トップ :: B 処理操作 運輸 :: B09 固体廃棄物の処理;汚染土壌の再生

【発明の名称】 溶融飛灰の処理方法
【発明者】 【氏名】ミルヴァリエフ リナート
【氏名】長谷川 望
【氏名】清水 隆
【氏名】西山 茂
【氏名】田中 道広
【課題】重金属を溶かさずに、飛灰の減容化を図るとともに、製錬工程で発生する酸性廃液を効率的に活用する。

【解決手段】本発明は、有価金属成分とカルシウム成分と塩素成分とを含有する溶融飛灰を処理する方法である。先ず浸出・共沈工程11で溶融飛灰に塩酸及び硫酸を質量濃度比で(10:1)〜(1:10)含有する酸性液を添加して撹拌し、溶融飛灰からカルシウム成分の大部分と塩素成分を浸出してpH7〜10の浸出液を生成するとともに、有価金属成分のうち酸性液に溶出した有価金属のイオンを共沈させる。次に固液分離工程12で溶融飛灰中のカルシウム成分の一部と有価金属の共沈物とを含有する固形分を、上記浸出液から分離する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
有価金属成分とカルシウム成分と塩素成分とを含有する溶融飛灰を処理する方法において、
前記溶融飛灰に硫酸及び塩酸を質量濃度比で(10:1)〜(1:10)含有する酸性液を添加して撹拌し、前記溶融飛灰から前記カルシウム成分の大部分と前記塩素成分を浸出してpH7〜10の浸出液を生成するとともに、前記有価金属成分のうち前記酸性液に溶出した前記有価金属のイオンを共沈させる浸出・共沈工程と、
前記溶融飛灰中の前記カルシウム成分の一部と前記有価金属の共沈物とを含有する固形分を、前記浸出液から分離する固液分離工程と
を含むことを特徴とする溶融飛灰の処理方法。
【請求項2】
塩酸及び硫酸を含有する酸性液が製錬工程で発生する酸性廃液である請求項1記載の溶融飛灰の処理方法。
【請求項3】
固液分離工程で浸出液が除去された固形分を水で洗浄した後に、この洗浄後の水を浸出・共沈工程に供給する請求項1記載の溶融飛灰の処理方法。
【発明の詳細な説明】【技術分野】
【0001】
本発明は、都市ごみや産業廃棄物を溶融したときに生じる溶融飛灰や、都市ごみや産業廃棄物を焼却したときに生じた焼却飛灰を更に溶融したときに生じる溶融飛灰を処理する方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、溶融飛灰の多くは薬剤などにより固化され埋立て処分されているけれども、近年、埋立て地の確保が困難になり、飛灰の減容化が要望されていた。この減容化の一つの方法として、飛灰の処理方法が開示されている(例えば、特許文献1参照。)。この特許文献1に示された飛灰の処理方法は、塩素含有溶融飛灰を予め、水又は酸で洗浄して脱塩素処理した後、固形分を金属製錬炉に投入し、フラックスとして利用する飛灰の減容化方法である。この特許文献1に記載された洗浄用の水を製錬所廃水とした飛灰の処理方法が開示されている(例えば、特許文献2参照。)。具体的には、特許文献2に示された飛灰の処理方法では、第1工程で塩素とカルシウムと重金属を含む飛灰を水洗して第1残渣と第1液に分離し、第2工程で上記第1残渣を水洗して第2残渣と第2液に分離し、第1工程における水洗に第2工程で得られた第2液を使用し、更に第2工程における水洗に製錬所廃水を使用する。また第3工程で上記第1液を中和剤により中和して第3残渣と第3液に分離し、第3工程における中和剤として製錬所工程内液(酸性液)を使用する。この製錬所工程内液は、鉱石の酸による浸出後の液、電解製錬における使用後の液、或いはその他製錬所内から発生する廃酸液などをいい、主に酸性である。
このように構成された飛灰の処理方法では、飛灰の水洗に使用する用水や、飛灰の水洗後に得られる水洗水を中和するために使用する中和剤のランニングコストの増加を防止でき、飛灰の水洗後に得られる残渣を活用できるようになっている。
【特許文献1】特許第3374728号公報(請求項1)
【特許文献2】特開2003−290736号公報(請求項1、2及び4、段落[0027]、段落[0049])
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
多くの飛灰には、未反応消石灰、水酸化ナトリウム、炭酸カルシウムなどのアルカリ成分が含まれるため、飛灰を水で洗浄するときに、スラリーが強アルカリ性になり、両性金属イオン(Zn、Pb、Alなど)が溶出し、廃水処理へ負荷がかかってしまう不具合があった。ここで、飛灰の浸出液を廃水処理に送る前に、鉱酸を添加してpH調整した後に、重金属分を沈殿してろ別する一般的な方法として知られている。しかし、これは経済的に無駄が多いシステムであった。鉱酸の代りに、上記特許文献2に示された飛灰の処理方法では、酸性の製錬所工程内液を使用し、飛灰の浸出液を中和している。
しかし、上記従来の特許文献2に示された飛灰の処理方法では、飛灰中のCa(OH)2、CaCO3のようなアルカリ性成分がアルカリ溶液中では殆ど溶出しないため、中和剤として必要な酸(製錬所工程内液)の使用量は僅かである。このため、飛灰の減容化があまり進まず、重金属分が溶けていく問題点があった。
また上記従来の特許文献2に示された飛灰の処理方法では、第2工程が必要であるとともに、中和工程で生成される石膏が中和残渣の主成分として製錬工程に送られるため、工程が増大し、製錬工程に不要の石膏が製錬工程に比較的多く送られてします問題点もあった。
本発明の目的は、重金属を溶かさずに、飛灰の減容化を図ることができるとともに、製錬工程で発生する酸性廃液を効率的に活用できる、溶融飛灰の処理方法を提供することにある。
本発明の別の目的は、有価金属成分を含有する固形分を洗浄した水を浸出・共沈工程で再利用することにより、廃水処理の負荷を低減できる、溶融飛灰の処理方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0004】
請求項1に係る発明は、図1に示すように、有価金属成分とカルシウム成分と塩素成分とを含有する溶融飛灰を処理する方法の改良である。
その特徴ある構成は、溶融飛灰に硫酸及び塩酸を質量濃度比で(10:1)〜(1:10)含有する酸性液を添加して撹拌し、溶融飛灰からカルシウム成分の大部分と塩素成分を浸出してpH7〜10の浸出液を生成するとともに、有価金属成分のうち酸性液に溶出した有価金属のイオンを共沈させる浸出・共沈工程11と、溶融飛灰中のカルシウム成分の一部と前記有価金属の共沈物とを含有する固形分を、上記浸出液から分離する固液分離工程12とを含むところにある。
この請求項1に記載された溶融飛灰の処理方法では、溶融飛灰中に存在しかつ水中溶解度の低いPbCl2が酸性液中の硫酸により次の反応式(1)に示すように分解し、溶融飛灰中の水溶性のNaCl・KCl・CaCl2が酸性液中の水に溶解する。
PbCl2+H2SO4 → PbSO4+2HCl ……(1)
また溶融飛灰中のカルシウム成分の大部分が酸性液中の塩酸により浸出されるとともに、酸性液中の水に溶解するので、溶融飛灰を減容することができる。更に浸出液中の硫酸と浸出液中のCaイオンとが反応して石膏が生成される際に、主に共沈の作用で有価金属成分も除去される。
【0005】
請求項2に係る発明は、請求項1に係る発明であって、更に図1に示すように、塩酸及び硫酸を含有する酸性液が製錬工程で発生する酸性廃液であることを特徴とする。
この請求項2に記載された溶融飛灰の処理方法では、浸出・共沈工程11で溶融飛灰に添加される酸性液として、製錬工程で発生する酸性廃液を用いたので、高価な塩酸の使用量を低減できるとともに、廃水処理の負荷を低減できる。
請求項3に係る発明は、請求項1に係る発明であって、更に図1に示すように、固液分離工程12で浸出液が除去された固形分を水で洗浄した後に、この洗浄後の水を浸出・共沈工程に供給することを特徴とする。
この請求項3に記載された溶融飛灰の処理方法では、有価金属成分を含有する固形分を洗浄した水が浸出・共沈工程11で再利用されるので、廃水処理の負荷を低減できる。
【発明の効果】
【0006】
本発明によれば、溶融飛灰に硫酸及び塩酸を質量濃度比で(10:1)〜(1:10)含有する酸性液を添加して撹拌し、溶融飛灰からカルシウム成分の大部分と塩素成分を浸出してpH7〜10の浸出液を生成したので、溶融飛灰中の水中溶解度の低いPbCl2が酸性液中の硫酸により分解し、溶融飛灰中の水溶性のNaCl・KCl・CaCl2が酸性液中の水に溶解し、また溶融飛灰中のカルシウム成分の大部分が酸性液中の塩酸により浸出されるとともに、酸性液中の水に溶解する。また有価金属成分のうち酸性液に溶出した有価金属のイオンは、酸性液中の硫酸とCaイオンとが反応して石膏が生成される際に共沈して除去される。この結果、有価金属成分を浸出液中に溶かさずに、また薬剤の使用量を増大させずに、比較的少ない工程で、溶融飛灰から塩素成分を除去できるとともに、溶融飛灰を効率良く減容できる。
また塩酸及び硫酸を含有する酸性液として製錬工程で発生する酸性廃液を用いれば、高価な塩酸の使用量を低減できるとともに、廃水処理の負荷を低減できる。
更に固液分離工程で浸出液が除去された固形分を水で洗浄した後に、この洗浄後の水を浸出・共沈工程に供給すれば、洗浄後の水を処理しなくて済む。この結果、廃水処理の負荷を低減できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0007】
次に本発明を実施するための最良の形態を図面に基づいて説明する。
図1に示すように、本発明の溶融飛灰の処理方法は、溶融飛灰に酸性液を添加して撹拌する浸出・共沈工程11と、固形分を浸出液から分離する固液分離工程12とを含む。酸性液は塩酸及び硫酸を含有する。溶融飛灰は、都市ごみや産業廃棄物を溶融したときに生じる溶融飛灰の他に、都市ごみや産業廃棄物を焼却したときに生じた焼却飛灰を更に溶融したときに生じる溶融飛灰も含む。この溶融飛灰はカルシウム(Ca)成分と塩素(Cl)成分と有価金属成分(Zn、Pb、Cu等)とを含有する。この実施の形態では、溶融飛灰は平均組成で、15〜20質量%の塩素(Cl)、15〜30質量%のカルシウム(Ca)、4〜15質量%のナトリウム(Na)、4〜15質量%のカリウム(K)、2〜6質量%のアルミナ(Al23)、3〜9質量%のシリカ(SiO2)と、0.5〜1.5質量%の鉄(Fe)と、1〜10質量%の亜鉛(Zn)と、0.3〜3質量%の鉛(Pb)と、0.05〜0.5質量%の銅(Cu)、0.01〜0.1質量%のカドミウム(Cd)等を含む。また上記溶融飛灰は、上記組成物の酸化物、複合酸化物、塩化物、炭酸化物、硫酸化物等を組合せた化合物であり、具体的には、NaCl、KCl、CaCl2、Ca(OH)Cl、Ca(OH)2、CaCO3、CaSO4、PbCl2、ZnO、2CaO・Al23・SiO2等を組合せた化合物である。また上記酸性液は塩酸と硫酸とを含む混酸水溶液であり、硫酸と塩酸との質量濃度比は(10:1)〜(1:10)、好ましくは(5:1)〜(1:5)、更に好ましくは(3:1)〜(1:5)である。ここで、酸性液の硫酸と塩酸の質量濃度比を(10:1)〜(1:10)の範囲に限定したのは、(10:1)即ち10/1を越えると溶融飛灰中のカルシウム成分の溶出量が従来の水による浸出における溶出量を下回って溶融飛灰の減容化を達成できず、(1:10)即ち1/10未満では塩酸が多くなり過ぎて浸出が行われるpH7付近で鉛などの有価金属イオンの溶出量が増大してしまうからである。またこの酸性液は製錬工程で発生する酸性廃液であることが好ましい。これにより高価な塩酸の使用量を低減できるとともに、廃水処理の負荷を低減できるという利点がある。
【0008】
先ず浸出・共沈工程11では、溶融飛灰100質量%に対して水を100〜500質量%、好ましくは100〜300質量%を加えて混合しスラリーを調整した後に、このスラリーに上記酸性液を添加して、5〜50℃の温度に保って30分〜6時間撹拌する。このとき酸性液の添加量はスラリーのpHが7〜10、好ましくは8.5〜9.5になるように調整される。このpHはpHセンサで検出される。この浸出・共沈工程11では、溶融飛灰中に存在しかつ水中溶解度の低いPbCl2が酸性液中の硫酸により次の反応式(1)に示すように分解し、溶融飛灰中の水溶性のNaCl・KCl・CaCl2が酸性液中の水に溶解する。
PbCl2+H2SO4 → PbSO4+2HCl ……(1)
また溶融飛灰中のカルシウム成分の大部分が酸性液中の塩酸により浸出されるとともに、酸性液中の水に溶解する。このように溶融飛灰中の脱塩素には、酸性液中の塩酸のみならず、硫酸や水も貢献している。更に有価金属成分のうち酸性液に溶出した有価金属のイオンは、酸性液中の硫酸とCaイオンとが反応して石膏が生成される際に共沈して除去される。この金属イオンの共沈物としては、CaAsO4(砒酸カルシウム)、PbSO4(硫酸鉛)等が挙げられる。ここで、水の添加量を溶融飛灰100質量%に対して100〜500質量%の範囲に限定したのは、100質量%未満ではスラリーの撹拌が困難になり、500質量%を越えると更に酸性液を加えたときにスラリーの固液比が低くなって液が多くなり、溶融飛灰の処理能力が低下してしまうからである。またスラリーのpHを7〜10の範囲に限定したのは、カルシウム成分の大部分と塩素成分の殆ど全てを効率良く浸出させるためである。
【0009】
次に固液分離工程12では、溶融飛灰中のカルシウム成分の一部と、酸性液に溶出しなかった有価金属成分と、有価金属イオンの共沈物とを含有する固形分を、上記浸出液から分離する。分離後の浸出液には、上記カルシウム成分及び塩素成分の他にナトリウム成分やカリウム成分などの可溶性のアルカリ金属塩が含まれるけれども、有価金属のイオンを殆ど含まない。また分離後の固形分には有価金属が濃縮された状態で含まれる。更にこの分離はシックナーやフィルタプレス等を用いて行われる。なお、固形分に含まれるカルシウム成分は、溶融飛灰の浸出液に含まれるカルシウム成分100質量%に対して50〜150質量%程度である。更に固液分離工程12で浸出液が除去された固形分を水で洗浄した後に、この洗浄後の水を浸出・共沈工程11に供給して、溶融飛灰と混合しスラリーを調製する。この結果、洗浄後の水を処理せずに済むので、廃水処理の負荷を低減できる。また洗浄した固形分の重さは処理前の溶融飛灰の重さを100質量%とするとき50〜80質量%となる。この結果、溶融飛灰を効率良く減容できる。
【実施例】
【0010】
次に本発明の実施例を比較例とともに詳しく説明する。
<実施例1>
図1に示すように、先ず浸出・共沈工程11で溶融飛灰100gに水200mlを混合してスラリーを調製し、このスラリーに製錬所工程内液を300ml添加して混合した。上記水としては、固液分離工程12で分離された固形分を洗浄した後の水を利用した。また浸出・共沈工程11での浸出温度を30℃とし、浸出時間を1時間とし、撹拌子の回転速度を150rpmとした。次に固液分離工程12で濾紙を用いた吸引濾過した。これにより溶融飛灰の固形分(69.6g)を浸出液(450ml)から分離した。なお、浸出液のpHは9であった。
<比較例1>
スラリーに製錬所工程内液を390ml添加したこと以外は、実施例1と同様に浸出・共沈工程と固液分離工程を経て、溶融飛灰の固形分(70.7g)を浸出液(550ml)から分離した。なお、浸出液のpHは6.6であった。
【0011】
<比較例2>
先ず溶融飛灰100gに水500mlを混合してスラリーを調製し、このスラリーを撹拌して水洗処理を行った。このときのスラリー温度を30℃とし、水洗時間を1時間とし、撹拌子の回転速度を150rpmとした。次に濾紙を用いた吸引濾過した。これにより溶融飛灰の固形分(69g)を浸出液(450ml)から分離した。なお、浸出液のpHは11.3であった。
<比較例3>
比較例2で分離された浸出液に製錬所工程内液を22ml添加して、浸出液を中和した。この中和により生成された固形分(26.3g)を比較例3とした。
<比較例4>
比較例1で用いた製錬所工程内液390mlのうち、比較例3で使用した22mlを引いて残った368mlに、試薬の消石灰13.2gを添加して、pHが9付近となるように中和処理した。この中和後の製錬所内工程液(810ml)を比較例4とした。
【0012】
<比較試験1及び評価>
実施例1と比較例1及び2の溶融飛灰の組成(処理前の組成)と、実施例1と比較例1及び2の固形分の組成(処理後の組成)を分析し、その結果を表1に示す。また実施例1と比較例1、3及び4の製錬所工程内液の組成を分析し、その結果を表2に示す。また実施例1と比較例1及び2の浸出液の組成を分析し、その結果を表3に示す。更に比較例3の中和後の固形分の組成を分析し、その結果を表4に示し、比較例4の中和後の製錬所内工程液の組成を分析し、その結果を表5に示す。
【0013】
【表1】


【0014】
【表2】


【0015】
【表3】


【0016】
【表4】


【0017】
【表5】


表3から明らかなように、比較例2ではpH11.3の浸出液中に2g/リットルのOH-イオンが存在するとともに、740ppmの鉛が溶出しており、比較例1ではpH6.6の浸出液中にOH-イオンが存在しなかったけれども、鉛の溶出量が25ppmと多くなったのに対し、実施例1ではpH9の浸出液中にOH-イオンが存在せず、鉛が溶出せず、亜鉛や銅などの有価金属も溶出しなかったことが分った。
表1、表4及び表5から明らかなように、比較例2〜4の固形分の合計が95.3g(69g+26.3g)と多かったのに対し、比較例1及び実施例1では固形分がそれぞれ70.7g及び69.6gと少なくなったことが分った。なお、比較例1の固形分が少なくなったのは、pHが比較的高い6.6であったためと考えられる。
【0018】
<実施例2>
製錬所工程内液中の硫酸と塩酸の質量濃度比を10:1としたことを以外は、実施例1と同様にして溶融飛灰の固形分を浸出液から分離した。なお、浸出液のpHを約7に調整し、固体と液体との比を1:5とした。
<実施例3>
製錬所工程内液中の硫酸と塩酸の質量濃度比を5:1としたことを以外は、実施例1と同様にして溶融飛灰の固形分を浸出液から分離した。なお、浸出液のpHを約7に調整し、固体と液体との比を1:5とした。
<実施例4>
製錬所工程内液中の硫酸と塩酸の質量濃度比を2:1としたことを以外は、実施例1と同様にして溶融飛灰の固形分を浸出液から分離した。なお、浸出液のpHを約7に調整し、固体と液体との比を1:5とした。
<実施例5>
製錬所工程内液中の硫酸と塩酸の質量濃度比を1:1としたことを以外は、実施例1と同様にして溶融飛灰の固形分を浸出液から分離した。なお、浸出液のpHを約7に調整し、固体と液体との比を1:5とした。
【0019】
<実施例6>
製錬所工程内液中の硫酸と塩酸の質量濃度比を1:2としたことを以外は、実施例1と同様にして溶融飛灰の固形分を浸出液から分離した。なお、浸出液のpHを約7に調整し、固体と液体との比を1:5とした。
<実施例7>
製錬所工程内液中の硫酸と塩酸の質量濃度比を1:5としたことを以外は、実施例1と同様にして溶融飛灰の固形分を浸出液から分離した。なお、浸出液のpHを約7に調整し、固体と液体との比を1:5とした。
<実施例8>
製錬所工程内液中の硫酸と塩酸の質量濃度比を1:10としたことを以外は、実施例1と同様にして溶融飛灰の固形分を浸出液から分離した。なお、浸出液のpHを約7に調整し、固体と液体との比を1:5とした。
【0020】
<比較例5>
製錬所工程内液中の硫酸と塩酸の質量濃度比を22:1としたことを以外は、実施例1と同様にして溶融飛灰の固形分を浸出液から分離した。なお、浸出液のpHを約7に調整し、固体と液体との比を1:5とした。
<比較例6>
製錬所工程内液中の硫酸と塩酸の質量濃度比を1:25としたことを以外は、実施例1と同様にして溶融飛灰の固形分を浸出液から分離した。なお、浸出液のpHを約7に調整し、固体と液体との比を1:5とした。
【0021】
<比較試験2及び評価>
実施例2〜8と比較例5及び6で得られた浸出液の量及び鉛の溶出量と、固形分の重さを測定し分析した。その結果を表6及び図2に示す。
【0022】
【表6】



表6及び図2から明らかなように、硫酸が塩酸より多く含まれると、固形分の発生量が増えることが分った。これはCaSO4が生成されるためである。このため硫酸の含有量の多い比較例5では固形分が74.3gと多かったのに対し、硫酸の含有量が比較的少ない実施例2〜8及び比較例6では固形分が50.3〜72.7gと比較的少なかったことが分った。
一方、塩酸が硫酸より多く含まれると、溶融飛灰からの鉛成分の溶出量が多くなり、廃水処理への負荷が大きくなることが分った。このため塩酸の含有量の多い比較例6では鉛の溶出量が56.5ppmと多かったのに対し、塩酸の含有量の比較例少ない実施例2〜8及び比較例5では4.0〜48.0ppmと比較的少なかったことが分った。
上述のことから、硫酸:塩酸を質量濃度比で(10:1)〜(1:10)の範囲に設定することが望ましいことが分った。なお、鉛成分の溶出量は浸出液のpHを調整することにより制御できる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【図1】本発明実施形態の溶融飛灰を処理する方法を示す工程図である。
【図2】塩酸対硫酸の質量濃度比に対する鉛の溶出量と固形分の発生量との関係をそれぞれ示す図である。
【符号の説明】
【0024】
11 浸出・共沈工程
12 固液分離工程

特許の図
【出願人】 【識別番号】000006264
【氏名又は名称】三菱マテリアル株式会社
【出願日】 平成19年4月17日(2007.4.17)
【代理人】 【識別番号】100085372
【弁理士】
【氏名又は名称】須田 正義
【公開番号】 特開2008−264628(P2008−264628A)
【公開日】 平成20年11月6日(2008.11.6)
【出願番号】 特願2007−108321(P2007−108321)