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【発明の名称】 有害金属の溶出低減固化法および有害金属の溶出低減固化材
【発明者】 【氏名】木虎 智子

【氏名】玉田 裕二

【氏名】吉田 雅彦

【要約】 【課題】

【構成】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
鉄塩と高炉スラグとを含有し、且つ該高炉スラグよりもアルカリ度の高い材料を実質的に含有しない有害金属溶出低減材を、
有害金属に汚染された地盤中の土壌に添加および混合し、
該土壌に、酸化マグネシウムを添加および混合することにより、
前記有害金属の溶出低減および土壌の固化を行うことを特徴とする有害金属の溶出低減固化法。
【請求項2】
鉄塩と高炉スラグとを含有し、且つ該高炉スラグよりもアルカリ度の高い材料を実質的に含有しない有害金属溶出低減材と、
酸化マグネシウムとを、
同時に、有害金属に汚染された地盤中の土壌に添加および混合することにより、
有害金属の溶出低減および土壌の固化を行うことを特徴とする有害金属の溶出低減固化法。
【請求項3】
前記有害金属溶出低減材100重量部に対して、酸化マグネシウムを50〜400重量部用いる請求項1または2記載の有害金属の溶出低減固化法。
【請求項4】
鉄塩と高炉スラグとを含有し、且つ該高炉スラグよりもアルカリ度の高い材料を実質的に含有しない有害金属溶出低減材と、
酸化マグネシウムとが、
含まれてなることを特徴とする有害金属の溶出低減固化材。
【請求項5】
前記有害金属溶出低減材100重量部に対して、酸化マグネシウムを50〜400重量部含まれてなる請求項4記載の有害金属の溶出低減固化材。
【発明の詳細な説明】【技術分野】
【0001】
本発明は、有害金属の溶出低減固化方法および有害金属の溶出低減固化材に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、工場跡地等の土壌が、重金属等の有害物で汚染されていることが問題となっている。重金属等の有害金属を含有した土壌等については、環境基準が定められており、かかる基準以下にするために、種々の方法が実施等されている。
【0003】
重金属等の有害金属で汚染された地盤中の土壌等の処理に関しては、例えば、セメント系固化材の水和生成物を用いて、有害金属を吸着または固定化する方法(特許文献1)、石灰系固化材を用いて、有害金属から難溶性物質を生成または固定化させる方法(特許文献2)等が知られている。また、酸化マグネシウムとpH調整剤として硫酸鉄等とを用いて固化させる方法(特許文献3)が知られている。
【特許文献1】特開2000−308863号公報
【特許文献2】特開2000−120059号公報
【特許文献3】特開2003−334526号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、有害金属の濃度が高い土壌や各種金属により汚染されている複合汚染土壌等に対しては、前記特許文献等に記載された方法では、有害金属の溶出を低減させる能力が不十分である場合もあり、有害金属の溶出を低減させる能力の更なる向上が要望されている。かかる要望を満足させるものとして、本発明者らは、特願2005−365852において、鉄塩と高炉スラグとを含有し、且つ高炉スラグよりもアルカリ度の高い材料を実質的に含有しない有害金属溶出低減材を提案した。しかし、該有害金属溶出低減材は、それ自体には土壌を固化させる能力がなく、また、汎用のセメント系固化材や石灰系固化材と併用すると十分溶出低減効果が維持できないことが確認され、有害金属の溶出低減と土壌の固化強度(地耐力)向上との両方を行いたい場合には、適用が困難であった。
【0005】
本発明は、上記欠点および要望に鑑みてなされたものであり、土壌からの有害金属の溶出を実質的に抑制し、且つ該土壌の固化強度(地耐力)を向上させる有害金属の溶出低減固化方法を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明者らは、上記課題を解決すべく鋭意研究を重ねた結果、所定の有害金属溶出低減材と酸化マグネシウムとを用いて、有害金属で汚染された地盤中の土壌を処理する方法により、上記課題が解決されることを見いだし、本発明を完成するに至った。
【0007】
即ち、本発明は、鉄塩と高炉スラグとを含有し、且つ該高炉スラグよりもアルカリ度の高い材料を実質的に含有しない有害金属溶出低減材を、有害金属に汚染された地盤中の土壌に添加および混合し、該土壌に、酸化マグネシウムを添加および混合することにより、前記有害金属の溶出低減および土壌の固化を行うことを特徴とする有害金属の溶出低減固化法を提供する。
かかる方法によれば、有害金属溶出低減材と酸化マグネシウムとが用いられることで、土壌中の有害金属の溶出が実質的に抑制され、且つ該土壌の固化強度(地耐力)を向上させることができる。
【0008】
また、本発明は、鉄塩と高炉スラグとを含有し、且つ該高炉スラグよりもアルカリ度の高い材料を実質的に含有しない有害金属溶出低減材と、酸化マグネシウムとを、同時に、有害金属に汚染された地盤中の土壌に添加および混合することにより、有害金属の溶出低減および土壌の固化を行うことを特徴とする有害金属の溶出低減固化法を提供する。
かかる方法によれば、有害金属溶出低減材と酸化マグネシウムとを同時に、有害金属に汚染された地盤中の土壌に添加および混合することで、土壌中の有害金属の溶出が抑制され、当該土壌の固化強度(地耐力)を向上でき、更に、作業性も向上させることができる。
【0009】
更に、本発明は、鉄塩と高炉スラグとを含有し、且つ該高炉スラグよりもアルカリ度の高い材料を実質的に含有しない有害金属溶出低減材と、酸化マグネシウムとが、含まれている有害金属の溶出低減固化材を提供する。
かかる有害金属の溶出低減固化材により、土壌中の有害金属の溶出が抑制され、当該土壌が固化される。
【発明の効果】
【0010】
本発明の有害金属の溶出低減固化法によれば、有害金属が含まれている土壌からの有害金属の溶出を抑制することができ、且つ該土壌の固化強度(地耐力)を向上させることができるという優れた効果を奏する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
本発明の有害金属の溶出低減固化法は、鉄塩と高炉スラグとを含有し、且つ該高炉スラグよりもアルカリ度の高い材料を実質的に含有しない有害金属溶出低減材と、酸化マグネシウムとを用いて、有害金属の溶出低減および固化を行う方法である。
【0012】
本発明で用いられる前記有害金属溶出低減材は、鉄塩と高炉スラグとを含有し、且つ該高炉スラグよりもアルカリ度の高い材料を実質的に含有しないものである。前記有害金属溶出低減材は、例えば、有害金属が含有されている土壌に用いた場合、該有害金属の溶出を実質的に抑制させることができる。また、前記有害金属溶出低減材によれば、有害金属の溶出を抑制させる効果を、安定的に発揮させることができる。前記有害金属溶出低減材によれば、有害金属の溶出に関して、環境基準を容易に達成することができる。
【0013】
また、本発明で用いられる前記有害金属溶出低減材は、鉄塩と高炉スラグとを含有し、且つ該高炉スラグよりもアルカリ度の高い材料を実質的に含有しないものであるため、使用に際して、発熱が実質的に発生しないという優れた性質を有する。
【0014】
本明細書において、「高炉スラグよりもアルカリ度の高い材料を実質的に含有しないものである」とは、高炉スラグよりもアルカリ度の高い材料が配合されていないこと、好ましくは慣用の分析法により、有害金属の溶出低減材の組成を分析した場合、高炉スラグよりアルカリ度の高い材料が5重量%未満であることを意味する。高炉スラグよりアルカリ度の高い材料としては、具体的には、セメント、消石灰等が挙げられる。
【0015】
本明細書において、「有害金属」とは、クロム、ヒ素、セレン、鉛、カドミウム等の重金属を意味する。また、前記重金属は、土壌汚染対策法において、環境基準が定められているものを意味する。前記有害金属には、当該有害金属と他の物質との複合体、該有害金属から誘導される化合物等の概念も含まれる。
【0016】
前記有害金属としては、例えば、六価クロムイオンまたは六価クロム化合物、ヒ素イオンまたは水溶性ヒ素化合物等が挙げられる。前記六価クロム化合物としては、例えば、二クロム酸カリウム等の二クロム酸塩;クロム酸カリウム等のクロム酸塩等が挙げられる。また、前記水溶性ヒ素化合物としては、例えば、亜ヒ酸カリウム等の亜ヒ酸塩;ヒ酸カリウム等のヒ酸塩等が挙げられる。
【0017】
本発明で用いられる有害金属溶出低減材に含有されている鉄塩としては、例えば、硫酸第一鉄、塩化第一鉄等の水溶性の第一鉄塩;硫酸第二鉄、塩化第二鉄等の水溶性の第二鉄塩等が挙げられる。これらの中でも、前記鉄塩としては、好ましくは、硫酸第一鉄および塩化第二鉄である。前記硫酸第一鉄および塩化第二鉄は、単独で、または混合して用いられる。例えば、前記鉄塩として、硫酸第一鉄および/または塩化第二鉄を含有した有害金属溶出低減材は、有害金属が含まれている土壌に対して用いた場合、土壌からの有害金属(例えば、六価クロムイオン、ヒ素イオン等)の溶出を十分に抑制することができるという効果を発揮する。
【0018】
本発明で用いられる有害金属溶出低減材は、高炉スラグを含有しているため、有害金属等を保持するという優れた効果を発揮する。また、本発明で用いられる有害金属溶出低減材によれば、高炉スラグを含有しているため、前記鉄塩を更に含有していることと相俟って、前記鉄塩の能力を十分に発揮させることができる。そのため、本発明に用いられる有害金属溶出低減材によれば、有害金属の溶出抑制効果が得られると共に、有害金属の再溶出を実質的に抑制できるという優れた効果を発揮する。
【0019】
本発明で用いられる有害金属溶出低減材に含有されている高炉スラグとしては、溶鉱炉において鉄鉱石から銑鉄を生産する際に生成する高炉スラグ等であればよい。前記高炉スラグは、水砕スラグまたは徐冷スラグの何れであってもよい。前記高炉スラグは、より具体的には、例えば、JIS A 6206で規定された高炉スラグ微粉末、JIS A 5011で規定された高炉スラグ骨材の破砕物等が挙げられる。
【0020】
前記鉄塩100重量部に対する前記高炉スラグの配合量は、有害金属の不溶化効果を十分に発揮させる観点から25重量部以上、好ましくは50重量部以上であり、有害金属の保持力を十分に発揮させる観点から、900重量部以下、汚染土壌に対する効果を十分に発揮させる観点からは、好ましくは、400重量部以下、より好ましくは、250重量部以下である。前記鉄塩に対する高炉スラグの配合量が、上記の如き範囲内にあれば、有害金属の溶出の低減効果をより好適に発揮できる。特に、鉄塩が、塩化第二鉄である場合、塩化第二鉄100重量部に対する高炉スラグの配合量は、有害金属に汚染された地盤中の土壌に適用した場合の有害金属の不溶化効果を十分に発揮させる観点から、50重量部以上であり、有害金属に汚染された地盤中の土壌に対する効果を十分に発揮させる観点から、好ましくは、400重量部以下、より好ましくは250重量部以下であることが望ましい。
【0021】
本発明で用いられる有害金属溶出低減材には、本発明の目的を妨げないものであれば、他の成分が更に配合されていてもよい。かかる成分としては、例えば、無水石膏、二水石膏等の石膏類;カオリン、ベントナイト等の粘土鉱物類;ゼオライト、アパタイト等の金属イオン交換体類等が挙げられる。
【0022】
本発明で用いられる有害金属溶出低減材による有害金属の溶出の抑制効果は、有害金属が、六価クロムまたはヒ素の場合、環境省(旧環境庁)告示46号試験に準じて、前記有害金属溶出低減材の供給前および供給後それぞれについて、有害金属に汚染された地盤中の土壌からの有害金属の溶出試験を行い、有害金属の溶出量を、誘導結合プラズマ(ICP)発光分光分析装置、水素化物原子吸光分析装置等を用いて測定し、それぞれを比較することにより評価される。尚、本明細書において、「有害金属の溶出を実質的に抑制すること」とは、かかる評価手法により評価して、有害金属の溶出が検出されなくなるか、または有害金属の溶出量が低下することを意図する。
【0023】
本発明で用いられる酸化マグネシウム(MgO)としては、特に限定されるものではなく、市販等されているものを適宜使用できる。本発明で用いられる酸化マグネシウムは、前記有害金属溶出低減材100重量部に対して好ましくは50〜400重量部もちいられ、より好ましくは100〜200重量部用いられる。
【0024】
本発明で用いられる酸化マグネシウムは、単に土壌の固化強度を向上させるという効果を発揮するのみならず、前記有害金属溶出低減材と併用することで、前記有害金属溶出低減材を単独で用いる場合に比べより一層有害金属の溶出が抑制され、且つ有害金属の溶出が抑制された土壌の固化強度(地耐力)を向上させるという優れた効果を発揮する。本発明の有害金属の溶出低減固化材によれば、有害金属溶出低減材に含有されている鉄塩と高炉スラグとが相俟って、有害金属の溶出が実質的に抑制されるという優れた効果を発揮し、更に、前記有害金属溶出低減材と酸化マグネシウムとが相俟って、より一層有害金属の溶出が抑制され、且つ有害金属の溶出が抑制された土壌の固化強度(地耐力)が向上するという優れた効果を発揮する。
【0025】
次に、本発明の有害金属溶出低減固化法について説明する。
【0026】
(第1実施形態)
まず、第1実施形態として、有害金属溶出低減材を添加した後、酸化マグネシウムを添加する固化法について説明する。本第1実施形態の有害金属溶出低減固化法において、まず、前記有害金属溶出低減材は、粉体またはスラリーとして土壌に供給される。前記スラリーは、例えば、水と前記有害金属溶出低減材とからなるスラリー等が挙げられる。前記スラリーにおいて、前記有害金属溶出低減材に対する水の重量比は、土壌に対して、実質的に均一に混合することができる範囲であればよく、良好な混練性を得る観点から、0.5以上、好ましくは、0.8以上であることが望ましく、材料の分離を防止する観点から、1.5以下、好ましくは、1.2以下であることが望ましい。
【0027】
土壌への前記有害金属溶出低減材の供給は、土壌への散布、土壌との混合等またはこれらの組み合わせ等により行うことができる。前記有害金属溶出低減材の供給は、具体的には、例えば、処理の対象となる土壌に前記有害金属溶出低減材を粉体の形態で散布し混合すること、処理の対象となる土壌に前記有害金属溶出低減材をスラリーの形態で供給し混合すること等により行われる。
【0028】
有害金属で汚染された土壌に対する前記有害金属溶出低減材の使用量は、土壌の汚染状況に応じて適宜設定される。前記有害金属溶出低減材は、有害金属で汚染された土壌に対して、良好な混練性を得る観点から、土壌(乾燥土壌の重量として換算)中に、2重量%以上、好ましくは5重量%以上、経済性の観点から50重量%以下の濃度となるように供給されることが望ましい。
【0029】
次に、前記有害金属溶出低減材で処理を行った土壌に、前記酸化マグネシウムが、粉体またはスラリーとして当該土壌に供給される。前記スラリーは、例えば、水と前記酸化マグネシウムとからなるスラリー等が挙げられる。前記スラリーにおいて、前記酸化マグネシウムに対する水の重量比は、土壌に対して、実質的に均一に混合することができる範囲であればよく、良好な混練性を得る観点から、0.5以上、好ましくは、0.8以上であることが望ましく、材料の分離を防止する観点および強度低下防止の観点から、3.0以下、好ましくは、1.5以下であることが望ましい。
【0030】
前記有害金属溶出低減材が供給された土壌への前記酸化マグネシウムの供給は、土壌への散布、土壌との混合等またはこれらの任意の組み合わせ等により行うことができる。前記酸化マグネシウムの供給は、具体的には、例えば、処理の対象となる土壌に前記酸化マグネシウムを粉体の形態で散布し混合すること、処理の対象となる土壌に前記酸化マグネシウムをスラリーの形態で供給し混合すること等により行われる。
【0031】
前記酸化マグネシウムの添加量は、土壌(乾燥土壌の重量として換算)中に2重量%〜50重量%、好ましくは、5重量%〜20重量%となる量とすることが望ましい。酸化マグネシウムの添加量が、上記範囲内であれば、有害金属の溶出が実質的に抑制され、且つ有害金属の溶出が抑制された土壌の固化強度(地耐力)が向上するという優れた効果を発揮する。
【0032】
前記実施形態1においては、有害金属溶出低減材を土壌に供給した直後に前記酸化マグネシウムを土壌に供給してもよく、また、前記有害金属溶出低減材が土壌に供給された後、所定の時間を経て前記酸化マグネシウムを土壌に供給してもよい。
【0033】
(第2実施形態)
本第2実施形態は、有害金属溶出低減材と酸化マグネシウムとを、同時に、土壌に供給および混合する実施形態である。尚、有害金属溶出低減材、酸化マグネシウムの添加量や土壌への供給手段等は前記第1実施形態と同様であるため、第2実施形態においては、その説明を省略する。有害金属溶出低減材と酸化マグネシウムとが、同時に土壌に供給されることで、前記第1実施形態と同程度に有害金属の溶出が実質的に抑制され、且つ土壌の固化強度が維持され、更に、前記第1実施形態と比較して、より一層作業性が向上する。
【0034】
有害金属溶出低減材と酸化マグネシウムとを、同時に土壌に供給する方法としては、有害金属溶出低減材と酸化マグネシウムとを別々にしておき、供給時に同時に添加されるように土壌に供給する方法、予め有害金属溶出低減材と酸化マグネシウムとをプレミックスしておき、プレミックスした材料(有害金属の溶出低減固化材)を土壌に供給する方法等が挙げられる。有害金属溶出低減材と酸化マグネシウムとをプレミックスさせる場合の混合比は、前記と同様である。
【0035】
前記有害金属溶出低減材と前記酸化マグネシウムとがプレミックスされる場合には、予め土壌中の有害金属量等を算出し、有害金属の溶出を抑制させ且つ固化させるのに必要な量の金属溶出低減材と酸化マグネシウムとを混合ておくことが望ましい。有害金属溶出低減材と酸化マグネシウムとがプレミックスされた材料を用いることで、より一層作業性が向上する。
【0036】
プレミックスされた材料は、前記の如き有害金属で汚染された土壌に対する前記有害金属溶出低減材の使用量の範囲と、前記の如き汚染土壌に対する酸化マグネシウムの添加量の範囲で混合されたものである。かかる範囲内で、有害金属溶出低減材と酸化マグネシウムとを混合してプレミックスされた材料とすることで、有害金属が含まれている土壌からの有害金属の溶出を実質的に抑制することができ、且つ有害金属の溶出を実質的に抑制した土壌の固化強度(地耐力)を向上させることができるという優れた効果を発揮する。また、有害金属溶出低減材と酸化マグネシウムとがプレミックスされた材料は、金属溶出低減材と酸化マグネシウムとを予め十分に混合しておくことにより、処理対象土全体をほぼ均一な状態になるように溶出低減および固化させることができるという効果を発揮する。
【0037】
以下、本発明を実施例等により詳細に説明するが、本発明は、かかる実施例に限定されるものではない。
【実施例】
【0038】
(クロム・ヒ素汚染土壌の調製)
砂質土(千葉県成田市産出)1kg(乾燥重量)あたり、二クロム酸カリウム(K2Cr27)150mgと、亜ヒ酸カリウム(KAsO2)200mgとを添加し、試験土壌を得た。
【0039】
(クロム・ヒ素溶出濃度の測定方法)
処理後の土壌をガラス製容器に入れ、風乾させた。次いで、乾燥した土壌から、中小礫、木片等を除き、且つ土塊および団粒を粗砕した。その後、得られた産物を非金属製の2mm目の篩を通過させ、得られた土壌を充分に混合し、試料を得た。純水に塩酸を添加して、pH5.8〜6.3に調製することにより得られた溶液を溶出用溶液とし、試料(g)と溶出用溶液(ml)とを、重量体積比(g/ml)10%の割合で、500ml以上の容量となるように混合した。得られた混合物を、常温(約20℃)、常圧(約1.01325×105Pa)で200回、振とう幅4〜5cmで、6時間連続して振とうさせた。
その後、得られた混合物を、10〜30分間、静置させた。次いで、静置後の混合物を、3000rpmで20分間の遠心分離に供し、上清を得た。得られた上清を、孔径45μmのメンブランフィルターで濾過して濾液を得た。濾液中におけるクロム濃度の測定は、ICP発光分光分析装置(株式会社パーキンエルマージャパン製、商品名:OPTIMA3000)に濾液を供し、環境庁告示46号試験に準じて測定することにより行った。また、濾液中におけるヒ素濃度の測定は、水素化物発生原子吸光分析装置(株式会社日立製作所、商品名:Z−5000)に濾液を供し、環境庁告示46号試験に準じて測定することにより行った。
【0040】
(強度試験用供試体作製方法)
強度試験用供試体は、地盤工学会基準「安定処理土の締固めをしない供試体作製方法」(JGS0821−2000)に準拠して作製した。
【0041】
(一軸圧縮試験方法)
前記供試体の一軸圧縮試験は、日本工業規格「土の一軸圧縮試験方法」(JISA1216)に準拠して測定した。
【0042】
(実験番号1)
硫酸第一鉄(関東化学株式会社製、試薬特級)100重量部に対して、高炉スラグ(住金鹿島株式会社製)100重量部を配合した溶出低減材を試料とした。
【0043】
(実験番号2)
硫酸第一鉄(関東化学株式会社製、試薬特級)100重量部に対して、高炉スラグ(住金鹿島株式会社製)100重量部を配合した溶出低減材と、固化材として高炉セメント(住友大阪セメント株式会社製)200重量部とを用いて試料とした。尚、試験土壌に溶出低減材を添加してから、7日後に固化材を添加した。
【0044】
(実験番号3)
固化材として半水石膏(関東化学株式会社製、試薬1級)200重量部を用いた以外、前記実験番号2と同様にして、試料とした。尚、試験土壌に溶出低減材を添加してから、7日後に固化材を添加した。
【0045】
(実験番号4)
固化材として酸化マグネシウム(日本海水化工株式会社製)200重量部を用いた以外、前記実験番号2と同様にして、試料とした。尚、試験土壌に溶出低減材を添加してから、7日後に固化材を添加した。
【0046】
(実験番号5)
固化材として水酸化カルシウム(マルアイ石灰工業株式会社製)200重量部を用いた以外、前記実験番号2と同様にして、試料とした。尚、試験土壌に溶出低減材を添加してから、7日後に固化材を添加した。
【0047】
(実験番号6)
溶出低減材として硫酸第一鉄200重量部と、固化材として酸化マグネシウム200重量部とを用いて、試料とした。尚、試験土壌に溶出低減材を添加してから、7日後に固化材を添加した。
【0048】
(実験番号7)
固化材として酸化マグネシウム200重量部を用いて試料とした。
【0049】
(実験番号8)
固化材として酸化マグネシウム200重量部を用いた以外、前記実験番号2と同様にして、試料とした。尚、試験土壌に溶出低減材と固化材とを同時に添加した。
【0050】
以下、表1に各実験番号の組成を示す。
【0051】
【表1】


【0052】
(試験例1〜試験例8)
試験土壌への各実験番号で示す試料の供給は、溶出低減材、固化材とも各々試験土壌乾燥重量換算で前記試験土壌中5重量%となるように調製した。溶出低減材は、溶出低減材に対する水の重量比(水/溶出低減材)を0.8に調製したスラリーとして供給した。固化材は、実験番号2、3のみ固化材に対する水の重量比(水/固化材)を0.8に調製したスラリーとして供給した。材令7日、材令28日後のクロム溶出濃度、ヒ素溶出濃度および一軸圧縮強度を測定した。その結果を表2に示す。尚、クロムの溶出基準は、0.05mg/l以下であり、ヒ素の溶出基準は、0.01mg/l以下である。また、材令とは、固化材を加えてからの日数を意味する。
【0053】
【表2】


表2中の対照とは、調製したクロム・ヒ素汚染土壌である。
【0054】
試験例1〜5の結果を図1および図2に示した。その結果、溶出低減材と酸化マグネシウムとを用いた試験例4において、材令28日後、クロムの溶出が検出限界以下になっていることが判明した。また、溶出低減材と酸化マグネシウムとを用いた試験例4において、他の試験例と比較して、ヒ素の溶出が抑制されていることが判明した。
【0055】
試験例1、4、6、7、8の結果を図3および図4に示した。クロム溶出試験においては、試験例4(金属溶出低減材を添加し、所定期間経過後酸化マグネシウムを添加した系)と試験例8(金属溶出低減材と酸化マグネシウムとを同時に添加した系)とでほぼ同程度の抑制効果があることが判明した。また、ヒ素溶出試験においては、試験例4と試験例8とでほぼ同程度の抑制効果があることが判明した。また、試験例6と試験例4とを比較した場合、高炉スラグが添加されている方が、クロムおよびヒ素の溶出が抑制されていることが判明した。
【0056】
試験例1、4、7、8および対照の結果を図5に示した。一軸圧縮強さ試験においては、試験例4と試験例8とで材令28日の一軸圧縮強度が向上していることが判明した。また、試験例4(金属溶出低減材を添加し、所定期間経過後酸化マグネシウムを添加した系)においては、材令28日の一軸圧縮強度がより向上していることが判明した。
【産業上の利用可能性】
【0057】
本発明によれば、有害金属で汚染された土壌、特にクロム・ヒ素汚染土壌からの有害金属の溶出が実質的に抑制され、且つ溶出が抑制された土壌の固化強度(地耐力)の向上が可能になる。
【図面の簡単な説明】
【0058】
【図1】固化材の種類を替えた場合のクロム溶出濃度を表すグラフ。
【図2】固化材の種類を替えた場合のヒ素溶出濃度を表すグラフ。
【図3】金属溶出低減材と固化材の添加時期を替えた場合のクロム溶出濃度を表すグラフ。
【図4】金属溶出低減材と固化材の添加時期を替えた場合のヒ素溶出濃度を表すグラフ。
【図5】一軸圧縮強度を表すグラフ。
【出願人】 【識別番号】000183266
【氏名又は名称】住友大阪セメント株式会社
【出願日】 平成18年3月31日(2006.3.31)
【代理人】 【識別番号】100074332
【弁理士】
【氏名又は名称】藤本 昇

【識別番号】100114421
【弁理士】
【氏名又は名称】薬丸 誠一

【識別番号】100114432
【弁理士】
【氏名又は名称】中谷 寛昭

【識別番号】100117204
【弁理士】
【氏名又は名称】岩田 徳哉


【公開番号】 特開2008−49210(P2008−49210A)
【公開日】 平成20年3月6日(2008.3.6)
【出願番号】 特願2006−99207(P2006−99207)