トップ :: B 処理操作 運輸 :: B09 固体廃棄物の処理;汚染土壌の再生

【発明の名称】 汚染された土壌及び地下水の同時浄化方法及び装置
【発明者】 【氏名】山口 栄一

【氏名】関野 英男

【氏名】羽山 高義

【氏名】田辺 知子

【氏名】渡辺 徹

【要約】 【課題】効率的な汚染土壌及び地下水の同時浄化手段を提供する。

【解決手段】汚染された土壌及び地下水を浄化するに際し、井戸より土壌ガスをブロアによって吸引し、吸引した土壌ガス含有空気を、必要に応じ液体分離をした後、気体状汚染物質無害化処理槽に供給して汚染物質を無害化処理し、上記処理と同時に、井戸より汚染地下水を揚水し、揚水した地下水を前記汚染物質無害化処理槽から排出された清浄空気を用いて曝気処理して地下水中の汚染物質を気化させ、気化した汚染物質を汚染物質無害化処理槽に供給して汚染物質を無害化処理する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
汚染された土壌及び地下水を浄化するに際し、井戸より土壌ガスをブロアによって吸引し、吸引した土壌ガス含有空気を、必要に応じ液体分離をした後、気体状汚染物質無害化処理槽に供給して汚染物質を無害化処理し、上記処理と同時に、井戸より汚染地下水を揚水し、揚水した地下水を前記汚染物質無害化処理槽から排出された清浄空気を用いて曝気処理して地下水中の汚染物質を気化させ、気化した汚染物質を汚染物質無害化処理槽に供給して汚染物質を無害化処理することを特徴とする汚染された土壌及び地下水の同時浄化方法。
【請求項2】
汚染物質が揮発性有機化合物を含有する請求項1記載の方法。
【請求項3】
汚染物質無害化処理槽が光触媒、活性炭又は/及びUVランプを有する請求項1又は2記載の方法。
【請求項4】
汚染物質無害化処理槽が光触媒を有する請求項1〜3のいずれか1項記載の方法。
【請求項5】
井戸より土壌ガスを吸引するブロア、吸引した土壌ガス含有空気から液体を分離するために必要に応じ設ける気液分離手段、必要に応じ液体を分離した土壌ガス含有空気中の汚染物質を無害化するための汚染物質無害化処理槽、井戸より地下水を揚水するための揚水ポンプ、揚水した地下水からの汚染物質を気化させるための曝気槽、気化した汚染物質含有空気中の汚染物質を無害化するための汚染物質無害化処理槽、前記の土壌ガス含有空気中の汚染物質を無害化するための汚染物質無害化処理槽から排出された清浄空気を上記曝気槽に供給するための連結管、及び曝気によって気化した汚染物質含有空気中の汚染物質を無害化するための汚染物質無害化処理槽を有することを特徴とする汚染された土壌及び地下水の同時浄化装置。
【請求項6】
汚染物質無害化処理槽が光触媒、活性炭又は/及びUVランプを有する請求項5の装置。
【請求項7】
汚染物質無害化処理槽が光触媒を有する請求項5又は6記載の装置。
【請求項8】
汚染物質無害化処理槽が光触媒と活性炭とを有する請求項5〜7のいずれか1項記載の装置。
【請求項9】
土壌ガスを吸引する井戸と地下水を吸引する井戸が一体の井戸である請求項5〜8のいずれか1項記載の装置。
【請求項10】
地下水用の油水分離層を有する請求項5〜9のいずれか1項記載の装置。
【発明の詳細な説明】【技術分野】
【0001】
本発明は汚染された土壌及び地下水の同時浄化方法及び装置に関し、特にクリーニング施設やガソリンスタンド等の比較的小規模の汚染場所の浄化に適する浄化方法及び装置に関する。
【背景技術】
【0002】
平成15年2月に土壌汚染対策法が施行され、有害物質使用特定施設の土地所有者は施設の廃止時などに、土壌汚染の調査の実施や汚染が確認された場合には汚染の除去対策をとらなければいけなくなった。
特定有害物質には汚染された土壌の直接摂取による健康影響があるものや、地下水等の汚染を経由して生ずる健康被害があるものなど25項目が定められており、第1種特定有害物質としてテトラクロロエチレン、トリクレン、ベンゼンなど揮発性有機化合物11項目、第2種特定有害物質としてカドミウム及びその化合物、六価クロム化合物、シアン化合物などの重金属等9項目、第3種特定有害物質としてポリ塩化ビフェニル、チウラム、有機りん化合物など農薬・PCB5項目がある。
【0003】
本発明で対象とする汚染物質は、有機化合物であり、具体的には土壌汚染対策法で対策が必要な第1種特定有害物質のテトラクロロエチレンなどの有機塩素化合物やベンゼンなどの揮発性炭化水素、さらには揮発分を含む油類も含まれる。
第1種特定有害物質であるテトラクロロエチレンやトリクレンなどに代表される有機塩素化合物は洗浄力に優れているため、クリーニング施設や電子機器その他を扱う工場・事業場で多用されてきた。
また、ガソリンスタンド等ではガソリン、灯油、軽油などの揮発分を含む油類が使用されている。
【0004】
油類は特定有害物質には指定されていないが、油臭や油膜が発生したりして、環境をこわす忌避物質として問題になっている。
近年、このような液体状または気体状の有機化合物が、その漏洩により土壌や地下水などを汚染し、これを放置した場合の健康被害などが問題となってきている。
これらの揮発性有機化合物や揮発分を含む油類の一般的な処理法には土壌ガス吸引法、揚水曝気法、エアースパージング法、ホットソイル工法、低温加熱法、バイオレメディエーション、化学酸化法等が知られている。
【0005】
従来、原位置での揮発性有機化合物や揮発分を含む油類は、土壌から真空ポンプやブロア等で土壌ガスを吸引し、活性炭等の吸着材で吸着したり、UVランプ等で分解したりして揮発性有機化合物を除去していた。
【0006】
また、地下水は揚水曝気し、地下水中の汚染物質を気化させ、同様に活性炭、UVランプ等で除去し、浄化していた。その一例は特許文献1に記載されている。
これら従来の浄化手段ではそのほとんどが土壌ガス吸引装置と揚水曝気装置とを別々に設置していたので、スペースが大きくなり、設備費、ランニングコストがかさみ、また、浄化に長期間を要することもあり、設置面積、設置場所等に制約があった。
【特許文献1】特開2003−154356号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
揮発性有機化合物に汚染されて浄化が必要な場所としては、工場や事業所撤去の空き地や更地ばかりでなく、操業中の工場や事業所もあり、小型で、移動しやすい低コストの浄化方法及び浄化装置が望まれており、本発明の目的はこのような要求を満足する浄化方法及び装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の汚染された土壌及び地下水を浄化する方法は、井戸より土壌ガスをブロアによって吸引し、吸引した土壌ガス含有空気を、必要に応じ液体分離をした後、気体状汚染物質無害化処理槽に供給して汚染物質を無害化処理し、上記処理と同時に、井戸より汚染地下水を揚水し、揚水した地下水を前記汚染物質無害化処理槽から排出された清浄空気を用いて曝気処理して地下水中の汚染物質を気化させ、気化した汚染物質を汚染物質無害化処理槽に供給して汚染物質を無害化処理することを特徴とする汚染された土壌及び地下水の同時浄化方法である。
【0009】
本発明の汚染された土壌及び地下水を浄化する装置は、井戸より土壌ガスを吸引するブロア、吸引した土壌ガス含有空気から液体を分離するために必要に応じ設ける気液分離手段、必要に応じ液体を分離した土壌ガス含有空気中の汚染物質を無害化するための汚染物質無害化処理槽、井戸より地下水を揚水するための揚水ポンプ、揚水した地下水からの汚染物質を気化させるための曝気槽、気化した汚染物質含有空気中の汚染物質を無害化するための汚染物質無害化処理槽、前記の土壌ガス含有空気中の汚染物質を無害化するための汚染物質無害化処理槽から排出された清浄空気を上記曝気槽に供給するための連結管、及び曝気によって気化した汚染物質含有空気中の汚染物質を無害化するための汚染物質無害化処理槽を有することを特徴とする汚染された土壌及び地下水の同時浄化装置である。
【発明の効果】
【0010】
本発明の浄化方法及び装置を用いることにより土壌と地下水を、小さい設置面積で、効率的且つ低コストで同時に浄化することが可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
図1は本発明の処理工程図であり、図2は本発明の処理装置の一例を示す概略図である。
【0012】
本発明では汚染された土壌に1本以上の土壌ガス吸引井戸1及び地下水吸引井戸1を設けるが、これらの井戸は土壌ガス吸引と地下水吸引の両機能を備えた吸引井戸1(図2)であることが好ましい。
【0013】
まず土壌の浄化工程について説明すると、吸引ブロア2で土壌から土壌ガスを吸引する。その際水分等の液体が混入している可能性がある場合には気液分離槽3を設けることが好ましい。吸引された汚染ガス含有空気を気体状汚染物質無害化処理槽4に送って汚染物質を無害化する。
【0014】
ここで汚染物質の無害化とは、分解反応等による二酸化炭素、水その他の無害性物質への変換や吸着等による汚染物質(分解物質も含む)の分離・封じ込みを意味する。本発明では汚染物質の無害化機能をもつ適宜の物質や装置を用いうるが、光触媒、活性炭及びUVランプが好ましく、特に光触媒が好ましく用いられる。特に酸化チタン粉末等の光触媒を不織布等の可撓性担体に担持したいわゆる光触媒シートが好ましく用いられる。さらに、光触媒シートに吸着剤である活性炭も混入担持させたものが一層好ましく用いられる。このような光触媒シートをもつ無害化処理槽は太陽光の作用を受けるよう、図2に示すように、装置系の最上部に広い表面積をもって設置することが望ましい。
【0015】
尚、ブロアで吸引された汚染ガス含有空気は、前記したように気液分離槽3で液体を分離しておくことが望ましいが、光触媒や活性炭による処理に供する場合には、液体、特に水の同伴は望ましくない。その意味で無害化処理槽4以前の適宜の段階で共存する液体、特に水分を除去しておくことが望ましい。この処理には狭義の気液分離槽以外に、吸水マット等周知の適宜の気液分離部材を用いうる。従って、本発明において「槽」とは「手段」(means)と同義である。かくして汚染ガス含有空気中の汚染物質が無害化され同時に清浄空気が排出ガスとして得られる。
【0016】
次に地下水の浄化工程について説明すると、地下水を揚水ポンプ(水中ポンプ)5によって揚水し、曝気槽6に導入する。曝気槽内に散気管7を設置し、上記した土壌の浄化工程で無害化処理槽を通して清浄化した空気を散気管に導入して曝気する。この曝気処理で地下水中に混入する汚染物質を気化させ、この気化した汚染物質を同伴した曝気空気を汚染物質無害化処理槽4に送って汚染物質を無害化する。この汚染物質無害化処理槽の構成も土壌の浄化工程における無害化処理槽の構成と同じであることが好ましい。
【0017】
また地下水用の油水分離槽8を設けることも好ましい。この油水分離槽8は、地下水中の油分の初期濃度や、量に応じて、地下水を揚水して直ちに曝気槽の前に設置してもよいし、曝気槽の後に設置してもよく、また、曝気槽内に設けることも可能である。
【0018】
本発明の装置は、地上設置部をコンパクトな一体型の装置とすることが可能である。
尚、設置する井戸の本数は、浄化対象面積及び土質等によって異なるが、図2に示すように、土壌ガスと地下水の吸引の両機能を1本の井戸にもたせることが好ましい。
【0019】
本発明の装置の運転は、例えば設置事業所の勤務時間に合せて、日中だけ連続運転とすることも可能である。
【0020】
〔実施例1〕
テトラクロロエチレンの汚染が確認された事業所の浄化を図2に示す本発明装置(活性炭入り光触媒シート使用)により実施した。
調査濃度は土壌溶出量0.13mg/L、地下水濃度0.51mg/L、浄化の開始時にはテトラクロロエチレン土壌ガス濃度は74ppmであった。
50L/min.のブロアで土壌ガスを吸引し、浄化した。リバウンドを繰り返しながら約4カ月後には0.1ppmまで低下した。
また、地下水は2L/min.で揚水し、土壌ガスの浄化後の清浄空気を用いて曝気処理した結果、地下水濃度は約4カ月で環境基準の0.01mg/L以下になった。結果を図3及び4に示す。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【図1】本発明の処理工程図。
【図2】本発明の処理装置の一例を示す説明図。
【図3】実施例における土壌ガスの処理効果を示すグラフ。
【図4】実施例における地下水の処理効果を示すグラフ。
【符号の説明】
【0022】
1 吸引井戸
2 吸引ブロア
3 気液分離槽
4 無害化処理槽
5 揚水ポンプ
6 曝気槽
7 散気管
【出願人】 【識別番号】590002482
【氏名又は名称】株式会社NIPPOコーポレーション
【出願日】 平成18年10月6日(2006.10.6)
【代理人】 【識別番号】100071755
【弁理士】
【氏名又は名称】斉藤 武彦

【識別番号】100070530
【弁理士】
【氏名又は名称】畑 泰之


【公開番号】 特開2008−93500(P2008−93500A)
【公開日】 平成20年4月24日(2008.4.24)
【出願番号】 特願2006−274740(P2006−274740)