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【発明の名称】 焼却灰安定化装置
【発明者】 【氏名】佐藤 研一

【氏名】藤川 拓朗

【氏名】森田 兼生

【要約】 【課題】薬剤による安定化技術は、焼却灰に新たな物質を含有させてしまう問題と、薬剤利用コストがかかっていた、また焼却灰の性質の力学的観点や焼却過程で含有される性質を用いる方法は技術が確立されていないなど課題があった。

【構成】回転式筒体はランプ筒が軸装され、複数個の回転ローラの駆動によって軸動し、ランプ筒には多角形の架台に複数個の紫外線ランプと赤外線ランプを具備し、回転速度を制御でき、紫外線ランプと赤外線ランプは均等間隔に交互に併設され、回転式筒体とランプ筒が軸動し、回転式筒体の内面壁に多数の突起片を固着することで焼却灰を満遍なくヒドロキシラジカル効果を促進させる。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
傾斜した回転式筒体は中空円柱形で中空部にランプ筒が軸装され、回転式筒体は複数個の回転ローラの駆動によって左右に軸動し、ランプ筒の内部には複数個の紫外線ランプと赤外線ランプを具備し、回転式筒体に投入された焼却灰を万遍なく光線を照射できることを特徴とする焼却灰安定化装置。
【請求項2】
請求項1記載の回転式筒体の中空部のランプ筒内には複数個の紫外線ランプと赤外線ランプが多角形のランプ架台に連着され、ランプ筒の外周壁は紫外線ランプと赤外線ランプの光線を透過する透明の材質構造であることを特徴とする焼却灰安定化装置。
【請求項3】
請求項1記載のランプ筒は回転式筒体の回転に併せた回転を行うことを特徴とする焼却灰安定化装置。
【請求項4】
請求項1記載の回転式筒体の内面壁に多数の突起片を固着することを特徴とする焼却灰安定化装置。
【発明の詳細な説明】【技術分野】
【0001】
本発明は、焼却灰を光の波動エネルギーによるヒドロキシラジカル効果(ヒドロキシラジカル効果とは、活性酸素の中で最も反応性が強く、酸化力も強いヒドロキシラジカル・OHを発生させ、重金属等の多価の陽イオンと結合させて安定化促進させるものである。)によって焼却残渣中の重金属の不溶化を促進させる装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
一般廃棄物の焼却灰(又は底灰ともいう)は、焼却灰中に含まれる重金属類のため、廃棄物処分場からの浸透による環境汚染が問題となっている。また、この焼却灰を地盤材料として有効利用する場合にも重金属類による土壌環境への影響が懸念される。そこで、焼却灰に含まれる重金属類を環境基準以下に不溶化し、安定化処理を施す技術が実用化されている。
【特許文献1】特開2003−190908号公報
【特許文献2】特開2005−349351号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
これまでの不溶化処理の技術としては、一つは重金属の性質に着目した薬剤を用いた安定化技術であり、もう一つは焼却灰の性質に着目した力学的観点や焼却過程で含有される性質を用いた安定化技術であった。
【0004】
薬剤による安定化技術の場合は、短時間に安定化処理を施すことができ、土壌環境基準を確実に満たすことが出来る。しかし、この技術による安定化は薬剤を用いるため、焼却灰に新たな物質を含有させてしまう問題と、薬剤利用コストが必要なため有効利用を妨げ、用途を絞り込んでしまうなどの課題をかかえていた。
【0005】
また、もう一つの焼却灰の性質の力学的観点や焼却過程で含有される性質を用いた安定化技術については技術が確立されていないなど課題があった。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、上記目的を達成するため、請求項1記載の発明は、傾斜した回転式筒体は中空円柱形で中空部にランプ筒が軸装され、回転式筒体は複数個の回転ローラの駆動によって左右に軸動し、ランプ筒の内部には複数個の紫外線ランプと赤外線ランプを具備し、回転式筒体に投入された焼却灰を万遍なく光線を照射できることを特徴とする。
【0007】
また、請求項2記載の発明は、請求項1記載の発明において、回転式筒体の中空部のランプ筒内には複数個の紫外線ランプと赤外線ランプが多角形のランプ架台に連着され、ランプ筒の外周壁は紫外線ランプと赤外線ランプの光線を透過する透明の材質構造であることを特徴とする。
【0008】
また、請求項3記載の発明は、請求項1記載の発明において、ランプ筒は回転式筒体の回転に併せた回転を行うことを特徴とする。
【0009】
また、請求項4記載の発明は、請求項1記載の発明において、回転式筒体の内面壁に多数の突起片を固着することを特徴とする。
【発明の効果】
【0010】
本発明は、短時間でかつ高効率に焼却灰中の難分解性物質(ダイオキシン類等)を酸化分解することが出来る。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
焼却灰の性質を利用した安定化技術の場合は、ウェザリング(天候ともいう)による安定化技術でヨーロッパなどでは多く用いられている。この技術は、気中養生のことで、焼却灰の重金属類を空気中の酸素や炭酸ガスと反応させることで酸化し炭酸化して、不溶化する技術である。
【0012】
薬剤に比べ低エネルギーで低コストによって安定化処理を施すことができて、更に安定化処理後の焼却灰は有効利用の範囲が幅広い。
【0013】
しかし、焼却灰に含まれる含有物の不均一性、焼却状況によって含有物が変化し易いことから、技術の安定性に欠ける。さらにウェザリングによる安定化技術の場合、エイジングさせている期間中の降雨により焼却灰中重金属類が溶出し、溶出水の処理と土壌の汚染の修復等の付随処理が必要である。
【0014】
従来、焼却灰中のダイオキシンの安定化や焼却灰地盤内から浸出する浸出水の処理において様々な技術が開発されてきた。しかし、いずれも設備投資や薬剤購入に多額の費用がかかることが問題となってきた。
【0015】
特開2003−190908号公報では、焼却炉から排出される飛灰等の固形物に含有される難分解性物質を酸化分解して処理する装置において、固形物と水とを混合してスラリー化する混合槽と該スラリーをヒドロキシラジカル存在下で強制攪拌してスラリー中に含まれる難分解性物質を酸化分解する分解槽を備え、分解槽が固形物を粉砕する手段と光触媒を担持した若しくはそれ自体が光触媒作用を有してスラリーと接触して流動する複数の触媒担持ビーズと該触媒担持ビーズに対して光を照射可能に位置する紫外線ランプとを有し、該触媒担持ビーズと紫外線ランプとによりヒドロキシラジカルを発生させている。
【0016】
上述の発明に対し、本発明は、焼却灰単体に直接光の波動エネルギーを照射させるものであり、上記に示す工法のように、水による灰のスラリー化や触媒担持ビーズといったものを添加しない点で大きく異なる。
【0017】
特開2005−349351号公報では、被処理液を導入する反応塔において、紫外線ランプによる紫外線照射下で過酸化水素もしくはオゾンを供給し、あるいは過酸化水素とオゾンを供給し、さらにはオゾンと不活性ガスの窒素を交互に供給することにより、被処理液中の溶存酸素およびオゾンを脱気しつつ、反応塔で生成するヒドロキシラジカルによる光化学分解を促進して反応時間を短縮し、ジオキサンとダイオキシン類を同時に除去している。
【0018】
本発明は焼却処分場より排出される焼却灰(底灰)に着目し、本装置を用いて効率的に波動エネルギー(紫外線及び赤外線)を照射し、焼却灰中に含有される重金属の不溶化処理を施す技術である。したがって、本発明においては、過酸化水素等は供給しておらず、またジオキサンおよびダイオキシン類の分解を目的としていない点が異なっている。
【0019】
本発明は光の波動エネルギーを焼却灰に連続的に照射させることによる重金属類不溶化技術であり、従来のような薬剤および処理水の問題等は発生させることなく低コストで実現させる。
【0020】
さらに、焼却灰が多く含有する塩類についても不溶化させ、最終処分場内の早期安定化および焼却灰の建設材料としての有効利用化に貢献し、一般廃棄物の焼却処理工場から排出される大部分を占める焼却灰の底灰に対し、簡便かつ安価に焼却灰中に含まれる重金属類と塩類を不溶化させることで実現した。
【実施例】
【0021】
以下に実施例を挙げ、本発明の光の波動エネルギーを用いた焼却灰安定化装置について、図面を参照して詳細に説明する。
図1は、本発明の実施形態に係る焼却灰安定化装置の斜視図を示す。図2は、本発明の実施形態に係る焼却灰安定化装置の正面図を示す。図3は、本発明の実施形態に係る8角形ランプ架台と照射ランプの配置図の正面図を示す。
【0022】
図1において、従来の焼却処理施設において、ごみ焼却処理場で焼却処理された焼却灰は、冷却水より冷やされた灰ピット13に一旦保管された後、重金属固定材を添加し、最終処分場に処分されるが、本発明は焼却灰安定化装置1を通過させ焼却灰6を安定化した後にトラック12によって運び出される。
【0023】
灰ピット13の焼却灰6は水分を含有した粘着性の状態で供給口5から本発明は焼却灰安定化装置1に流し込まれる。
【0024】
焼却灰安定化装置1に流し込まれた焼却灰6は一定量を流入すると供給口5は閉鎖され、焼却灰安定化装置1が軸動する。
【0025】
回転式筒体2の内面壁に多数の突起片15が固着され、回転式筒体2の底部にある突起片15は焼却灰6をすくい取り、回転によって突起片15が天井部に移動し、突起片15が傾斜することで、すくい取った焼却灰6は底部に落下する。
【0026】
回転式筒体2の回転に伴って、突起片15による焼却灰6のすくい取りと落下を繰り返すことによって焼却灰を攪拌し、波動エネルギーを均等に照射させ焼却灰6の安定化を促進する。
【0027】
焼却灰6はランプ筒4に固着された複数個の紫外線ランプ4と赤外線ランプ5の光熱によっても乾燥される、乾燥をより促進するために燃焼熱を送風機で噴出すこともある。
【0028】
焼却灰安定化装置1に流し込まれた水分を含有した粘着性の焼却灰6は、焼却灰安定化装置1の軸動と複数個の紫外線ランプ4と赤外線ランプ5の光熱と傾斜した構造の焼却灰安定化装置1によって除々に排出口14に寄せ集まる。
【0029】
焼却灰安定化装置1は傾斜した構造で軸動することで水分を含有した粘着性の焼却灰6を滑動することができる、滑動をより効果をあげるために振動モータを設置することもある。
【0030】
排出口14を開口することで処理が終わった焼却灰6をトラック12で回収する。
【0031】
図1の焼却灰安定化装置1において、回転式筒体2は中空円柱形で中空部にランプ筒4が軸装され、回転式筒体2は回転ローラ3の駆動によって軸動される。
【0032】
回転式筒体2の内面壁に多数の突起片15を固着するが、たとえば突起片15は長板状のものでもよいし、フック状の形状でもよい、また取り付け方法は並設でもよいし、段違いに取り付けてもよい。
【0033】
回転ローラ3は支軸8に複数個列設され、電動機7の駆動によって支軸8が回転し、回転ローラ3が連動し回転式筒体2が軸動する。
【0034】
回転ローラ3は、回転式筒体2を軸動させるために複数個設けるが、回転ローラを大型にして1個で回転させることもできる。
【0035】
電動機7は正逆駆動が可能であり、そのため連動する回転ローラ3や回転式筒体2も正逆の回転ができる。
【0036】
また、電動機7は回転速度を自由に設定制御ができる機構を備える。
【0037】
図2において、回転式筒体2の中空部に軸装されランプ筒4は、回転式筒体2が軸動しているときは連動して回転する。
【0038】
前記、ランプ筒4の筒内には多角形のランプ架台11に紫外線ランプ4と赤外線ランプ5が連着されている。
【0039】
多角形のランプ架台11はランプ筒4の内径の大きさに合わせて三角形、四角形、五角形、六角形、七角形、八角形等が使用される、図2は四角形のランプ架台11を明記し、図3は八角形のランプ架台11を明記している。
【0040】
前記、多角形のランプ架台11に連接される紫外線ランプ4と赤外線ランプ5は縦方向又は横方向に交互に連着し、紫外線と赤外線の光線が交差して満遍なく焼却灰6に照射されることで焼却灰6の安定化を行う。
【0041】
ランプ筒の外周壁は紫外線ランプと赤外線ランプの光線を透過するために硬質の耐熱ガラス等が最適であるが、例えばガラス管の途中に金属管を装着して強度を保持することもできるし、ガラス管の縦方向に金属を装着して、満遍なく焼却灰6に照射するためにランプ架台11を軸動させてもよい。
【0042】
回転式筒体2が軸動すれば内部の焼却灰6も回転式筒体2の内壁に付着した状態で回転に併せて焼却灰6が掻き混ぜられる、焼却灰6は満遍なく紫外線と赤外線の光線が照射されることで更に焼却灰6のヒドロキシラジカル効果を促進させる。
【0043】
回転式筒体2は、回転ローラ3によって安定的に効率的に軸動する。
【0044】
焼却灰安定化装置1に流し込まれた焼却灰6は、回転式筒体2の中空部のランプ筒4の紫外線ランプ4と赤外線ランプ5の紫外線と赤外線の光線を交差して満遍なく焼却灰6に照射する、紫外線ランプ4と赤外線ランプ5から照射された光線を光波動エネルギーともいう。
【0045】
波動エネルギーを効率的に照射させるため紫外線ランプ4と赤外線ランプ5は均等間隔に交互に併設する。
【0046】
また回転式筒体2は、波動エネルギーを効率的に照射させるため、回転ローラ3に連動する電動機7の回転速度や正逆回転の制御はキシラジカル効果を促進させる。
【0047】
回転速度は焼却灰6の含有物や量によっても異なるが、例えば5〜10rpm程度の回転速度で行われることもある。
【0048】
焼却灰6に波動エネルギーを照射し、ヒドロキシラジカル状態にして安定化を計るには、最低限のバンドギャップエネルギー(バンドギャップエネルギーとは価電子帯にある電子が伝導帯に飛び出すことが出来るエネルギーを言う)を必要とする。
【0049】
回転式筒体2の内周壁に具備する紫外線ランプ4と赤外線ランプ5は、例えば紫外線ランプ4は標準的な波長352nmの紫外線照射強度21μW/cm2の能力を有している。
【0050】
また、赤外線ランプ5は、例えば波長600〜780nmで、湿潤状態にある焼却灰を熱乾燥させる役割も有している。
【0051】
紫外線ランプ1本当たりの重金属不溶化能力は200g/dayで焼却灰の処理量に応じて必要なランプ数をドラム内に設置することにより重金属不溶化処理能力を任意に変更できる。
【0052】
回転式筒体2の内周壁に具備する紫外線ランプ4と赤外線ランプ5の数量は、例えば一般的に各焼却処理施設(ストーカ炉)で処理されるゴミの量は、700〜900トン/日(200〜300トン/日×3基)程度であり、可燃物を焼却して灰とした場合その体積は1/20となる。
【0053】
そのため実質的に排出される焼却灰量は1基あたりおよそ10〜15トンとなり、本装置の波動エネルギーを効率的に照射し、重金属不溶化処理を促進させるためには、紫外線ランプおよび赤外線ランプの個数をそれぞれ5000〜7500本、回転式筒体2に具備すればよいことになる。
【0054】
回転式筒体2の大きさは、例えば、直径5mで長さを10mとすると、紫外線ランプ3と赤外線ランプ4の設置個数は最大では約17000個と考えられ、太陽光の照射量に匹敵する光線量である。
【0055】
例えば、小型のドラムを並列に設置することにより効率的に処理する事もできる。
【0056】
焼却処分場の焼却灰の排出量に応じて、装置全体の大きさや装置の数や波動エネルギーである紫外線ランプや赤外線ランプの量を調整すれば、照射時間の短縮など効率的な処理ができる。
【産業上の利用可能性】
【0057】
本発明は、我々の家庭から排出するゴミを処分する焼却処理施設に設けるもので、焼却灰中に含まれる多量の有害物質である重金属および塩類を不溶化させる地盤環境影響の改善に関する。
【図面の簡単な説明】
【0058】
【図1】本発明の実施形態に係る焼却灰安定化装置の斜視図を示す。
【図2】本発明の実施形態に係る焼却灰安定化装置の正面図を示す。
【図3】本発明の実施形態に係る8角形ランプ架台と照射ランプの配置図の正面図を示す。
【符号の説明】
【0059】
1 焼却灰安定化装置
2 回転式筒体
3 回転ローラ
4 ランプ筒
5 供給口
6 焼却灰
7 電動機
8 支軸
9 紫外線ランプ
10 赤外線ランプ
11 ランプ架台
12 トラック
13 灰ピット
14 排出口
15 突起片
【出願人】 【識別番号】598015084
【氏名又は名称】学校法人福岡大学
【出願日】 平成18年7月25日(2006.7.25)
【代理人】
【公開番号】 特開2008−23492(P2008−23492A)
【公開日】 平成20年2月7日(2008.2.7)
【出願番号】 特願2006−201477(P2006−201477)