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【発明の名称】 重金属類に汚染された土壌の除染方法及びその方法に使用する流動層型の容器
【発明者】 【氏名】赤穂 章

【氏名】南雲 信秀

【氏名】荒木 勲

【要約】 【課題】重金属類に汚染された土壌を原位置で除染する際に、土壌から重金属汚染濃度が高いシルト以下の小径粒子を効率的に分取することによって、搬出を要する汚染土壌の量を減少させる。

【解決手段】最下部に高圧空気の導入口4を設けた円筒部2と円錐部3からなる流動層型の容器1に、重金属類に汚染された土壌と水とを投入し、高圧空気の導入口4から高圧空気を上方に向かって導入して、流動状態を維持し、容器の下部から順に、礫層、砂層、シルト層、粘土層、コロイド層の各層を形成し、高圧空気の導入を停止した後、シルト層、粘土層、コロイド層を構成する小径粒子を容器の上部から排出して、シルト以下の小径粒子の土壌を分取し、砂以上の大径粒子の土壌を容器から取り出し回収し、該大径粒子の土壌を汚染土壌の原地盤等へ埋め戻す。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
最下部に高圧空気の導入口4を設けた円筒部2と円錐部3からなる流動層型の容器1に、重金属類に汚染された土壌と水とを投入し、高圧空気の導入口4から高圧空気を上方に向かって導入して、流動状態を維持し、容器の下部から順に、礫層、砂層、シルト層、粘土層、コロイド層の各層を形成し、高圧空気の導入を停止した後、シルト層、粘土層、コロイド層を構成する小径粒子を容器の上部から排出して、シルト以下の小径粒子の土壌を分取し、砂以上の大径粒子の土壌を容器から取り出し回収し、該大径粒子の土壌を汚染土壌の原地盤等へ埋め戻すことを特徴とする汚染土壌の除染方法。
【請求項2】
分取したシルト以下の小径粒子の土壌を凝集・固化して、搬出することを特徴とする請求項1記載の汚染土壌の除染方法。
【請求項3】
分取したシルト以下の小径粒子の土壌と水とを、最下部に高圧空気の導入口4を設けた円筒部2と円錐部3からなる流動層型の容器1に投入し、酸性に調整したスラリーとし、高圧空気の導入口4から高圧空気を上方に向かって導入して撹拌し、重金属類を溶出せしめた後、シルト以下の小径粒子の土壌を分離・回収して、汚染土壌の原地盤等へ埋め戻すことを特徴とする請求項1記載の汚染土壌の除染方法。
【請求項4】
請求項3記載の除染方法において、シルト以下の小径粒子の土壌を分離した後の重金属類が溶出した廃水を、キレート樹脂の存在又は不存在下、pHを中性にすることにより、該廃水から重金属を水酸化物として除去することを特徴とする汚染土壌の除染方法。
【請求項5】
請求項1ないし4項のいずれか1項記載の汚染土壌の除染方法に使用する最下部に高圧空気の導入口4を設けた円筒部2と円錐部3からなる流動層型の容器1において、円筒部に垂直方向について複数の位置に透明材料からなる覗き窓6を設けて、礫層、砂層、シルト層、粘土層、コロイド層等の位置を視認可能としたことを特徴とする流動層型の容器。

【発明の詳細な説明】【技術分野】
【0001】
本発明は、重金属類に汚染された土壌の除染に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、都市再開発が盛んに行われているが、再開発される工場跡地、廃棄物処理場等の土壌は、有機系有害物質、重金属類で汚染されていることがある。
人の健康を保護する観点から、汚染について環境基本法が制定されているが、更に、2003年に土壌汚染対策法が施行され、この法律及び政令で定める「土壌環境基準」にて市街地等の土壌に含まれる重金属の含有量について、一定以上含有していれば、重金属の除去対策を講じなければならないとされ、カドミウムは150mg/kg以下、鉛は150mg/kg以下、六価クロム150mg/kg以下、砒素150mg/kg以下、総水銀15mg/kg以下、セレン150mg/kg以下、ふっ素4,000mg/kg以下、ほう素4,000mg/kg以下と定められている。
重金属類に汚染された土壌の処理は、搬出して産業廃棄物として最終処分場への埋立処理、セメント会社への搬入、或いは土壌洗浄設備を有している施設への搬入等がある。セメント原料とする場合、セメントに重金属が混入するので、品質管理上の問題があるし、土壌洗浄設備への搬入についても、技術的又はコスト的に問題を抱えているといわれ、最終処分場への埋立処理が増えているのが現状である。
【0003】
汚染土壌の汚染物質は、コロイド、粘土、シルト等の小径粒子に蓄積しており、小径粒子を分離し、廃棄するか、汚染物質を除去して、埋め戻すことが知られている。
特開平10−296230号公報に記載の浄化方法では、重金属類による汚染土壌を分級し、汚染元素を吸着する能力が高い小径や中径の粒子を分離除去するとともに、汚染されていない大径の粒子を清浄物として取出す。次に分離除去された粒子に対し、粒度別に、比重選別により重金属高含有粒子を濃縮除去する処理、重金属を酸溶液やキレート剤溶液などの溶媒によって溶脱する処理等を行っている。
特開2004−25086号公報に記載された汚染土壌の洗浄方法では、汚染土壌を流動層の洗浄容器に投入すると共に、洗浄容器の下部から洗浄用流体を上向きに流して土壌を流動化状態にし、土壌粒子の表面付近に存在する汚染物質を洗浄し、洗浄用流体の容器内流速を一定の範囲で周期的に変化させること(請求項1)、その変化範囲が、最大で土壌の最大粒径粒子の終末速度以上で、容器出口まで移動可能な速度であること(請求項2)、2mm以上の粒子は篩による前処理によって既に除去してあること([0016]実施例1)、粒径0.005(mm)以下の粒子を排出する例として、V=0.26(m/s)、0.075(mm)以下の粒子を排出する場合は、0.26(m/s)をやや越える流速、例えばV=0.28(m/s)、目的粒子を粒径0.425(mm)以下とすれば、水流速を0.4(m/s)に設定すればよい([0019])とされている。
特開2004−188250号公報には、重金属汚染土壌を浄化方法が記載され、重金属の含有量が多い部分を除去するとともに、原地盤等への埋め戻しが可能な清浄土を回収している。
特開2004−358347号公報には、汚染土壌を原位置で浄化する方法及びプラントが記載され、掘削した汚染土壌を浄化した後に埋め戻している。
特開2005−28290号公報に記載された重金属汚染土壌の処理方法では、重金属を高濃度で含有する土壌中の粒子を効率よく分離除去して、清浄土壌を得、重金属分を多く含む高比重分を廃棄するものである。
特開2005−238102号公報に記載された重金属汚染土壌の処理方法では、汚染されていない粗粒分と汚染物質が付着したシルトに分級し、汚染物質が付着したシルトに溶出液を加え、汚染物質を溶出させた後、シルトを埋め戻し土に利用している。
【特許文献1】特開平10−296230号公報
【特許文献2】特開2004−25086号公報
【特許文献3】特開2004−188250号公報
【特許文献4】特開2004−358347号公報
【特許文献5】特開2005−28290号公報
【特許文献6】特開2005−238102号公報
【0004】
しかし、特許文献1−6に記載された方法では、設備が大掛かりで、設置にスペースとコストが掛かるし、また、シルト以下の小径粒子の分離に時間がかかり、小径粒子が付着した砂以上の大径粒子から小径粒子が充分に取り除かれず、重金属類の汚染物質が小径粒子の付着により大径粒子に残存することがあった。
また、特許文献2に記載された方法では、汚染土壌を予め分級し、2mm以下の土壌に対して、洗浄容器の下部から洗浄用流体を上向きに流して、土壌を流動化状態にしているが、水流速を0.4(m/s)以下としており、水流により洗浄容器内で小径粒子が付着した大径粒子から小径粒子を取り除くものではなかった。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
重金属類に汚染された土壌を原位置で除染する際に、土壌から重金属汚染の多いシルト以下の小径粒子を効率的に分離することによって、搬出する汚染土壌の量を減少させることにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
汚染土壌のどの粒度の粒子に重金属類が吸蔵されているのかを説明する。
土壌を構成する粒子は、地盤工学会基準(地盤工学会)では次のように分類されている。
地盤工学会基準(単位mm)
粘土 〜0.005
シルト 0.005〜0.075
細砂 0.075〜0.25
中砂 0.25〜0.85
粗砂 0.85〜2.0
細礫 2.0〜4.75
中礫 4.75〜19
粗礫 19〜75
コブル 75〜300
ボルダー 300以上
砂は、岩石が物理的に風化したものであり、礫と同じ鉱物組成であるが、粘土・シルトは砂を構成する鉱物が化学的に風化したものである。
一例では、正長石(KAlSi38)は加水分解してカオリナイト(Al2Si25)とケイ酸(H4SiO4)となる。
カオリナイトのような粘土質鉱物は、重金属類を吸蔵するものであり、汚染土壌では、粘土質鉱物を多く含有する粘土、シルトに重金属類が蓄積しているので、これらの小径粒子を分離することにより、汚染が少ない大径粒子からなる土壌を回収し、埋め戻すことができる。
シルトと細砂の境界は、地盤工学会基準(単位mm)では0.075であるが、土壌の風化の程度により一定ではなく、概ね0.07〜0.1に境界がある。
【0007】
請求項1に係る発明では、最下部に高圧空気の導入口4を設けた円筒部2と円錐部3からなる流動層型の容器1に、重金属類に汚染された土壌と水とを投入し、高圧空気の導入口4から高圧空気を上方に向かって導入して、流動状態を維持し、容器の下部から順に、礫層、砂層、シルト層、粘土層、コロイド層の各層を形成し、高圧空気の導入を停止した後、シルト層、粘土層、コロイド層を構成する小径粒子を容器の上部から排出して、シルト以下の小径粒子の土壌を分取し、砂以上の大径粒子の土壌を容器から取り出し回収し、汚染土壌の原地盤等へ埋め戻すものである。
この方法では、最下部に高圧空気の導入口4を設けた円筒部2と円錐部3からなる流動層型の容器1に、重金属類に汚染された土壌のスラリーを投入し、高圧空気の導入口から高圧空気を上方に向かって導入するところに特徴があり、高圧空気により礫・砂・シルト・粘土類が激しく撹拌されて、容器1の上部に向かって掻き上げられ、円形容器1の壁面に沿って自重で落下し、粒子同士の接触による衝撃が発生し、大径粒子に付着する小径粒子を短時間に完全に分離可能とするものである。
【0008】
請求項2に係る発明は、小径粒子の土壌を搬出した方が合理的な場合で、分取したシルト以下の小径粒子の土壌を凝集・固化して、搬出するものである。
【0009】
請求項3に係る発明は、小径粒子の土壌が除染可能な場合で、分取したシルト以下の小径粒子の土壌と水とを、最下部に高圧空気の導入口4を設けた円筒部2と円錐部3からなる流動層型の容器1に投入し、酸性に調整したスラリーとし、高圧空気の導入口4から高圧空気を上方に向かって導入して撹拌し、重金属類を溶出せしめた後、シルト以下の小径粒子の土壌を分離・回収して、汚染土壌の原地盤等へ埋め戻すものである。
【0010】
請求項4に係る発明は、除染方法に関し、請求項3記載の除染方法において、シルト以下の小径粒子の土壌を分離した後の重金属類が溶出した廃水を、キレート樹脂の存在又は不存在下、pHを中性にすることにより、該廃水から重金属を水酸化物として除去するものである。
【0011】
請求項5に係る発明は、流動層型の容器1について、請求項1ないし4記載の汚染土壌の除染方法に使用する最下部に高圧空気の導入口4を設けた円筒部2と円錐部3からなる流動層型の容器1において、円筒部2に垂直方向について複数の位置に透明材料からなる覗き窓6を設けて、礫層、砂層、シルト層、粘土層、コロイド層等の位置を視認可能としたものである。
【発明の効果】
【0012】
以上説明したように、本発明による分離処理により次のような効果が得られる。
(1)本発明では、高圧空気の導入により礫・砂・シルト・粘土類と水が激しく撹拌されて、容器の上部に向かって掻き揚げられ、円形容器の壁面に沿って自重で落下し、粒子同士の接触による衝撃が発生し、特に、礫が含まれることにより、更に大きな衝撃が発生し、大径粒子に付着する小径粒子を短時間に完全に分離することができる。
(2)分取された大径粒子を原地盤等へ埋め戻すことができるので、搬出する土壌を減少させることができる。
(3)重金属を多量に含有する小径粒子の土壌から重金属を取り除くことにより、搬出する土壌を更に減少させることができる。
(4)流動層容器に覗き窓を設けたことにより、小径粒子の排出が容易となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
本発明では、前もって分級しない土壌に、礫が含まれることにより、より効率的に処理することができ、高圧空気の導入により礫・砂・シルト・粘土類と水が激しく撹拌されて、容器の上部に向かって掻き揚げられ、円形容器の壁面に沿って自重で落下し、粒子同士の接触による衝撃が発生し、特に、礫が含まれることにより、更に大きな衝撃が発生し、大径粒子に付着する小径粒子を短時間に完全に分離することができる。
分離処理する土壌に礫が含まれない場合は、別途礫を投入するしてもよい。
汚染土壌は、容器に水と共に投入され、分離されるが、茎、根等の植物体が混入している場合は、比重が小さく、液の表面に浮くので、網で容易にすくい取ることができる。
小径粒子は、分離処理の都度排出する。大径粒子は、分離処理を数回繰り返した後、水のみを投入して洗浄・分離処理を数回行い、小径粒子を殆ど分離・排出した後、大径粒子を排出・回収するのがよい。大径粒子の間隙に含まれる小径粒子を取り除くためである。
また、小径粒子と大径粒子の境界は、容器の円筒部に設けた覗き窓により、視認できるが、小径粒子は、粘土鉱物を多く含有するために、比重が小さく、親水性があるので、懸濁状態になっており、水と共に容易に排出することができる。
本発明では、分離される小径粒子の土壌は、全土壌の約30%を占めているが、分離処理で、小径粒子は更に粒径に応じて分級できるので、汚染物質を多量に含有する粘土と比較的汚染物質の含有量の少ないシルトを分取することが可能であり、原位置で重金属を除去する土壌、或いは最終処分場に搬出する土壌を更に減少させることも可能である。
土壌が酸性の場合は、分離処理中に重金属類が溶出することがあるが、アルカリ剤でpHを調整することにより、不溶化することができる。
小径粒子を酸性の水で洗浄後の廃水は、キレート樹脂の存在又は不存在下、pHを中性にすることによって、重金属を水酸化物として除去し、凝集して、最終処分場へ搬出するが、更に高度の廃水処理を行うことにより、搬出する廃水の量を減少することも可能である。
【実施例】
【0014】
1.本発明により分級した土壌の礫、砂、シルト等の粒径別の存在比、重金属の成分・含有量を表にする。
2.分離処理後の大径粒子及び小径粒子の土壌の重金属の成分・含有量を表にする。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】本発明で使用する流動層型の容器の概略図である。
【符号の説明】
【0016】
1:流動層型の容器
2:円筒部
3:円錐部
4:高圧空気導入口
5:バルブ
6:覗き窓

【出願人】 【識別番号】506402414
【氏名又は名称】株式会社 双葉プランニング
【出願日】 平成18年12月4日(2006.12.4)
【代理人】 【識別番号】100090985
【弁理士】
【氏名又は名称】村田 幸雄


【公開番号】 特開2008−136962(P2008−136962A)
【公開日】 平成20年6月19日(2008.6.19)
【出願番号】 特願2006−326824(P2006−326824)