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重金属溶出低減材、および重金属溶出低減処理方法 - 特開2008−100167 | j-tokkyo
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【発明の名称】 重金属溶出低減材、および重金属溶出低減処理方法
【発明者】 【氏名】木虎 智子

【氏名】吉田 雅彦

【要約】 【課題】複数の有害な重金属等を含有する汚染物質に対して溶出低減作用を十分に発揮でき、しかも、処理後の溶出液のpHを中性付近に維持できるような処理方法を提供することを一の課題とする。

【解決手段】塩化第一鉄と、ハイドロタルサイトとを含有してなり、前記塩化第一鉄とハイドロタルサイトとの配合割合が質量比で10:90〜70:30の範囲内であることを特徴とする重金属溶出低減材による。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
塩化第一鉄と、ハイドロタルサイトとを含有してなり、前記塩化第一鉄とハイドロタルサイトとの配合割合が質量比で10:90〜70:30の範囲内であることを特徴とする重金属溶出低減材。
【請求項2】
前記質量比が30:70〜70:30であることを特徴とする請求項1に記載の重金属溶出低減材。
【請求項3】
請求項1又は2に記載された重金属溶出低減材と、重金属で汚染された汚染物質とを混合することを特徴とする、重金属溶出低減処理方法。
【請求項4】
前記汚染物質が、汚染土壌であることを特徴とする請求項3記載の重金属溶出低減処理方法。
【請求項5】
前記汚染物質が、フッ素を溶出するものであることを特徴とする請求項3又は4記載の重金属溶出低減処理方法。
【発明の詳細な説明】【技術分野】
【0001】
本発明は、重金属等で汚染された汚染物質から重金属等の溶出を低減する溶出低減処理方法、及びこれに用いる重金属溶出低減材に関する。
【背景技術】
【0002】
産業廃棄物や都市ごみを焼却した際に発生する焼却飛灰や溶融飛灰は、最終的には埋め立てによって処分されることとなる。しかし、このような廃棄物には有害な重金属等が含まれており、雨水等が浸透した場合であっても、この有害な重金属等が溶出しないよう、防止策を講じる必要がある。
また、排水や汚泥によって汚染された土壌についても同様であり、該土壌からの有害物質の溶出を防止する必要がある。
【0003】
従来、このような廃棄物や土壌などの汚染物質から有害な重金属が溶出するのを防止する方法として、汚染物質をセメント及び水と混合して固化するセメント固化法や、酸等の溶剤を用いて汚染物質から有害重金属等を沈殿除去する抽出法や、キレート剤等の薬剤を汚染物質と混合して重金属を不溶化処理する薬剤処理法などが知られている。
【0004】
しかしながら、前記セメント固化法は重金属等の溶出防止性能に劣るだけでなく、処理された汚染物質から流れ出す水がアルカリ性を示すという問題点を有している。
また、前記抽出法は、重金属等の溶出低減性能には優れているものの、処理設備が複雑となり、また運転管理も煩雑となるため、処理コストが高いという問題点を有している。
さらに、キレート剤を用いた薬剤処理法では、薬剤のコストが高く、また、環境や経年変化による影響により、生成したキレート化合物が分解し、不溶化した重金属が再溶出する懸念があるという問題点を有している。
【0005】
一方、下記特許文献1には、硫酸第一鉄、塩化第一鉄、亜硫酸ナトリウム、及び亜硫酸カリウムから選択される1種以上の還元剤と、ポリ硫酸鉄及び硫酸バンドから選択される1種以上の凝集剤と、水とを含む重金属類溶出抑制剤を、重金属類を含有する被処理物に混練し、被処理物からの重金属類の溶出を抑制する方法が開示されている。
【特許文献1】特開2004−209372号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、前記特許文献1に記載されたような従来の重金属溶出低減方法によれば、汚染物質に含まれる重金属の種類が多くなると、一つの溶出低減方法では溶出低減作用が十分に発揮され難いため、全ての重金属に対して溶出基準を満たすような処理を行うことは困難であるという問題がある。
【0007】
そこで本発明は、複数の有害な重金属等を含有する汚染物質に対して溶出低減作用を十分に発揮できる処理方法を提供することを一の課題とする。また、処理後の溶出液のpHを中性付近に維持できるような処理方法を提供することを他の課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、塩化第一鉄と、ハイドロタルサイトとを含有してなり、前記塩化第一鉄とハイドロタルサイトとの配合割合が質量比で10:90〜70:30の範囲内であることを特徴とする重金属溶出低減材にある。
また、本発明は、該重金属溶出低減材と、重金属で汚染された汚染物質とを混合することを特徴とする重金属溶出低減処理方法にある。
【発明の効果】
【0009】
本発明に係る重金属溶出低減材及び重金属溶出低減処理方法によれば、有害な重金属等の溶出低減作用を十分に発揮でき、しかも、処理後の溶出液のpHを中性付近に維持することが可能となる。
特に、本発明によれば、クロム、ヒ素、セレン及びフッ素等に汚染された、いわゆる複合汚染土壌に対して優れた溶出低減作用を発揮することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
本発明に係る重金属溶出低減材は、塩化第一鉄と、ハイドロタルサイトとを質量比で10:90〜70:30の範囲内で含有するものである。
【0011】
本発明において使用するハイドロタルサイトは、2価の金属元素(Cu2+,Mg2+など)、3価の金属元素(Al3+など)、及び陰イオン(OH-, CO32-, Cl-, SO42-)から構成され、層状の結晶構造を有する水酸化物である。より具体的には、該ハイドロタルサイトは、下記の一般化学式(1)
[M2+x3+x(OH)2]x+[An-x/n2O]x- (1)
(ここでMは金属元素、An-はn価の陰イオンを示す)。
で表される。
該ハイドロタルサイトは、天然鉱物として産出することが知られており、また、粘土や海水など天然の材料を原料として合成できることも知られている。
また、該ハイドロタルサイトは、従来より、陰イオン交換性を有し、これによって有害な陰イオンをハイドロタルサイト内に固定する作用を有することが知られている。
また、結晶構造中にOH-を含むため、アルカリとして機能し、酸を中和する性質を有することも知られている。
【0012】
上記のようなハイドロタルサイトと、塩化第一鉄(FeCl2)とを本発明による所定の配合比率で併用することにより、優れた重金属溶出低減効果が発揮される。
即ち、本発明によれば、ハイドロタルサイトと塩化第一鉄とが所定の割合で併用されたことにより、塩化第一鉄の還元作用によって六価クロム等の重金属が不溶化されるとともに、ハイドロタルサイトによってフッ素イオン等の陰イオンがイオン交換作用で不溶化されることとなる。しかも、ハイドロタルサイトと塩化第一鉄とが所定の割合で併用されたことにより、該重金属溶出低減材と汚染物質との混合物が中性に近い状態に保たれるため、不溶化された重金属等が安定化されて溶出低減作用がより一層優れたものとなり、しかも処理後に溶出する溶出液がpH値6〜8付近の中性に近いものとなる。
【0013】
塩化第一鉄とハイドロタルサイトとの配合比率は、塩化第一鉄とハイドロタルサイトとの質量比が10:90〜70:30の範囲内であり、好ましくは、30:70〜70:30の範囲内とする。斯かる配合比率の範囲内であれば、上述したような塩化第一鉄と、ハイドロタルサイトとによる相互作用が発揮され、六価クロム、ヒ素、セレン、フッ素といった複数の重金属及び陰イオンについて優れた溶出低減効果がある。
【0014】
本発明に係る重金属溶出低減材は、本発明による作用効果を阻害しない範囲内において、他の成分を含有することができる。
他の成分としては、カオリン、ベントナイト等の粘土鉱物、ゼオライト、アパタイト等の金属イオン交換体類、高炉スラグ、酸化マグネシウムなどを挙げることができる。
【0015】
本発明に係る重金属溶出低減処理方法は、上記のような重金属溶出低減材を用い、処理対象となる汚染物質の重金属溶出低減処理を行うものである。
重金属溶出低減材は、通常、汚染物質に添加する前に予め混合された状態のものを用いるが、本発明の方法においては、塩化第一鉄とハイドロタルサイトとを混合せず、別にした状態のものを汚染物質に添加する態様も含まれるものとする。
【0016】
汚染物質としては、例えば、重金属等で汚染された土壌や、埋め立て処分される廃棄物であって重金属等を含むものなどを挙げることができる。
汚染物質に対する重金属溶出低減材の添加量は、特に限定されるものではなく、汚染物質の汚染状況に応じて適宜添加量を変更することが可能である。
本発明に係る重金属溶出低減材を用いた場合、処理後の溶出液のpHが中性領域に保たれるため、添加量を増しても、pHの変動が少なく、周辺土壌等への悪影響を防止できるという利点がある。
【0017】
汚染物質が重金属に汚染された土壌の場合には、汚染状況にもよるが、通常、混練性、経済性の観点から、乾燥状態の土壌100質量部に対し、前記重金属溶出低減材を2〜20質量部添加することが好ましい。
【0018】
前記重金属溶出低減材を用いた重金属溶出低減処理方法は、汚染物質と前記重金属溶出低減材とを十分に接触させうる方法であれば、特に限定されるものではないが、通常、両者を所定の比率で混練することによって行うことができる。
例えば、汚染物質が汚染土壌の場合には、重金属溶出低減材を該汚染土壌に散布した後、重機を用いて攪拌する方法や、汚染物質と重金属溶出低減材とを攪拌装置に入れ、攪拌混合する方法などを採用することができる。
【0019】
また、汚染物質と前記重金属溶出低減材とを混練等によって接触させる際には、水等を添加して行っても良いし、予め水等と前記重金属溶出低減材とを混練してスラリーを調製し、該スラリーを汚染物質と接触させても良い。
【0020】
本発明に係る重金属溶出低減材および重金属溶出低減処理方法によれば、汚染物質からの六価クロム、ヒ素、セレン、鉛、カドミウム、フッ素、シアン、ホウ素および水銀などの溶出を低減することが可能であり、とりわけ、六価クロム、ヒ素、セレン及びフッ素について、優れた溶出低減効果が発揮される。
【実施例】
【0021】
以下、本発明について実施例を挙げてさらに詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。尚、使用した材料は、以下のとおりである。
(使用材料)
塩化第一鉄 :試薬(特級 関東化学社製)
ハイドロタルサイト:協和化学社製
高炉スラグ :住金鹿島社製
硫酸第一鉄 :試薬(特級 関東化学社製)
酸化マグネシウム :日本海水化工社製
【0022】
(試験例1)
試験土壌の作製
千葉県成田市より産出した砂質土に、K2Cr27、KAsO2、K2SeO3、及びNaFを添加混合し、六価クロム(Cr272-)、ヒ素(AsO43-)、セレン(SeO42-)、及びフッ素(F-)の含有量が下記表1に示す割合となるように添加混合し、試験土壌を作製した。
【0023】
【表1】


【0024】
重金属溶出低減材の調製と溶出試験
下記表2に示す質量割合に基づき、実施例及び比較例の重金属溶出低減材を調製した。
調製した各溶出低減材を、試験土壌の乾燥質量100部に対して5部の割合で添加混合して試験土壌の溶出低減処理を行った。
さらに、未処理の試験土壌及び処理後の各試験土壌(材齢28日)について、環境省告示46号試験に準じて溶出試験を行った。尚、六価クロム及びフッ素は吸光光度法を用い、ヒ素及びセレンは水素化物原子吸光法を用いて測定を行った。
抄出試験結果を下記表3に示す。
【0025】
【表2】


【0026】
【表3】


【0027】
表3より、比較例1〜4の重金属溶出低減材では、何れか1種又は2種程度の重金属についてのみ溶出低減効果が発揮されているのに対し、実施例1の重金属溶出低減材では、上記4種の重金属全てについて優れた溶出低減効果を有していることがわかる。
【0028】
(試験例2)
上記試験例1と同様にして試験土壌を作製し、また、下記表4に示す質量割合に基づき、実施例及び比較例の重金属溶出低減材を調製した。さらに、調製した各溶出低減材を用いて上記試験例1と同様の溶出低減処理及び溶出試験を行った。溶出試験結果を併せて表4に示す。
【0029】
【表4】


【0030】
表4より、ハイドロタルサイトを単独で用いた場合や塩化第一鉄を単独で用いた場合、さらに、両者の配合比率が本発明の範囲外である重金属溶出低減材では、何れかの重金属において溶出低減効果が不十分であるのに対し、本発明に係る重金属溶出低減材では、上記4種の重金属全てについて優れた溶出低減効果を有していることがわかる。
【0031】
また、比較例の重金属溶出低減材では、処理後の土壌より溶出した溶出液が、pHが4以下の酸性又はpHが8以上のアルカリ性となっているのに対し、実施例の重金属溶出低減材では、該溶出液は、pHが概ね6〜8程度の中性領域となっていることがわかる。
【0032】
(試験例3)
試験土壌の作製
千葉県成田市より産出した砂質土に、K2SeO3を添加混合し、セレン(SeO42-)の含有量が下記表5に示す割合となるように添加混合し、試験土壌を作製した。
【0033】
【表5】


【0034】
重金属溶出低減材の調製と溶出試験
下記表6に示す質量割合に基づき、実施例及び比較例の重金属溶出低減材を調製した。
調製した各溶出低減材を用いて上記試験例1と同様の溶出低減処理及び溶出試験を行った。溶出試験結果を併せて表6に示す。
【0035】
【表6】


【0036】
表6より、塩化第一鉄とハイドロタルサイトとの併用系である本発明の実施例6と比べ、塩化第一鉄以外の鉄塩である硫酸第一鉄を用いた比較例11においては、セレンの溶出低減効果が低いことがわかる。
【出願人】 【識別番号】000183266
【氏名又は名称】住友大阪セメント株式会社
【出願日】 平成18年10月19日(2006.10.19)
【代理人】 【識別番号】100074332
【弁理士】
【氏名又は名称】藤本 昇

【識別番号】100114421
【弁理士】
【氏名又は名称】薬丸 誠一

【識別番号】100114432
【弁理士】
【氏名又は名称】中谷 寛昭

【識別番号】100117204
【弁理士】
【氏名又は名称】岩田 徳哉


【公開番号】 特開2008−100167(P2008−100167A)
【公開日】 平成20年5月1日(2008.5.1)
【出願番号】 特願2006−284903(P2006−284903)