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【発明の名称】 土壌洗浄方法及び装置
【発明者】 【氏名】北村 光太郎

【要約】 【課題】フッ素やホウ素等の難溶解性物質で汚染された汚染土壌から難溶解性物質を除去するのに適した土壌洗浄方法及び装置を提供する。

【解決手段】土壌洗浄装置10は、砂濾過層14を有する濾過槽12と、濾過槽12に汚染土壌16を投入する土壌投入手段と、難溶解性物質を溶解する薬液を濾過槽12に供給する薬液供給ライン20と、濾過槽12に水を供給する水供給ライン30と、を備える。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
難溶解性物質で汚染された土壌を洗浄する土壌洗浄方法において、
前記難溶解性物質を溶解する薬剤と前記汚染土壌とを濾過槽に供給した後、該濾過槽から濾過液を排水することによって、前記難溶解性物質が溶解した薬液を前記濾過槽から除去する一回の薬液洗浄工程と、
前記薬液洗浄工程後の前記濾過槽に水を供給し、前記濾過槽から濾過液を排水することによって前記濾過槽内の土壌をすすぎ洗浄する少なくとも一回の水洗浄工程と、
から成ることを特徴とする土壌洗浄方法。
【請求項2】
前記薬液洗浄工程は、前記薬液を前記濾過槽に投入した後に、該薬液に前記汚染土壌を投入することを特徴とする請求項1に記載の土壌洗浄方法。
【請求項3】
前記薬液洗浄工程及び前記水洗浄工程は、前記濾過液を自然排水した後に、前記濾過液の強制排水に切り替えることを特徴とする請求項1又は2に記載の土壌洗浄方法。
【請求項4】
前記濾過槽には砂濾過層が設けられ、該砂濾過層によって濾過が行われるとともに、前記水洗浄工程は、前記砂濾過層に水を供給することを特徴とする請求項1〜3のいずれか1に記載の土壌洗浄方法。
【請求項5】
前記濾過槽には砂濾過層が設けられ、該砂濾過層によって濾過が行われるとともに、前記水洗浄工程の後に前記濾過槽内の土壌を前記砂濾過層ごと埋め戻す埋め戻し処理を行うことを特徴とする請求項1〜3のいずれか1に記載の土壌洗浄方法。
【請求項6】
難溶解性物質で汚染された土壌を洗浄する土壌洗浄装置において、
砂濾過層を有し、該砂濾過層を通過した濾過液を排水ラインで排水する濾過槽と、
前記濾過槽に前記汚染土壌を投入する土壌投入手段と、
前記難溶解性物質を溶解する薬液を前記濾過槽に供給する薬液供給ラインと、
前記濾過槽に水を供給する水供給ラインと、
を備えたことを特徴とする土壌洗浄装置。
【請求項7】
前記水供給ラインは、前記砂濾過層に接続されることを特徴とする請求項6に記載の土壌洗浄装置。
【請求項8】
前記排水ラインには排水回収装置が接続され、該排水回収装置には、強制排水用のポンプと、該ポンプによる強制排水と自然排出との切替手段とが設けられることを特徴とする請求項6又は7に記載の土壌洗浄装置。
【発明の詳細な説明】【技術分野】
【0001】
本発明は土壌洗浄方法及び装置に係り、特にフッ素やホウ素等の難溶解性物質で汚染された土壌を洗浄して無害化する土壌洗浄方法及び装置に関する。
【背景技術】
【0002】
汚染土壌の洗浄方法として分級洗浄方法が一般に行われている。分級洗浄方法は、まず、汚染された土壌を掘削し、その土壌を水やその他の洗浄剤と混合攪拌させることによって汚染物質を溶出し、さらに分級により汚染濃度の高い細粒分を取り出して最終処分する方法である。この方法によれば、水銀や鉛などの重金属を土壌から除去することができる。
【0003】
しかし、分級洗浄方法は、混合攪拌を行うことによって土壌が微粒子化してしまうので、分級に時間がかかったり、分級に使用するフィルタが目詰まりしたりする問題が生じる。そこで、特許文献1の土壌洗浄装置は、土壌を投入した洗浄槽に溶剤を繰り返し供給することによって土壌中の有機物質を除去し、さらに洗浄槽に洗浄液を繰り返し供給することによって土壌中の無機物質を分離している。この特許文献1によれば、溶剤や洗浄液を土壌に攪拌混合させずに汚染物質を除去できるので、短時間で土壌を処理することができる。
【特許文献1】特開2003−88847号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1の洗浄装置は、溶剤や洗浄液に溶解した汚染物質が所定の濃度以下になるまで、溶剤や洗浄液を洗浄槽に繰り返し供給するため、溶剤や洗浄液の使用量が多くなるという問題や、溶剤や洗浄液に溶出した多量の汚染物質の処理にコストがかかるという問題が生じる。
【0005】
特に、汚染物質がフッ素やホウ素等の難溶解性物質の場合には、汚染物質の濃度が所定値以下になるまで溶解させるために溶剤や洗浄液の供給を何度も繰り返さなければならず、溶剤や洗浄液を大量に使用するという問題が生じる。また、特許文献1の洗浄装置は、難溶解性物質を土壌から必要以上に溶解させており、溶解した難溶解性物質の処理に無駄な費用が発生するという問題が生じる。
【0006】
本発明はこのような事情に鑑みて成されたもので、フッ素やホウ素等の難溶解性物質で汚染された汚染土壌から難溶解性物質を除去するのに適した土壌洗浄方法及び装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
請求項1に記載の発明は前記目的を達成するために、難溶解性物質で汚染された土壌を洗浄する土壌洗浄方法において、前記難溶解性物質を溶解する薬剤と前記汚染土壌とを濾過槽に供給した後、該濾過槽から濾過液を排水することによって、前記難溶解性物質が溶解した薬液を前記濾過槽から除去する一回の薬液洗浄工程と、前記薬液洗浄工程後の前記濾過槽に水を供給し、前記濾過槽から濾過液を排水することによって前記濾過槽内の土壌をすすぎ洗浄する少なくとも一回の水洗浄工程と、から成ることを特徴とする。
【0008】
本発明の発明者は、難溶解性物質によって汚染された土壌の場合には、薬液との接触によって簡単に溶解する一部の難溶解性物質を溶解させて、すすぎ洗浄するだけで、洗浄後の土壌は含有量基準や溶出量基準を満たすという知見を得た。すなわち、薬液との接触で溶解しない残りの難溶解性物質は、無理に溶解させて除去する必要がなく、無理に溶解させた場合には、薬液や水の消費量が増加するだけでなく、難溶解性物質の産業廃棄量が無駄に増えるという知見を得た。本発明はこのような知見に基づいて成されたものであり、請求項1に記載の発明は、土壌中の難溶解性物質を薬液に溶解して濾過する一回の薬液洗浄処理を行ってすすぎ処理するようにしたので、薬液及び水の使用量を大幅に削減することができる。また、請求項1の発明によれば、溶解によって除去される難溶解性物質の量が少ないので、産業廃棄物の発生量を大幅に削減することができる。なお、本発明において「難溶解性物質」とは、土壌に吸着、結合した際に難溶解となる物質をいい、たとえば土壌を構成する粘土鉱物等に吸着、結合した際に全体の20%以下しか水に溶解しないようなフッ素やホウ素等の物質を意味する。
【0009】
請求項2に記載の発明は請求項1の発明において、前記薬液洗浄工程は、前記薬液を前記濾過槽に投入した後に、該薬液に前記汚染土壌を投入することを特徴とする。
【0010】
請求項2に記載の発明によれば、薬液中に汚染土壌を投入することによって、汚染土壌全体に薬液を接触させることができる。したがって、請求項2の発明によれば、汚染土壌全体から難溶解性物質の一部を確実に溶解させることができる。
【0011】
請求項3に記載の発明は請求項1又は2の発明において、前記薬液洗浄工程及び前記水洗浄工程は、前記濾過液を自然排水した後に、前記濾過液の強制排水に切り替えることを特徴とする。
【0012】
請求項3に記載の発明によれば、自然排水の後に強制排水を行うので、自然排水によって土壌の密度が高まった状態で強制排水が行われ、土壌の脱水率を大幅に高めることができる。これにより、すすぎ処理における溶解汚染物質の排出効率を高めることができるとともに、すすぎ処理における水の使用量を大幅に削減することができる。
【0013】
請求項4に記載の発明は請求項1〜3のいずれか1に記載の発明において、前記濾過槽には砂濾過層が設けられ、該砂濾過層によって濾過が行われるとともに、前記水洗浄工程は、前記砂濾過層に水を供給することを特徴とする。
【0014】
請求項4に記載の発明によれば、砂濾過層に水を供給することによって水が砂濾過層を介してその上の土壌に均等に供給される。したがって、請求項4に記載の発明によれば、土壌のすすぎ処理の効果が大きくなり、より確実に土壌の洗浄を行うことができる。
【0015】
請求項5に記載の発明は請求項1〜3のいずれか1に記載の発明において、前記濾過槽には砂濾過層が設けられ、該砂濾過層によって濾過が行われるとともに、前記水洗浄工程の後に前記濾過槽内の土壌を前記砂濾過層ごと埋め戻す埋め戻し処理を行うことを特徴とする。
【0016】
請求項5に記載の発明によれば、砂濾過層ごと土壌の埋め戻し処理を行うので、後処理を容易に行うことができる。また、砂濾過層を土壌と埋め戻すことによって、土壌の含水率を調節することができる。
【0017】
請求項6に記載の発明は前記目的を達成するために、難溶解性物質で汚染された土壌を洗浄する土壌洗浄装置において、砂濾過層を有し、該砂濾過層を通過した濾過液を排水ラインで排水する濾過槽と、前記濾過槽に前記汚染土壌を投入する土壌投入手段と、前記難溶解性物質を溶解する薬液を前記濾過槽に供給する薬液供給ラインと、前記濾過槽に水を供給する水供給ラインと、を備えたことを特徴とする。
【0018】
請求項6に記載の発明によれば、濾過槽、土壌投入手段、薬液供給ラインを備えているので、濾過槽に汚染土壌と薬液を供給することによって、汚染土壌の難溶解性物質を濾過槽内で薬液に溶解させることができ、さらに、その難溶解性物質が溶解した薬液を濾過液として排水することができる。また、請求項6に記載の発明によれば、水供給ラインを備えているので、薬液洗浄後の濾過槽に水を供給することによって、濾過槽内の土壌をすすぎ処理することができる。したがって、請求項6の発明によれば、濾過槽内で薬液洗浄と水洗浄(すすぎ処理)を行うので、装置を小型化することができる。
【0019】
さらに請求項6に記載の発明によれば、濾過槽として砂濾過層を用いているので、濾過処理後に砂濾過層ごと土壌を埋め戻すことができる。
【0020】
請求項7に記載の発明は請求項6の発明において、前記水供給ラインは、前記砂濾過層に接続されることを特徴とする。
【0021】
請求項7に記載の発明によれば、砂濾過層に水を供給することによって水が砂濾過層を介してその上の土壌に均等に供給される。したがって、請求項7に記載の発明によれば、土壌のすすぎ効果が大きくなり、より確実に土壌の洗浄を行うことができる。
【0022】
請求項8に記載の発明は請求項6又は7の発明において、前記排水ラインには排水回収装置が接続され、該排水回収装置には、強制排水用のポンプと、該ポンプによる強制排水と自然排出との切替手段とが設けられることを特徴とする。
【0023】
請求項8に記載の発明によれば、自然排水と強制排水とを切り替えて行うことができる。したがって、自然排水の後に強制排水を行うことができ、脱水率を高めて水の使用量を減らすことができる。
【発明の効果】
【0024】
本発明によれば、土壌の難溶解性物質を薬液に溶解して濾過する薬液洗浄処理を一回行ってすすぎ処理するようにしたので、薬液及び水の使用量と、難溶解性物質の産業廃棄処理量とを大幅に削減することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0025】
以下添付図面に従って本発明に係る土壌洗浄方法及び装置の好ましい実施形態について説明する。
【0026】
図1は、本発明に係る土壌洗浄装置の構成を模式的に示している。同図に示すように、土壌洗浄装置10は、濾過槽12を備え、この濾過槽12の内部に砂濾過層14が設けられる。
【0027】
砂濾過層14は、濾過槽12の底面から任意の厚さで設けられており、この砂濾過層14の上に汚染土壌16が投入される。砂濾過層14の砂の粒径は、投入される汚染土壌16の粒径に応じて選択される。
【0028】
汚染土壌16は、不図示の土壌投入手段(たとえば掘削機とベルトコンベア等)によって濾過槽12に投入される。その際、汚染土壌を分級し、対象粒径(たとえば5〜10mm)以下の汚染土壌16のみを濾過槽12に投入してもよい。これにより、洗浄の必要のない大きな粒径の土壌を除去することができる。
【0029】
濾過槽12の上部には、薬液供給装置20の薬液ライン22が接続されている。薬液供給装置20は、薬液が貯留された薬液タンク26と、この薬液タンク26と濾過槽12とを接続する薬液ライン22と、薬液ライン22に配設されたバルブ24から成り、バルブ24を開くことによって薬液タンク26内の薬液が濾過槽12に供給される。薬液は、汚染土壌16に存在する汚染物質の種類に応じて選択される。たとえば、汚染物質がフッ素やホウ素等の難溶解性物質の場合には、揮発性が低い硫酸で、且つ、低濃度が好ましい。これにより、難溶解性物質のうち、溶解しやすい一部の可溶部分のみを溶出させることができる。なお、硫酸の濃度は、0.01%以上5%以下が好ましく、特に0.01%以上1%以下が好ましい。
【0030】
濾過槽12の底部には、水供給装置30の水供給ライン32が接続される。水供給装置30は、すすぎ用の水の供給源36と、この供給源36を濾過槽12の砂濾過層14の範囲内に接続する水供給ライン32と、この水供給ライン32に配設されたバルブ34から成り、バルブ34を開くことによって供給源36の水が濾過槽12に供給される。その際、水供給ライン32が濾過槽12の底部に接続されているので、砂濾過層14に供給される。したがって、水は、透過性の良い砂濾過層14を浸透して、その上の汚染土壌16に均等に供給される。なお、水の供給速度は、土壌の透水速度の10倍程度の値よりも下回るように設定される。また、水の供給源36は、水道を使用してもよいし、後述の排水処理装置46で分離した水を再利用しても良い。
【0031】
濾過槽12の底面には排水ライン40が接続されており、この排水ライン40は、排水回収装置42に接続される。
【0032】
排水回収装置42は、図2に示すように、切替バルブ50を備え、この切替バルブ50に排水ライン40が接続される。また、切替バルブ50には、排水ライン52と真空吸引ライン54が接続されており、切替バルブ50を操作することによって、排水ライン40が自然排水ライン52に連通されたり、排水ライン40が真空吸引ライン54に連通されたり、排水ライン40が自然排水ライン52及び真空吸引ライン54から遮断される。
【0033】
自然排水ライン52の先端及び真空吸引ライン54の先端は、排水貯留槽58の内部に連通されている。排水貯留槽58は、濾過槽12の底面よりも低い位置に設けられている。したがって、排水ライン40を自然排出ライン52に連通した際に、濾過槽12内の液体が自重によって排水され、排水貯留槽58に貯留される。
【0034】
真空吸引ライン54には真空ポンプ56が配設されている。したがって、排水ライン40を真空吸引ライン54に連通して真空ポンプ56を駆動することによって、濾過槽12内の液体が強制的に排水され、排水貯留槽58に貯留される。
【0035】
自然排水ライン52と真空吸引ライン54にはそれぞれ、流量計60、62が設けられる。流量計60、62及び切替バルブ50は、図1の制御装置48に接続されており、制御装置48は流量計60、62の計測値に基づいて切替バルブ50の切替制御を行う。たとえば、排水ライン40を自然排水ライン52に連通した状態で、流量計60で測定した自然排水ライン52の排水量が所定値に達した際には、切替バルブ50を操作して排水ライン40を真空吸引ライン54に連通させるように切り替える。また、排水ライン40を真空吸引ライン54に連通した状態で、流量計62で測定した真空吸引ライン54の排水量が所定値に達した際には、切替バルブ50を操作し、排水ライン40を真空吸引ライン54から遮断して濾過槽12からの排水を停止する。なお、自然排水ライン52から真空吸引ライン54に切り替えるタイミング(流量計60の値)は、土壌の性質によって変えるように設定する。たとえば、土壌が粘度質の場合には、早いタイミングで切り替えるようにする。これにより、排水効率を高めることができ、脱水を迅速に行うことができる。
【0036】
排水貯留槽58には排水ライン44が接続されており、この排水ライン44は図1の排水処理装置46に接続される。排水処理装置46は、排水中の有害物質(難溶解性物質)を分離して除去する装置であり、有害物質をたとえば濾過等によってケーキ(堆積物)として分離する。排水処理装置46によって分離された有害物質は、産業廃棄物として処理される。
【0037】
次に上記の如く構成された土壌洗浄装置10を用いた土壌洗浄方法について説明する。図3は、土壌洗浄のフローを示すブロック図である。
【0038】
図3に示すように、まず、汚染土壌を掘削し(ステップS1)、その汚染土壌を分級処理する(ステップ2)。この分級処理は、洗浄の必要がない大きな粒径の土壌を取り除くことによって土壌洗浄の効率化を図るもので、分級された大きな粒径の土壌は貯留された後(ステップS11)、埋め戻し処理される(ステップS10)。なお、この分級処理は、土壌の種類に応じて分級粒径が設定され、さらに分級が必要ない場合には省略される。
【0039】
一方、粒径の小さい土壌は、薬液洗浄処理が施される。薬液洗浄処理では、まず、浸漬洗浄処理が施される(ステップS3)。すなわち、図1のバルブ24を開くことによって濾過槽12に薬液を供給した後、濾過槽12に汚染土壌16を投入し、濾過槽12内の薬液に汚染土壌16を所定時間浸漬させる。これにより、汚染土壌16全体が薬液に接触し、汚染土壌16に存在する難溶解性物質のうち、溶解しやすい状態の一部分のみの難溶解性物質が薬液中に溶解される。なお、薬液の供給は、汚染土壌16を投入した後であっても良い。この場合には、薬液の供給後に汚染土壌16と薬液を攪拌するとよい。
【0040】
汚染土壌16を薬液に所定時間浸漬した後、自然排水を行う(ステップS4)。自然排水は、図2の切替バルブ50を操作して排水ライン40を自然排水ライン52に連通させることによって行われ、濾過槽12内の薬液の一部は自重によって砂濾過層14を透過して、排水ライン40及び自然排水ライン52を介して排水される。
【0041】
自然排水での排水量が所定量に達した後、吸引排水(強制排水)に切り替わる(ステップS5)。すなわち、図2の流量計60の測定値が所定値に達した際に切替バルブ50が切替操作され、排水ライン40が真空吸引ライン54に連通される。そして、濾過槽12内の薬液の一部は真空ポンプ56によって強制的に排水貯留槽58に排水される。その際、土壌16は、自然排水が行われた後なので、密度が高まった状態であり、吸引排水時に土壌16中を空気が通過しにくい。したがって、土壌16に真空吸引をかけることによって、土壌16中の水分を効率よく取り出すことができる。これにより、高い脱水率で土壌16中の薬液を除去することができる。
【0042】
なお、自然排水処理と吸引排水処理で排水された薬液は、排水貯留槽58に貯留された後、排水処理装置46に送られ、排水処理される(ステップS12)。そして、排水は水と汚泥(難溶解性物質)に分けられ、水は再利用され(ステップS13)、汚泥(難溶解性物質)は産業廃棄物として処理される(ステップS14)。
【0043】
強制排水での排水量が所定値に達した際には、切替バルブ50が操作され、排水ライン40は真空吸引ライン54及び自然排水ライン52から遮断される。これにより薬液洗浄工程が終了し、続いて水洗浄工程が行われる。
【0044】
水洗浄工程では、まず水洗浄が行われる(ステップS6)。すなわち、図1のバルブ34が開くことによって濾過槽12にすすぎ用の水が供給される。その際、水が濾過槽12の底部から供給されるので、水は透過性の良い砂濾過層14を通って土壌16全体に均等に供給される。
【0045】
次に自然排水処理を行い(ステップS7)、続いて強制排水処理を行う(ステップS8)。自然排水処理と強制排水処理は、上述した薬液洗浄工程における自然排水処理と強制排水処理と同様に行う。すなわち、自然排水処理では、濾過槽12内の水を自重によって排水し、強制排水処理では、濾過槽12内の水を真空ポンプ56によって強制的に排水する。
【0046】
水洗浄工程において自然排水処理と吸引排水処理で排水された水は、薬液洗浄工程の場合と同様に、排水貯留槽58に貯留された後、排水処理装置に送られて排水処理される(ステップS12)。これにより、水と汚泥(難溶解性物質)が分けられ、水が再利用され(ステップS13)、汚泥(難溶解性物質)が産業廃棄物として処理される(ステップS14)。
【0047】
なお、水洗浄工程は、必要に応じて繰り返し行われる。水洗浄工程の回数は、予め実験等によって排水中の難溶解性物質の濃度が規定値以下になる回数を求めておくか、あるいは、排水中の難溶解性物質の濃度をモニタリングし、規定値以下になった際に水洗浄工程を終了するようにする。
【0048】
水洗浄工程が終了することによって、濾過槽12内の薬液と、薬液に溶解した難溶解性物が濾過槽12から除去され、土壌16の洗浄が終了する。
【0049】
土壌の洗浄が終了した後、濾過槽12から土壌16が排出され、埋め戻し処理が行われる。その際、土壌16を砂濾過層14ごと取り出して埋め戻し処理してもよい。なお、砂濾過層14の含水率は、土壌16に比べて約半分程度まで下がるので、砂濾過層14の取り出し量を調整することによって、土壌16の含水率を調整することができる。
【0050】
以上説明したように、本実施の形態の土壌洗浄装置10によれば、汚染土壌16に薬液を供給することによって、難溶解性物質のうちの溶解しやすい一部分の難溶解性物質のみを薬液に溶解させ、この溶解させた難溶解性物質をすすぎ処理(水洗浄工程)によって濾過槽12から取り出すようにしたので、土壌16中の難溶解性物質を無駄に溶解させることがなく、難溶解性物質の処理量を大幅に削減することができる。
【0051】
また、本実施の形態によれば、一回の薬液洗浄によって難溶解性物質の一部を除去するだけなので、薬液の使用量を減少させることができ、さらに溶解した難溶解性物質をすすぎ処理する水の量を減少させることができる。したがって、薬液と水の使用量を大幅に削減することができる。
【0052】
さらに本実施の形態によれば、自然排水を行ってから吸引排水を行うので、高い脱水率で土壌16から薬液や水を取り除くことができる。したがって、一回の薬液洗浄又は水洗浄における難溶解性物質の除去率が高くなるので、すすぎ処理の回数を減らすことができる。これにより、水の使用量を削減することができる。
【0053】
なお、上述した実施形態では、水供給装置30の水供給ライン32を濾過槽12の底部に接続したが、これに限定するものではなく、図4に示すように濾過槽12の側面で砂濾過層14の上側に接続するようにしてもよい。この場合には、水の供給圧を高めて複数箇所から噴出することが好ましい。これにより、供給される水によって土壌16が攪拌されるので、土壌16と水とを確実に接触させることができ、すすぎ処理の効率を高めることができる。
【0054】
また、図5に示すように、水供給ライン32を土壌16の内部まで引き延ばし、土壌16の内部に水を直接供給するようにしてもよい。この場合にも、水の供給圧を高めて複数箇所から噴出することが好ましい。これにより、供給される水によって土壌16が攪拌されるので、土壌16と水とを確実に接触させて、すすぎ処理の効率を高めることができる。
【0055】
また、上述した実施形態では、複数回の水洗浄工程を行う際に、水の排水を停止した後に水の供給を行うようにしたが、土壌16の透過性が良い場合には、排水をしながら水を供給するようにしてもよい。
【0056】
なお、上述した薬液洗浄工程で使用する薬液によっては汚染物質又は土壌構成成分との反応によって有害ガスを発生する可能性がある。その場合には、濾過槽12の上部に吸気ダクト(不図示)を設けて有害ガスを吸引し、その有害ガスを排ガス処理装置(不図示)によって無害化することが好ましい。
【0057】
上述した実施形態では、濾過槽12を一つのみ設けた例を示したが、図6に示すように、濾過槽12を複数設けることによって土壌16の処理効率を高めてもよい。図6に示す土壌洗浄装置は、三個の濾過槽12を設けた例であり、各濾過槽12には水供給ライン32と薬液ライン24が接続されている。各水供給ライン32は共通の水供給源36に接続され、各薬液ライン22は共通の薬液タンク26に接続されている。また、各濾過槽12の排水ライン40はそれぞれ、排水回収装置42を介して共通の排水処理装置46に接続される。このように構成された土壌洗浄装置は、各濾過槽12で土壌16の洗浄を行うことができ、洗浄を効率よく行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0058】
【図1】本発明に係る土壌洗浄装置の構成を示す模式図
【図2】図1の排水回収装置を示す側面断面図
【図3】土壌洗浄方法を説明するブロック図
【図4】濾過槽への水の供給位置が異なる土壌洗浄装置を示す模式図
【図5】濾過槽への水の供給位置が異なる土壌洗浄装置を示す模式図
【図6】複数の濾過槽を有する土壌洗浄装置を示す模式図
【符号の説明】
【0059】
10…土壌洗浄装置、12…濾過槽、14…砂濾過層、16…土壌、20…薬液供給装置、30…水供給装置、42…排水回収装置、46…排水処理装置、48…制御装置
【出願人】 【識別番号】000005452
【氏名又は名称】株式会社日立プラントテクノロジー
【出願日】 平成18年9月27日(2006.9.27)
【代理人】 【識別番号】100083116
【弁理士】
【氏名又は名称】松浦 憲三


【公開番号】 特開2008−80249(P2008−80249A)
【公開日】 平成20年4月10日(2008.4.10)
【出願番号】 特願2006−263455(P2006−263455)