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【発明の名称】 洗浄装置
【発明者】 【氏名】筒井 徳久

【氏名】佐藤 史朗

【氏名】小林 一雄

【氏名】丸山 理

【氏名】佐藤 史篤

【要約】 【課題】液表面に浮遊する軽いゴミやパーティクルを無くし、洗浄槽内で溶剤洗浄した後のワークを引き上げた際にゴミ等の再付着を防ぐことができる洗浄装置を提供する。

【構成】洗浄槽12は、貯留している洗浄剤46の液体でワーク44を洗浄する液体洗浄エリア16と、液体洗浄エリア16内の洗浄剤46の余剰液が流入するオーバーフロー槽38(液流出エリア)と、洗浄槽12内のいずれかの面から排出した後に液体洗浄エリア16に導入する第1循環経路71とを少なくとも備え、液体洗浄エリア16に、第1循環経路71を経由して液体洗浄エリア16内に洗浄剤46を流入させる流入部材72と、流入部材72から流入する洗浄剤46の液流を液体洗浄エリア16内の洗浄剤46の液面73と平行な液流74になるように液面73に導く液流ガイド81とを有する液面流動手段を設ける。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
流入部を有し、当該流入部から流入する洗浄剤を貯留すると共に当該貯留している洗浄剤の液体でワークを洗浄する液体洗浄エリアと、当該液体洗浄エリア内の洗浄剤が流入すると共に当該流入した洗浄剤を流出させる流出部を有する液流出エリアと、を備える洗浄槽を有し、
前記液体洗浄エリアには、前記流入部と、当該流入部から流入する洗浄剤の液流を前記液体洗浄エリア内の洗浄剤の液面と平行な液流になるように当該液面に導く液流ガイドとを有する液面流動手段が設けられていることを特徴とする洗浄装置。
【請求項2】
前記液流出エリアは、前記液体洗浄エリアに貯留された洗浄剤のうち、表層の洗浄剤が流入するオーバーフロー槽である、請求項1に記載の洗浄装置。
【請求項3】
前記流入部が、前記液体洗浄エリア内の槽壁面に設けられた流入口であり、
前記液流ガイドが、前記流入口から流入した洗浄剤の液流方向を液面方向に変える傾斜部と、当該液面方向に変えられた洗浄剤の液流を液面に導く開口部とを有するガイド板である、請求項1又は2に記載の洗浄装置。
【請求項4】
前記流入部が、前記液体洗浄エリア内の槽壁面に設けられた流入口であり、
前記液流ガイドが、前記流入口から流入した洗浄剤の液流を前記液面方向になだらかに導く曲面と、前記液面近傍で前記液面とほぼ平行な水平面とを有する液流形成板である、請求項1又は2に記載の洗浄装置。
【請求項5】
前記液面近傍には、前記液流形成板と対向するとともに、洗浄剤の液流の飛び跳ねを抑える抑え板をさらに備える、請求項4に記載の洗浄装置。
【請求項6】
前記流入部が、前記液体洗浄エリア内の液面近傍に設けられた1又は複数の流入口を有するシャワー部材で構成されており、
前記液流ガイドが、前記流入口から流入する洗浄剤の液流を液面と平行な液流になるように調整する調整部材である、請求項1又は2に記載の洗浄装置。
【請求項7】
前記液流出エリアは、着脱可能に且つ取り付け位置を変更可能な仕切り板により前記液体洗浄エリアとの間が仕切られて形成されている、請求項1又は2に記載の洗浄装置。
【請求項8】
前記仕切り板は、前記洗浄槽に貯留される洗浄剤の中間深度位置にスリット又は透孔を有し、
前記液流出エリアは、前記透孔よりも深い位置に前記流出部を有する、請求項7に記載の洗浄装置。
【請求項9】
前記洗浄槽には、前記洗浄剤を循環させる1又は2以上の循環経路が接続され、
第1循環経路は、前記洗浄剤を前記液流出エリアの底面又は側面に設けられた前記流出部から排出して前記流入部に導く配管経路であり、当該配管経路には、前記洗浄剤を循環させるためのポンプと、前記洗浄剤中の塵埃を除去するフィルターとが設けられている、請求項1〜8の何れかに記載の洗浄装置。
【請求項10】
請求項9に記載の洗浄装置において、
前記洗浄槽は、前記液体洗浄エリアの上部に設けられて前記洗浄剤の蒸気でワークを洗浄する蒸気洗浄エリアと、当該蒸気洗浄エリアと当該洗浄槽の上部に設けられたワーク出入口との間に設けられて前記洗浄剤の蒸気を冷却して当該洗浄剤を液化させる蒸気冷却エリアと、当該蒸気冷却エリアで液化された洗浄剤を回収する回収手段と、をさらに有し、
当該洗浄装置は、前記洗浄槽から分離して配置されると共に前記洗浄剤の蒸気を発生させる蒸気発生槽と、前記洗浄槽から分離して配置されると共に前記回収手段で回収される洗浄剤から水を分離する水分離槽と、前記洗浄槽と前記蒸気発生槽との間を接続して当該蒸気発生槽で発生させた蒸気を前記蒸気洗浄エリアに供給するための第1配管と、前記回収手段で回収される洗浄剤を前記蒸気冷却エリアから前記水分離槽に送る第2配管と、前記水分離槽で水分が除去された洗浄剤を当該水分離槽から前記洗浄槽に送る第3配管と、前記洗浄槽と前記蒸気発生槽との間を接続して前記洗浄槽の洗浄剤の余剰液を前記蒸気発生槽に送るための第4配管と、をさらに備える洗浄装置。
【請求項11】
前記第4配管が水封構造で設けられている、請求項10に記載の洗浄装置。
【請求項12】
前記蒸気洗浄エリアと前記蒸気冷却エリアとの境界付近の蒸気洗浄エリア側には、加熱手段が設けられている、請求項10に記載の洗浄装置。
【請求項13】
前記蒸気洗浄エリアと前記蒸気冷却エリアとの境界付近の蒸気冷却エリア側には、冷却用ヒートシンクが配置され、当該ヒートシンクには、ヒートパイプが接続されている、請求項10に記載の洗浄装置。
【請求項14】
前記液体洗浄エリアと前記蒸気洗浄エリアとの境界付近の前記洗浄槽の壁面には、断熱部材が設けられている、請求項10に記載の洗浄装置。
【請求項15】
前記蒸気冷却エリアと前記ワーク出入口とのフリーボード比は1.5以上であり、前記ワーク出入口にはカバーが設けられている、請求項10に記載の洗浄装置。
【発明の詳細な説明】【技術分野】
【0001】
本発明は、洗浄装置に関し、更に詳しくは、電子部品、精密部品、金属部品、プリント配線基板、ガラス基板その他の各種被洗浄物(ワーク)を洗浄処理することができる洗浄装置に関する。
【背景技術】
【0002】
電子部品、精密部品、金属部品、プリント配線基板、ガラス基板その他の各種被洗浄物(以下、「ワーク」という。)を洗浄処理するための洗浄装置が従来から提案されている。図12は、特許文献1で提案された従来の洗浄装置を示す概略図である。図12に示す洗浄装置は、上部にワーク出入口205が形成され、下部に溶剤200Aを貯溜する洗浄槽206が形成されると共に、中間部に冷却手段207が配設されて、該冷却手段207と洗浄槽206の溶剤200A液面との間に処理エリア208が形成されたタンク本体201を備えている。また、蒸気発生槽203と蒸気供給手段215とにより、処理エリア208に溶剤蒸気を供給するように構成されている。この蒸気発生槽203には、洗浄槽206をオーバーフローした溶剤200Aが流れ込むように配管212が傾斜するように配置されている。洗浄槽206には、冷却槽202で液化された溶剤200Aが配管213を経由して供給される。
【0003】
この洗浄装置では、溶剤200A中で洗浄された後に上方に引き上げられたワーク210は、処理エリア208で洗浄剤蒸気で洗浄され、その後、さらにその上方に設けられた乾燥エリアで冷却乾燥される。この乾燥エリアでは、洗浄剤の蒸気を冷却手段207で冷やして凝縮することで、洗浄剤蒸気の蒸気圧を下げ、ワーク210の表面に凝縮していた洗浄剤滴を気化させることで乾燥が行われる。
【特許文献1】特開2005−74319号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記特許文献1に記載の従来の洗浄装置において、蒸気発生槽203から処理エリア208に供給された洗浄剤蒸気が蒸留されて液化した溶剤や、冷却槽202で液化された溶剤が洗浄槽206内に入るので、洗浄槽内の溶剤200Aの余剰量はオーバーフローする。洗浄槽内でワークを洗浄した結果生じたゴミやパーティクルのうち、重いゴミやパーティクルは洗浄槽の底に溜まって排出口などから排出されるが、軽いゴミやパーティクルは液表面に漂うので、洗浄槽内で溶剤洗浄したワークを引き上げる際に、そのワークの表面に浮遊するゴミ等が再び付着してしまう。特に、洗浄剤のオーバーフロー量が少ない場合は、浮遊するゴミ等を洗浄槽から流し出すことができず、また、洗浄剤の表面張力が小さい場合には、オーバーフローする液層の厚さが薄く、浮遊するゴミ等を洗浄槽から流し出すことができないという問題があった。
【0005】
本発明は、上記課題を解決するためになされたものであって、その目的は、液表面に浮遊する軽いゴミやパーティクルを無くし、洗浄槽内で溶剤洗浄した後のワークを引き上げた際にゴミ等の再付着を防ぐことができる洗浄装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するための本発明の洗浄装置は、流入部を有し、当該流入部から流入する洗浄剤を貯留すると共に当該貯留している洗浄剤の液体でワークを洗浄する液体洗浄エリアと、当該液体洗浄エリア内の洗浄剤が流入すると共に、当該流入した洗浄剤を流出させる流出部を有する液流出エリアと、を備える洗浄槽を有し、前記液体洗浄エリアには、前記流入部と、当該流入部から流入する洗浄剤の液流を前記液体洗浄エリア内の洗浄剤の液面と平行な液流になるように当該液面に導く液流ガイドとを有する液面流動手段が設けられていることを特徴とする。
【0007】
この発明によれば、洗浄槽内の液体洗浄エリアには、液体洗浄エリア内に洗浄剤を流入する流入部と、その流入部から流入する洗浄剤の液流を液体洗浄エリア内の洗浄剤の液面と平行な液流になるように当該液面に導く液流ガイドとを有する液面流動手段が設けられているので、液面に導かれた洗浄剤の液流が液流出エリア内に流入する際に、液面に浮遊する軽いゴミやパーティクル等の塵埃を、その洗浄剤の液流によって除去することができる。その結果、洗浄槽内で溶剤洗浄した後のワークを引き上げる際に、塵埃がワークに再付着するのを防ぐことができる。
【0008】
本発明の洗浄装置において、前記液流出エリアは、前記液体洗浄エリアに貯留された洗浄剤のうち、表層の洗浄剤が流入するオーバーフロー槽であるように構成できる。
【0009】
この発明によれば、液流出エリアを、液体洗浄エリアに貯留された洗浄剤のうち表層の洗浄剤を流入するオーバーフロー槽となるように構成したので、液面に浮遊する軽いゴミやパーティクル等の塵埃を、余剰液としてオーバーフローする洗浄剤の液流によって除去することができる。
【0010】
本発明の洗浄装置において、前記流入部が、前記液体洗浄エリア内の槽壁面に設けられた流入口であり、前記液流ガイドが、前記流入口から流入した洗浄剤の液流方向を液面方向に変える傾斜部と、当該液面方向に変えられた洗浄剤の液流を液面に導く開口部とを有するガイド板であるように構成できる。
【0011】
この発明によれば、液体洗浄エリア内の槽壁面に設けられた流入口と、上記傾斜部及び開口部を有するガイド板とで液面流動手段を構成することにより、洗浄剤の液流を液面に効果的に導くことができ、その結果、液面に浮遊する塵埃を、洗浄剤の液流によって効果的に除去することができる。
【0012】
本発明の洗浄装置において、前記流入部が、前記液体洗浄エリア内の槽壁面に設けられた流入口であり、前記液流ガイドが、前記流入口から流入した洗浄剤の液流を前記液面方向になだらかに導く曲面と、前記液面近傍で前記液面とほぼ平行な水平面とを有する液流形成板であるように構成できる。
【0013】
この発明によれば、液流ガイドを、流入口から流入した洗浄剤の液流を前記液面方向になだらかに導く曲面と、液面近傍で前記液面とほぼ平行な水平面とを有する液流形成板であるように構成したので、流入口から流入した液流は曲面上を流れて緩やかな流れとなり、さらにその水平面によって液面と平行な液流を一様に形成することができる。その結果、液面に浮遊する塵埃を、表層を流れる洗浄剤の液流によって効果的に除去することができる。
【0014】
本発明の洗浄装置において、前記液面近傍には、前記液流形成板と対向するとともに、洗浄剤の液流の飛び跳ねを抑える抑え板をさらに備えるように構成できる。
【0015】
この発明によれば、液面近傍の抑え板は液流形成板と対向するように設けられているので、液流形成板で液面に緩やかに導かれた洗浄剤の飛び跳ねを効果的に抑えることができる。
【0016】
本発明の洗浄装置において、前記流入部が、前記液体洗浄エリア内の液面近傍に設けられた1又は複数の流入口を有するシャワー部材で構成されており、前記液流ガイドが、前記流入口から流入する洗浄剤の液流を液面と平行な液流になるように調整する調整部材であるように構成できる。
【0017】
この発明によれば、上記シャワー部材と上記調整部材とを有する液面流動手段により、洗浄剤の液流を液面に効果的に導くことができる。その結果、液面に浮遊する塵埃を、液流出エリア内に流入する洗浄剤の液流によって効果的に除去することができる。
【0018】
本発明の洗浄装置において、前記液流出エリアは、着脱可能に且つ取り付け位置を変更可能な仕切り板により前記液体洗浄エリアとの間が仕切られて形成されているように構成できる。
【0019】
この発明によれば、洗浄槽を構成する液流出エリアは、着脱可能に且つ取り付け位置を変更可能な仕切り板により液体洗浄エリアとの間が仕切られて形成されているので、ワークの大きさや液循環量等に応じて仕切り板を動かし、液体洗浄エリアの大きさを自由に変更することができる。
【0020】
本発明の洗浄装置において、前記仕切り板は、前記洗浄槽に貯留される洗浄剤の中間深度位置にスリット又は透孔を有し、前記液流出エリアは、前記透孔よりも深い位置に前記流出部を有するように構成できる。
【0021】
この発明によれば、仕切り板を、洗浄槽に貯留される洗浄剤の中間深度位置にスリット又は透孔を有するように構成したので、洗浄剤がそのスリット又は透孔を経由して液流出エリアに導かれることになる。その結果、例えば中間深度領域に浮遊するパーティクルが存在した場合、そのパーティクルをスリット又は透孔から液流出エリアに流出させることができる。そして、この発明によれば、液流出エリアを、透孔よりも深い位置に流出部を有するように構成したので、液流出エリアに流出した洗浄剤をその流出部から自然流下によって排出することができる。
【0022】
本発明の洗浄装置において、前記洗浄槽には、前記洗浄剤を循環させる1又は2以上の循環経路が接続され、第1循環経路は、前記洗浄剤を前記液流出エリアの底面又は側面に設けられた前記流出部から排出して前記流入部に導く配管経路であり、当該配管経路には、前記洗浄剤を循環させるためのポンプと、前記洗浄剤中の塵埃を除去するフィルターとが設けられているように構成できる。
【0023】
この発明によれば、液流出エリアの底面又は側面に設けられた流出部から排出して流入部に導く第1循環経路と、循環ポンプと、塵除去フィルターとを有するので、洗浄剤の循環流量を一定にすることができ、浮遊するゴミ等を液体洗浄エリアから安定した状態で除去することができる。
【0024】
前記の洗浄装置において、前記洗浄槽は、前記液体洗浄エリアの上部に設けられて前記洗浄剤の蒸気でワークを洗浄する蒸気洗浄エリアと、当該蒸気洗浄エリアと当該洗浄槽の上部に設けられたワーク出入口との間に設けられて前記洗浄剤の蒸気を冷却して当該洗浄剤を液化させる蒸気冷却エリアと、当該蒸気冷却エリアで液化された洗浄剤を回収する回収手段と、をさらに有し、当該洗浄装置は、前記洗浄槽から分離して配置されると共に前記洗浄剤の蒸気を発生させる蒸気発生槽と、前記洗浄槽から分離して配置されると共に前記回収手段で回収される洗浄剤から水を分離する水分離槽と、前記洗浄槽と前記蒸気発生槽との間を接続して当該蒸気発生槽で発生させた蒸気を前記蒸気洗浄エリアに供給するための第1配管と、前記回収手段で回収される洗浄剤を前記蒸気冷却エリアから前記水分離槽に送る第2配管と、前記水分離槽で水分が除去された洗浄剤を当該水分離槽から前記洗浄槽に送る第3配管と、前記洗浄槽と前記蒸気発生槽との間を接続して前記洗浄槽の洗浄剤の余剰液を前記蒸気発生槽に送るための第4配管と、をさらに備えるように構成できる。
【0025】
この発明によれば、洗浄槽が蒸気洗浄エリアと蒸気冷却エリアと回収手段とをさらに有し、洗浄装置が蒸気発生槽と水分離槽と第1〜第4配管とにより構成される第2循環経路をさらに備えるので、液体洗浄エリアの洗浄液を清浄に保つことができる。また、塵埃や油分等の汚れは蒸気発生槽に濃縮されるので、蒸気発生槽内で濃縮された溶剤を新しい溶剤に交換すれば、塵埃や油分等を洗浄装置内から容易に除去することができる。なお、この蒸気発生槽の大きさは、例えば2000mLビーカー一杯程度の容量とすることもできるので、新しい溶剤への交換は容易である。
【0026】
本発明の洗浄装置において、前記第4配管が水封構造で設けられているように構成できる。
【0027】
この発明によれば、洗浄槽と蒸気発生槽との間を接続する第4配管が水封構造で設けられているので、蒸気発生槽で生じた洗浄液の蒸気が洗浄槽の側に入り込むことがなく、洗浄槽と蒸気発生槽との間の温度干渉を遮断することができる。その結果、両槽それぞれの処理条件の変動を生じさせることがなく、安定した条件での洗浄処理を行うことができる。
【0028】
本発明の洗浄装置において、前記蒸気洗浄エリアと前記蒸気冷却エリアとの境界付近の蒸気洗浄エリア側には、加熱手段が設けられているように構成できる。
【0029】
この発明によれば、蒸気洗浄エリアの洗浄剤の蒸気の温度低下を防止することができる。また、洗浄槽の壁面で洗浄剤の蒸気が結露して液化するのを抑制できるので、蒸気洗浄を安定した状態で行うことができる。
【0030】
本発明の洗浄装置において、前記蒸気洗浄エリアと前記蒸気冷却エリアとの境界付近の蒸気冷却エリア側には、冷却用ヒートシンクが配置され、当該ヒートシンクには、ヒートパイプが接続されているように構成できる。
【0031】
この発明によれば、蒸気洗浄エリアと蒸気冷却エリアとの境界にある蒸気を効率的に冷却できるので、蒸気冷却エリア内での液化を促進させて洗浄剤の回収ないし再生を効率的に行うことができる。
【0032】
本発明の洗浄装置において、前記液体洗浄エリアと前記蒸気洗浄エリアとの境界付近の前記洗浄槽の壁面には、断熱部材が設けられているように構成できる。
【0033】
この発明によれば、蒸気洗浄エリア壁面の高い温度と、液体洗浄エリア壁面の低い温度との温度干渉を防ぐことができるので、所定の温度に設定されたそれぞれのエリアでの効率的な洗浄を実現することができる。
【0034】
本発明の洗浄装置において、前記蒸気冷却エリアと前記ワーク出入口とのフリーボード比は1.5以上であり、前記ワーク出入口にはカバーが設けられているように構成できる。
【0035】
この発明によれば、蒸気冷却エリア内からの漏れを防止するので、洗浄剤の消費量をより低減することができる。
【発明の効果】
【0036】
本発明の洗浄装置によれば、液面流動手段により洗浄剤の液流を液体洗浄エリア内の洗浄剤の液面と平行な液流になるように液面に導くことができるので、液面に導かれた洗浄剤の液流が液流出エリア内に流入する際に、その液面に浮遊する軽いゴミやパーティクル等の塵埃を、液流出エリア内に流入する洗浄剤の液流によって除去することができる。その結果、洗浄槽内で溶剤洗浄した後のワークを引き上げる際に、塵埃がワークに再付着することがなく、清浄な洗浄を行うことができる。
【0037】
また、本発明の洗浄装置によれば、液流ガイドとして、前記ガイド板や前記液流形成板を用いたので、洗浄剤の液流を液面に効果的に導くことができ、その結果、液面に浮遊する塵埃を、洗浄剤の液流によって効果的に除去することができる。
【0038】
また、本発明の洗浄装置によれば、液流出エリアをオーバーフロー槽となるように構成した場合には、液面に浮遊する軽いゴミやパーティクル等の塵埃を、余剰液としてオーバーフローする洗浄剤の液流によって除去することができ、また、液体洗浄エリアと液流出エリアとの間の仕切り板の中間深度位置にスリットや透孔を設けた場合には、中間深度領域に浮遊するパーティクルを洗浄剤の液流によって液流出エリアに除去することができる。
【0039】
また、本発明の洗浄装置によれば、洗浄槽が蒸気洗浄エリアと蒸気冷却エリアと回収手段とをさらに有し、その洗浄装置が蒸気発生槽と水分離槽と第1〜第4配管とにより構成される第2循環経路をさらに備えるので、液体洗浄エリアの洗浄液を清浄に保つことができる。また、塵埃や油分等の汚れは蒸気発生槽に濃縮されるので、蒸気発生槽内で濃縮された溶剤を新しい溶剤に交換すれば、塵埃や油分等を洗浄装置内から容易に除去することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0040】
以下、本発明を実施するための最良の形態を、図面に基づき説明する。なお、本発明の洗浄装置は、その技術的特徴を有する範囲において、以下の説明及び図面に限定されない。
【0041】
本発明の洗浄装置は、流入部を有し、その流入部から流入する洗浄剤を貯留すると共に貯留している洗浄剤の液体でワークを洗浄する液体洗浄エリアと、その液体洗浄エリア内の洗浄剤が流入すると共に流入した洗浄剤を流出させる流出部を有する液流出エリアとを備える洗浄槽を有している。そして、液体洗浄エリアには、前記の流入部と、その流入部から流入する洗浄剤の液流を液体洗浄エリア内の洗浄剤の液面と平行な液流になるようにその液面に導く液流ガイドとを有する液面流動手段が設けられている。
【0042】
以下に示す第1実施形態の洗浄装置は、液流出エリアがオーバーフロー槽となるように構成して、主に液面に浮遊するパーティクルを効果的に除去するものであり、第2実施形態に係る洗浄装置は、スリット又は透孔を有する仕切り板を液体洗浄エリアと液流出エリアとの間に設けて、主に中間深度位置に浮遊するパーティクルを効果的に除去するものである。
【0043】
(第1実施形態)
図1は、本発明の洗浄装置の一例を示す概略正面図であり、図2は、図1に示す洗浄装置の概略平面図である。本発明の洗浄装置10は、図1及び図2に示すように、1又は2以上の循環経路により循環する洗浄剤46を貯留すると共にその洗浄剤46を用いてワーク44を洗浄する洗浄槽12を有する装置である。
【0044】
洗浄槽12は、ワーク44を洗浄するための処理槽であり、図1に示すように、貯留している洗浄剤46の液体でワーク44を洗浄する液体洗浄エリア16と、液体洗浄エリア16内の洗浄剤46の余剰液が流入するオーバーフロー槽38と、洗浄槽12内のいずれかの面から排出した後に液体洗浄エリア16に導入する第1循環経路71とを少なくとも備えている。さらにこの洗浄槽12を処理エリア毎に説明すれば、図1に示すように、洗浄剤46の液体でワーク44を洗浄する液体洗浄エリア16と、液体洗浄エリア16の上部に設けられて洗浄剤の蒸気48でワーク44を洗浄する蒸気洗浄エリア18と、蒸気洗浄エリア18と洗浄槽12の上部に設けられたワーク出入口14との間に設けられて洗浄剤の蒸気48を冷却して洗浄剤46を液化させる蒸気冷却エリア20と、で構成されている。
【0045】
図3、図5及び図6は、洗浄槽12の液体洗浄エリア16である本槽37に液面流動手段が設けられた形態の例を示す平面図と断面図である。本発明の特徴は、図3、図5及び図6に示すように、液体洗浄エリア12に液面流動手段が設けられており、その液面流動手段が、第1循環経路71を経由して液体洗浄エリア12内に洗浄剤46を流入させる流入部材72(以下、流入口72A,流入口72Bで表すことがある。)と、流入部材72から流入する洗浄剤46の液流74を洗浄エリア12内の洗浄剤46の液面73と平行な液流に導く液流ガイドとを有していることにある。本発明の洗浄装置は、こうした構成を備えた液面流動手段によって、流入部材72から流入した洗浄剤46の液流74を洗浄エリア12内の洗浄剤46の液面73と平行な液流に導くので、洗浄剤46がオーバーフローする際に、液面73に浮遊する軽いゴミやパーティクル等の塵埃を、オーバーフローする洗浄剤の液流によって除去することができる。その結果、洗浄槽12内で溶剤洗浄した後のワーク44を引き上げる際に、塵埃がワーク44に再付着するのを防ぐことができる。
【0046】
先ず、図3に示す液面流動手段について詳しく説明する。図3は、洗浄槽12の液体洗浄エリア16である本槽37に液面流動手段が設けられた形態の一例を示す平面図(A)とA−A断面図(B)である。本槽37としては、例えば図3に示すように、平面視で略長方形からなる槽を例示できるが、必ずしもそうした形態に限定されるものではない。本槽37の短辺の一方(図3中の左側)には、液面流動手段が設けられ、短辺の他方(図3中の右側)には、オーバーフロー槽38が設けられている。洗浄剤46は、液面流動手段により液面73と平行な液流74になるように導かれ、オーバーフロー槽38にオーバーフローする。このオーバーフロー槽38は、図3及び後述の図5、図6に示すように、本槽37を構成する四辺のうち一辺のみに設けられていることが好ましい。なお、本槽37やオーバーフロー槽38には、液面計が設けられていることが好ましい。
【0047】
本槽37の短辺の一方(図3中の左側)の槽壁面には、第1循環経路71を経由して液体洗浄エリア12内に洗浄剤46を流入させる流入部材としての流入口72Aが設けられている。この流入口72Aは、洗浄剤46をオーバーフロー槽38の底面又は側面から排出して当該流入口72Aに導く第1循環経路71に連結されている。また、この流入口72Aから本槽37内に流入する洗浄剤46の液流は、ガイド板81により液面方向に導かれる。したがって、その流入口72Aは、ガイド板81との関係で、流入した洗浄剤46の液流が液面方向に導かれる所定の位置に設けられる。なお、図3等では、流入口72Aの数は1つであるが、2つ以上であっても構わない。
【0048】
ガイド板81は、液流ガイドの一形態を示すものであって、図3及び図4に例示するように、流入口72Aから流入した洗浄剤46の液流方向を液面方向に変える傾斜部83と、液面方向に変えられた洗浄剤46の液流74を液面73に導く開口部82とを有している。傾斜部83は、流入口72Aから本槽37内に流入する洗浄剤46の液流方向を液面方向に変えるように作用し、図示のように傾斜した態様となるように設けられている。その傾斜の程度及びその面積は特に限定されないが、流入口72Aから流入する洗浄剤46の流量や流速等を考慮し、流入した洗浄剤46の液流が液面73に平行な液流74にスムーズに変化することができる角度と面積で構成されていることが好ましい。なお、強いて傾斜角度を挙げるとすれば、洗浄剤46が槽壁面の法線方向から流入する場合、その法線に対し、30°〜60°の範囲を例示できる。
【0049】
開口部82は、液面方向に変えられた洗浄剤46の液流74を液面73に導くように作用し、その一例としては図3及び図4に示すように、傾斜部83の途中から所定の大きさで矩形状に切り欠かれた態様を例示できる。開口部82の大きさや形状は特に限定されないが、傾斜部83で変えられた洗浄剤46の液流の角度、流量、流速等を考慮し、洗浄剤46が液面73に平行な液流74にスムーズに変化することができる大きさと形状で構成されていることが好ましい。例えば図4に示すように、開口部82は、ガイド板81を構成する傾斜部83と垂直部812とをまたぐ矩形状に形成されていることが好ましい。
【0050】
ガイド板81を構成する垂直部812の上端部には取付穴813が設けられている。その取付穴813に保持部材84を取り付けることにより、図3に示すように、ガイド板81を洗浄槽12に安定且つ着脱容易に保持することができる。一方、ガイド板81の傾斜部83側の下端は本槽37の槽壁面に当たる程度に配置され、また、ガイド板81の幅方向の両端面は本槽の長辺を構成する側壁面に当たる程度に配置されている。このような態様でガイド板81を配置することにより、流入口72Aから本槽37内に流入した洗浄剤46のほとんどが液面方向に導かれる。
【0051】
次に、図5に示す液面流動手段について詳しく説明する。図5は、洗浄槽12の液体洗浄エリア16である本槽37に液面流動手段が設けられた形態の他の一例を示す平面図(A)とB−B断面図(B)である。図3の場合と同様、本槽37としては、例えば図5に示すように平面視で略長方形からなる槽を例示でき、本槽37の短辺の一方(図5中の左側)には、液面流動手段が設けられ、短辺の他方(図5中の右側)には、オーバーフロー槽38が設けられている。洗浄剤46は、液面流動手段により液面73と平行な液流74になるように導かれ、オーバーフロー槽38にオーバーフローする。
【0052】
本槽37の短辺の一方(図5中の左側)の槽壁面近傍であって液体洗浄エリア12内の液面近傍には、流入部材として、1又は複数の流入口72Bを有するシャワー部材86が設けられている。この流入部材としてのシャワー部材86は、液流ガイドとしての調整部材87に連結されている。調整部材87は、シャワー部材86が備える流入口72Bから流入する洗浄剤46を液面73と平行な液流74になるように調整する部材である。
【0053】
図5に示す液面流動手段を更に詳しく説明すれば、シャワー部材86には、複数の流入口72Bが設けられており、洗浄剤46は、その流入口72Bから本槽73内に流入する。流入口72Bから流入する洗浄剤46の液流方向の調整は調整部材87により行われ、この調整部材87は、シャワー部材86に連結するアーム部材87Bと、そのアーム部材87Bを所定の角度に変更する関節部87Aとで構成されている。こうした調整部材87によって、シャワー部材86の角度を所定の角度に変化させることができる。なお、上記の「槽壁面近傍」とは、槽壁面の近くであることを意味すると共に槽壁面に接触している場合も含み、また、「液体洗浄エリア内の液面近傍」とは、洗浄剤内に浸漬した状態であって比較的液面に近い位置を意味する。
【0054】
調整部材87により角度調整されたシャワー部材86は、図5に示すように、その調整部材87に連結した保持部材89により、洗浄槽12に安定且つ着脱容易に保持されている。また、こうしたシャワー部材86は、洗浄剤46をオーバーフロー槽38の底面又は側面から排出して当該シャワー部材86に導く第1循環経路71に連結されている。このシャワー部材86の流入口72Bから本槽37内に流入する洗浄剤46の液流は、上記の調整部材87により液面と平行な方向に調整されている。その結果、洗浄剤の液流を液面と平行にすることができる。
【0055】
次に、図6に示す液面流動手段について詳しく説明する。図6は、図1に例示する洗浄槽12の液体洗浄エリア16である本槽37に液面流動手段が設けられた形態の他の一例を示す平面概略図(A)と正面透視図(B)である。この形態に係る液面流動手段は、液流形成板181を液流ガイドとして設けた点に特徴がある。なお、図3の場合と同様、本槽37としては、例えば図6に示すように、平面視で略長方形からなる槽を例示でき、本槽37の短辺の一方(図6中の左側)には、液面流動手段が設けられ、短辺の他方(図6中の右側)には、オーバーフロー槽38が設けられている。洗浄剤46は、液面流動手段により液面73と平行な液流74になるように導かれ、オーバーフロー槽38にオーバーフローする。本槽37の短辺の両側(図6中の左側と右側)の槽壁面と槽底面と循環経路の構成は、図3と同様であるので図6ではその記載を省略するが、以下の説明では図3と同一の符号を用いて説明する。
【0056】
液流形成板181は、液流ガイドの一形態を示すものであって、図6に例示するように、流入口72Aから流入した洗浄剤46の液流を液面方向になだらかに導く曲面182と、液面近傍に設けられたものであって液面73とほぼ平行な水平面183とを有している。曲面182の形状は特に限定されないが、その断面形状を図6に示すような二次曲線に類似の曲面形状とすることができる。また、水平面183の長さについても特に限定されないが、液流を液面方向になだらかに導くことができる長さとすることが好ましく、一例としては、10mm〜20mm程度を挙げることができる。
【0057】
この液流形成板181は、本槽37内に簡単に着脱できるように設けられている。具体的には、本槽37の長辺の両側に着脱可能な例えばガイドレール等を設けてはめ込むことが好ましいが、その他の手段であってもよい。いずれにしても、液流形成板181の取り付け位置を容易に調整できるように装着することが望ましい。こうした液流形成板181を設けることにより、流入口72Aから流入した液流は曲面182上を流れて緩やかな流れとなり、さらにその水平面183によって液面73と平行な液流74を一様に形成することができる。その結果、液面73に浮遊する塵埃を、表層を流れる洗浄剤46の液流74の液流によって効果的に除去することができる。
【0058】
液面近傍には、液流形成板181と対向するとともに、洗浄剤46の液流の飛び跳ねを抑える抑え板185が好ましく設けられている。この抑え板185は、この態様においては液流形成板181のような必須の構成ではないが、液流形成板181と対向するように、具体的には液流形成板181の水平面183と対向するように好ましく設けられているので、液流形成板181で液面73に緩やかに導かれた洗浄剤46の飛び跳ねを効果的に抑えることができる。その結果、飛び跳ねによって生じていた洗浄剤46の乱流を抑えることができるので、液面近傍を流れる表層流の流れを一定かつ安定して生じさせることができる。こうした安定した表層流を生じさせることは、例えば図1に示す超音波振動子60による洗浄効果を妨げるのを防ぐことができる。
【0059】
抑え板185は、図6に例示するように、液流形成板181と対向する部材であり、具体的には、液流形成板181の水平面183と平行に配置された平面部186と、その平面部186から連続して起き上がった垂直部187とで構成されている。平面部186は、液流形成板181の水平面183と平行に配置されているものであれば、その配置位置は特に限定されないが、この抑え板185は、液流形成板181で液面73に緩やかに導かれた洗浄剤46の飛び跳ねを抑えるものであるため、液流形成板181の水平面183の手前側、すなわち液流形成板181の曲面182と水平面183との境界付近と対向する位置に設けられていることが好ましい。そして、その境界付近と対向する位置に少なくとも平面部186を有するとともに、図6に示すように一定の長さを有するように構成されていることが好ましい。
【0060】
この抑え板185も本槽37内に簡単に着脱できるように設けられていることが好ましく、具体的には、垂直部187に設けられた取付用長穴188に保持部材184を取り付けることにより着脱容易に保持できる。なお、取付用長穴188は、抑え板185と液流形成板181との間隔を調整するのに便利である。この間隔は、抑え板185と液流形成板181との間を通過する液流が比較的安定した状態で水槽37内を通過できるように、その流量や流速等によって任意に調整される。
【0061】
次に、液流出エリアを構成するオーバーフロー槽について説明する。本槽37の短辺の他方(図3中の右側)には、オーバーフロー槽38が設けられている。オーバーフロー槽38の具体的な構造は特に限定されないが、例えば図3、図5及び図6に示すように、着脱可能な仕切り板91により構成することができる。本槽37内に仕切り板91を配置して形成したオーバーフロー槽38は、その仕切り板91の位置を任意の位置にすることにより、本槽37の容量とオーバーフロー槽38の容量を任意に変化させることができる。
【0062】
仕切り板91の上端部には取付穴95が設けられている(図7参照)。その取付穴95に保持部材94を取り付けることにより、図3、図5及び図6に示すように、仕切り板91を洗浄槽12に安定且つ着脱容易に保持することができる。一方、仕切り板91の下端は本槽37の底面に当たる程度に配置されている。
【0063】
また、仕切り板91の幅方向の両端が折り曲げられてフランジ部96となっており、そのフランジ部96と槽壁面との間は、例えば図3及び図5に示すようにシート状のゴム等からなるシール部材93でシールするようにしてもよいし、例えば図6に示すようにバネ部材97を背面側に設けてそのバネ部材97の付勢力によって壁面との間をシールするようにしてもよい。バネ部材97でシールした場合は、シール部材が不要になる点で有利であり、特にシール部材の材質と洗浄剤46との相性が悪い場合には好ましく適用できる。なお、シール部材の材質としては、EPDM(エチレン・プロピレンゴム)等のゴム類や、バイトン、テフロン(登録商標)被覆Oリング、テフロン(登録商標)等のフッ素系部材を挙げることができる。
【0064】
こうした態様で仕切り板91を設けることにより、本槽37内の洗浄剤46は、仕切り板91に設けられたオーバーフロー口92のみからオーバーフロー槽内にオーバーフローすることができる。なお、オーバーフロー口92の下部端面の三角形状で連続する複数の切り欠き部92Aは、洗浄剤46がオーバーフローする部位であり、その切り欠き部92Aから洗浄剤46が浮遊する塵埃等と一緒にオーバーフローする。
【0065】
本槽37からオーバーフローした洗浄剤46は、配管経路である第1循環経路71を経由し、オーバーフロー槽38内の底面又は側面(図3等においては側面)から排出して上記の流入部材(72A,72B)に導かれる。この第1循環経路71には、洗浄剤46を循環させるためのポンプと、洗浄剤46中の塵埃を捕獲して除去するフィルターとが設けられ、必要に応じて冷却ユニット40を設けることもできる。冷却ユニット40としては、例えば熱交換機等を挙げることができる。
【0066】
なお、本発明の洗浄装置10で使用される洗浄剤としては、各種のものを挙げることができるが、例えばHFC(ハイドロ・フルオロ・カーボン)やHFE(ハイドロ・フルオロ・エーテル)等のフッ素系溶剤、臭素系溶剤等が用いられる。
【0067】
こうした洗浄剤は、その種類により溶剤の表面張力が異なるので、第1循環経路71内を同じ流量で循環させた場合であっても、オーバーフローする洗浄剤の液流によって除去される塵埃の除去効率が異なることがある。すなわち、表面張力が小さい洗浄剤46を用いた場合には、液面73の盛り上がりが低くなるので、塵埃がオーバーフロー口92に引っ掛かってオーバーフロー槽38側に流出しないことがあるが、その場合には循環流量を多くすることが好ましい。一方、表面張力が大きい洗浄剤46を用いた場合には、液面73の盛り上がりが大きくなるので、塵埃がオーバーフロー口92に引っ掛かり難く、オーバーフロー槽38側に流出し易くなる。
【0068】
以上のように、図3、図5及び図6に示す液面流動手段により、液面73に導かれた洗浄剤46の液流74がオーバーフローする際に、液面73に浮遊する軽いゴミやパーティクル等の塵埃を、オーバーフローする洗浄剤の液流によって除去することができる。その結果、洗浄槽内で溶剤洗浄した後のワークを引き上げる際に、塵埃がワークに再付着するのを防ぐことができる。特に、循環する洗浄剤46は、必ず本槽37とオーバーフロー槽38を経て循環するので、後述する回収手段24により再生される蒸留再生量が少ない場合であっても、オーバーフローする洗浄剤の量は一定量で循環させることができる。
【0069】
(第2実施形態)
第2実施形態に係る洗浄装置は、図8〜図10に示すように、スリット又は透孔98を有する仕切り板191を液体洗浄エリアと液流出エリアとの間に設けて、主に中間深度位置に浮遊するパーティクルを効果的に除去するものである。この第2実施形態は、仕切り板191の構成が、上記仕切り板91の構成と異なっているのみであり、他の構成については、図3、図5及び図6に示すものを適用できるので、以下では、同一の構成については同一の符号を用いてその説明を省略する。
【0070】
図8は、仕切り板の他の一例を示す斜視図である。本実施形態では、仕切り板191を本槽37内に設けることにより、液流出エリア138を構成している。なお。この液流出エリア138は、上記の実施形態のように、オーバーフロー槽38であってもよいし、オーバーフロー槽でなくてもよいので、本願において「液流出エリア」というときは、オーバーフロー槽を包含する意味で用いる。
【0071】
図8に示す仕切り板191は、オーバーフロー口92に加え、さらにスリット又は透孔98が設けられていることに特徴があり、具体的には、横方向に長穴を構成する透孔98が複数設けられているように構成されている。この透孔98は、図8に示すように規則的に配列されていてもよいし、不規則に配列されていてもよい。また、スリットや透孔98が設けられる位置は、仕切り板191の全面に設けられていてもよいし、その一部に設けられていてもよいが、好ましくは、図8に示すように、オーバーフロー口92から下の所定の中間深度位置に設けられていることが好ましい。具体的には、オーバーフロー口92の下部から排出口75(図3等を参照)までの間の中間深度位置に設けられていることが好ましく、例えば排出口75が図3に示す側壁面に設けられている場合にはその上に設けられる。このように構成することにより、洗浄剤46をその排出口(流出部)75から自然流下によって排出することができる。なお、仕切り板191として、オーバーフロー口92を有さず、スリット又は透孔98が設けられたものも用いることが可能である。
【0072】
透孔98の形状は特に限定されず、図示のような長穴であってもよいし、円形であってもよいし、その数も特に限定されない。また、スリットについてもその形状や数は特に限定されないが、例えば図8に示す長穴が横方向に繋がったようなスリットを例示できる。なお、こうしたスリットや透孔98の大きさを小さめに絞れば、洗浄剤46をオーバーフロー口92からオーバーフローさせることができるし、その大きさを大きめにすれば、洗浄剤46をオーバーフローさせずにスリット又は透孔98から流出させることができる。
【0073】
図9は、図8に示す仕切り板を適用した場合の液流の態様を示す説明図である。ここで示す例は、液流形成板181の水平面183を上側に設けた態様である。液流は液流形成板181の作用によって液面に対して平行に水槽37内に供給されるが、この態様で用いた仕切り板191は、中間深度位置に設けられた透孔98とを有するので、その液流は、主に中間深度位置の透孔98からも液流出エリア138内に流入する。その結果、例えば中間深度領域に浮遊するパーティクルが存在した場合、そのパーティクルを透孔98から液流出エリア138に流出させることができる。また、上記のように、透孔98の大きさを調整すれば、洗浄剤46をオーバーフローと併用して液流出エリア138内に流出させることができるので、中間深度位置に浮遊するパーティクルと表層部に浮遊するパーティクルとを同時に排出することもできる。
【0074】
図10は、図8に示す仕切り板を適用した場合の液流の他の態様を示す説明図である。ここで示す例は、液流形成板181の水平面183を下側に設けた態様である。液流は液流形成板181の作用によって水槽37の底面に対して平行に水槽37内に供給されるが、この態様で用いた仕切り板191は、中間深度位置に設けられた透孔98とを有するので、その液流は、主に底部を通過した後に中間深度位置の透孔98から液流出エリア138内に流入する。その結果、例えば底部に浮遊するパーティクルが存在した場合、そのパーティクルを透孔98から液流出エリア138に流出させることができる。また、上記のように、透孔98の大きさを調整すれば、洗浄剤46をオーバーフローと併用して液流出エリア138内に流出させることができるので、底部に浮遊するパーティクルに限らず、中間深度位置に浮遊するパーティクルや表層部に浮遊するパーティクルを同時に排出することもできる。なお、この形態では、抑え板185は外しても構わない。
【0075】
(全体構成)
次に、本発明の洗浄装置の全体構成について、図1、図2及び図11により詳しく説明する。なお、図11は、本発明の洗浄装置の配管経路を示す模式図である。本願において、「正面視」とは、図1に示すように、本発明の洗浄装置を正面図で表したときの形態を示しており、「平面視」とは、図2に示すように、本発明の洗浄装置を平面図で表したときの形態を示している。
【0076】
本発明の洗浄装置10を構成する洗浄槽12は、図1に示すように、洗浄剤46の液体でワーク44を洗浄する液体洗浄エリア16と、液体洗浄エリア16の上部に設けられて洗浄剤の蒸気48でワーク44を洗浄する蒸気洗浄エリア18と、蒸気洗浄エリア18と洗浄槽12の上部に設けられたワーク出入口14との間に設けられて洗浄剤の蒸気48を冷却して洗浄剤46を液化させる蒸気冷却エリア20とで構成されているが、洗浄槽12以外の槽としては、洗浄槽12から分離して配置されると共に洗浄剤46の蒸気48を発生させる蒸気発生槽52と、洗浄槽12から分離して配置されると共に回収手段24で回収される洗浄剤46から水を分離する水分離槽28とをさらに備えている。
【0077】
また、本発明の洗浄装置10は、洗浄槽12と蒸気発生槽52との間を接続して蒸気発生槽52で発生させた蒸気48を蒸気洗浄エリア18に供給するための第1配管54と、回収手段24で回収される洗浄剤46を蒸気冷却エリア20から水分離槽28に送る第2配管26と、水分離槽28で水分が除去された洗浄剤46を水分離槽28から洗浄槽12に送る第3配管58と、洗浄槽12と蒸気発生槽52との間を接続して洗浄槽12の洗浄剤46の余剰液を蒸気発生槽52に送るための第4配管27とを有している。なお、洗浄槽12、蒸気発生槽52、水分離槽28及び第1〜第4配管により、第2循環経路が形成されている。
【0078】
以下、各エリア、回収手段、第1〜第4配管、蒸気発生槽、水分離槽等について説明する。
【0079】
液体洗浄エリア16は、上述の本槽37に対応するものであり、洗浄槽12の下部に設けられて、液状の洗浄剤46でワーク44を洗浄するエリアである。この液体洗浄エリア16は、1つ又は複数のワーク44を洗浄剤46に浸漬できるだけの容量を持っている。その底部には、図1に示すように、超音波振動子60を設けてもよい。この超音波振動子60は、必要に応じて作動させ、ワーク44の洗浄効率を向上させることができる。
【0080】
特に、本発明の洗浄装置10は、洗浄剤46の液流74が液面近傍を液面73と平行にオーバーフロー槽38に向かって流れるので、液面付近以外の液流は速くない。そのため、ワーク44が本槽37内に浸漬した場合、洗浄剤46は液面近傍を主に流れ、ワーク44の周りの液流は緩やかであるので、超音波によるワーク洗浄を効果的に行うことができる。なお、ワーク44の周りの液流が速い場合には超音波によるワーク洗浄は効果的に行われない。
【0081】
液体洗浄エリア16には、温度制御を行うための温度制御手段を設けてもよい。例えば超音波振動子60を動作させると洗浄剤46の温度が上昇するので、図1に示すように、温度を一定に保つためのサーモモジュール62(ペルチェ素子)を適当な部位に所定の個数設けてもよい。こうしたサーモモジュール62は、ペルチェ効果を利用した素子であり、可動部が無く騒音を発生しないという利点がある。サーモモジュール62は、各種のものを用いることができ、例えばペルチェ素子や冷却ファンを単独又は組み合わせて用いることができる。特に上部のワーク出入口14付近にサーモモジュール64を配置して冷却することが望ましい。
【0082】
蒸気洗浄エリア18は、洗浄槽12の中間部に設けられて、洗浄剤の蒸気48でワーク44を洗浄するエリアである。この蒸気洗浄エリア18も、上記液体洗浄エリア16と同様、1つ又は複数のワーク44を洗浄剤の蒸気48雰囲気に曝すことができるだけの容量を持っている。この蒸気洗浄エリア18では、洗浄剤の蒸気48が飽和状態でワーク44に接触するように供給される。その蒸気48は、蒸気発生槽52で発生した蒸気が第1配管54を上昇してきた蒸気である。こうして供給された蒸気48は、ワーク44の表面に接触して凝縮することにより、ワーク44の洗浄が行われる。特に本発明の洗浄装置においては、液体洗浄エリア16から引き上げられるワーク44に、液表面に浮遊する塵埃等の再付着がないので、ワーク44を蒸気洗浄することにより、極めて清浄な洗浄を行うことができる。
【0083】
蒸気洗浄エリア18の壁面31(洗浄槽12の中間部の内壁面又は外壁面)には、図1に示すように、ヒータ30等の加熱手段を設けることが好ましい。こうした加熱手段を設けることによって、洗浄剤の蒸気48がその壁面31で結露して液化するのを抑制できる。なお、この加熱手段は、蒸気洗浄エリア18と蒸気冷却エリア20との境界付近の蒸気洗浄エリア18側に設けられていることが好ましい。この位置に加熱手段を設けることにより、蒸気冷却エリア20の冷気が壁面を伝導して蒸気洗浄エリア18の壁面の温度を下げるのを防ぐことができ、その結果、蒸気48がその壁面31で結露して液化するのを防ぐことができると共に、蒸気洗浄エリアの洗浄剤の蒸気の温度低下を防止することができ、ひいては、蒸気洗浄を安定した状態で行うことができる。加熱手段としては種々のものを挙げることができ、例えば面状ヒータやパイプヒータ等を挙げることができる。これらの加熱手段は、洗浄剤に対する耐性等を考慮して、内壁面又は外壁面に沿わせて設けることができる。さらに、これら加熱手段は、洗浄槽12の壁面31に代えて、蒸気洗浄エリア18と蒸気冷却エリア20との境界付近の蒸気洗浄エリア18側の同エリア内部に設けても良い。この場合、加熱手段は、ワーク44との緩衝を避ける位置に配置するように配慮する必要があるが、蒸気洗浄エリア18の洗浄剤の蒸気48の温度低下を良好に防止できると同時に、壁面31への結露も防止することもでき、ひいては蒸気洗浄を安定した状態で行うことができる。
【0084】
液体洗浄エリア16と蒸気洗浄エリア18との境界付近の壁面には、断熱部材36を設けることが好ましい。断熱部材36を境界付近の壁面に設けることによって、蒸気洗浄エリア壁面の高い温度と、液体洗浄エリア壁面の低い温度との温度干渉を起こり難くすることができるので、それぞれのエリアでの効率的な洗浄を実現することができる。なお、蒸気洗浄エリア18と蒸気冷却エリア20との境界付近の壁面にも断熱部材35を設けることが好ましい。これらの断熱部材35,36の設置方法については、例えば熱伝導率が低く洗浄剤に対して耐性のある樹脂部材(例えば、ポリアセタール等)を断熱部材として用いた場合は、金属製の壁面の連続性を遮断するように設けることができる。
【0085】
蒸気冷却エリア20は、洗浄槽12の上部に設けられて、洗浄剤の蒸気を冷却して液化させるエリアである。この蒸気冷却エリア20は、液化できない蒸気がワーク出入口14から環境中に逃げない程度の高さ及び大きさであればよく、その高さ及び大きさは、洗浄槽12全体の容量に基づいて設計される。具体的には、本実施の形態においては、開口部の短辺Lに対する蒸気冷却エリア20の高さHのフリーボード比を1.5以上確保するようにしている。
【0086】
蒸気冷却エリア20では、冷却された内壁面で蒸気が冷やされて液化する。こうした液化は蒸気冷却エリア20内の蒸気圧を下げ、ワーク44の表面に凝縮していた液滴を気化させ、その結果、ワーク44の乾燥が行われる。蒸気洗浄エリア18内での温度低下を防ぐように加熱手段30や断熱部材36を設ければ、ワーク44の温度が高く維持され、乾燥時に気化熱が奪われてもワーク44の温度が下がりすぎることがなく、再凝縮によるシミ等の発生も起こらないという利点がある。また、蒸気冷却エリア20の温度を低下させるようにヒートシンク32を設ければ、蒸気圧を下げてワーク44表面に凝縮していた液滴を速やかに気化させることができる。
【0087】
蒸気冷却エリア20の壁面には、図1及び図2に示すように、サーモモジュール64(ペルチェ素子)が適当な部位に所定の個数設けられている。このサーモモジュール64は、エリア内の温度を蒸気48が液化する程度の温度に冷却するために設けられるものであり、例えば図1及び図2に示すように、複数設けられていることが好ましい。
【0088】
蒸気洗浄エリア18と蒸気冷却エリア20との境界付近の蒸気冷却エリア20側には、ヒートシンク32を設けることが好ましい。このヒートシンク32は、熱伝導性の良いアルミニウムや銅等の金属材料で形成された加工部材であり、洗浄装置10においては、そのヒートシンク32を、蒸気洗浄エリア18と蒸気冷却エリア20との境界付近に、出し入れするワーク44の邪魔にならないように設けたので、蒸気洗浄エリア18ではより効率的な蒸気洗浄を行い、蒸気冷却エリア20ではより効率的な乾燥と蒸気の液化を行うことができる。特に、液化を効率的に行うことができる点で好ましく用いられる。
【0089】
ヒートシンク32は、図1に示すように、ヒートパイプ34に接続されている。ヒートシンク32の形状は、ワークの出し入れを阻害しないようになっていればよく、その形状は特に限定されないが、本実施の形態においては、図2に示すように、ヒートパイプ34の下側で洗浄槽12の内壁に沿うように環状のヒートシンク32が配置されている。また、図示しないが、洗浄槽12の向かい合う内壁に沿って、2つのヒートシンク32が平行に配置されたものであってもよい。
【0090】
ヒートパイプ34としては、市販されている各種のものを用いることができ、例えば、従来から知られている一般的なヒートパイプを用いてもよいし、「ヒートレーン(登録商標)」(ティーエスヒートロニクス株式会社製)と呼ばれる蛇行細管型ヒートパイプを用いてもよい。これらのヒートパイプ34は、蒸気冷却エリア20に設けられたサーモモジュール64に接続されていることが好ましく、そのサーモモジュール64で熱交換してヒートシンク32を冷却することができる。
【0091】
蒸気冷却エリア20で液化された洗浄剤は、回収手段24により回収することができる。蒸気48は蒸気冷却エリア20の内壁面で液化し、その内壁面を流れ落ちる。回収手段24は、内壁面を流れ落ちる洗浄剤を受け止めるように設けてあればよく、例えば図1に示すように、内壁面に沿って受皿50を形成することが好ましい。この受皿50により、蒸気冷却エリア20で液化した洗浄剤を回収することができる。回収された洗浄剤46は、洗浄槽12から分離して配置される水分離槽28に第2配管26によって送られる。
【0092】
洗浄槽12の上方には開口部があり、その開口部はカバー14aで覆われている。カバー14aには、ワーク44の出し入れができる大きさのワーク出入口14が形成されている。こうしたカバー14aを洗浄槽12に設けることにより、霧滴の飛散を防ぐことができると共に、蒸気の蒸散量の低減を図ることができる。また、蒸気冷却エリア20から環境中に蒸発しようとする洗浄剤はカバー14aに付着して冷却され、液化して洗浄槽12内に滴下する。これにより、高価な洗浄剤の消費量をより抑えることができる。カバー14aの取付方法は特に限定されないが、メンテナンス時に容易に取り外しができるように、クランプ等の簡易的な方法で固定することが好ましい。また、カバーの材質等も特に限定されず、金属や樹脂で形成することができる。
【0093】
蒸気発生槽52は、図1に示すように、洗浄槽12から分離して配置されると共に洗浄剤46をヒータ53等の加熱手段で加熱して洗浄剤46の蒸気48を発生させるための処理槽である。この蒸気発生槽52の側壁には、液面計を設けてもよい。この蒸気発生槽52と洗浄槽12との間を接続する第1配管54は、蒸気発生槽52で発生させた蒸気48を蒸気洗浄エリア18に供給するための配管であり、この蒸気発生槽52とオーバーフロー槽38(液流出エリアということができる。以下同じ。)との間を接続する第4配管27は、洗浄槽12の洗浄剤46の余剰液を蒸気発生槽52に送るための配管である。なお、図1に示す実施の形態において、第4配管27は体洗浄エリア16からオーバーフロー槽38に流入した洗浄剤46の余剰液を蒸気発生槽52に送るように設けられている。
【0094】
蒸気発生槽52と洗浄槽12とを連結する第1配管54は、図1及び図11に示すように、蒸気洗浄エリア18側の取付位置22よりも蒸気発生槽52側の取付位置56の方が低くなるように設けられている。第1配管54の両端の取付位置は上記高低の関係であればよく、配管形態は特に限定されないが、図1に示すように、蒸気発生槽52と洗浄槽12に所との間で所定の傾きとなるように直線的に配管されたものであることが好ましい。こうした第1配管54は、蒸気発生槽52で発生した蒸気48を、蒸気洗浄エリア18に容易に送ると共に、第1配管54内で凝縮して液化してしまった洗浄剤が洗浄槽12に入るのを防いで、その全てを蒸気発生槽52に戻す。このことは、通常所定の温度に設定される液体洗浄エリア16の洗浄剤46に、第1配管54内で液化した高温の洗浄剤が混ざるのを防ぐので、液体洗浄エリア16でのワーク44の洗浄を安定した状態で行うことができる。
【0095】
第1配管54は、蒸気発生槽52から洗浄槽12に正面視で直線状に傾いていることが好ましいが、蒸気洗浄エリア18側の取付位置22よりも蒸気発生槽14側の取付位置56の方が低くなっていれば、正面視で階段状又は段差状になっていてもよいし、洗浄槽12の外壁面に沿わせるように折り曲げながら配管されたものであってもよい。従って、第1配管54は、平面視では折り曲げながら且つ正面視では直線状又は階段状となるように配管したものであってもよい。第1配管54の両端の取付位置22,56の高低差は特に限定されないが、上記効果を奏する範囲内での高低差を有していればよい。
【0096】
第1配管54は、洗浄槽12に送り込む蒸気48の種類と量に応じて、本数、内径、材質等が選択される。例えば大量の蒸気を送り込む必要がある大型の洗浄槽12を用いる場合には、内径の大きな第1配管54を多数本設ける必要がある。
【0097】
通常、洗浄剤46として有機系溶剤が用いられるので、第1配管54の材質としては、洗浄剤に対して安定であるものが選択され、例えば金属系や樹脂系の材料を用いることが好ましい。このうち、樹脂材料からなる第1配管54が好ましく用いられる。樹脂材料からなる第1配管54は、スチール等の金属系に比べて熱伝導率が低いので、第1配管54の両側に配置される両槽(洗浄槽12と蒸気発生槽52)の温度が乱されることがない。その結果、例えば蒸気発生槽の高い温度が洗浄槽に伝わることによる処理温度の変動を防ぐことができると共に、洗浄槽の温度が蒸気発生槽に伝わることによる蒸気発生効率の低下等を防ぐことができる。第1配管54は、その全てが樹脂材料からなるものであってもよいし、その一部を樹脂材料からなる配管とし他の部分を金属製の配管としたものであってもよい。金属製の配管を一部に用いた場合には、低い外気温で配管内の蒸気が結露しないように断熱材で覆っておくことが望ましい。断熱材としては、例えばゴム系スポンジ等が挙げられる。
【0098】
一方、スチール等の金属系の材料からなる第1配管54を用いた場合には、配管周りを断熱材等で覆って外気温の影響を防ぐことが望ましく、その配管経路の一部に、熱伝導性の低い樹脂製の配管を設けることがより望ましい。こうすることにより、上記同様、処理温度の変動を防いだり、蒸気発生効率の低下を防いだり、配管内の蒸気の結露を防ぐことができる。
【0099】
蒸気発生槽52とオーバーフロー槽38との間を接続する第4配管27は、洗浄槽12の液体洗浄エリア16からオーバーフロー槽38に流入した洗浄剤46の余剰液を蒸気発生槽52に送るための配管である。この第4配管27は、図1に示すようなU字形状からなる水封構造であることが好ましい。この第4配管27は、オーバーフロー槽38側の配管口が蒸気発生槽52側の配管口よりも高い位置に設けられているため、蒸気発生槽52側からオーバーフロー槽38側に加熱された洗浄剤が逆流することがなく、また、水封構造となっているため、蒸気発生槽52で生じた蒸気48がオーバーフロー槽38側に入り込むことがない。
【0100】
水分離槽28は、図1に示すように、洗浄槽12から分離して配置されると共に回収手段24で回収される洗浄剤46から水を分離するための処理槽である。この水分離槽28と回収手段24との間を接続する第2配管26は、回収手段24で回収された洗浄剤46を水分離槽28に送るための配管であり、この水分離槽28と洗浄槽12との間を接続する第3配管58は、水分離槽28で水分が除去された洗浄剤46を水分離槽28から洗浄槽12に送るための配管である。
【0101】
水分離槽28には、図1に示すように、回収手段24で回収された洗浄剤46から水を分離する分離手段が設けられている。分離手段は特に限定されないが、例えば洗浄剤として水よりも比重の大きい有機溶剤を用いた場合には、水分離槽28の中央を仕切る仕切板29を挙げることができる。この仕切板29は、シミの原因となる水と洗浄剤46とを分離するよう作用する。水分離槽28で水が分離された洗浄剤46は、第3配管58によって洗浄槽12に送られるが、上記の回収手段24と水分離層28とを設けることにより、水を含んだ状態の洗浄剤が洗浄槽12内に送られるのを防ぐことができる。
【0102】
第3配管58は、図1においては、本槽37の底面の流入口59に接続されているが、その接続位置は本槽の底面に限定されず、本槽の何れかの側面であってもよい。また、本槽37から水分離槽28に洗浄剤46が逆流しないように、本槽37の液面よりも水分離槽28の液面の方が高くなっていることが望ましい。なお、この第3配管58から本槽37に流入する洗浄剤46は、そのもとは、回収手段24で回収された洗浄剤46であるので、塵埃はほとんど含まれておらず、その量は少ない。
【0103】
また、図1においては、第3配管は、水分離槽28と本槽37とを接続する配管としているが、それに代えて、水分離槽28とオーバーフロー槽38とを接続するする配管としてもよい。この場合、オーバーフロー槽38に流入した洗浄剤46は、第4配管を経由して蒸気発生槽52へ流入するかまたは、第1循環経路71を経由して、本槽37へ循環することとなる。即ち、第1循環経路と第2循環経路とのうちいずれかの循環経路により循環する洗浄剤46の流れは、図1における場合と同様である。
【0104】
なお、洗浄槽12内の底部には、排出口68とその排出口68に接続する排出管69とを設けることができる。本槽37の底部には、ワーク44に付着したゴミ等のうち重いゴミ等が溜まるが、排出口68からそうしたゴミ等を排出することができる。また、その排出口68は、本槽37の洗浄剤を交換する際に用いられる。
【0105】
最後に、洗浄槽12内の汚れを蒸気発生槽52内に濃縮することができる理由を図11を用いて説明する。図11に示すように、ワーク44は本槽37内で洗浄されるので、本槽37内にはワーク44に付着した塵埃等や油分等の汚れが残るが、そうした汚れのうち重い塵埃等は本槽37の下部に溜まり、軽い塵埃や油分等はオーバーフロー槽38内に流れ込む。オーバーフロー槽38に流れ込んだ塵埃や油分等の一部は第4配管27から蒸気発生槽52内に入るが、蒸気発生槽52内からは蒸気48のみが第1配管54から洗浄槽12内に戻るので、蒸気発生槽52内に入った塵埃や油分等は蒸気発生槽52内で徐々に濃縮されていくことになる。その結果、本槽37内の汚れを蒸気発生槽52内に集め、しかも濃縮することができる。そして、蒸気発生槽52内で濃縮された溶剤を新しい溶剤に交換すれば、塵埃や油分等を洗浄装置10内から容易に除去することができる。なお、この蒸気発生槽の大きさは、例えば2000mLビーカー一杯程度の容量とすることもできるので、新しい溶剤への交換は容易である。
【0106】
また、図1及び図11においては、第4配管27は、オーバーフロー槽38と蒸気発生槽52とを接続する配管として表されているが、それに代えて、本槽37と蒸気発生槽52とを接続する配管としてもよい。この場合であっても、本槽37内に溜まった塵埃や油分等を蒸気発生槽52内に送ることができるので、蒸気発生槽52内の塵埃や油分等を蒸気発生槽52内に濃縮することができる。なお、第3配管を水分離槽28とオーバーフロー槽38とを接続するする配管とした場合も、洗浄剤46の循環に変わりないので、その効果は同様である。
【0107】
また、図11に示すように、洗浄剤46を供給する場合には、配管98を経由して、洗浄剤46の供給容器99からオーバーフロー槽38内に供給することができる。なお、図11においては、オーバーフロー槽38の底部に供給しているが、これに限られず、本槽37や水分離槽28に供給しても良い。
【0108】
以上説明した本発明の洗浄装置10によれば、液面に導かれた洗浄剤の液流がオーバーフローする際に、液面に浮遊する軽いゴミやパーティクル等の塵埃を、オーバーフローする液流によって除去することができるので、洗浄槽内で溶剤洗浄した後のワークを引き上げる際に、塵埃がワークに再付着することがなく、清浄な洗浄を行うことができる。また、塵埃や油分等の汚れは蒸気発生槽に濃縮されるので、蒸気発生槽内で濃縮された溶剤を新しい溶剤に交換すれば、塵埃や油分等を洗浄装置内から容易に除去することができる。こうした洗浄装置10は、電子部品、精密部品、金属部品、プリント配線基板、ガラス基板その他の各種被洗浄物(ワーク)を極めて効率よく清浄に洗浄処理することができる。
【図面の簡単な説明】
【0109】
【図1】本発明の洗浄装置の一例を示す概略正面図である。
【図2】図1に示す洗浄装置の概略平面図である。
【図3】液体洗浄エリアである本槽に液面流動手段が設けられた形態の一例を示す平面図(A)とA−A断面図(B)である。
【図4】液流ガイドの一例を示す斜視図である。
【図5】液体洗浄エリアである本槽に液面流動手段が設けられた形態の他の一例を示す平面図(A)とB−B断面図(B)である。
【図6】液体洗浄エリアである本槽に液面流動手段が設けられた形態のさらに他の一例を示す平面概略図(A)と正面透視図(B)である。
【図7】仕切り板の一例を示す斜視図である。
【図8】仕切り板の他の一例を示す斜視図である。
【図9】図8に示す仕切り板を適用した場合の液流の態様を示す説明図である。
【図10】図8に示す仕切り板を適用した場合の液流の他の態様を示す説明図である。
【図11】本発明の洗浄装置の循環経路の説明図であり、実線は常時循環経路であり、破線は洗浄剤補給時の循環ラインである。
【図12】特許文献1で提案された従来の洗浄装置を示す概略図である。
【符号の説明】
【0110】
10 洗浄装置
12 洗浄槽
14 ワークの出入口
14a カバー
16 液体洗浄エリア
18 蒸気洗浄エリア
20 蒸気冷却エリア
22 蒸気洗浄エリア側の取付位置
24 回収手段
26 第2配管
27 第4配管
28 水分離槽
29 分離手段(仕切板)
30 ヒータ
31 壁面
32 冷却用ヒートシンク
34 ヒートパイプ
35,36 断熱部材
37 本槽
38 オーバーフロー槽
39A,39B,39C 液面計
40 冷却ユニット
41 循環ポンプ
42 フィルター
44 ワーク
46 洗浄剤
48 蒸気
50 受皿
52 蒸気発生槽
53 ヒータ
54 第1配管
56 蒸気発生槽側の取付位置
58 第3配管
60 超音波振動子
62,64 サーモモジュール
68 排出口
69 排出管
71 第1循環経路
72 流入部材
72A,72B 流入口
73 液面
74 液流
75 排出口
81 液流ガイド板(液流ガイド)
82 開口部
83 傾斜部
84 保持部材
86 シャワー部材(流入部材)
87 調整部材(液流ガイド)
87A 関節部
87B アーム部材
89,94 保持部材
91 仕切り板
92 オーバーフロー口
92A 切り欠き部
93 シール部材
98 透孔
138 液流出エリア
174 中間深度位置での液流
181 液流形成板
182 曲面
183 水平面
184 保持部材
185 抑え板
186 平面部
187 垂直部
188 取付用長穴
191 仕切り板
274 底部深度位置での液流
【出願人】 【識別番号】000002233
【氏名又は名称】日本電産サンキョー株式会社
【出願日】 平成19年3月14日(2007.3.14)
【代理人】 【識別番号】100117226
【弁理士】
【氏名又は名称】吉村 俊一


【公開番号】 特開2008−43938(P2008−43938A)
【公開日】 平成20年2月28日(2008.2.28)
【出願番号】 特願2007−64473(P2007−64473)