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【発明の名称】 汚染物の処理方法
【発明者】 【氏名】稲葉 力

【氏名】石渡 寛之

【氏名】万代 智也

【氏名】百代 淳一

【氏名】前田 定範

【氏名】篠原 淳一

【要約】 【課題】重金属自体を分離除去し、確実に難分解性有機化合物と重金属とを低減させることができる方法を提供する。

【解決手段】本発明の方法は、汚染物を中空の容器11に投入する工程と、容器11に周設される加熱手段15により汚染物を間接加熱しつつ撹拌手段14により汚染物を撹拌して、ガス化した難分解性有機化合物中に土粒子を飛散させ、飛散した土粒子をガス化した難分解性有機化合物とともに容器11から排出する工程とを含む。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
難分解性有機化合物および重金属を含む汚染物を浄化するための該汚染物の処理方法であって、
前記汚染物を中空の容器に投入する工程と、
前記容器に周設される加熱手段により前記汚染物を間接加熱しつつ撹拌手段により該汚染物を撹拌して、ガス化した前記難分解性有機化合物中に土粒子を飛散させ、飛散した前記土粒子を前記ガス化した難分解性有機化合物とともに前記容器から排出する工程とを含む、汚染物の処理方法。
【請求項2】
前記飛散した土粒子を排出する工程後、前記容器から土壌を取り出し、前記土壌を分級する工程を含む、請求項1に記載の汚染物の処理方法。
【請求項3】
前記汚染物に鉄粉を添加する工程と、前記鉄粉が添加された前記汚染物を撹拌混合して、前記汚染物中の前記重金属を不溶化する工程とをさらに含む、請求項1に記載の汚染物の処理方法。
【請求項4】
前記容器から排出される前記ガス化した難分解性有機化合物および蒸気を加熱して反応させ、前記難分解性有機化合物を分解する工程と、前記難分解性有機化合物を分解することにより生成される分解ガスと前記飛散した土粒子とを冷却水またはアルカリ水溶液中に通して冷却する工程と、前記冷却水またはアルカリ水溶液をろ過する工程とをさらに含む、請求項1〜3のいずれか1項に記載の汚染物の処理方法。
【発明の詳細な説明】【技術分野】
【0001】
本発明は、土壌中に含まれる難分解性有機化合物および重金属を、その土壌から分離除去し、土壌を浄化する方法に関する。
【背景技術】
【0002】
複合汚染土壌には、人体に影響を与える難分解性の有機化合物や重金属等が含まれており、これらは環境汚染物質として問題となっている。
【0003】
難分解性の有機化合物は、水に溶けにくく、自然には分解しにくい有機化合物であり、この難分解性の有機化合物としては、毒性の強いダイオキシン類がある。ダイオキシン類は、ポリ塩化ジベンゾパラジオキシン(PCDD)、ポリ塩化ジベンゾフラン(PCDF)、コプラナーポリ塩化ビフェニール(コプラナPCB)を総称したもので、除草剤の分解によって生成し、また、ごみ焼却灰、製紙の汚泥、自動車の排気ガス等に含まれている。このダイオキシン類は、油脂類には溶け、約800℃以上の高温での完全燃焼により分解可能であるという特徴を有する。
【0004】
重金属には、金、白金、銀、鉄、鉛、銅、クロム、カドミウム、水銀、亜鉛、砒素、マンガン、コバルト、ニッケル、モリブデン、タングステン、錫、ビスマス等がある。重金属は、生物に対し毒性が強いものが多く、鉱山、工場、産業廃棄物等から排出され、水源や土壌等に濃縮し、公害の原因となっている。
【0005】
汚染物質には、これらの難分解性の有機化合物や重金属のほか、シアン、ポリ塩化ビフェニール(PCB)、有機燐、チウラム、シマジン、チオベンカルブ、セレン、ほう素、フッ素、ジクロロメタンや四塩化炭素等の揮発性有機化合物(VOC)がある。
【0006】
これら汚染物質には、人の健康を保護し、生活環境を保全する上で維持されることが望ましいとされる環境基準が設けられており、環境基準値以下になるように汚染物質を除去する等の処置が講じられる。土壌1kgあたりの含有量基準でいえば、カドミウム、鉛、砒素であれば150mg以下、六価クロムであれば250mg以下、水銀であれば15mg以下、フッ素およびほう素であれば4000mg以下である。ダイオキシン類は、土壌1gに対し、1000pg−TEQ以下である。
【0007】
複合汚染土壌中のこれらの汚染物質を、環境基準値以下まで除去し、土壌を浄化するため、各種装置および方法が提案されている(例えば、特許文献1〜3参照)。これらは、ダイオキシン類等の難分解性有機化合物を加熱してガス化し、また、空気を噴射して揮発性有機化合物をエアスパージングして、汚染土壌から分離除去するとともに、鉄粉、シラノール塩、シロキサン等を添加し、重金属を不溶化等して無害化するものである。また、重金属においては、回転ドラム等を使用し、水洗およびスクラッピングして、土粒子から剥離させたり、水へ溶解させたりして分離除去している。
【特許文献1】特開2000−157961号公報
【特許文献2】特開2002−254061号公報
【特許文献3】特開2004−081972号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
上記装置および方法は、重金属を不溶化等するのみで、その重金属自体を除去するものではない。すなわち、六価クロムであれば、無害の三価クロムに還元し、鉛であれば、水に不溶な金属鉛に還元し、砒素であれば、難溶性の砒酸鉄にするものである。したがって、何らかの要因で酸化されると、再び六価クロムや鉛イオン等に戻るという問題がある。
【0009】
また、重金属が付着した汚染土壌を、水洗やスクラッピングにより除去することができるが、鉛について言えば、処理前と処理後では半分程度までしか除去することができない。このため、初期濃度によっては環境基準値を満足する結果を得ることができない場合がある。
【0010】
そこで、重金属自体を除去し、確実に難分解性有機化合物と重金属とを低減させることができる方法の提供が望まれている。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明者らは、鋭意検討の結果、電気ヒータと汚染物を受入口から排出口まで移動させるスクリューとを備えるガス化装置を用い、加熱および撹拌することで、土壌中の水分の蒸発および難分解性有機化合物のガス化に伴い、土粒子のうち微細な土粒子が飛散し、この土粒子が蒸気およびガス化した難分解性有機化合物とともに排出されることを見出した。本発明は、この排出された土粒子に重金属が付着しているものが含まれており、これにより、汚染物から難分解性有機化合物とともに重金属自体を分離除去することができることを見出すことによりなされたものであり、上記課題は本発明の汚染物の処理方法を提供することにより解決される。
【0012】
すなわち、本発明によれば、汚染物を中空の容器に投入する工程と、その容器に周設される加熱手段により汚染物を間接加熱しつつ撹拌手段により汚染物を撹拌して、ガス化した難分解性有機化合物中に土粒子を飛散させ、飛散した土粒子をガス化した難分解性有機化合物とともに容器から排出する工程とを含む、汚染物の処理方法が提供される。
【0013】
飛散した土粒子を排出する工程後、容器から土壌を取り出し、土壌を分級する工程を含むことができる。ふるい等で分級し、所定粒径以下の微粒子を再度投入し、それを飛散させることで、土壌中の重金属濃度をさらに低減させることができる。
【0014】
汚染物に鉄粉を添加する工程と、鉄粉が添加された汚染物を撹拌混合して、汚染物中の重金属を不溶化する工程とをさらに含むことができる。
【0015】
容器から排出されるガス化した難分解性有機化合物および蒸気を加熱して反応させ、難分解性有機化合物を分解する工程と、難分解性有機化合物を分解することにより生成される分解ガスと飛散した土粒子とを冷却水またはアルカリ水溶液中に通して冷却する工程と、冷却水またはアルカリ水溶液をろ過する工程とをさらに含むことができる。これにより、難分解性有機化合物を分解し、冷却水またはアルカリ水溶液中に通して分解ガスの一部を溶解させ、冷却水またはアルカリ水溶液中に重金属を回収する。
【発明の効果】
【0016】
本発明の汚染物の処理方法を提供することで、重金属自体を分離除去し、確実に難分解性有機化合物と重金属とを低減させることができる。また、撹拌および加熱により、土粒子間に介在するVOCも同時に分離除去することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
複合汚染土壌は、ダイオキシン類等の難分解性化合物、鉛や水銀等の重金属、ジクロロメタンや四塩化炭素等のVOCといった複数の汚染物質で汚染された土壌である。難分解性有機化合物や重金属により汚染されたものには、この複合汚染土壌のほか、港湾における底泥等もあり、本発明は、これらの汚染物を除去するのに適した方法である。
【0018】
1つの実施形態として、図1に示す処理装置を用いた場合の汚染物の処理方法について説明する。まず、図1に示す処理装置10を説明する。この処理装置10は、汚染物を収容する中空の容器11と、その容器11内に回転可能に支持される回転軸12と、回転軸12に周設される螺旋状羽根13とを備え、汚染物を撹拌しつつ汚染物を一方向に移動させる撹拌手段14と、その容器11に周設され、汚染物を間接加熱する加熱手段15とを備えている。
【0019】
中空の容器11は、中空円筒状に形成した胴板と、両端部を閉鎖するために接合される、内圧を均等に受けることができる半楕円形の鏡板と、汚染物を受け入れるための土壌受入ノズル16と、土壌を排出するための土壌排出ノズル17と、ガス排出ノズル18とから構成されている。この容器11は、その長さ方向が、地面に対して水平方向になるように設置され、土壌受入ノズル16が、一方の端部に近隣した位置に上向きに、土壌排出ノズル17が、他方の端部に近隣した位置に下向きに、ガス排出ノズル18が、他方の端部に近隣した位置に上向きにそれぞれ設けられている。この容器11は、内部に収容される汚染物に間接的に熱を与えるため、高い熱伝導率を有し、また、汚染物を約300℃〜600℃に加熱するため、この温度に耐えうる材料でなければならない。このことから、クロム−モリブデン鋼、ステンレス鋼、銅、アルミニウム、銅−アルミニウム合金等から製造されている。
【0020】
撹拌手段14は、容器11内の中央で、その長さ方向に延びるように回転軸12が回転可能に支持され、その回転軸12に螺旋状羽根13が周設されたスクリューとされている。このスクリューは、一方向に回転することにより、土壌受入ノズル16に投入された汚染物を、土壌排出ノズル17に向けて移動させる。この回転は、回転軸12に連結されるモータによって行われる。螺旋状羽根13を備える撹拌手段14は、このような土壌の移動とともに、土壌を撹拌し、凝集して塊になった土粒子をばらばらにし、微細な土粒子を飛散させる。
【0021】
加熱手段15は、抵抗発熱体を備える電気ヒータとされている。この抵抗発熱体としては、鉄−クロム−アルミニウム金属発熱体、ニッケル−クロム金属発熱体、白金−モリブデン−タンタル−タングステン金属発熱体、炭化珪素−シリサイト非金属発熱体、炭化珪素−カーボン非金属発熱体、モリブデン−シリサイト非金属発熱体、モリブデン−カーボン非金属発熱体等とされている。加熱手段15は、容器11内部に収容される汚染物を加熱するため、容器11の外周に巻き付け、これにより周設されている。この加熱手段15は、容器11の壁面を通して間接的に内部の汚染物を加熱する。各発熱体によって発生した熱を効率的に内部の汚染物に与えるため、容器11に周設された加熱手段15の周囲は断熱材等により被覆されている。
【0022】
ここで、図1に示す処理装置を用いた場合の汚染物の処理方法を説明する。汚染物を、ホッパー等を使用して容器11内に投入する。その他、フィーダ等の供給手段を用いて供給することもできる。加熱手段15により間接加熱しつつ、撹拌手段14により汚染物を撹拌する。これにより、容器11内では、凝集する土粒子がばらばらにされ、熱は容器11の内壁から土粒子、その土粒子から各土粒子間に介在する難分解性有機化合物や水分へと伝えられ、難分解性有機化合物は沸点が低い順にガス化していき、水分は蒸発し、さらに加熱されて過熱蒸気となる。微細な土粒子は、軽量であるため、撹拌によって舞い上がり、ガス化した難分解性有機化合物および過熱蒸気中に飛散する。この飛散した土粒子は、連続してガス化される難分解性有機化合物や過熱蒸気によって、また、連続して行われる撹拌によって、浮遊した状態となり、難分解性有機化合物や過熱蒸気とともにガス排出ノズル18から排出される。重金属は、土粒子に付着しており、撹拌等によっては土粒子から剥離しないものの、土粒子の飛散によって土粒子ごと分離されるため、土壌から重金属自体を除去することができる。この汚染物にVOCが含まれる場合、VOCも難分解性有機化合物等とともにガス排出ノズル18から排出される。
【0023】
容器11内では、ガス化した難分解性有機化合物、過熱蒸気、飛散した土粒子と、これらが除去された土壌とに分離され、この土壌は、容器11の土壌排出ノズル17に接続される土壌収容容器19へ送られ、冷却される。土壌収容容器19は、容器11から排出される土壌に混入する難分解性有機化合物や土粒子が大気中に放出されないように、例えば、取出口を備える二重構造の密閉容器とされ、内側容器に土壌を収容し、その外側に冷却水を循環することにより冷却することができ、処理終了後に、その取出口から冷却された土壌を取り出すことができる。また、土壌に水を噴霧することができる噴霧装置を備え、土壌に直接、水を噴霧することにより冷却することもできる。水を噴霧した場合、蒸気が生成されるが、この蒸気は、加熱手段15の負荷を軽減するために、例えば、汚染物の予備加熱等に使用することができる。土壌収容容器19内の土壌は、大部分が土質成分で、難分解性有機化合物が環境基準値以下であり、重金属濃度が環境基準値以下であれば埋め戻し用の土壌等として再利用することができる。
【0024】
このように、ガス化した難分解性有機化合物とともに、重金属が付着した土粒子を含む微細な土粒子を飛散させ、排出することにより、汚染物から、難分解性有機化合物に加え、土粒子に付着した状態ではあるが、重金属を分離除去することができる。なお、粒径の大きい土粒子は、撹拌等によって舞い上がったとしても、すぐに土壌に沈降するため、大部分は土壌中に残留する。
【0025】
回転軸12を一方向に回転させ、汚染物を土壌受入ノズル16から土壌排出ノズル17へと移動させるのみに限られるものではなく、回転軸12を逆回転させ、加熱手段15により加熱し、撹拌手段14により撹拌しつつ、土壌排出ノズル17から土壌受入ノズル16へと土壌を移動させ、再度、逆回転させて、土壌受入ノズル16から土壌排出ノズル17へと移動させる操作を繰り返すことができる。これにより、より多くの微細な土粒子を飛散させ、より多くの重金属を除去することができる。
【0026】
ここで、重金属の1つである鉛についてこの処理を行うと、その処理前後で、汚染物1kgに含まれる鉛が300mgから150mg以下に減少した。飛散させることができる微細な土粒子のみを排出することで、残った土壌中の鉛の含有量を1/2以下にすることができることから、多くの鉛は、微細な土粒子に付着していると考えられる。このため、処理後の土壌から微細な土粒子を選別し、その微細な土粒子を再投入することで、鉛の含有量をさらに低減させることができる。
【0027】
このことから、重金属を一度分離除去した後の土壌を、ふるい等の分級装置によって分級し、分級した後の土壌を再度、土壌受入ノズル16から汚染物とともに投入し、処理することができる。この分級装置は、粒径の大きな土粒子に比較して、より多くの重金属が付着する飛散しやすい微細な土粒子を選別するものである。分級装置として用いることができるふるいとしては、例えば、メッシュサイズが約1mmのものを使用することができ、粒径が1mm以下のものと、それを超えるものとに選別することができる。この場合、粒径が大きい土粒子は、粒径が1mmを超えるものを意味し、微細な土粒子は、粒径が1mm以下のものを意味する。分級装置は、ふるいを揺動させるため、揺動装置を備えることができる。
【0028】
また、容器11に投入する際、汚染物に鉄粉を添加することができる。鉄粉は、強い還元力を持ち、汚染物に含まれる重金属を還元し、不溶化する。還元により、例えば、鉛イオンは水に不溶な金属鉛となり、六価クロムは無害な三価クロムとなる。また、砒酸は、鉄と反応し、砒酸鉄となる。これらの反応は、汚染物を約300℃〜600℃に加熱し、難分解性有機化合物をガス化させ、微細な土粒子を飛散させる間に、並行して起こる。汚染物にVOCが含まれる場合、この鉄粉による還元作用により、VOCは、二酸化炭素や塩素等に分解され、ガス化した難分解性有機化合物等とともにガス排出ノズル18から排出される。不溶化剤としては、この鉄粉に限られるものではなく、硫酸第一鉄、硫化ナトリウム等を用いることもできる。
【0029】
別の実施形態として、図2に示す処理装置を用いた場合の処理方法を説明する。図2に示す処理装置は、第1ガス化装置20と第2ガス化装置30の2つのガス化装置から構成されている。第1ガス化装置20は、汚染物を収容する中空容器21と、その中空容器21内に回転可能に支持される回転軸22と、回転軸22に周設される螺旋状羽根23とを備え、汚染物を撹拌しつつ汚染物を一方向に移動させる撹拌手段24と、中空容器21に周設され、汚染物を間接加熱する加熱手段25とを備えている。
【0030】
また、第2ガス化装置30は、第1ガス化装置20から排出される汚染物を受け入れる中空容器31と、中空容器31内に回転可能に支持される回転軸32と、回転軸32に周設される螺旋状羽根33とを備え、汚染物を撹拌しつつ汚染物を一方向に移動させる撹拌手段34と、中空容器31に周設され、汚染物を間接加熱する加熱手段35とを備えている。
【0031】
第1ガス化装置20の中空容器21には、汚染物を受け入れる土壌受入ノズル26と、汚染物を排出する土壌排出ノズル27と、蒸気を排出する蒸気排出ノズル28とが設けられている。第2ガス化装置30の中空容器31には、第1ガス化装置20からの汚染物を受け入れる土壌受入ノズル36と、土壌を排出する土壌排出ノズル37と、ガスを排出するガス排出ノズル38とが設けられている。中空容器21、31は図1に示す容器11と、撹拌手段24、34は図1に示す撹拌手段14と、加熱手段25、35は図1に示す加熱手段15と同様のものとされる。
【0032】
第1ガス化装置20は、土壌受入ノズル26から汚染物を受け入れ、加熱および撹拌して、土壌中の水分を蒸発させ、蒸気を蒸気排出ノズル28から排出させる。この第1ガス化装置20は、第2ガス化装置30が備える加熱手段35の負荷を軽減させ、加熱手段35が電気ヒータである場合には消費電力を低減させるために設けられる。加熱手段25による加熱温度は、汚染物中の水分が蒸発する温度(100℃)以上であればいかなる温度であってもよいが、熱損失等を考慮すると、約150℃以上であることが好ましい。なお、汚染物にVOCが含まれる場合、蒸気とともにVOCも蒸気排出ノズル28から排出される。
【0033】
第2ガス化装置30は、第1ガス化装置20により水分が除去された汚染物を、土壌受入ノズル36から受け入れ、加熱および撹拌して、難分解性有機化合物をガス化し、微細な土粒子を飛散させ、ガス排出ノズル38から排出させる。
【0034】
鉄粉が添加された汚染物の場合、第2ガス化装置30において、難分解性有機化合物をガス化させ、微細な土粒子を飛散させる間に、汚染物中の重金属は不溶化される。なお、汚染物にVOCが含まれる場合、第1ガス化装置20において、鉄粉による還元作用によりVOCは分解される。
【0035】
第2ガス化装置30の土壌排出ノズル37に、土壌収容容器39が接続され、土壌収容容器39において土壌が冷却される。この土壌は、難分解性有機化合物が環境基準値以下で、大部分が土質成分であり、重金属が不溶化されているため、埋め戻し用の土壌等として再利用することができる。
【0036】
さらに別の実施形態として、図3に示す処理装置を用いた場合の処理方法を説明する。図3に示す処理装置は、図1に示す装置に、さらに、反応装置40と、冷却装置41と、ろ過装置42とを備えた構成とされている。これら反応装置40、冷却装置41、ろ過装置42は、図2に示す装置に加えて構成することもできる。ここでは、反応装置40、冷却装置41、ろ過装置42について説明する。
【0037】
反応装置40は、内部を通過するガスの温度を約900℃〜1000℃に加熱する加熱手段を備え、加熱された空気を供給するための空気供給ノズルを備えている。反応装置40では、ガス排出ノズル18から排出されるガス化した難分解性有機化合物、過熱蒸気、飛散した土粒子を約900℃〜1000℃に加熱し、難分解性有機化合物を過熱蒸気と反応させる。ここでは、難分解性有機化合物がもつベンゼン環が過熱蒸気によって断ち切られ、一酸化炭素、水素、塩化水素等の低分子に分解される。また、供給される空気によって、一酸化炭素は二酸化炭素へ、水素は蒸気へ転換される。なお、空気は、導線を巻いた円筒管から構成される電磁誘導加熱装置に通すことにより所定温度に加熱することができる。
【0038】
汚染物を100kg/Hrで処理する場合において、その汚染物の含水率が10%で、炭素量が汚染物の乾燥重量の1%とした場合、計算上、反応に必要とされる過熱蒸気量はその炭素のモル量と同等である。一般に、ダイオキシン類等の含有量は微量のため、上記の炭素のモル量から計算される蒸気量で充分である。すなわち、汚染物の乾燥重量は90kg/Hrで、そのうちの1%が炭素量であることから、蒸気量は75mol/Hrと計算される。理論上では、炭素量とほぼ同等のモル量の過熱蒸気があれば反応させることができるが、この過熱蒸気に土壌温度を上昇させる機能を持たせているため、炭素量の2倍〜5倍が必要である。したがって、必要な蒸気量は150mol/Hr〜375mol/Hr、すなわち約3kg/Hr〜7kg/Hrとなる。第1ガス化装置20では、含水率が10%であることから、約10kg/Hrの過熱蒸気が発生する。このことから、この条件では、汚染物の加熱により発生する蒸気によってまかなうことができる。条件が変わり、不足する場合には別途、ボイラや、導線を巻いた円筒管から構成される電磁誘導加熱装置等を設け、ボイラや電磁誘導加熱装置等により発生した蒸気を反応装置40に送る。なお、図2に示す処理装置を用いる場合、第1ガス化装置20の蒸気排出ノズル28から蒸気が排出されるため、その蒸気を回収し、上記ボイラや電磁誘導加熱装置等により約900℃〜1000℃に加熱し、反応に必要な流量(上記の例で言えば、約3kg/Hr〜7kg/Hr)に調整した後、反応装置40へ送ることができる。
【0039】
冷却装置41は、冷却水またはアルカリ水溶液が収容され、密閉された容器と、反応装置40を出る高温の上記反応により生成される分解ガスと飛散した土粒子とを、冷却水またはアルカリ水溶液中に受け入れ、ガス成分をバブリングさせるための供給管と、容器内のガスのみを排出する排出管とを備えている。
【0040】
分解ガスおよび飛散した土粒子は、冷却水またはアルカリ水溶液中に通され、急冷される。これは、徐冷では残留する一酸化炭素等と塩化水素とが反応してダイオキシンを再合成するおそれがあるからである。この場合のアルカリとしてはこれまで知られたいかなる物質でもよく、例えば、水酸化カリウムや水酸化ナトリウムを挙げることができる。急冷させるためには、冷却装置41は、冷却水等が収容された1つの容器に限られるものではなく、直列に接続された2以上の容器から構成することができる。分解ガスおよび飛散した土粒子は、冷却水またはアルカリ水溶液中において、溶解するガス成分(冷却水の場合は塩化水素、アルカリ水溶液の場合には塩化水素および二酸化炭素)は溶解し、土粒子は浮遊あるいは沈殿し、溶解しないガス成分のみが排出管を通して排出される。排出されたガスは、主に、窒素および酸素であるが、微量に不純物を含む場合があるため、吸着材が充填された吸着装置を介して大気中に放散される。この吸着材には、活性炭やゼオライト等の多孔質材料が用いられる。なお、大気中へは、ブロワを用いて放散される。ブロワは、ガスを吸引し、吐出するため、装置内部を大気圧より低い負圧に保持し、ガス化した難分解性有機化合物が大気中に漏洩することを防止する。
【0041】
ろ過装置42は、汚染物の処理が終了後、容器から抜き出される冷却水またはアルカリ水溶液をろ過する。ろ過装置42は、例えば、所定のメッシュサイズを有するフィルタとされる。上記のように、冷却水またはアルカリ水溶液中には土粒子が浮遊あるいは沈殿しており、ろ過することにより、この土粒子を分離する。土粒子のほか、ダスト等の不純物も分離する。
【0042】
このろ過装置42に加えて、さらに小さいメッシュサイズを有するフィルタを設け、ろ過装置42で分離することができなかった微粒子を分離することができる。この微粒子が除去された冷却水またはアルカリ水溶液は排水として排出され、排水処理される。このフィルタに代えて、遠心分離装置を用い、遠心分離により微粒子と排水とを分離することもできる。
【0043】
図3に示す処理装置を用いた場合の処理を、図4に示すフローチャートを参照して詳細に説明する。工程400において、処理を開始し、まず、中空の容器11内に汚染物を投入する(410)。容器11への汚染物の投入は、上記のホッパーやフィーダを用いて行うことができ、鉄粉を添加する場合、ホッパーに収容された汚染物に添加することができる。鉄粉は、底にノズルおよび弁が設けられた容器に収容され、その弁を開くことにより、ホッパー内に添加できるようにすることができる。
【0044】
加熱手段15により汚染物を約300℃〜600℃に間接加熱するとともに、撹拌手段14により汚染物を撹拌しつつ一方向に移動させる。容器11内を加熱手段15により予め加熱しておき、その中に汚染物を投入することができる。加熱により、難分解性有機化合物はガス化し、汚染物に含まれる水分は蒸発し、さらに加熱されて過熱蒸気となる。また、撹拌により微細な土粒子は飛散し、ガス化した難分解性有機化合物および過熱蒸気とともに排出される(420)。これらは反応装置40へ送られ、これらが除去された土壌は、土壌収容容器19へ送られる。反応装置40は、約900℃〜1000℃に加熱し、難分解性有機化合物を、一酸化炭素、水素、塩化水素等の低分子に分解するとともに、加熱した空気が送り込まれ、一酸化炭素や水素を酸化し、無害化する(430)。
【0045】
土壌収容容器19に収容され、自然冷却された後、土壌を取り出し、ふるい等の分級装置によって、例えば粒径1mm以下のものと、それを超えるものとに選別する(440)。ここで、粒径1mmを超えるものは、その重金属の含有量によって環境基準値を超える場合には処分され、環境基準値以下の場合には再利用される(450)。粒径1mm以下のものについては、飛散しやすい土粒子であり、粒径1mmを超えるものに比較して、より多くの重金属が付着していることから、再度、汚染物とともに容器11内に投入される。
【0046】
反応装置40を出た分解ガスおよび飛散した土粒子は、冷却装置41の冷却水またはアルカリ水溶液中に通され、バブリングされる(460)。溶解しないガス成分は、吸着装置で残留する不純物等が吸着除去された後、大気放散される。溶解するガス成分は、冷却水またはアルカリ水溶液に溶解し、土粒子やダスト等は、冷却水またはアルカリ水溶液中に浮遊または沈殿する。冷却水またはアルカリ水溶液は、ろ過装置42へ送られ、残渣等の固形物と、排水とに分離される(470)。ろ過後、必要に応じてフィルタ等で不純物等を分離し、処理を終了する(480)。排水は、薬剤を添加する等して排水処理される。
【0047】
図1〜図4に示す処理では、汚染物をそのまま処理装置に供給して処理しているが、この汚染物には、ダイオキシン類等の難分解性有機化合物および重金属のほか、礫、ガラス片や多量の水分等が含まれている場合がある。礫やガラス片等は、粒径が大きく、容器11の内壁、回転軸12や螺旋状羽根13を損傷させるおそれがある。したがって、ふるい等の前処理装置を設け、これらを予め取り除き、異物の噛み込み等による装置のトラブルを防止することができる。このふるいは、土粒子を整えることができるため、汚染物の均一な加熱が可能となる。ふるいは、例えば、メッシュサイズが約15mm、約20mmあるいは約25mmのものを使用することができる。ふるいを揺動させるため、揺動装置を備えることができる。
【0048】
また、港湾のダイオキシン類に汚染された底泥は、浚渫後において含水比(水を除いた乾燥土壌に対する水の割合)は約2〜3である。これをそのまま供給すると、余分な水を蒸発させる必要があり、より多くの消費電力が必要となるため、この場合、脱水装置を設けることができる。脱水装置としては、汚泥を収容し、側面に多数の穴を有する容器を備えており、その容器を回転させ、水分を、多数の穴を通して遠心分離する装置を挙げることができる。
【0049】
これまで図面を参照して本発明の方法について詳細に説明してきたが、本発明は図面に示した実施の形態に限定されるものではなく、他の実施の形態、追加、変更、削除など、当業者が想到することができる範囲内で変更することができ、いずれの態様においても本発明の作用・効果を奏する限り、本発明の範囲に含まれるものである。
【図面の簡単な説明】
【0050】
【図1】汚染物の処理装置の1つの実施形態を示した図。
【図2】汚染物の処理装置の別の実施形態を示した図。
【図3】汚染物の処理装置のさらに別の実施形態を示した図。
【図4】図3に示す処理装置を用いた場合の汚染物の処理を示したフローチャート。
【符号の説明】
【0051】
10…処理装置、11…容器、12、22、32…回転軸、13、23、33…螺旋状羽根、14、24、34…撹拌手段、15、25、35…加熱手段、16、26、36…土壌受入ノズル、17、27、37…土壌排出ノズル、18、38…ガス排出ノズル、19、39…土壌収容容器、20…第1ガス化装置、21、31…中空容器、28…蒸気排出ノズル、30…第2ガス化装置、40…反応装置、41…冷却装置、42…ろ過装置
【出願人】 【識別番号】000195971
【氏名又は名称】西松建設株式会社
【識別番号】593147531
【氏名又は名称】大旺管財株式会社
【出願日】 平成18年10月30日(2006.10.30)
【代理人】 【識別番号】110000420
【氏名又は名称】特許業務法人エム・アイ・ピー


【公開番号】 特開2008−110291(P2008−110291A)
【公開日】 平成20年5月15日(2008.5.15)
【出願番号】 特願2006−294083(P2006−294083)