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【発明の名称】 エキシマランプ装置
【発明者】 【氏名】菱沼 宣是

【氏名】遠藤 真一

【要約】 【課題】基板の大型化に好適に対応できると共にランニングコストを低減でき、基板表面の処理を確実に行うことができる、エキシマランプ装置を提供すること。

【構成】本発明に係るエキシマランプ装置は、エキシマランプが収納されたランプハウスと、ランプハウス内に配置されてエキシマランプに対して平行かつ交互に位置されたガス噴出口が設けられてなるガス供給用配管と、ガス供給用配管に水蒸気を含む不活性気体を導入するガス供給手段とを具備し、前記ガス供給手段により絶対湿度が所定に制御された不活性気体が前記ガス供給用配管に供給されることを特徴とする。また前記絶対湿度は重量絶対湿度に換算して0.5〜6.5g/kgであるのがよい。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
エキシマランプと、
エキシマランプを収納し、当該エキシマランプから放射される紫外光を取り出す光照射口を有するランプハウスと、
ランプハウス内に配置され、エキシマランプに対して平行かつ交互に位置された、ガス噴出口が設けられてなるガス供給用配管と、
ガス供給用配管に水蒸気を含む不活性気体を導入するガス供給手段とを具備し、
前記ガス供給手段により絶対湿度が所定に制御された不活性気体が、前記ガス供給用配管に供給されることを特徴とするエキシマランプ装置。
【請求項2】
前記絶対湿度は、重量絶対湿度に換算して0.5〜6.5g/kgの範囲であることを特徴とする請求項1記載のエキシマランプ装置。
【請求項3】
前記水蒸気を含む不活性気体が、エキシマランプとガス供給用配管の間を流過してランプハウスの開口から流出することを特徴とする請求項1又は2に記載のエキシマランプ装置。
【請求項4】
前記エキシマランプの周囲に、エキシマランプから放射された紫外光のうち光照射口の方向とは異なる方向に放射された光を遮光する遮光手段が具備されていることを特徴とする請求項1又は2に記載のエキシマランプ装置。
【請求項5】
前記エキシマランプは、少なくとも一部が紫外光を透過させる誘電体材料から構成され、内部に放電ガスが封入された放電容器と、この放電容器の外面に配置された第一の電極と、該第一の電極と少なくとも1枚の誘電体を介し、放電容器の内部もしくは外部に配置された第二の電極とを具えて構成されてなり、
放電空間の外部に配置された電極の表面に耐酸化性の保護膜が形成されていることを特徴とする請求項1又は2に記載のエキシマランプ装置。
【請求項6】
前記エキシマランプは、少なくとも一部が紫外光を透過させる誘電体材料から構成され、内部に放電ガスが封入された放電容器と、この放電容器の外面に配置された第一の電極と、該第一の電極と少なくとも1枚の誘電体を介し、放電容器の内部もしくは外部に配置された第二の電極とを具えて構成されてなり、
該エキシマランプは紫外光に対して透過性を有する保護管を具備し、保護管の内部にエキシマランプが収納されていることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載のエキシマランプ装置。
【発明の詳細な説明】【技術分野】
【0001】
本発明は、液晶パネル基板、半導体ウエハ、磁気ディスク基板、光ディスク基板等のように、ガラス,半導体,樹脂,セラミックス,金属等や、それらの複合された基板表面に紫外光を照射して、洗浄,エッチング等を行う基板処理に使用されるエキシマランプ装置に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1などで知られるエキシマランプを搭載したエキシマランプ装置は、エキシマランプから放射される200nm以下100nm以上の範囲の紫外光を、酸素が微量存在する雰囲気下において被処理物の表面に照射し、発生した活性酸素と透過した紫外光の相乗効果によって被処理物の表面の有機物等を分解飛散させて洗浄を行うものである。
すなわち、エキシマランプから例えば波長172nmの紫外光を基板表面に照射して、有機物を構成する化学結合を分解することにより低分子化させると共に、有機汚染物を活性化させる。同時に、基板表面に浮遊する酸素に紫外光を照射し、生成された活性酸素によって、有機汚染物を活性酸素との酸化反応によって揮発物質に変換し、空気中に放出して除去する。
【0003】
このようなエキシマランプを用いたドライ洗浄は、酸素を分解する際に紫外光が消費されるために、エキシマランプと基板との間に存在する酸素の量によって基板表面に到達する紫外光が変化するため、有機汚染物の酸化に必要とされる量以上に高濃度の酸素分子が存在する場合、紫外光が無駄に消費されて基板表面に到達できないことになる。このため、従来からエキシマランプ装置においては改良が重ねられ、紫外光を有効利用する技術について開発されている。
【0004】
例えば、(1)複数の棒状のエキシマランプをほぼ密閉状態とされた矩形箱状の筐体内部に配置して、かかる筐体内部を紫外光透過性の雰囲気、すなわち窒素ガスなどの不活性ガスを充填した雰囲気に変換して、筐体の一面に設けられた紫外光透過窓部材を介して紫外光を放射するエキシマランプ装置が知られている。
更に、(2)紫外光透過窓部材を通過した紫外光が無駄に消費されないようにするため、窓部材と基板との間に窒素ガスなどの不活性ガスを流して酸素分圧を低くすることにより、紫外光透過性を高めるものも知られている。
また、近時では、被処理物である液晶パネル基板が大面積化しており、これに対応する紫外光透過窓部材の製造が困難となってきている。このため窓部材を用いず、エキシマランプからの紫外光を直接基板に照射するエキシマランプ装置も開発されている。このようなものにおいては、(3)エキシマランプと基板との間に流す不活性ガス及び酸素を所期に制御することで、エキシマランプからの紫外光の減衰を抑え、効率よく基板に紫外光を照射することができる。
【0005】
ところで近時においては、基板表面の洗浄の際の反応性ガスとして酸素に替えて水蒸気を用いる技術が特許文献1(特開2001−137800号公報)、特許文献2(特開2001−162240号公報)等において提案されている。かかる技術は、紫外光透過性を維持するために供給される窒素ガスに湿度を与えて加湿化窒素とし、水が紫外光を吸収・分解して発生するOHラジカルやHラジカルを基板の洗浄処理に利用するものである。
【0006】
図11は特許文献1に記載の技術に係る基板処理装置をランプの管軸に対して垂直な面で切断したエキシマランプ装置の説明用断面図である。
このエキシマランプ装置は、紙面下方が開口したランプハウス72内部に棒状のエキシマランプ7が例えば3本具備されており、ランプハウス72の下部及び基板70を搬送するためのローラコンベア71を含むようにチャンバ76が設けられている。
ランプハウス72の内部には不活性ガスとしての窒素ガスがガス供給用配管73から供給されて内部が酸素を含まない雰囲気下に置かれ、これによりエキシマランプ7からの紫外光が減衰することが抑制されるようになっている。
また、チャンバ76の下方には加湿化不活性ガスの供給管75が接続されており、ここから水蒸気と窒素ガスとの混合流体が供給されるようになる。また、チャンバ76の上方には排気管78が設けられており、強制排気されることによりチャンバ76の入り口の流速を速め、オゾンの漏洩を防止する。
【0007】
基板70の表面にはエキシマランプ7からの紫外光が照射されて清浄化されると共に、基板70表面に存在する水蒸気にも紫外光が照射されて酸化性のOHラジカルと還元性のHラジカルが生成される。かかるOHラジカルとHラジカルの作用により基板70表面に付着した有機物質よりなる汚染物質を揮発物質に変換、分解して、排気管から外部に放出し、基板のドライ洗浄が行われる。
【特許文献1】特開2001−137800号公報
【特許文献2】特開2001−162240号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかしながら、特許文献1記載の装置においては、ランプハウス72内を不活性ガスで充填する必要がある。上記構成に係る装置においては、光照射用にランプハウス72が開口しているために多量の不活性ガスを供給する必要があり、ランニングコストが高額になるという問題がある。これに鑑み、ランプハウス72の開口を紫外光透過性の石英ガラス製の窓などで覆う場合には、近時における液晶パネル基板の大面積化に追随することが困難であると共に、窓部材が極めて高価であるため、装置もまた高価なものになってしまう。
また、基板70が搬送されるチャンバ76においては内部を高湿度雰囲気に保つ必要があり、構造が複雑になることは避けられない。しかも、加湿化不活性ガスの供給管75からの供給ガス量と排気管78による排気によってチャンバ76内の雰囲気を管理、制御するものであるため、基板70表面の雰囲気を一定に維持することが極めて困難で、洗浄処理が安定しないという問題がある。
【0009】
特許文献2には、上記技術と同様、加湿化不活性ガスを基板表面に供給すると共に、エキシマランプからの紫外光を照射することにより、基板表面の有機物質からなる汚染物質を分解して、揮発物質に変換し、除去するドライ洗浄方法について記載されている。この方法においてはチャンバ内に基板を搬入し、加湿反応ガスを注入して所定の雰囲気とした後、エキシマランプからの紫外光を基板表面に照射してドライ洗浄する。しかる後、放出された揮発物質を排気して、基板を搬出する。
【0010】
しかしながらこのような方法による場合、基板を搬出する前に揮発ガスを一旦除去することから、処理チャンバの気密性を高める必要があり、装置構造が複雑、高価になるといった問題がある。
また、処理チャンバ内に加湿化ガス供給用配管と湿度検出器が設けられることにより、雰囲気の相対湿度を制御するものであるが、雰囲気湿度むらができるために加湿器の制御が難しく、安定した処理雰囲気を作り出すことが難しい。
しかも、この技術においては相対湿度を制御しているため、同じ%でも温度によって含まれる含有水分の絶対量が変化する。含有水分量が多くなれば、紫外光の吸収量が増えて励起活性種は増えるが、紫外光がワークに届かないために洗浄効果が得られなくなる。含有水分量が少なくなれば紫外光照射量は増えるが励起活性種は少ないため、洗浄効果が得られなくなる。
【0011】
すなわち、従来公知とされる技術においては、基板処理空間の水分の絶対量が変化するものであり、基板の安定した処理が行えないという問題がある。
このような実情に加え、ランプの高出力化に伴いランプ温度も高くなる傾向があり、ランプの温度変化による基板近傍雰囲気の温度は数十度の影響を受けることがある。そうした場合、相対湿度の制御では安定した基板処理を行うことが更に難しい。
【0012】
そこで本発明が解決しようとする課題は、基板の大型化に好適に対応できると共にランニングコストを低減でき、基板表面の処理を確実に行うことができる、エキシマランプ装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0013】
上記課題を解決するため、本発明に係るエキシマランプ装置は、エキシマランプと、
エキシマランプを収納し、当該エキシマランプから放射される紫外光を取り出す光照射口を有するランプハウスと、
ランプハウス内に配置され、エキシマランプに対して平行かつ交互に位置された、ガス噴出口が設けられてなるガス供給用配管と、
ガス供給用配管に水蒸気を含む不活性気体を導入するガス供給手段とを具備し、
前記ガス供給手段により絶対湿度が所定に制御された不活性気体が、前記ガス供給用配管に供給されることを特徴とする。
また、前記絶対湿度は、重量絶対湿度に換算して0.5〜6.5g/kgであるのがよい。
【0014】
また、前記水蒸気を含む不活性気体が、エキシマランプとガス供給用配管の間を流過してランプハウスの開口から流出する構成を備えているのがよい。
【0015】
また、前記エキシマランプの周囲に、エキシマランプから放射された紫外光のうち光照射口の方向とは異なる方向に放射された光を遮光する遮光手段が具備されているのがよい。
【0016】
また、前記エキシマランプは、少なくとも一部が紫外光を透過させる誘電体材料から構成され、内部に放電ガスが封入された放電容器と、この放電容器の外面に配置された第一の電極と、該第一の電極と少なくとも1枚の誘電体を介し、放電容器の内部もしくは外部に配置された第二の電極とを具えて構成されてなり、
放電空間の外部に配置された電極の表面に耐酸化性の保護膜が形成されているかもしくは、
紫外光に対して透過性を有する保護管を具備し、保護管の内部にエキシマランプが収納されているのがよい。
【発明の効果】
【0017】
(1)被処理物である基板表面に水蒸気を含む不活性気体を均一に供給することができ、しかも水蒸気量が制御されているため、エキシマランプと基板との間に形成された空間に温度変化が生じた場合にも、HラジカルとOHラジカルの生成量を一定に維持できると共に、紫外光の過剰な減衰を抑制することができ、安定した洗浄効果を実現することができる。
(2)不活性気体中の水蒸気量を重量絶対湿度0.5〜6.5g/kgにすることで、水蒸気をラジカル源に用いたことによる洗浄効果を確実に得ることができる。
(3)水蒸気を含む不活性気体をエキシマランプとガス供給用配管の間を流過させてランプハウスの開口から流出させることで、基板表面に供給される水蒸気量を均一に制御することができる。
(4)エキシマランプの周囲に、エキシマランプから放射された紫外光のうち光照射口の方向とは異なる方向に放射された光を遮光する遮光手段を具備することにより、基板とエキシマランプとで形成される空間以外の部分においてHラジカルやOHラジカルが生成、消費されずにすみ、効率よくこれらのラジカルを基板に作用させることができ、高い洗浄効果を得ることができる。
(5)エキシマランプの電極の表面に耐酸化性の保護膜が形成されているかもしくは、エキシマランプが保護管の内部に収納されていることにより、電極酸化を回避でき、安定した点灯状態を維持することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0018】
以下、本発明について図面を参照して詳細に説明する。
図1はエキシマランプを備えた被処理物のドライ洗浄処理を行うエキシマランプ装置であり、同図はエキシマランプの管軸に垂直な断面において示す説明用部分断面図である。
このエキシマランプ装置10は、ベース部材12が必要に応じて配置され、その内周に光照射口12Aが形成されると共に、全体が直方体の箱状の外装カバー13が配置されて、ランプハウス11が構成される。このランプハウス11の内部に、光照射口12Aに対して平行な面上に、紫外光光源である複数のエキシマランプ20が互いに平行に延びるよう配設されている。本実施形態においてはエキシマランプは4本具備されている。
エキシマランプ装置10は、工場内におけるローラコンベア等の基板搬送用機構16の上部に光照射口12Aを位置するように設置され、光照射口12Aの下方に形成された空間Sに液晶パネル基板などの被処理物である基板Wが搬送されるようになる。
【0019】
図2は図1中のエキシマランプを説明する(a)管軸方向断面図、(b)管軸に垂直な方向で切断した断面図である。
エキシマランプ20の放電容器21は紫外光を透過する石英ガラスより構成されている。放電容器21の内部にはエキシマ生成ガスであり放電ガスであるキセノンガスが60kPaの封入圧にて封入されている。
【0020】
放電容器21の内部には金属製のコイルよりなる一方の電極22が当該放電容器21の軸に沿って配置されており、放電容器21の両端に形成されたピンチシール部21A,21Bに埋設された金属箔24A,24Bに接続されて保持されている。
【0021】
放電容器21の外表面上には、金属板よりなり断面半円形に成形された樋状の他方の電極23が、当該放電容器21の上部位置に密着して配置されている。本実施形態においては、他方の電極23は紫外光に対して反射性を有する材質、好ましくはアルミニウムよりなり、放電容器21の上方より出射した紫外光をエキシマランプ装置(10)における光照射口(12A)に向けて反射する反射ミラーを兼ねている。なお、このような他方の電極23においてはその上に放電容器21全周に亘って網状電極をかぶせることも可能である。その場合は放電領域が広がり、一層の光出力が期待できる。
【0022】
またこの他方の電極23は、エキシマランプ20から光投射口(12A)以外の方向に放射された紫外光を遮光する遮光手段としての機能も有している。
このような遮光手段を具備することにより、図1において、基板Wとエキシマランプ20の間に形成される空間S以外の部分に放射される紫外光が遮光され、基板Wの汚染物質に対して作用すべきHラジカル及びOHラジカルが、空間Sの前途で生成、消費されることが回避されるようになり、基板Wの洗浄効果を上げることができる。このような遮光手段は、エキシマランプ20を構成する部材に遮光機能を具備させるほか、ランプとは別の構成を用いて付加的に設けることもできる。
【0023】
再び図2を参照してランプ構成を説明する。同図において符号25は誘電体からなる管材であり、一方の電極22の全長を覆うことにより、一方と他方の電極22,23の間に生起される放電をランプの長さ方向の全体に亘って安定化させることができる。また放電容器21の両端部近傍には放電空間内部に中空円板状の支持部材26A,26Bが配置されており、その中心に管材25が貫通されて支持されている。
【0024】
図1において、エキシマランプ20の上方には、当該エキシマランプ20と所定距離隔てて、冷却用の流体が流通する配管14Aが内部に設けられた冷却用ブロック14が配置されている。冷却用ブロック14の上方には、図示省略したエキシマランプ20点灯用の電源装置が組み込まれており、点灯中、電源装置から発生した熱及びエキシマランプ20から発生した熱をかかる冷却用ブロック14が吸収し、両空間の断熱を図ると共に、エキシマランプ装置10の過熱を抑制する。
【0025】
冷却用ブロック14の下方にはガス供給用配管15が配置される。ガス供給用配管15は、アルミニウム、ステンレス等よりなり、例えば冷却用ブロック14の底面に図示省略のホルダーが具備されることにより固定され、中空に保持されている。本実施形態においてガス供給用配管15は全部で5つ具備されており、エキシマランプ20の軸に対して管の軸が平行にかつ基板Wの搬送方向(矢印)からみてランプと配管とが交互になるよう並べられている。なお、このガス供給用配管15とエキシマランプ20とは1本おきに交互に配置する構成に限定されず、複数本おきに交互に配置することも可能である。
【0026】
図3はガス供給用配管(15)とエキシマランプ(20)の一部を取り出して示す、説明用の斜視図である。同図に示すようにガス供給用配管の側面にはエキシマランプの上方の空間に向けて開口が設けられており、ガス噴出口15aが構成されている。ガス噴出口15aはガス供給用配管15の長さ方向にエキシマランプ20の全長に亘って多数設けられており、ガス供給用配管15に含有水蒸気量が制御された不活性気体が供給されると、ガス噴出口15aから加湿化した不活性気体が噴出され、各エキシマランプ20の上部空間に加湿化不活性気体がくまなく供給されるようになる。なお本実施形態では多数の孔によりガス噴出口15aを構成したがこれに限定されることなく、スリット状、ノズル状など適宜である。
【0027】
ガス噴出口15aから放出された加湿化不活性気体は、図1で示すようにエキシマランプ20の上部空間に滞留したのち、エキシマランプ20の管壁に沿って、ガス供給用配管15とエキシマランプ20との間隙を通過してランプハウス11の光照射口12Aに向かって噴出される。このように、ガス噴出口15aから供給されるガスを一度滞留させてから、空間Sに向けて放出するので、加湿化不活性気体の流速が遅くなると共にランプの軸方向に均一になり、HOの濃度が均一になる。
なお、エキシマランプ20の上部空間においては、他方の電極23が配置されているために紫外光が遮光されており、紫外光が照射されることがない。従ってHOがエキシマランプ20と基板Wとの間に形成された空間Sに放出される以前にHOが励起されることがなく、無駄にHラジカルやOHラジカルが生成、消費されることがなく、電極23の酸化を確実に防止できる。
【0028】
続いて、図4,5を参照して本発明に係るガス供給手段の一例について詳細に説明する。なお、先に図1〜3において説明した構成については同符号で示し、詳細説明については省略する。
図4は図1のエキシマランプ装置においてガス供給手段に係る構成を簡略して図示する説明用図、図5は加湿装置の構成の一例を示す説明用図である。なお、ここでは不活性気体として窒素ガス(N)を用いた例を示すが、その他の不活性気体を用いることも無論可能である。
【0029】
図4において、窒素ガス供給源40はガスボンベ等からなり、この窒素ガス供給源40より乾燥した窒素ガスが加湿装置50に供給される。一方、加湿用の水源41は供給水タンク等などからなり、脱イオン水(DIW)が、前記と同様、加湿装置50に供給される。そしてこれらを元に、加湿装置50において絶対湿度が所定に調整された加湿化窒素ガスが生成され、結露が予防された配管51及び分岐配管52を通じて、エキシマランプ装置10における各ガス供給用配管15に供給されるようになる。
【0030】
図5を用いて加湿装置の一例を詳細に説明する。図5において、水源41はバルブ53及び逆止めバルブ54を介して加湿タンク55に接続されており、同図に示すように加湿タンク55には供給水(脱イオン水(DIW))が導入されている。液面制御器56は加湿タンク55脇に設けられたレベルスイッチ57によって加湿タンク55中の脱イオン水の水位を監視し、レベルスイッチ57の下限を越えて水面が下になったことを検出すると、液面制御器56とバルブ53の間に接続された配線を介して、当該液面制御器56からバルブ53に対して加湿タンク55に給水を促す指示を送信する。
この加湿タンク55の内部に窒素ガスが供給されて、窒素ガスが加湿化処理される。以下、これについて詳説する。
【0031】
窒素ガス供給源40より、流量計58及びニードルバルブ59を介して配管60から加湿タンク55に乾燥窒素ガスが供給される。また、分岐された配管61の先はニードルバルブ62を介して加湿タンク55内に連通する配管63と合流しており、湿度制御装置64に接続されている。
湿度制御装置64は、不活性ガス中に含まれる水の量を検出して絶対湿度(一般に「混合比」ともいう(単位:g/kg))を検出する湿度センサ641と、この湿度センサ641からのアナログ出力電圧値をデジタル出力電圧値に変換するA/D変換部642と、記憶部643と、A/D変換部642からの情報及び記憶部643に記憶されているデータ等を用いて演算する演算部644と、演算部644からの結果を元にニードルバルブ62開閉状態を制御する信号を送信する制御部645とを備える。
そして、供給された窒素ガス中の絶対湿度を監視し、加湿化窒素ガス中の絶対湿度が所定の範囲より低い場合、ニードルバルブ62の閉鎖を促して加湿化した窒素ガス量を増大させる。絶対湿度が所定の範囲を超えて高い場合は、ニードルバルブ62を開いて乾燥窒素ガス量を増大させ、絶対湿度を低下させる。
なお、同図において示すように、加湿タンク55には容器内部の圧力を監視する圧力計66及び、安全バルブ67が設けられている。また、符号68は加湿タンク55内の水を排出するためのドレンバルブである。
【0032】
このようにして、加湿装置50を出たガスが、配管(51)及び分岐管(52)を通過してエキシマランプ装置(10)におけるガス供給用配管(15)に供給される。
【0033】
続いて、図6を参照して上記とは異なる構成の加湿装置について説明する。なお、先に図4、図5により説明した構成と同じ構成については同符号で示して詳細説明を省略する。
加湿タンク55には供給水(脱イオン水(DIW))が導入されており、本例においてはボールタップ70によって水量が監視されている。ボールタップ70の位置が所定より下降すると水源41から配管69を介して供給水が自動で供給される。
窒素ガス供給源40からのガス供給経路及び加湿タンク55からの加湿不活性ガスの経路については、上記例と同じである。すなわち、供給水が導入された加湿タンク55において加湿化された窒素ガスは配管63を介して湿度制御装置64に送られて湿度センサ641において絶対湿度が測定され、絶対湿度が所定未満の場合はニードルバルブ62を閉鎖して湿度を上げ、一方、絶対湿度が所定より高い場合はニードルバルブ62を開いて乾燥窒素ガスの割合を増して湿度を下げ、絶対湿度の調整が行われる。このようにして調整された水蒸気を含んだ窒素ガスは、配管51を流れてエキシマランプ装置(10)におけるガス供給用配管(15)に供給されるようになる。
【0034】
以上のように、乾燥不活性ガスの供給源、水源、加湿装置及び配管を具備して構成されてなるガス供給手段によって、水蒸気量が所定に制御された不活性気体がガス供給用配管に供給される。
【0035】
上述の加湿装置を備えることにより、ガス供給装置からは絶対湿度、すなわち含まれる水蒸気量が所定に制御された不活性ガスが供給される。従って、ランプハウス内の温度が変化した場合でも基板表面近傍に浮遊する水分子量が増減することなく、安定したドライ洗浄処理を実現することができる。基板表面近傍に浮遊するHO分子の数が過多であると紫外光の減衰が大きくなって基板表面に照射する紫外光が不足し、汚染物質の活性化が十分に行われない。一方、HO分子の数が過少であると基板への紫外光照射が確実に行われるものの、Hラジカル及びOHラジカルが不足し、活性化した汚染物質の分解が困難になる。
【0036】
基板のドライ洗浄において必要とされる水蒸気量は、重量絶対湿度が0.5〜6.5g/kgであり、より好ましくは1.0〜6.0g/kg、更に望ましくは1.5〜4.5g/kgである。重量絶対湿度を0.5〜6.5g/kgの範囲にすることで、ラジカル源として酸素を用いた(水を用いない)基板洗浄と比較しても大きな洗浄効果を上げられるようになる。更に、重量絶対湿度を1.0〜6.0g/kgの範囲にすると、純水の接触角を更に5°以上小さくすることが可能になり、確実に洗浄効果を得ることができる。そして更に、重量絶対湿度を1.5〜4.5g/kgとすると、基板の純水の接触角を洗浄に要求される10°近傍にまで小さくすることが可能で、大きな洗浄効果が得られるようになる。一方、重量絶対湿度が7.0g/kg以上になると、ラジカル源として酸素にのみを用いた(水を用いない)基板洗浄よりも洗浄効果が低下する。
【0037】
ここで、以上の構成に係るエキシマランプ装置の処理を、図1を参照しながら説明する。図1において、光照射口12Aの下方に形成された空間Sに液晶パネル基板などからなる被処用の基板Wが搬送されると、ガス噴出口15aから放出された加湿化不活性気体がエキシマランプ20上部空間を経由して、エキシマランプ20の管壁とガス供給用配管15の間を通過して基板W表面に流出する。これと同時に、エキシマランプ20からの紫外光(UV光)が基板W表面及び水蒸気に照射される。
而して、基板表面に付着した有機物質よりなる汚染物質に紫外光が照射されると、汚染物質が活性化すると共に、紫外光(UV光)を吸収した水蒸気(HO)が励起されてHラジカルとOHラジカルに分解されて活性種となり、これらが活性化された汚染物質に作用して揮発物質に変換する。空間Sにはエキシマランプ装置10から連続して加湿化不活性気体が流出しているため、生成した揮発物質は基板表面から飛散し、排気口(不図示)を通じてエキシマランプ装置10の外部に放出される。
【0038】
このようなエキシマランプ装置10によれば、加湿化不活性気体が光照射口12Aの下方に形成された空間S(ランプと基板の間の空間)に均一に供給されるため、基板(W)表面に浮遊するHラジカル及びOHラジカル量が一定化すると共に、照射される紫外光量も一定化し、基板(W)表面の処理を確実に行うことができる。
特に、不活性ガスの重量絶対湿度を0.5〜6.5g/kgの範囲にすることで、エキシマランプから放射された紫外光の減衰が抑えられて、基板に対しても適正量の紫外光が照射されると共に、HO分子から発生するHラジカル及びOHラジカル量もまた、基板洗浄に過不足のない量が生成され、高い洗浄効果を上げることができるようになる。
【0039】
また、上記装置において、不活性ガスについては光照射口12Aの下方の空間Sに供給されれば足りるため、大きな装置全体に充填する必要もなく、使用する不活性ガス量を節約できてランニングコストを低減できる。しかも、ランプハウス10の光照射口12Aを石英ガラスで気密に覆う必要もなく、自由にエキシマランプ装置10の大型化することができ、装置本体のコストも低減できる。
更には、本発明に係るエキシマランプ装置においては、基板処理装置中の搬送ラインの一画に設ければよく、省スペースかつ簡単に装置を構成することができ、汎用性の高い装置とすることができる。
【0040】
続いて、図7は、本発明の第2の実施形態を説明するエキシマランプ装置の説明用断面図である。なお、先に図1〜図6で説明した構成については同符号で示して詳細説明を省略する。
この実施形態が上記実施形態と相違する点はエキシマランプの形態であり、ここでは矩形箱状に成形された放電容器を具備したものを使用している。
【0041】
まず、図8を参照してエキシマランプ構成を説明する。図8(a)はこのエキシマランプを拡大して示す一部破断線で示した透過斜視図、(b)は(a)中のA−Aで切断した説明用断面図である。放電容器31の材質は上述と同様、紫外光を透過する石英ガラスよりなり、放電容器31の内部には、キセノンガスが封入されている。放電容器31外表面における光取出し側の一面(紙面において下方の面)にはメッシュ状に形成された一方の電極32が形成され、この面と対向する外表面に他方の電極33が形成されている。一方の電極32からは、メッシュの間隙から紫外光の透過が透過することにより、図7で示すように対向面に配置された基板に向かって紫外光が照射される。
【0042】
本実施形態において、一方と他方の電極32,33の表面には、耐酸化性の保護膜34が形成されている。なお保護膜としては、先にも述べたがSiO、Al、TiOまたはこれらの複合物等からなる膜が好適する。なお一方の電極32上に形成される保護膜34は紫外光に対して透過性を有するものが選択される。
【0043】
図7に示すように、ランプハウス11上部に配置されたガス供給用配管より、水蒸気量が所定に調整された不活性ガスが供給されると、エキシマランプ30とガス供給管15の間隙を通過して、基板W表面上に向かって流過する。これと同時に、エキシマランプ30からの紫外光が基板W表面に照射されて、付着していた有機物質よりなる汚染物質を活性化すると共に、紫外光(UV光)を吸収した水蒸気(HO)が励起されてHラジカルとOHラジカルに分解されて活性種となり、これらが活性化された汚染物質に作用して揮発物質に変換する。
【0044】
このように、本発明に係るエキシマランプ装置によれば、エキシマランプの形態を問わず確実に洗浄処理機能を発揮できる。
なお、とりわけ本実施形態のようにエキシマランプの光取り出し面が基板の被処理面に対してフラットな構成である場合はガスの流れが安定化し易く、ラジカル群の回収をより円滑に行えて好適である。
【0045】
以上、本発明の実施形態に係るエキシマランプ装置について詳細に説明したが、本願発明はこの実施形態に限定されず、適宜変更が可能であることはいうまでもない。
【0046】
例えば、エキシマランプとして、図2、図8に示したものを提示したがこれらの構成に限定されるものではない。具体的には、放電容器形状として従来から知られる特許文献1に記載されるような径の小さい内管部と径が大きい外管部とが同軸に配置され、その両端部が溶着されて封止された、中空円筒状の放電空間を形成するものを用いても構わない。また、上記実施形態において図2で示したエキシマランプでは他方の電極が反射板として機能するものであったが、この態様に限定されず、放電容器における上部外表面に反射膜を形成してもよい。また、他方の電極に対して反射性を具備させず、別体の反射ミラーを装着しても良い。
【0047】
また、放電容器の外表面に配置された電極においては図8で示したように、耐酸化性の保護膜を形成するか、そのほかの手段により電極の酸化を防止するのが望ましい。本実施形態では採用しなかったが、紫外光に対して透過性を有する保護管を用い、これにランプ全体を収納して、電極等をHラジカルやOHラジカルから保護するよう構成してもよい。
このように耐酸化性の保護膜や保護管を採用することで、他方の電極の周囲にHラジカルやOHラジカルが浮遊した場合においても電極が酸化されることがなく、安定した放電を実現することができる。
【0048】
続いて、発明の効果を確認するために実験例1〜2を行った。なお、下記実験例1〜2で用いた装置仕様は一例であり、これに限定されるものではない。
【0049】
〔実施例1〕
図1の構成に基いてエキシマランプ装置(10)の実験機を作製した。このエキシマランプ装置(10)の具体的な構成は以下の通りである。
エキシマランプ(20)は、図2に示す構成を有し、外径が18.5mm、内径が16.5mm、全長が2470mmである石英ガラス製の円筒状の放電容器(21)を具備し、管の中心に一方の電極(22)を配置すると共に、放電容器(21)の外表面上に半円筒形の他方の電極(23)を配置して構成した。また、この放電容器(21)の内部に圧力が60kPaであるエキシマ生成ガスを封入し、定格消費電力600Wのエキシマランプを作製した。
このように製作したエキシマランプ(20)を4本用い、図1の構成に係るエキシマランプ装置に装着した。
【0050】
エキシマランプ(20)に隣接して配置したガス供給用配管はアルミニウム製であり、エキシマランプの上部空間に対向する位置に、内径0.7mmの小孔からなるガス噴出口をピッチ10mmで形成したものである。
【0051】
以上の構成を有するエキシマランプ装置(10)において、基板搬送用機構(16)上に被処理物としての基板(W)を載置した。基板(W)を厚さ0.7mm、幅2200mm長さ2400mmの無アルカリガラスより構成し、更にその表面を汚染処理し、純水の接触角を約40°としたものを用いた。
基板(W)の被処理面とエキシマランプ(20)との最近接距離が3mmになるよう調節してランプハウス(11)を設置した。この距離は、一般的に使用されるエキシマランプ装置の配置条件に近いものである。
また、基板(W)の搬送速度を5m/minとした。ランプハウスの照射エリアが約250mmの場合、この条件によると、エキシマランプ(20)からの紫外光照射時間は約3秒間となる。
【0052】
上記構成にかかる実験装置を用い、ガス供給管に導入する不活性ガスの湿度を種々変化させて基板表面の純粋の接触角を調べた。図9は、以下の条件1〜で洗浄処理した結果を示す図であり、縦軸が純水の接触角(°)、横軸が相対湿度(%RH)である。
【0053】
〔条件1〕
ガスボンベから直接、水蒸気を含まない乾燥窒素ガスをガス供給管に導入した。水蒸気の導入をしない場合には、エキシマランプによる光が基板表面に浮遊する酸素に照射してオゾンが生成し、更にオゾンが分解するときに発生する活性酸素の作用によって、基板のドライ洗浄が行われる。この結果、基板表面の純水の接触角は紫外光照射前40°であったものが20°まで低下することが分かった。この条件は図9において相対湿度0%に対応する。
【0054】
続いて、ガス供給用配管に加湿装置を付設して加湿化した不活性ガスをランプハウス内に供給できる実験装置を構成した。
〔条件2〕
供給するガスの温度を5℃に強制冷却しながら一定に保ち、相対湿度を0%〜100%まで変化させて窒素を供給し、洗浄効果を確認した。この結果を図9中に×印で示す。
〔条件3〕
供給するガスの温度を10℃に保ち、相対湿度を0%〜100%まで変化させて窒素を供給し、洗浄効果を確認した。この結果を図9中にひし形印で示す。
〔条件4〕
供給するガスの温度を20℃に保ち、相対湿度を0%〜100%まで変化させて窒素を供給し、洗浄効果を確認した。この結果を図9中に四角印で示す。
〔条件5〕
供給するガスの温度を30℃に保ち、相対湿度を0%〜100%まで変化させて窒素を供給し、洗浄効果を確認した。この結果を図9中に三角印で示す。
〔条件6〕
供給するガスの温度を45℃に保ち、相対湿度を0%〜100%まで変化させて窒素を供給し、洗浄効果を確認した。この結果を図9中に丸印で示す。
【0055】
図9の結果から分かるように各温度において接触角が最低となる相対湿度は異なる。これは、換言すると相対湿度を制御してもガスの温度が制御されていない場合には有効な洗浄効果が得られないことを意味している。
例えば、相対湿度約5%で、供給する不活性ガス温度が30〜45℃の場合は、この種のガラスの洗浄で要求される接触角10°±1°以下に下げることができる。ところが同じ相対湿度5%を維持しても、ガスの温度が20℃以下になると純水の接触角は15°より大きくなってしまって、所望とする効果が得られなくなる。
また、相対湿度20%の場合には、最適な温度は20℃であり、その場合は接触角10°±1°以下に下げることができる。しかし、温度が20℃よりも変化した場合には接触角10°±1°以下に下げることはできない。しかも、ガスの温度が45℃の場合では接触角が35°を越えてしまって水蒸気を導入しない場合よりも悪い結果となり、洗浄効果を得ることができないことが分かった。
【0056】
〔実施例2〕
上記実験例1で用いたエキシマランプ装置に図4,5で示したガス供給装置を付設して実験装置を構成した。被処理物として上記実験例1で用いたものと同構成の基板を用い、不活性ガス中の絶対湿度(重量絶対湿度)を0〜8.0g/kgの間で変化させて、洗浄を行い、基板表面の純水の接触角を測定した。なお、装置の駆動条件も上記実験例と同様にした。
【0057】
実験例2の結果を図10に示す。
水蒸気を重量絶対湿度0g/kgから増大させるに従い、基板の純水の接触角が小さくなり、3.0〜3.5g/kg近傍で最低の接触角が得られるようになる。それより重量絶対湿度が大きくなると接触角は徐々に大きくなり、重量絶対湿度7.0g/kgを越えると、水蒸気を含まない場合よりも悪くなる。よって、必要とされる水蒸気量は、重量絶対湿度が0.5〜6.5g/kgであり、これによれば、水蒸気を用いずに洗浄する場合に比較して高い効果を実現できる。更に、重量絶対湿度が1.0〜6.0g/kgの場合は接触角15°未満を達成でき、更に1.5〜4.5g/kgとすると、ガラス洗浄で要求される接触角10°±1°以下に下げることができる。
【0058】
以上の実験例の結果から明瞭なように、エキシマランプ装置において含有水分量を相対湿度で制御・管理している場合には、供給ガスの温度によって基板の洗浄効果は異なるため、安定した洗浄条件を維持するのは困難である。相対湿度で管理する場合、供給するガスの温度をも管理することで、所期の洗浄効果を得ることができるようになるが、実使用を考えると現実的ではない。すなわち、実際にはエキシマランプ本体が高温になるため、基板を処理する空間における雰囲気温度も少なからず影響が生じ、ガスの温度も変動が生じることが想定される。不活性ガスの温度変化に伴い相対湿度を変化させなければならないが、処理室内に湿度センサーを設置する場合には制御が困難であることに加え、相対湿度を応答よく調整することも極めて実現性に乏しい。
一方、絶対湿度を管理する場合には洗浄効果を所期に制御することができ、しかも温度にほとんど依存しないため、エキシマランプの温度上昇等を考慮することなく、確実に洗浄効果を上げることができる。
このように、基板の表面処理においては、基板を処理する空間に存在する水分子の絶対量の制御が不可欠であることを意味している。このためには、不活性気体中の絶対湿度を制御することが必要である。
【図面の簡単な説明】
【0059】
【図1】本発明の第1の実施形態を示す、エキシマランプの管軸に垂直な断面において示す説明用部分断面図である。
【図2】本発明の第1の実施形態に係るエキシマランプを説明する(a)管軸方向断面図、(b)管軸に垂直な方向で切断した断面図である。
【図3】本発明の第1の実施形態に係るガス供給用配管とエキシマランプの一部を取り出して示す、説明用の斜視図である。
【図4】本発明の実施形態に係るガス供給手段に係る構成を簡略して図示する説明用図ある。
【図5】本発明の実施形態に係る加湿装置の構成の一例を示す説明用図である。
【図6】本発明の別の実施形態に係るガス供給手段に係る構成を簡略して図示する説明用図ある。
【図7】本発明の第2の実施形態を説明するエキシマランプ装置の説明用断面図である。
【図8】本発明の第2の実施形態に係る(a)エキシマランプを拡大して示す一部破断線で示した透過斜視図、(b)(a)中のA−Aで切断した説明用断面図である。
【図9】実験例1の結果を示す、不活性ガスの相対湿度と純水の接触角の関係を表す図である。
【図10】実験例2の結果を示す、不活性ガスの絶対湿度と純水の接触角の関係を表す図である。
【図11】従来技術に係る基板処理装置をランプの管軸に対して垂直な面で切断したエキシマランプ装置の説明用断面図である。
【符号の説明】
【0060】
10 エキシマランプ装置
11 ランプハウス
12 ベース部材
12A 光出射口
13 外装カバー
14 冷却用ブロック
15 ガス供給用配管
15a ガス噴出口
16 基板搬送用機構
S 空間
20 エキシマランプ
21 放電容器
21A,21B ピンチシール部
22 一方の電極
23 他方の電極
24A,24B 金属箔
25 管材
26A,26B 支持部材
30 エキシマランプ
31 放電容器
32 一方の電極
33 他方の電極
34 保護膜
35 高周波電源
40 窒素ガス供給源
41 水源
50 加湿装置
51 配管
52 分岐配管
53 バルブ
54 逆止バルブ
55 加湿タンク
56 液面制御器
57 レベルスイッチ
58 流量計
59 ニードルバルブ
60 配管
61 配管
62 ニードルバルブ
63 配管
64 湿度センサ
65 ヒーター
66 圧力計
67 安全バルブ
68 ドレンバルブ
69 配管
70 ボールタップ
【出願人】 【識別番号】000102212
【氏名又は名称】ウシオ電機株式会社
【出願日】 平成18年8月21日(2006.8.21)
【代理人】 【識別番号】100106862
【弁理士】
【氏名又は名称】五十畑 勉男


【公開番号】 特開2008−43925(P2008−43925A)
【公開日】 平成20年2月28日(2008.2.28)
【出願番号】 特願2006−224516(P2006−224516)