トップ :: B 処理操作 運輸 :: B09 固体廃棄物の処理;汚染土壌の再生

【発明の名称】 汚染源の浄化システム
【発明者】 【氏名】門倉 伸行

【氏名】佐々木 静郎

【氏名】村上 順也

【氏名】加藤 武彦

【要約】 【課題】汚染源内に注入される汚染物質分解微生物を常に適正な状態に管理して、汚染源を効率よく浄化することのできる汚染源の浄化システムを提供する。

【構成】浄化水供給用タンク11から汚染領域Kに、汚染物質を分解する微生物を含んだ浄化水を供給する一方、上記汚染領域Kを通過した浄化水を回収タンク16に回収し、モニタリング装置17により上記回収水中の微生物の活性状態をモニターし、このモニタリングの結果に応じて、光照射手段14の照射強度や照射時間を制御して、活性化している微生物の数あるいは密度を増加させた後、この活性化された微生物を含んだ浄化水を、供給ポンプ11Pを介して、再度上記汚染領域Kに注入するようにした。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
汚染物質が含まれる土壌もしくは地下水を含む汚染源に、上記汚染物質を分解する微生物を含んだ浄化水を供給して上記汚染源を浄化する汚染源の浄化システムにおいて、上記汚染源を通過した浄化水を回収する手段を設けるとともに、上記回収された浄化水分中の微生物の活性化の度合に応じて、上記回収された浄化水に含まれる微生物を活性化し、この活性化された微生物を含む浄化水を上記汚染源に供給するようにしたことを特徴とする汚染源の浄化システム。
【請求項2】
汚染物質を分解する微生物を含んだ浄化水を地中の汚染源に供給する浄化水供給用パイプと、上記汚染源を通過した浄化水を回収する回収用パイプと、上記回収された浄化水中の微生物の活性化の度合をモニターする手段と、上記モニター結果に基づいて、上記回収された浄化水に光照射して、上記微生物を活性化する活性化手段とを備えるとともに、上記活性化された微生物を含む浄化水を、上記浄化水供給用パイプを介して、上記汚染源に再度供給するようにしたことを特徴とする請求項1に記載の汚染源の浄化システム。
【請求項3】
汚染物質が含まれる領域に位置する部分に複数の穴部が形成された外管と、この外管の内部に配置される、上記浄化水を加圧供給する供給用の内管と、上記内管内と上記穴部のうちの一部の穴部とを連通する噴出用部材とを備え、上記供給用パイプに送られた浄化水を、上記噴出用部材に連通する穴部を介して上記汚染源に供給するとともに、上記噴出用部材に連通していない穴部から上記内管の外壁と上記外管の内壁との間に取り込まれた上記汚染源を通過した浄化水を回収する構成の二重管を用いて、上記浄化水の供給と回収とを行うようにしたことを特徴とする請求項2に記載の汚染源の浄化システム。
【請求項4】
汚染された地下水の上流側に設けられた、上記地下水に含まれる汚染物質を分解する微生物を含んだ浄化水を上記地下水に供給する注水井戸と、上記地下水の下流側に設けられた、上記地下水の一部を汲み上げる揚水井戸と、上記汲み上げられた地下水の微生物の活性化の度合をモニターする手段と、上記モニター結果に基づいて、上記汲み上げられた地下水に光照射して、上記地下水中に含まれる微生物を活性化する活性化手段とを備えるとともに、上記活性化された微生物を含む地下水を、上記注水井戸を介して、上記地下水中に再度供給するようにしたことを特徴とする請求項1に記載の汚染源の浄化システム。
【請求項5】
汚染物質が含まれる土壌を盛土したパイルに上記汚染物質を分解する微生物を含んだ浄化水を散水する散水手段と、上記パイル中に埋設された、上記パイルに供給された浄化水を回収する回収手段と、上記回収された浄化水中の微生物の活性化の度合をモニターする手段と、上記モニター結果に基づいて、上記回収された浄化水に光照射して、上記微生物を活性化する活性化手段とを備えるとともに、上記活性化された微生物を含む浄化水を上記散水手段を介して、上記パイルに再度供給するようにしたことを特徴とする請求項1に記載の汚染源の浄化システム。

【発明の詳細な説明】【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば、汚染物質が含まれる土壌もしくは地下水などの汚染源を浄化する方法に関するもので、特に、上記汚染源に汚染物質を分解する微生物を含んだ浄化水を供給して上記汚染源を浄化する方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、重油や有機溶媒などの汚染物質が含まれる汚染土壌を浄化する方法として、上記汚染物質を分解する微生物を含んだ浄化水を上記汚染土壌が存在する領域に供給して、上記微生物による分解効果により、上記汚染物質を分解して上記汚染土壌を浄化する方法が提案されている(例えば、特許文献1,2参照)。
図9(a),(b)は、従来の汚染土壌浄化システム50の一例を示す図で、ここでは、自然状態での地下水位W1よりも低い位置に存在する揮発性有機塩素化合物で汚染された土壌(以下、汚染領域という)Mを浄化する。具体的には、分解液タンク51に収納された汚染物質分解微生物を含んだ浄化水を、注入パイプ52を介して、上記汚染領域Mに供給するとともに、上記汚染領域Mの下部側に揚水設備53を設置し、この揚水設備53のノズル孔に連通するパイプ54を介した吸引ポンプ55を用いて負圧を与えることにより、上記ノズル孔から地下水を吸引する。これにより、上記地下水位W1を浄化対象となる汚染領域Mよりも低い位置W2まで低下させて上記浄化水が注入される分解領域Nを広げることができるので、上記汚染領域Mを効率よく浄化することができる。
このとき、上記注入パイプ52により、菌活性液タンク56に収納されている微生物活性化物質を含む菌活性液を、上記汚染物質分解微生物を含んだ浄化水とともに上記汚染領域Mに供給するとともに、上記注入パイプ52及び上記揚水設備53の周りを覆う、礫などで構成された砂柱57にポンプ58に接続される注気パイプ59を取付けて上記分解領域Nに新鮮な空気を送り込んでやれば、上記分解領域Nの微生物を活性化させることができるので、上記汚染領域Mを更に効率よく浄化することができる。
【特許文献1】特開平9−276837号公報
【特許文献2】特開平9−276840号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかしながら、上記従来の浄化システムでは、菌活性液の注入や酸素の補充など、汚染領域Mに注入された汚染物質分解微生物を活性化させる手段を有してはいるが、上記微生物の活性化の度合、すなわち、汚染物質を有効に分解している微生物の数(あるいは、密度)が不明である。したがって、確実に浄化を行うためには、上記菌活性液の注入や酸素の補充などを頻繁に行わなければならなかった。また、上記微生物の中には、不活性になったまま死滅するものもあるので、汚染物質分解微生物を定期的に補充してやる必要があった。
【0004】
本発明は、従来の問題点に鑑みてなされたもので、汚染源内に注入される汚染物質分解微生物を常に適正な状態に管理して、汚染源を効率よく浄化することのできる汚染源の浄化システムを提供することを目的とする。
【0005】
本発明者らは、鋭意検討した結果、汚染源を通過した浄化水を回収して、上記回収された浄化水分中の微生物の活性化の度合をモニターするとともに、上記微生物の活性化の度合に応じて、上記浄化水に含まれる微生物を活性化してやり、この活性化された微生物を含む浄化水を再度上記汚染源に供給するようにすれば、汚染源の浄化を効率よく行うことができることを見いだし、本発明に到ったものである。
すなわち、本発明の請求項1に記載の発明は、汚染物質が含まれる土壌もしくは地下水を含む汚染源に、上記汚染物質を分解する微生物を含んだ浄化水を供給して上記汚染源を浄化する汚染源の浄化システムであって、上記汚染源を通過した浄化水を回収する手段を設けるとともに、上記回収された浄化水分中の微生物の活性化の度合に応じて、上記回収された浄化水に含まれる微生物を活性化し、この活性化された微生物を含む浄化水を上記汚染源に供給するようにしたことを特徴とするものである。
【0006】
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の汚染源の浄化システムであって、上記汚染物質を分解する微生物を含んだ浄化水を地中の汚染源に供給する浄化水供給用パイプと、上記汚染源を通過した浄化水を回収する回収用パイプと、上記回収された浄化水中の微生物の活性化の度合をモニターする手段と、上記モニター結果に基づいて、上記回収された浄化水に光照射して、上記微生物を活性化する活性化手段とを備えるとともに、上記活性化された微生物を含む浄化水を、上記浄化水供給用パイプを介して、上記汚染源に再度供給するようにしたものである。
請求項3に記載の発明は、請求項2に記載の汚染源の浄化システムにおいて、汚染物質が含まれる領域に位置する部分に複数の穴部が形成された外管と、この外管の内部に配置される、上記浄化水を加圧供給する供給用の内管と、上記内管内と上記穴部のうちの一部の穴部とを連通する噴出用部材とを備え、上記供給用パイプに送られた浄化水を、上記噴出用部材に連通する穴部を介して上記汚染源に供給するとともに、上記噴出用部材に連通していない穴部から上記内管の外壁と上記外管の内壁との間に取り込まれた上記汚染源を通過した浄化水を回収する構成の二重管を用いて、上記浄化水の供給と回収とを行うようにしたものである。
【0007】
また、請求項4に記載の発明は、請求項1に記載の汚染源の浄化システムであって、汚染された地下水の上流側に設けられた、上記地下水に含まれる汚染物質を分解する微生物を含んだ浄化水を上記地下水に供給する注水井戸と、上記地下水の下流側に設けられた、上記地下水の一部を汲み上げる揚水井戸と、上記汲み上げられた地下水の微生物の活性化の度合をモニターする手段と、上記モニター結果に基づいて、上記汲み上げられた地下水に光照射して、上記地下水中に含まれる微生物を活性化する活性化手段とを備えるとともに、上記活性化された微生物を含む地下水を、上記注水井戸を介して、上記地下水中に再度供給するようにしたものである。
請求項5に記載の発明は、請求項1に記載の汚染源の浄化システムであって、汚染物質が含まれる土壌を盛土したパイルに上記汚染物質を分解する微生物を含んだ浄化水を散水する散水手段と、上記パイル中に埋設された、上記パイルに供給された浄化水を回収する回収用パイプと、上記回収された浄化水中の微生物の活性化の度合をモニターする手段と、上記モニター結果に基づいて、上記回収された浄化水に光照射して、上記微生物を活性化する活性化手段とを備えるとともに、上記活性化された微生物を含む浄化水を上記散水パイプを介して、上記パイルに再度供給するようにしたものである。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、汚染物質が含まれる土壌もしくは地下水を含む汚染源に、上記汚染物質を分解する微生物を含んだ浄化水を供給して上記汚染源を浄化する際に、上記汚染源を通過した浄化水を回収し、上記回収された浄化水分中の微生物の活性化の度合に応じて、上記回収された浄化水に含まれる微生物を活性化し、この活性化された微生物を含む浄化水を上記汚染源に再度供給することにより、汚染領域内の汚染物質分解微生物を常に適度に活性化した状態におくことができるようにしたので、上記汚染源を効率よく浄化することができる。
上記汚染物質が含まれる土壌が地中の土壌である場合には、上記汚染物質を分解する微生物を含んだ浄化水を地中の汚染源に供給する浄化水供給用パイプと、上記汚染源を通過した浄化水を回収する回収用パイプと、上記回収された浄化水中の微生物の活性化の度合をモニターする手段と、上記モニター結果に基づいて、上記回収された浄化水に光照射して、上記微生物を活性化する活性化手段とを設けて、上記活性化された微生物を含む浄化水を、上記浄化水供給用パイプを介して、上記汚染源に再度供給するようにすれば、上記汚染物質が含まれる土壌を確実に浄化することができる。
このとき、汚染物質が含まれる領域に位置する部分に複数の穴部が形成された外管と、この外管の内部に配置される、上記浄化水を加圧供給する供給用の内管と、上記内管内と上記穴部のうちの一部の穴部とを連通する噴出用部材とを備え、上記供給用パイプに送られた浄化水を、上記噴出用部材に連通する穴部を介して上記汚染源に供給するとともに、上記噴出用部材に連通していない穴部から上記内管の外壁と上記外管の内壁との間に取り込まれた上記汚染源を通過した浄化水を回収する構成の二重管を用いて、上記浄化水の供給と回収とを行うようににすれば、パイプを埋設するための掘削孔が1つで済むので、システムの構築作業が簡易化される。
【0009】
また、汚染源が地下水である場合には、汚染された地下水の上流側に、上記地下水に含まれる汚染物質を分解する微生物を含んだ浄化水を上記地下水に供給する注水井戸を設け、上記地下水の下流側に上記地下水の一部を汲み上げる揚水井戸を設けるとともに、上記汲み上げられた地下水の微生物の活性化の度合をモニターする手段と、上記モニター結果に基づいて、上記汲み上げられた地下水に光照射して、上記地下水中に含まれる微生物を活性化する活性化手段とを設けて、上記活性化された微生物を含む地下水を、上記注水井戸を介して、上記地下水中に再度供給するようにすれば、上記地下水に常に活性化した微生物を供給することができるので、上記汚染された地下水を確実に浄化することができる。
一方、汚染源が汚染物質が含まれる土壌を盛土したパイルである場合には、浄化水供給用のパイプに代えて、上記パイルに浄化水を散水する散水手段を設けるとともに、上記パイル中に、上記パイルに供給された浄化水を回収する回収用パイプを埋して、上記回収された浄化水中の微生物の活性化の度合をモニターした後、上記モニター結果に基づいて、上記微生物を活性化して上記パイルに再度供給するようにすればよい。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
以下、本発明の最良の形態について、図面に基づき説明する。
図1は、本最良の形態に係る汚染源の浄化システム10の概要を示す図で、本例では、工場などの建物Tが建てられた敷地の直下の地中に存在する重油などの汚染物質を含んだ土壌(以下、汚染領域という)Kを浄化する。
同図において、11は汚染物質分解微生物を含んだ浄化水を収納する微生物収納タンク12から送られる浄化水と、上記微生物の栄養塩類を含んだ微生物活性液を収納する活性化液収納タンク13から送られる活性化液と、後述する回収タンク16から送られる回収水とを混合して攪拌して、上記汚染領域Kに供給する浄化水供給用タンクで、この浄化水供給用タンク11の上部には、当該タンク11内の微生物に、上記微生物の生育や機能を活性化する所定の波長の光を照射して上記微生物を再活性化するための光照射手段14が設置されている。
また、15は上記浄化水供給用タンク11内の活性化された汚染物質分解微生物(以下、単に微生物という)を含む浄化水を供給する浄化水供給用パイプと上記汚染領域K内を通過した上記浄化水を回収する浄化水回収用パイプとを一体化した二重管、16は上記二重管15で回収した浄化水(回収水)を収納する回収タンクである。
本例では、上記回収タンク16に、上記回収水中の微生物の活性状態を把握するためのモニタリング装置17を設けるとともに、上記モニタリング結果に応じて、上記浄化水供給用タンク11内の浄化水に含まれる微生物を活性化する活性化制御手段18を設けて、上記浄化水供給用タンク11から、上記二重管15を介して、上記汚染領域Kに供給される浄化水中の微生物の活性状態を制御するようにしている。
上記活性化制御手段18は、具体的には、上記モニタリングされた回収水中の微生物の活性化の度合に応じて、上記微生物収納タンク12及び上記活性化液収納タンク13から上記浄化水供給用タンク11にそれぞれ送られる浄化水及び活性化液の量を制御するとともに、上記光照射手段14の照射強度や照射時間を制御して、上記浄化水供給用タンク11内の微生物の活性状態を制御する。
【0011】
図2(a),(b)は上記二重管15の一例を示す図で、この二重管15は上記汚染領域Kに位置する部分に複数の回収用の穴部15Hと噴出用の穴部15hとが形成された外管15Aと、この外管15A内に設けられた内管15Bとを備えており、この内管15Bが上記浄化水供給用タンク11から供給ポンプ11Pを介して圧送される高圧の浄化水を上記汚染領域Kに供給するための浄化水供給用パイプに相当する。
上記内管15Bは、全体としては中空状のパイプで、このパイプの上記汚染領域Kに位置する部分には、所定の長さ毎に、上記噴出用の穴部15hと上記内管15Bに設けられた噴出口15sとを連通する噴出用部材15Cが取付けられている。この噴出用部材15Cは、取付の都合上、ゴムなどのフレキシブルな部材から構成されており、図2(a)に示すように、浄化水の噴出時には水圧により膨張する。上記浄化水供給用タンク11から圧送された浄化水は上記膨張した噴出用部材15Cから上記噴出用の穴部15hを通って汚染領域Kに注入される。なお、噴出用部材15Cは金属などで構成してもよい。
一方、上記穴部のうちの15h以外の穴部である回収用の穴部15Hからは、上記汚染領域を通過した浄化水が取り込まれる。この取り込まれた浄化水は、回収ポンプ16Pにより、上記内管15Bの外壁と上記外管15Aの内壁との間を通って上記回収タンク16に回収される。
【0012】
次に、本汚染源の浄化システム10による汚染土壌の浄化方法について説明する。
まず、汚染領域Kが存在すると予想される地盤をボーリング等で探査しておき、上記地盤内に局部的に存在する汚染領域(ホットスポット)Kの位置を割り出すとともに、上記汚染領域Kに含まれる汚染物質を特定し、この特定された汚染物質を分解するための汚染物質分解微生物を選定する。なお、特定された汚染物質を分解するための微生物は複数種あるが、本例では、上記微生物として、特定の波長の光を照射すると活性化される微生物を選択している。
次に、上記汚染領域Kに上記二重管15を埋設する。このとき、上記二重管15を、例えば、工場などの建造物Tの敷地の周縁部から上記汚染領域Kの一方の端部に挿入し、上記汚染領域Kの他方の端部まで埋設する。
上記二重管15の埋設方法としては、地山を掘削しながらパイプ材を推進して埋設する周知の曲線ボーリング装置を用いて、自由曲線掘削により埋設する方法が好ましい。このとき、上記二重管15にGPSやジャイロスコープなどの位置検出用センサを取付け、このセンサの出力に基づいて、上記二重管15を推進して埋設するようにすれば、上記汚染領域Kの形が複雑である場合でも、上記二重管15を精度よく推進して埋設することができる。
二重管15の埋設後には、上記二重管15の内管15Bと上記浄化水供給用タンク11に設けられた供給ポンプ11Pとを接続して、上記内管15B内に高圧の浄化水を圧送する。上記圧送された浄化水は、上記内管15Bの噴出用部材15Cから上記噴出用の穴部15hを通って上記汚染領域Kに注入される。
一方、上記二重管15の外管15Aに設けられた、回収用の穴部15Hからは、上記汚染領域Kを通過した浄化水が取り込まれ、回収ポンプ16Pにより、回収タンク16に回収される。
【0013】
次に、モニタリング装置17により、上記回収タンク16に回収された回収水中の微生物の活性状態を把握する。具体的には、上記回収水を所定量だけ取出して上記回収水中の環境DNAを抽出して定量し、上記活性化している微生物の数あるいは密度を算出し、この算出された微生物の数あるいは密度に基づいて、上記微生物の活性状態を判定する。
回収水中の活性化している微生物の数あるいは密度は、一般に、供給水中の微生物の数あるいは密度よりも小さくなっているので、上記活性化制御手段18は、上記活性化している微生物の減少量に基づいて、上記光照射手段14の照射強度や照射時間を制御して、上記浄化水供給用タンク11内の微生物を活性化させる制御を行い、この活性化された微生物を含んだ浄化水を、供給ポンプ11Pを介して、再度上記二重管15の内管15Bに圧送し、上記汚染領域Kに再注入する。
なお、上記光照射手段14に加えて、上記微生物収納タンク12から上記浄化水供給用タンク11に浄化水を送ったり、上記活性化液収納タンク13から活性化液を送ったりすれば、活性化している微生物の数あるいは密度を更に増加させることができる。
【0014】
このように、本最良の形態では、建物Tが建てられた敷地の直下の地中に存在する汚染物質が含まれる土壌(汚染領域)Kに、浄化水供給用タンク11から、上記汚染物質を分解する微生物を含んだ浄化水を供給する一方、上記汚染領域Kを通過した浄化水を回収タンク16に回収して、モニタリング装置17により上記回収水中の微生物の活性状態をモニターし、このモニタリングの結果に応じて、光照射手段14の照射強度や照射時間を制御したり、微生物収納タンク12から上記浄化水供給用タンク11に浄化水を送ったり、あるいは、上記活性化液収納タンク13から活性化液を送ったりするなどして、活性化している微生物の数あるいは密度を増加させた後、この活性化された微生物を含んだ浄化水を、供給ポンプ11Pを介して、再度上記汚染領域Kに注入するようにしたので、汚染領域K内の微生物を常に適度に活性化した状態におくことができる。したがって、上記汚染領域Kを効率よくかつ確実に浄化することができる。
このとき、上記汚染領域Kに位置する部分に複数の回収用の穴部15Hと噴出用の穴部15hとが形成された外管15Aと、この外管15A内に設けられた内管15Bとを備えるとともに、上記内管15Bに、所定の長さ毎に、上記噴出用の穴部15hと上記内管15Bに設けられた噴出口15sとを連通する噴出用部材15Cを取付けた構成の二重管15を作製し、この二重管15の内管15Bを上記浄化水の供給用パイプとして使用し、上記内管15Bの外壁と上記外管15Aの内壁との間の通路を回収用のパイプとして使用するようにすれば、パイプを埋設するための掘削孔が1つで済むので、システムの構築作業を簡易化できる。
また、本例では、上記二重管15を、地山を掘削しながらパイプ材を推進して埋設する自由曲線掘削により埋設するようにしているので、汚染領域Kが建物Tが建てられた敷地の直下の地中に存在した場合でも、浄化水を当該汚染領域K全体に供給することができるとともに、上記汚染領域Kを通過した浄化水を確実に回収することができるので、上記汚染領域Kを容易に浄化することができる。
【0015】
なお、上記最良の形態では、二重管15を、汚染領域Kの一方の端部に挿入し、上記汚染領域Kの他方の端部で終端させた構成なので、浄化水の供給と回収は挿入側からしかできなかったが、図3に示すように、二重管15の他端側も地上まで延長して、浄化水の供給と回収を二重管15の両側から行うようにしてもよい。
また、上記例では、二重管15を用いて浄化水の供給と回収とを行ったが、図4に示すように、供給パイプ21と回収パイプ22とを別個に設けてもよい。この場合には、パイプの構造は上記二重管15よりも単純なので、管自体のコストは安くなるが、パイプを埋設するための掘削孔が2つ必要なので、本例のように二重管15を用いたほうがシステムの構築作業が簡易化されるのでトータルとしては有利である。
また、上記例では、汚染領域Kの上部に建物Tが建てられているため、上記二重管15や上記供給パイプ21及び回収パイプ22を曲線管とし、この曲線管を自由曲線掘削により推進して埋設したが、汚染領域Kの上部が更地であったり、供給パイプ及び回収パイプパイプを埋設できる余裕がある敷地がある場合には、図5に示すように、上記汚染領域Kに注水パイプ23と揚水パイプ24を複数本埋設し、上記注水パイプ23により上記浄化水供給用タンク11の浄化水を上記汚染領域Kの上部から供給するとともに、上記揚水パイプ24により上記汚染領域Kを通過した浄化水を回収して回収タンク16に送るようにすればよい。
また、上記例では、建物Tの敷地直下の汚染領域Kの浄化について説明したが、本発明は、図6に示すような、遺棄された化学兵器Bによる二次汚染土壌Cの浄化等にも適用可能である。この場合には、地中の遺棄された化学兵器Bの存在する領域の下側が二次汚染土壌Cとなるので、この二次汚染土壌Cに本発明の汚染源の浄化システム10に用いられる二重管15を埋設して、上記微生物を含んだ浄化水の供給、回収、再供給による浄化を行えば、上記二次汚染土壌Cを効果的に浄化することができる。
【0016】
また、汚染源が地下水である場合には、図7に示すように、汚染された地下水Rの上流側に注水井戸31を設け、上記地下水の下流側に揚水井戸32を設け、供給ポンプ11Pにより、浄化水供給用タンク11からの微生物を含んだ浄化水を上記注水井戸31に注入し、上記地下水Rの上流側から上記地下水R中に汚染物質を分解する微生物を含んだ浄化水を混入させるとともに、上記地下水Rの下流側において、上記地下水Rの一部を揚水井戸32で汲み上げてこれを回収タンク16に送るような構成の汚染源の浄化システム30を構築すればよい。上記汲み上げられた地下水は、上記最良の形態の場合と同様に、モニタリングされるとともに、上記モニタリング結果に基づいて、上記汲み上げられた地下水に光照射して、上記地下水中に含まれる微生物を活性化する。この活性化された微生物を含む浄化水は、上記注水井戸31を介して、上記地下水R中に再度供給されるので、上記地下水Rに常に活性化した微生物を供給することができる。したがって、このような、汚染源の浄化システム30を用いれば、上記汚染された地下水Rを確実にかつ、効率よく浄化することができる。
【0017】
一方、図8に示すように、汚染源が、例えば、ストックヤードYに盛土された汚染物質が含まれる土壌(以下、汚染パイルという)Pである場合には、上記汚染パイルPの上部に設けられた散水手段41と、上記汚染パイルPとストックヤードYの地面との間に敷設された遮水層42との間に設けられた水回収用のトレイ(図示せず)とを備えた汚染源の浄化システム40を構築し、上記汚染パイルPの下部側から染み出して上記トレイに蓄積された浄化水を回収ポンプ16Pを用いて回収タンク16に回収するようにすればよい。上記回収水は、上記最良の形態の場合と同様に、モニタリングされるとともに、上記モニタリング結果に基づいて、上記回収水に光照射して、上記回収水中に含まれる微生物を活性化する。この活性化された微生物を含む浄化水は、上記散水手段41を介して、上記汚染パイルPに再度供給される。したがって、このような、汚染源の浄化システム40を用いれば、上記汚染パイルPについても、効率よくかつ確実に浄化することができる。
【産業上の利用可能性】
【0018】
以上説明したように、本発明により、汚染物質が含まれる土壌もしくは地下水を含む汚染領域内の汚染物質分解微生物を常に適度に活性化した状態におくことができるので、上記汚染源を効率よく浄化することができる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】本最良の形態に係る汚染源の浄化システムの概要を示す図である。
【図2】本最良の形態に係る二重管の一構成例を示す図である。
【図3】本発明による汚染源の浄化システムの他の構成を示す図である。
【図4】本発明による汚染源の浄化システムの他の構成を示す図である。
【図5】汚染源の上部に建物がない場合の浄化システムを示す図である。
【図6】本発明による遺棄された化学兵器による二次汚染土壌の浄化方法を示す図である。
【図7】汚染源が地下水である場合の浄化システムの概要を示す図である。
【図8】盛土した汚染土壌を浄化する浄化システムの概要を示す図である。
【図9】従来の汚染土壌の浄化方法を示す図である。
【符号の説明】
【0020】
10,30,40 汚染源の浄化システム、11 浄化水供給用タンク、
11P 供給ポンプ、12 微生物収納タンク、13 活性化液収納タンク、
14 光照射手段、15 二重管、15A 外管、15B 内管、
15H 回収用の穴部、15h 噴出用の穴部、15a 移送部、15b 噴出部、
16 回収タンク、16P 回収ポンプ、17 モニタリング装置、
18 活性化制御手段、21 供給パイプ、22 回収パイプ、23 注水パイプ、
24 揚水パイプ、31 注水井戸、32 揚水井戸、41 散水手段、42 遮水層、
K 汚染領域、T 建物、B 化学兵器、C 二次汚染土壌、R 地下水、
P 汚染パイル、Y ストックヤード。
【出願人】 【識別番号】000001317
【氏名又は名称】株式会社熊谷組
【出願日】 平成18年9月6日(2006.9.6)
【代理人】 【識別番号】100080296
【弁理士】
【氏名又は名称】宮園 純一


【公開番号】 特開2008−62154(P2008−62154A)
【公開日】 平成20年3月21日(2008.3.21)
【出願番号】 特願2006−241327(P2006−241327)