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廃棄木材からの有害物質除去装置 - 特開2008−18369 | j-tokkyo
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【発明の名称】 廃棄木材からの有害物質除去装置
【発明者】 【氏名】小林 敬幸

【氏名】田中 良

【要約】 【課題】人体に有害な物質を含む薬剤により防腐・防虫処理された廃棄木材をリサイクルするに際し、前記廃棄木材を劣化させたり、タール等の副生成物やダイオキシン類等を発生させたりすることなく、前記人体に有害な物質を廃棄木材から除去する。

【構成】薬剤を塗布・含浸することにより防腐・防虫処理された廃棄木材を真空加熱装置内に収容し、前記廃棄木材を所定圧力下において所定温度で所定時間保持することにより、前記廃棄木材から該廃棄木材に塗布・含浸された薬剤中に含まれる人体に有害な物質を蒸発・除去するとともに、前記廃棄木材から蒸発・除去した人体に有害な物質を、前記真空加熱装置の後段に配設した凝縮器において所定温度に保持された冷媒と接触させることにより冷却・液化させて回収するように構成した。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
薬剤を塗布・含浸することにより防腐・防虫処理された廃棄木材を真空加熱装置内に収容し、前記廃棄木材を所定圧力下において所定温度で所定時間保持することにより、前記廃棄木材から該廃棄木材に塗布・含浸された薬剤中に含まれる人体に有害な物質を蒸発・除去するとともに、前記廃棄木材から蒸発・除去した人体に有害な物質を、前記真空加熱装置の後段に配設した凝縮器において所定温度に保持された冷媒と接触させることにより冷却・液化させて回収するように構成したことを特徴とする廃棄木材からの有害物質除去装置。
【請求項2】
前記廃棄木材から人体に有害な物質を蒸発・除去する際の温度は、前記廃棄木材が加熱されることによって劣化しない温度に設定するように構成したことを特徴とする請求項1記載の廃棄木材からの有害物質除去装置。
【請求項3】
前記廃棄木材から人体に有害な物質を蒸発・除去する際の温度は、200℃ないし300℃に設定するように構成したことを特徴とする請求項1または2記載の廃棄木材からの有害物質除去装置。
【請求項4】
前記廃棄木材から人体に有害な物質を蒸発・除去する際の圧力は、前記人体に有害な物質の沸点が、前記廃棄木材が加熱されることによって劣化する温度を上回らない圧力に設定するように構成したことを特徴とする請求項1記載の廃棄木材からの有害物質除去装置。
【請求項5】
前記廃棄木材から人体に有害な物質を蒸発・除去する際の圧力は、5Paないし100Paに設定するように構成したことを特徴とする請求項1または4記載の廃棄木材からの有害物質除去装置。
【請求項6】
前記廃棄木材は、所定の大きさに破砕した状態で真空加熱装置内に収容するようにしたことを特徴とする請求項1ないし5のいずれかに記載の廃棄木材からの有害物質除去装置。
【請求項7】
前記凝縮器における冷媒の温度は、常温程度に保持されていることを特徴とする請求項1記載の廃棄木材からの有害物質除去装置。



【発明の詳細な説明】【技術分野】
【0001】
本発明は、クレオソート油等の薬剤を塗布・含浸することにより防腐・防虫処理された廃棄木材をリサイクル(再利用)するに当たり、前記廃棄木材から、前記薬剤中に含まれる人体に有害な物質を除去するための装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、鉄道用の枕木や配電用の電柱等に使用されていた木材は、耐用年数が経過した後、順次廃棄処分されている。前記廃棄処分された木材は、これまで焼却処理されるか埋立処理されるのが一般的であったが、近年では環境問題等に配慮して、前記廃棄木材をリサイクルすることが多くなってきている。
【0003】
前記鉄道用の枕木や配電用の電柱等に使用されていた木材には、例えば、クレオソート油を塗布・含浸することにより防腐・防虫処理が行われていた。前記クレオソート油には多環芳香族炭化水素が80〜85%含まれており、近年、そのうちのベンゾ[a]アントラセン、ジベンゾ[a,h]アントラセン、ベンゾ[a]ピレンに発癌性があることが指摘されている。このため、前記クレオソート油を塗布・含浸することにより防腐・防虫処理されている廃棄木材をリサイクルする場合には、前記廃棄木材から人体に有害な多環芳香族炭化水素を除去する必要がある。
【0004】
前記廃棄木材から人体に有害な多環芳香族炭化水素を除去する方法としては、ロータリーキルンを用いて前記廃棄木材を加熱処理することが考えられる。ロータリーキルンを用いることにより、廃棄木材を300℃〜1000℃で加熱処理することが可能である(例えば、特許文献1参照)。一方、廃棄木材に塗布・含浸されているクレオソート油に含まれる人体に有害な多環芳香族炭化水素の沸点は435℃〜524℃であるため、ロータリーキルンを用いて廃棄木材を前記多環芳香族炭化水素の沸点を上回る温度で加熱処理することにより、前記多環芳香族炭化水素を廃棄木材から蒸発・除去することができると考えられる。
【0005】
【特許文献1】特開2001−329270号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
然るに、廃棄木材は、ロータリーキルンを用いて人体に有害な多環芳香族炭化水素の沸点(435℃〜524℃)を上回るような高温下で加熱処理を行うことにより炭化する、即ち、熱分解により劣化して木材から炭(木炭)へ変化するため、前記加熱処理後の廃棄木材は、木炭として高炉等の燃料や活性炭等に再利用することは可能であるものの、木材として再利用(リサイクル)することは困難であった。
【0007】
また、廃棄木材から人体に有害な多環芳香族炭化水素を除去するために、ロータリーキルンを用いて前記廃棄木材を人体に有害な多環芳香族炭化水素の沸点を上回るような高温下で加熱処理すると、前記廃棄木材が加熱によって熱分解し劣化(炭化)する過程でタール等の副生成物が発生するという問題があるばかりでなく、場合によってはダイオキシン類が発生する等というおそれもあった。
【0008】
本発明は、前記種々の問題点に鑑み、人体に有害な物質を含む薬剤により防腐・防虫処理された廃棄木材をリサイクルするに際し、前記廃棄木材を劣化させたり、タール等の副生成物やダイオキシン類等を発生させたりすることなく前記人体に有害な物質を除去することを可能とした廃棄木材からの有害物質除去装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
前記課題を解決するために、請求項1記載の発明は、薬剤を塗布・含浸することにより防腐・防虫処理された廃棄木材を真空加熱装置内に収容し、前記廃棄木材を所定圧力下において所定温度で所定時間保持することにより、前記廃棄木材から該廃棄木材に塗布・含浸された薬剤中に含まれる人体に有害な物質を蒸発・除去するとともに、前記廃棄木材から蒸発・除去した人体に有害な物質を、前記真空加熱装置の後段に配設した凝縮器において所定温度に保持された冷媒と接触させることにより冷却・液化させて回収するように構成したことを特徴とする。
【0010】
請求項2記載の発明は、請求項1記載の廃棄木材からの有害物質除去装置において、前記廃棄木材から人体に有害な物質を蒸発・除去する際の温度は、前記廃棄木材が加熱されることによって劣化しない温度に設定するように構成したことを特徴とする。
【0011】
請求項3記載の発明は、請求項1または2記載の廃棄木材からの有害物質除去装置において、前記廃棄木材から人体に有害な物質を蒸発・除去する際の温度は、200℃ないし300℃に設定するように構成したことを特徴とする。
【0012】
請求項4記載の発明は、請求項1記載の廃棄木材からの有害物質除去装置において、前記廃棄木材から人体に有害な物質を蒸発・除去する際の圧力は、前記人体に有害な物質の沸点が、前記廃棄木材が加熱されることによって劣化する温度を上回らない圧力に設定するように構成したことを特徴とする。
【0013】
請求項5記載の発明は、請求項1または4記載の廃棄木材からの有害物質除去装置において、前記廃棄木材から人体に有害な物質を蒸発・除去する際の圧力は、5Paないし100Paに設定するように構成したことを特徴とする。
【0014】
請求項6記載の発明は、請求項1ないし5のいずれかに記載の廃棄木材からの有害物質除去装置において、前記廃棄木材は、所定の大きさに破砕した状態で真空加熱装置内に収容するようにしたことを特徴とする。
【0015】
請求項7記載の発明は、請求項1記載の廃棄木材からの有害物質除去装置において、前記凝縮器における冷媒の温度は、常温程度に保持されていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0016】
請求項1記載の発明によれば、真空加熱処理を行うことにより廃棄木材に塗布・含浸されている薬剤に含まれる人体に有害な物質を、前記廃棄木材から基準値を下回る数値となるように良好に蒸発・除去することができるので、前記廃棄木材は、人体に有害な物質を除去した状態で家庭用品等として有効にリサイクルすることが可能となる。また、前記廃棄木材から蒸発・除去された人体に有害な物質は、凝縮器において所定温度に保持された冷媒と接触することにより冷却・液化させて回収することができるので、前記人体に有害な物質が大気中に排出される等といった問題の発生を確実に防ぐことが可能となる。
【0017】
請求項2記載の発明によれば、廃棄木材を真空加熱処理する際の温度を、前記廃棄木材が加熱によって劣化しない温度に設定するようにしたので、人体に有害な物質を廃棄木材から除去するために真空加熱処理を行っても、廃棄木材が劣化するのを確実に防ぐことが可能となり、この結果、前記廃棄木材を紙やプレスボード、木質プラスチック等の原料として有効に再利用(リサイクル)することができる。
【0018】
請求項3記載の発明によれば、廃棄木材を真空加熱処理する際の温度を、200℃ないし300℃に設定するようにしたので、廃棄木材の劣化を最小限に抑えられる300℃以下の温度で真空加熱処理を行うことが可能となり、この結果、前記廃棄木材が真空加熱処理を行うことによって劣化するのを確実に防ぐことができる。しかも、300℃以下という比較的低い温度で真空加熱処理を行うことにより、タール等の副生成物やダイオキシン類等の発生を確実に防ぐことができるという利点もある。
【0019】
請求項4記載の発明によれば、廃棄木材を真空加熱処理する際の圧力を、人体に有害な物質の沸点が、前記廃棄木材が加熱によって劣化する温度を上回らない圧力に設定するようにしたので、前記人体に有害な物質の沸点が常圧下において、廃棄木材が加熱によって劣化する温度を上回っていても、真空加熱処理時における真空加熱装置内の圧力を、前記所定の圧力まで減圧させることにより、人体に有害な物質の沸点を廃棄木材が劣化しない温度まで低下させることが可能となり、この状態で真空加熱処理を行うことにより、廃棄木材から該廃棄木材を劣化させることなく人体に有害な物質を除去することができる。
【0020】
請求項5記載の発明によれば、廃棄木材を真空加熱処理する際の圧力を、5Paないし100Paに設定するようにしたので、真空加熱処理時における真空加熱装置内の圧力を前記数値となるように減圧することにより、人体に有害な物質の沸点を廃棄木材が劣化しない温度まで確実に低下させることが可能となり、この結果、廃棄木材を劣化させることなく真空加熱処理を行って、前記廃棄木材から人体に有害な物質を除去することができる。
【0021】
請求項6記載の発明によれば、廃棄木材を所定の大きさに破砕した状態で真空加熱処理を行うようにしたので、前記廃棄木材を原姿の状態で真空加熱処理する場合に比べ、廃棄木材の深部まで浸透している人体に有害な物質を迅速・良好に除去することが可能となる結果、真空加熱処理に要する時間を短縮することができる。また、真空加熱処理に要する時間が短縮されることで、廃棄木材の劣化を良好に抑制することができるという利点もある。
【0022】
請求項7記載の発明によれば、凝縮器における冷媒の温度が、常温程度に保持されているので、真空加熱装置において廃棄木材から蒸発・除去された人体に有害な物質は、前記冷媒と接触することにより、沸点以下まで急速に冷却される結果、良好に凝縮(液化)させて回収することができる。しかも、前記冷媒の温度は、常温程度に保持すればよいため、前記冷媒を冷却するための冷却装置が大形化する等といった問題の発生を良好に防ぐことができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0023】
以下、本発明を実施するための最良の形態を、図1ないし図4を参照しながら説明する。はじめに、図1は本発明における廃棄木材からの有害物質除去装置Aの一例を示す概略構成図である。図1において、1は有害物質除去装置Aを構成する真空加熱装置であり、前記真空加熱装置1は、廃棄木材を収容する密閉可能な収容空間を有して構成されている。また、前記真空加熱装置1には、その壁面を所定温度に加熱・保持するための電熱ヒータや熱風による間接加熱手段等からなる加熱手段1aが具備されている。
【0024】
次に、2は真空加熱装置1から外方へ導出した排気管であり、前記排気管2には、図1で示すように、凝縮器3と、補助ポンプ4と、真空ポンプ5と、排ガス処理装置6とが、それぞれ直列的に配管接続されている。
【0025】
前記凝縮器3は、真空加熱装置1において廃棄木材から蒸発・除去され、かつ、前記真空加熱装置1から排出される排ガス中に含まれる気化状態の人体に有害な物質を、所定温度の冷媒と接触させることにより冷却・凝縮(液化)するもので、前記凝縮器3における冷媒の温度は、水冷装置等の冷却装置を使用することにより、常温程度(例えば、15℃程度)に保持されている。なお、前記凝縮器3には、図示しない排出バルブが設けられており、前記凝縮器3において冷媒と接触することにより液化された人体に有害な物質は、前記排出バルブを開放することにより、図示しない密閉可能な回収容器に回収される。また、前記凝縮器3は、冷媒温度の異なる複数の凝縮器によって構成するようにしてもよい。
【0026】
次に、前記補助ポンプ4は、例えば、メカニカルブースター等からなり、必要に応じて起動して真空加熱装置1内から強制的に排気を行うことにより、真空ポンプ5による排気を補助するものである。また、前記真空ポンプ5は、例えば、ロータリーポンプ等からなり、単独で真空加熱装置1内から順次排気を行うとともに、必要に応じて前記補助ポンプ4による補助を受けながら排気を行うことにより、前記真空加熱装置1内を所定の圧力に減圧・保持するものである。
【0027】
つづいて、前記排ガス処理装置6は、例えば、活性炭塔等からなり、真空加熱装置1から排出される排ガス中に含まれる悪臭成分等を吸着・除去したり、あるいは、前記排ガス中に含まれる気化状態の人体に有害な物質が、不測の事態により凝縮器3において十分に冷却・凝縮(液化)されないまま通過した場合等に、前記排ガス中に含まれる気化状態の人体に有害な物質を除去したりすることにより、前記排ガスを清浄な空気として外部(大気中)に排気するものである。
【0028】
なお、前記真空加熱装置1の加熱手段1b,凝縮器3,補助ポンプ4,真空ポンプ5,排ガス処理装置6は、それぞれ図示しない制御装置からの指令により動作するものである。
【0029】
次に、本発明の動作について説明する。なお、本発明においては、例えば、クレオソート油を塗布・含浸することにより防腐・防虫処理された廃棄木材から、前記クレオソート油に含まれる人体に有害な多環芳香族炭化水素(ベンゾ[a]アントラセン、ジベンゾ[a,h]アントラセン、ベンゾ[a]ピレン)を蒸発・除去する場合を一例として説明する。
【0030】
はじめに、本発明の有害物質除去装置Aを使用して、クレオソート油を塗布・含浸することにより防腐・防虫処理された廃棄木材から、前記クレオソート油に含まれる人体に有害な多環芳香族炭化水素を分離・除去するに当たっては、前記廃棄木材を、その表面に付着した汚れを除去した後、ミル等の破砕手段を使用して所定の大きさに破砕する。また、前記所定の大きさに破砕した廃棄木材10は、所定の処理容器11(図1参照)に入れた状態で真空加熱装置1内に収容する。
【0031】
前記のように、所定の大きさに破砕した廃棄木材10を真空加熱装置1内に収容したら、前記真空加熱装置1を気密に閉鎖する。つづいて、真空ポンプ5を起動して真空加熱装置1内から順次排気を行うとともに、必要に応じて補助ポンプ4を起動して真空加熱装置1内からの排気を補助することにより、前記真空加熱装置1内の圧力を所定の圧力(例えば、5Pa〜100Pa、好ましくは10Pa以下)まで減圧する。また、これと同時に、加熱手段1aにより真空加熱装置1の壁面を所定の温度(例えば、200℃〜300℃、好ましくは250℃)まで加熱する。
【0032】
ここで、廃棄木材10から人体に有害な多環芳香族炭化水素を除去する際における真空加熱装置1の壁面温度について、図2を参照しながら説明する。図2は廃棄木材を破砕し、熱天秤により重量減少を測定した結果を示す。図2で示す結果から、廃棄木材の残留率は、200℃では約98%、250℃では約90%、300℃では約70%、400℃では約26%となることがわかる。このように、廃棄木材は、250℃程度から急激に熱分解して炭化(劣化)するため、廃棄木材を加熱処理した後に木材としてリサイクルすることを考慮した場合、廃棄木材をその大部分が炭化(劣化)しない温度である300℃以下で加熱処理することが望ましい。従って、本発明においては、真空加熱装置1の壁面を、例えば、200℃〜300℃(好ましくは250℃)に加熱し、前記壁面からの輻射熱等により廃棄木材を300℃以下の温度で加熱処理する。
【0033】
次に、廃棄木材10から人体に有害な多環芳香族炭化水素を除去する際における真空加熱装置1内の圧力について説明する。前記廃棄木材から除去しようとする人体に有害な多環芳香族炭化水素(ベンゾ[a]アントラセン、ジベンゾ[a,h]アントラセン、ベンゾ[a]ピレン)の沸点は、常圧下において435℃〜524℃である。このため、前記のように真空加熱装置1の壁面を200℃〜300℃(好ましくは250℃)に加熱し、かつ、前記壁面からの輻射熱等により廃棄木材を前記壁面の温度と同等の温度、もしくは、若干低い温度まで加熱しても、常圧下では多環芳香族炭化水素を廃棄木材から除去することは困難である。従って、本発明においては、真空加熱装置1内の圧力を、多環芳香族炭化水素の沸点を300℃以下まで低下させることが可能な圧力、例えば、5Pa〜100Pa程度(好ましくは10Pa以下)に減圧した状態で、廃棄木材の加熱処理を行う。
【0034】
なお、前記圧力の数値は、例えば、炭化水素の蒸気圧と蒸気温度と沸点との関係を示す沸点換算ノモグラフ(図示せず)を用いることにより推算することができる。即ち、廃棄木材から除去しようとする人体に有害な多環芳香族炭化水素のうち、最も沸点が高いのはジベンゾ[a,h]アントラセンで、沸点は524℃であるが、前記沸点が524℃の物質(ジベンゾ[a,h]アントラセン)を、例えば、250℃で廃棄木材を加熱することにより前記廃棄木材から蒸発・除去させるためには、真空加熱装置1内の圧力を約10Paとすればよいことが、前記沸点換算ノモグラフを用いることにより容易に推算できる。
【0035】
そして、前記真空加熱装置1内の圧力が所定の圧力まで減圧され、かつ、真空加熱装置1の壁面温度が所定の温度に達したら(図3のt1点参照)、前記真空加熱装置1の壁面からの輻射熱等により、廃棄木材10の温度が、該廃棄木材10に塗布・含浸されているクレオソート油に含まれる人体に有害な多環芳香族炭化水素を蒸発・除去することが可能な温度に到達するまでの間、前記真空加熱装置1の壁面温度を加熱手段1aにより所定の温度に保持する。つづいて、前記真空加熱装置1の壁面からの輻射熱等により、廃棄木材10の温度が、該廃棄木材10に塗布・含浸されているクレオソート油に含まれる人体に有害な多環芳香族炭化水素を蒸発・除去することが可能な温度(真空加熱装置1の壁面温度と同等、もしくは、若干低い温度)に到達したら(図3のt2点参照)、この状態を所定時間保持することにより、廃棄木材10に塗布・含浸されているクレオソート油に含まれる人体に有害な多環芳香族炭化水素を蒸発・除去する。
【0036】
このとき、真空加熱装置1内を所定の圧力まで減圧することにより、常圧下での沸点が435℃〜524℃であった人体に有害な多環芳香族炭化水素の沸点は、廃棄木材10が加熱処理によって劣化しない温度である300℃以下まで低下している。一方、廃棄木材10は、所定の温度に加熱・保持されている真空加熱装置1の壁面からの輻射熱等により、人体に有害な多環芳香族炭化水素を蒸発・除去することが可能な温度に保持されているので、前記多環芳香族炭化水素を廃棄木材10から良好に蒸発・除去することができる。
【0037】
次に、廃棄木材10から蒸発・除去された人体に有害な多環芳香族炭化水素は、排ガスとともに真空加熱装置1内から排気管2を通って凝縮器3に流入する。このとき、真空ポンプ5単独で排気を行うとともに、必要に応じて補助ポンプ4にて補助的に排気を行うことにより、真空加熱装置1内が所定の圧力に保持されている関係上、前記真空加熱装置1と排気管2を介して配管接続されている凝縮器3内も所定の圧力に保持されているので、前記多環芳香族炭化水素の沸点は、凝縮器3においても300℃以下となっている。従って、凝縮器3内に気化した状態の多環芳香族炭化水素が流入し、例えば、図示しない冷却装置により常温程度に保持されている冷媒と接触すると、前記多環芳香族炭化水素は沸点以下の温度まで急速に冷却される結果、その大部分が凝縮器3において凝縮(液化)される。
【0038】
なお、前記凝縮器3において液化された多環芳香族炭化水素は、例えば、真空加熱処理の終了後(即ち、真空加熱装置1、排気管2、凝縮器3内を常圧に戻した後)、前記凝縮器3に設けた図示しない排出バルブを開放することにより、図示しない密閉可能な回収容器に排出・回収される。
【0039】
一方、前記凝縮器3を通過することにより人体に有害な多環芳香族炭化水素が除去された排ガスは、最終的に排ガス処理装置6において悪臭成分等が吸着・除去され、清浄化した状態で大気中に排出される。また、不測の事態により前記排ガス中に含まれる人体に有害な多環芳香族炭化水素が、凝縮器3において十分に冷却・凝縮(液化)されないまま通過し、前記排ガス処理装置6に流入した場合には、該排ガス処理装置6において排ガス中に含まれる人体に有害な多環芳香族炭化水素を良好に除去し、前記排ガスを清浄化した状態で大気中に排出する。
【0040】
前記のように、真空加熱装置1内の圧力を所定の圧力まで減圧し、かつ、前記真空加熱装置1の壁面温度を所定の温度に加熱した状態で所定時間保持することにより、廃棄木材10から人体に有害な多環芳香族炭化水素を蒸発・除去したら(図3のt3点参照)、つづいて、真空ポンプ5及び補助ポンプ4を停止して、真空加熱装置1内の圧力を所定の圧力に減圧した状態から順次常圧(大気圧)に戻すとともに、加熱手段1aによる真空加熱装置1の壁面の加熱を停止して、前記壁面からの輻射熱等による廃棄木材10の加熱を終了する。
【0041】
そして、真空加熱装置1内の圧力が常圧に戻り、かつ、真空加熱装置1の壁面及び廃棄木材10が常温まで冷却されたら(図3のt4点参照)、前記真空加熱装置1から真空加熱処理を終えた廃棄木材10を取出す。以後、廃棄木材10の真空加熱処理を行う場合は、前記の動作を繰り返し行えばよい。
【0042】
以上のように、本発明によれば、真空加熱装置1において廃棄木材10を真空加熱処理することにより、前記廃棄木材10に塗布・含浸されているクレオソート油に含まれる人体に有害な多環芳香族炭化水素は、廃棄木材10から良好に蒸発・除去することが可能となる。しかも、真空加熱装置1内の圧力を所定の圧力に減圧することにより、廃棄木材10が劣化(炭化)しない温度で加熱処理を行うことができるので、前記加熱処理により人体に有害な多環芳香族炭化水素を除去した後の廃棄木材10を、紙やプレスボード、木質プラスチック等の原料として有効にリサイクルすることが可能となる。その上、前記廃棄木材10は、該廃棄木材10が劣化することのない比較的低い温度で加熱処理を行うことができるので、タール等の副生成物やダイオキシン等の発生を良好に防ぐことが可能となる。
【0043】
また、前記廃棄木材10は、所定の大きさに破砕した状態で真空加熱処理を行うようにしたので、前記廃棄木材10を原姿の状態で真空加熱処理する場合に比べ、廃棄木材10の深部まで浸透している人体に有害な多環芳香族炭化水素を迅速・良好に除去することが可能となる結果、真空加熱処理に要する時間を短縮することができる。その上、真空加熱処理に要する時間が短縮されることで、廃棄木材の劣化を良好に抑制することができるという利点もある。
【0044】
更に、真空加熱装置1において真空加熱処理を行うことにより廃棄木材10から蒸発・除去された人体に有害な多環芳香族炭化水素は、前記真空加熱装置1の後段に設けた凝縮器3において、所定の温度に保持されている冷媒と接触させることにより、冷却・凝縮(液化)して回収することができるので、前記人体に有害な多環芳香族炭化水素が排ガスとともに大気中へ排出され、環境や人体等に悪影響を及ぼすといった問題が発生するのを確実に防ぐことができる。しかも、前記凝縮器3における冷媒の温度は、常温程度に保持されているので、前記冷媒を冷却するための冷却装置が大形化する等といった問題が発生するのを良好に防ぐことができる。
【実施例】
【0045】
以下に、本発明の一実施例を示す。人体に有害な多環芳香族炭化水素を含むクレオソート油を塗布・含浸することにより防腐・防虫処理された廃棄木材を、ミル等の破砕手段を使用して長手方向10mm程度、径方向1mm程度の大きさに破砕し、前記破砕した廃棄木材5gを、所定の処理容器に入れた状態で真空加熱装置内に収容した。この後、前記真空加熱装置内の圧力を10Pa以下に減圧し、かつ、廃棄木材の温度を250℃に2時間保持した状態で加熱処理を行い、多環芳香族炭化水素を廃棄木材から蒸発・除去した。図4に真空加熱処理を行う前と真空加熱処理を行った後における廃棄木材中の多環芳香族炭化水素の濃度を測定した結果を示す。図4で示す結果から、本発明の有害物質除去装置Aを使用して真空加熱処理を行うことにより、廃棄木材に含まれる人体に有害な多環芳香族炭化水素の量は、「有害物質を含有する家庭用品の規制に関する法律施行規則」において規定された、クレオソート油で処理された防腐・防虫木材を家庭用品として使用する場合の基準値(3ppm)を十分に下回る数値となることが確認できた。
【図面の簡単な説明】
【0046】
【図1】本発明における廃棄木材からの有害物質除去装置の一例を示す概略構成図である。
【図2】有害物質が含まれる廃棄木材を破砕し、熱天秤により重量減少を測定した結果を示す図である。
【図3】本発明の有害物質除去装置を構成する真空加熱装置における圧力及び温度の経時的な変化の一例を示す図である。
【図4】本発明の有害物質除去装置を使用して真空加熱処理を行う前と真空加熱処理を行った後における廃棄木材中の有害物質の濃度を示す図表である。
【符号の説明】
【0047】
1 真空加熱装置
1a 加熱手段
2 排気管
3 凝縮器
4 補助ポンプ
5 真空ポンプ
6 排ガス処理装置
10 廃棄木材
11 処理容器
【出願人】 【識別番号】000116666
【氏名又は名称】愛知電機株式会社
【出願日】 平成18年7月14日(2006.7.14)
【代理人】
【公開番号】 特開2008−18369(P2008−18369A)
【公開日】 平成20年1月31日(2008.1.31)
【出願番号】 特願2006−193684(P2006−193684)