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【発明の名称】 土木、環境資材の製造方法
【発明者】 【氏名】山本 春雄

【氏名】古賀 大三郎

【氏名】岩本 裕之

【氏名】中村 州一

【要約】 【課題】コスト的に安価で、重金属、特に六価クロムの溶出を防止できると共に、焼却灰を再資源化できる土木、環境資材の製造方法を提供する。

【構成】焼却灰に、ベントナイト、ガラスカレット、汚泥、汚泥焼却灰の1種または2種以上を加えたものを原料として、これを混合、攪拌、造粒し、還元雰囲気下1100℃以下の温度で焼成することにより、再資源化のコストが低く、六価クロムの溶出が防止できる土木、環境資材の製造方法。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
焼却灰に、ベントナイト、ガラスカレット、汚泥、汚泥焼却灰の1種または2種以上を加えたものを原料として、これを混合、攪拌、造粒し、還元雰囲気下1100℃以下の温度で焼成する土木、環境資材の製造方法。
【請求項2】
焼却灰に、ベントナイト、ガラスカレット、汚泥、汚泥焼却灰の1種または2種以上、および還元剤を加えたものを原料として、これを混合、攪拌、造粒し、還元雰囲気下、1100℃以下の温度で焼成する土木、環境資材の製造方法。
【請求項3】
原料に、さらに融点を降下せしめる助剤を混合せしめている請求項1または2に記載の土木、環境資材の製造方法。
【請求項4】
原料に、さらに発泡剤または可燃物の粉砕物を混合せしめている請求項1ないし3に記載の土木、環境資材の製造方法。
【発明の詳細な説明】【技術分野】
【0001】
本発明は、一般ゴミの焼却時に発生する焼却主灰や焼却飛灰等の焼却灰を回収および再資源化する方法に関し、焼却灰を資源として有効利用することにより土木、環境資材を製造する方法に関する。
【0002】
特に、焼却灰中に含まれる六価クロムに代表される重金属の溶出を防止しつつ焼却灰を再資源化する方法に関する。
【背景技術】
【0003】
現在、焼却灰の大半は、そのまま地中に埋めたりコンクリートや樹脂を用いて固化するなどして、廃棄物として埋め立て処分されている。しかし、焼却灰中には、六価クロム、鉛、亜鉛等に代表される重金属類が多く含まれており、これらの重金属類が、埋め立て後に溶出する可能性がある。そのため、これらの重金属類の溶出防止処理が必要になる。特に、クロム化合物は、一般に気化温度が2000℃以上と高いことから揮発による分離が困難で、焼成しても焼却灰中に0.02〜0.04%の濃度で残留する。しかも、これら焼成灰中の六価クロムは埋め立て後に溶出しやすい問題点がある。
【0004】
また、近年、焼却灰を単に埋め立てるのではなく、資源として再利用しようとする技術も開発されつつあるが、このような焼却灰の再資源化においても六価クロムの溶出防止技術は重要である。
【0005】
焼却灰中の重金属類の溶出防止技術としては、焼却灰をベントナイトなどと混合、攪拌、焼成した後、電磁波の照射もしくはオゾン処理することにより、ベントナイトなどの部分に重金属類を吸着・担持させる作用を強化して、重金属類の溶出を防止する吸着酸化触媒材の製造方法が、特開平11−29346号公報に開示されている。
【0006】
また、焼却灰などの廃材粉をガラスカレット及びバインダと混合し、加水攪拌後、成形、乾燥、焼成、冷却することによりカドミウムなどの重金属類が漏出しない固結物の製造方法が、特開平10−310480号公報に開示されている。
【0007】
しかし、コンクリートや樹脂で単純に固化する技術では、埋め立て量が増大して最終処分場の寿命が問題となるうえ、重金属類の溶出防止は十分とは言えない。また、電磁波の照射やオゾン処理を行う方法では、焼却灰の再資源化が可能となるものの、処理のための特別な装置が必要でコスト面に課題が残る。さらに、ガラスカレットなどを用いて固化する方法も、土木用骨材や濾材などに再資源化することをめざすものであるが、コスト面、重金属類の溶出防止面で未だ十分ではない。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明は、コスト的に安価で、重金属類、特に六価クロムの溶出を防止できると共に、焼却灰を再資源化できる土木、環境資材の製造方法を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明者等は、上記課題に関して鋭意検討した結果、還元雰囲気下で焼成を行うか、もしくは、焼成後に還元化処理を行うことにより、上記の課題をいずれも解決できることを見いだし、本発明に到達した。すなわち、本発明は以下の通りである。
【0010】
発明の第1は、焼却灰に、ベントナイト、ガラスカレット、汚泥、汚泥焼却灰の1種または2種以上を加えたものを原料として、これを混合、攪拌、造粒し、還元雰囲気下1100℃以下の温度で焼成する土木、環境資材の製造方法である。
【0011】
発明の第2は、焼却灰に、ベントナイト、ガラスカレット、汚泥、汚泥焼却灰の1種または2種以上、および還元剤を加えたものを原料として、これを混合、攪拌、造粒し、1100℃以下の温度で焼成する土木、環境資材の製造方法である。
【0012】
発明の第3は、原料に、さらに融点を降下せしめる助剤を混合せしめている発明の第1または2に記載の土木、環境資材の製造方法である。
【0013】
発明の第4は、原料に、さらに発泡剤または可燃物の粉砕物を混合せしめている発明の第1ないし3に記載の土木、環境資材の製造方法である。
【発明の効果】
【0014】
焼却灰を再資源化できるから最終処分場の寿命の問題が生じない。また、再資源化のコストが低い。さらに、製造された土木、環境資材からの六価クロムの溶出が防止できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
本発明では、焼却灰を土木、環境資材の主原料として用いる。ここにいう焼却灰とは、一般ゴミの焼却時に発生する焼却主灰や焼却飛灰等を意味し、温度50〜100℃で時間15〜30分をかけて加熱乾燥されたものである。焼却灰は乾燥処理に続いて、鉄類を除去するための磁力選別手段とその他の夾雑物を取り除く篩いがけを経て粉砕され、好ましくは0.1mm以下の粒径にまで粉砕される。
【0016】
本発明では、焼却灰は、焼却灰とベントナイトやガラスカレットのようにケイ酸を含有する物との合計重量の40〜95重量%の範囲で用いることが望ましい。好ましくは60〜85重量%、さらに好ましくは65〜75重量%で用いる。
【0017】
また、原料として、ベントナイト、ガラスカレット、汚泥、汚泥焼却灰の1種または2種以上を用いる。これらのケイ酸を含有する物(以下、含ケイ酸物という)の中から選ばれた1種または2種以上が原料として用いられ、これらは焼成により焼却灰どうしの結合材として作用する。ここで、ベントナイトは粉砕して用いる。ガラスカレットとは、ガラス瓶などの粉砕物であり、ガラス粉とも称される。汚泥とは、屎尿や工場排水の処理に用いられた活性汚泥が廃棄されたものであり、これも粉砕して用いる。汚泥焼却灰とは、汚泥が焼却処理された残存物を言い、焼却後粉砕処理されている。
【0018】
これらは合計で、焼却灰と含ケイ酸物の合計重量の5〜60重量%の範囲で混合することが好ましい。より好ましくは15〜40重量%、さらに好ましくは25〜35重量%の範囲である。
【0019】
また、製造する土木、環境資材の品質規格によっては、ベントナイトとガラスカレットを併用することが望ましい。
【0020】
本発明では、還元雰囲気下で焼成を行うか、若しくは焼成後に還元剤水溶液に浸漬することが必要であるが、還元雰囲気下で焼成を行うことがより望ましい。そのためには、焼成の際に外部から空気が流入しないようにしても良いが、還元剤を用いることが望ましい。特に硫酸第一鉄を還元剤として用いることが望ましい。
【0021】
硫酸第一鉄は、通常、10〜30℃程度のいわゆる常温で容易に酸化されるために常温での還元剤として用いられている。そのため、温度上昇と共に直ちに酸化されてしまい、1000℃あたりではもはや還元作用を失っていると予想されたが、全く意外なことに、そのような高温下でも還元作用を発揮できることが判明した。
【0022】
還元剤の原料への添加は、固形物のまま添加すれば良いが、攪拌用の加湿水に溶解して添加しても良い。添加量は、焼却灰と含ケイ酸物の合計100重量部に対して、固形分で10〜40重量部の範囲で用いるのが好ましく、さらには15〜35重量部が、より好ましくは20〜30重量部で混合するのがよい。
【0023】
さらに、本発明で用いる原料として、融点を降下させるための助剤を添加することは好ましい。助剤は、焼成物内部の空隙を少なくして強度を増加させる作用を有する。助剤としては酸化リン等、溶融点の比較的低い物質が挙げられる。
【0024】
さらに、本発明で用いる原料として、木廃材、紙類などの、加熱により著しく焼成物の空隙を増加させるものを粉砕して加えても良い。これにより、より軽量の焼成物を得ることができる。
【0025】
また、同様の作用を発揮させるために、水に触れて二酸化炭素などを発泡する重曹などの無機系発泡剤や、有機系発泡剤を加えても良い。
【0026】
製造する土木資材又は環境資材の品質規格によって異なるものの、好ましい組成範囲の例を原料の全重量に対する各成分重量%で表示すると、焼却灰が60〜81%、ベントナイトが2〜20%、ガラスカレットが5〜30%、助剤が2〜7%、可燃物が10〜20%などが挙げられる。
【0027】
本発明では、これらの原料を、混合し、攪拌、造粒する。攪拌・造粒において水を加えることが望ましい。加える水量は全原料100重量部に対して20〜40重量部程度である。混合・攪拌・造粒に要する時間は、条件によって異なるが通常1分〜5分程度である。
【0028】
混合・攪拌・造粒工程は、攪拌機構のついた任意のミキサを用いて行えばよいが、例えば、ミキサ中央に垂直に螺旋ねじ形状の攪拌翼(内羽根)を有し、ミキサ内部の外周面には、平板状でミキサ内面の材料を中心部に送ると共に付着物を掻き落とすための、螺旋ねじ形状の攪拌翼とは逆方向回転の複数枚の外周羽根を有するタイプのミキサを用いることが望ましい。このようなミキサを用いることにより、比較的短時間の攪拌・造粒処理でも望みの粒径にすることが可能になり、例えば、本発明の方法による資材が地盤に用いられた場合は、地盤の透水性能を自在に制御することができる。このようなミキサの例としては、太平洋機工社製のハイファンクションミキサが挙げられる。また、ミキサの運転条件は、外周羽根を回転速度40〜80rpm、内羽根を400〜800rpmとするのが良い。造粒物が得られたら、続いて予備乾燥を行うことが望ましい。予備乾燥は、50〜100℃の温度範囲で15分〜30分間行えばよい。
【0029】
続いて、焼成工程にはいる。焼成は、1100℃以下の温度範囲で行うことが必要である。これ以上高温では、エネルギー効率が悪化し、焼却炉の寿命が短くなるという問題点がある。望ましくは600℃以上1100℃以下であり、より好ましくは800℃以上1100℃以下であり、さらに好ましくは1000℃以上1050℃以下である。焼成後に冷却する。冷却は単に大気中に放置するだけでも良いが、水道水などで冷却した金属管の内部を通過させることが望ましい。
【0030】
焼成が還元雰囲気下で行われた場合はこれで製造工程が終了するが、焼成を還元雰囲気下で行わなかった場合は、さらに、還元剤の水溶液に焼成物を浸漬する処理を行う。もっとも還元雰囲気下で焼成し、さらに浸漬工程を加えても良い。
【0031】
浸漬工程では、還元剤を水に溶解もしくは分散し、この水溶液に焼成物を浸漬する。還元剤としては、前記したものと同じ硫酸第一鉄を用いることが望ましい。還元剤水溶液の濃度は1〜10重量%であることが好ましく、より好ましくは1.5〜5重量%である。浸漬時間は5分〜3時間程度であり、好ましくは10分から1時間程度である。ただし、必要な浸漬時間は濃度や液比によっても変化するため、適宜適切な条件を定めればよい。
【0032】
なお、製造する土木、環境資材の品質規格に応じて、製造条件を適宜変更できることはいうまでもない。
【0033】
本発明の製造方法で得られた焼成物は、粒径の調整が容易で、六価クロムの溶出がないため、アスファルト舗装、コンクリート舗装などの盤材、コンクリートに用いる軽量骨材、軽量盛り土材として用いることができる。さらに、サンドコンパクションパイル、ドレーン材、サンドマット、覆土材、水質浄化用担体、コンポスト用担体、人工軽量土壌等の材料として用いることができる。
【0034】
以下、実施例を用いて本発明を説明する。なお、実施例における総クロムの評価方法は、環境庁水質保全局水質管理課が定めた第127号−II 12.3.2に従って行った。また、六価クロムの評価方法は、環境庁告示第46号(土壌環境基準)により、JIS K0102 65.2.3に従って行った。基準値は0.05mg/L以下である。装置はバリアンテクノロジーズジャパンリミテッド社製のSpecpr.AA/800ゼーマン型を用い、その測定限界は0.005mg/Lであった。
【実施例1】
【0035】
総クロムを0.04%含有する焼却灰を用い、メッシュ13mmの篩をかけた後、磁力選別機を通して金属を除去し、さらに0.1mm以下に粉砕した。これに含ケイ酸物としてベントナイトを混合後の構成比で20%、硫酸第一鉄を20%を用いて混合原料を構成し、水をこの混合原料100重量部に対して30重量部加えた後、これを図1に記載のハイファンクションミキサ(太平洋機工社製)により3分間混合、攪拌、造粒した。ミキサの運転条件は、外周羽根を回転速度50rpm、内羽根を500rpmに設定した。得られた直径1〜15mmの球状の粒状物(粒状物の総クロム含有率は0.03%)を60℃で20分間予備乾燥した後、電気炉に投入して焼成した。電気炉の温度は1050℃に設定した。電気炉の温度が設定温度に達してから試料を投入し、約20分間の焼成処理を行った。焼成後の粒状物を、外側に水道水を流通させた金属パイプの中を通過させて室温まで冷却した後、総クロムの定量分析を行った。その結果、総クロムの残留量は0.03%と混合原料と同じであった。また、六価クロムの溶出量は検出限界以下の0.005mg/1未満であった。なお、粒状物の見かけ比重は1.5であり、軽量の粒状物が得られた。
【実施例2】
【0036】
硫酸第一鉄を用いない以外は、実施例1と同じ原料を用いて実施例1と同じ処理を行って、焼成後の粒状物を得た。この粒状物を還元剤水溶液(栗田工業社製のE−3207)に15分間浸漬し、クロムの残留量と溶出量を測定した。測定の結果、総クロムの残留量は0.03%と混合原料と同じであった。また、六価クロムの溶出量は検出限界以下の0.005mg/1未満であった。
(比較例1)
【0037】
実施例1と硫酸第一鉄を用いない以外は同じ原料を用いて、実施例1の処理と同じ処理を行い、総クロムの残留・溶出試験を行った。この粒状物の総クロムの残留量は0.03%であり、また、粒状物からの六価クロムの溶出量は、0.1mg/1であって、六価クロムが溶出してしまう結果が得られた。
【図面の簡単な説明】
【0038】
【図1】混合、攪拌、造粒に用いたミキサの構造を示す断面図である。
【符号の説明】
【0039】
1 ミキサ本体
2 内羽根の攪拌軸
3 内羽根
4 外羽根の攪拌軸
5 外羽根
10 外羽根
14 支持腕
【出願人】 【識別番号】594028015
【氏名又は名称】株式会社ボーゲンファイル
【識別番号】000166627
【氏名又は名称】五洋建設株式会社
【出願日】 平成19年7月25日(2007.7.25)
【代理人】 【識別番号】100107571
【弁理士】
【氏名又は名称】田中 哲郎


【公開番号】 特開2008−6441(P2008−6441A)
【公開日】 平成20年1月17日(2008.1.17)
【出願番号】 特願2007−193070(P2007−193070)