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【発明の名称】 焼酎粕の処理及び処分方法
【発明者】 【氏名】前田 正輝

【氏名】宮後 親治

【要約】 【課題】従来の焼酎粕の処理及び処分方法である農地散布、家畜飼料、海洋投棄による環境汚染を防止すること及びリサイクルを万能視したプラント処理による過剰な環境負荷を軽減する焼酎粕の処理方法を提供する。

【構成】含水率90%以上の焼酎粕のPHを中和処理し、その中和処理物を少なくともシラスを含む多孔質吸着体に混合吸着させて含水率85%以下とし、混合吸着させた焼酎粕を廃棄物の処分場である管理型最終処分場の覆土材として活用する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
焼酎粕を中和処理し、少なくともシラスを含む多孔質吸着体に吸着させて含水率を85%以下とし、管理型最終処分場に用いられる覆土材として活用することを特徴とする焼酎粕の処理及び処分方法。
【発明の詳細な説明】【技術分野】
【0001】
本発明は、産業廃棄物である焼酎粕の処理及び処分方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来より、焼酎粕の処理及び処分方法は図2に示すように、焼酎工場から排出された焼酎粕1を中和槽2においてPH中和剤3を添加して攪拌し、中和処理物4とし、農地散布、家畜飼料、海洋投棄などの原始的処分を行なう方法と、焼酎粕1をリサイクルを目指したプラント処理による方法でなされてきた。しかしながら、いずれの方法も環境汚染防止上あるいは環境負荷軽減化の上で困難な問題が顕在化し、やむなく他の方法に方向転換せざるを得ないところまで追い込まれている。
【0003】
また、焼酎粕1の有効利用という名目で行ってきた農地散布による処分は地下水の汚染、悪臭による環境悪化、長年の散布による地力の低下を招き、環境保全上支障をきたしている。
【0004】
同じく有効利用として家畜に与える焼酎粕飼料は、焼酎粕1が季節的に集中して排出されるので、突然与えられた臭い餌に家畜がなじまず畜産農家から敬遠される傾向にある。
【0005】
海洋投棄による処分は当然海洋を汚染している。1996年の海洋投棄の規制に関するロンドン条約議定書に基づき2007年までに全面禁止することとなった。 以上の原始的処分による方法は廃止せざるを得ず、これらに代わる方法としてプラント処理が検討されて来た。プラント処理が目指すのは肥料化、家畜飼料の加工、回収メタンガスによる発電、ミネラル回収など焼酎粕のリサイクルである。
【0006】
しかしながらこの方法でも根本的解決を図ることにはならない。その理由の第一は、プラント処理は原始的処分による方法よりも環境に与える負荷が著しく大きいからである。 具体的には設備にかかる初期投資及びメンテナンスに要する費用、また、固液分離、脱水濃縮、乾燥、発酵、抽出、焼却、移送などの処理工程に要する電力や熱源の経費及び運転経費を含めた総費用をエネルギーに換算した場合、原始的処分法の数倍になる。従って、プラント処理によるCOの総排出量も当然原始的処分による方法よりも多くなり、環境に与える負荷も大きい。この事実は、処理処分料金の比較に端的に表れておりプラント処理は原始的処分法よりも数倍高い。
【0007】
プラント処理が根本的解決にならない第二の理由は、処理により製造したリサイクル製品の需要がないことである。需要に耐え得る品質及び価格の設定が出来ないのがその理由である。 プラント処理は莫大な設備投資を必要とし、環境に余分な負荷を与えながら処理あるいはリサイクルしなければならないが、その背景は焼酎粕の含水率が90%以上と高いからである。そのため固液分離、脱水濃縮、乾燥、発酵、焼却、抽出、移送などの処理工程に要する電力費、熱源費、運転経費が嵩み、エネルギー収支は明らかにマイナスになる。 現在の環境問題は地球規模で考える必要があり、廃棄物の処理及び処分の方法は地球温暖化に起因するCO削減に寄与する方法でなければ意味をなさない。リサイクル出来さえすれば全て解決されたと思われがちであるがそうではない。リサイクルにはコストがかかる、即ちリサイクルには環境負荷が大きいものがあるということを念頭に置かなければならない。リサイクル万能視が招いた陥穽である。
【非特許文献1】武田邦彦著「リサイクルしてはいけない」青春出版社 2000年
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
そこで本発明は、上記問題点に鑑みなされたもので、原始的処分による環境の汚染を防止すること及びプラント処理による環境への負荷を軽減する焼酎粕の処理及び処分方法を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
このため本発明の焼酎粕の処理及び処分方法は、含水率90%以上の焼酎粕のpHを中和処理し、その中和処理物を少なくともシラスを含む多孔質吸着体に混合吸着させて含水率85%以下とし、混合吸着させた焼酎粕を廃棄物の処分場である管理型最終処分場の覆土として活用することを主要な特徴とする焼酎粕の処理及び処分方法である。
【発明の効果】
【0010】
本発明に係る焼酎粕の処理及び処分方法によれば、従来の原始的処分では回避できなかった環境汚染を防止できること及びプラント処理の増大する環境負荷を軽減できるという優れた効果を有する。
【0011】
また、管理型最終処分場では廃棄物の飛散防止のための覆土の使用は不可欠である。焼酎粕を少なくともシラスを含む多孔質吸着体に混合吸着させたものを覆土材として活用することにより、安価に覆土材を製造でき、しかも環境汚染を防ぐ効果を有する。
【0012】
しかも、管理型最終処分場自体は、巨大な濾過装置の構造になっており、多孔質吸着体に吸着混合した焼酎粕の水分は濾過作用により浸出水となって処分場に既設の水処理設備で浄化される。従って、焼酎粕処理用として特別なプラントの必要はなく特別な電力、熱源の必要もないので余分な環境負荷を与えないという優れた効果を有する。
管理型最終処分場では、乾季には覆土の乾燥を防ぐために散水を施すが、焼酎粕を吸着させた覆土材は乾燥を緩和させる効果があり、散水作業の軽減に役立つ。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
以下、本発明を図面に基づいて説明する。図1は本発明の焼酎粕の処理及び処分方法を説明するフローチャート図、図2は従来の焼酎粕の処理及び処分方法を説明するフローチャート図である。
【実施例】
【0014】
図1に示すように、本発明に係る焼酎粕の処理及び処分方法は、焼酎工場から排出された焼酎粕1を中和層2内でPH中和剤(生石灰)3を添加して混合し、中和処理物4を得る。この際、PH中和剤(生石灰)3の添加量は中和処理物4のPHが5.0〜9.0の範囲となるように調製されて添加され、またPH中和剤(生石灰)3によって焼酎粕特有の臭気が除去される。
【0015】
次に混合吸着槽6において、吸着材5として南九州において大量に存在する多孔質のシラスを投入攪拌しながら、中和処理物4を投入し、必要時間攪拌混合を行ない含水率85%以下の覆土材7とする。
【0016】
上記で製造された覆土材7を管理型最終処分場8に搬入し、管理型最終処分場8に埋め立てられた廃棄物に覆土9を行う。覆土材7に含まれる焼酎粕1は微生物による分解によって気体化して放散され、また水分は蒸発或いは濾過によって減少させて埋立地盤の安定化が図られる。そして、覆土材7から濾過された濾過水は、埋立廃棄物からの浸出水10と合流し、管理型最終処分場の常設された水処理設備11によって浄化水12となり河川に放流される。
【0017】
次に、上記の焼酎粕の処理及び処分方法に使用される吸着材の適正について説明する。尚、吸着材として使用したシラスと土(山土)は異なる2ヵ所の産地のものを使用している。
まず、焼酎粕をシラスと土に吸着させて、排水性について比較試験を行なった。下記に実験内容を示す。
【0018】
(実験内容)
含水率95.4%の焼酎粕を含水率84%とするために必要な吸着材の量として、焼酎粕1トンに対してシラス及び土を200kgをそれぞれ添加し混合した。排水性は焼酎粕と吸着材からなる覆土材について、24時間後の含水率を測定し判断材料とした。尚、焼酎粕の中和剤として焼酎粕1.0トンに対し生石灰10kgを添加し、PH約7.0付近となるよう調製した。結果を表1に示す。
【0019】
【表1】


【0020】
表1に示すように、多孔質のシラスを吸着材とした覆土材は、覆土材として最も重要な要因である排水性において土を吸着材としたものと比較して遥かに優れることが判明した。また、表1には表記していないが実験の際に臭気を比較したところ、10日後にはシラスを使用した覆土材はほとんど臭気が無いことが分かった。
【0021】
以上、本発明によるによれば、従来の原始的処分では回避できなかった環境汚染を防止できること及びプラント処理の増大する環境負荷を軽減できる。そして焼酎粕を少なくともシラスを含む多孔質吸着体に混合吸着させたものを覆土材として活用することにより、安価に覆土材を製造でき、しかも環境汚染を防ぐ効果を有する。
【産業上の利用可能性】
【0022】
本発明による焼酎粕の処理及び処分方法は、各種飲料・食品製造業、含水率の高い水溶性の汚泥を大量に排出する産業及び産業廃棄物処理業の分野において多用される。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【図1】本発明の焼酎粕の処理及び処分方法を説明するフローチャート図である。
【図2】従来の焼酎粕の処理及び処分方法を説明するフローチャート図である。
【符号の説明】
【0024】
1 焼酎粕
2 中和槽
3 PH中和剤
4 中和処理物
5 吸着材
6 混合吸着槽
7 覆土材
8 管理型最終処分場
9 覆土
10 浸出水
11 水処理設備
12 浄化水
【出願人】 【識別番号】506233070
【氏名又は名称】正和プラント株式会社
【識別番号】392034632
【氏名又は名称】宮後 親治
【出願日】 平成18年7月6日(2006.7.6)
【代理人】 【識別番号】240000039
【弁護士】
【氏名又は名称】弁護士法人 衞藤法律特許事務所


【公開番号】 特開2008−12440(P2008−12440A)
【公開日】 平成20年1月24日(2008.1.24)
【出願番号】 特願2006−186488(P2006−186488)