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【発明の名称】 食品充填用容器洗浄設備
【発明者】 【氏名】桑本 真宏

【氏名】今井 高志

【氏名】堀内 雅史

【氏名】森数 俊二

【要約】 【課題】洗浄装置で発生した洗浄廃水を洗浄水として再利用できるようにするにあたって、殺菌が不充分な洗浄廃水が洗浄水として供給されてしまうおそれが少なく、膜濾過装置の濾過能力の早期低下も防止できるようにする。

【構成】未使用の食品充填用容器1を洗浄水2で洗浄する洗浄装置3と、洗浄装置に洗浄水を供給する洗浄水供給装置4とを設けてある食品充填用容器洗浄設備であって、洗浄水供給装置に、洗浄装置で発生した洗浄廃水7を貯留する廃水受槽9と、廃水受槽から取り出した洗浄廃水に殺菌用薬剤を添加する薬剤添加装置16と、薬剤添加装置で殺菌用薬剤が添加された洗浄廃水を膜濾過する膜濾過装置11とを設けて、膜濾過装置で膜濾過された洗浄廃水を洗浄装置に洗浄水として供給可能に構成してある。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
未使用の食品充填用容器を洗浄水で洗浄する洗浄装置と、前記洗浄装置に洗浄水を供給する洗浄水供給装置とを設けてある食品充填用容器洗浄設備であって、
前記洗浄水供給装置に、前記洗浄装置で発生した洗浄廃水を貯留する廃水受槽と、前記廃水受槽から取り出した洗浄廃水に殺菌用薬剤を添加する薬剤添加装置と、前記薬剤添加装置で殺菌用薬剤が添加された洗浄廃水を膜濾過する膜濾過装置とを設けて、
前記膜濾過装置で膜濾過された洗浄廃水を前記洗浄装置に洗浄水として供給可能に構成してある食品充填用容器洗浄設備。
【請求項2】
前記膜濾過装置に孔径が0.01μm〜0.1μmの濾過膜を装着してある請求項1記載の食品充填用容器洗浄設備。
【請求項3】
前記薬剤添加装置は、洗浄廃水中に次亜塩素酸塩を濃度が0.2ppm〜1.0ppmになるように投入するものである請求項1又は2記載の食品充填用容器洗浄設備。
【請求項4】
前記廃水受槽から取り出した洗浄廃水を加熱する加熱装置を設けて、前記加熱装置で加熱した洗浄廃水を前記洗浄装置に供給可能に構成してある請求項1〜3のいずれか1項記載の食品充填用容器洗浄設備。
【請求項5】
前記加熱装置で加熱した洗浄廃水を前記膜濾過装置において膜濾過した後、前記洗浄装置に供給可能に構成してある請求項4記載の食品充填用容器洗浄設備。
【発明の詳細な説明】【技術分野】
【0001】
本発明は、未使用の食品充填用容器を洗浄水で洗浄する洗浄装置と、前記洗浄装置に洗浄水を供給する洗浄水供給装置とを設けてある食品充填用容器洗浄設備に関する。
【背景技術】
【0002】
上記食品充填用容器洗浄設備は、飲料などの液体食品や固形食品などを未使用の缶や瓶などの食品充填用容器に充填する前に、その未使用の食品充填用容器を洗浄水で洗浄するために設置してあり、従来、洗浄装置で発生した洗浄廃水は捨てている。
食品充填用容器の洗浄設備ではないが、食品搬送用の通い箱のような容器を洗浄水で洗浄する洗浄設備においては、容器を洗浄した後の洗浄廃水を洗浄水として再利用できるように、洗浄廃水を貯留する廃水受槽と、その廃水受槽から取り出した洗浄廃水を膜濾過する膜濾過装置と、膜濾過装置で膜濾過された洗浄廃水を紫外線で殺菌する紫外線殺菌器とを設けて、紫外線で殺菌した後の洗浄廃水を洗浄水として供給できるように構成してある(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
【特許文献1】特開2000−246206号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
そこで、食品充填用容器洗浄設備においても、洗浄装置で発生した洗浄廃水を再利用できるように、洗浄水供給装置に、洗浄装置で発生した洗浄廃水を貯留する廃水受槽と、その廃水受槽から取り出した洗浄廃水を膜濾過する膜濾過装置と、膜濾過装置で膜濾過された洗浄廃水を紫外線で殺菌する紫外線殺菌器とを設けて、紫外線で殺菌した後の洗浄廃水を食品充填用容器の洗浄水として供給できるように構成することが考えられる。
しかしながら、洗浄廃水を紫外線殺菌器に通して殺菌しているために、紫外線殺菌器を通過した後の洗浄廃水に対する殺菌能力はなく、紫外線殺菌器を通過した洗浄廃水が洗浄装置に供給されるまでの間に汚染されると、殺菌が不充分な洗浄廃水が洗浄水として供給されてしまうおそれがある。
また、殺菌前の洗浄廃水を膜濾過する膜濾過装置を設けてあるので、洗浄廃水中の微生物が濾過膜に付着して増殖し、スライムなどの堆積によって濾過膜が早期に目詰まりして、膜濾過装置の濾過能力が早期に低下し易い欠点がある。
本発明は上記実情に鑑みてなされたものであって、洗浄装置で発生した洗浄廃水を洗浄水として再利用できるようにするにあたって、殺菌が不充分な洗浄廃水が洗浄水として供給されてしまうおそれが少なく、膜濾過装置の濾過能力の早期低下も防止できるようにすることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の第1特徴構成は、未使用の食品充填用容器を洗浄水で洗浄する洗浄装置と、前記洗浄装置に洗浄水を供給する洗浄水供給装置とを設けてある食品充填用容器洗浄設備であって、前記洗浄水供給装置に、前記洗浄装置で発生した洗浄廃水を貯留する廃水受槽と、前記廃水受槽から取り出した洗浄廃水に殺菌用薬剤を添加する薬剤添加装置と、前記薬剤添加装置で殺菌用薬剤が添加された洗浄廃水を膜濾過する膜濾過装置とを設けて、前記膜濾過装置で膜濾過された洗浄廃水を前記洗浄装置に洗浄水として供給可能に構成してある点にある。
【0006】
〔作用及び効果〕
洗浄装置に洗浄水を供給する洗浄水供給装置に、洗浄装置で発生した洗浄廃水を貯留する廃水受槽と、廃水受槽から取り出した洗浄廃水に殺菌用薬剤を添加する薬剤添加装置と、薬剤添加装置で殺菌用薬剤が添加された洗浄廃水を膜濾過する膜濾過装置とを設けて、殺菌用薬剤が添加された洗浄廃水を膜濾過した後、洗浄装置に洗浄水として供給できるようにしてあるので、洗浄廃水が膜濾過装置を通過する前に、洗浄廃水中の微生物を殺菌用薬剤で分解し易く、微生物が濾過膜に付着し難いとともに、スライムなどによる濾過膜の目詰まりも生じ難く、また、殺菌用薬剤の殺菌作用を洗浄水として供給されるまで持続させながら、洗浄廃水を洗浄装置に洗浄水として供給できる。
従って、洗浄装置で発生した洗浄廃水を洗浄水として再利用できるようにするにあたって、殺菌が不充分な洗浄廃水が洗浄水として供給されてしまうおそれが少なく、膜濾過装置の濾過能力の早期低下も防止できる。
【0007】
本発明の第2特徴構成は、前記膜濾過装置に孔径が0.01μm〜0.1μmの濾過膜を装着してある点にある。
【0008】
〔作用及び効果〕
食品充填用容器の製造過程や保管過程,流通過程などで、その容器に付着するおそれのある有機物の大きさは一般に0.2μm以上と考えられるが、膜濾過装置に孔径が0.01μm〜0.1μmの濾過膜を装着してあるので、そのような有機物を確実に除去しながら濾過できるとともに、大きさが0.01μm以上のウイルスなども捕捉し易い。
【0009】
本発明の第3特徴構成は、前記薬剤添加装置は、洗浄廃水中に次亜塩素酸塩を濃度が0.2ppm〜1.0ppmになるように投入するものである点にある。
【0010】
〔作用及び効果〕
薬剤添加装置は、洗浄廃水中に次亜塩素酸塩を濃度が0.2ppm〜1.0ppmになるように投入することができるので、洗浄廃水を水道水の水質基準(0.5±0.3ppm)を満たす洗浄水として供給できるとともに、洗浄廃水を微生物が増殖し難い洗浄水として再利用できる。
【0011】
本発明の第4特徴構成は、前記廃水受槽から取り出した洗浄廃水を加熱する加熱装置を設けて、前記加熱装置で加熱した洗浄廃水を前記洗浄装置に供給可能に構成してある点にある。
【0012】
〔作用及び効果〕
加熱装置で加熱殺菌した洗浄廃水を洗浄水として供給できるとともに、洗浄装置への洗浄水の供給を停止してから供給を再開するようなときに、供給停止時に廃水受槽などに溜まっていた洗浄廃水を加熱装置で加熱殺菌して洗浄水として供給することができる。
また、食品充填用容器洗浄設備のメンテナンス時に、加熱装置で加熱したライン洗浄用の水を洗浄装置と洗浄水供給装置とに亘る洗浄水循環ラインに循環させて、その洗浄水循環ラインを加熱殺菌することもできる。
【0013】
本発明の第5特徴構成は、前記加熱装置で加熱した洗浄廃水を前記膜濾過装置において膜濾過した後、前記洗浄装置に供給可能に構成してある点にある。
【0014】
〔作用及び効果〕
加熱装置で加熱した温度の高い洗浄廃水を膜濾過装置において膜濾過することで、濾過膜を加熱殺菌することができ、微生物が濾過膜に一層付着し難いとともに、スライムなどによる濾過膜の目詰まりも一層生じ難い。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
以下に本発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。
図1は本発明による食品充填用容器洗浄設備(リンサー)を示し、未使用の食品充填用容器1を洗浄水2で洗浄する洗浄装置3と、その洗浄装置3に洗浄水2を供給する洗浄水供給装置4と、洗浄装置3と洗浄水供給装置4とに亘って洗浄水2(7)を循環させる洗浄水循環ライン5と設けてある。
【0016】
前記洗浄装置3は、未使用の食品充填用容器としての、ビールなどの飲料を充填密封する金属缶(2ピース缶)のうちの、缶筒と缶底とを一体形成してある缶胴部1の内外面を、飲料を充填する前の未使用の状態で洗浄するもので、洗浄水2を缶胴部1の内外面に向けて噴射させる洗浄用ノズル装置6と、発生した洗浄廃水7を集める集水パン8とを設けてある。
【0017】
前記洗浄水供給装置4は、集水パン8で集めた洗浄廃水7を貯留する廃水受槽9と、廃水受槽9から取り出した洗浄廃水7を加熱する加熱装置10と、加熱装置10を通過した洗浄廃水7を膜濾過する膜濾過装置11とを設けて、廃水受槽9と加熱装置10とを接続している接続管路に設けてあるポンプ12の駆動で、廃水受槽9の洗浄廃水7を加熱装置10と膜濾過装置11とに順に通過させて、膜濾過装置11で膜濾過された洗浄廃水7を洗浄装置3に洗浄水2として供給できるように設けてある。
【0018】
前記廃水受槽9には、清水を補給する補給水供給管路13と、槽内の洗浄廃水7の一部を、容器に充填密封後の飲料を常温程度に加温するための装置や、飲料を充填密封する際に容器に付着した飲料を洗い流すための装置に供給する供給管路14とを接続してある。
【0019】
そして、加熱装置10と膜濾過装置11とを接続している接続管路15に、その接続管路15を通過する洗浄廃水7に殺菌用薬剤を添加する薬剤添加装置16を接続して、薬剤添加装置16で殺菌用薬剤が添加された洗浄廃水7を膜濾過装置11で膜濾過して洗浄装置3に洗浄水2として供給できるように設けてある。
【0020】
前記加熱装置10は、高温蒸気で洗浄廃水7を加熱する熱交換器を設けて構成してあり、通常の洗浄運転時においては、熱交換器10への高温蒸気の供給を停止して、洗浄廃水7を加熱せずに洗浄水2として洗浄装置3に供給し、洗浄装置3への洗浄水2の供給を停止してから供給を再開するときに、熱交換器10に高温蒸気を供給して、供給停止時に廃水受槽9などに溜まっていた洗浄廃水7を例えば80℃程度に加熱殺菌して膜濾過装置11において膜濾過した後、洗浄装置3に洗浄水2として供給したり、食品充填用容器洗浄設備のメンテナンス時に、熱交換器10に高温蒸気を供給して、例えば80℃程度に加熱したライン洗浄用の水を洗浄水循環ライン5に循環させて、その洗浄水循環ライン5を加熱殺菌できるように構成してある。
【0021】
尚、通常の洗浄運転時においても、熱交換器10に高温蒸気を供給して、加熱殺菌した洗浄廃水7を洗浄水2として洗浄装置3に供給しても良い。
【0022】
前記薬剤添加装置16は、洗浄廃水7中に次亜塩素酸ソーダを濃度が0.2ppm〜1.0ppmになるように投入するもので、通常は、水道水の水質基準である0.5±0.3ppmになるように投入するものである。
【0023】
前記膜濾過装置11は、孔径が0.01μm〜0.1μmの濾過膜、つまり、精密フィルター(MF)領域や限外濾過膜(UF膜)領域の分離膜の膜モジュールを装着してある外圧濾過式の膜濾過装置で構成してある。
【0024】
図2のグラフは、上記食品充填用容器洗浄設備における廃水受槽9の洗浄廃水(以下、原廃水という)7a及び膜濾過装置11を通過した後の洗浄廃水(以下、濾過廃水という)7bのTOC(全有機炭素)とCOD(化学的酸素要求量)の経時変化を示している。
【0025】
このグラフから、原廃水7aのTOCは水道水質基準TOC(5mg/L)を常に略下回っており、原廃水7aのCODも水質管理目標値CODを常に略下回っていることが分かる。また、濾過廃水7bのTOCは水道水質基準TOC(3mg/L)を常に大きく下回っており、濾過廃水7bのCODも水質管理目標値CODを常に下回っていることがわかる。
【0026】
図3のグラフは、上記食品充填用容器洗浄設備における原廃水7a及び濾過廃水7bの濁度と色度の経時変化を示しており、原廃水7aの濁度は水道水質基準濁度(2度)を常に略下回っており、原廃水7aと濾過廃水7bの色度が水道水質基準色度(5度)を常に大きく下回っており、濾過廃水7bの濁度は水道水質基準濁度を常に大きく下回っていることが分かる。
【0027】
ちなみに、前述の引用文献1記載の食品搬送用容器洗浄システムにおいては、濾過廃水を活性炭処理器に通過させて吸着処理を行った結果、TOCが処理前の30mg/Lに対して、処理後には4mg/Lに減少した旨が記載されていることから分かるように、洗浄装置で発生した高度に汚濁した洗浄廃水を処理している。
【0028】
これに対して、本願発明による食品充填用容器洗浄設備においては、原廃水7aのTOCが4〜5mg/Lに対して、濾過廃水7bのTOCが2〜3mg/Lに減少していることから分かるように、汚濁が極めて少ない洗浄廃水7を処理していることが分かる。
【0029】
〔その他の実施形態〕
1.本発明による食品充填用容器洗浄設備は、未使用のガラス瓶や樹脂製容器などの食品充填用容器を洗浄水で洗浄するための洗浄設備であっても良い。
2.本発明による食品充填用容器洗浄設備は、洗浄水供給装置から供給された洗浄水で未使用の食品充填用容器を洗浄した後、その洗浄した容器を清水で更に洗浄する洗浄装置を設けてあっても良い。
【図面の簡単な説明】
【0030】
【図1】食品充填用容器洗浄設備の概略系統図
【図2】洗浄廃水のTOC・COD経時変化を示すグラフ
【図3】洗浄廃水の濁度・色度経時変化を示すグラフ
【符号の説明】
【0031】
1 食品充填用容器
2 洗浄水
3 洗浄装置
4 洗浄水供給装置
7 洗浄廃水
9 廃水受槽
10 加熱装置
11 膜濾過装置
16 薬剤添加装置
【出願人】 【識別番号】000001904
【氏名又は名称】サントリー株式会社
【出願日】 平成18年8月17日(2006.8.17)
【代理人】 【識別番号】100107308
【弁理士】
【氏名又は名称】北村 修一郎


【公開番号】 特開2008−43886(P2008−43886A)
【公開日】 平成20年2月28日(2008.2.28)
【出願番号】 特願2006−222621(P2006−222621)