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【発明の名称】 含リン焼却灰の改質方法ならびに無公害型含リン再資源化資材
【発明者】 【氏名】内藤 博之

【氏名】内藤 七絵

【氏名】緒方 一成

【氏名】和栗 成樹

【氏名】山内 裕元

【要約】 【課題】

【構成】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
熱履歴を受けているケイ酸塩を主成分とする低カルシヤ含リン焼却灰からなる改質対象素材に対して、水を介して不活性化剤を均質混和して含有リン成分を不活性化した含水高カルシヤ含リン混和物とする不活性含水化工程、次いで該含水高カルシヤ含リン混和物に対して不溶化剤を均質接触して共存有害元素群を不溶化した含水不溶化混和物とする不溶化工程、さらに必要に応じて該含水不溶化混和物を加工形状化した含水形状化物とする形状化工程、次いで該含水不溶化混和物または該含水形状化物を所定雰囲気中に開放して改質養生した無公害型複合母体からなる結着形状体とする養生工程で構成される一連の作業工程により、低カルシヤ含リン焼却灰に無害化処理ならびに形状化処理を施して無公害型含リン再資源化資材に改質処理する改質方法において;
上記の低カルシヤ含リン焼却灰が、水溶出有害元素群である土壌汚染の環境基準項目で示されるカドミウム、砒素、水銀、鉛、クロム、セレン、ホウ素またはフッ素の群より選ばれる単独ないし2種以上の組み合わせ元素群が環境基準値を超える範囲で共存し、乾燥物の酸化物基準で表して五酸化リン成分を2ないし24質量%、シリカ成分を20ないし50質量%、アルミナ成分を8ないし30質量%、およびカルシヤ成分を5ないし15質量%を主成分とする低カルシヤ含リン焼却灰で構成される粉粒体、または該粉粒体100質量部に対して水が40質量部以下の量割合で加えられている湿潤もしくは含水状態にある含水体であり;
上記の不活性化剤が、下記組成式(1)
CaO・aSiO2・wH2O ……………… (1)
[式中:aは零を含む3以下の数w は零を含む2 以下の数]で表され、カルシヤを酸化物基準で表して35質量%以上含有して、水サスペンのpH値が11以上である活性なカルシウム化合物で構成される粉粒体もしくは含水体であり;
上記の不溶化剤における有効成分が、以下乾燥物換算の酸化物基準で表してシラノール基を保持するシリカ含有成分のシリカ100質量部に対して、アルミナ含有成分のアルミナを30ないし100質量部、ならびにナトリウム含有成分の酸化ナトリウムを3ないし70質量部を必須成分とし、必要に応じて硫黄含有成分の硫黄のオキシ酸を1ないし45質量部、ならびに2価または3価の鉄含有成分の酸化鉄を1ないし10質量部を任意成分として複合ワンパックされて構成される粉粒体もしくは含水体であり;
上記の不活性含水化工程が、乾燥物基準で表して低カルシヤ含リン焼却灰100質量部に対して、不活性化剤6ないし25質量部を加え、さらに必要に応じて混和物系内の水含有量を130質量部に相当する範囲内で加えて少なくとも常温で均質混和せしめて、次いで少なくとも1時間放置してpH値で10以上のバサバサ状、可塑状、マヨネーズ状、糊状またはスラリー状の含水高カルシヤ含リン混和物とする工程であり;
上記の不溶化工程が、乾燥物基準で表して含水高カルシヤ含リン混和物100質量部に対して、不溶化剤2ないし19質量部を加え、必要に応じて混和物系内の水含有量を130質量部に相当する範囲内で加えて少なくとも常温で均質接触せしめてバサバサ状、可塑状、マヨネーズ状、糊状またはスラリー状の含水不溶化混和物とする工程であり;
上記の形状化工程が、必要に応じて含水高カルシヤ含リン混和物または含水不溶化混和物を目的・用途に応じて粉粒、造粒、成型、結着、被覆もしくは固結からなるか不特定形状体もしくは特定形状体に加工形状化して含水形状化物とする工程であり;
上記の養生工程が、含水不溶化混和物または含水形状化物を密封または開放状態で常温から100℃範囲の雰囲気中に少なくとも15分間放置して水を介した改質養生されて、無害化処理および形状化処理が施された無公害型複合母体からなる結着形状体とする工程であり;
上記の無公害型複合母体が、改質対象素材に共存する有害な水溶出元素群を環境基準値以下に固定・不溶化せしめ、同時にアルカリ成分をpH10未満に確保せしめる無害化処理が施されている含リン焼却灰の処理体であり;
上記の結着形状体が、粉粒体の改質対象素材を結着硬化せしめて水中で再泥化しない状態に形状化処理が施されている含リン焼却灰の処理体であり;
上記の改質方法が、有害な元素群を共存する粉粒体の含リン焼却灰に対して、不活性含水化工程、不溶化工程、必要に応じて形状化工程、さらに養生工程で構成される一連の作業工程を施して、無公害型複合母体からなる結着形状体である無公害型含リン再資源化資材に改質処理することを特徴とする改質方法。
【請求項2】
前記の含水高カルシヤ含リン混和物が、水溶出有害元素群である土壌汚染の環境基準項目で示されるカドミウム、砒素、水銀、鉛、クロム、セレン、ホウ素またはフッ素の群より選ばれる単独ないし2種以上の組み合わせ元素群を環境基準値を超える範囲で共存している含リン含水汚泥にカルシヤ成分を共存せしめて少なくとも800℃で焼却して回収される高カルシヤ含リン焼却灰に対して水を保持せしめた混和物であり;
上記の高カルシヤ含リン焼却灰が、乾燥物の酸化物基準で表して五酸化リン成分を2ないし24質量%、シリカ成分を20ないし50質量%、アルミナ成分を8ないし30質量%、およびカルシヤ成分を16ないし40質量%を主成分としており;
上記の含水高カルシヤ含リン混和物が、高カルシヤ含リン焼却灰の100質量部に対して、水含有量を100質量部に相当する範囲内で加えて混和した湿潤状態もしくは含水状態にある含水高カルシヤ含リン混和物である請求項1記載の改質方法。
【請求項3】
前記の不活性化剤が、生石灰または消石灰の単独または複合のカルシウム化合物からなる粉粒体もしくは含水体である請求項1記載の改質方法。
【請求項4】
前記の不活性化剤が、水サスペンのpH値で11以上を示す製鉄業界から副生される高炉スラグ粉末、廃棄物類の焼却場より排出されてカルシヤ含有量の高い焼却灰類、工業的の生産されているポルトランドセメント・アルミナセメントのセメント類、ゾーノトライト・ウオラストナイト・アモロファスのケイ酸カルシウム類の群より選ばれる単独ないし2種以上の組み合わせのカルシウム化合物からなる粉粒体もしくは含水体である請求項1記載の改質方法。
【請求項5】
前記の不溶化剤における有効成分の必須成分構成が、シラノール基を保持するケイ酸ナトリウムならびに硫酸アルミニウムで複合ワンパック化されて構成されている粉粒体もしくは含水体である請求項1記載の改質方法。
【請求項6】
前記の不溶化剤における有効成分の必須成分構成が、含水非晶質シリカならびにアルミン酸ナトリムで複合ワンパック化されて構成されている粉粒体もしくは含水体である請求項1記載の改質方法。
【請求項7】
前記の不溶化剤における有効成分または任意成分が、水に分散または溶解されている含水体である請求項1記載の改質方法。
【請求項8】
前記の不溶化工程が、含水高カルシヤ含リン混和物に形状化処理が施されている含水形状化物に対して、不溶化剤を水に分散または溶解せしめた不溶化剤の含水体を少なくとも常温で含浸またはまぶし手段により均質接触せしめ、次いで少なくとも3時間放置して不特定形状体または特定形状体からなる形状化されている含水不溶化混和物とする工程である請求項1記載の改質方法。
【請求項9】
前記の一連の作業工程における不活性含水化工程ならびに不溶化工程が、同一設備内で連続して行われて不活性含水化工程と不溶化工程を複合した工程である請求項1記載の改質方法。
【請求項10】
前記の一連の作業工程における不活性含水化工程ならびに形状化工程が、同一設備内で連続して行われて不活性含水化工程と形状化工程を複合した工程である請求項1記載の改質方法。
【請求項11】
前記の一連の作業工程における不溶化工程ならびに形状化工程が、同一設備内で連続して行われて不溶化工程と形状化工程を複合した工程である請求項1記載の改質方法。
【請求項12】
前記の一連の作業工程における不活性含水化工程ならびに不溶化工程、さらに必要に応じて行う形状化工程が、同一設備内で連続して行われて不活性含水化工程と不溶化工程と形状化工程を複合した工程である請求項1記載の改質方法。
【請求項13】
請求項1ないしは12のいずれが1項記載の改質方法からなる一連の作業工程による無害化処理ならびに形状化処理を低カルシヤ含リン焼却灰または高カルシヤ含リン焼却灰を改質対象素材として調製されている該含水高カルシヤ含リン混和物に施して、無公害型複合母体からなる不特定形状体もしくは特定形状体である結着形状体に改質処理されている無公害型含リン再資源化資材において;
上記の無公害型複合母体が、低カルシヤ含リン焼却灰または高カルシヤ含リン焼却灰に対して水を介した一連の作業工程に付することにより共存する水溶出有害元素群を環境基準値以下に固定・不溶化せしめ、水溶出pH値が10未満に確保せしめる無害化処理が施されている無公害型複合母体であり;
上記の結着形状化体が、低カルシヤ含リン焼却灰または高カルシヤ含リン焼却灰に対して水を介した一連の作業工程に付することにより、改質対象素材の粉粒体を水中分散で再泥化を起こさない形状化処理が施されている耐水性結着体であり;
上記の無公害型含リン再資源化資材が、無公害型複合母体からなる結着形状体に無害化処理ならびに形状化処理が施されて、コーン指数(qc=kN/m2 )で200以上が確保され、粉粒体、砂状体または顆粒体からなる不特定形状体、もしくは成型体、構造体または結着体からなる特定形状体である工業用資材、建材・土木資材、生活関連資材または植物育成基材の用途に供給されることを特徴とする無公害型含リン再資源化資材。
【請求項14】
前記の無公害型複合母体からなる結着形状体が、低カルシヤ含リン焼却灰または高カルシヤ含リン焼却灰に共存の有害な水溶出元素群を環境基準値以下に固定・不溶化された後、自然界に少なくとも30日間放置したときに中性域における有害元素群の水溶出量が環境基準値以下でpH値が10未満である無公害型処理体に改質する無害化処理が施されている請求項13記載の無公害型含リン再資源化資材。
【請求項15】
前記の無公害型複合母体からなる結着形状体が、含リン焼却灰に共存する有害な水溶出元素群を環境基準値以下に固定・不溶化された後、自然界に少なくとも30日間放置してカドミウム、鉛、クロム、砒素またはセレンの元素群からなる有害重金属の酸性域における溶出量が1mg/kg以下でpH値が10未満である無公害型に改質する無害化処理が施されている請求項13記載の無公害型含リン再資源化資材。
【発明の詳細な説明】【技術分野】
【0001】
本発明は、含リン焼却灰の改質方法ならびに含リン焼却灰からなる無公害型含リン再資源化資材に関する。より詳細にはケイ酸塩を主成分とする低カルシヤ含リン焼却灰からなる有害物質を共存する含リン焼却灰を改質対象素材として、必要に応じて予め水を介して不活性化剤を加えて含水高カルシヤ含リン混和物として後、不溶化剤を加えて含水混和物とする混和工程、ならびに該含水混和物を加工形状化して含水形状化物とする形状化工程、次いで該含水混和物または該含水形状化物を常温から100℃範囲の雰囲気中に放置して改質処理する養生工程からなる一連の作業工程による改質方法、また含リン焼却灰を一連の作業工程に付することにより、含リン焼却灰粉粒体に無害化処理ならびに形状化処理を施して無公害型複合母体からなる結着形状体に改質されて再生活用される無公害型含リン再資源化資材を提供する技術分野に関する。
【背景技術】
【0002】
一般に廃棄物類は各種の有害物質を共存している。したがって、これら廃棄物類を処理・処分するときは、生活環境に弊害を与えず、人の健康が安全に保護される条件下で処理・処分されることが大前提である。したがって、廃棄物類の処理・処分において、廃棄物類に共存する有害物質を生活環境に容易に拡散汚染せしめる処理・処分の方法・手段は厳しく規制されており、法で定められる環境基準を尊守できない処理・処分ならびに方法・手段は堅く禁じられている。
【0003】
当然、ゴミ類・産業廃棄物類または下水汚泥等を焼却した焼却灰類は有害な元素群を共存していることから、これら焼却灰類が水系と接触するときは共存する有害な元素群が水環境に溶出して生活環境を汚染している事実がある。したがって廃棄物類ならびに焼却灰類を再生利用しようとするときは、生活環境への溶出汚染の可能性がある有害な元素群を予め固定・不溶化して水環境への溶出汚染を阻止する技術が求められている。しかも有害な元素群の水環境への溶出汚染を防止・阻止する処理技術は、低コストで環境に特別な負荷を与えない処理技術でなくてはならない。
【0004】
こうした状況下で、人の生活から必須的に排出されて回収処理されている下水汚泥を焼却処理した下水汚泥焼却灰等は、リン成分を含有しており、しかも有害な重金属類ならびに有害なホウ素やフッ素等を水溶出状態で共存している。したがって、下水汚泥焼却灰等を無処理で自然界に放置されるときは、酸性雨を含む雨水等により共存する有害元素群は水溶出して地下水脈や河川・湖沼等を介して生活環境に溶出拡散し、有害物質による生活環境への2次汚染が問題となっており、生活環境を悪化せしめ、生態系を破壊し、人の健康を害している現実がある。
【0005】
しかし、処理・処分に窮している下水汚泥焼却灰は、現在年間約30万トン発生している。これら下水汚泥焼却灰等の処理・処分は、一般的に特別に加工処理されることなく埋立地等に投棄・埋立されることにより処理・処分されてきた。しかるに、焼却灰類、特に有害な元素群を共存する下水汚泥の焼却灰を埋立処分する管理型埋立処分場の確保は困難な状態にあり、現状社会でこれら焼却灰の受け入れは大変困難な事態にある。したがって、今後有害元素群を共存する焼却灰類を単に投棄・埋立する処理・処分の方法・手段は社会が許さない状況にある。
【0006】
したがって、現在の土壌における環境基準を平成6年に環境庁が指針「重金属等に係る土壌汚染調査・対策指針及び有機塩素系化合物等に係る土壌・地下水汚染調査・対策暫定指針」として示しており、さらにこれを基礎として平成15年に新たに「土壌汚染対策法」が施行された。これら法律における環境基準で対象とされる有害な元素群としては、カドミウム、砒素、水銀、鉛、クロム、セレン、ホウ素、フッ素が挙げられており、土壌における有害物質の水溶出基準値が定められている。有害な元素群の水(中性域)溶出試験方法は、「環境庁告示46号溶出試験方法」で規定されている。
【0007】
また、現状自然界では、大気汚染を主原因とするpH4に近い酸性雨の降り注ぎは避けられない。したがって、廃棄物類ならびにこれらの処理物がpH4に近い酸性雨に曝される自然界に長期に放置されるときにも、これらの廃棄物類ならびにこれらの処理物はpH4に近い酸性雨により有害物質が環境に拡散汚染しない安定な状態が確保されておらねばならない。当然この現象は、処理物が自然界で長期に安定して環境ならびに生態系に悪影響を与えず存在することへの安全性を担保し、人類・生物類の生存する生活環境を住みよい環境として確保する上からも重要である。
【0008】
以上の状況から、これら下水汚泥焼却灰を処理・処分または再生利用するためには、従来一般的には下記に示す手段が選ばれてきた。
1.キレート剤・中和剤等によるキレート化処理物・水酸化物形成処理物での供給
2.高熱溶融スラグ化して、タイル、ブロック、煉瓦、粗骨材、撒き砂等での供給
3.セメントで成型処理したタイル、ブロック、煉瓦、建材、軽量骨材等での供給
4.セメントの製造時に必要とする副資材である添加粘土類の代替品としての供給
5.焼却灰共存有害物質に土質体を希釈混合して建築土木業界に改良土等での供給
【0009】
しかるに、キレート剤によるキレート化処理物は、一般に光を中心とする耐候性に乏しく、また耐熱性に乏しく、自然界での長期安定性に乏しい欠点がある。また、水酸化物形成処理においては、処理された水酸化物は酸性雨等の酸性サイドで容易に分解する傾向にあり、自然界で安定して安全な処理物として確保するには困難な傾向にある。
【0010】
また、溶融スラグ化方法では、有害な重金属類を共存する焼却灰等を無害化処理して処理・処分する方法として一般的には、1200℃以上の高熱で焼却灰等を一旦溶融してガラス化して、共存していた有害な重金属類を高温でフューム化して排気中に移動せしめて回収するか、溶融したガラス中に封じ込めて、共存重金属類無害化を行っている。
【0011】
しかし溶融スラグ化方法は、資源上大切な熱エネルギーを多量に消費し、一方二酸化炭素を多量に放出することから、熱エネルギー資源の確保ならびに地球温暖化対策に課題を残している。しかも、溶融スラグ化方法では、高温での熱処理が必要であることから、高価な溶融設備ならびに排気ガス処理設備を必要とし、低コストでの処理は望めなく、安価な処理物の供給は困難である。
【0012】
また、セメント等の固化剤により焼却灰を処理成型体とする固化方法では、セメントが本質的に有害な六価クロムを含有しており、処理成型体から焼却灰に共存する有害金属に加えてセメント共存の有害六価クロムの生活環境への拡散汚染は免れない。さらに、セメントにより処理された処理物は一般にpH値11以上と高く、セメント処理成型体の高アルカリの溶出が環境に悪影響を与えている現実があることから好ましくない。
【0013】
さらにまた、下水汚泥焼却灰をセメント類への製造副資材原料としての供給による再生利用も、下水汚泥焼却灰がリン分を含有していることから、セメント本来の硬化機構に悪影響を与える事実は既に報告されており、多くの量の配合には自ずと制限があり、しかも昨今、公共工事の低迷等からセメント需要の先行きに陰りがあり、セメント業界で今後とも下水汚泥焼却灰を大量に再利用材として採択処理するには無理がある。
【0014】
また、含リン焼却灰を無処理状態のままで、単に土壌・土質体等で希釈改良して土壌改良材等として改良対象とする土壌・地盤に供給しても、ここに供給された土壌改良材に含リン焼却灰から持ち込まれた有害な水溶出重金属類の水溶出量の総量は減少されておらず、含リン焼却灰を原料とする土壌改良材を導入した土壌・地盤からは有害重金属類の拡散汚染は避けられず、生態系ならびに生活環境に悪影響を及ぼす傾向が残されており環境問題上好ましくない。
【0015】
以上の状況から、次世代の下水汚泥焼却灰の処理・処分方法として、下水汚泥焼却灰を再生利用可能な再資源化資材として提供できる処理技術を確かに確保する案件は重要な課題である。特に共存する有害な元素群が生活環境に拡散汚染を起こさない方法・手段により、含リンの下水汚泥焼却灰を処理・処分する技術を確立することは大切であると判断される。こうした中で既に過去に数々の処理・処分技術が開示され、多くの研究ならびに発明技術が開示されており、これらから学ぶところが多い。
【0016】
本発明に係る従来技術における代表的な技術は、例えば、炭酸アルカリと硫酸第一鉄、硫酸アルミニウム、さらにセメントを下水汚泥焼却灰に加えて混練・硬化させて共存重金属類を不溶化させている技術[特許文献1]が開示されている。また同様に硫酸第一鉄等の鉄塩を下水汚泥焼却灰に加えて混練させて共存元素群を不溶化させる技術[特許文献2、3および4]が開示されている。これら従来技術の開示技術において、炭酸アルカリと硫酸第一鉄、硫酸アルミニウム、セメント等により、下水汚泥焼却灰に共存する重金属類を不溶化せしめる技術において、これらの技術で重金属類を不溶化せしめた処理物を酸性雨が想定される酸性域条件下に曝露したときの不溶化状況は確認されておらず、処理物を酸性域で安定して確保されている処理物とする技術開示はない。
【0017】
さらにまた、本発明者等の出願特許[特許文献5および6]には、有害な元素群を共存する廃棄物類や焼却灰類に対して、特別に調製された水硬性シリカ系バインダー、アルカリ系硬化剤、水硬性結着材さらには無機質系処理材等に水を介して加えて混和物とし、該混和物を少なくとも常温で反応・養生を進行せしめて、焼却灰類等に共存する元素群を水不溶性鉱物として固定・不溶化せしめる技術が開示されている。
【0018】
しかし、従来技術である本発明者等の先願技術[特許文献5および6]における処理方法により廃棄物類から溶出する有害元素群を不溶化するためには、廃棄物類を構成しているケイ酸塩系化合物を活用する手段として、例えば処理対象の廃棄物類100質量部に対してアルカリ系硬化剤を少なくとも20質量と多量のアルカリ性成分を加えて処理している。しかも廃棄物類に共存する有害元素群を単一性状の元素群として一括して一律処理しているため、アルカリ成分からなる処理剤を多量に使用せざるを得なかった。しかも、多量のアルカリ成分を用いることから、アルカリに易可溶であるホウ素や酸類元素であるフッ素、さらにはオキソ酸を形成する重金属類を他の重金属類と同時に水不溶性に形成せしめる改質処理技術は開示されていない。
【0019】
さらにまた、本発明で改質対象素材としている含リン焼却灰に含有する活性なリン成分が、有害な水溶出重金属類を取り込んで水不溶性に固定・不溶化せしめるアルミノケイ酸のアルカリ塩鉱物の形成を阻害する傾向がある。しかし、従来技術ならびに本発明者等の先願技術[特許文献5および6]等においては、含有する活性なリン成分を予め不活性化せしめておく方法・手段等は全く講じられていない。即ち、活性なリン成分を含有する素材類を改質対象素材として、共存する水溶出有害元素群を水不溶性に安定して固定・不溶化せしめる改質処理技術に特別な工夫は施されていない。
【0020】
特に、本発明者等の出願特許[特許文献7]には、廃棄物類等を固化対象として、カルシヤ組成物100質量部に対して、アルカリ組成物を130質量部、さらに水を1300質量部の量割合で構成されるアルカリ系硬化剤の20は500質量部を廃棄物類等からなる固化対象100質量部に加えて変形性混和物として、有害元素群を固定・不溶化する技術が開示されている。しかし、この技術ではアルカリ系硬化剤を20質量部未満の少量を加えて変形性混和物とする知見は開示されていない。
【0021】
また、本発明者等の未公開の出願特許[特許文献8]には、休眠成分で構成される熱履歴シリケートからなる廃棄物類を改質処理する「改質処理剤」、水系溶媒を介して熱履歴シリケート、特に有害物質を共存する廃棄物類に改質処理剤を少なくとも常温で活用処理せしめる一連の作業工程に付して無害化処理ならびに形状化処理を施す「改質処理方法」、ならびに有害物質を共存する廃棄物類に改質処理方法を付して水中で再泥化しない耐水性の無公害型再資源化資材とする無害化処理ならびに形状化処理が施されている「結着形状体」が提供される技術が開示されている。
【0022】
しかるに、従来技術ならびに本発明者等の先願技術において、熱履歴を受けているケイ酸塩化合物を主成分としてリン成分を含有している含リン焼却灰に共存している元素群を少なくとも常温で固定・不溶化せしめるときは、含有している活性なリン成分が有害元素群を固定・不溶化せしめるアルミノケイ酸のアルカリ塩鉱物の形成を阻害し、酸性雨にも耐えうる安定したアルミノケイ酸のアルカリ塩鉱物の形成が不能となる現象を充分に把握して、活性なリン成分を予め不活性化して対処した処理技術の開示はない。
【0023】
したがって、有害元素群の常温固定・不溶化を可能とするアルミノケイ酸のアルカリ塩鉱物の形成を阻害する活性なリン成分を共存する含リン焼却灰等においては、阻害要因となる活性なリン成分を予め不活性化しておくことは重要である。しかるに従来技術ならびに本発明者等の先願技術において、予め活性な含有リン成分を特別に不活性化せしめてから、共存する有害な元素群の固定・不溶化処理を実行する技術開示はなく、この処理技術は未だ完成されていない。
【0024】
特に、本発明で改質対象素材とする含リン焼却灰は、一般に含水の下水汚泥を加熱焼却処理して調製されている。このときの加熱焼却処理条件・方法等によっては、また排気ガスの処理条件等によっては、回収される焼却灰の組成内容に大きな差がある。特にカルシヤの含有量は、加熱焼却処理条件・方法等によって、7から35質量%の範囲で大きく異なっている事実がある。
【0025】
しかも、含リン焼却灰に含有するカルシヤの含有量は同時に含有するリン成分の挙動を大きく左右する。例えばカルシヤ成分を多く15質量%以上の時には焼却灰形成時にすでに含有リン成分は不活性化されている傾向にある。しかし、カルシヤ成分の含有量が15質量%より少なく、pH値が10未満である時は、含有するリン成分は活性状態にあり、共存する有害元素群の固定・不溶化を阻害する傾向が大きくことから、含有リン成分の挙動に着目を含有するカルシヤの含有量から着目することは重要である。
【0026】
また、焼却灰等を含む廃棄物類を無公害型含リン再資源化資材として再生利用しようとするときに重要なことは、処理物に共存する有害元素群等を環境に弊害を与えないことと同時に、無害化処理工程においてエネルギーの多消費がなく、環境に負荷を与える処理工程であることが重要であるが、同時に、ここに処理された処理物が、既存類似商品に比べて低価格で提供できること、ならびに提供先から求められる品質・規格に充分適合できる商品に調整・製造されていることが重要である。
【0027】
【特許文献1】特開平09−155319号公報
【特許文献2】特開2003−175370号公報
【特許文献3】特開2002−001273号公報
【特許文献4】特開2000−279971号公報
【特許文献5】特開平11−263661号公報
【特許文献6】特開2005−097069号公報
【特許文献7】特開2002−128550号公報
【特許文献8】特願2005−380986号
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0028】
本発明が解決しようとする課題は、リン成分を含有して、水溶出の有害元素群を共存する含リン焼却灰を改質対象素材として、この含リン焼却灰の粉粒体に対して特別なエネルギーを用いることなく、少なくとも常温で簡単な無害化処理ならびに形状化処理を施す技術を駆使して、環境に特別な負荷を与えることなく含リン焼却灰を再生利用可能な無公害型含リン再資源化資材として安全にして低コストで提供する技術にある。
【0029】
従来技術から有害元素群共存の含リン焼却灰を再生利用可能な無公害型含リン再資源化資材に改質する具体的な技術課題は、下記に示す6点にある。
1.処理物共存の有害元素群が不溶化されていて生活環境等に悪影響を与えないこと。
2.処理物のpH値が10未満に確保されて生活環境や生態系に弊害を与えないこと。
3.処理物を水中に投じたときに再泥化を起こさず処理物形状が確保されていること。
4.処理物が酸性雨等に曝されても共存する有害元素群の不溶化が安定していること。
5.無公害型に改質処理された処理物が土木や建設資材等の規格を満足していること。
6.含リン焼却灰の再資源化改質処理が安全で低コストで環境に負荷を与えないこと。
【0030】
上記1の課題においては、本発明の改質対象素材に含有するリン成分が、生活環境に有害な影響を及ぼす共存元素群を固定・不溶化するに際して、共存する元素群を水不溶性鉱物であるアルミノケイ酸塩等のゼオライトまたはゼオライト前駆体等に組み込み形成せしめようとする時、本発明の改質対象素材に含有する活性なリン成分が、水不溶性鉱物であるアルミノケイ酸塩等のゼオライまたはゼオライト前駆体等鉱物の形成を拒む傾向にあり、活性なリン成分を含有する改質対象素材では、有害な水溶出重金属類の固定・不溶化を効率よく完成させることが困難な傾向にあることが問題である。したがって、活性なリン成分を含有する焼却灰においては、予めリン成分を不活性化しておいてから、重金属類の水不溶化条件を与える技術手順が重要な課題と判断される。
【0031】
また特に、不溶化対象となる有害元素群の中でも、オキシ酸を形成する鉛、砒素、クロム、セレンは、酸性サイドのみならず、高濃度のアルカリサイドにおいても溶解する傾向にあることから、処理作用・機能に充分注意した処理条件の選択が必要である。また高いアルカリ性は、共存するホウ素やフッ素を容易に溶解せしめる方向にあり、共存するホウ素やフッ素を同時に水不溶性に確保する処理条件にも課題が残されている。
【0032】
上記2の課題においては、従来石灰やアルカリ、またはセメント等で改質対象素材を改質処理した場合、ここに回収した処理物のpH値は、一般に11以上の高いpH値を示す傾向にある。したがって、このように高いアルカリ性を示す処理物は、生活環境や生態系に悪影響を与えている傾向にあり、石灰やアルカリ、またはセメント等を採択して処理した処理物のpH値が生活環境や生態系に悪影響を及ぼさないpH10未満が確保されており、同時に有害な共存元素群ならびにアルカリ成分が固定・不溶化処理されている処理技術に問題がある。
【0033】
上記3の課題においては、処理物が無公害型含リン再資源化資材として有効に再生利用
され、活用されるためには、処理物が単に投棄・埋立に供せられるに止まらず、生活関連資材ならびに土木・建築資材の分野で有効活用可能な形体で提供されることが重要である。したがって処理物は、それぞれの用途先で求められる品質規格に合格していることが必須である。そのためには処理物の基本的品質として、処理物が水に接したときに、改質対象素材の焼却灰のごとく粉体状に再泥化しない形体に形状化処理が完成される処理技術に課題がある。
【0034】
上記4の課題においては、処理物が生活関連資材ならびに土木・建築資材として有効活用されるためには、処理物が自然界に長期に放置曝露される条件に耐えうる処理物に改質されていることが重要である、特に今日のpH4に近い酸性雨が降り注ぐ環境に長期に曝露されても、処理物に固定・不溶化されている有害な重金属類が再転換して大量に溶出してくるようなことがあってはならない。このように酸性雨を想定したpH4の条件下でも処理物からは有害な重金属類が多量に溶出しない無公害型が担保される処理技術に課題がある。
【0035】
上記5の課題においては、現在処理・処分に窮していた含リン焼却灰は多量に排出されていることから、無害化処理ならびに形状化処理が施された処理物も再資源化資材として大量に再生利用され、消費される分野への提供が可能であることが優先される。特に含リン焼却灰を改質処理した無公害型含リン再資源化資材供給先として想定される建築・土木資材である骨材、充填材、路盤材、埋立材、盛土、造成材、客土、吹き付け材、植物育成土等の用途先から求められる物性・品質、例えば、所定の一軸圧縮強度やコーン指数、さらに水に再泥化しない耐水性が長期に安定して確保されている無公害型処理物とする処理技術に課題がある。
【0036】
上記6の課題においては、以上の1から5項の各課題に同時に対処して含リン焼却灰を無害化処理する改質処理手段が、低コストであり環境に特別な負荷を与えない手段・方法であること重要である。特に生活環境ならびに生態系に有害である含リン焼却灰を無公害型の含リン再資源化資材に改質処理する処理課程で環境に負荷を与える、例えば余分な二酸化炭素の放出、余分な排気・排水の放出等の処理工程が含まれることは許されたがって、含リン焼却灰が特別なエネルギーを消費しない少なくとも常温の非加熱状態での改質処理されることは、再資源化資材を低コストで提供するためにも重要であり、有害な含リン焼却灰を常温の非加熱状態により低コストで改質処理する処理技術に課題がある。
【課題を解決するための手段】
【0037】
本発明は、上記課題の解決を目的として提案されたものであって、下記の特徴を有するものである。
すなわち、本発明によれば、熱履歴を受けているケイ酸塩を主成分とする低カルシヤ含リン焼却灰からなる改質対象素材に対して、水を介して不活性化剤を均質混和して含有リン成分を不活性化した含水高カルシヤ含リン混和物とする不活性含水化工程、次いで該含水高カルシヤ含リン混和物に対して不溶化剤を均質接触して共存有害元素群を不溶化した含水不溶化混和物とする不溶化工程、さらに必要に応じて該含水不溶化混和物を加工形状化した含水形状化物とする形状化工程、次いで該含水不溶化混和物または該含水形状化物を所定雰囲気中に開放して改質養生した無公害型複合母体からなる結着形状体とする養生工程で構成される一連の作業工程により、低カルシヤ含リン焼却灰に無害化処理ならびに形状化処理を施して無公害型含リン再資源化資材に改質処理する改質方法において;
上記の低カルシヤ含リン焼却灰が、水溶出有害元素群である土壌汚染の環境基準項目で示されるカドミウム、砒素、水銀、鉛、クロム、セレン、ホウ素またはフッ素の群より選ばれる少なくとも1種の組み合わせ元素群が環境基準値を超える範囲で共存し、乾燥物の酸化物基準で表して五酸化リン成分を224質量%、シリカ成分を2050質量%、アルミナ成分を830質量%、およびカルシヤ成分を515質量%を主成分とする低カルシヤ含リン焼却灰で構成される粉粒体、は該粉粒体100質量部に対して水が40質量部以下の量割合で加えられている湿潤し含水状態にある含水体であり;
上記の不活性化剤が、下記組成式(1)
CaO・aSiO2・wH2O ……………… (1)
[式中:aは零を含む3以下の数w は零を含む2 以下の数]で表され、カルシヤを酸化物基準で表して35質量%以上含有して、水サスペンのpH値が11以上である活性なカルシウム化合物で構成される粉粒体もしくは含水体であり;
上記の不溶化剤における有効成分が、以下乾燥物換算の酸化物基準で表してシラノール基を保持するシリカ含有成分のシリカ100質量部に対して、アルミナ含有成分のアルミナを30100質量部、ならびにナトリウム含有成分の酸化ナトリウムを370質量部を必須成分とし、必要に応じて硫黄含有成分の硫黄のオキシ酸を145質量部、ならびに2価または3価の鉄含有成分の酸化鉄を110質量部を任意成分として複合ワンパックされて構成される粉粒体もしくは含水体であり;
上記の不活性含水化工程が、乾燥物基準で表して低カルシヤ含リン焼却灰100質量部に対して、不活性化剤625質量部を加え、さらに必要に応じて混和物系内の水含有量を130質量部に相当する範囲内で加えて少なくとも常温で均質混和せしめて、次いで少なくとも1時間放置してpH値で10以上のバサバサ状、可塑状、マヨネーズ状、糊状またはスラリー状の含水高カルシヤ含リン混和物とする工程であり;
上記の不溶化工程が、乾燥物基準で表して含水高カルシヤ含リン混和物100質量部に対して、不溶化剤219質量部を加え、必要に応じて混和物系内の水含有量を130質量部に相当する範囲内で加えて少なくとも常温で均質接触せしめ、バサバサ状、可塑状、マヨネーズ状、糊状またはスラリー状の含水不溶化混和物とする工程であり;
上記の形状化工程が、必要に応じて含水高カルシヤ含リン混和物または含水不溶化混和物を目的・用途に応じて粉粒、造粒、成型、結着、被覆もしくは固結からなるか不特定形状体もしくは特定形状体に加工形状化して含水形状化物とする工程であり;
上記の養生工程が、含水不溶化混和物は含水形状化物を密封は開放状態で常温から1
00℃範囲の雰囲気中に少なくとも15分間放置して水を介した改質養生されて、無害化処理および形状化処理が施された無公害型複合母体からなる結着形状体とする工程であり;
上記の無公害型複合母体が、改質対象素材に共存する有害な水溶出元素群を環境基準値以下に固定・不溶化せしめ、同時にアルカリ成分をpH10未満に確保せしめる無害化処理が施されている含リン焼却灰の処理体であり;
上記の結着形状体が、粉粒体の改質対象素材を結着硬化せしめて水中で再泥化しない状態に形状化処理が施されている含リン焼却灰の処理体であり;
上記の改質方法が、有害な元素群を共存する粉粒体の含リン焼却灰に対して、不活性含水化工程、不溶化工程、必要に応じて形状化工程、さらに養生工程で構成される一連の作業工程を施して、無公害型複合母体からなる結着形状体である無公害型含リン再資源化資材に改質処理する改質方法が提供される。
【0038】
また、本発明によれば、前記の含水高カルシヤ含リン混和物が、水溶出有害元素群である土壌汚染の環境基準項目で示されるカドミウム、砒素、水銀、鉛、クロム、セレン、ホウ素フッ素の群より選ばれる単独2種以上の組み合わせ元素群を環境基準値を超える範囲で共存している含リン含水汚泥にカルシヤ成分を共存せしめて少なくとも800℃で焼却して回収される高カルシヤ含リン焼却灰に対して水を保持せしめた混和物であり;
上記の高カルシヤ含リン焼却灰が、乾燥物の酸化物基準で表して五酸化リン成分を224質量%、シリカ成分を2050質量%、アルミナ成分を830質量%、およびカルシヤ成分を1640質量%を主成分としており;
上記の含水高カルシヤ含リン混和物が、高カルシヤ含リン焼却灰の100質量部に対して、水含有量を100質量部に相当する範囲内で加えて混和した湿潤状態含水状態にある含水高カルシヤ含リン混和物である上記改質方法が提供される。
【0039】
また、本発明によれば、前記の不活性化剤が、生石灰または消石灰の単独は複合のカルシウム化合物からなる粉粒体もしくは含水体である上記改質方法が提供される。
【0040】
また、本発明によれば、前記の不活性化剤が、水サスペンのpH値で11以上を示す製鉄業界から副生される高炉スラグ粉末、廃棄物類の焼却場より排出されてカルシヤ含有量の高い焼却灰類、工業的の生産されているポルトランドセメント・アルミナセメントのセメント類、ゾーノトライト・ウオラストナイト・アモロファスのケイ酸カルシウム類の群より選ばれる単独2種以上の組み合わせのカルシウム化合物からなる粉粒体もしくは含水体である上記改質方法が提供される。
【0041】
また、本発明によれば、前記の不溶化剤における有効成分の必須成分構成が、シラノール基を保持するケイ酸ナトリウムならびに硫酸アルミニウムで複合ワンパック化されて構成されている粉粒体もしくは含水体である上記改質方法が提供される。
【0042】
また、本発明によれば、前記の不溶化剤における有効成分の必須成分構成が、含水非晶質シリカならびにアルミン酸ナトリムで複合ワンパック化されて構成されている粉粒体もしくは含水体である上記改質方法が提供される。
【0043】
また、本発明によれば、前記の不溶化剤における有効成分は任意成分が、水に分散は溶解されている含水体である上記改質方法が提供される
【0044】
また、本発明によれば、前記の不溶化工程が、含水高カルシヤ含リン混和物に形状化処理が施されている含水形状化物に対して、不溶化剤を水に分散は溶解せしめた不溶化剤の含水体を少なくとも常温で含浸はまぶし手段により均質接触せしめ、次いで少なくとも3時間放置して不特定形状体は特定形状体からなる形状化されている含水不溶化混和物とする工程である上記改質方法が提供される。
【0045】
また、本発明によれば、前記の一連の作業工程における不活性含水化工程ならびに不溶化工程が、同一設備内で連続して行われて不活性含水化工程と不溶化工程を複合した工程である上記改質方法が提供される。
【0046】
また、本発明によれば、前記の一連の作業工程における不活性含水化工程ならびに形状化工程が、同一設備内で連続して行われて不活性含水化工程と形状化工程を複合した工程である上記改質方法が提供される。
【0047】
また、本発明によれば、前記の一連の作業工程における不溶化工程ならびに形状化工程が、同一設備内で連続して行われて不溶化工程と形状化工程を複合した工程である上記改質方法が提供される。
【0048】
また、本発明によれば、前記の一連の作業工程における不活性含水化工程ならびに不溶化工程、必要に応じて行う形状化工程が、同一設備内で連続して行われて不活性含水化工程と不溶化工程と形状化工程を複合した工程である上記改質方法が提供される。
【0049】
また、本発明によれば、前記の改質方法からなる一連の作業工程による無害化処理ならびに形状化処理を低カルシヤ含リン焼却灰は高カルシヤ含リン焼却灰を改質対象素材として調製されている該含水高カルシヤ含リン混和物に施して、無公害型複合母体からなる不特定形状体もしくは特定形状体である結着形状体に改質処理されている無公害型含リン再資源化資材において;
上記の無公害型複合母体が、低カルシヤ含リン焼却灰は高カルシヤ含リン焼却灰に対して水を介した一連の作業工程に付することにより共存する水溶出有害元素群を環境基準値以下に固定・不溶化せしめ、水溶出pH値が10未満に確保せしめる無害化処理が施されている無公害型複合母体であり;
上記の結着形状化体が、低カルシヤ含リン焼却灰は高カルシヤ含リン焼却灰に対して水を介した一連の作業工程に付することにより、改質対象素材の粉粒体を水中分散で再泥化を起こさない形状化処理が施されている耐水性結着体であり;
上記の無公害型含リン再資源化資材が、無公害型複合母体からなる結着形状体に無害化処理ならびに形状化処理が施されて、コーン指数(qc=kN/m2 )で200以上が確保され、粉粒体、砂状体は顆粒体からなる不特定形状体、もしくは成型体、構造体は結着体からなる特定形状体からなる工業用資材、建材・土木資材、生活関連資材または植物育成基材の用途に供給されることを特徴とする無公害型含リン再資源化資材が提供される。
【0050】
本発明によれば、前記の無公害型複合母体からなる結着形状体が、低カルシヤ含リン焼却灰は高カルシヤ含リン焼却灰に共存の有害な水溶出元素群を環境基準値以下に固定・不溶化された後、自然界に少なくとも30日間放置したときに中性域における有害元素群の水溶出量が環境基準値以下でpH値が10未満である無公害型処理体に改質する無害化処理が施されている上記無公害型含リン再資源化資材が提供される。
【0051】
また、本発明によれば、前記の無公害型複合母体からなる結着形状体が、含リン焼却灰に共存する有害な水溶出元素群を環境基準値以下に固定・不溶化された後、自然界に少なくとも30日間放置してカドミウム、鉛、クロム、砒素はセレンの元素群からなる有害重金属の酸性域における溶出量が1mg/kg以下でpH値が10未満である無公害型に改質する無害化処理が施されている上記無公害型含リン再資源化資材が提供される。
【発明の効果】
【0052】
本発明による効果は、今後も増量発生が予想されて処理・処分に窮しいている有害な元素群を共存する含リン焼却灰である下水汚泥焼却灰を改質対象素材として、本発明により低コストで安全に環境に負荷をかけずに有効に改質処理して、下水汚泥焼却灰を無公害型の含リン再資源化資材として有効に再生利用できることから、下水汚泥焼却灰を工業用資材、建材・土木資材は植物育成資材等の用途目的先で無公害型含リン再資源化資材として活用提供することができる。したがって、廃棄物類を再資源化資材として再生利用できることから、廃棄物類の処理・処分により発生していた環境問題を解消し、リサイクルシステムによる循環型社会の構築に貢献でき、ならびに下水道行政ならびに
関連事業における廃棄物類処理問題等の解消に貢献することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0053】
以下に、本発明の形態に付いて具体的に説明する。
[バックグランド]
現在、大量にして確実に発生し、有害な水溶出元素群であるホウ素またはフッ素、さらに同時に重金属類(カドミウム、砒素、水銀、鉛、クロム、セレン等)を共存し、しかもリン成分を含有している下水汚泥を焼却して回収される含リン焼却灰は、有効な処理技術もないまま処理・処分に窮していることから、この含リン焼却灰を無処理状態で生活環境において再生利用しようとするときは、生活環境に有害元素群が水溶出して拡散汚染を起こす危険を抱えている。
【0054】
このような状況から、本発明者等は、含リン焼却灰を生活環境で無公害型の再資源化資材として再生活用できる技術を構築し、含リン焼却灰に共存する有害元素群ならびにアルカリ成分が生活環境に溶出して汚染弊害を起こさない無公害型処理物に改質処理し、しかもこの改質処理が少なくとも常温における簡単な低コスで環境に特別な負荷をかけない改質処理工程により、含リン焼却灰を改質処理して安価な無公害型の再資源化資材として提供することは環境問題の解決のためにも重要であると判断した。
【0055】
しかし、前述したように、従来技術ならびに本発明者等の先願技術等により、含リン焼却灰に共存する有害な水溶出の有害な元素群を水不溶性に改質処理して無公害型の含リン再資源化資材として提供するためには、改質処理技術において解決せねばならない課題を多く残している。特に含リン焼却灰に含有する活性なリン成分が、有害な水溶出重金属類を取り込んで水不溶性に固定・不溶化せしめるアルミノケイ酸のアルカリ塩鉱物の形成を阻害する傾向にあることから、含有する活性なリン成分を予め不活性化せしめておく方法・手段等が必要であると判断した。
【0056】
また、含リン焼却灰の発生量が多いだけに、含リン焼却灰が改質処理された無公害型の再資源化資材の用途先も、対象に消費可能な、例えば建設・土木業界等での用途に適う製品規格に適い、しかも低価格で安定した品質に仕上げられている製品であることが求められる。そのためには、少なくとも含リン焼却灰粉粒体を原料として調製された製品は水に再泥化しない結着形状体に形成されていることが重要であると判断した。
【0057】
特に本発明者等の先願技術を検討した結果、改質対象素材となる含リン焼却灰から溶出する有害な元素群を同一カテゴリー範囲内にあると見なして一律に処理してきた技術に課題があると判断した。この課題に対応するためには、有害元素群を性状別にグループ分類して処理対応すべきと判断し、処理対象となる有害元素群をグループ分類として、純粋な塩基性成分として挙動する塩基性元素群であるカドミウムならびに水銀からなるグループ、またオキソ酸を形成するオキソ酸元素群である鉛、クロム、ヒ素、セレンならびにホウ素からなるグループ、さらにハロゲン酸として活動する酸類元素であるフッ素からなる三つのグループに分類することが妥当であると判断した。
【0058】
したがって以上の状況判断を踏まえて、本発明で含リン焼却灰が改質処理された無公害型の含リン再資源化資材に求められる改質処理工程ならびに特性における目標設定は、下記に示す条件が必須であると判断した。
1.低コストを達成するために改質処理工程は常温で行う簡単な工程であること;
2.有害な共存元素群が環境基準値を満足し生活環境の条件下で使用可能なこと;
3.処理物がpH4の酸性雨を想定する自然界に曝されても安定に存在すること;
4.建設土木分野に提供する処理製品がpH10未満の低アルカリ性であること;
5.建設土木分野に提供する処理製品が水中再泥化しない結着形成体であること;
【0059】
本発明者等は、以上の目標設定を完遂するために鋭意検討・実験を重ねた結果、異なる性状を示す元素群グループならびにここに同時に共存するアルカリ成分に対して、それぞれの性状に適切に対応できる固定・不溶化機構と処理条件が必要であり、各グループに対応する常温における個別の固定・不溶化処理条件と結着化処理条件を見出した。特に、本発明の改質効果が、自然界のpH4の酸性雨を想定した条件下でも固定・不溶化処理された処理物が安定している改質処理条件を見出して本発明に到達した。
【0060】
[本発明の概要]
本発明は、ケイ酸塩を主成分とする低カルシヤ含リン焼却灰からなる有害物質を共存する含リン焼却灰を改質対象素材として、必要に応じて予め水を介して不活性化剤を加えて含水高カルシヤ含リン混和物とする不活性含水化工程に付した後、不溶化剤を加えて含水混和物とする混和工程、ならびに該含水混和物を加工形状化して含水形状化物とする形状化工程、次いで該含水混和物なしは該含水形状化物を常温から100℃範囲の雰囲気中に放置して改質処理する養生工程からなる一連の作業工程による改質方法、また含リン焼却灰を一連の作業工程に付することにより、含リン焼却灰粉粒体に無害化処理ならびに形状化処理を施して無公害型複合母体からなる結着形状体に改質されて再生活用される無公害型の含リン再資源化資材を提供する技術である。
【0061】
したがって、本発明においては、含リン焼却灰を改質対象素材として、特定される不活性化剤ならびに不溶化剤を駆使して、不活性含水化工程ならびに不溶化工程に付し、必要に応じて形状化工程を施して、次いで少なくとも常温に放置される養生工程に付する一連の作業工程の過程において、下記に示す複合母体からなる結着形状体の形成機構が発揮されて無公害型の含リン再資源化資材に改質せしめることが可能となる。
【0062】
しかも、有害物質を共存する含リン焼却灰に対して、少なくとも常温において改質処理することが可能であることから、低コストで環境に特別な負荷をかけることなく、有害な含リン焼却灰を再生利用可能なpH値10未満の無公害型の無公害型含リン再資源化資材に改質処理されており、ここに改質処理された無公害型含リン再資源化資材を生活環境に有害物質を拡散汚染させることなく、それぞれ工業用資材、建材・土木資材または植物育成基材等の用途先に安心して安全に供給することが可能となる。
【0063】
なお、本発明により上記の特性を満足する無公害型の含リン再資源化資材を構成する複合母体を形成する反応機構は、次の5点にあると思われる。
1.有害元素群の水不溶性を阻害する活性リン成分が予め不活性リン化合物を形成;
2.シラノール基保有シリカがポリシロキサン結合からなるシリカポリマーを形成;
3.シリカポリマーマトリックス間にカルシウム塩類主体の緻密な水和鉱物を形成;
4.常温での有害な元素群を一括取り込んだアルミノケイ酸アルカリ塩鉱物を形成;
5.含有する遊離のアルカリ成分類がケイ酸等酸根で中和された水和中性塩を形成;
【0064】
なお、本明細書においては、改質対象素材を本発明の改質方法における一連の作業工程に付することにより、改質対象素材を無公害型複合母体からなる無公害型の含リン再資源化資材に改質する「無害化処理」ならびに「形状化処理」を次の通り定義する。
【0065】
「無害化処理」とは、改質対象素材を改質処理した無公害型の結着形状体を中性域のみ
ならず酸性域における溶出試験法(後述する物性等の評価試験方法の項を参照)に付したとき、中性域溶出試験法では共存する有害元素群の水溶出量が環境基準値以下の範囲に固定・不溶化されており、酸性域溶出試験法では共存する有害元素群の水溶出量が1mg/kg以下で固定・不溶化されており、しかも処理体のpH値が10未満に確保されている複合母体からなる無公害型の結着形状体に改質調製されている状態をいう。
【0066】
なお、中性域溶出試験と酸性域溶出試験は次の溶出試験方法に準拠した。
1.中性域における溶出試験:環境庁46号溶出試験法;
2.酸性域における溶出試験:オランダNEN7341溶出試験法;
また、酸性域における溶出試験であるオランダNEN7341溶出試験法では、自然界暴露における酸性雨を想定した状況下での評価方法であり、また、同時に本発明で酸域不溶化処理された活用品を自然界に暴露したときの促進試験として評価する。
【0067】
「形状化処理」とは、含リン焼却灰の粉粒体が、無公害型複合母体からなり、水中で再泥化しない耐水性の結着硬化体に形成されている状態をいう。具体的には、粉粒体、砂状体または顆粒体からなる不特定形状体、もしくは成型体、構造体または結着体からなる特定形状体として工業用資材、建材・土木資材または植物育成資材として提供される無公害型の含リン再資源化資材に改質調製されている状態をいう。
【0068】
[改質対象素材]
本発明における改質対象素材としては、廃棄物類の中からリン成分を含んでいる下水汚泥もしくは農業集落排水汚泥等を焼却処理して熱履歴を受けているケイ酸塩化合物を主成分とする焼却灰を好適に挙げることができる。本発明の含リン焼却灰は、熱履歴を受けている焼却灰であることから、基本的には無水物の粉粒体である。
【0069】
しかし、下水汚泥等の焼却灰は人体に有害な粉粒体であることから取り扱い上、また作業上、さらに周辺環境ならび作業環境等に対して安全性を充分に確保する配慮が必要である。したがって、無水物の粉粒体の灰に対して水を含ませて湿潤または含水状態にして焼却灰の作業ならびに生活環境への飛散を防止した状態で扱う方が好ましい場合もある。なお、含リン焼却灰に包含担持させた水は、後述する本発明の一連の作業工程で起こる本発明の常温における処理反応に必要な水として活用することができる。
【0070】
先述したように本発明で改質対象素材とする含リン焼却灰は、一般にリン成分を含有して含水の下水汚泥を加熱焼却処理して回収されている。このときの加熱焼却処理条件・方法等によっては、また排気ガスの処理条件等によっては、回収される含リン焼却灰の組成内容に大きな差があり、特にカルシヤの含有量は、加熱焼却処理条件・方法等によって、7から35質量%の範囲で大きく異なっている。このカルシヤの含有量が、含有するリン成分の活性状態または不活性状態を左右しており、このリン成分の活性状態または不活性状態が、含リン焼却灰に共存する有害な元素群の無害化処理条件を大きく左右するところに本発明における重要なポイントがある。
【0071】
即ち、含有するリン成分が活性なリン成分で含有している場合は、この活性なリン成分を予め不活性化されていることが大切である。したがって、本発明の処理対象材である含リン焼却灰としては、カルシヤ成分を酸化物基準で表して15質量%未満であり、pH値で10未満にあり、リン成分が活性な状態にある低カルシヤ含リン焼却灰を主たる処理対象材とすることができる。
【0072】
しかし、含リン焼却灰は、先に示したように含水の下水汚泥を加熱焼却処理して回収するときの条件により、回収した含リン焼却灰に含有するカルシヤ成分の含有量が15質量%以上で、pH値で10以上である場合があり、このようにカルシヤ成分の含有量が15質量%を超えてpH値が10以上であるときは、一般に含リン焼却灰における含有リン成分は不活性な状態にある傾向にある。
【0073】
一般的に含リン焼却灰は、乾燥物の酸化物基準で表してリン成分を2ないし24質量%、シリカ成分を20ないし50質量%、アルミナ成分を8ないし30質量%、およびカルシヤ成分を5ないし40質量%を主成分とする含リン焼却灰、例えば下水汚泥焼却灰等で構成される粉粒体、または該粉粒体100質量部に対して水が100質量部以下の量割合で包含している湿潤状態または含水状態の含水体を好適に選ぶことができる。
【0074】
本発明における改質対象素材である含リン焼却灰には、有害な水溶出元素群が共存している。本発明で示す有害な水溶出元素群としては、基本的に土壌汚染の環境基準項目で示されるカドミウム、砒素、水銀、鉛、クロム、セレン、ホウ素またはフッ素の群より選ばれる少なくとも1種の元素、ならびにナトリウムイオンを対象としている。しかし、本発明は勿論これらの元素群に限定されるものではない。
【0075】
なお、環境省より提示されている環境基準、土壌の溶出基準または地下水の含有基準として決められている環境基準値、ならびに土壌における含有基準値を参考までに表1に併せて表示する。
【0076】
【表1】


【0077】
[改質方法]
本発明の改質方法は、含リン焼却灰を改質対象素材として、特定される不活性化剤ならびに不溶化剤を駆使して、不活性含水化工程ならびに不溶化工程に付し、必要に応じて形状化工程を施して、次いで少なくとも常温に放置される養生工程に付する一連の作業工程の過程において、複合母体からなる結着形状体である無公害型の含リン再資源化資材に改質処理する改質方法である。以下に、本発明の改質方法における一連の作業工程を順次詳細説明する。
【0078】
本発明の改質方法における不活性含水化工程は、本発明の改質対象素材である含リン焼却灰が、pH値10以下を示し、カルシヤ成分の含有量が15質量%未満の低カルシヤ含リン焼却灰であって、含有するリン成分が活性な状態にあるときは、共存有害元素群を一括して固定・不溶化せしめる水不溶性のアルミノケイ酸アルカリ塩鉱物を形成せしめるために、この水不溶性のアルミノケイ酸アルカリ塩鉱物の形成を阻害する活性なリン成分を不活性化せしめておく処理工程として必要である。
【0079】
この水不溶性鉱物であるアルミノケイ酸塩の形成を阻害する遊離の活性なリン成分を不活性化処理する工程は、遊離で活性なリンのオキシ酸成分がカルシウム成分と容易に反応して不活性化できることに由来している。したがって、低カルシヤ含リン焼却灰として回収される含リン焼却灰を改質対象素材とするときは、予め特定されるカルシウム成分からなる不活性化剤を採択して、水を介して低カルシヤ含リン焼却灰に混和してリン成分の不活性化反応を遂行せしめ含水高カルシヤ含リン混和物に予め改質処理することのできる不活性含水化工程が必要である。
【0080】
しかし、改質対象素材である含リン焼却灰におけるカルシヤ成分の含有量が、15質量%を超えて、pH値10以上である高カルシヤ含リン焼却灰ときは、既にリン成分が不活性化されている傾向にあることから、特段に不活性化せしめるために不活性化剤を加えた不活性化反応は必要とはしない。しかし、高カルシヤ含リン焼却灰である場合においても、該高カルシヤ含リン焼却灰100質量部に対して、水を40質量部以下の量割合で加えられている湿潤または含水状態にある含水高カルシヤ含リン混和物に予め調製してから、本発明の一連の作業工程からなる不溶化工程に付して無害化処理ならびに形状化処理を施して無公害型含リン再資源化資材に改質処理することが好ましい。
【0081】
本発明の不活性含水化工程において採択される不活性化剤としては、下記組成式(1)
CaO・aSiO2・wH2O ……………… (1)
[式中:aは0を含む3以下の数、wは0を含む2以下の数]で表され、カルシヤを酸化物基準で表して35質量%以上含有して、水サスペンのpH値が11以上である活性なカルシウム化合物、好適には酸化カルシウムまたは水酸化カルシウムの単独ないしは複合のカルシウム化合物の粉粒体もしくは含水体を挙げることができる。
【0082】
カルシウム化合物を代表する酸化カルシウム(カルシヤ、生石灰)は、水と激しく反応して多量の熱量(1モルで15540cal.)を発生すること、ならび水に接すると強いアルカリ性を呈することから、その取扱いには充分注意を要する。また、カルシウムの酸化物ならびに水酸化物からなる単品は、空気中の炭酸や水と敏感に反応して、炭酸塩や水酸化物に変質してしまい、処理材製品の貯蔵安定性を損なうことから、本発明の処理材での配合には充分注意する必要がある。
【0083】
また、カルシヤ化合物は一般的に、カルシウム元素と周期律表上同族元素であるアルカリ土類金属のマグネシウム、亜鉛、ストロンチウムならびにバリリウム元素等が混在共存している場合があるが、10質量%以下の量で混在する限り、本発明の基本的化学反応ならびに特定される機能的効果を損なうものではない。
【0084】
酸化カルシウム(生石灰)は、一般に天然の石灰岩等の炭酸カルシウムを約950℃以上の熱雰囲気下で脱炭酸して生石灰として生産されている。また、水酸化カルシウム(消石灰)は、脱炭酸した生石灰に水を加えて消化させて生産されている。これらの生石灰ならびに消石灰は、鉄鋼、化学工業、紙、建材、肥料、農薬、土壌改良等の広い分野で使用されており、安価に入手が容易であり好ましい。
【0085】
さらに酸化カルシウム(生石灰)および水酸化カルシウム(消石灰)以外の本発明の不活性化剤として、水サスペンのpH値で11以上を示す活性なカルシウム化合物を挙げることができる。本発明の不活性化剤として好適な活性なカルシウム化合物の具体的な例としては、製鉄業界から副生される高炉スラグ粉末、廃棄物類の焼却場より排出されてカルシヤ含有量の高い焼却灰類、工業的の生産されているポルトランドセメント・アルミナセメントのセメント類、ゾーノトライト・ウオラストナイト・アモロファスのケイ酸カルシウム類の群より選ばれる少なくとも1種のカルシウム化合物からなる粉粒体もしくは含水体から適宜選ぶことができる。
【0086】
本発明における不活性化剤は、一般に粉粒体としても供給できるが、水を伴った含水体の不活性化剤として供給することもできる。含水体の不活性化剤において保持される水分量は、アルカリ性成分100質量部に対して水100質量部を上限として保持・付加されていることが好ましい。勿論、水の保有範囲は、後述される混和物に求められる水の混合混和割合に依存することから、当然水の配合量割合には制限が加えられる。
【0087】
したがって、本発明の不活性含水化工程においては、乾燥物基準で表して低カルシヤ含リン焼却灰100質量部に対して、不活性化剤を8ないし25質量部を加え、さらに必要に応じて混和物系内の水含有量を130質量部の範囲内に相当する量で混和調整して少なくとも常温で均質に混和し、次いで少なくとも3時間放置する工程により、pH値で10以上のバサバサ状、可塑状、マヨネーズ状、糊状またはスラリー状の含水高カルシヤ含リン混和物を調製することができる。
【0088】
本発明の不活性含水化工程において、乾燥物換算で低カルシヤ含リン焼却灰100質量部に対して不活性化剤を8質量部より少ないときは、含有するリン成分を充分に不活性に固定化することはできない傾向にある。また20質量部を超えるときは、量割合が増量させたことによる特段の効果を期待することができない。勿論、低カルシヤ含リン焼却灰に予め含有しているカルシヤ成分の含有量が限りなく15質量%に近いときには、加える不活性化剤の量は、限りなく8質量部に近い量で目的を達成することができる。
【0089】
しかも、含水高カルシヤ含リン混和物の混和直後のpH値が10以上に管理されて混和されていることがリン成分の固定化条件として重要である。しかし、最終的に形成される本発明の複合母体からなる結着形状体のpH値は10未満に確保されていることが目標であることから、20質量部を超えて不活性化剤を加えて混和することは、系内に遊離のアルカリ成分を多くすることから好ましくない。しかも、低カルシヤ含リン焼却灰に予め含有しているカルシヤ成分の含有量に関係なく、加える不活性化剤の量が20質量部を超えて加えてもリン成分の不活性に特段優れた効果は発揮されない。
【0090】
不活性の含水化工程で水を介して低カルシヤ含リン焼却灰と不活性化剤を混和する時間は、均質な混和物が得られていればよく、混和設備・装置にもよるが、最低で5分あれば充分である。但し、リン成分が充分に固定化されるには少なくとも常温に1時間、好ましくは3時間の範囲で放置または混和状態が確保されていることが好ましい。
【0091】
本発明の改質方法における不活性含水化工程において加える水の量は、含リン焼却灰が水を含んでいる場合、また不活性化剤が水を伴っている場合は、この伴われる水量を勘案して全体で乾燥物換算の含リン焼却灰100質量部に対して、水を10ないし90質量部の範囲で混和されることが好ましい。水の介在量が10質量部より少ないときは、本発明の改質反応に必要な水として少なく、目的とする改質反応を充分に進めることはできない。また、水量が90質量部を超えるときは、混和物の系全体がスラリー化する傾向にあり、最終改質処理品を固形体の形状体で回収することが困難になる傾向にある。
【0092】
但し、不活性含水化工程において水を介して低カルシヤ含リン焼却灰と不活性化剤を混和して、必要に応じて少なくとも1時間を過ぎて放置された含水高カルシヤ含リン混和物は、硬化・固結化傾向にあり、粉粒体より顆粒状態で回収される場合もある。この顆粒状態で回収され硬化・固結化物を不溶化工程で溶液状不溶化剤による含浸手段等で不溶化工程に応ずることもできるが、硬化・固結化した含水高カルシヤを必要に応じて予め粉砕・解し等の手段である解砕工程を講じてから不溶化工程に移ることもできる。
【0093】
本発明の改質方法における不溶化工程は、前述した不活性含水化工程で予め調整された含水高カルシヤ含リン混和物に対して、水を介して特定される不溶化剤を混和して本発明改質対象素材である含リン焼却灰に共存する有害な水可溶性の元素群を水不溶性に少なくとも常温で固定・不溶化せしめる工程である。
【0094】
本発明の不溶化工程において採択される不溶化剤は、不溶化剤を構成する有効成分を乾燥物換算の酸化物基準(以下同様)で表してシラノール基を保持するシリカ含有成分のシリカ100質量部に対して、アルミナ含有成分のアルミナを30ないし100質量部、ならびにナトリウム含有成分の酸化ナトリウムを3ないし70質量部を必須成分として、さらに必要に応じて硫黄含有成分の硫黄のオキシ酸を1ないし45質量部、ならびにカルシヤ含有成分のカルシヤを1ないし100質量部を任意成分として複合ワンパック化されて構成される粉粒体もしくは含水体であることが好ましい。
【0095】
本発明の不溶化剤を構成する有効成分は、一般に試薬、工業薬品、工業用資材、試作品、副生製品、廃棄物類等の中から、本発明の不溶化剤としての機能性を発揮できる化合物または組成物群から適宜選び採択することができる。これらの化合物または組成物群成分の中には、単一の化合物または組成物中に複数の本発明で必要な有効成分を共有している化合物または組成物もあり、単一の化合物または組成物に複数の役目を果たさせることもできる。例えば、複数有効成分を共有する好適な例としては、シラノール基を保持するケイ酸ナトリウム(水ガラス)ならびに硫酸アルミニウム(硫酸バンド)等を好適に挙げることができる。
【0096】
本発明における不溶化剤を必須成分として構成するシラノール基を保持するシリカ含有成分としては、まず下記組成式(2)
Na2O・aSiO2・wH2O ………… (2)
[式中:aは0.1ないし4の数、wは16ないし50の数]で表されるケイ酸ナトリム
の群より選ばれる少なくとも1種の粉状体または液状体のケイ酸ナトリム(水ガラス)を好適に挙げることができる。しかもケイ酸ナトリムは、不溶化剤を構成するナトリウム成分も同時に含有しており、さらにケイ酸ナトリムは水ガラスとしてJIS化されて粉状体または液状体で工業的にも大量生産されており、一般に入手容易であり、安価であり好ましい。
【0097】
本発明不溶化剤を構成するシラノール基保持のシリカ含有成分としては、含水の粘土鉱物、特に層状粘土鉱物であるモンモリロナイト、ベントナイト、サブベントナイト等のアルミノケイ酸塩を好適に挙げることができる。含水粘土鉱物であるアルミノケイ酸塩は、不溶化剤を構成するアルミナ成分も同時に含有しており、反応性も高く好ましい。
【0098】
本発明における不溶化剤の必須成分を構成するアルミナ含有成分は、下記組成式(3)
aM2 O・bZO・Al23・wH2O ………… (3)
[式中:Mはアルカリ金属、Zはアルカリ土類金属、aは0を含む5以下の数、bは0を
含む5以下の数、wは0を含む9以下の数]で表されるアルカリ金属またはアルカリ土類
金属のアルミン酸塩もしくはアルミナ水和物の群より選ばれる少なくとも1種のアルミニウム化合物を好適に挙げることができる。
【0099】
本発明における不溶化剤を必須成分として構成するナトリウム含有成分としては、工業薬品として広く大量に生産されており入手も容易である水酸化ナトリウム(苛性ソーダ)を好適に挙げることができる。またナトリウム含有成分の他の具体的例としては、硫酸ナトリウム、塩化ナトリウム、炭酸ナトリウム、重炭酸ナトリウム、硝酸ナトリウム、アルミン酸ナトリウム、ホウ酸ナトリウム、リン酸ナトリウム、ケイ酸ナトリムならびに酸化性ナトリウム塩化合物の群より選ばれる少なくとも1種のナトリウム塩化合物の正塩または塩基性塩からなる粉粒体を挙げることができる。
【0100】
特にナトリウム含有成分として、硫酸塩である硫酸ナトリウム(芒硝)を選ぶ時は、本発明の改質処理剤を構成するナトリウム含有成分と後述する硫黄含有成分の役割を一つの化合物で2役を果たすことができることから大変好ましい。硫酸ナトリウムの場合、併配合するカルシヤ含有成分のカルシウムイオンと予め硫酸根が反応して、カルシウムイオンの中で遊離のナトリウムイオンを形成できることからも好ましい。また、先のシリカ含有成分の項で記載したケイ酸ナトリウムも好適に挙げることができる。
【0101】
さらにナトリウム含有成分の代表的な他の具体例としては、ハロゲン化合物である塩化ナトリウム(食塩)を挙げることができる。勿論、本発明改質処理剤中にハロゲンである塩素が混入されても本発明の作用機構を本質的に阻害するものではない。しかし、形成される結着形状体が鉄等の金属と接触するケースでは好ましくない場合がある。また、本発明のナトリウム含有成分には、ナトリウム元素と同属元素であるカリまたはリチウムが共存する場合がある。カリならびにリチウムがナトリウム塩化合物に共存することは基本的に本発明の処理材の処理機能を阻害するものではない。
【0102】
また本発明の不溶化剤における有効成分の必須成分の具体的な構成として、シラノール基を保持するケイ酸ナトリウムならびに硫酸アルミニウムで複合ワンパック化されて構成されている粉粒体もしくは含水体を好適に挙げることができる。
【0103】
さらにまた本発明の不溶化剤における有効成分の必須成分の具体的な構成として、反応性の高い含水非晶質シリカならびにアルミン酸ナトリムで複合ワンパック化されて構成されている粉粒体もしくは含水体を好適に挙げることができる。
【0104】
本発明において採択される不溶化剤を構成する有効成分の必須成分として、改質対象素材である含リン焼却灰が保有している熱履歴を受けて休眠成分化しているシリカ、アルミナ、ナトリウム等に対して、水を介して水酸化ナトリウム等の活性なアルカリ成分が働いて、休眠成分化しているシリカ、アルミナ、ナトリウム等を活性化せしめて、本発明不溶化剤の有効成分の必須成分に有効活用して生かすこともできる。
【0105】
本発明における不溶化剤を必要に応じて任意成分として構成する硫黄含有成分としては、一般に試薬、工業薬品、工業用資材、試作品、副生製品、廃棄物類等から、無水物の硫黄酸化物基準で表して有効成分を少なくとも18質量%含有している硫黄のオキシ酸化合物または硫化物からなる粉粒体の硫黄含有成分の化合物の中から好適に選び挙げることができる。特に、本発明における硫黄含有成分は、形成される結着形状体のpH値10未満を確保する役割を担える不溶化剤であることが好ましい。
【0106】
さらにまた、本発明の不溶化剤により形成される複合母体を構成する水和型の硫酸カルシウムを主体とするケイ酸カルシウム、アルミノケイ酸カルシウム等は結着形状体に緻密性を付与して強度を効果的に補強することから大変好ましい。
【0107】
本発明の硫黄含有成分に一般的な化合物は、一般的に下記組成式(4)
aM2O・bZO・cR23・SOn・wH2O ………… (4)
[式中:Mはアルカリ金属、Zはアルカリ土類金属、Rはアルミニウムまたは3価の鉄、a、b、cは0を含む20以下の数、nは2または3の数、wは0を含む25以下の数]で表される金蔵元素の硫黄のオキシ酸塩化合物の塩基性塩または正塩の群より選ばれる少なくとも1種の硫酸根保有化合物もしくは硫酸根保有組成物で構成されている粉粒体を好適に挙げることができる。
【0108】
特に、本発明の不溶化剤を構成する硫黄含有成分としては、アルカリ金属、アルミニウムまたは鉄のオキシ酸の硫酸塩を主成分とする硫酸根・亜硫酸含有の化合物または組成物もしくはアルカリ金属、アルミニウムまたは鉄の硫化物を主成分とする硫化物含有組成物の少なくとも1種で構成される粉粒体であり、併配合するカルシヤ含有成分と中和反応する機能を有す硫黄含有成分であることが好ましい。
【0109】
本発明で採択できる硫黄含有成分は、硫酸・亜硫酸根、もしくは硫化物を含む化合物または組成物であれば構わないが、汎用されるアルカリ金属の硫黄のオキシ酸塩を主成分とする芒硝型組成物、もしくは硫酸アルミニウムを主成分とする明礬型組成物の2種類を好適な硫黄含有成分として挙げることができる。
【0110】
本発明の硫黄含有成分における明礬組成物としては、下記組成式(5)
aM2O・cR23・SOn・wH2O ………… (5)
[式中:Mはアルカリ金属、Rは3価のアルミニウムまたは鉄、aは0.2ないし20の数、cは1ないし20の数、wは0を含む25以下の数、nは2または3の数]で表されるアルカリ金属を含むアルミニウムまたは鉄の硫黄のオキシ酸塩の各塩類群より選ばれる少なくとも1種の明礬型組成物、また明礬型組成物であるアルカリ金属のアルミニウムまたは鉄の硫黄のオキシ酸塩としては、硫酸アルミニウムと硫酸カリウムとの混合溶液から生成する正八面体の複塩結晶が代表的である。
【0111】
しかも明礬組成物は、本発明にける改質処理物にアルミノケイ酸塩の生成を期待することから、アルミノケイ酸塩の構成成分のアルミニウム成分を同時に共存していることから好ましい。したがって、硫酸根成分と共にアルミニウム成分が共存している明礬型組成物は有効である。また、重金属類の固定化対象として砒素が共存するときは、鉄イオンが配合されているときは、鉄イオンが砒素の固定化に有効であり、鉄含有の明礬型組成物は有効であり効果的である。したがって、工業薬品の水改質処理剤等として汎用されている粉状体の硫酸アルミニウム(バンド)は、本発明の硫黄含有成分原料として好適であり、さらに粘土等の鉱物を硫酸処理したときに廃酸として副生される鉄を含んだ含鉄硫酸アルミニウムは、好適に採択することができる。
【0112】
本発明の硫黄含有成分における芒硝型組成物としては、下記組成式(6)
aM2O・SOn・H2O ………… (6)
[式中:Mはアルカリ金属元素、aは1ないし20の数、wは0を含む20以下の数、nは2または3の数]で表される塩基性塩もしくは正塩のリチウム、ナトリウムもしくはカリウムであるアルカリ金属の硫黄のオキシ酸塩化合物の群より選ばれる少なくとも1種の芒硝型組成物を好適に挙げることができる。
【0113】
本発明の硫黄含有成分における芒硝型組成物であるリチウム、ナトリウムもしくはカリウムであるアルカリ金属の硫黄のオキシ酸塩化合物における代表的な化合物は、天然産または合成・副生の有水もしくは無水の芒硝(硫酸ナトリウム)、天然の岩塩産地で産する石灰芒硝である複塩等を挙げることができる。また、工業的には、人絹や廃液等の廃液処理時の副生芒硝等として副生されている。不純物を含む天然または合成・副生の芒硝も好適に採択することができる。
【0114】
またカリウムを含む複塩や塩基性塩、アルカリ土類金属の塩化合物、炭酸塩を共存している混合塩等を含む化合物も、芒硝型組成物として好適に採択することができる。特にナトリウム塩である芒硝は、本不溶化剤の必須成分のナトリウム含有成分として有効であり、共に硫黄含有成分が確保されており、2者の機能性を同一化合物で同時に果たせることから効率もよく好ましい。
【0115】
本発明の硫黄含有成分として選ばれる硫化物含有組成物としては、硫化ナトリウム、硫化カルシウム、硫化マグネシウム、硫化アルミニウム、硫化鉄または硫化鉱物の群より選ばれる単独ないし2種以上の組み合わせの粉粒体を好適にあげることができる。この中で硫化ナトリウムは、ナトリウムを含んでいることから、ナトリウム含有成分とすることもできるが、硫化ナトリウムは、空気中で容易に分解して硫酸ナトリウムに変化することから、特に改質処理剤の水溶出pHへの影響に注意して扱う必要がある。
【0116】
硫化物含有組成物としては、天然硫塩鉱物を含む硫化鉱物である黄鉄鉱、車骨鉱、鶏冠石等を選びことができる。しかし、これら硫化鉱物には硫黄に類似したセレン,テルル,砒素、アンチモン、蒼鉛の金属元素、ならびに銀・水銀・銅・鉛・亜鉛・モリブデンの金属元素を共存している場合が多いことから、充分注意して取り扱う必要がある。
【0117】
本発明の不溶化剤を必要に応じて構成せしめる任意成分である2価または3価の鉄含有成分としては、下記組成式(7)
FeOn/2・aSO3・bCl・wH2O ………… (7)
[式中:aは0を含む5以下の数、bは0を含む5以下の数、nは2ないし3の数、wは0を含む9以下の数]で表される硫酸塩または塩化物の群より選ばれる少なくとも1種の第一鉄または第二鉄の塩類化合物からなる粉粒体または含水体を好適に挙げることができる。特に本発明に好適に採択される具体的な鉄含有成分としては、2価または3価の水酸化鉄化合物が特に有効である。しかし、入手容易な面から、2価または3価の塩化鉄や硫酸鉄等を好適に挙げることができる。
【0118】
本発明における不溶化剤は、有効成分または任意成分が粉粒体により複合ワンパック化されていることが好ましいが、不溶化剤の有効成分または任意成分の粉粒体が予め水に分散または溶解されている含水体であることも、本発明における水溶出重金属類を固定・不溶化せしめるアルミノケイ酸塩の形成反応が水を介した水を必要とする反応であることから好ましい。特に、後述する不溶化工程において、含水高カルシヤ含リン混和物と不溶化剤を少なくとも常温で均質接触せしめてバサバサ状、可塑状、マヨネーズ状、糊状またはスラリー状の含水不溶化混和物とする時、予め形状化されている含水高カルシヤ含リン混和物に対して、まぶしまたは含浸手段により不溶化剤を接触せしめる時は、不溶化剤が水に分散または溶解されている含水体であることは好ましい。
【0119】
本発明の不溶化工程に採択される不溶化剤における有効成分が、ワンパック化されて構成されるときは、以下乾燥物換算の酸化物基準で表してシラノール基を保持するシリカ含有成分のシリカ100質量部に対して、アルミナ含有成分のアルミナを30ないし100質量部、ならびにナトリウム含有成分の酸化ナトリウムを3ないし70質量部を必須成分とし、必要に応じて硫黄含有成分の硫黄のオキシ酸を1ないし45質量部、ならびに2価または3価の鉄含有成分の酸化鉄を1ないし10質量部を任意成分として組み合わされて複合ワンパック化されていることが好ましい。
【0120】
本発明の不溶化剤有効成分の必須成分において、シリカ含有成分のシリカ100質量部に対して、アルミナ含有成分のアルミナが30質量部より少ないときには、本発明に必要なアルミノケイ酸塩の形成が劣り、一方100質量部より多くても特段の効果は得られない。またナトリウム含有成分の酸化ナトリウムが3質量部より少ないときには、本発明に必要なアルミノケイ酸塩の形成が劣り、一方70質量部より多くときは処理物のpH値が高くなり好ましくない。
【0121】
また、本発明の不溶化剤有効成分の任意成分において、改質対象素材の性状ならびに処理物の用途・目的に応じて、処理物に型祖を求めるときには充分な量の硫黄含有成分が灰配合されることは好ましい。また改質対象素材に砒素等の重金属類が多量に共存するときは、2価または3価の鉄含有成分を併配合しておくことは、砒素等の重金属類の不溶化を有効化せしめる傾向があることから好ましい。
【0122】
本発明改質方法における不溶化工程は、不活性含水化工程で調製された含水高カルシヤ含リン混和物または高カルシヤ含リン焼却灰を乾燥物基準で換算して100質量部に対して不溶化剤を2ないし19質量部を加え、必要に応じて混和物系内の水を130質量部の範囲内になるように加えて調整し、少なくとも常温で均質に混和して共存有害元素群の不溶化を開始させるバサバサ状、可塑状、マヨネーズ状、糊状またはスラリー状の含水不溶化混和物を調製する工程である。
【0123】
本発明における不溶化工程において、乾燥物換算で含水高カルシヤ含リン混和物または高カルシヤ含リン焼却灰100質量部に対して不溶化剤を2質量部より少ないときはアルミノケイ酸アルカリ塩鉱物の形成が充分に達成されず、共存する有害元素群を充分に固定・不溶化することが困難な傾向にある。また、19質量部を超えても特段の効果を期待することができない。むしろ、ナトリウム成分等のアルカリ成分が系内に増量されることから、有害元素群の中のオキシ酸形成グループにある元素群をむしろ溶解せしめる傾向にあり、処理物のpHを10未満に確保することが困難な傾向にある。
【0124】
本発明の含水不溶化混和物は、基本的に予め含有リン成分が不活性化されている含リン焼却灰と不溶化剤と水との3者で混和構成された混和物として調製されて水不溶性鉱物の形成反応が開始する。この反応に必要な系内に導入された水は、a.予め本発明不活性化剤が水を伴って水分散・混和されている水保有の含水体不活性化剤を採択する場合、b.または本発明の不活性含水化工程において、粉粒体不活性化剤と水との所定量を別々に計り採って改質対象素材の含リン焼却灰に加える場合、c.さらにまた上述したように予め含リン焼却灰に水が加えられて水を伴っている場合が挙げられる。
【0125】
以上のいずれの場合・方法により水の保持確保が選ばれるときも、本発明の目的・用途、ならびに作業性から、本発明含水不溶化混和物に求められ、作業性を損なわない範囲で所定量の水配合量になるように調整して加え混和することが好ましい。ここに調製された含水不溶化混和物は、改質対象素材に含有するリン成分が不活性に固定化されている含水高カルシヤ含リン混和物に対して不溶化剤を加えて少なくとも常温で均質混和を完結させればよく、固定・不溶化に必要な反応時間は次いで行う養生工程における改質養生を進行せしめる養生条件により委ねることでよい。
【0126】
また、本発明の不溶化工程においては、予め含有リン成分が不活性化されている高カルシヤ含リン焼却灰と不溶化剤と水との3者を均質に接触せしめる手段として、粉末状または顆粒状等の高カルシヤ含リン焼却灰に対して、所定内容で所定量の不溶化剤を水に溶解せしめた不溶化剤の溶液を吸収・含浸させて両者を接触させることもできる。特に高カルシヤ含リン焼却灰が加えられる不活性化剤であるカルシヤ成分により予め顆粒状に形状化されている場合は、その形状化を確保したまま高カルシヤ含リン焼却灰に不溶化剤を接触せしめ、不溶化処理を完遂できることから好ましい。
【0127】
勿論、本発明改質方法の一連の作業工程においては、不活性含水化工程、不溶化工程ならびに形状化工程をそれぞれ単独に実行することもできるが、改質対象素材の性状ならびに改質処理物の用途・目的、さらに作業環境に応じて、各不活性含水化工程、不溶化工程ならびに形状化工程をそれぞれの組み合わせにより、同一装置内で同時にもしくは連続して実行することができる。
【0128】
本発明の不活性含水化工程ならびに不溶化工程において混和物を調製する一般的な混和手段としては、混和工程を実施する場所ならびに作業条件、また目的・用途等により異なるが、一般には当業界(食品業界、化学工業界、窯業工業界、土木・建築業界、農業土木界等)で公知・公用されている混合機、混練機、攪拌機、掘削機、混ぜ機、反応機、分散機、スタビライザー、地盤改良装置、セメント類固化材の混合機、農業用耕運機等の均質混和を可能とする装置類、例えばセメントミルクやコンクリート・窯業製品等の二次製品等の加工現場で採択され混和・混練装置(ミキサー、混合機、混練機等)等を適宜採択・ 稼動して、本発明の各混和物を好適に回収することができる。
【0129】
本発明の改質方法により調製された無公害型複合母体からなる形状体は無公害型含リン再資源化資材として、工業用資材、建材・土木資材または植物育成基材として供給されるためには、それぞれの目的・用途、さらには品質に応じて多様な形状が要求される。したがって、この要求される形状体に応じて、上記の不活性含水化工程ならびに不溶化工程により調製された含水高カルシヤ含リン混和物を粉粒、造粒、成型、接着、被覆もしくは固結を可能とするために必要に応じて形状化工程を施す必要がある。
【0130】
本発明の無公害型含リン再資源化資材に具体的に求められる形状としては、不特定形体である粉粒体、砂状体、顆粒体または被覆体等、もしくは特定形状体である成型体、フイルム体、構造体または結着体等を挙げることができる。これらの形状化は、当業界で公知・公用されている形状化手段等を適宜選んで施工することができる。
【0131】
本発明の形状化工程における加工形状化手段としては、一般に当業界で公知・公用されている装置・設備を適宜選び、稼動することができる。一般には、当業界の食品業界、化学工業界、窯業工業界、土木・建築・建設業界等で公知・公用されている特定形状の型枠に常圧、加圧、減圧の条件下で振動、流し込み、押し込み、叩き込み、鋳込み、造粒、噴霧、引抜等で成型する方法・手段等、さらに当業界公知・公用の転動造粒、押し出し造粒、攪拌造粒、スプレー法造粒、噴霧造粒、パッキング造粒、ペレタイザー等の造粒装置により、例えば約1ないし10mmφ粒径に造粒された顆粒体・骨材体・固結吸着体等の加工手段から適宜選択して目的に適した加工手段を選ぶことができる。
【0132】
勿論、本発明の形状化工程で採択される加工手段は、混和工程で加工に適う混和物に調整された混和物を新たに形状化工程に適した装置に付して加工成型を行うこともできるが、本発明混和物を例えば顆粒品等の不特定形状化品を処理調製するときは、不活性含水化工程における混和・混練装置による混和に引き続き連続して例えば顆粒品等の不特定形状物を調製することもできる。
【0133】
したがって、本発明の改質方法においては、不活性化剤が充分な量で配合されている場合は、一連の作業工程における不活性含水化工程ならびに不溶化工程を同一設備内で連続して行って不活性含水化工程と不溶化工程を複合した工程を一気に実行することもできる。また、本発明改質方法の一連の作業工程における不溶化工程ならびに形状化工程を同一設備内で連続して行われて不溶化工程と形状化工程を複合した工程を一気に実行することもできる。
【0134】
さらにまた、本発明の改質方法においては、例えば、一連の作業工程における不活性含水化工程ならびに不溶化工程、さらに必要に応じて形状化工程を同一設備内で連続して行われて不活性含水化工程と不溶化工程と形状化工程を複合した工程を一気に実行することもできる。
【0135】
さらに、本発明においては、前記の不活性含水化工程が施された含水高カルシヤ含リン混和物に先に形状化工程により形状化処理を施して予め含水形状化物を調製しておき、次いで形状化された該含水形状化物に対して、不溶化剤を水に分散または溶解せしめた不溶化剤からなる含水体を少なくとも常温で含浸またはまぶし手段により均質接触せしめ、次いで少なくとも3時間放置して不特定形状体または特定形状体からなる形状化されている含水不溶化混和物とする不溶化工程を採択することもできる。
【0136】
本発明においては、不活性含水化工程、不溶化工程、必要に応じて形状化工程を経て回収された含水不溶化混和物または含水形状化物における本発明の目的である無害化処理ならびに形状化処理を完成させるために、次なる養生工程を施して、含水不溶化混和物または含水形状化物を無公害型複合母体からなる結着形状体に改質処理して無公害型含リン再資源化資材を回収することができる。
【0137】
本発明の改質方法における養生工程は、上記の各工程で調製された含水不溶化混和物または含水形状化物を常温から100℃範囲の雰囲気中に少なくとも15分間解放して、pH10未満が確保されて含リン焼却灰に共存する有害元素群を環境基準値以下に固定・不溶化する無害化処理を施し、同時に粉粒体の含リン焼却灰を結着硬化して水中で再泥化しない形状化処理を施して無公害型含リン再資源化資材に改質する工程である。勿論、常温で養生工程を進めるときは、少なくとも24時間密封または開放条件下で、混和もしくは放置しておくことにより、目的とする反応は一般的に完了する。
【0138】
したがって、本発明の養生工程では、常温において特別な装置・エネルギー等を必要とせず、また必要に応じて改質対象素材の存在する原位置で養生を行うこともできる。しかし、養生工程の条件は、常温、常圧に限定されず、加圧または減圧でも可能である。また雰囲気も、大気中のみならず酸素を絶った窒素雰囲気や、他の不活性ガスや特定ガス中、加湿中、また水系内での条件で常温・加温での養生工程も可能であり、さらに養生雰囲気を赤外線、電磁波・放射線や各種波長を照射することも可能である。
【0139】
また、本発明における養生工程は、特に常温における養生工程においては、気中と水中の多段雰囲気で養生することも可能である。即ち、混和物または形状化物を常温において少なくとも3時間放置して、初期的反応を経過した後、各種雰囲気である気中(常圧大気中、各種気体による置換雰囲気中等)、溶液中(純水、雨水、水道水、工業用水、海水、河川水、排水、排水処理水、塩類含有溶液等)、土中もしくは気中と溶液中等の多段で組み合わせた雰囲気中により反応・養生を進行・完結させることができる。
【0140】
勿論、養生雰囲気を減圧、加圧、加温、加湿等の条件下で養生することもできる。また、混和物または加工形状化物を常温ないし100℃の気中、非酸素ガス中、水中、海水中、土中、溶液中、蒸気中、加温中、減圧中または加圧中の雰囲気の群より選ばれる少なくとも1種の多段雰囲気中に最低10分間曝露して養生することもできる。特に、底質等の水域における処理対象物を無公害型含リン再資源化資材に改質するときは、底質等の存在する水域原位置での本発明改質処理剤を活用する一連の作業工程からなる改質方法に付するときは、混和物または混和物の形状化処理物における養生工程を水中で行うことは、養生場所の確保等から好ましい。
【0141】
但し、本発明の養生工程で所定温度に暴露・放置する時間は、一般的に常温では3時間以上から反応・硬化が始まり、12時間の範囲で充分であるが、2日間以上、好ましくは7日間以上、さらに好ましくは28日間以上放置することで反応・養生はほぼ完了する。なお、特殊な用途によっては、7日を越えてさらに時間を要するケースもあるが、予め行う簡単な実験により、必要とする温度ならびに時間を確認することができる。しかし、生産性等を考慮し常温よりも高温で改質化工程を施して、生産性を向上させることもできる。しかし、この場合は、高温施工での工程には熱エネルギーを必要とし、特別な装置等を必要とすることから注意を要する。
【0142】
いずれにしても、本発明の改質方法における一連の作業工程は、基本的に特別な熱エネルギーを必要としない常温で遂行することができる。したがって、一連の作業工程に特別な高価な熱エネルギーを必要とする装置の必要はなく、また特別な熱エネルギー消費もなく、また熱エネルギーを使用したことにより発生する排気処理の必要もなく、資源問題ならびに環境問題等に余分な負担をかけることなく、経済的に廃棄物類を無公害型の再資源化資材として、安全にして安価に供給できることが理解される。
【0143】
[無公害型含リン再資源化資材]
本発明においては、処理・処分に窮している含リン焼却灰を改質対象素材として、不活性化剤ならびに不溶化剤を暫時加えて混和して含水混和物として、必要に応じて形状化処理により加工形状化して含水形状化物とし、次いで該含水混和物または該含水形状化物を少なくとも常温に開放してpH10未満が確保されて無公害型複合母体に形成される不特定形状体もしくは特定形状体からなる結着形状体に改質する養生工程からなる一連の作業工程に付することにより改質調製された再生利用可能な無公害型含リン再資源化資材を工業用資材、建材・土木資材または植物育成基材等の用途に提供することができる。
【0144】
本発明で形成される無公害型複合母体は、前述した本発明の反応機構で示したように熱履歴を受けている含リン焼却灰と添加された不活性化剤ならびに不溶化剤が水を介して起こす反応により、シラノール基保有シリカがポリシロキサン結合からなるシリカポリマーを形成、シリカポリマーマトリックス間にカルシウム塩類主体の緻密な水和鉱物を形成、常温での有害な元素群を一括取り込んだアルミノケイ酸アルカリ塩鉱物を形成、さらに上記の形成機構を阻害する含リン成分が予めカルシウムにより不活性化されて水溶出pH値が10未満にある無公害型含リン再資源化資材が形成されている。
【0145】
したがって、本発明の改質方法で調製された無公害型含リン再資源化資材は、原料の含リン焼却灰に共存する水可溶性の有害な元素群を水不溶性に固定化し、また共存していたアルカリ成分も水不溶性に固定化して、pH値を10未満に確保した状態で共存する水可溶性の有害な元素群を環境基準値以下の固定・不溶化が可能となり、また同時に水中に投じたときに泥状化しやすい状態にあった含リン焼却灰を結着形状化せしめて、処理物を水中に投じても一定の範囲で再泥化しない結着形体を維持することができる。
【0146】
本発明の改質方法により調製される無公害型含リン再資源化資材の特徴は、本発明の処理対象素材に共存していた有害な水溶出元素群が、pH値10未満が確保されて水不溶性に安定して固定・不溶化されていることにある。この有害な水溶出元素群が水不溶性に安定して固定・不溶化されている状態は、一般には、環境庁46号溶出試験法で規定されている中性域における水溶出試験法に付することにより確認することができる。
【0147】
さらに重要なことは、本発明の処理物である無公害型含リン再資源化資材が、pH4を想定できる酸性雨にさらされる場合があることから、pH4の酸性雨にさらされても、本発明の処理物における有害な水溶出重金属類が安定して固定・不溶化されていることが必須である。このpH4の酸性雨を想定する酸性域での溶出試験方法として、本発明ではオランダNEN7341溶出試験法であるアベイラビリティー試験法を採用した。
【0148】
後述する本実施例に示されるがごとく、従来技術であるセメントもしくは石灰による処理方法による処理物は、いずれも酸性域での溶出試験方法であるアベイラビリティー試験法に付すると、一旦固定化されていた有害な重金属類も多量に溶出しており、安定した固定・不溶化がなされていない状況にある。これに反して本発明による処理物は、酸性域での溶出試験方法であるアベイラビリティー試験法に付しても充分安定して固定・不溶化されている状況が理解される。
【0149】
本発明の処理物である無公害型含リン再資源化資材は、有害な元素群の溶出が抑制されており、しかもpH値が10未満と低いことから、生活環境にアルカリ成分を溶出して起こる弊害・影響が抑制されており、セメントや石灰で処理された処理物と異なり、本発明無公害型含リン再資源化資材による生活環境への弊害は少ないことに特徴がある。
【0150】
具体的には、本発明の改質方法により調製されたpH値10未満が確保されている無公害型含リン再資源化資材は、自然界の酸性領域に放置したときにもカドミウム、鉛、クロム、砒素またはセレンの元素群からなる有害重金属の溶出量が1mg/kg以下である酸性領域に耐える無公害型処理体に改質されている。
【0151】
さらに本発明の改質方法により、含リン焼却灰を無公害型に改質処理して回収された結着形状化体は、形状化工程で選択される加工形状化方法ならびに目的・用途に応じて不特定形状体もしくは特定形状体の無公害型含リン再資源化資材として、それぞれ回収することが可能である。
【0152】
本発明の結着形状化体からなる不特定形状体は、一般にコーン指数(qc=kN/m2 )で200以上が確保されている粉粒体、砂状体または顆粒体等として提供することができる。したがって、ここで調製された粉粒体、砂状体または顆粒体等からなる無公害型含リン再資源化資材は、土木業界一般で求められる土木資材、建設資材または植物育成基材等に好適に供給することができる。
【0153】
特に、本発明の無公害型含リン再資源化資材が不特定形状体の顆粒体等に形状化処理するときは、粒径10ミクロンないし1mmの範囲にある粉粒体、粒径1ないし3mmの範囲にある骨材体、2ないし10mm径の範囲にあり粒径品質が国土交通省「 改良土の土壌材料の品質区分と品質基準値の1ないし4種に合格する品質を有する粉粒体、砂状体、骨材または顆粒体等からなる不特定形状体として工業用資材、建材・土木資材または植物育成資材等に供給される活用改質品からなる無公害型含リン再資源化資材を提供することが可能となる。
【0154】
また、本発明の結着形状化体からなる特定形状体は、一軸圧縮強度で50kN/m2 以上、さらには200kN/m2 以上に確保されている成型体、構造体または結着体等として提供することもできる。したがって、調製された成型体、構造体または結着体等からなる無公害型含リン再資源化資材は、土木業界一般で求められる土木資材、建設資材、建材資材、生活関連資材ならびに植物育成基材等に好適に供給することもできる。
【0155】
したがって、本発明により処理・処分に窮する有害な水溶出元素群を共存する廃棄物である下水汚泥等の含リン焼却灰を改質対象素材として、少なくとも常温における簡単な混和工程、形状化工程、養生工程からなる一連の作業工程からなる改質方法に付することにより、安全にして低コストで環境に負荷をかけることなくpH値10未満が確保された無公害型の無公害型含リン再資源化資材を提供できることから、下水汚泥焼却灰等の再生利用を可能とする下水行政に関連する廃棄物類問題や環境問題の解消に貢献し、循環型の社会構築への貢献度も大きいことが理解される。
【0156】
[物性評価試験方法]
本発明においては、本発明に係る不活性化剤、不溶化剤、含水混和物、無公害型含リン再資源化資材等の諸物性・性能等を評価するため、JIS規格に準拠した分析方法を基本とするが、本発明で特定される試験・分析方法を採択して評価する場合もある。
なお、本明細書においては「部」および「%」の記載は、特記しない限り「質量」を以って示し、容量リッターの本文中表示記載を「L」を以って表示することがある。
【0157】
1.水溶出pH値の測定:
水溶出pH値の測定は、土質試験法における「土懸濁液のpH試験」に準拠して行った。供試料の試験体から有姿ではあるが粒径10mm以下の粒径部分20g を採取して、20℃でpH7の純水を100g の入った容器に投入して撹拌し3時間以上静置した溶出検液をpHメーターによりpH測定し、試験体の5質量倍水に対するサスペンジョン溶出検液におけるpH値として測定した。
【0158】
2.耐水性確認試験:
耐水性の確認試験は、粉部分を除いた各成型体(含む粉粒体)状からなる試験体を供試試料として、試験体10gを水100gの入った容器に投入し、ゆっくりと10分間攪拌し、試験体の形状が形状を維持して形状が崩れのない場合を耐水性「あり」と評価し、試験体の形状が崩壊もしくは泥状化する場合を耐水性「なし」と評価した。
【0159】
3.再泥化試験:
再泥化試験は、上記耐水性確認試験と同様にして、粉部分を除いた各成型体状の試験体10gを水100gの入った容器に投入し、ゆっくりと10分間攪拌し、静置したとき攪拌液が濁り状態を呈して、明らかに試験体の成型体状態が崩壊している場合を再泥化「有り」とし、成型体状態が確保されている場合を再泥化「無し」と評価した。
【0160】
4.一軸圧縮強度
4- 1.強度試験用試験体の調製
強度試験用試験体は、JGS0813「安定処理土の突固めをしない供試体作製方法」に準拠して、本実施例に記載配合により全体を均質に混和し、各性状に調製され混和物をφ50×100mmの円柱状プラスチック製の容器(参照:JISR5201)に注入充填し、特記ない限り表面をビニールフイルムで覆って密封状態で28日間室温(約25℃)で反応・養生した後脱型する手順で調製した円柱状試験体を供試料試験体とした。
4- 2.一軸圧縮強度試験:
一軸圧縮強度試験は、JIS A 1216(土の一軸圧縮試験方法)に準拠して、上記手順で調製した円柱状試験体(φ5×10cm:n=3)を一軸方向で圧縮破壊強度(q)を測定し、この時の圧縮破壊強度(q)をkN/m2 単位で表示した。
【0161】
5.コーン指数:
コーン指数は、JIS A 1228(締固めたに土のコーン指数試験方法)記載の方法に準拠して、4.75mmふるいを通過した土をモールド内に突き固めにより締固めた供試体について、ポータブルコーンぺネトロメーターを用いてコーン指数を求めた貫入試験法により平均貫入抵抗力=qcを求め、kN/m2 で表した。
【0162】
6.有害元素群の溶出試験;
本発明においては、対象素材や活用品(試験体)における含有する溶出有害元素群の主たる組成分析は、土壌分析法における底質調査方法IIしくは蛍光X線分析法により分析した。含有微量元素群も同様試験方法に準拠して行った。
有害元素群の水溶出量は、下記2種類のpH域溶出試験方法による検液を分析し測定して評価した。
(1)中性域における溶出試験(環境省46号溶出試験法):中性溶出試験
(2)酸性域における溶出試験( オランダNEN7341溶出試験法) :酸性溶出試験
【0163】
6―1.環境庁告示46号溶出試験[中性溶出試験]
6−1−1 試料の作成
供試料を風乾し、中小礫、木片等を取り除き、土塊、団粒を粗砕した後、非金属製2mm目篩を通過させた供試料を十分に均質化して溶出試験用試験体とした。
6−1−2 試料液の調製
溶出試験用試験体(g)を溶媒(純水に必要に応じて塩酸を加え、水素イオン濃度指数が5.8以上6.3以下となるように調製した)に重量比10%の割合で混合し、且つ、その混合液が500ml以上となるようにして調製試料液とする。
6- 1- 3 元素群の溶出
調製試料液を常温(おおむね20℃)常圧(おおむね1 気圧)で振とう機(あらかじめ振とう回数を毎分約200回に、振とう幅を4cm以上5cm以下に調整したもの)を用いて、6時間連続して振とうする。
6−1−4 検液の作成
以上の操作による試料液を10分〜30分静置後、毎分約3,000回転で20分間遠心分離し、上澄液を孔径0.45μmのメンブランスフィルターでろ過してろ液を採り、定量に必要な正確な量を検液とする。
【0164】
6- 2.オランダNEN 7341溶出試験[酸性域溶出試験]
6−2−1 試料の作成
40℃で乾燥させたもので、95%以上の粒子が125μmのふるいを通過させた供試試料を十分に均質化して溶出試験用試験体とした。
6−2−2 試料液の調製
溶出試験用試験体16gに蒸留水800gを加え、1モル/Lの硝酸でpH7に調製しながら維持して3時間撹拌する。次いで、孔径0.45μmのメンブランスフィルターでろ過してろ液を取り、定量に必要な量を正確に計り取り、これをpH7溶出液とする。さらにpH7溶出のろ過残渣に蒸留水800gを加え、今度は1モル/Lの硝酸でpH4に調製しながら維持して3時間撹拌する。次いで、孔径0.45μmのメンブランスフィルターでろ過してろ液を取りpH4の酸性域溶出液とする。
6- 2- 3 元素群の溶出
調製試料液を常温(おおむね20℃)常圧(おおむね1 気圧)で攪拌機(スターラー)により溶液を3時間連続して攪拌する。
6−2−4 検液の作成
以上操作を行って得られたpH7溶出液とpH4溶出液とを加え混合して、定量に必要な量を正確に計り取って、これを検液とする。
【0165】
6―3 各検液の分析測定方法
各検液における元素群の分析測定方法は、下記に記載される方法に準拠して行った。
Cd;JIS K0102・ 55.4
Pb:JIS K0102・ 54.4
Cr:JIS K0102・ 65.1.5
As:JIS K0102・ 61.2
Se:JIS K0102・ 67.2
Hg:昭和46年12月環境庁告示第59号付表1
F :JIS K0102・ 34.1
B :昭和46年12月環境庁告示第59号付表7
Na:JIS K0102・ 48.1
【0166】
本実施例における分析結果の表示単位は、中性溶出試験においては環境庁告示46号溶出試験方法に示されている(mg/L)で表示し、酸性域溶出試験においてオランダNEN7341溶出試験方法に示されている(mg/kg)で表示した。したがって、本実施例では、中性溶出試験による結果と酸性域溶出試験による結果を直接横並びに比較することはできない。
【実施例】
【0167】
[参考例1]
本参考例における改質対象素材である含リン焼却灰としては、表2に示した主成分の組成(質量%)ならびに有害な元素群の中性域溶出試験結果(mg/L)、さらに酸性域溶出試験結果(mg/kg)を有する下水汚泥の焼却灰4種類を選んだ。
【0168】
【表2】


【0169】
本参考例においては、本実施例で採択する不活性化剤を構成する活性なカルシウム化合物としては、工業薬品として市販されている生石灰(MC−1)ならびに消石灰(MC−2)、さらに比較例では市販セメント(MC−3)を選んだ。
また本参考例においては、本実施例で採択する不溶化剤を構成する必須成分ならびに任意成分として、市販工業薬品類から選んだ材料により表3に示す組成内容にワンパック化された不溶化剤から選んだ。
さらに、本実施例で採択した水は、水道水を選んだ。
本参考例においては、本実施例で採択する不活性化剤を構成する活性なカルシウム化合物としては、生石灰(MC−1)、消石灰(MC−2)ならびに市販セメント(MC−3)から選んだ。また、本実施例で採択する不溶化剤における必須成分ならびに任意成分を構成する材料としては、表3に示す組成内容を有する材料を選んだ。さらに、本実施例で採択する水は水道水を採択した。
【0170】
【表3】


【0171】
本参考例においては、表3で選んだ材料を原料にして、本実施例で採択される不溶化剤として予めワンパック化調製されている不溶化剤の組み合わせ内容を表4に示す。
【0172】
【表4】


【0173】
[実施例1]
本実施例において、熱履歴を受けているケイ酸塩を主成分とする低カルシヤ含リン焼却灰を改質対象素材として、不活性化剤および不溶化剤を活用する一連の作業工程に付する改質方法により無害化処理ならびに形状化処理が施された無公害型含リン再資源化資材の代表的な実施例について説明する。
なお、本実施例においては、本発明技術の効果を明確にするため、本発明改質方法の比較例について、従来技術を含めて併せ説明し、本実施例と対比させた。
改質対象素材は、表2に示した試料番号T3を選んだ。
本実施例で選択した不活性化剤は、試料番号MC−2消石灰を選んだ。
本実施例で選択した不溶化剤は、表4に示した不溶化剤の中から表5に示した不溶化剤を選んだ。
本実施例における一連の作業工程は、セメントモルタル試験用ミキサー(ソイルミキサーSE20:(株)丸東製作所、以下「ミキサーS」と略記)を用いて行った。
不活性含水化工程としては、ミキサーSに表5に示す量割合で改質対象素材の含リン焼却灰に不活性化剤と水を投入し、約60秒間均質混和混練して含水高カルシヤ含リン混和物を調製し、同ミキサーS中で混和混練した含水高カルシヤ含リン混和物を約3時間常温で放置して不活性化を完成させた。
【0174】
次いで行った不溶化工程としては、不活性化の完成された含水高カルシヤ含リン混和物が残されているミキサーS中に表5に示す種類ならびに量割合で不溶化剤をさらに投入し、約60秒間均質混和混練して含水不溶化混和物を調製した。さらに引き続き、ミキサーS中で調製した含水不溶化混和物に撹拌混和を続けて、含水不溶化混和物を1〜5mmφの顆粒状物からなる含水形状化物に造粒させた。
さらに次いで行った養生工程としては、ここに造粒した顆粒状含水形状化物を常温の開放条件下に取り出し、7日間放置する養生工程に付して、それぞれ無害化処理ならびに形状化処理の施された無公害型複合母体からなる顆粒状結着形状体を供試料とした。
なお、本実施例においては、下記表5に示す5 種類の比較例を選び対比させた。各配合
量割合は表5に併せ表示する。
【0175】
試料番号H−01は、本発明における標準仕様で採択した不溶化剤[表4:試料番号A
−1]を選び、本発明不活性化剤による不活性含水化工程を採択しない場合を挙げた。
試料番号H−02は、本発明不活性化剤と不溶化剤を多段に加えるのでなく、両者をワ
ンパック化した不溶化剤(試料番号H−1)を含リン焼却灰に水を介して1段で混和した場合を挙げた。不溶化剤(試料番号H−1)は、生石灰100質量部に対して、表3に示した不溶化剤から試料番号A−1を20質量部加えてワンパック品を選んだ。
試料番号H−03は、本発明者等の先願発明[特願2005−380986]明細書の
参考例ならびに実施例の記載の焼却灰処理方法における処理剤[配合内容(質量部):
苛性ソーダ2、カルシヤ100、硫酸バンド3]を不溶化剤として処理した場合を挙げた。
試料番号H−04は、不溶化剤に市販セメント粉末を選んだ場合を挙げた。
試料番号H−05は、不溶化剤に工業薬品生石灰を選んだ場合を挙げた。
試料番号H−06は、不溶化剤に市販2 号ケイ酸ソーダ粉末を選んだ場合を挙げた。
処理物の調製方法は、基本的に本実施例に準拠した。
【0176】
【表5】


【0177】
ここに調製した顆粒状の試験供試料ならびに円柱状の試験供試料を[物性評価試験方法]項記載の方法に則り、中性域ならびに酸性域における溶出試験ならびに物性試験に付し、またpH値、再泥化試験、コーン指数試験を行い、それらの結果を表6、表7ならびに表8に併せ表示する。
【0178】
【表6】


【0179】
【表7】


【0180】
【表8】


【0181】
以上の結果、本発明の改質法に対比させて、不活性化剤による不活性含水化工程を省略して処理した場合、中性域における溶出試験で環境基準値範囲内が確保できず、酸性域における溶出試験でも1mg/kgの範囲内を確保することはできず、処理物における有害重金属類の固定・不溶化が未完成であることが確認できる。
また、本発明の改質法に対比させて、2段の処理でなく1段の処理では、重金属類の安定した固定・不溶化は未完成な状態にあり、含リン焼却灰に含有する活性なリン成分を予め不活性化せしめて本発明における不活性化処理の必要性が明確される。また、本発明者等の先願技術で低カルシウム含リン焼却灰を処理した場合、有リン成分の阻害機能によりアルミノケイ酸塩からなる水不溶性鉱物の形成が阻害される様子が理解される。
さらに従来技術である市販セメントないし生石灰により低カルシウム含リン焼却灰を処理した場合、中性域溶出試験で環境基準値内を確保することはできず、また酸性域溶出試験で有害重金属類の固定・不溶化が不安な状態にあり、しかも処理物のpH値が10を越えていることが確認される。また、従来技術である水ガラスにより低カルシウム含リン焼却灰を処理した場合、全く重金属類の固定・不溶化効果のないことが明確に理解される。
以上の比較例に対して、本発明の改質法により含リン焼却灰を不溶化剤による不活性含水化工程、次いで不溶化工程からなる本発明一連の作業工程により処理して回収された各接着形状体は、水溶出pH値が10未満を示し、再泥化しない耐水性に形状化処理が施され、しかも中性域のみならず酸性域においても水溶出有害元素群は固定・ 不溶化状態に無害化処理が施されて無公害型複合母体からなる顆粒状結着形状体が調製されており、無公害型含リン再資源化資材として有効に提供できることが良く理解される。
【0182】
[実施例2]
本実施例において、各種の含リン焼却灰である下水汚泥焼却灰を改質対象素材として、各種の不活性化剤および不溶化剤を活用して条件の異なる一連の作業工程に付する改質方法により無害化処理ならびに形状化処理が施された無公害型含リン再資源化資材の代表的な実施例について説明する。
本実施例における改質対象素材である含リン焼却灰としては、表2に示されている下水汚泥焼却灰から試料番号(T1)、(T2)および(T3)を選んだ。
本実施例における不活性化剤は、生石灰(MC−1)、消石灰(MC−2)から選び、不溶化剤は表4に示す組成内容と量の不溶化剤から選んだ。水は水道水を選んだ。
本実施例で選んだ不活性化剤ならびに不溶化剤の種類ならびに配合量は表9に示す。
【0183】
【表9】


【0184】
本実施例における一連の作業工程は、実施例1記載のミキサーSを用いて、不活性含水化工程としては、所定量の不活性化剤と水を加えて60秒間混和混練し、さらに約3時間常温に放置して含水高カルシヤ含リン混和物に調製する。次いで、該含水高カルシヤ含リン混和物が調製された同一装置内で不溶化工程として不溶化剤を加えて60秒間混和混練し、さらに同一装置内で形状化工程として混和撹拌を30秒間続けて顆粒状の含水不溶化混和物を回収する。
さらに一連の作業工程である養生工程としては、ここに回収した顆粒状含水不溶化混和物を開放条件下で各所定時間常温に放置して無害化処理ならびに形状化処理を施し、各顆粒状の無公害型複合母体からなる顆粒状結着形状体を調製した。
ここに調製した顆粒状の試験供試料を[物性評価試験方法]項記載の方法に則り、中性域における溶出試験、ならびにpH値、再泥化の有無試験、コーン指数試験(kN/m2 )を行い、それらの結果を表10に併せ表示する。
【0185】
【表10】


【0186】
以上の結果、各種の含リン焼却灰を改質対象素材として、各種の不活性化剤および不溶化剤を活用して条件の異なる一連の作業工程に付する改質方法により無害化処理ならびに形状化処理を施して回収された無公害型含リン再資源化資材は、水溶出pH値が10未満を示し、再泥化しない耐水性に形状化処理が施され、しかも中性域における水溶出有害元素群は固定・ 不溶化状態に無害化処理が施されて無公害型複合母体からなる顆粒状結着形状体が調製されており、無公害型含リン再資源化資材として有効に提供できることが良く理解される。
【0187】
[実施例3]
本実施例において、不活性含水化工程と形状化工程を並列させて調製した不活性化ならびに形状化の施された顆粒状物に対して、不溶化工程を施すために液状の不溶化剤をまぶし・含浸せしめてから養生工程に付する一連の作業工程を連続して行った改質方法により無害化処理ならびに形状化処理が施された無公害型含リン再資源化資材の代表的な実施例について説明する。
本実施例における改質対象素材としては、表2に示されている下水汚泥焼却灰から試料番号(T3)に水27質量%を含む湿潤含リン焼却灰500gを選んだ。
本実施例における不活性含水化工程において、不活性化剤には、消石灰(MC−2)70gを選び、水には水道水200gを選んだ。以上の材料を実施例1記載のミキサーSに投入し、約30秒混練・撹拌して顆粒状含水高カルシヤ含リン混和物に調製した。
本実施例における不溶化剤としては、予め水100gに表3に示したケイ酸ソーダ粉末3gを溶かし込み、次いでこの中に表3に示した硫酸バンド14gを溶かし込んで予め調整された溶液状の不溶化剤(試料番号A−1)を選んだ。
本実施例における不溶化工程ならびに形状化工程としては、不活性含水化工程と同一の実施例1記載のミキサーSにて調製された顆粒状含水高カルシヤ含リン混和物に対して、予め調製した溶液状の不溶化剤(試料番号A−1)全量を加え、約30秒間軽く撹拌して溶液状不溶化剤を均質にまぶし含浸させて顆粒状含水不溶化混和物を調製した。
次いで顆粒状含水不溶化混和物を常温の開放条件下に28日間間放置する養生工程に付して不活性化の完成した含水高カルシヤ含リン混和物を調製して回収し、無害化処理ならびに形状化処理が施されている顆粒状の無公害型複合母体からなる結着形状体(試料番号3−1)を調製した。
ここに調製した顆粒状の試験供試料を[物性評価試験方法]の項に記載された方法に則り、中性域ならびに酸性域における溶出試験、ならびにpH値、再泥化の有無試験、コーン指数試験(kN/m2 )を行い、それらの結果を表11に併せ表示する。
【0188】
【表11】


【0189】
以上の結果、含リン焼却灰である下水汚泥焼却灰を改質対象素材として、不活性化剤で不活性化処理ならびに形状化処理を施した顆粒状含水高カルシヤ含リン混和物に液状の不溶化剤を含浸して不溶化処理して回収した顆粒状の無公害型複合母体からなる結着形状体は、水溶出pH値が10未満を示し、再泥化しない耐水性に形状化処理が施され、しかも中性域ならびに酸性域における溶出試験で水溶出有害重金属類が固定・不溶化状態に無害化処理が施されて、また形状化処理が施されている無公害型複合母体からなる顆粒状結着形状体が調製されており、無公害型含リン再資源化資材として有効に提供できることが良く理解される。
【0190】
[実施例4]
本実施例において、カルシヤ含有量の高い含リン焼却灰に対して一旦水を加えて含水高カルシヤ含リン混和物に調製した後、該含水高カルシヤ含リン混和物に不溶化剤を加えて混和する不溶化工程を施し、次いで養生工程に付する一連の作業工程を連続して行った改質方法により無害化処理ならびに形状化処理が施された無公害型含リン再資源化資材の代表的な実施例について説明する。
本実施例における含リン焼却灰としては、表2に示した試料番号T−4の含リン焼却灰を選んだ。水は水道水を選んだ。
本実施例における不溶化剤は、表4に示す不溶化剤の中から試料番号A−1ならびに試料番号A−7の2種類を選んだ。
含リン焼却灰に対する水ならびに不溶化剤の配合量を表12に示す。
本実施例における一連の作業工程は、実施例1記載のミキサーSを用いて、含リン焼却灰に対して所定量の水を加えて30秒間混和混練して含水高カルシヤ含リン混和物に調製する。次いで、同一装置内で該含水高カルシヤ含リン混和物に所定量の不溶化剤を加えて30秒間混和混練するとともに顆粒状の含水不溶化混和物を回収する。
さらに一連の作業工程である養生工程としては、ここに回収した顆粒状含水不溶化混和物を開放条件下で各所定時間常温に放置して無害化処理ならびに形状化処理が施し、各顆粒状の無公害型複合母体からなる顆粒状結着形状体を調製した。
【0191】
【表12】


【0192】
ここに調製した顆粒状の試験供試料を[物性評価試験方法]の項に記載された方法に則り、中性域における溶出試験、ならびにpH値、再泥化の有無試験、コーン指数試験(kN/m2 )を行い、それらの結果を表13に併せ表示する。
【0193】
【表13】


【0194】
以上の結果、カルシヤ含有量の高い含リン焼却灰である下水汚泥焼却灰を改質対象素材として、水を配合する不活性含水化工程を経て、不溶化剤を加える不活性化固定により不溶化処理して回収した顆粒状の無公害型複合母体からなる結着形状体は、水溶出pH値が10未満を示し、再泥化しない耐水性形状化処理が施され、しかも中性域ならびに酸性域における溶出試験で水溶出有害重金属類が固定・ 不溶化状態に無害化処理が施されて、また形状化処理が施されている無公害型複合母体からなる顆粒状結着形状体が調製されており、無公害型含リン再資源化資材として有効に提供できることが理解される。
【産業上の利用可能性】
【0195】
含リン焼却灰、特に下水汚泥焼却灰等の処理・処分に窮している現状ならびに下水道行政ならびに事業を有効に実施せねばならない現状があり、これらの現状を解消する社会的ニーズは高い。本発明は、下水汚泥焼却灰等からなる含リン焼却灰を活用して、低コストで安全に環境に低負荷型で有用性の高い無公害型含リン再資源化資材に改質する技術である。したがって、下水汚泥焼却灰等を改質対象素材とする本発明は、以上のニーズに応えて人間の生活の営みに重要な下水道処理を円滑にして低コストで安全に環境に低負荷型似て再生利用を可能にする改質処理ができる。ここに改質処理された無公害型含リン再資源化資材は広い市場性を有する土木資材等に有効に提供することができ、環境問題および廃棄物類処理問題の解消に貢献する可能性は大である。
【出願人】 【識別番号】501046947
【氏名又は名称】株式会社ナトー研究所
【識別番号】000166627
【氏名又は名称】五洋建設株式会社
【識別番号】503226903
【氏名又は名称】domi環境株式会社
【出願日】 平成18年6月23日(2006.6.23)
【代理人】 【識別番号】100094813
【弁理士】
【氏名又は名称】庄子 幸男


【公開番号】 特開2008−707(P2008−707A)
【公開日】 平成20年1月10日(2008.1.10)
【出願番号】 特願2006−173967(P2006−173967)