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【発明の名称】 汚染土壌の解砕洗浄装置
【発明者】 【氏名】北川 明子

【氏名】牛尾 亮三

【氏名】本間 智英

【要約】 【課題】汚染土壌の滞留時間を長くして、シルトや粘土を含む土壌であっても十分に解砕することができ、効率的な洗浄処理が可能な汚染土壌の解砕洗浄装置を提供する。

【解決手段】回転ドラム1の内周面に、回転軸に対し垂直に固定されて回転ドラム1内を複数の領域に区画する複数の仕切板4と、これらの仕切板4で区画された各領域内に回転軸に対し平行に固定された複数の掻上板5とを備えている。各仕切板4は中央に開口部を有すると共に、開口部と回転ドラム1の内周面との間を切り欠いた切欠部6を有している。また、各仕切板4の切欠部6は、仕切板4ごとに位置をずらして互いに等間隔に配置されている。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
両端に汚染土壌と洗浄水の投入口と排出口を有する回転ドラムを備え、回転ドラムに投入された汚染土壌を解砕洗浄する装置であって、回転ドラム内周面に回転軸に対し垂直に固定され、回転ドラム内を複数の領域に区画する略円環状の複数の仕切板と、複数の仕切板で区画された各領域内に、回転ドラム内周面に回転軸に対し平行に固定された複数の掻上板とを備え、各仕切板は中央に開口部を有すると共に、その開口部と回転ドラム内周面との間を切り欠いた切欠部を有し、各仕切板の切欠部は仕切板ごとに位置をずらして互いに等間隔に配置されていることを特徴とする汚染土壌の解砕洗浄装置。
【請求項2】
前記仕切板の高さは、回転ドラム内周面の半径の1/3〜1/2であることを特徴とする、請求項1に記載の汚染土壌の解砕洗浄装置。
【請求項3】
前記仕切板の切欠部は、回転ドラムの回転軸を中心にして15°〜45°の角度で開口していることを特徴とする、請求項1又は2に記載の汚染土壌の解砕洗浄装置。
【発明の詳細な説明】【技術分野】
【0001】
本発明は、油や重金属等で汚染された土壌を解砕して浄化する装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、工場跡地、ガソリンスタンド周辺の市街地、射撃場等において、漏出した油や有機溶剤、重金属などで土壌が汚染された結果、用水や河川に有害物質が漏出したり、有害物質のために土地の再利用に支障を来たしたりする例が各所で顕在化している。
【0003】
現在、これらの汚染土壌は、産業廃棄物として処分場に埋め立て廃棄するか、または汚染物質を焼却や洗浄により取り除いて土壌を修復し、再利用する方法が採用されている。しかしながら、埋め立て廃棄する方法は、環境保全等の問題により場所の確保が困難になっている。また、焼却して土壌を修復する方法については、処理コストが高いという問題がある。
【0004】
そこで近年では、環境保全の面で優れ、比較的低コストでの処理が可能であるなどの理由から、洗浄による土壌の修復方法を採用する例が多くなっている。一般的な汚染土壌の洗浄方法としては、例えば特開2003−010831号公報に記載されるように、複数の掻上羽根を備えたドラム洗浄機に汚染土壌を投入して解砕し、水や洗浄剤などと共に撹拌する方法がある。
【0005】
この方法によれば、汚染土壌と洗浄水を回転するドラム内で搬送しながら掻上羽根で解砕混合し、土壌粒子に付着した汚染物質を剥離して水相に移すことができる。処理後の土壌は分級し、鉛などの重金属が濃縮された細粒部分は搬出して更に浄化処理を施し、その他の粗粒部分は清浄土として再利用される。
【特許文献1】特開2003−010831号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
上記した従来の汚染土壌の洗浄方法では、ドラム洗浄機の回転ドラム内における土壌の滞留時間が短いため、特にシルトや粘土が10%以上含まれる汚染土壌の場合は解砕が不十分となり、土壌の粗粒部分からも汚染物質を取り除くことが難しくなるため、汚染土壌の洗浄効果が低下するという問題があった。
【0007】
また、処理コストを下げるために、処理後の土壌をできるだけ多く再利用することが望ましいが、上記のごとく汚染土壌の解砕が不十分になると、処理後の分級工程における分級効率が低下してしまうため、清浄土として再利用できる粗粒部と汚染物質が濃縮していく細粒部とを確実に分離することができず、清浄土の回収率が低下してしまうという問題もあった。
【0008】
本発明は、このような従来の事情に鑑み、回転ドラム内における土壌の滞留時間を長くして、シルトや粘土を含む土壌汚染であっても十分に解砕することが可能であって、汚染土壌を効率的に洗浄処理することができ、且つ処理後の分級工程において清浄土の回収率を高めることが可能な汚染土壌の解砕洗浄装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記目的を達成するため、本発明が提供する汚染土壌の解砕洗浄装置は、両端に汚染土壌と洗浄水の投入口と排出口を有する回転ドラムを備え、回転ドラムに投入された汚染土壌を解砕洗浄する装置であって、回転ドラム内周面に回転軸に対し垂直に固定され、回転ドラム内を複数の領域に区画する略円環状の複数の仕切板と、複数の仕切板で区画された各領域内に、回転ドラム内周面に回転軸に対し平行に固定された複数の掻上板とを備え、各仕切板は中央に開口部を有すると共に、その開口部と回転ドラム内周面との間を切り欠いた切欠部を有し、各仕切板の切欠部は仕切板ごとに位置をずらして互いに等間隔に配置されていることを特徴とするものである。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、シルトや粘土が10%以上含まれる土壌であっても土質に関係なく、汚染土壌を短時間で十分に解砕することができ、連続的に且つ効率的に洗浄処理することができる。従って、処理後における分級工程での分級効率を高め、清浄土として再利用できる粗粒部と汚染物質が濃縮した細粒部とを確実に分離することができ、清浄土の回収率を向上させることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
本発明による汚染土壌の解砕洗浄装置を、図面を参照して具体的に説明する。図1〜2は本発明による汚染土壌の解砕洗浄装置に用いる回転ドラムの一具体例であって、円筒状の回転ドラム1は両端に側壁1a、1bを備え、片方の側壁1aには汚染土壌の投入口2を、他方の側壁1bには排出口3を有している。回転ドラム1は回転軸を中心に一方向に回転し、投入口2から投入された汚染土壌を搬送しながら解砕洗浄して、反対側の排出口3から洗浄処理した土壌を排出するようになっている。尚、土壌の排出方法は特に限定されず、図1では省略してあるが、例えば、排出口を大きくしたり、回転軸を傾けたりする方法のほか、土壌を排出口に誘導する溝などの手段を設ける方法などがある。
【0012】
この回転ドラム1の内周面には、複数の仕切板4が回転軸に対して垂直に固定され、回転ドラム1の内部を複数の領域に区画している。複数の仕切板4で区画された各領域内には、それぞれ複数の掻上板5が回転軸に対して平行に配置され、回転ドラム1の内周面に固定されている。また、上記した仕切板4は、中央に開口部4aを有する略円環状であり、その開口部4aと回転ドラム1の内周面との間を切り欠いた切欠部6を有している。各仕切板4に設けた切欠部6は、仕切板4ごとに位置をずらして、互いに等間隔に配置されている。
【0013】
上記の解砕洗浄装置においては、まず、投入口2から回転ドラム1に汚染土壌と洗浄水とを投入する。回転ドラム1の回転に伴って、汚染土壌は回転軸に平行な掻上板5により高所まで持ち上げられた後、高所から落下することで下部の土壌と衝突する。これを繰り返すことでアトリション(摩擦力)効果が起こり、汚染土壌は効果的に混合解砕されながら洗浄され、土壌に付着した汚染物質を粒子表面から剥離して水相に移すことができる。
【0014】
しかしながら、例えば回転軸に平行な掻上板のみを備える装置の場合、砂や礫の多い汚染土壌は十分に解砕することができるが、回転ドラム内での滞留時間が短いために、シルトや粘土が多く含まれる土壌は解砕が不十分となる。例えば、シルトや粘土が約10%含まれる土壌では、解砕が不十分な状態で排出口から土壌が流出し始める。更にシルトや粘土が約15%以上含まれる土壌では、続々と解砕不十分な土壌の塊が流出してしまい、十分な解砕と洗浄が行われない結果、後工程で得られる清浄土の割合が極端に低下することとなる。
【0015】
本発明の解砕洗浄装置では、図1〜2に示すように、回転ドラム1内に回転軸に垂直な仕切板4が複数存在するため汚染土壌の排出口3への移動が邪魔され、汚染土壌が回転ドラム1内により長い時間滞留することが可能になるため、シルトや粘土が10%以上含まれる土壌でも十分に解砕することができる。ただし、回転軸に垂直に固定する仕切板4が完全な円環状(リング状)では、仕切板4でせき止められた汚染土壌が回転ドラム1内に残留してしまう。この汚染土壌の残留を防止するため、仕切板4には切欠部6が設けてある。その結果、汚染土壌は十分な解砕洗浄作用が受けながら、仕切板4で区画された回転ドラム1内の各領域を通過して排出口3から排出される。
【0016】
上記掻上板5の回転ドラム内周面への取り付け位置は、図2に示すように、同一領域内で隣接する掻上板5が回転ドラム1の回転軸を中心にして15°〜45°の一定の角度θ1で設置されていることが好ましい。この角度θ1が120°より大きくなると、汚染土壌の掻き上げ回数が少なくなり、アトリション効果が不十分となるため十分な解砕が得られない。逆に角度θ1が60°より小さい場合には、隣接する掻上板5同士の間隔が狭くなり過ぎるため、掻き上げられる汚染土壌の量が少なくなり、やはり十分に解砕することができない。
【0017】
また、掻上板5の高さについては、図2に示すように、掻上板5の高さをh及び回転ドラム1の半径をRとしたとき、h/Rを1/8〜1/3の範囲内とすることが好ましい。このh/Rが1/8より小さいと、相対的に掻上板5の高さhが低すぎるため、アトリション効果が不十分となり、十分に解砕することができない。また、h/Rが1/3より大きくなると、掻き上げる量が多くなり、回転ドラム1の回転に要する動力が大きくなるため好ましくない。
【0018】
上記仕切板4は、汚染土壌の滞留時間を長くするため、回転ドラム1の長さに応じて複数設置する。例えば、長さ1〜2mm程度の回転ドラムの場合、仕切板を2〜4枚設置して、回転ドラム内を3〜5の領域に区画すればよい。また、仕切板4に設ける切欠部6は、仕切板4ごとに少なくとも1箇所設ければよい。ただし、回転ドラム1内に設置した各仕切板4の切欠部6は、仕切板4ごとに互いの位置をずらして、互いに等間隔になるように配置する。このように、複数の仕切板4と適切な切欠部6の配置によって、汚染土壌に十分で且つ適正な滞留時間を与えることができる。
【0019】
また、仕切板4の高さについては、図2に示すように、仕切板4の高さをH及び回転ドラム1の半径をRとしたとき、H/Rが1/3〜1/2の範囲内が好ましい。H/Rが1/3より小さいと、相対的に仕切板4が低すぎるため、滞留する土壌量が少なくなり、その結果回転ドラム1内での滞留時間が短くなって、十分な解砕効果が得られない。逆にH/Rが1/2より大きくなると、回転ドラム1内に土壌が大量に滞留し、アトリション効果が起こりにくくなるため、解砕効果が不十分となる。
【0020】
仕切板4に設ける切欠部6については、その中央の開口部4aと回転ドラム1の内周面との間を切り欠いたものであれば、その形状は特に限定されない。切欠部6の好ましい形状としては、図2に示すように、回転ドラム1の回転軸を中心にして15°〜45°の一定の角度θ2で開口した形状がある。この角度θ2が45°より大きく開口すると、汚染土壌の滞留時間が短くなり、解砕が不十分になるため好ましくない。また、角度θ2が15°より小さいと、仕切板4で汚染土壌がせき止められ、回転ドラム1が閉塞する恐れがある。
【0021】
本発明が処理対象とする汚染土壌は、汚染物質として鉛など重金属や油などを含むものである。本発明の解砕洗浄装置を用いることにより、このような重金属や油など汚染された土壌を、装置内に一定時間以上滞留させ、その間に効率的に解砕して洗浄することができる。特に、シルトや粘土を10%以上含む汚染土壌であっても、短時間で十分に解砕することができ、連続して効率的な洗浄処理が可能である。
【実施例】
【0022】
[実施例1]
図1〜2に示す解砕洗浄装置を用いて、汚染物質として鉛を含む汚染土壌を処理した。使用した装置の回転ドラム1は、直径650mm、長さ1500mmである。この回転ドラム1内には、高さHが150mmの3枚の仕切板4が設置され、内部を4つの領域に区画している。また、各仕切板4には角度θ2が30°となるように開口した切欠部6が、仕切板4ごとに回転軸を中心に120°づつ位置をずらして設けてある。更に、回転ドラム1の内周面には、高さhが100mmの掻上板5が、角度θ1が60°となるように6枚設置してある。
【0023】
上記回転ドラム1に、鉛汚染土壌(Pb汚染濃度:1000mg/kg、シルト粘土:13%)を60kg/minで投入すると共に、洗浄水を3リットル/minにて投入し、回転ドラム1を6rpmの速度で回転させた。投入開始後約10分で回転ドラム1から土壌スラリーが排出され始めた。回収した土壌スラリーを湿式振動篩で分級して粒径2mm以上の土壌を取り出し、粒径2mm未満の土壌はスパイラル分級機を用いて粒径0.5mmで分級し、更に液体サイクロンの分級機を用いて粒径0.075mmで分級した。
【0024】
以上の分級操作により得られた各粒度における土壌中の鉛濃度を分析したところ、粒径2mm以上の土壌は重量比率で55%回収され、土壌中の鉛濃度は60mg/kgであった。また、粒径0.5mm以上2mm未満の土壌は22%回収され、土壌中の鉛濃度は100mg/kgであった。更に、粒径0.075mm以上0.5mm未満の土壌は13%回収され、土壌中の鉛濃度は140mg/kgであった。一方、粒径0.075mm未満の土壌は10%回収され、土壌中の鉛濃度は2000mg/kgであった。
【0025】
以上の結果より、回収された粒径0.075mm以上の土壌では鉛濃度が150mg/kg以下にまで減少しており、投入した土壌全体の90%を清浄土として回収することができた。
【0026】
[比較例]
回転ドラム内に6枚設置した掻上板のみを有し、仕切板を全く備えていない以外は上記実施例1と同じ解砕洗浄装置を用いて、鉛汚染土壌(Pb汚染濃度:1000mg/kg、シルト粘土:13%)を上記実施例1と同様に処理した。即ち、鉛汚染土壌を60kg/minで投入すると共に、洗浄水を3リットル/minで投入し、回転ドラム1を6rpmの速度で回転させた。
【0027】
投入開始後約3分で回転ドラムから土壌スラリーが排出されたが、泥の塊が多数確認された。回収した土壌スラリーを上記実施例1と同様に分級し、各粒度における土壌中の鉛濃度を分析したところ、粒径0.075mm以上2mm未満の土壌は鉛濃度が150mg/kg以下にまで減少していたが、粒径2mm以上の土壌では鉛濃度が基準値を超えており、土壌全体の50%しか清浄土として回収することができなかった。
【図面の簡単な説明】
【0028】
【図1】本発明による汚染土壌の解砕洗浄装置に用いる回転ドラムの一具体例であり、回転軸方向における概略の断面図である。
【図2】図1に示す回転ドラムの回転軸に直角な方向における概略の断面図である。
【符号の説明】
【0029】
1 回転ドラム
2 投入口
3 排出口
4 仕切板
5 掻上板
6 切欠部
【出願人】 【識別番号】594082501
【氏名又は名称】スミコンセルテック株式会社
【出願日】 平成18年11月27日(2006.11.27)
【代理人】 【識別番号】100083910
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 正緒


【公開番号】 特開2008−126222(P2008−126222A)
【公開日】 平成20年6月5日(2008.6.5)
【出願番号】 特願2006−317982(P2006−317982)