トップ :: B 処理操作 運輸 :: B09 固体廃棄物の処理;汚染土壌の再生

【発明の名称】 汚染土壌の浄化方法および汚染土壌の浄化剤
【発明者】 【氏名】渡辺 育子

【氏名】小西 正芳

【氏名】森川 卓子

【要約】 【課題】焼却灰や飛灰等の多量の塩素含有廃棄物を効率的に利用でき、この廃棄物を用いて汚染土壌から重金属を低コストに除去する汚染土壌の浄化方法および汚染土壌の浄化剤を提供する。

【解決手段】本発明の汚染土壌の浄化方法および汚染土壌の浄化剤は、セメント焼成設備の塩素バイパス装置で回収された塩素含有廃棄物から得られた土壌の浄化剤を用いて、重金属に汚染された汚染土壌の浄化を行なう方法であり、重金属に汚染された土壌を洗浄槽に投入し、この汚染土壌に浄化剤を連続して満遍なく散布し、汚染土壌から重金属を除去する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
塩素含有廃棄物を処理して得られる生成塩を用いて汚染土壌を浄化する汚染土壌の浄化方法であって、
塩化カリウムと臭化カリウムを含有してなる前記生成塩および酸を含む水溶液を用いて重金属を含む汚染土壌を洗浄し、この汚染土壌から重金属を除去することを特徴とする汚染土壌の浄化方法。
【請求項2】
前記生成塩は、前記塩素含有廃棄物をセメント原料として再生する際に生成、回収される回収塩であることを特徴とする請求項1に記載の汚染土壌の浄化方法。
【請求項3】
前記生成塩に含まれる塩化カリウムおよび臭化カリウムの合計含有率は50重量%以上であることを特徴とする請求項1または2に記載の汚染土壌の浄化方法。
【請求項4】
前記水溶液はpHが1〜6の範囲であり、かつ、この水溶液のハロゲンイオンの濃度が0.01〜2モル/リットルであることを特徴とする請求項1ないし3のいずれか1項に記載の汚染土壌の浄化方法。
【請求項5】
前記水溶液は、前記汚染土壌を洗浄した後に、再度汚染土壌の洗浄に循環利用されることを特徴とする請求項1ないし4のいずれか1項に記載の汚染土壌の浄化方法。
【請求項6】
アルカリ金属のハロゲン化物を含有してなる汚染土壌の浄化剤であって、
塩素含有廃棄物を処理して得られる生成塩を含有してなることを特徴とする汚染土壌の浄化剤。
【請求項7】
前記生成塩は、前記塩素含有廃棄物からアルカリ金属のハロゲン化物を抽出精製する装置から得られた生成物であって、アルカリ金属のハロゲン化物の結晶状またはスラリー状であることを特徴とする請求項6に記載の汚染土壌の浄化剤。


【発明の詳細な説明】【技術分野】
【0001】
本発明は、重金属で汚染された汚染土壌の浄化方法および汚染土壌の浄化剤に関し、更に、詳しくは、塩素含有廃棄物を処理して得られる生成塩を用いた汚染土壌の浄化方法および汚染土壌の浄化剤に関するものである。
【背景技術】
【0002】
工場の操業跡地や鉱山跡地など、鉛、クロム、銅など重金属で汚染された汚染土壌は、そのままでは土地の再利用に支障があるため、土壌からこれらの重金属を取り除く土壌浄化が不可欠である。このような汚染土壌の浄化方法として、例えば、水洗分級法、加熱処理法、電気泳動法などが一般的に知られている。このうち、水洗分級法は、水洗、分塊、あるいは物理的な土壌研磨等によって、粗い土壌粒子表面から汚染物質または汚染物質を多量に含む微粒子を分離、濃縮、捕捉する方法である。
【0003】
しかし、この水洗分級法の場合、土壌磨砕が不十分であると、粗い土壌粒子からの汚染物質または汚染物質を多く含む微粒子を完全に除去することが困難であるため、土壌の汚染物質を指定基準値以下まで低減できない懸念がある。このため、近年は浄化時間の短縮、汚染物質の除去効率の向上を図ることを目的として、酸性溶液での薬剤抽出、洗浄が提案されている。例えば、酸性溶液で重金属汚染物質を抽出後、その抽出液に界面活性剤を加えた気泡により、土壌中の重金属を回収する方法が提案されている(特許文献1)。また、汚染土壌を弱酸下でアルカリ金属のハロゲン化物とともに水溶液として、錯体化合物を形成させることにより土壌中の重金属を分離除去する方法が提案されている(特許文献2)。
【0004】
一方、汚染土壌の浄化に用いられるアルカリ金属のハロゲン化物は、廃棄物の焼却処理を行う施設から発生する焼却灰や飛灰などに多量に含まれている。これら産業廃棄物のリサイクル処理を行うために、セメント原料として利用処理することが進められている。セメントプラントにおいては、セメント原料中の粘土成分等については、従来の天然原料に代えて、産業廃棄物中の無機成分を有効に利用することによって、該廃棄物のリサイクル利用と、経済的なセメント製造に努めている
【0005】
しかしながら、上述した焼却灰や飛灰などの産業廃棄物は、塩素を主体とした化合物(以下、塩素含有廃棄物と称する)を多量に含んでいる。このような産業廃棄物をセメント製造装置に利用することによって、これら産業廃棄物に含まれる塩素含有廃棄物がセメント製造装置内を循環、濃縮され、セメント製造設備の操業や製造されるセメントの品質に悪影響を及ぼす虞があった。
【0006】
このような塩素含有廃棄物による悪影響を防止するために、従来から、例えば、セメント製造装置に投入前に塩素含有廃棄物を水洗し、塩素成分を除去した残りの無機成分をセメント原料として有効利用することが進められており、この水洗工程において分離される成分は、アルカリ金属のハロゲン化物が主体である。
【0007】
また、セメント製造装置においても、様々な廃棄物のリサイクル利用に伴い、塩素含有廃棄物がセメント製造装置内で揮発し、循環、濃縮されることを防止するため、塩素成分のバイパス設備を付設することが行なわれている。このような塩素成分のバイパス設備は、セメント製造装置に塩素含有廃棄物が投入された際に生じる高濃度の塩素ガスを含む排ガスを抽気し、冷却凝縮して塩素化合物としてダクトに集めて除去するものである。
【0008】
塩素成分のバイパス設備によって集められた塩素含有廃棄物は、アルカリ金属のハロゲン化物が主体であるので、これを上述した焼却灰や飛灰などと同様に水洗、洗浄を行い、精製されたアルカリ金属のハロゲン化物を有用な副生塩として回収する廃棄物の脱塩装置によって、廃棄物を完全に再利用することも行なわれている。また、このような廃棄物の脱塩装置で得られる副生塩は、カリウムのハロゲン化物が主体であり、特に臭化カリウムの含有量が多いことから、この臭化カリウムの特性を生かした副生塩の利用方法も検討されている。
【特許文献1】特開2002−371324号公報
【特許文献2】特開2002−355662号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明は、特に、セメント製造装置における廃棄物の再利用サイクルにおいて、副生される有用な塩類を有効活用し、廃棄物の利用経路として外部処理のない完結した経路を形成し、そして、得られた副生塩を、汚染土壌浄化用の浄化剤に使用することによって、汚染土壌の浄化効率を高め、かつ安価に浄化剤を提供可能にすることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記課題を解決するために、本発明は次のような汚染土壌の浄化方法および汚染土壌の浄化剤を提供した。
すなわち、本発明の汚染土壌の浄化方法は、塩素含有廃棄物を処理して得られる生成塩を用いて汚染土壌を浄化する汚染土壌の浄化方法であって、
塩化カリウムと臭化カリウムを含有してなる前記生成塩および酸を含む水溶液を用いて重金属を含む汚染土壌を洗浄し、この汚染土壌から重金属を除去することを特徴とする。
【0011】
このような汚染土壌の浄化方法では、飛灰や、セメント焼成設備に付設された塩素成分のバイパス設備の捕集ダストなど、高濃度に塩素を含む塩素含有廃棄物を利用して、アルカリ金属のハロゲン化物を取り出し、この塩類(生成塩)を用いて浄化剤として汚染土壌を浄化することによって、焼却灰や飛灰などを土壌に埋め立てずにセメント原料として利用する際に、セメント焼成設備から有害物として分離、除去されたアルカリ金属のハロゲン化物が有効に活用される。また、多量の浄化剤を必要とする汚染土壌の浄化においても、セメントの焼成設備などから排出された塩素含有廃棄物に含まれるアルカリ金属のハロゲン化物が、塩化カリウムおよび臭化カリウムなどを含むので、汚染土壌の洗浄を高効率、かつ低コストに行なうことが可能になる。
【0012】
前記生成塩は、前記塩素含有廃棄物をセメント原料として再生する際に生成、回収される回収塩であるのが好ましい。
前記生成塩に含まれる塩化カリウムおよび臭化カリウムの合計含有率は50重量%以上であるのが好ましい。前記水溶液はpHが1〜6の範囲であり、かつ、この水溶液のハロゲンイオンの濃度が0.01〜2モル/リットルであることが好ましい。
前記水溶液は、前記汚染土壌を洗浄した後に、再度汚染土壌の洗浄に循環利用されることが好ましい。
【0013】
本発明の汚染土壌の浄化剤は、アルカリ金属のハロゲン化物を含有してなる汚染土壌の浄化剤であって、
塩素含有廃棄物を処理して得られる生成塩を含有してなることを特徴とする。
【0014】
このような汚染土壌の浄化剤では、高濃度に塩素を含む塩素含有廃棄物を利用して、アルカリ金属のハロゲン化物を取り出し、この塩類(生成塩)を用いて浄化剤を製造できる。これにより、焼却灰や飛灰などを土壌に埋め立てずにセメント原料として利用する際に、セメント焼成設備から有害物として分離、除去されたアルカリ金属のハロゲン化物を有効に活用して浄化剤を製造し、多量の浄化剤を必要とする汚染土壌の浄化において、汚染土壌の洗浄を高効率、かつ低コストに行なうことが可能になる。
【0015】
前記生成塩は、前記塩素含有廃棄物からアルカリ金属のハロゲン化物を抽出精製する装置から得られた生成物であって、アルカリ金属のハロゲン化物の結晶状またはスラリー状であることが好ましい。
【発明の効果】
【0016】
本発明の汚染土壌の浄化方法によれば、塩素含有廃棄物に含まれるアルカリ金属のハロゲン化物を取り出し、この塩類(生成塩)を用いて浄化剤として汚染土壌を浄化することによって、塩素含有廃棄物を有効に活用することができる。
本発明の汚染土壌の浄化剤によれば、多量の浄化剤を使用する汚染土壌の浄化に塩素含有廃棄物に含まれるアルカリ金属のハロゲン化物を利用することによって、汚染土壌の洗浄を低コストに行なうことができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
以下、本発明に係る汚染土壌の浄化方法および汚染土壌の浄化剤の最良の形態について、図面に基づき説明する。なお、本実施形態は、発明の趣旨をより良く理解させるために具体的に説明するものであり、特に指定のない限り、本発明を限定するものではない。
【0018】
図1は、本発明の汚染土壌の浄化剤の製造工程を示す流れ図である。この工程においては、セメント焼成設備に付設される塩素バイパス装置から塩素含有廃棄物を回収する(A−1)。この塩素バイパス装置では、塩素含有廃棄物を含むセメントをセメント焼成設備で焼成した際に生じる高濃度の塩素ガスを含む排気ガスを抽気し、冷却、凝縮を行う。そして、ダストに付着させることによって塩素含有廃棄物を回収する。
【0019】
次に、この塩素含有廃棄物を脱塩装置によって水洗し、ハロゲン化アルカリ化合物など再生利用が可能な塩類(生成塩)を回収する(A−2)。この塩類(生成塩)はアルカリ金属のハロゲン化物として塩化カリウムの他に臭化カリウムも多く含まれている。脱塩装置によって回収された塩類は、結晶状またはスラリー状の形態を成している。
【0020】
脱塩装置によって回収された塩類(生成塩)は、水に溶解した後に酸を加えて酸性にする。この塩類(生成塩)と水および酸を混合することによって汚染土壌の浄化剤を得る(A−3)。浄化剤は、例えばPHが3〜6の酸性溶液とされ、塩素イオンと臭素イオンの濃度が0.01〜2.0モル/リットルになるように、酸および水の量を調整すればよい。好ましくは、pHを高くして塩素イオンや臭素イオンの濃度を低くすることによって、後工程において土壌の浄化に使用する塩類(生成塩)や水の量が少なくても済むので、資源の有効利用の点からも好ましい。
【0021】
このようにして得られた土壌の浄化剤を用いて、重金属に汚染された汚染土壌の浄化を行なう。
図2は、本発明の汚染土壌の浄化方法を示す流れ図である。まず、重金属に汚染された土壌を洗浄槽に投入する。次いで、この浄化槽の汚染土壌に浄化剤を連続して満遍なく散布する(B−1)。これにより、浄化剤に含まれる臭化カリウムや塩化カリウムなどのアルカリ金属のハロゲン化物と、汚染土壌に含まれる重金属とが、弱酸性の環境下で錯体化合物を形成して浄化剤に溶出することとなり、したがって、汚染土壌から重金属が除去される。この洗浄時においては、汚染土壌と浄化剤との接触を十分に行なうために、汚染土壌を洗浄槽中で撹拌しつつ浄化剤を散布し、汚染土壌の浄化を効率的に行なうことも好ましい。
【0022】
次に、洗浄が完了して重金属が取り除かれた土壌から浄化剤を分離する(B−2)。ここで分離された重金属を含む浄化剤は、廃液処理装置に送られる。続いて、浄化剤が分離された浄化後の土壌をすすぎ槽に投入し、清浄な水を散布して土壌をすすぎ洗いする(B−3)。このすすぎ洗いによって、土壌に残っている浄化剤を洗い流す。なお、この土壌のすすぎ洗い工程においても、土壌を撹拌しつつ、すすぎ洗いするのが好ましい。
【0023】
この後、浄化された土壌はアルカリを用いて、pHが5以上に保たれるような中和処理を行う(B−4)。そして、この中和された土壌を埋め戻し用の土壌とするために、重金属等で汚染されていない自然土などを混合して、埋め戻し用の再生土とする(B−5)。
【0024】
一方、汚染土壌の洗浄に用いた浄化剤は、廃水処理工程で重金属を含む錯体化合物を除去する(B−6)。なお、汚染土壌の洗浄に用いた浄化剤を再び洗浄槽に戻すことにより、浄化剤を循環使用するのが好ましい(B−7)。特に、洗浄に用いた浄化剤にまだ重金属の除去能力が残っている(アルカリ金属のハロゲン化物が残っている)場合には、浄化剤をリサイクル利用することによって、土壌の浄化に係るコストを低減することができる。
【0025】
以上により、塩素含有廃棄物から得られた浄化剤を用いて重金属で汚染された土壌から重金属を取り除き、再利用可能な通常の土壌に戻すことができる。そして、飛灰や、セメント焼成設備に付設された塩素成分のバイパス設備のダストなど、高濃度に塩素を含む塩素含有廃棄物を利用して、アルカリ金属のハロゲン化物を取り出し、この塩類(生成塩)を用いて浄化剤として汚染土壌を浄化することによって、焼却灰や飛灰などを土壌に埋め立てずにセメント原料として利用する際に、セメント焼成設備から有害物として分離、除去されたアルカリ金属のハロゲン化物が有効に活用される。また、多量の浄化剤を必要とする汚染土壌の浄化においても、セメントの焼成設備などから排出された塩素含有廃棄物に含まれるアルカリ金属のハロゲン化物が、塩化カリウムおよび臭化カリウムなどを含むので、汚染土壌の洗浄を高効率、かつ低コストに行なうことが可能になる。
【実施例】
【0026】
本発明の効果を検証するため、土壌中の鉛の除去能力を検討した。検討にあたって、本発明の汚染土壌の浄化剤の調製に用いられる複数種の生成塩の成分を表1に示す。
表1中の回収塩(結晶)とは、セメント焼成装置の塩素バイパス装置から回収された回収塩(生成塩)を脱塩装置によって処理した結晶状塩である。
水洗濾液とは、セメント焼成装置の塩素バイパス装置のダストを脱塩装置によって水洗した際に生じた濾液である。
スラリーとは、上記水洗濾液からカルシウム成分を除去し、加熱、濃縮を行なったスラリー状塩である。
【0027】
【表1】


【0028】
(試験1)
上述した3種類の塩類をそれぞれ用いて、ハロゲンイオン濃度が0.1モル/リットル,1.0モル/リットル,2.0モル/リットルとなる3種類の溶液を調製し、これらをそれぞれ20重量部混合、攪拌して水溶液を得た。更に、塩酸を用いてこれらの水溶液のpHを3に調整し、それぞれ3種類のハロゲンイオン濃度の実施例1〜3の浄化剤を得た。
一方、比較例として、蒸留水、塩化カリウム溶液、臭化カリウム溶液のそれぞれについて、ハロゲンイオン濃度が0.1モル/リットル,1.0モル/リットル,2.0モル/リットルとなる3種類の溶液を用意して、3段階のハロゲンイオン濃度からなる比較例1〜3の浄化剤を得た。
このようにして調製された、3段階のハロゲンイオン濃度からなる実施例1〜3および比較例1〜3の浄化剤を用いて、鉛が含まれた汚染土壌に対してこれらの浄化剤を散布しつつ撹拌し、土壌中の鉛成分を溶出させて、回収された廃液に含まれる鉛成分の濃度を測定した。そして、これら廃液中の鉛成分の濃度から汚染土壌に含まれる鉛の除去率を算出した。実施例1〜3および比較例1〜3のハロゲンイオン濃度別の、土壌に含まれる鉛の除去率を表2に示す。
【0029】
【表2】


【0030】
表2によれば、本発明の実施例1〜3の浄化剤は、いずれのハロゲンイオン濃度においても、比較例1〜3の浄化剤に対して、鉛の優れた除去能力を示し、特に、ハロゲンイオン濃度が1.0モル/リットルまたは2.0モル/リットルでは、全ての実施例において、90%以上の鉛の除去能力を示した。一方、比較例の浄化剤では、鉛の除去能力は約20〜80%台にとどまった。これにより、本発明の浄化剤の優れた鉛除去能力が確認された。
【0031】
さらに、表2によれば、ハロゲンイオン濃度を実施例の最小濃度の1/10である0.01モル/リットルとした場合について、汚染土壌中の鉛の除去率を推定すると、実施例1〜3のいずれも75%程度の除去率となるのに対して、従来の比較例2においては55%程度に留まる。従って、実施例1〜3では、浄化剤中のハロゲンイオン濃度を0.01モル/リットルと低下された場合であっても、汚染物資の有効な除去率が維持される。
【0032】
(試験2)
次に、表1に示した3種類の形態(回収塩、水洗濾液、スラリー)の塩類をそれぞれ用いて、pHが1,3,6となるように塩酸で調製した3種類の水溶液から実施例4〜6の浄化剤を得た。
一方、蒸留水、塩化カリウム溶液、臭化カリウム溶液のそれぞれについて、pHが1,3,6となるように塩酸で調製した比較例4〜6の浄化剤を得た。
このようにして調製された、3段階のpHからなる実施例4〜6および比較例4〜6の浄化剤を用いて、鉛が含まれた汚染土壌に対してこれらの浄化剤を散布しつつ撹拌し、土壌中の鉛成分を溶出させて、回収された廃液に含まれる鉛成分の濃度を測定した。そして、これら廃液中の鉛成分の濃度から汚染土壌に含まれる鉛の除去率を算出した。実施例4〜6および比較例4〜6のpHの違いによる、土壌に含まれる鉛の除去率を表3に示す。
【0033】
【表3】


【0034】
表3によれば、本発明の実施例4〜6の浄化剤は、いずれのpHにおいても、比較例4〜6の浄化剤に対して、鉛の優れた除去能力を示し、特に、pHが1では、全ての実施例において、90%を超える鉛の除去能力を示した。一方、従来の比較例の浄化剤では、pHが1でも鉛の除去能力は約70〜80%台にとどまった。本発明の浄化剤の優れた鉛除去能力が確認された。
【0035】
(試験3)
更に、浄化剤に多価の陽イオンを含有させた際の鉛の除去率を調べた。検証にあたって、本発明の実施例7〜11と比較例7〜9の浄化剤を用意した。各実施例および比較例の浄化剤の概要は以下の通りである。
実施例7: 表1に示した回収塩を用い、ハロゲンイオン濃度が0.1モル/リットルとなる水溶液を20重量部混合した。
実施例8: 表1に示した回収塩を用い、塩化カルシウムを添加し、ハロゲンイオン濃度が0.1モル/リットルとなる水溶液を20重量部混合した。
実施例9: 表1に示した水洗濾液を用い、ハロゲンイオン濃度が0.1モル/リットルとなる水溶液を20重量部混合した。
実施例10: 表1に示した水洗濾液を用い、塩化カルシウムを添加し、ハロゲンイオン濃度が0.1モル/リットルとなる水溶液を20重量部混合した。
実施例11: 表1に示したスラリーを用い、ハロゲンイオン濃度が0.1モル/リットルとなる水溶液を20重量部混合した。
比較例7: 塩化カリウム水溶液である。
実施例8: 蒸留水である。
実施例9: 塩化カルシウム水溶液である。
このような実施例7〜11および比較例7〜9の浄化剤を用いて、鉛が含まれた汚染土壌に対してこれらの浄化剤を散布しつつ撹拌し、土壌中の鉛成分を溶出させて、回収された廃液に含まれる鉛成分の濃度を測定した。そして、これら廃液中の鉛成分の濃度から汚染土壌に含まれる鉛の除去率を算出した。表4に、それぞれの浄化剤の塩素イオン、臭素イオン、カルシウムイオンの各濃度と、土壌に含まれる鉛の除去率を示す。
【0036】
【表4】


【0037】
表4に示す結果によれば、本発明の実施例7〜11の浄化剤は、いずれも80%以上の鉛除去能力を示した。特に、多価陽イオンであるカルシウムイオンが共存した実施例8〜10では、より優れた鉛除去能力が得られた。一方、比較例4〜6の浄化剤の鉛の除去能力は、24〜69%にとどまった。本発明の浄化剤の優れた鉛除去能力が確認された。
【図面の簡単な説明】
【0038】
【図1】本発明の一実施形態の汚染土壌の浄化剤の製造方法を示す流れ図である。
【図2】本発明の一実施形態の汚染土壌の浄化方法を示す流れ図である。
【出願人】 【識別番号】000183266
【氏名又は名称】住友大阪セメント株式会社
【出願日】 平成18年12月4日(2006.12.4)
【代理人】 【識別番号】100064908
【弁理士】
【氏名又は名称】志賀 正武

【識別番号】100108578
【弁理士】
【氏名又は名称】高橋 詔男

【識別番号】100089037
【弁理士】
【氏名又は名称】渡邊 隆

【識別番号】100101465
【弁理士】
【氏名又は名称】青山 正和

【識別番号】100094400
【弁理士】
【氏名又は名称】鈴木 三義

【識別番号】100107836
【弁理士】
【氏名又は名称】西 和哉

【識別番号】100108453
【弁理士】
【氏名又は名称】村山 靖彦


【公開番号】 特開2008−136966(P2008−136966A)
【公開日】 平成20年6月19日(2008.6.19)
【出願番号】 特願2006−326983(P2006−326983)