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セメントキルン燃焼ガス抽気ダストの処理方法 - 特開2008−23420 | j-tokkyo
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【発明の名称】 セメントキルン燃焼ガス抽気ダストの処理方法
【発明者】 【氏名】田村 典敏

【要約】 【課題】塩素バイパスダストを脱塩処理するにあたり、処理装置の安定運転を図るとともに、脱塩水を有効利用する。

【構成】セメントキルン燃焼ガスの一部を抽気し、抽気ガスに含まれるダストを集塵し、集塵したダストに水を添加してスラリーとした後、1次ケーキとセレンを含む1次ろ液とに分離し、セレンを含む1次ろ液にpH調整剤及び第一鉄化合物を添加してセレン濃度を低減した後、2次ケーキとセレンを含む2次ろ液とに分離し、セレンを含む2次ろ液を電気透析装置に通して濃縮塩水とセレンを含む脱塩水とに分離し、脱塩水をセメント製造工程に戻す。脱塩水に含まれる硫黄分とカルシウム分とが反応して処理システム内で石膏が生成することを防止し、ベルトフィルタの目詰まりを回避することができる。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
セメントキルン燃焼ガスの一部を抽気し、抽気した燃焼ガスに含まれるダストを集塵し、
該集塵したダストに水を添加してスラリーとした後、1次ケーキとセレンを含む1次ろ液とに分離し、
該セレンを含む1次ろ液にpH調整剤及び第一鉄化合物を添加してセレン濃度を低減した後、2次ケーキとセレンを含む2次ろ液とに分離し、
該セレンを含む2次ろ液を電気透析装置に通して濃縮塩水とセレンを含む脱塩水とに分離し、
該セレンを含む脱塩水をセメント製造工程に戻すことを特徴とするセメントキルン燃焼ガス抽気ダストの処理方法。
【請求項2】
前記脱塩水を、セメント製品ミルに戻すことを特徴とする請求項1に記載のセメントキルン燃焼ガス抽気ダストの処理方法。
【請求項3】
前記脱塩水を、原料部の400℃以上、1200℃以下の部位に戻すことを特徴とする請求項1に記載のセメントキルン燃焼ガス抽気ダストの処理方法。
【発明の詳細な説明】【技術分野】
【0001】
本発明は、セメントキルン燃焼ガス抽気ダストの処理方法に関し、特に、セメントキルンのキルン尻からボトムサイクロンに至るまでのキルン排ガス流路より、燃焼ガスの一部を抽気して塩素及び硫黄分を除去し、抽気した燃焼ガスに含まれるダストを有効利用するセメントキルン燃焼ガス抽気ダストの処理方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、セメント製造設備におけるプレヒーターの閉塞等の問題を引き起こす原因となる塩素、硫黄、アルカリ等の中で、塩素が特に問題となることに着目し、セメントキルンのキルン尻からボトムサイクロンに至るまでのキルン排ガス流路より、燃焼ガスの一部を抽気して塩素を除去する塩素バイパスシステムが用いられている。
【0003】
この塩素バイパスシステムでは、抽気した燃焼ガスを冷却して生成したダストの微粉側に塩素が偏在しているため、ダストを分級機によって粗粉と微粉とに分離し、粗粉をセメントキルン系に戻すとともに、分離された塩化カリウム等を含む微粉(塩素バイパスダスト)を回収してセメント粉砕ミル系に添加していた(例えば、特許文献1参照)。
【0004】
ところが、近年、廃棄物のセメント原料化又は燃料化によるリサイクルが推進され、廃棄物の処理量が増加するに従い、セメントキルンに持ち込まれる塩素、硫黄、アルカリ等の揮発成分の量も増加し、塩素バイパスダストの発生量も増加している。そのため、塩素バイパスダストをすべてセメント粉砕工程で利用することができず、水洗処理されていたが、今後、塩素バイパスダストの発生量もさらに増加することが予測されるため、その有効利用方法の開発が求められていた。
【0005】
かかる見地から、特許文献2に記載のセメント原料化処理方法では、従来水洗処理されている塩素バイパスダストを脱塩処理し、セメント原料として有効利用するため、塩素を含む廃棄物に水を添加して廃棄物中の塩素を溶出させてろ過し、得られた脱塩ケーキをセメント原料として利用するとともに、排水を浄化処理し、そのまま放流したり、塩分を回収することで、環境汚染を引き起こすことなく、塩素バイパスダストの有効利用を図っている。
【0006】
しかし、この方法では、塩素バイパスダストを脱塩処理するにあたって、排水のpHを塩酸等により調整し、還元作用のある鉄イオンを有する薬剤を添加してpHを調整し、セレン等の重金属類を除去した後、下水や海洋へ放流する必要があった。しかし、排水中のセレン濃度を安全とされる基準、例えば、下水放流の場合の0.1mg−Se/lまで除去するには、還元剤としての塩化第一鉄(FeCl2)が8000mg−Fe2+/l以上必要となり、セレン除去にあたって還元剤を大量に消費し、運転コストが高騰するという問題があった。
【0007】
そこで、上記問題を解決するため、本出願人は、特許文献3において、図2に示すようなセメントキルン燃焼ガス抽気ダストの処理方法を提案した。
【0008】
この処理方法は、同図に示すように、大別して、水洗工程と、排水処理工程と、塩回収工程とに分けられる。
【0009】
水洗工程は、上記塩素バイパスダストを水洗して塩素分を除去する工程であって、ボイラ1と、温水槽2と、溶解槽3と、ベルトフィルタ4と、貯槽5とが設けられる。
【0010】
ボイラ1で発生した温水を、温水槽2を経て溶解槽3に供給し、塩素バイパスダストと混合する。これにより、塩素バイパスダストに含まれる水溶性塩素分が温水に溶解する。溶解槽3から排出されたスラリーを、ベルトフィルタ4において固液分離し、塩素分が除去された1次ケーキをセメントキルン等に戻してセメント原料として利用する。一方、塩素分及びセレン等の重金属類を含む1次ろ液を貯槽5に一時的に蓄える。
【0011】
排水処理工程は、1次ろ液からセレン等の重金属類とカルシウム分を除去する工程であって、薬液反応槽6、8、10と、フィルタプレス7、9と、除鉄塔11と、キレート樹脂塔12と、ろ過装置13と、電気透析装置14とが設けられる。
【0012】
貯槽5に蓄えられた、塩素分、セレン等の重金属類、及びカルシウムを含む1次ろ液を、薬液反応槽6に供給し、pH調整剤としての塩酸を加え、薬液反応槽6内のpHを4以下に調整する。硫酸第一鉄によって、排水に含まれる重金属としてのセレンを還元して析出させた後、水酸化カルシウムを加え、pHを8〜11に上昇させ、硫酸第一鉄の添加により生成した水酸化第一鉄を凝縮、析出させる。
【0013】
そして、薬液反応槽6から排出されたスラリーをフィルタプレス7によって固液分離し、2次ケーキをセメントキルン等に戻してセメント原料として利用し、2次ろ液は、薬液反応槽8において炭酸カリウムと混合し、2次ろ液中のカルシウムを除去する。
【0014】
次に、薬液反応槽8から排出されたスラリーをフィルタプレス9によって固液分離し、3次ケーキをセメントキルン等に戻してセメント原料として利用し、3次ろ液は、塩酸を加えてpH調整した後、除鉄塔11、キレート樹脂塔12、ろ過装置13によって、鉄、残留重金属、縣濁物質(SS)を除去する。
【0015】
ろ過装置13からの排水を電気透析装置14に供給し、電気透析装置14において、排水中のセレン酸(SeO42-)は脱塩水に、塩素分は濃縮塩水に含められる。電気透析装置14からの脱塩水は、図示しない循環ルートを介して水洗工程の温水槽2に戻す(符号A参照)。これによって、濃縮塩水のセレン濃度は、例えば、下水放流の場合の許容値である0.1mg−Se/l以下に低減される。
【0016】
塩回収工程は、濃縮塩水から塩を回収して工業原料を得る工程であって、ボイラ15と、加熱器16と、結晶装置17と、コンデンサ18と、ろ液タンク19と、遠心分離機20とが設けられる。
【0017】
ボイラ15からの蒸気によって加熱器16において濃縮塩水を加熱し、結晶装置17において結晶化を行う。結晶装置17において、濃縮塩水中の溶質は結晶として析出し、遠心分離機20を経て工業塩が回収され、工業原料として利用することができる。一方、結晶装置17で蒸発した水分を、コンデンサ18において冷却してドレンを回収し、このドレンを水洗工程に戻す。遠心分離機20によって分離されたろ液は、ろ液タンク19を経て結晶装置17に戻す。尚、濃縮塩水から塩を回収せずに、放流することもできる。
【0018】
上述のように、特許文献3には、電気透析装置14によって分離されたセレンを含む脱塩水を、集塵したダスト(塩素バイパスダスト)に添加する水の一部として循環使用するにあたって、温水槽2の液が直接溶解槽3に送られるように記載されているが、実際の運転では、図3に示すように、脱塩水を含む温水を、ベルトフィルタ4のベルト4aの洗浄水4bとして使用し、さらに、ベルトフィルタ4のケーキの洗浄水4cとして利用した後、溶解槽3に戻してダストに添加する水の一部として使用していた。
【特許文献1】国際公開第WO97/21号パンフレット
【特許文献2】特開平11−100243号公報
【特許文献3】特開2004−330148号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0019】
しかし、上記特許文献3に記載のセメントキルン燃焼ガス抽気ダストの処理方法においては、図2の電気透析装置14によって分離された脱塩水は、セレンだけでなく硫黄分(SO42-)も含有し、また、溶解槽3に供給される塩素バイパスダストは、カルシウム分を含有するため、硫黄分とカルシウム分とが反応して石膏(CaSO4・2H2O)が生成される。これにより、図3に示した実際の運転において、ベルトフィルタ4に戻された硫黄分を含有する脱塩水と、ベルトフィルタ4に供給されたカルシウム分を含む水洗ダストとが反応して石膏が生成され、石膏スケールがフィルタに付着して目詰まりをおこし、安定運転が阻害されていた。
【0020】
そこで、本発明は、上記従来のセメントキルン燃焼ガス抽気ダストの処理方法における問題点に鑑みてなされたものであって、塩素バイパスダストを脱塩処理するにあたって、ベルトフィルタのフィルタの目詰まり等が発生することなく抽気ダスト処理装置の安定運転を図るとともに、脱塩水を有効利用することなどが可能なセメントキルン燃焼ガス抽気ダストの処理方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0021】
上記目的を達成するため、本発明は、セメント燃焼ガス抽気ダストの処理方法であって、セメントキルン燃焼ガスの一部を抽気し、抽気した燃焼ガスに含まれるダストを集塵し、該集塵したダストに水を添加してスラリーとした後、1次ケーキとセレンを含む1次ろ液とに分離し、該セレンを含む1次ろ液にpH調整剤及び第一鉄化合物を添加してセレン濃度を低減した後、2次ケーキとセレンを含む2次ろ液とに分離し、該セレンを含む2次ろ液を電気透析装置に通して濃縮塩水とセレンを含む脱塩水とに分離し、該セレンを含む脱塩水をセメント製造工程に戻すことを特徴とする。
【0022】
そして、本発明によれば、電気透析装置によって分離されたセレンを含む脱塩水を、従来のように抽気ダスト処理システムの温水槽に戻すのではなく、抽気ダスト処理システムの外部のセメント製造工程に戻すため、脱塩水に含まれる硫黄分とカルシウム分とが反応して抽気ダスト処理システム内で石膏が生成することを防止することができ、ベルトフィルタの目詰まりの発生を回避することができ、抽気ダスト処理装置の安定運転を図ることができる。
【0023】
前記セメントキルン燃焼ガス抽気ダストの処理方法において、前記脱塩水を、セメント製品ミルに戻すことができる。また、前記脱塩水を、原料部の400℃以上、1200℃以下の部位に戻すこともできる。
【発明の効果】
【0024】
以上のように、本発明によれば、塩素バイパスダストを脱塩処理するにあたって、抽気ダスト処理装置の安定運転を図るとともに、脱塩水を有効利用することなどが可能なセメントキルン燃焼ガス抽気ダストの処理方法を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0025】
次に、本発明の実施の形態について図面を参照しながら説明する。
【0026】
図1は、本発明にかかるセメントキルン燃焼ガス抽気ダストの処理方法の一実施の形態を実施するためのシステムを示し、この処理システムは、図2に示したシステムと全体的な構成は略々同じであって、水洗工程と、排水処理工程と、塩回収工程とを備え、各々の工程において図2と同様に構成される。そのため、図1において、図2に示したシステムの各構成要素と同一の構成要素については、同一の参照番号を付して詳細説明を省略する。
【0027】
本発明にかかる処理システムと、図2に示した従来のシステムとで異なるのは、電気透析装置14において分離された脱塩水を温水槽2に戻すのではなく、本処理システムの外部のセメント製造工程に戻すようにしたことである。すなわち、電気透析装置14において、前段のろ過装置13からの排水中のセレン酸(SeO42-)が脱塩水に含められ、塩素分は濃縮塩水に含められるが、本発明では、電気透析装置14から排出されたセレンを含む脱塩水を、図示しない供給ルートを介してセメント製造工程に戻している。
【0028】
脱塩水を抽気ダスト処理システム外のセメント製造工程に戻すことにより、抽気ダスト処理システム内で、脱塩水中の硫黄分と塩素バイパスダスト中のカルシウム分とが反応して石膏スケールが生成されることがなくなり、従来この石膏スケールによって発生していたベルトフィルタ4の目詰まりに関する問題は完全に解消される。
【0029】
脱塩水をセメント製造工程に戻すにあたっては、例えば、セメント製品ミルに戻したり、原料部の400℃以上、1200℃以下の部位に戻すことができる。ここで、セメント製造工程に戻すのは、水溶性塩素分が除去された脱塩水であるため、セメント製品ミルに戻した場合でもセメント中の塩素含有量が増加することはなく、原料部に戻した場合でも塩素の濃縮に関する問題が発生することはない。尚、セメント製品ミルに戻す場合には、セメントミルの入口部の各種供給機を介して戻してもよく、クリンカクーラ出口のクリンカ上に添加してもよい。また、原料部に戻す場合には、セメント焼成設備のプレヒータ、セメントキルンの窯尻部等に戻すことができる。
【図面の簡単な説明】
【0030】
【図1】本発明にかかるセメントキルン燃焼ガス抽気ダストの処理方法の一実施の形態を実施するためのシステムを示すフローチャートである。
【図2】従来のセメントキルン燃焼ガス抽気ダストの処理システムの一例を示すフローチャートである。
【図3】従来のセメントキルン燃焼ガス抽気ダストの処理システムの実際の運転時における脱塩水の循環ルートを示すフローチャートである。
【符号の説明】
【0031】
1 ボイラ
2 温水槽
3 溶解槽
4 ベルトフィルタ
5 貯槽
6 薬液反応槽
7 フィルタプレス
8 薬液反応槽
9 フィルタプレス
10 薬液反応槽
11 除鉄塔
12 キレート樹脂塔
13 ろ過装置
14 電気透析装置
15 ボイラ
16 加熱器
17 結晶装置
18 コンデンサ
19 ろ液タンク
20 遠心分離機
【出願人】 【識別番号】000000240
【氏名又は名称】太平洋セメント株式会社
【出願日】 平成18年7月19日(2006.7.19)
【代理人】 【識別番号】100106563
【弁理士】
【氏名又は名称】中井 潤


【公開番号】 特開2008−23420(P2008−23420A)
【公開日】 平成20年2月7日(2008.2.7)
【出願番号】 特願2006−196315(P2006−196315)