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【発明の名称】 海岸漂着海藻の再資源化利用技術及びビジネス・システム。
【発明者】 【氏名】杉本 正志

【要約】 【課題】イソミミズの食性を利用した、海岸漂着海藻の分解・再資源化およびビジネスシステムを構築する。

【構成】イソミミズは堆肥化した海藻にだけに群れるので、漂着海藻を4週間寝かせた微生物が付着した海藻とし、分解が進み半熟状態堆肥状のものを砂の上に投餌する。増殖したイソミミズは光る釣り餌や、養魚飼料及び養鶏を含む畜産用飼料として販売し、さらに、イソミミズより排出された糞砂を天日乾燥法、定温乾燥法にて乾燥後、メッシュサイズが10μm以下のふるいに通して採集された粉末状、顆粒状の、二枚貝や棘皮動物用初期餌料となる人工デトリタス(Detritus)を製造、販売する収益性を混在させたコミュニティビジネス・システムを提供する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
海岸漂着海藻を、海浜の満潮汀線から前浜と後浜の境界までに堆積(高さ2m以内)するか埋却(深さ2m以内)し、潜砂し埋在生活するイソミミズ(Pontodrirlus matsushimensis)の食性を利用して生物処理する方法。
【請求項2】
請求項1による海岸漂着海藻の再資源化利用により、海岸の保全、美化につとめ、海浜の有機物汚染の浄化に寄与する共益性と、増殖したイソミミズを飼料原料として、さらには自治体からの原料回収費用といった収益性を混在させたビジネス・システム。
【請求項3】
潜砂し埋在生活するイソミミズの飼育床に砂(鉱物の砂)単独か、砂(鉱物の砂)とサンゴ砂、ベントナイト、人工砂、粉砕貝殻、バーミキュライト、ゼオライト、活性炭、海藻(堆肥状)等との2種類以上の混合を使用することを特徴とするイソミミズ養殖方法。
【請求項4】
請求項3の飼育床にて、床内湿度80〜100%、温度10〜30℃、深さ30cm以内の環境で飼育することを特徴とするイソミミズ養殖方法。
【請求項5】
請求項3の飼育床にて、海藻(塊状、フレーク状、液状、粉末状、顆粒状、堆肥状、ゲル状、ペースト状、デトリタス状)を餌とすることを特徴とするイソミミズ養殖方法。
【請求項6】
請求項3〜5の養殖方法により得られたイソミミズを有機物汚染砂塊上に散布し、イソミミズの食性を利用した海浜の有機物汚染を浄化することを特徴とする浄化方法。
【請求項7】
イソミミズを、天日乾燥法、定温乾燥法、真空乾燥法、真空凍結乾燥法にて塊状、フレーク状、粉末状、顆粒状にし、水(H2O)に対して発光反応させる飼料原料製造方法。
【請求項8】
請求項3〜5の養殖方法でイソミミズより排出された糞砂を天日乾燥法や定温乾燥法、真空乾燥法、真空凍結乾燥法にて乾燥後、メッシュサイズが10μm以下のふるいに通して採集された粉末状、顆粒状の、二枚貝や棘皮動物用初期餌料となる人工デトリタス(Detritus)製造方法。
【発明の詳細な説明】【技術分野】
【0001】
本発明は、海浜環境への悪影響が大きい大量の海岸漂着海藻を、安全、無公害かつ安価に処理することのできるイソミミズの食性を利用した海岸漂着海藻の再資源化利用技術及びビジネス・システム。
【背景技術】
【0002】
海岸線の長い日本の海浜に打ち上げられる海藻の多くは海浜の美観を阻害し、海藻腐敗による悪臭は地域の環境へ悪影響を与え、海浜管理への負担も大きくしている。現在、この漂着海藻の処理は砂浜での埋却処理で行われているが、いずれの地域においても限界に達しているばかりでなく、一時的な大量の漂着海藻の埋却は、嫌気的な分解過程により生物に有害な硫化水素を発生させる。また、焼却には多大なエネルギーと経費を要する。さらに、有機微生物による発酵処理によって堆肥や餌料を製造する処理方法が提案されているが、微生物の管理が難しくその維持費も高額となり、実用性にかける。
【特許文献1】 特願2002−303052
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
本来、海岸漂着海藻(ホンダワラ、ワカメ、アオサ等)は、海浜にひそむ生物達(ハマトビムシ、ハマダンゴムシ、ハマベバエ、イソジムカデ、ハサミムシ、イソミミズ等)の食料として分解、排泄され、砂浜に有機物を供給し、保水作用等など大切な役割をはたしている。現在行われている海浜の美化、保全のための対策方法は、コスト上の問題、または一時的な解決にしかならず、実用性にかける。本発明の実現により、自然に近い形での海藻の処理が可能となり、その結果、海陸の自然環境状況の指標となる海浜の美化、保全ができ、海浜管理の多大な処理費用を削除する一助にしたいと考える。
【課題を解決するための手段】
【0004】
本発明では、海藻を餌とするイソミミズを予め大量に養殖し、この食性を利用して海岸漂着海藻の再資源化利用をすることにより、海岸の保全、美化につとめたり、大量の漂着海藻による海浜の有機物汚染の浄化に寄与する。また、子供達が自然の循環や命の大切さを学ぶ場の提供をしたりする共益性と、増殖したイソミミズを光る釣り餌としてだけではなく、養魚飼料及び養鶏を含む畜産用飼料として販売する収益性を有する。また、イソミミズは摂取食物の同化率が悪く、80%近くは糞として体外に排出されるため、その糞は、消化率を高めた栄養価が高い魚介類用初期餌料となる可能性大である。これにより、海岸漂着海藻の再資源化利用経路も拡大していき、さらには、原料回収費用としての見地から自治体からの清掃委託の形で収入できれば一つの固定収益に繋がり、持続可能なコミュニティビジネス・システムとすることが可能である。
【発明の効果】
【0005】
本発明で製造される商品は、釣り餌、養魚飼料、養鶏飼料、すべての家畜飼料が主体である。動物飼料の前途は国際的に見て、エネルギー原料としてバイオエネルギーに大量消費される方向に向かっており、そのため、動物飼料の代替化は必然と想定される。その代替飼料としての有用性は増大するものと考える。さらに副次的効果として海浜の美化、保全、さらにその処理費用の削除が見込まれる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0006】
図1は、イソミミズの食性を利用した海岸漂着海藻のリサイクルを提案することにより、海岸の保全、美化につとめたり、海浜の有機物汚染の浄化に寄与したり、子供達が自然の循環や命の大切さを学ぶ場の提供をしたりする共益性と、増殖したイソミミズを飼料原料として、さらには自治体からの原料回収費用といった収益性を混在させたコミュニティビジネス・システム
【表】


【実施例1】
【0007】
本発明では、イソミミズを三浦半島海岸にて約300匹採集し試験に供した。飼育容器は素焼きの大型植木鉢を利用し、水はけ用の底穴は砂利で塞いだ。イソミミズは湿度80〜100%、砂の中10〜20cmの所に主に埋在生活をしているため、飼育床は砂を30cmの深さになるよう投入した。また、湿度維持のため定期的に散水した。散水は海水でも真水でも飼育に影響はなかった。飼育温度は10〜30℃になるようにした。イソミミズの成長には飼育温度が重要な因子であった。ミミズの個体量の測定には、ハンドソーティング法を用いた。成長の至適飼育温度は20〜25℃で、10℃での成長は極めて悪くなり、5℃では成長が止まった。飼育温度35℃以上ではミミズは急速に斃死していくことが明らかになった。さらに飼育床に砂の層がないとミミズはストレスを感じるのか成長が極めて悪くなった。
【0008】
イソミミズは堆肥化した海藻だけに群れ、新鮮な海藻には群れないため、イソミミズの餌は4週間程寝かせた微生物が付着した海藻とし、分解が進み半熟状態(堆肥状)のものだけを砂の上に投餌した。種イソミミズを投入してから2週間で稚イソミミズ(5mm)が堆肥化した海藻の中に発生した。2ヶ月後には、約2倍の300gに増殖したイソミミズを海浜の満潮汀線から陸側に埋却(深さ cm以内)した10kgの海岸漂着海藻に投入し、30日後の投入した海藻減量率は65%であった。しかし、海藻減量率は飼育温度で大きく変動した。
【0009】
海岸漂着海藻が海浜に埋没され、有機物の一部が嫌気的に分解が進み黒色を呈した有機物汚染砂塊にイソミミズは好んで群をなすため、有機物の一部が嫌気的に分解が進み黒色を呈した有機物汚染砂塊を感熱滅菌し、その中にイソミミズを入れた区と入れない区を設けて、酸揮発性硫化物(AVS)の変化を見た。イソミミズを投入しなかった区は当初0.45mg/gであったが2ヶ月後には0.54mg/gに達した。イソミミズを投入した区は、投入直後は0.45mg/gであったが、2ヶ月後には0.15mg/gとなり、有機物を嫌気的に分解して増殖する硫酸還元菌をイソミミズが摂食し、その結果、硫化水素の発生を抑えたことが明らかになった。
【0010】
イソミミズより排出された600gの糞砂を定温乾燥法にて乾燥後、メッシュサイズが10μm以下のふるいに通して採集された100gの顆粒状のデトリタス(Detritus)状の物を得ることができた。また、釣り用の光る生き餌としての可能性試験として、暗闇で人為的にイソミミズの環帯部分を傷つけたところ発光液が流れ出て白色系の発光を目視観察できた。さらにこの発光液を濾紙に吸い取り自然乾燥した後、暗闇で純水1mlを加えると再び発光した。その結果、発光物質は自然乾燥下では不活性化または分解が起こらないことが確認できた。そのため、凍結死した1kgのイソミミズを、真空凍結乾燥法にて、トラップ冷却温度−40℃、トラップ除湿容量1L/回で凍結乾燥後、卓上型コーヒーミルで150g粉末状にした、粉末10gが純水1mlに対して発光反応するかを試験したところ10分ぐらい白色系に発光した。さらに、動物飼料としての栄養基礎成分分析に粉末100gを試験に供したところ、65%がタンパク質であり、アミノ酸、ヨードアミノ酸組成も多様で、ミネラル成分、ビタミンB1、B2、B6も豊富に含まれ、その栄養価は魚粉に勝とも劣らない物であった。
【産業上の利用可能性】
【0011】
イソミミズが持っている発光物質が、有機LED研究開発の対象として利用されている事が一部で知られており、イソミミズの持つ各種化学物質も医薬品、健康食品の研究開発も十分とは言い切れないが行われており、イソミミズの原材料供給源としての役割は大きい物がある。
【出願人】 【識別番号】595063433
【氏名又は名称】杉本 正志
【出願日】 平成18年6月22日(2006.6.22)
【代理人】
【公開番号】 特開2008−738(P2008−738A)
【公開日】 平成20年1月10日(2008.1.10)
【出願番号】 特願2006−197433(P2006−197433)