpH調整材を用いても良い。シリカコロイドはコロイド化しており、Na含有量が少ないことより中性付近のpHで長時間安定し、また少ない硬化剤によってゲル化することから(特許文献1等参照)、本発明に適している。
【0021】
また、シリカ化合物に微量の酸を加えコロイド化したものを使用することで、ゲル化時間を調整することもできる。
【0022】
本発明におけるシリカはゲル化を伴うことより、止水性の付与、急速な固結効果、ゲル化時間の調節機能のため所定の範囲の固結が可能になる。
【0023】
本発明に用いられる微生物は人体や環境に影響を与え難いものならば、使用可能である。特に、乳酸菌や納豆菌、パン酵母やビール酵母等の従来食品に利用されているものや、一般の地盤中に多く存在するものも利用できる。例えば圃場の土砂を採取してその混合液或いはその上澄液を用いても良い。乳酸菌による代謝では乳酸を生成することにより、pHを下げゲル化を促進或いは調節する。
【0024】
現在、現地汚染地盤において栄養源を注入し、その土壌の微生物を増殖させ、汚染物質を分解させる方法が利用されていることより、現地より採取した微生物から、目的の分解能を持つ微生物を単離培養し、利用することもできる。
【0025】
また、本発明により析出するカルシウム塩とは、炭酸カルシウム、水酸化カルシウム、塩化カルシウム、硝酸カルシウム、二酸化アルミニウム等で、注入する微生物や地盤に生息する微生物に影響される。
【0026】
微生物栄養源とは、微生物の栄養源となるものであり、好ましくは土壌中の微生物によって代謝分解される糖類である。例えば、グルコースやフラクトースなどの単糖類、スクロース、マルトースあるいはガラクトースなどの2糖類、その他のオリゴ糖、デンプンやマルトデキストリンなどの多糖類、その他糖類を例示することができる。
【0027】
また、栄養分としてグリオキザールや炭酸や酢酸等の有機酸エステル等、水ガラスの反応剤を用いることで水ガラスのゲル化後の反応生成物を微生物の栄養源に利用すれば強度増加と反応性生物の分解に役立つことができる。
【0028】
微生物によって、あるいは有機栄養源によって代謝速度が変化するため、施工時地盤によって選択する必要がある。
【0029】
本発明における多価金属化合物とは、塩化カルシウム等のカルシウム塩や塩化マグネシウム等の多価金属塩、カルシウム水酸化物等として微粒子石灰や、微粒子セメント、微粒子スラグ、石膏、炭酸カルシウム等が挙げられる。また、地盤中に含まれる貝殻等のカルシウムや、石灰等も反応に影響する。本発明においてシリカとカルシウムの併用は珪酸カルシウムの生成による強度増加をもたらす。
【0030】
本発明において、有害物を含む土又は廃棄物中に本発明の注入液を浸透、又は混合、被覆することにより有害物や廃棄物からの汚染領域の拡散を防ぐとともに、注入液中の微生物、或いは更に微生物、又は土壌浄化材を注入することにより、地盤を限定して浄化することができ効果的である。
【0031】
また、シリカを使用しない場合は土粒子間に炭酸カルシウムが沈積して水密性を付与することにより透水性が低下するが、ゲル化を伴わないため、何回も繰り返して注入することによって止水性を向上させることができる。しかし、シリカを併用するとゲル化を伴うために1回の注入でも透水性の低下と固結が可能になる。勿論、何回も注入を繰り返せばその改良効果は更に向上する。
【0032】
また浄化後地盤が固結していることから、注入した微生物や、無害化した汚染物質を封じ込め、浄化後回収することができる。また土壌浄化に伴い地盤中で増殖した微生物も、周囲の地盤に拡散し難く、浄化後回収することができ、微生物が過剰に増殖し、地下水を汚染する等の二次汚染を回避することができる。
【0033】
本発明における有害物とは、6価クロム、水銀、鉛、カドミウム等の重金属、土木工事等によって発生する廃泥土、焼却灰、汚泥、産業廃棄物、環境ホルモン、農薬残留物、有機溶剤、有機洗剤等の有機化合物、ダイオキシン等人体や環境に悪影響を及ぼす有害物を含む地盤であり、例として、アルキル水銀、総水銀、カドミウム、鉛、有機リン、六価クロム、ヒ素、シアン、PCB、トリクロロエチレン、テトラクロロエチレン、ジクロロメタン、四塩化炭素、1,2−ジクロロエタン、1,1−ジクロロエチレン、シス−1,2−ジクロロエチレン、1,1,1−トリクロロエタン、1,1,2−トリクロロエタン、1,3ジクロロプロペン、チウラム、シマジン、チオベンカルブ、ベンゼン、セレン等が挙げられる。
【0034】
本発明における土壌浄化剤としては、具体的には無機系還元剤、例えば、硫酸第一鉄、塩化第一鉄、亜硫酸水素ナトリウム、亜硫酸水素カリウム、亜硫酸ナトリウム、亜硫酸カリウム等が挙げられ、さらにキレート剤や有機物分解微生物も用いられる。
【0035】
キレート剤としては、例えば、ピロリジン系の骨格をもつ液体キレート化合物、具体的にはピロリジン系イオウ化合物
【化1】


が挙げられる。
【0036】
これら重金属と非常に結合しやすく、瞬時に結合して水に不溶性の金属キレート化合物を作る。この金属キレート化合物は結合力が強く、一旦結合した化合物は水に溶解せず、非常に安定したキレート化合物となる。したがって、重金属イオンと結合した化合物は埋め立て処分しても、雨水や酸性雨、あるいは有機物腐廃による有機酸、アルカリ物質等に再溶解することなく、二次公害の恐れが全く生じない安定な重金属固定剤である。
【0037】
その他に、イミン系イオウ化合物、例えば、
【化2】


【0038】
カルバミン酸系イオウ化合物、例えば、
【化3】


等が挙げられる。
【0039】
微生物による分解例としては、一例を示すと次のとおりである。
【0040】
産業廃棄物中の有機物は細菌や糸状金菌等の微生物によって分解される。発ガン物質であるトリハロメタンの生成に関与するアンモニアは硝化菌により、工業用溶剤トリクロロエチレンはアンモニア酸化菌により分解される。また、農薬は土壌中の糸状菌、細菌、放射菌によって分解される。
【0041】
例えば、パラチオンはPseudomonas stuzeri とPseudomonas aeruginosaの共同により分解される。また、カーバメイト系殺虫剤はPenicillium 、Trichoderma によって分解される。さらに、PCBはPseudomonas 、Alcaligenes によって分解され、クロロベンゼンもPseudomonas によって分解される。
【0042】
本発明にかかる注入材はさらに、次の(1)〜(6)に示される組成物の一種又は複数種を併用することもでき、これにより強度や止水性が一層向上する。
【0043】
(1) 水ガラスを有効成分とする組成物
これは例えば、水ガラスと、硬化剤とを有効成分とする組成物である。水ガラスはSiO/NaO=1〜6のモル比を呈し、工業的に製造されているもの、粉体又は液体であり、あるいはこれに苛性アルカリを添加したものである。使用に際しては水で稀釈される。
【0044】
硬化剤としては、重炭酸塩、塩化カルシウム、重硫酸ソーダ、アルミン酸ソーダ、硫酸バンド、みょうばん等の無機塩、炭酸、炭酸ガス、炭酸水、硫酸、燐酸、塩酸等の無機酸類、酢酸等の有機酸類、ジアセチン、トリアセチン、エチレンカーボネート等のエステル類、グリオキザール、微粒子セメント等のセメント類、微粒子スラグ等のスラグ類、消石灰や苛性アルカリ等のアルカリ剤等が挙げられる。
【0045】
この組成物の併用方法としては、いかなる方法でもよいが、本発明にかかる注入液を注入する前後に浸透させて併用する。
【0046】
(2) 水ガラス以外の硬化性組成物
具体的には、エポキシ樹脂、ポリエステル樹脂等の硬化性樹脂組成物が挙げられる。
【0047】
(3) 難溶性カルシウム化合物を有効成分とする組成物
本発明において、難溶性カルシウム化合物とは、水に対する溶解度(20℃)が5重量%以下のカルシウム化合物が好ましく、具体的には炭酸カルシウム、セメント類、スラグ類、石灰類等が挙げられる。この併用方法としては、地盤が不均一のために本発明にかかる注入液が逸脱するような場合に、この逸脱を防止することを主目的として併用することが好ましい。具体的には、本発明にかかる注入液を注入する前後に併用することもできるが一次注入材として使用する事もできる。また、前述したように難溶性カルシウム化合物の上澄液により生成したカルシウム含有液を本発明に用いることができる。
【0048】
(4) 微粒子スラグ又は微粒子セメントを有効成分とする組成物
これら微粒子スラグや微粒子セメントとしては平均粒径が10μm以下、比表面積が5000cm/g以上のものが用いられる。この場合も(3)の場合と同じく本発明に用いることができる。
【0049】
(5) アルカリ剤を有効成分とする組成物
アルカリ剤としては、消石灰、苛性アルカリ等が用いられる。
【0050】
(6) 活性シリカ又はコロイダルシリカを有効成分とする組成物
水ガラスをイオン交換樹脂又はイオン交換膜を用いて、水ガラス中のアルカリ分を除去して得られる活性シリカ、酸性水ガラスの酸根やアルカリ金属をイオン交換樹脂、イオン交換膜で除去して得られる活性シリカ、活性シリカを濃縮して造粒したコロイダルシリカ等が挙げられる。或いはこれらに水ガラスを混合したシリカ溶液でもよい。硬化剤としては、塩化ナトリウム、塩化カリウム等の無機塩及び硬化速度やpHの調整のために酸類あるいはアルカリ類が使用され、アルカリ〜酸性領域で用いることができる。
【0051】
(7) 炭酸ガス又は炭酸ガスを圧力下で水に溶解させた炭酸水
炭酸ガスを多価金属化合物と微生物及び/又は栄養源に吹き込んで注入しても良いし、また、炭酸ガスをあとから地盤中に注入して初期におけるシリカゲル或いは炭酸カルシウムの析出による固結を加速して、長期的には微生物代謝による炭酸ガスの反応によりシリカゲルや炭酸カルシウムを形成しても良い。
【0052】
地盤中に炭酸ガス或いは炭酸ガスと水ガラスの混合液を吹き込む方法や装置は本出願人によって既に開発されている(例えば、特許文献2:特公平7−57870号公報等参照)。
【0053】
以下、本発明を実施例によって説明するが、本発明はこれらの実施例によって限定されるものではない。
【実施例1】
【0054】
〔炭酸ガスとシリカ化合物の反応実験〕
試験管にシリカ化合物として、コロイダルシリカ、活性シリカ、水ガラスをそれぞれ10mlとり、炭酸ガスをホースにて送った。炭酸ガスはドライアイスを気化させたものを用い、それぞれ室温、大気下で24時間静置した。24時間後、すべてのシリカ化合物にゲル化が見られた。
【0055】
水ガラス:5号水ガラス
コロイダルシリカ:市販コロイダルシリカ(SiO2濃度30.0wt%、pH10付近、粒径10〜20nm)を用いた。活性シリカを水ガラス又は苛性ソーダで安定化させ、一週間放置熟成し、コロイドとしたものを用いても良い。
活性シリカ:3号水ガラスを水で希釈した液を陽イオン交換樹脂に通過して処理し、得られるpH2.7、比重1.03、SiO2濃度4wt%の活性シリカ。
【実施例2】
【0056】
〔イースト菌とシリカコロイドのゲル化〕
実施例1にて使用したシリカコロイドに微生物を加えた時のゲル化の有無を調べた。
【0057】
シリカコロイド10mlに微生物としてイースト菌(日清フーズ株式会社製、日清スーパーカメリヤ)0.6g、栄養源としてグルコースC6126 0.3gを表1の配合にて、ねじ口試験管に加え、よく混合し、室温、大気下で24時間静置した。24時間後に試験管を上下倒置してゲル化の有無を確認した。
【0058】
【表1】


【0059】
イースト菌無添加の比較例1,2ではゲル生成物は認められなかったが、イースト菌を含む本発明1,2では試験管を倒置しても内容物が落下せず微生物によるシリカコロイドのゲル化が確認された。
【0060】
また、本発明2のコロイダルシリカに微生物のみを加えた試験管では一部にゲル化が見られたのに対し、本発明1のコロイダルシリカに微生物と栄養源を加えた試験管ではコロイダルシリカ溶液全体がゲル化したことから、微生物の代謝によって放出した炭酸ガスがゲル化にあずかり、特に「栄養源によってゲル化を促進できる」ことがわかった。
【実施例3】
【0061】
シリカ化合物に微生物、カルシウム化合物、ゲル化調整剤を反応させる実験を行った。
【0062】
(1) 使用材料
水ガラス:JIS5号水ガラス:比重(20℃)1.32、SiO2 25.5%、Na2 O7.03%、モル比3.75。
コロイダルシリカ:市販コロイダルシリカ(SiO2濃度30.0wt%、pH10付近、粒径10〜20nm)を用いた。活性シリカを水ガラス又は苛性ソーダで安定化させ、一週間放置熟成し、コロイドとしたものを用いても良い。
微生物:イースト菌(日清フーズ株式会社製、日清スーパーカメリヤ)
栄養分:グルコース
4%AS:JIS5号水ガラスに少量の75%燐酸を加えてシリカ濃度4%に調節したもの。
8%AS:JIS5号水ガラスに少量の75%燐酸を加えてシリカ濃度8%に調節したもの。
【0063】
表2に示す配合にて24時間後のゲル化の有無の観察を行った。
【0064】
【表2】


【0065】
1.コロイダルシリカにイースト菌を加えたもの(No.1)は、1000分以内にゲル化が見られた。また、グルコースの量を増やした配合(No.2)は、1000分以内もゲル化がみられた。
2.水ガラスにイースト菌を加えたもの(No.3)は、イースト菌が溶解せずゲル化しなかった。イースト菌を水で希釈し水ガラスに加えた配合(No.4)は、1000分以内にゲル化せず、約4000分でゲル化した。
3.シリカ濃度4%、8%に希釈した水ガラスに少量の75%燐酸を加えた配合(比較1,2)は1000分後にはゲル化しないが、イースト菌を加えると約200分でゲル化した(No.5,6)。
【0066】
以上より、本発明における次のことが検証された。
【0067】
1.コロイダルシリカにイースト菌を加えると、配合後、微生物の代謝により二酸化炭素が発生し、薬液中のpHが低くなるためゲル化する
2.水ガラスそのものにはイースト菌が溶解し難いためゲル化し難い。
3.希釈した水ガラスはイースト菌を加えてもゲル化するが、ゲル化時間が長くなる。
4.希釈した水ガラスに少量の硬化剤を加えイースト菌を加えると、イースト菌を加えないときと比べ、あるいは希釈した水ガラスにイースト菌を加えた時と比べ、ゲル化時間を短くすることができる。
【実施例4】
【0068】
図1は本発明において、実際の地盤において炭酸ガスを混合する方法を説明したフローシートであって、主にA、B液送液管路5、複数系統(図1では2系統)の炭酸ガス圧送管路、すなわち、高圧炭酸ガス圧送管路12及び低圧炭酸ガス圧送管路14、及び地盤6中に挿入された注入管7を含んで構成される。
【0069】
A、B液送液管路5は、水ガラス水溶液貯槽1から地盤6中に挿入された注入管7に配管され、図1に示されるように上流側からそれぞれ、気液混合装置2、注入ポンプ3及び流量計4が管路5に配置される。
【0070】
高圧炭酸ガス圧送管路12は高圧炭酸ガス容器8−1と連結管9−1を介して連結され、注入管7まで配管される。管路12内には電磁弁10−1、減圧弁11−1及び炭酸ガス吹き出しノズル13がそれぞれ配置される。この炭酸ガス吹き出しノズル13は図示しないが注入管7に備えることもできる。
【0071】
低圧炭酸ガス圧送管路14は、上述の高圧炭酸ガス圧送管路12と同様、圧力の低下された高圧炭酸ガス容器8−1と連結管9−2を介して連結され、水ガラス水溶液貯槽1、又は水ガラス水溶液送液管路5の気液混合装置2よりも上流側aまで配管される。管路14内には上述と同様、電磁弁10−2、減圧弁11−2及び上記と同様な炭酸ガス吹き出しノズル15がそれぞれ配置される。
【0072】
上述の構成からなる本発明の装置によれば、水ガラス水溶液送液管路5の上流側a、又は水ガラス水溶液貯槽1中に、低圧炭酸ガス圧送管路14を介し、低圧炭酸ガス容器8−2から電磁弁10−2、減圧弁11−2及び炭酸ガス吹き出しノズル15を経て水ガラス水溶液に炭酸ガスを噴射し、次いで、気液混合装置2で水ガラス水溶液と炭酸ガスを充分混合して炭酸ガスの水ガラス水溶液への吸収率を高め、かつ注入ポンプ3により炭酸ガスの吸収された水ガラス水溶液を水ガラス水溶液送液管路5介して注入管7に送液する。
【0073】
さらに、高圧炭酸ガス圧送管路12を介し、高圧炭酸ガス容器8−1から電磁弁10−1、減圧弁11−1及び炭酸ガス吹き出しノズル13を経て注入管7中に炭酸ガスを噴射する。
【実施例5】
【0074】
本発明によれば、図2(a)に示される地盤6中の有害物20は図2(b)に示されるように、注入管路19を通して注入される注入液の固化物21によって包み込まれ、注入液中のシリカ化合物が微生物により固結し、またこの中に含まれている有害物浄化剤と反応して無害化される。
【0075】
このとき、図3(a)に示されるように、地盤6中の有害物20の周囲に注入管路5を通して固結材を注入し、前もって不透水性の遮蔽壁22を形成しておき、この状態で図3(b)に示されるように、注入管路19を通して浄化液を含む注入液を注入すれば、上述と同様、無害化処理が一層効果的である。
【0076】
なお、本発明において、図3(a)に示されるように、まず、地盤6中の有害物20の周囲に固結材による不透水性の遮蔽壁22形成して有害物を包み込み、次いで、この遮蔽壁22によって囲まれた領域に注水し、又は有害物浄化剤又は該浄化剤を含む注入液又は固結材を注入して有害物を水中に移転し、地上に脱水して無害化処理することもできる。
【0077】
ここで有害物とは、上述と同様、人体や環境に悪影響を及ぼす6価クロム、水銀、鉛、カドミウム等の重金属、廃泥土、焼却灰、汚泥、産業廃棄物、生活廃水等であり、有害物浄化剤は、上述と同様の無機あるいは有機系還元剤やキレート剤であり、あるいはバクテリヤであり、固結材も上述と同様の物質である。
【実施例6】
【0078】
〔有機化合物により汚染された地盤の原位置浄化方法〕
トリクロロエチレン(TCE)により汚染された地盤において、本発明を用いた土壌浄化方法を示す。
【0079】
1.土槽
直径1m、高さ1mの簡易土槽に硅砂を詰め、間隙率40%含水比20%となるように調整した。
トリクロロエチレン(TCE)濃度0.1mg/lを、簡易土槽の中心に直径約30cm浸透させ、汚染土壌を作成した(図4参照)。
【0080】
2.土壌浄化方法
以下の方法により地盤中のTCEの分解を行った。
本発明:汚染土壌周辺に表3の配合のシリカ化合物と微生物の混合液により遮断壁を作成し、汚染地盤に硫化第一鉄を注入した(図5参照)。
比較例1:汚染地盤中に硫化第一鉄を注入した(図6参照)。
【0081】
3.結果
土壌浄化後、改良地盤のTCE量を測定した。結果を表3に示す。
【0082】
【表3】


【0083】
結果より、本発明を用いた方が土壌浄化後のTCE量が少ない結果が得られた。これにより本発明を用いることにより、汚染地盤周辺を囲うことで土壌浄化剤の拡散を防ぐことができ、効率よく地盤が浄化できる。本発明の微生物含有水ガラスは微生物の代謝による二酸化炭素により硬化するため、アルカリ性であり、従来の酸性シリカゾルのように土壌浄化剤と反応し難い。
【実施例7】
【0084】
トリクロロエチレン(TCE)により汚染された地盤において、本発明の硬化性のある微生物を含有した水ガラス液による土壌浄化方法を示す。
【0085】
1.土槽
直径1m高さ1mの簡易土槽に硅砂を詰め、間隙率40%、含水比20%となるように調整した。
トリクロロエチレン(TCE)濃度0.1mg/lを簡易土槽の中心に、直径約30cm浸透させ、汚染土壌を作成した(図4参照)。
【0086】
2.TCE分解菌の採取
現場採取砂からTCE100ppmを含む麦芽エキス培地で増殖したコロニーを、液体培地にて培養したものを用いた。
【0087】
分解菌の採取方法は汚染地盤から砂を採取し、スクリーニングすることで得ることができる。方法はそれぞれの地盤の汚染物質によって異なる(特許文献3:特開平07−289290号公報等参照)。
【0088】
3.配合
上記2にて得られた分解菌を、グルコース10gを溶かしたイオン交換水100mlに溶解し、40℃で、水溶液がpH4.2以下になるまで静置した。その後5号水ガラス60ml、コロイダルシリカ10ml、イオン交換水30mlを混合した。同様の方法で、配合液4lを作成した。
【0089】
4.注入
上記1で作成したTCE汚染砂周辺に、上記3の配合液を注入し、遮断壁を作成した。
遮断壁の内側に、上記3の配合液を注入し、1ヶ月後のTCE量を測定した(図5参照)。
【0090】
5.結果
土壌浄化後、改良地盤のTCE量を測定した。結果を表4に示す。
表4の結果より、本発明の注入材により改良効果が得られたことが分かる。
【0091】
【表4】


【図面の簡単な説明】
【0092】
【図1】本発明にかかる注入材の注入装置の一具体例の説明図である。
【図2】有害物を処理する説明図であって、(a)は地盤中の有害物を表し、(b)は有害物を固結材で固化し、包み込んだ状態の説明図である。
【図3】遮蔽壁を用いた処理の説明図であって、(a)は処理前、(b)は処理後を表す。
【図4】簡易土槽中に作成した汚染地盤の説明図である。
【図5】本発明の注入液により汚染地盤周辺を固結し、汚染地盤に土壌浄化剤を注入することで効果的に土壌浄化を行う説明図である。
【図6】本発明の注入液を汚染地盤周辺、及び汚染地盤に注入し、土壌浄化を行う説明図である。
【符号の説明】
【0093】
1 水溶液貯槽
2 混合槽
3 注入ポンプ
4 流量計
5 水溶液送液管路
6 地盤
7 注入管
8 炭酸ガス容器
9 連結管
10 電磁弁
11 減圧弁
12 高圧炭酸ガス圧送管路
19 注入管路
20 有害物
21 固化物
22 遮蔽壁
【出願人】 【識別番号】000162652
【氏名又は名称】強化土エンジニヤリング株式会社
【出願日】 平成18年12月27日(2006.12.27)
【代理人】 【識別番号】100070091
【弁理士】
【氏名又は名称】久門 知

【識別番号】100087491
【弁理士】
【氏名又は名称】久門 享


【公開番号】 特開2008−161778(P2008−161778A)
【公開日】 平成20年7月17日(2008.7.17)
【出願番号】 特願2006−352236(P2006−352236)