トップ :: B 処理操作 運輸 :: B09 固体廃棄物の処理;汚染土壌の再生

【発明の名称】 湿式酸化法を用いた有機性廃棄物の処理方法及び装置
【発明者】 【氏名】松本 成樹

【要約】 【課題】有機性廃棄物を効率よく処理する。

【構成】有機性廃棄物を、pH8〜14の水性条件下において加水分解する水熱反応工程と、前記水熱反応液を酸素含有ガスによって酸化する湿式酸化工程と、を含む。前記水熱反応液のpHを低下させる工程をさらに含み、当該pH低下後の処理液を用いて湿式酸化反応を行うことが好ましい。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
有機性廃棄物を、pH8〜14の水性条件下において加水分解する水熱反応工程と、
前記水熱反応液を酸素含有ガスによって酸化する湿式酸化工程と、
を含むことを特徴とする有機性廃棄物の処理方法。
【請求項2】
有機性廃棄物を、pH8〜14の水性条件下において加水分解する水熱反応工程と、
前記水熱反応液のpHを低下させる工程と、
前記pHの低下した処理液を酸素含有ガスによって酸化する湿式酸化工程と、
を含むことを特徴とする有機性廃棄物の処理方法。
【請求項3】
前記水熱反応工程における温度が100℃〜250℃、反応時間が1分〜180分である請求項1又は2に記載の方法。
【請求項4】
前記水熱反応工程が、高圧水蒸気を前記有機性廃棄物に直接吹き込むことにより行われる請求項1〜3何れか記載の方法。
【請求項5】
前記水熱反応工程における圧力が飽和水蒸気圧より高いことを特徴とする請求項1〜4何れか記載の方法。
【請求項6】
前記水熱反応前の溶液から溶存酸素を除去することを特徴とする請求項1〜5何れか記載の方法。
【請求項7】
前記pHの低下幅が0.01〜11であることを特徴とする請求項2〜6何れか記載の方法。
【請求項8】
前記pHを低下させる方法が酸、水、及び/又はイオン触媒を添加することである請求項7の方法。
【請求項9】
前記水熱反応液に残存する固体分を、前記湿式酸化反応を行う前に除去する工程を含むことを特徴とする請求項1〜8何れか記載の方法。
【請求項10】
前記湿式酸化工程における温度が140℃〜260℃、圧力が0.37MPa〜7MPa、反応時間が1秒〜90分であることを特徴とする請求項1〜9何れか記載の方法。
【請求項11】
前記湿式酸化工程において、イオン触媒を添加することを特徴とする請求項1〜10何れか記載の方法。
【請求項12】
前記イオン触媒がマンガン、鉄、コバルト、ニッケル、クロム、ジルコニウム、ランタン、セリウム、タングステン、銅、銀、金、白金、パラジウム、ロジウム、ルテニウム及びイリジウムからなる群より選択される少なくとも1種の金属イオンである請求項11に記載の方法。
【請求項13】
前記イオン触媒を回収することを特徴とする請求項11又は12に記載の方法。
【請求項14】
前記湿式酸化反応液をさらに好気性微生物及び/又は嫌気性微生物により生物処理する工程を含むことを特徴とする請求項1〜13何れか記載の方法。
【請求項15】
有機性廃棄物を、pH8〜14の水性条件下において加水分解する水熱反応工程と、
前記水熱反応液を酸素含有ガスによって酸化する湿式酸化工程と、
前記湿式酸化反応液をさらに好気性微生物及び/又は嫌気性微生物により生物処理する工程を含むことを特徴とする有機性廃棄物の処理方法。
【請求項16】
前記水熱反応工程処理液中の熱及び湿式酸化工程で発生する反応熱の何れか又は両方を回収する工程をさらに含む請求項1〜15何れか記載の方法。
【請求項17】
有機性廃棄物にアルカリを添加して加熱する水熱反応器と、
前記水熱反応液のpHを低下させる手段と、
前記pHの低下した処理液と酸素含有ガスとを反応させる湿式酸化反応器と、
前記湿式酸化反応液からガスと処理水とを分離する気液分離器と、
を備えたことを特徴とする有機性廃棄物の処理装置。
【請求項18】
前記水熱反応液にイオン触媒を添加する手段をさらに備えることを特徴とする請求項17に記載の有機性廃棄物の処理装置。
【発明の詳細な説明】【技術分野】
【0001】
本発明は、排水処理により発生する汚泥や生ゴミ等の有機性廃棄物の処理方法に関し、特に、流動性又は溶解性を有する有機性廃棄物を高温、高圧、アルカリ条件下に加水分解する水熱反応と湿式酸化とを組み合わせて処理する方法及び装置に関する。
【背景技術】
【0002】
下水道処理施設や家庭の浄化槽など排水を生物学的処理により浄化する施設から発生する余剰汚泥は、脱水処理後、一般には産業廃棄物として埋め立て又は焼却処分されている。しかし、近年埋め立て処分地の不足問題や焼却時に燃焼炉の温度を低下させることによるダイオキシン発生の可能性を避けるため、大規模な乾燥装置を導入する必要があり、高額なコスト負担等が問題となっている。
【0003】
余剰汚泥の生物学的減量法としては、従来、嫌気性微生物を用いた嫌気性消化法が知られている。しかし、嫌気性消化法の場合には消化時間が長く消化率が低いという欠点があり、現在ではあまり使われていない。また、家庭から排出される生ゴミ、残飯等にはビニール類やプラスチック類の夾雑物が混入している場合もあり、生物学的な処理方法には必ずしも適さない場合もある。
【0004】
このような問題点を解消する1つの方法として、湿式酸化法が知られている。湿式酸化法とは、有機性廃棄物を粉砕して水と混合した状態で容器に入れ、これを高温・高圧(水が液相を保持する圧力)下で酸化分解する方法である。この湿式酸化法によれば、有機性廃棄物そのものを酸化分解することができると共に、有機性廃棄物に含まれる夾雑物を除去しなくても、それら夾雑物を溶解して分解することができるという利点を有する。しかしながら、例えば、ポリプロピレン等、可溶化できない夾雑物も存在するという問題点がある。これらの問題点をさらに解決するため、この湿式酸化法と、水熱反応とを組み合わせた方法も報告されている(例えば、特許文献1及び2参照)。
【0005】
特許文献1には、固形有機廃棄物を粉砕しアルカリ剤を加えた粉砕物を、昇圧、加熱して水熱反応により液状化させ、且つ酸化ガスを混合して酸化反応により有機物を湿式酸化分解することを特徴とする固形有機廃棄物の処理方法が開示されている。この方法によれば、固体有機廃棄物を悪臭を発生することなく確実に処理して排出することができ、又、簡単な構成で固形有機廃棄物を処理し得るので装置構成を小型化することができ、更に、アルカリ剤を加えているので固体有機廃棄物の液状化を促進するという効果を有する。
【0006】
特許文献2には、有機性廃棄物に高圧水蒸気を供給して水熱反応させる水熱反応工程と、上記水熱反応によって生成した水熱反応処理液を酸素含有ガスによって酸化反応させる酸化反応工程と、上記酸化反応によって得られた酸化反応処理液とガスとを分離する気液分離工程とを備えた有機性廃棄物の処理方法が開示されている。
【0007】
【特許文献1】特開2001−58172
【特許文献2】特開2004−8912
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかしながら上記何れの方法においても有機性廃棄物の完全な処理は不可能であり、さらなる効率の高い処理方法が求められている。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明は、有機性廃棄物を高温、高圧、アルカリ条件下で加水分解する水熱反応と湿式酸化とを組み合わせて処理する方法において、夫々の工程における条件を最適化すること、特に加水分解後の水熱反応液のpHを調整することや、酸化反応にイオン触媒を用いること等の工夫によって、従来法よりもはるかに効率よく有機性廃棄物を処理し得ることを見出して本発明を完成するに至った。
【0010】
すなわち、本発明は少なくとも以下の方法及び装置を含む。
(1)有機性廃棄物を、pH8〜14の水性条件下において加水分解する水熱反応工程と、前記水熱反応液を酸素含有ガスによって酸化する湿式酸化工程と、を含むことを特徴とする有機性廃棄物の処理方法。
(2)有機性廃棄物を、pH8〜14の水性条件下において加水分解する水熱反応工程と、前記水熱反応液のpHを低下させる工程と、前記pHの低下した処理液を酸素含有ガスによって酸化する湿式酸化工程と、を含むことを特徴とする有機性廃棄物の処理方法。
(3)前記水熱反応工程における温度が100℃〜250℃、反応時間が1分〜180分である(1)又は(2)に記載の方法。
(4)前記水熱反応工程が、高圧水蒸気を前記有機性廃棄物に直接吹き込むことにより行われる(1)〜(3)何れか記載の方法。
(5)前記水熱反応工程における圧力が飽和水蒸気圧より高いことを特徴とする(1)〜(4)何れか記載の方法。
(6)前記水熱反応前の溶液から溶存酸素を除去することを特徴とする(1)〜(5)何れか記載の方法。
(7)前記pHの低下幅が0.01〜11であることを特徴とする(2)〜(6)何れか記載の方法。
(8)前記pHを低下させる方法が酸、水、及び/又はイオン触媒を添加することである(7)の方法。
(9)前記水熱反応液に残存する固体分を、前記湿式酸化反応を行う前に除去する工程を含むことを特徴とする(1)〜(8)何れか記載の方法。
(10)前記湿式酸化工程における温度が140℃〜260℃、圧力が0.37MPa〜7MPa、反応時間が1秒〜90分であることを特徴とする(1)〜(9)何れか記載の方法。
(11)前記湿式酸化工程において、イオン触媒を添加することを特徴とする(1)〜(10)何れか記載の方法。
(12)前記イオン触媒がマンガン、鉄、コバルト、ニッケル、クロム、ジルコニウム、ランタン、セリウム、タングステン、銅、銀、金、白金、パラジウム、ロジウム、ルテニウム及びイリジウムからなる群より選択される少なくとも1種の金属イオンである(11)に記載の方法。
(13)前記イオン触媒を回収することを特徴とする(11)又は(12)に記載の方法。
(14)前記湿式酸化反応液をさらに好気性微生物及び/又は嫌気性微生物により生物処理する工程を含むことを特徴とする(1)〜(13)何れか記載の方法。
(15)有機性廃棄物を、pH8〜14の水性条件下において加水分解する水熱反応工程と、前記水熱反応液を酸素含有ガスによって酸化する湿式酸化工程と、前記湿式酸化反応液をさらに好気性微生物及び/又は嫌気性微生物により生物処理する工程を含むことを特徴とする有機性廃棄物の処理方法。
(16)前記水熱反応工程処理液中の熱及び湿式酸化工程で発生する反応熱の何れか又は両方を回収する工程をさらに含む(1)〜(15)何れか記載の方法。
(17)有機性廃棄物にアルカリを添加して加熱する水熱反応器と、前記水熱反応液のpHを低下させる手段と、前記pHの低下した処理液と酸素含有ガスとを反応させる湿式酸化反応器と、前記湿式酸化反応液からガスと処理水とを分離する気液分離器と、を備えたことを特徴とする有機性廃棄物の処理装置。
(18)前記水熱反応液にイオン触媒を添加する手段をさらに備えることを特徴とする(17)に記載の有機性廃棄物の処理装置。
【発明の効果】
【0011】
本発明の方法によれば、従来法よりも効率的に有機性廃棄物を処理することができるため、簡易な装置による迅速且つ低コストによる有機性廃棄物の処理が可能となる。特に、廃水処理設備に付加することにより、従来の活性汚泥法による生物酸化反応を補完してその処理能力を格段に向上させることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
以下、本発明の実施の形態を、図面を参照しながら説明する。図1は、本発明を実施する装置の形態の一例を示すフローチャートである。図1に示したように、有機性廃棄物の処理装置は、有機性廃棄物をアルカリ水性条件下において加水分解する水熱反応器(3a、3b)と、水熱反応液と酸素含有ガスとを反応させる湿式酸化反応器(5)と、湿式酸化反応後の処理液からガスと処理水とを分離する気液分離器(8)とを備えている。上記アルカリ水性条件とは、pH8〜14の水性条件であり、有機物受入槽(1)から供給される有機性廃棄物と、アルカリ槽(2)から供給されるアルカリ、好ましくは苛性ゾーダとを、水熱反応器(3a)に受入れ、酸化反応後の処理液の酸化反応熱を伝導管を介して回収することにより加熱される。水熱反応器(3b)は、ボイラー(4)から供給される高圧水蒸気によって伝熱管を介して熱交換されるか、又は高圧水蒸気を有機性廃棄物に直接吹き込んで加熱してもよい。水熱反応器における反応温度は、100℃〜350℃、好ましくは140℃〜250℃、さらに好ましくは160℃〜230℃、最も好ましくは180℃〜220℃である。有機性廃棄物の濃度を調整する事により、外部より熱源を供給することなく、自ら発する酸化反応熱により一連の反応を維持することができる。反応時の圧力は飽和水蒸気圧より高いことが好ましい。また、反応時間も有機性廃棄物がある程度可溶化するために必用な時間であれば特に限定されないが、1分〜180分間程度加熱することが好ましい。また、水熱反応前の有機性廃棄物を含む溶液から溶存酸素を除去することが酸化反応を抑制し加水分解反応を促進することと、水熱反応器内にスケールの付着を抑制し、且つ水熱反応器の酸化腐蝕を防止する点で好ましい。
【0013】
次に、水熱反応により可溶化された処理液は、移送ライン(12)を通って湿式酸化反応器(5)に導かれる際にそのpHを低下させることが好ましい。このpHを低下させる手段としては、特に限定されるものではないが、例えば、酸若しくは水の添加、又はイオン触媒の添加により、pHとして0.01〜11の幅で低下させる。酸の種類は特に限定されないが、例えば、硝酸又は硫酸等を用いることができる。このようにして処理液のpHを低下させることにより、後続する湿式酸化反応を効率的に進めることができる。低下後のpHが9以下であることがさらに好ましい。
【0014】
上記イオン触媒とは、加水分解後の処理液のpHを低下させると共に、後続する湿式酸化反応工程において、酸素含有ガスによる有機物の酸化反応を促進する作用を示すものであり、例えば、マンガン、鉄、コバルト、ニッケル、クロム、ジルコニウム、ランタン、セリウム、タングステン、銅、銀、金、白金、パラジウム、ロジウム、ルテニウム及びイリジウム等の金属イオンを挙げることができる。中でも銅イオン及び銀イオンが好ましい。これらのイオン触媒は、通常、塩の形態で添加することが多く、例えば、硝酸塩、塩化物、硫酸塩等が挙げられるが、特に好ましくは硫酸銅溶液又は硫酸銀溶液として供給することができる。また、錯イオンの形のものも使用することができる。イオン触媒の濃度としては、通常5〜5000mg/Lであればよいが、10〜3000mg/Lであることが好ましく、50〜2000mg/Lであることがさらに好ましい。水性有機廃棄物には多くの場合、カルシウム、マグネシウム、シリカ等がイオンの形態で存在するため固体触媒を用いるとこれらのイオン、特にカルシウムイオンが固体表面に析出し固体触媒の表面をコーティングして触媒を不活性化するという問題がある。しかしながら、本発明に係るイオン触媒はこれらの影響を受けない。
【0015】
好ましい実施形態において、湿式酸化反応器(5)における湿式酸化反応は、コンプレッサー(9)によって空気を供給することによって行う。酸化反応の速度を上げるために高濃度酸素含有ガスを供給してもよい。例えば、酸素及び/又はオゾンを含有するガス、過酸化水素等の酸化剤を含有してもよい。酸素及び/又はオゾンは適宜不活性ガス等により希釈して用いることができる。当該湿式酸化工程の実施条件は特に制限はなく、湿式酸化反応に一般に用いられている条件下に行うことができる。例えば、温度条件は、140℃〜260℃が好ましく、圧力は0.37MPa〜7MPaである。また、反応時間が1秒〜90分間であることが好ましい。さらに好ましい実施形態としては、上記水熱反応液に残存する固体分を湿式酸化反応を行う前に除去することにより酸化反応の効率を上げることができる。このようにして可溶化された有機性廃棄物を酸化することにより、処理液のCODを著しく低下させることができ、また有機性廃棄物に由来する着色も除去(脱色)することができる。湿式酸化反応工程で使用したイオン触媒を回収することがさらに好ましい。
【0016】
本発明の1つの実施形態において、上記湿式酸化反応液をさらに好気性微生物及び/又は嫌気性微生物により生物処理する工程を含むことができる。「生物処理」とは、好気性微生物及び/又は嫌気性微生物を用いて有機物を代謝分解することを意味する。一般的な好気性微生物としては、アルカリゲネス属、バチルス属、エシェリヒア属、フラボバクテリウム属、及びシュードモナス属等の細菌の他、多少の糸状菌や繊毛虫類、輪虫類等の原生動物等が含まれる。嫌気性微生物としては、メタン発酵に用いられるような嫌気性ないし通性嫌気性細菌であるクロストリジウム属、スタフィロコッカス属の細菌や、絶対嫌気性細菌であるメタノバクテリウム属、メタノコッカス属、メタノサルシナ属の細菌等が含まれるがこれらに限定されない。その他の微生物には、例えば、好気性菌を主体とする酵母菌、子のう菌及びセルロース菌、通性嫌気性細菌を主体とする蛋白質分解菌、乳酸菌及び枯草菌、並びに嫌気性菌を主体とする光合成菌、窒素固定菌、酢酸菌及び酪酸菌等が挙げられる。これらの微生物による処理は、特に限定されないが、例えば、生物処理槽、排水処理装置、嫌気性処理装置、ばっき槽、生物担体槽等を用いて行うことができる。
【0017】
以下、実施例及び比較例により本発明を詳細に説明するが、これらの実施例及び比較例により本発明は何ら制限されるものではない。なお、以下の実施例で用いる用語の意味は次のとおりである。SS:浮遊物質濃度(suspended solids)、MLSS:活性汚泥浮遊物質(mixed liquor suspended solids)、MLVSS:活性汚泥有機性浮遊物質(mixed liquor volatile suspended solids)、COD:化学的酸素要求量(chemical oxygen demand)。
【実施例1】
【0018】
A 水熱反応
(1)pHと液化率
活性汚泥をサンプルとして用い、処理温度200℃、加熱時間30分間、圧力2MPaで処理した時の液化率とサンプルのpHとの関係を調べた。なお、サンプルのpHは所定の活性汚泥を含む水溶液に苛性ソーダ(48%NaOH水溶液)を添加して調整した。また、液化率は以下の式で計算した。
液化率=(1−加水分解反応後の処理液のSS/サンプルSS)×100(%)
その結果を図2に示す。サンプルのpHが上昇するに従って液化率も向上することが分かった。
【0019】
(2)時間と液化率
活性汚泥をサンプルとして用い、処理pH13、処理温度200℃、圧力2MPaで処理した時の液化率と処理時間との関係を調べた。なお、液化率の計算式は上記(1)と同様である。その結果を図3に示す。反応開始後10分程度で液化率は大きく上昇し、30分経過後にはほぼ一定となった。
【0020】
(3)温度と液化率
活性汚泥をサンプルとして用い、処理pH13、処理時間30分、圧力2MPaで処理した時の液化率と処理温度との関係を調べた。その結果を図4に示す。反応温度が200℃の時に液化率が最大となり、240℃までほぼ一定となった。
【0021】
B 湿式酸化反応
(1)イオン触媒の存在と酸化率の関係
300mlの高圧オートクレーブに100mlのサンプル(活性汚泥の水熱処理液)を入れ、密閉後、上部空隙の空気を酸素ガスと置換して圧力を1MPaにして反応させた。ガス化率は以下の式で計算した。
ガス化率=(1−湿式酸化処理液のCODmn/サンプルCODmn)×100(%)
なお、サンプルのpHは8とし、処理時間10分、反応温度220℃とした。サンプルに硫酸銅を1000mg/L添加した場合と添加しなかった場合とを比較した。その結果を図5に示す。添加した硫酸銅が触媒として大変有効に働いていることが分かった。
【0022】
(2)水熱処理液を湿式酸化した場合と、無処理固体を直接湿式酸化した場合のガス化率の測定
300mlの高圧オートクレーブに100mlのサンプル(サンプルAは活性汚泥の水熱処理液(液体)、サンプルBは活性汚泥(固体)である。)を入れ、密閉後、上部空隙の空気を酸素ガスと置換して圧力を1MPaにして反応させた。ガス化率の計算方法は上記(1)と同様である。
なお、サンプルのpHは8とし、処理時間10分、反応温度220℃とした。それぞれのサンプルに硫酸銅を1000mg/L添加した。その結果を表1、及び図6に示す。
【0023】
【表1】


【0024】
表1及び図6に示したように、サンプルとして水熱処理液を用いた方が、ガス化率が高く、有機物がほぼ完全に酸化されていることが分かった。その理由は、水熱処理をすることにより、有機物が低分子化するため酸素との接触機会が増大するため酸化されやすい。また硫酸銅は銅がイオンの形態で存在するため処理液中に一応に分散している。酸素と銅イオンと有機物が同時に接触する機会が圧倒的に多いので酸化反応が大変早く且つ確実に行われる。また、サンプルとして水熱処理液を用いた場合は固体残渣がなく、排水処理を行わずに直接放流でき、SSがないので処理液中の銅イオンの分離が容易である。
【0025】
(3)湿式酸化処理温度とガス化率
300mlの高圧オートクレーブに100mlのサンプル(活性汚泥の水熱処理液)を入れ、密閉後、上部空隙の空気を酸素ガスと置換して圧力を1MPaにして反応させた。ガス化率の計算方法は上記(1)と同様である。
なお、サンプルのpHは8とし、処理時間10分とし、サンプルに硫酸銅を1000mg/L添加した。その結果を図7に示す。
【0026】
図7に示したように、低温域から高いガス化率を得ることができた。その理由は、水熱処理をすることにより、有機物が低分子化するため酸化されやすく、硫酸銅による触媒の効果も大きいと考えられる。低い圧力で酸化処理ができるので経済的に大変有利である。
【0027】
(4)pHとガス化率
300mlの高圧オートクレーブに100mlのサンプル(活性汚泥の水熱処理液)を入れ、密閉後、上部空隙の空気を酸素ガスと置換して圧力を1MPaにして反応させた。ガス化率の計算方法は上記(1)と同様である。
なお、サンプルの処理時間10分、反応温度220℃とし、サンプルに硫酸銅を100mg/L添加した。その結果を図8に示す。
【0028】
図8に示したように、pHが低下するに従ってガス化率が向上した。その理由は、水熱処理液のpHが高いままの場合は、可溶化した有機廃棄物が炭酸ガスまで完全に分解されずに有機酸で分解が止まると考えられる。また、アルカリ条件では銅イオンが水酸化銅となってイオンでなくなるため触媒の機能が落ちると思われる。
【実施例2】
【0029】
典型的な余剰汚泥(MLSS:8320mg/L、MLVSS:7434mg/L)を用いて本発明の方法による処理を行った。
1 水熱反応工程
余剰汚泥200mLに苛性ソーダ(48%NaOH水溶液)を加えてpH13に調整し、当該サンプルを高圧オートクレーブに入れて密封した。オートクレーブ上部の空気を1MPaの圧力の窒素ガスで置換し、外部ヒーターにより200℃で30分間加熱して水熱反応を行った。冷却後、水熱反応液を取り出し、硫酸でpHを8に調整した。
【0030】
2 湿式酸化工程
上記でpHを調整した水熱反応液100mLを高圧オートクレーブに入れ、同時に硫酸銅を0.1g添加して密封した。オートクレーブ上部の空間に酸素ガスを入れて1MPaの圧力に調整し、外部ヒーターにより220℃で10分間加熱した。高圧オートクレーブに装備されている攪拌機を1200rpmで回転した。冷却後、酸化処理液を得た。
【0031】
上記各反応前後の処理液のCOD、MLSS及びMLVSSを測定した結果を以下の表2及び3に示す。
【0032】
【表2】


【0033】
【表3】



これらの結果より、本発明の方法によるCODmn分解率は92%(1−291/3874)×100;及びMLVSS分解率は100%であることが分かった。
【図面の簡単な説明】
【0034】
【図1】本発明に係る湿式酸化式有機物処理のフローチャートである。
【図2】本発明に係る水熱反応におけるpH条件と液化率の関係を調べた結果である。
【図3】本発明に係る水熱反応における反応時間と液化率の関係を調べた結果である。
【図4】本発明に係る水熱反応における反応温度と液化率の関係を調べた結果である。
【図5】本発明に係る湿式酸化反応におけるイオン触媒の存在と酸化率の関係を調べた結果である。
【図6】本発明に係る湿式酸化反応における水熱反応の有無の影響を調べた結果である。
【図7】本発明に係る式酸化反応における湿式酸化処理温度とガス化率の関係を調べた結果である。
【図8】本発明に係る式酸化反応における水熱反応処理液のpH条件とガス化率の関係を調べた結果である。
【符号の説明】
【0035】
1 有機物受入槽
2 アルカリ槽
3a、3b 水熱反応器
4 ボイラ
5 湿式酸化反応器
6 硫酸銅貯槽
7 硫酸貯槽
8 気液分離器
9 コンプレッサー
10 背圧弁
11a、11b、11c、11d ポンプ
12 移送ライン
【出願人】 【識別番号】506212581
【氏名又は名称】松本 成樹
【出願日】 平成18年6月20日(2006.6.20)
【代理人】 【識別番号】100080816
【弁理士】
【氏名又は名称】加藤 朝道


【公開番号】 特開2008−645(P2008−645A)
【公開日】 平成20年1月10日(2008.1.10)
【出願番号】 特願2006−169978(P2006−169978)