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【発明の名称】 焼成物およびその製造方法
【発明者】 【氏名】阿部 信彦

【氏名】寺崎 淳一

【氏名】守屋 政彦

【氏名】堀篭 浩史

【要約】 【課題】汚染土壌、建設発生土、建設汚泥等の土壌含有物を主な原料として製造される、軽量骨材、軽量土等に利用可能な焼成物の製造方法を提供する。

【解決手段】本発明の方法は、土壌を含む被処理物を分級して、細粒分を得る分級工程と、分級工程で得られた細粒分に対して無処理で、または粒状化もしくは塊状化のための処理を行なって、該細粒分の集合体である粒状物または塊状物を得る被焼成物調製工程と、被焼成物調製工程で得られた粒状物または塊状物を焼成して、焼成物を得る焼成工程を含む。本発明の方法は、分級工程の前工程として、分級工程で得られる細粒分中の酸化カルシウムの含有率が15質量%以下となるように、被処理物を調製する被処理物調製工程を含むことができる。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
土壌を含む被処理物を分級して、細粒分を得る分級工程と、
上記細粒分に対して無処理で、または粒状化もしくは塊状化のための処理を行なって、該細粒分の集合体である粒状物または塊状物を得る被焼成物調製工程と、
上記粒状物または塊状物を焼成して、焼成物を得る焼成工程と
を含むことを特徴とする焼成物の製造方法。
【請求項2】
上記被処理物が、汚染土壌、建設発生土および建設汚泥の中から選ばれる1つ以上を含む請求項1に記載の焼成物の製造方法。
【請求項3】
上記分級工程の前工程として、上記分級工程で得られる細粒分中の酸化カルシウムの含有率が15質量%以下となるように、上記被処理物を調製する被処理物調製工程を含む請求項1又は2に記載の焼成物の製造方法。
【請求項4】
上記分級工程において、細粒分中の75μm以下の粒子の含有率が50質量%以上となるように、分級を行なう請求項1〜3のいずれか1項に記載の焼成物の製造方法。
【請求項5】
上記分級工程における分級が、湿式分級である請求項1〜4のいずれか1項に記載の焼成物の製造方法。
【請求項6】
上記焼成工程において、600℃から1,000℃に達するまでの昇温時間が20分間以下であり、かつ、最高温度が1,100℃を超えるように、加熱温度を調整する請求項1〜5のいずれか1項に記載の焼成物の製造方法。
【請求項7】
上記焼成物の絶乾密度が1.5g/cm以下である請求項1〜6のいずれか1項に記載の焼成物の製造方法。
【請求項8】
土壌を含む被処理物を分級して得た細粒分の集合体である粒状物または塊状物を、焼成してなることを特徴とする焼成物。
【請求項9】
上記焼成物は、絶乾密度が1.5g/cm以下であり、軽量骨材または軽量土として用いるためのものである請求項8に記載の焼成物。
【発明の詳細な説明】【技術分野】
【0001】
本発明は、汚染土壌、建設発生土等の土壌を含む被処理物を原料として製造される、軽量骨材、軽量土等に用い得る焼成物、およびその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、ビル等のコンクリート構造物の高層化に伴なう、コンクリート構造物の重量の低減化の要求、および、輸送コスト等の削減の観点から、軽量骨材、軽量土が注目されている。
従来、このような軽量骨材、軽量土は、膨張性頁岩を原料として用い、粉砕、焼成等を行うことによって製造されていた。しかし、資源の枯渇に対する危機感が高まっており、原料である膨張性頁岩の一部を、廃棄物等の他の材料で代替した軽量骨材、軽量土の製造方法が提案されている。
例えば、粒径が75μm以下の膨張性頁岩に石炭灰を配合した原料を、造粒し、焼成した後、篩分けを行うことを特徴とする高強度人工骨材の製造方法が提案されている(特許文献1)。
また、膨張性頁岩を粉砕、篩分けして得られた粒径が3mm以下の頁岩と土木汚泥を含有する原料を、造粒し、焼成した後、篩分けを行う人工骨材の製造方法が提案されている(特許文献2)。
さらに、粒径が75μm以下の膨張性頁岩と下水道汚泥焼却灰を配合した原料を、造粒し、焼成した後、篩分けを行うことを特徴とする人工軽量骨材の製造方法が提案されている(特許文献3)。
【特許文献1】特開平11−263648号公報
【特許文献2】特開2000−53454号公報
【特許文献3】特開平11−263651号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
上記特許文献1〜3の技術によると、簡易な製造工程で人工軽量骨材を製造することができる。
しかし、膨張性頁岩の一部に代えて石炭灰等の廃棄物を用いるものであり、人工軽量骨材の軽量性の低下等を避けるために、全材料中の石炭灰等の廃棄物の使用割合は、特定の値以下に限定される。つまり、原料として膨張性頁岩を使用することは必須であり、資源の枯渇の問題を根本的に解決することはできない。
一方、工場跡地等で見つかる汚染土壌に対して、水洗処理による浄化方法を適用した場合、浄化済みの粗粒分が回収された後に、微粒分からなる脱水ケーキが残存する。この脱水ケーキは、有害物質を含み、かつ含水率が大きく、非常にハンドリング性の悪いものである。そのため、脱水ケーキの多くは、産業廃棄物として埋立処分されているのが現状である。
また、建設現場等で発生する建設発生土は、年間で数百万トンにも達し、その相当量が残土処分されている。
近年、汚染土壌の処理生成物や、建設発生土等の廃棄物を受け入れる埋立処分場の確保が困難になりつつあり、また、廃棄に必要な費用も高騰する傾向にあることから、汚染土壌、建設発生土等の土壌含有物の有効な再利用法の確立が求められている。
本発明は、上述の背景に鑑みて成されたものであって、従来埋立処分されていた汚染土壌、建設発生土等の土壌含有物を主な原料として製造される、軽量骨材、軽量土等に利用可能な焼成物およびその製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0004】
本発明者は、上記課題を解決するために鋭意検討した結果、土壌を含む被処理物(例えば、汚染土壌、建設発生土、建設汚泥等)を分級して細粒分を得た後、必要に応じて成形等を行なって、この細粒分の集合体である粒状物または塊状物を形成させ、次いで、この粒状物または塊状物を焼成することによって、軽量骨材、軽量土等に利用可能な焼成物を得ることができることを見出し、本発明を完成した。
【0005】
すなわち、本発明は、以下の[1]〜[9]を提供するものである。
[1] 土壌を含む被処理物を分級して、細粒分を得る分級工程と、上記細粒分に対して無処理で、または粒状化もしくは塊状化のための処理を行なって、該細粒分の集合体である粒状物または塊状物を得る被焼成物調製工程と、上記粒状物または塊状物を焼成して、焼成物を得る焼成工程とを含むことを特徴とする焼成物の製造方法。
[2] 上記被処理物が、汚染土壌、建設発生土および建設汚泥の中から選ばれる1つ以上を含む上記[1]に記載の焼成物の製造方法。
[3] 上記分級工程の前工程として、上記分級工程で得られる細粒分中の酸化カルシウムの含有率が15質量%以下となるように、上記被処理物を調製する被処理物調製工程を含む上記[1]または[2]に記載の焼成物の製造方法。
[4] 上記分級工程において、細粒分中の75μm以下の粒子の含有率が50質量%以上となるように、分級を行なう上記[1]〜[3]のいずれかに記載の焼成物の製造方法。
[5] 上記分級工程における分級が、湿式分級である上記[1]〜[4]のいずれかに記載の焼成物の製造方法。
[6] 上記焼成工程において、600℃から1,000℃に達するまでの昇温時間が20分間以下であり、かつ、最高温度が1,100℃を超えるように、加熱温度を調整する上記[1]〜[5]のいずれかに記載の焼成物の製造方法。
[7] 上記焼成物の絶乾密度が1.5g/cm以下である上記[1]〜[6]のいずれかに記載の焼成物の製造方法。
[8] 土壌を含む被処理物を分級して得た細粒分の集合体である粒状物または塊状物を、焼成してなることを特徴とする焼成物。
[9] 上記焼成物は、絶乾密度が1.5g/cm以下であり、軽量骨材または軽量土として用いるためのものである上記[8]に記載の焼成物。
【発明の効果】
【0006】
本発明の焼成物の製造方法によると、土壌を含む被処理物(例えば、汚染土壌、建設発生土、建設汚泥等)を分級して得られる細粒分を、この細粒分の集合体である粒状物または塊状物の形態で焼成するだけで、軽量骨材、軽量土等として用いることのできる、低い絶乾密度を有する焼成物を得ることができる。
なお、焼成条件等を調整することによって、焼成物の吸水率を、特定の値(例えば、15質量%)以下にすることもできる。
本発明の焼成物の製造方法によると、土壌を含む被処理物が有害物質を含む場合であっても、有害物質の含有量が環境基準以下である無害化された焼成物を得ることができる。
本発明の焼成物の製造方法は、工程の数が少なく、簡易な設備で低コストで実施することができるので、実用性が高い。
本発明の焼成物の製造方法によると、膨張性頁岩を全く使用せずに、汚染土壌、建設発生土等の本来埋立て処分されるべき廃棄物からなる原料のみを用いて、軽量骨材、軽量土等に利用可能な焼成物を得ることができるため、環境保全、省資源、廃棄物量の削減等を実現することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0007】
以下、本発明の焼成物の製造方法を詳細に説明する。
本発明の焼成物の製造方法は、土壌を含む被処理物を分級して、細粒分を得る分級工程と、上記細粒分に対して無処理で、または粒状化もしくは塊状化のための処理を行なって、該細粒分の集合体である粒状物または塊状物を得る被焼成物調製工程と、上記粒状物または塊状物を焼成して、焼成物を得る焼成工程を含むものである。
本発明の焼成物の製造方法は、分級工程の前工程として、分級工程で得られる細粒分中の酸化カルシウムの含有率が特定の値(例えば、15質量%)以下となるように、被処理物を調製する被処理物調製工程を含むことができる。
【0008】
[A.被処理物調製工程]
本発明において、土壌を含む被処理物としては、土壌を含むものであればよく、特に限定されないが、例えば、汚染土壌、建設発生土、建設汚泥等が挙げられる。
中でも、汚染土壌および建設発生土は、通常、酸化カルシウムの含有率が小さく、それゆえ、本発明の方法によって、軽量性に優れた焼成物を製造することができるので、好ましく用いられる。
一方、建設汚泥は、セメント、石灰等の酸化カルシウム含有物を高含有率で含むことがあり、この場合、単独で用いたのでは軽量な焼成物を製造し難いので、酸化カルシウムの含有率の小さい他の原料(例えば、汚染土壌、建設発生土等)と混合し、混合物全体として酸化カルシウムの含有率を低下させることが望ましい。
汚染土壌としては、工場等からの有害物質を含む排水の漏出により汚染された土壌や、有害物質を含む薬品で汚染された工場跡地の土壌等が挙げられる。
建設発生土としては、例えば、工事現場の掘削やダムの浚渫工事等で発生する土壌や、残土等が挙げられる。
建設汚泥としては、泥水式シールド工法等において、掘削面の崩壊の防止や掘削土の排土のために泥水を用いることによって生じる建設副産物としての汚泥等が挙げられる。
【0009】
土壌を含む被処理物中の固体分は、通常、土壌を主体とするものである。該固体分中の土壌の割合は、好ましくは80質量%以上、より好ましくは90質量%以上である。該固体分中の土壌以外の成分としては、建設作業時などに混入する金属片、木片、合成樹脂片、セメント、石灰等が挙げられる。なお、ここでの固体分は、大きな異物(寸法が30mmを超えるもの)を除外したものである。
本工程における被処理物の種類の選択および必要に応じて実施される2種以上の混合は、好ましくは、次工程の分級工程で得られる細粒分中の酸化カルシウムの含有率が小さくなるように行なわれる。具体的には、次工程の分級工程で得られる細粒分中の酸化カルシウムの含有率は、好ましくは15質量%以下、より好ましくは 10 質量%以下である。該含有率が15質量%を超えると、軽量性に優れた焼成物を得ることが困難になる。
【0010】
[B.分級工程]
本工程は、土壌を含む被処理物を分級して、細粒分を得る工程である。
分級の方法としては、湿式分級と乾式分級のいずれも用いることができるが、好ましくは湿式分級が用いられる。
湿式分級の利点としては、(a)乾式分級の装置よりも湿式分級の装置のほうが小型であるため、湿式分級を採用することにより、本発明の製造装置全体を小型化することができる、(b)乾式分級により得られる細粒分を、次工程で粒状化または塊状化する場合、水分を付与して成形する必要があるのに対し、湿式分級により得られる細粒分を、次工程で粒状化または塊状化する場合、水分が既に付与されているため、水分付与の操作が不要であり、粒状化または塊状化を容易に行なえる、等が挙げられる。
湿式分級の方法としては、例えば、液体サイクロン(例えば、水サイクロン)を用いる方法が挙げられる。
【0011】
液体サイクロンを用いた分級の一例としては、次の(1)〜(5)の手順からなる方法が挙げられる。
(1)ドラムスクラバーまたはプレスクリーンを用いて、土壌を含む被処理物から粗礫および異物(金属片等)を除去する。
(2)前記(1)で粗礫等を除去済みの被処理物に対して、高圧洗浄(振動篩)による処理を行なうか、または、スラリー化の後に湿式スクリーンを行ない、細礫および粗砂を除去する。
(3)液体サイクロン(水サイクロン)を用いて、前記(2)で細礫等を除去済みの被処理物を分級し、細砂と、シルトおよび粘土を含むスラリーとに分離する。
(4)前記(3)で得られた細砂に対して、浮遊選鉱および重力式分離を行ない、汚染物質を除去した細砂と、汚染物質を含む水とに分離する。
(5)前記(3)で得られたスラリーと、前記(4)で得られた汚染物質を含む水とを混合して、混合液を得た後、この混合液に対して、凝集沈澱および脱水を行ない、シルトと粘土とからなる脱水ケーキと、水とに分離する。
【0012】
前記(1)〜(5)の操作(以下、操作Aと略すことがある。)によって、土壌を含む被処理物は、(a)粗礫および異物、(b)細礫および粗砂、(c)細砂、(d)粘土とシルトとからなる脱水ケーキ、に分級される。
このうち、(a)〜(c)の礫(粗礫、細礫)および砂(粗砂、細砂)は、吸水率が低く、また、土壌を含む被処理物が有害物質で汚染されていたとしても、洗浄により有害物質が除去されているため、骨材、埋め戻し材等の土工資材としてリサイクルすることが容易である。
一方、(d)の「粘土とシルトとからなる脱水ケーキ」は、含水率が高く、非常にハンドリング性が悪いため、土工資材としてリサイクルすることが困難である。特に、土壌を含む被処理物が有害物質で汚染されている場合には、有害物質が、粘土とシルトとからなる脱水ケーキに濃縮されるため、脱水ケーキの処理は、非常に困難である。そこで、本発明では、粘土とシルトとからなる脱水ケーキを用いて、軽量骨材等として利用可能な焼成物を得ようとするものである。
【0013】
本発明において、分級によって得られる細粒分(例えば、前記の操作Aで得られる脱水ケーキを構成する粒子)中の粒径が75μm以下の粒子の割合は、好ましくは50質量%以上、より好ましくは75質量%以上、特に好ましくは90質量%以上である。該割合が50質量%未満では、焼成物の軽量性が損なわれるため好ましくない。
細粒分は、焼成物の軽量性の向上の観点から、酸化カルシウム(CaO)の含有率が低いことが望ましい。具体的には、細粒分中の酸化カルシウム(CaO)の含有率は、好ましくは15質量%以下である。
細粒分は、焼成物の軽量性の向上の観点から、酸化鉄(Fe)の含有率が大きいことが望ましい。具体的には、細粒分中の酸化鉄(Fe)の含有率は、好ましくは3質量%以上、より好ましくは5質量%以上である。
細粒分は、焼成物の軽量性の向上の観点から、強熱減量(Ig.loss)が大きいことが望ましい。具体的には、細粒分の強熱減量は、好ましくは5質量%以上、より好ましくは7質量%以上、特に好ましくは9質量%以上である。
強熱減量の値は、JIS A 1226(土の強熱減量試験法)に定める方法によって得ることができる。
なお、強熱減量は、被測定物中の腐葉土等の有機物の量(還元剤としての炭素の量)の大きさを示すものである。
【0014】
上述の細粒分中の75μm以下の粒子の割合、細粒分中の酸化カルシウムの含有率、細粒分中の酸化鉄の含有率、および、細粒分の強熱減量は、各々、分級工程の前工程である被処理物調製工程において、土壌を含む被処理物の種類の選択、土壌を含む被処理物の2種以上の混合、または、他の材料の添加等によって調整することができる。
細粒分中の酸化鉄の含有率を増大させるために添加される他の材料の例としては、ベンガラ等が挙げられる。
細粒分中の強熱減量を増大させるために添加される他の材料の例としては、プラスチック、コークス、石炭、腐葉土等の可燃物が挙げられる。
分級工程において湿式分級を行なうと、分級前の被処理物よりも、分級して得られる細粒分のほうが、酸化鉄(Fe)の含有率および強熱減量が大きくなり、その分、焼成物の軽量性が向上するので、好ましい。
【0015】
汚染土壌を上述の操作A(上述の(1)〜(5)の手順)で処理して得られた脱水ケーキの成分組成の例(A〜C)を表1に示す。表1中、水分の含有率および強熱減量(Ig.loss)の数値は、脱水ケーキ中の質量割合(質量%)を示す。水分以外の各成分(酸化物)の数値は、固体分中の各成分の含有量(質量部)を示す。
表1から、土壌を湿式分級して得られる脱水ケーキは、一般的な土壌と比べて、次の特徴を有することがわかる。
(i)シルト、粘土質分が多いため、水分含有率が高い。
(ii)腐葉土等の有機物の含有量が大きいため、強熱減量(Ig.loss)が大きい。
【表1】


【0016】
[C.被焼成物調製工程]
本工程は、分級工程で得られた細粒分に対して無処理で、または粒状化もしくは塊状化のための処理を行なって、該細粒分の集合体である粒状物または塊状物を得る工程である。
本工程において得られる粒状物または塊状物の粒度は、好ましくは0.5mm以上、より好ましくは1mm以上、特に好ましくは2mm以上である。該粒度が0.5mm未満では、後述の焼成工程において得られる焼成物に軽量性を付与することが困難になる。該粒度の上限値は、特に限定されないが、粒度が大きいと焼成物の用途が狭くなることから、好ましくは50mm以下、より好ましくは40mm以下である。
なお、本明細書中において、「粒度」とは、1つの粒状物または塊状物における最大寸法(例えば、断面が楕円状である粒状物においては、長径寸法)をいう。
本工程において、次工程で得られる焼成物の用途(例えば、軽量骨材)に応じて、適宜の成形手段を用いて、粒状物または塊状物の粒度を特定の数値内(例えば、2〜5mm)に調整することもできる。
【0017】
分級工程で得られた細粒分から、粒状物または塊状物を形成させるための方法としては、例えば、次の(a)、(b)の方法が挙げられる。
(a)無処理で粒状物または塊状物を得る方法
分級工程で得られた細粒分からなる脱水ケーキが、本工程の粒状物または塊状物として用い得る大きさを有する場合、この脱水ケーキは、無処理のまま、次工程の焼成工程で焼成することができる。
この方法を採用するには、例えば、脱水ケーキを得るための分級装置(例えば、液体サイクロン)として、脱水ケーキが、適宜の大きさの粒状物または塊状物として形成されるように設計されたものを使用すればよい。
(b)処理を行なって粒状物または塊状物を得る方法
処理方法の例としては、(i)分級工程で得られた細粒分からなる脱水ケーキを破砕した後、分級する方法や、(ii)分級工程で得られた細粒分からなる脱水ケーキを粉砕して混練した後、得られた混練物を成形手段を用いて粒状物または塊状物に成形する方法、等が挙げられる。
【0018】
これらの中でも、(ii)の方法は、脱水ケーキの成分組成の変動が大きいために(i)の方法を用いたのでは安定した品質を確保することが困難な場合に、好ましく用いられる。
(ii)の方法で用いられる成形手段の例としては、転動式、圧縮成型方式、押し出し成型方式のいずれの方式でもよく、また、連続式とバッチ式のいずれでもよい。具体的には、パンペレタイザー、押し出し成型機、ブリケット成型機等が挙げられる。
粒状物または塊状物は、水分を含む状態で次工程の焼成工程にて焼成してもよいし、あるいは、焼成工程の前に、水分を除去するための乾燥処理を行なってもよい。
乾燥処理は、次工程の焼成工程において水蒸気爆裂の可能性がある場合に、行なうことが望ましい。
【0019】
[D.焼成工程]
本工程は、被焼成物調製工程で得られた被焼成物(粒状物または塊状物)を焼成して、焼成物を得る工程である。
焼成時における600℃から1,000℃に達するまでの昇温時間は、被焼成物の成分組成によっても異なるが、焼成物の軽量性を向上させる観点から、好ましくは20分間以下、より好ましくは15分間以下である。なお、該昇温時間を短縮化することによって、同一の軽量性を確保するのに必要な焼成時の最高温度を低下させることができ、燃料コストの削減等を図ることができる。
本発明において、1,000℃以上の温度域を有する焼成炉内に被焼成物を直接投入して、焼成を行なうこともできる。この場合、600℃から1,000℃に達するまでの昇温時間は、0分間である。
また、焼成時における最高温度は、被焼成物の成分組成によっても異なるが、焼成物の軽量性を向上させる観点から、好ましくは1,100℃を超えるものであり、より好ましくは1,150℃以上である。
【0020】
焼成時における最高温度の上限値は、被焼成物が溶融しないものであればよく、被焼成物の成分組成によっても異なるが、好ましくは1,450℃以下、より好ましくは1,400℃以下である。なお、被焼成物が溶融した場合、焼成物の形状が崩れたり、焼成物同士が融着したり、焼成装置の壁面への焼成物の付着により安定した操業が困難になるなどの問題が生じ得るため、好ましくない。
最高温度域の保持時間は、焼成物の軽量性を向上させる観点から、好ましくは3分間以上、より好ましくは5分間以上である。該保持時間の上限値は、特に限定されないが、製造効率等の観点から、好ましくは60分間以下、より好ましくは30分間以下である。
なお、本明細書において、最高温度域とは、最高温度(例えば、1,180℃)と、該最高温度よりも30℃低い温度の間の温度領域を意味する。
焼成時の最高温度、および最高温度域の保持時間を調整することによって、焼成物の用途に応じた所望の軽量性および吸水率を確保することができる。
【0021】
焼成手段(焼成装置)としては、上述の温度条件で加熱を行うことができるものであればよく、特に限定されないが、例えば、ロータリーキルン、シャフトキルン、電気炉、伝熱炉等が挙げられる。焼成手段としては、連続式と不連続式のいずれも用いることができる。
【0022】
本工程で得られる焼成物の絶乾密度は、軽量骨材、軽量土等の軽量資材における軽量性の観点から、好ましくは1.5g/cm以下、より好ましくは1.4g/cm以下、特に好ましくは1.3g/cm以下である。ただし、単なる骨材や埋め戻し材等として焼成物を用いる場合は、絶乾密度が1.5g/cmを超えても差し支えない。
焼成物の吸水率は、好ましくは20質量%以下、好ましくは15質量%以下である。吸水率が20質量%を超えると、軽量骨材、軽量土等の用途に不適である。
焼成物の絶乾密度および吸水率は、JIS A 1135(構造用軽量粗骨材の密度及び吸水率試験方法)による測定値である。
本発明で得られる焼成物は、軽量性および低吸水性に優れるため、コンクリート等の軽量骨材や、盛土、屋上緑化等のための軽量土などの用途に好適に用いられる。
【実施例】
【0023】
以下、本発明を実施例により具体的に説明するが、本発明はこれら実施例に限定されるものではない。
[実施例1、比較例1]
建設発生土Aに水を加えてスラリー化した後、該スラリーを目開き2mmの篩に通した。篩通過分を水とともに水サイクロンに投入し、砂と、細粒分を含む水洗残渣aとに分級した。建設発生土Aおよび水洗残渣aの各々の成分組成等を表2に示す。
表2に示すとおり、水洗残渣aは、建設発生土Aと比べて、強熱減量(Ig.loss)および酸化鉄(Fe)含有率の値が増大し、かつ、75μm通過分の割合(粒径75μm以下の粒子の質量割合)が増大している。
【表2】


【0024】
次に、水洗残渣a(実施例1)および建設発生土A(比較例1)の各々について、乾燥処理を行なった後、適量の水を加えて造粒し、次いで乾燥させ、粒径0.5〜1.0mm程度の球形の造粒物を得た。この造粒物を、炉内を600℃の温度に保持した電気炉内に投入し、次いで15分間で最高温度(図1に示す変数)まで昇温し、最高温度に20分間保持した後、10分間で800℃まで降温させた。
得られた焼成物の絶乾密度を図1に示す。図1から、実施例1では、比較例1と比べて、最高温度が低くても、絶乾密度が1.5g/cm以下である焼成物を得ていることがわかる。なお、実施例1で得られた焼成物の吸水率は、いずれも15質量%以下であった。
【0025】
[実施例2]
建設発生土Bに、水を加えて攪拌機で解砕しスラリー化した後、目開き75μmの篩に通して分級することにより、篩通過分である水洗残渣b(実施例2)を得た。水洗残渣bの成分組成等を表3に示す。
【表3】


【0026】
水洗残渣bに吸引ろ過を行って脱水ケーキとし、次いで、乾燥することにより固形物を得た。該固形物を、厚さ5mm、幅10mm、長さ10mm程度に解砕して解砕物を得た後、この解砕物の焼成を行なった。焼成は、解砕物を、炉内の温度が1,000℃の電気炉内に投入し、次いで12分間で最高温度(図2に示す変数)まで昇温し、最高温度に2分間保持(最高温度域の保持時間:5〜10分間)した後、10分間で800℃まで降温することにより行った。
得られた焼成物の絶乾密度を図2に示す。図2から、最高温度を高くすれば、焼成物を溶融させる前に、絶乾密度が1.5g/cm以下の焼成物が得られることがわかる。なお、実施例2で得られた焼成物の吸水率は、いずれも15質量%以下であった。
【0027】
[実施例3、4]
鉛およびクロムを含む建設発生土を、土壌洗浄装置を用いて処理し、表4に示す成分組成等を有する水洗残渣c(脱水ケーキ)を得た。次いで、この脱水ケーキを乾燥し、ハンマーで破砕した後、目開き0.6mmの篩を用いて微粒分を除去した。微粒分を除去した後の破砕物の粒度は、0.6mm〜20mmであった。
【表4】


【0028】
この破砕物を、焼成条件を変化させて電気炉を用いて焼成した。得られた焼成物について、絶乾密度を測定した。結果を表5に示す。なお、実施例3、4で得られた焼成物の吸水率は、いずれも15質量%以下であった。
【表5】


【0029】
[実施例5、6]
実施例3、4で用いたものと同じ破砕物を用い、焼成装置としてロータリーキルン(炉の内径:36cm、炉の長さ:320cm、原料の供給量:10kg/h)を用いて、焼成を行なった。実施例5、6ともに、破砕物を投入する際の温度(ロータリーキルンの端部の温度)は720℃であり、加熱最高温度は、1,170℃(実施例5)、1,120℃(実施例6)、最高温度域の保持時間は、7分間(実施例5)、7分間(実施例6)であった。破砕物をロータリーキルンに投入してから排出するまでの時間は、30分間であった。なお、720℃から1,000℃に達するまでの昇温時間は、10分間程度であった。
得られた焼成物について、絶乾密度、吸水率、圧壊強度を測定した。圧壊強度の測定は、JIS Z 8841(造粒物−強度試験方法)に準拠して行なった。また、焼成物中の鉛、クロム(全クロム、六価クロム)の含有量、溶出量についても測定を行った。
結果を表6に示す。表6から、ロータリーキルンを用いた場合でも、十分な軽量性を有する焼成物が得られることがわかる。また、吸水率、圧壊強度、有害物質の量のすべてについて、目的とする基準を満たしていた。
【0030】
【表6】


【図面の簡単な説明】
【0031】
【図1】実施例1および比較例1における焼成時の最高温度と焼成物の絶乾密度の関係を示すグラフである。
【図2】実施例2における焼成時の最高温度と焼成物の絶乾密度の関係を示すグラフである。
【出願人】 【識別番号】000000240
【氏名又は名称】太平洋セメント株式会社
【出願日】 平成18年11月24日(2006.11.24)
【代理人】 【識別番号】100103539
【弁理士】
【氏名又は名称】衡田 直行

【識別番号】100111202
【弁理士】
【氏名又は名称】北村 周彦


【公開番号】 特開2008−126185(P2008−126185A)
【公開日】 平成20年6月5日(2008.6.5)
【出願番号】 特願2006−316450(P2006−316450)