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【発明の名称】 付着物除去装置
【発明者】 【氏名】吉村 省二

【要約】 【課題】金属板等の板状部材に対して浮動状に支持されたノズル体から吹き付けられる圧縮気体によって生じるノズル体の高周波振動を抑制し、上記ノズル体の動きを滑らかにダンピングすることで板状部材に付着した油分をむらなく除去することのできる付着物除去装置を提供すること。

【構成】走行する磁性板状金属部材の表面に略垂直な方向へ移動自在に支持されてなると共に、上記噴射口から噴射され上記磁性板状金属部材の間の隙間を通って流れる空気の流れに基づいて発生する負圧である吸着圧を用いて、上記ノズル体を上記磁性板状金属部材から浮上して支持してなるノズル体に、磁束が上記磁性板状金属部材と交差する磁石が上記磁性板状金属部材の片側若しくは両側に設けられてなる。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
走行する常磁性板状部材の表面に対向する対向面に一以上の噴射口が形成され,上記常磁性板状部材の表面に略垂直な方向へ移動自在に支持されたノズル体を備え,上記ノズル体の上記噴射口から圧縮気体を噴射させることにより上記常磁性板状部材に付着した圧延油,洗浄油などの付着物を除去する付着物除去装置において,
上記ノズル体に,磁束が上記常磁性板状部材と交差する磁石が設けられてなることを特徴とする付着物除去装置。
【請求項2】
磁束が上記常磁性板状部材と交差する磁石が,上記常磁性板状部材の片側若しくは両側に設けられてなる請求項1に記載の付着物除去装置。
【請求項3】
上記常磁性板状部材の両側に設けられた磁石の対向する面における磁極が異なるものである請求項1あるいは2のいずれかに記載の付着物除去装置。
【請求項4】
上記磁石が上記常磁性板状部材の走行方向に対して直角の方向に横長に配置されてなる請求項1〜3のいずれかに記載の付着物除去装置。
【請求項5】
上記磁石が上記常磁性板状部材の走行方向に対して直角の方向に複数に分割されてなる請求項1〜4のいずれかに記載の付着物除去装置。
【請求項6】
上記ノズル体が,上記常磁性板状部材の表面に略垂直な方向へ移動自在に支持されてなると共に,上記噴射口から噴射され上記常磁性板状部材の間の隙間を通って流れる空気の流れに基づいて発生する負圧である吸着圧を用いて,上記ノズル体を上記常磁性板状部材から浮上して支持してなるものである請求項1〜5のいずれかに記載の付着物除去装置。
【請求項7】
ノズル体の上記対向面であって上記常磁性板状部材の走行方向に上流部に,上記ノズル体に隣接して,上記板状体から遠ざかる方向へ陥没する陥没室が形成されてなる請求項1〜6のいずれかに記載の付着物除去装置。
【請求項8】
上記陥没室が,上記常磁性板状部材の走行方向に複数形成されてなる請求項7に記載の付着物除去装置。
【請求項9】
上記陥没室の常磁性板状部材走行方向下流側の壁面が,常磁性板状部材端部側に向かうにつれて,常磁性板状部材の走行方向下流側に向けて傾斜して形成されてなる請求項7あるいは8のいずれかに記載の付着物除去装置。
【請求項10】
上記1以上の陥没室に吸気源に接続された排気手段が接続されてなる請求項7〜9のいずれかに記載の付着物除去装置。
【請求項11】
上記噴射口が,上記常磁性板状部材の搬送方向及び上記ノズル体の移動方向と略直交する方向に直列或いは並列に配列されてなる請求項1〜10のいずれかに記載の付着物除去装置。
【請求項12】
上記対向面に,上記常磁性板状部材の搬送方向及び上記ノズル体の移動方向と略直交する方向に長い開口部を有する平面ノズルが設けられてなる請求項1〜11のいずれかに記載の付着物除去装置。
【請求項13】
上記ノズル体が,上記常磁性板状部材の上面側及び下面側のいずれか一方又は両方に設けられてなる請求項1〜12のいずれかに記載の付着物除去装置。
【請求項14】
上記対向面に,上記噴射口から噴射された圧縮気体を溜めるための陥没状の気体溜まりが設けられ,
上記ノズル体に,上記気体溜まり内の気体を上記ノズル体の外部へ導く連通孔が形成されてなる請求項1〜13のいずれかに記載の付着物除去装置。
【請求項15】
上記連通孔から上記気体溜まり内の気体を吸引する吸引手段を更に備えてなる請求項14に記載の付着物除去装置。
【発明の詳細な説明】【技術分野】
【0001】
本発明は,銅,アルミニウム,これらの合金,或いは半導体などの圧延板のような常磁性板状部材(以下,板状部材という)に付着した圧延油等の油成分を,上記板状部材に対向して設けたノズル体から圧縮空気を吹き付けて洗浄する洗浄液等の液体などの付着物を除去する付着物除去装置に関し,特に,上記圧縮空気の吹き付けによって生じるノズル体の振動を抑制して,付着物除去の効率を増大させることに成功した付着物除去装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
一般に,圧延機により金属板や樹脂板等の板状部材を圧延する場合は,ワークロール(圧延ロール)やこのワークロールにより圧延される板状部材の冷却,或いは,圧延効率の向上等のために上記ワークロールと上記板状部材との圧延接触部に圧延油を供給している。また,板状部材の表面の汚れや酸化膜等を洗浄する必要がある場合は,上記板状部材を洗浄剤が収容された洗浄槽に通過させている。
このように圧延後の板状部材には上記圧延油や洗浄剤が付着するため,上記板状部材を巻き取り装置等で巻き取る前に上記圧延油や洗浄剤を除去する必要がある。これは,圧延油等が付着したままで板状部材が巻き取られると,巻き取られた板状部材間の接触面の摩擦係数が小さくなり,板状部材がその幅方向に横滑りして巻き取り装置に衝突したり,板状部材自体が破断する等の問題が生じるおそれがあるからである。また,圧延油の除去が不十分なまま巻き取られた板状部材(圧延コイル)を次工程で焼鈍させると焼鈍むらが発生し,製品の品質を低下させるという問題もある。更にまた,洗浄剤が付着したまま板状部材が保管されると,その洗浄剤によって板状部材が腐食するという問題も生じ得る。
【0003】
従来,上記圧延油や洗浄剤を除去する手法が多数提案されている。例えば,特許文献1には,走行する圧延後の板状部材の表面に対向する対向面に一以上の噴射口が形成されたノズル体を備え,上記ノズル体の上記噴射口から圧縮気体を噴射させることにより上記板状部材に付着した圧延油,洗浄油などの付着物を除去する付着物除去装置であって,上記ノズル体が,上記板状部材の表面に略垂直な方向へ移動自在に支持されてなると共に,上記噴射口から噴射され上記板状部材の間の隙間を通って流れる空気の流れに基づいて発生する負圧である吸着圧を用いて,上記ノズル体を上記板状部材から浮上して支持してなるものである付着物除去装置が提案されている。
【0004】
これにより,板状部材がうねったり振動したとしても,ノズル体と板状部材との間隔が厳密に一定に保たれ,圧縮気体の吹き付け力が一定に維持されるので,付着物の除去斑を生じない付着物除去装置が提供される。
また,上記のような,噴射口から噴射され上記板状部材の間の隙間を通って流れる空気の流れに基づいて発生する負圧である吸着圧を利用することなく,ノズル体の自重やバネ力などの板状部材方向への押圧力と,上記噴射口から噴射される圧縮空気の噴射圧によりノズル体を押し上げようとする押上圧とのバランスによってノズル体を板状部材に対して浮動状に支持する付着物除去装置も提案されている(特許文献2)。
【0005】
この場合,前記吸着圧を利用しない点において,上記特許文献1に開示の付着物除去装置のようにノズル体と板状部材の間隔を厳密に一定に制御する機能には欠けるものであるが,ノズル体を板状部材に対して浮動状に支持することからノズル体と板状部材との間隔をある程度一定に保つことが出来るので,圧縮気体の吹き付け力がある程度一定に維持され,付着物の除去斑を生じにくい点では優れた方法である。
【0006】
しかしながら上記特許文献1及び2に開示されたいずれの付着物除去装置においても,前記した上記噴射口から噴射される圧縮空気を用いるものであるため,圧縮空気の噴きつけ力に変動があると,ノズル体と板状部材の間隔に変動を生じることになる。この点,圧縮空気の吹き付け状態は必ずしも一定ではなく,多くの場合高周波の変動を伴うために,板状部材の振動を避けることはできない。
【0007】
一方,上記板状部材の振動を抑制する技術として,例えば特許文献3が存在する。この技術は,走行する板状部材を挟んで,その両側に磁石を配置し,上記板状部材を上記上下の磁石の磁力によって夫々逆方向に引き合うものであり,上記板状部材の位置を検出して,この位置の変動に応じてその位置変動を打ち消すように磁力を変化させて,板状部材を常に上記上下の磁石による磁力が釣り合う位置に付勢するものである。
この技術は,板状部材の位置を一定に制御する点では優れたものである。
【特許文献1】特開2006−68724号公報
【特許文献2】特開平5−200374号公報
【特許文献3】特開平5−245521号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかしながら,上記特許文献3は,板状部材の両面側にそれぞれ電磁石を配置し,その間を通過する板状部材の位置を検出して,その位置に応じて電磁石の磁力を制御することで,板状部材の走行位置が一定になるように制御するものであり,装置が複雑化及び大型化する,あるいは制御が煩雑となるなどの多くの問題を提起するものである。また,板状部材の位置に応じて電磁石による吸着力を制御するものであるので,上記吸着力の発生しない銅やアルミ,或いはこれらの合金,さらにはこれらを含む半導体のような常磁性体の板状部材には適用できない。
【0009】
従って,本発明は上記事情に鑑みてなされたものであり,その目的とするところは,上記のような板状部材に対して浮動状に支持されたノズル体から吹き付けられる圧縮気体によって生じる板状部材の高周波振動を抑制し,上記板状部材の動きを滑らかにダンピングすることで板状部材に付着した油分をむらなく除去することのできる付着物除去装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記目的を達成するために本発明は,
走行する板状部材の表面に対向する対向面に一以上の噴射口が形成され,上記板状部材の表面に略垂直な方向へ移動自在に支持されたノズル体を備え,上記ノズル体の上記噴射口から圧縮気体を噴射させることにより上記板状部材に付着した圧延油,洗浄油などの付着物を除去する付着物除去装置において,
上記ノズル体に,磁束が上記板状部材と交差する磁石が設けられてなることを特徴とする付着物除去装置として構成されている。
上記のように上記ノズル体に,磁束が上記常磁性の板状部材と交差する磁石が設けられていることにより,上記板状部材が振動して板状部材との距離が変動すると,上記板状部材内に渦電流が発生し,板状部材が発熱する。この消費エネルギーが板状部材の運動を妨げるエネルギーとなり,付着物除去効果を発揮しつつ、板状部材の高周波振動を抑制する。また、板状部材の高周波振動に起因して騒音が発生する場合には、本発明により、高周波振動が抑制されるのと同時に騒音抑制効果が発揮される。
この発明において,板状部材とは,銅,アルミニウム,これらの合金,或いは半導体などの圧延板のような常磁性板状部材をいう。
【0011】
上記のような振動抑制理論に基づくので,上記板状部材と交差する磁力線密度が高いほうが振動抑制には効果的である。従って,上記磁石が,上記板状部材の片側に設けられることはもちろん,更に上記板状部材の両側に設けられることで作用する磁力線密度を増加させることが望ましい。
上記板状部材の両側に磁石が設けられる場合には,上記両磁石の対向する面における磁極が異なる,すなわち交互に変化するものであることが望ましい。この配置によって,隣り合う磁石対がカップリングとなり磁力線密度が増大することになる。
【0012】
上記磁石の配置としては,上記板状部材の走行方向に対して直角の方向に横長に配置されてなることが小さな面積で多くの磁力線を上記板状部材に交差させることができて,効率的である。
また,横長の大きい磁石は,中央部で磁力線密度が低下するので,上記磁石を上記板状部材の走行方向に対して直角の方向に複数に分割することが望ましい。
【0013】
上記ノズル体の支持構造としては,上記ノズル体が,上記板状部材の表面に略垂直な方向へ移動自在に支持されてなると共に,上記噴射口から噴射され上記板状部材の間の隙間を通って流れる空気の流れに基づいて発生する負圧である吸着圧を用いて,上記ノズル体を上記板状部材から浮上して支持してなるものが採用可能である。上記のように上記噴射口から噴射され上記板状部材の間の隙間を通って流れる空気の流れに基づいて発生する負圧である吸着圧を用いてノズル体を浮動状に支持することで,ノズル体と上記板状部材の間の隙間の暑さが自動的に一定に保たれる。これによってもともと出来る限り振動の少ない付着物除去装置が提供されるので,本発明にかかる振動抑制装置を設けることによってきわめて振動の少ない付着物除去装置を提供することが出来る。
【0014】
上記ノズル体の上記対向面であって上記板状部材の走行方向上流部及び/又は下流部には,上記ノズル体に隣接して,上記板状体から遠ざかる方向へ陥没する陥没室を形成する事が望ましい。
上記陥没室があるために,ノズル体から噴出される圧縮流体によって吹き上げられた油分を含むミストが上記陥没室に流入し除去されるので,ミストの密度が高くなって板状部材に汚れを発生させる不都合が回避される。
【0015】
さらに上記陥没室は,上記板状部材の走行方向に複数形成してもよい。陥没室が沢山あることで,付着物の除去作用が増大或いは安定化する。
上記陥没室の板状部材走行方向下流側の壁面を,板状部材端部側に向かうにつれて,板状部材走行方向下流側に向けて傾斜して形成することで,陥没室に入ったミストの流れが良くなり,付着物の除去作用が増大する。
また上記1以上の陥没室に吸気源に接続された排気手段が接続されてなるように構成すれば,陥没室に流入した付着物のミスとが,陥没室内に溜まることなく排出されるので,長時間掃除なしに付着物を効率よく除去することが出来る。
【0016】
また,上記ノズル体の対向面に形成された噴射口は,例えば,上記板状部材の搬送方向及び上記ノズル体の移動方向と略直交する方向に直列或いは並列に配列されているものが考えられる。
また,上記ノズル体の対向面に,上記板状部材の搬送方向及び上記ノズル体の移動方向と略直交する方向に長い開口部を有する平面ノズルが設けられておれば,上記板状部材の幅方向全域に圧縮気体を均等に放射することが可能となる。
また,上記板状部材の上面側及び下面側のいずれの表面における付着物をも除去可能とするべく,上記ノズル体は,上記板状部材の上面側及び下面側のいずれか一方又は両方に設けられてなることが好ましい。
【0017】
ところで,上記板状部材に圧縮気体が噴射されると,この気体は上記板状部材に反射して上記対向面に衝突する。このとき,圧縮気体の噴射により剥がされた付着物が上記対向面に衝突して,該対向面に付着する場合がある。特に,上記付着物が例えば油或いは油を含む塵埃などの粘性を有するものである場合は,該付着物が上記対向面に付着し易い。この場合,上記対向面に付着物が付着することによって上記噴射口がつまったり,或いは肥大化した付着物が剥がれ落ち,上記板状部材に再付着するという問題が生じ得る。
そこで,上記対向面に,上記噴射口から噴射された圧縮気体を溜めるための陥没状の気体溜まりを設け,上記ノズル体に,上記気体溜まり内の気体を上記ノズル体の外部へ導く連通孔を形成しておけば,オイルなどの付着物を含む空気が上記気体溜まりに滞留し,この滞留した空気を外部へ排出することが可能となる。これにより,噴射口の詰まりや板状部材への付着物の再付着を軽減することができる。
この場合,上記連通孔から上記気体溜まり内の気体を吸引する吸引手段を設けておけば,付着物を含む気体の排出を効率よく行うことができる。
【発明の効果】
【0018】
上記のように浮動状に支持されたノズル体に,該ノズル体と対向する板状部材を横切る磁力線を発生させる磁石を配置することによって,上記磁力線が交差する板状部材とノズル体との距離が変動した(すなわち振動した)時,この板状部材に渦電流が生じ,それがエネルギを消費するために板状部材の,特に高周波振動が抑制される。
【発明を実施するための最良の形態】
【0019】
以下添付図面を参照しながら,本発明の実施の形態及び実施例について説明し,本発明の理解に供する。尚,以下の実施の形態及び実施例は,本発明を具体化した一例であって,本発明の技術的範囲を限定する性格のものではない。
なお,本発明における付着物を除去するためのノズル体の支持方法としては,基本的にノズル体が走行する板状部材に対して浮動状に支持されていることが前提であるが,例えば,前記特許文献1に記載のように,走行する圧延後の板状部材の表面に対向する対向面に一以上の噴射口が形成されたノズル体を備え,上記ノズル体の上記噴射口から圧縮気体を噴射させることにより上記板状部材に付着した圧延油,洗浄油などの付着物を除去する付着物除去装置であって,上記ノズル体が,上記板状部材の表面に略垂直な方向へ移動自在に支持されてなると共に,上記噴射口から噴射され上記板状部材の間の隙間を通って流れる空気の流れに基づいて発生する負圧である吸着圧を用いて,上記ノズル体を上記板状部材から浮上して支持してなるものであっても,あるいは,前記特許文献2に記載のように,上記のような,噴射口から噴射され上記板状部材の間の隙間を通って流れる空気の流れに基づいて発生する負圧である吸着圧を利用することなく,ノズル体の自重やバネ力などの板状部材方向への押圧力と,上記噴射口から噴射される圧縮空気の噴射圧によりノズル体を押し上げようとする押上圧とのバランスによってノズル体を板状部材に対して浮動状に支持するものであっても良い。
以下の実施形態では,上記特許文献1に記載の浮動支持方法によってノズル体を支持する場合について説明するが,これは一例であって,本発明はいずれの支持方法でも採用可能である。
【0020】
ここに,図1は本発明の実施の形態に係る付着物除去装置Xの空気制御システムの概略を説明するブロック図,図2は上記付着物除去装置Xのノズル体100を説明する模式図,図3はノズル体100を上方へ押し上げようとする力Fと離間距離dとの関係を表す図,図4は離間距離dと付着物除去効果との関係を説明する模式図,図5は噴射口101の近傍の圧力分布を示す図,図6は本発明の第1の実施例に係る付着物除去装置X1のノズル体100aを説明する模式図,図7は本発明の第2の実施例に係る付着物除去装置X2のノズル体100bを説明する模式図,図8は本発明の第3の実施例に係る付着物除去装置X3の概略構成を示すブロック図,図9は本発明の第4の実施例に係る付着物除去装置X4のノズル体100cを説明する模式図,図10は本発明の第5の実施例に係る付着物除去装置X5の概略構成を示すブロック図,図11は,本発明の実施形態に用いられる磁石の配置を示す図((a)は,板状部材の両側に配設したノズル体にそれぞれ磁石を取り付けた場合の側面図,(b)は,ノズル体の上流部及び下流部の両側に磁石を設けた状態を示すノズル体の上面図,(c)は,板状部材の両側に設けられた磁石の磁力線と板状部材との位置関係を示す側面図),図12は,図11に示した磁石の磁力線の概念を示す図((a)は,1本の横長の磁石における磁力線の発生状体を示す正面図,(b)は,横長の磁石を複数に分割した場合の磁力線の状態を示すノズル体の正面図),図13は,磁石の数と振動抑制効果(振動減衰率)の関係を示すグラフ,図14は,図11に示した磁石の詳細図((a)は,ノズル体の片側にのみ磁石を取り付けた状態の側断面図,(b)は,(a)の磁石の詳細を示すノズル体の底面図,(c)は,磁石が電磁石である場合の詳細を示す側断面図),図15は,本発明における振動抑制原理を示す図である。
【0021】
まず,図1のブロック図を用いて,本発明の実施の形態に係る付着物除去装置Xの空気制御システム及び概略構成について説明する。
本付着物除去装置Xは,例えば,圧延機等により圧延された板状部材に付着した圧延油や洗浄剤等の液体や屑片等の付着物を除去する装置であって,図1に示すように,空気圧源5から供給された圧縮空気(圧縮気体の一例)を上記板状部材Tの表面に噴射させて,上記板状部材Tの表面に付着した圧延油,洗浄油などを除去するべく上記板状部材に対向した面に一以上の噴射口を備えたノズル体100と,該ノズル体100と上記空気圧源5とを配管接続する管路6に介設された電磁弁2と,該電磁弁2の下流側の管路6に介設された減圧弁3と,該減圧弁3の下流側に介設されたエアフィルタ4と,上記電磁弁2を励磁/消磁して圧縮空気の経路(空気路)を切り換える制御を行うコントローラ1とを備えている。なお,本実施の形態では,圧縮気体として圧縮空気を用いた例について説明するが,腐食性の低い窒素ガス等を用いてもかまわない。また,本付着物除去装置Xは上記圧延機により圧延された板状部材に限られず,あらゆる板状部材にも適用され得る。
【0022】
上記コントローラ1は,シーケンサ等の制御ユニット等を備えて構成されており,例えば,外部からスタート信号が入力されたことを検知すると,上記電磁弁2を励磁してこの弁を閉位置から開位置に切り換える。上記電磁弁2を介して供給された圧縮空気は減圧弁3により予め定められた一定圧力に減圧され,ドレン付のエアフィルタ4により水蒸気や塵等が除去された後に,上記ノズル体100に供給される。
【0023】
続いて,図2の模式図を用いて,上記ノズル体100について説明する。上記ノズル体100は,図2に示すように,板状部材Tの上面側に配設されている。このノズル体100はプラスチック素材等の軽量部材で成形されており,上記板状部材Tの幅方向に長い略長方体形状をしている。ここに,図2(a)は上記ノズル体100の長手方向(図2の左右方向)の鉛直断面を示す断面模式図であり,(b)は(a)の矢印Aからみた上記ノズル体100の模式図である。図中において符号を付していない矢印は圧縮空気の流れを示す。
上記ノズル体100の上記板状部材Tの上面(上方側表面)T1に対向する対向面102には4つの噴射口101が形成されている。この4つの噴射口101は,上記板状部材Tの搬送方向W2(図2(b)参照)及び上記ノズル体100の移動方向W1(図2(a)参照)と略直交する方向W3(図2(b)参照)に直列又は並列に配列されている。なお,上記噴射口101は4つに限らず,少なくとも1以上の噴射口101が形成されていればよい。
【0024】
上記対向面102には,上記噴射口101から噴射された圧縮空気を上記板状部材Tの搬送方向W2の上流側へ導き,剥離された付着物を上記搬送方向W2の上流側へ吹き飛ばすために,上記板状部材Tの搬送方向W2に平行する複数の溝106(本実施の形態では5つの溝)が所定間隔を隔てて形成されている。この溝106の上記板状部材Tの搬送方向W2上流側の一端106aは末広がり状に形成されており,上記搬送方向W2側の側面に開放されている。
なお,上記搬送方向W2に平行に形成された上記溝106では,剥離された付着物が再び上記板状部材T上に付着する可能性がある。そのため,上記溝106とは異なり,図2(c)に示すように,上記搬送方向W2に対して上記板状部材Tの幅方向外側へ傾斜角がつけられた溝106−1を上記対向面102に形成することが好ましい。このような溝106−1が形成されておれば,該溝106−1を流れる圧縮空気と共に剥離された付着物が上記板状部材Tの幅方向外側へ吹き飛ばされるため,付着物の除去効率が向上され得る。
【0025】
上記ノズル体100の上記対向面102とは逆の面103には,前記空気圧源5(図1)から供給され前記減圧弁4により所定圧に減圧された圧縮空気を上記ノズル体100に供給するための一の供給口104が形成されている。この供給口104は,上記各噴射口101を内部で連通する連通路105に貫通されている。したがって,この供給口104に圧縮空気が供給されると,上記連通路105を通って上記各噴射口101から上記板状部材Tの上面T1に圧縮空気が噴射される。
【0026】
また,上記ノズル体100の上記面103にはスライドバー111が立設されており,更にその上方には上記スライドバー111を垂直方向にスライド移動可能に支持するスライドガイド112が適宜設けられている。このスライドバー111及びスライドガイド112(以下,これらを総称してスライド機構110という)は,上記ノズル体100を上記板状部材Tの上面T1に略垂直な方向W1へ移動自在に支持する手段の一例である。もちろん,上記スライド機構110に限らず,例えば,一端が固定されたつるまきバネ等の弾性部材により上記ノズル体100を上方から吊り下げた状態で支持する機構(図8参照)や,上記ノズル体100の長手方向の側方から架け渡された板ばね等の弾性部材で上記ノズル体100を支持する機構等を用いて上記ノズル体100を上記略垂直方向W1へ移動自在に弾性支持するものであってもよい。
【0027】
さらに,上記ノズル体100の上記対向面102であって,上記板状部材Tの走行方向W2上流部には,上記ノズル体100に隣接して,上記板状体Tから遠ざかる方向へ陥没する陥没室200が形成されている。上記陥没室200は,この陥没室200を側断面で示す図7(b)に明らかなように,上記ノズル体100の板状部材走行方向上流側側面に取り付けられる後壁200aと,該後壁200aと平行に対向する前壁200bと,左右の側壁200cとによって囲まれた下方に開放された空間によって構成されている。
なお,上記左右の側壁200cは,後記する排気室202と陥没室200とを連通させるために,一部(又は全部)が切除されている。
この陥没室200は,上記ノズル体100から噴射された圧縮気体によって上記板状部材表面から吹き上げられた上記圧延油,洗浄油などのミストが流入しうる空間であり,これらの陥没室200に流入したミストは,上記陥没室200の壁面に付着することによってその一部が圧縮流体から取り除かれる。
また,残部は,後述のように排気される。
当然ながら,上記陥没室200の壁部材質は,ノズル体100と同じものでも良いし,或いは,その内面にテフロン(登録商標)などの剥離材の被覆を施して,ミストによる壁面の汚れを防止する処理をする事が望ましい。
【0028】
更に,上記ノズル体100の板状部材走行方向上流側と下流側の端部には,図2,図6,図7に示すように,内部に永久磁石300を内蔵する磁石ホルダ302が各々1個づつ取り付けられている。この磁石の取り付け方向は,図に示すように各磁石の磁束が上記板状部材と交差する方向である。これによって磁石の磁力線を上記板状部材Tが切ることになり,板状部材Tとノズル体100との距離が振動によって変動することにより板状部材Tに渦電流が生じる。これが抵抗となって磁石300及びこれと一体となったノズル体100の圧縮空気噴出による板状部材の高周波振動がダンピングされる。
上記のような渦電流は,磁束密度が高いほど大きくなる。従って,適切なヨークを設けるなどして板状部材Tを横切る磁束の数を多くする工夫が必要である。
【0029】
図14に示した実施形態では,磁石300が板状部材Tの片側のみに設けられているが,上記磁束数を多くするためには,図11(a)(c)に示すように,板状部材Tの両側に磁石300を配置する事が望ましい。この場合,図11(a)に示すように板状部材Tの両側にノズル体100を設けて,これに磁石をそれぞれは位置しても良いが,板状部材Tの裏面にはノズル体100を設けず,単に磁石のみを配置してもかまわない。このように板状部材の両側に磁石を設ける場合には,両磁石の対向する面における磁極が異なるように配置することで磁力線密度を増大させることが望ましい。
この実施形態では磁石300が,上記板状部材Tの走行方向に対して直角の方向に横長に配置されている。この方向に配置することで,ノズル体100の長さを短くできる長所がある。また,磁石300が板状部材Tの長手方向に配設されると,板状部材Tの長手方向の軸回りの振動が起きやすくなるので,このようなことを避けるためにも横方向に設けることが望ましい。
【0030】
但し,長尺の磁石300は,図12(a)に示すように,その中央部で磁束密度が低下し,振動抑制効果が低下する。従って,磁石の長尺化を避けるために,上記磁石が,図12(b)に示されるように,上記磁性板状部材の走行方向に対して直角の方向に複数に分割されてなることが望ましい。このように分割することで,磁石の製造も容易になる。この場合,(b)に示すように,隣り合う磁石の極性を交互に違えることで,磁束密度が増加し,強いダンピングが期待される。また磁束が空間に発散されないように,板状部材Tとは反対側の磁石端部をコの字状のヨーク306で接続することも,磁束の漏れをなくし磁束密度を増加させる効果がある。
【0031】
上記の磁石は,ノズル体100の噴射口101の板状部材走行方向に見てその上流部と下流部に設けることが望ましいが,もちろん図14に示すように,片側にのみ設けることも可能である。また,ノズル体100に偏った回転力を与えないように上下動のガイドとなっている前記スライドバー111の出来るだけ近くに配置することが望ましい。
この実施形態では,磁石300として永久磁石を採用しているが,これは,発火性の雰囲気で用いることを考えたものであり,発火性のない環境で用いるのであれば,図14(c)に示すように電磁石300aを採用することも出来るし,発火性の雰囲気で電磁石を用いるのであれば,防爆性を考慮することが望ましい。
【0032】
ここで,上述のように構成されたノズル体100に圧縮空気が供給された場合の上記ノズル体100の動作について説明する。上記供給口104から圧縮空気が供給されると,供給された圧縮空気は上記連通路105を通って各噴射口101から噴射される(図2(a)参照)。上記噴射口101から噴射された圧縮空気はその圧縮圧が一気に解き放たれて上記板状部材Tの上面T1に向かって略放射状に吹き付けられる(図2(b)参照)。
また,上記板状部材Tに吹き付けられた圧縮空気は,上記板状部材Tの上面T1に吹き付けられた後に,上記ノズル体100を上記板状部材Tから離間させようとする力,即ち,上記ノズル体100を移動方向W1の上方へ押し上げようとする押上力となって上記ノズル体100に作用する。
このように,上記ノズル体100に上記押上力が作用することにより上記ノズル体100が上記板状部材Tから浮上することになる。上記押上力により上記ノズル体100が浮上すると,上記ノズル体100の対向面102と上記板状部材Tとの間には隙間dが生じる。この隙間dには上記ノズル体100から噴射された空気圧による空気圧層が形成され,これにより,上記ノズル体100が上記板状部材Tから距離dだけ離間した位置で浮遊する。なお,本実施の形態例では,上記ノズル体100を上記板状部材Tの上面T1から距離d0だけ浮上させて,その位置で上記ノズル体100が浮遊するように圧縮空気の圧縮圧が調整されている。
【0033】
このようして吹き付けられた圧縮空気の噴射圧によって,上記ノズル体100が浮遊させられると共に,上記板状部材Tの上面T1上に付着した圧延油や洗浄剤等の液体,屑片,汚れ等の付着物が剥離される。また,噴射された圧縮空気は上記溝106に沿って上記板状部材Tの搬送方向W2の上流側へ流されるため,剥離され,ミスト化された付着物はこの流れに乗って上記ノズル体100と上記板状部材Tの上面T1との隙間を通って上記搬送方向W2の上流側へ吹き飛ばされる。
【0034】
上記のように圧延板などの板状部材T上の油分を噴射口101からの圧縮気体にて除去する場合,板状部材Tに垂直,あるいは斜め方向に圧縮空気を噴きつけ,板状部材Tに付着した油を吹き飛ばす。そのとき,圧縮空気の圧力変動により板状部材が振動を起こし,騒音,あるいは板破断の原因となる。また,この実施形態のようなノズル体100が浮動状に支持されている空気浮上ワイパー式の場合は,板状部材Tとノズル体100との間隔が0.1mm程度と狭いため,振動が生じると板状部材Tとノズル体100との間隔が変化し油切れが悪くなる。そのため,板状部材の振動を押さえる必要がある。そのために,上記磁束が上記板状部材Tと交差する磁石300がノズル体100に設けられている。
【0035】
この場合,振動抑制原理を説明する図15に示すように,板状部材Tに対して板状部材が振動するのは,上記磁石300と板状部材Tとの距離が変化する方向である。この距離の変動に基づいて圧延板などの板状部材Tを貫通する磁束密度が変化し,板状部材Tに渦電流が流れる。板状部材Tには電気抵抗があるため,渦電流が熱エネルギーに変換され,エネルギーが消費される。この消費エネルギーが板状部材の振動を妨げるエネルギーとなる。すなわち,板状部材Tにダンピングが作用することになり,板状部材の高周波振動が抑制される。
前記したように,磁束密度が高いほど振動抑制効果は大きい。従って,磁束密度を高めるような磁石の配置が望ましい。そのため永久磁石を複数個に分割し,前記したように複数の磁石を並べて配置する。また,圧延板に対抗する磁石面が,NSNSと交互になるように配置することが望ましい。もし,板状部材Tに対抗する磁石300の極が同じなら図12(a)のように真ん中のほうで磁束密度が小さくなり,振動抑制効果が小さい。
図12(b)のように磁石の極がNSNSと交互になるように配置すると,隣り合った磁石同士に磁力線が発生し,板を通過する磁束密度が大きくなる。
【0036】
図13は,磁石数と振動抑制効果の関係を実験により求めたグラフである。このように隙間一定(0.3mm)の場合は,交互に並べたほうが振動抑制効果が大きいことがわかる。また,磁石と板の間隔が小さいほど振動抑制効果が大きい。
上記のように磁石300(すなわちノズル体100)と板状部材Tの間隔が小さいほど振動抑制効果が大きい。空気浮上式ノズル体100体は板状部材Tとワイパーの間隔が0.1mmとい。従って,空気浮上式ノズル体100に磁石を取り付けると,振動抑制効果が大きくなり,付着物の除去斑防止に有効である。
【0037】
上記板状部材Tの上面T1との隙間を通って上記搬送方向W2の上流側へ吹き飛ばされた上記圧延油,洗浄油などのミストは,板状体走行方向上流側に形成された前記陥没室200に流入する。流入したミストは,上記陥没室200に,その左右端部に接続された排気室202に作用する負圧に基づいて,上記排気室202に流入し,排気室202に接続された図外の負圧源に吸引されて除去される。上記負圧源に接続された排気室202が,本発明における吸気源に接続された排気手段の一例である。
【0038】
このように上記ミストは,ノズル体100の板状体走行方向上流側に設けられた陥没室200に吸い込まれて除去されるので,ノズル体100の板状体走行方向上流部に停滞して,密度を増加させることがなく,従って圧延油などが,板状部材表面に残るという問題が生じない。
上記のように陥没室200への吸引によって圧延油などのミストが除去されるが,陥没室200が1列(段)だけであると,上記陥没室200で除去し切れなかった上記のようなミストの一部は,さらに上流部に流出することになる。
このようなさらに上流部に流れ出たミストを捕捉するために,陥没室200を図2(c)に示すように,上記板状部材Tの走行方向に複数形成し,板状体走行方向下流側の陥没室から更に上流方向へ溢れ出たミストを,更に上流側の陥没室200で捕捉することが望ましい。このような複数段の陥没室200によって,陥没室から溢れ出るミストの量が減少し,ミストの捕捉率が向上する。
【0039】
上記のような陥没室200の数は,3段或いは4段という具合に多いほうがミストとの除去効率という面では有利であるが,ある程度の段数以上になれば効率は一定に収束するので,多ければよいというわけではない。
上記のように陥没室を複数設ける場合,上流側の陥没室200の板状部材走行方向の下流側の壁部(後壁200a)に,流入したミストを含む空気を板状部材側方に設けた前記排気室の方向へ流す傾斜面204aを図2(c)のように形成することが望ましい。図2(c)に記載した傾斜面204は陥没室中央部中心として左右に対称に傾斜する形となっている。これは,左右にそれぞれ排気室202が設けられているからであって,図6(b)に示すように排気室202が陥没室200の片側にのみ設けられている場合には,上記排気室202の設けられている側に向けて後退するように傾斜する傾斜面204bを設けることが望ましい。
【0040】
上記のように,陥没室下流側の壁面(前記後壁200a)を,排気室202がある側の陥没室端部(側壁200c)に向けて後退させる,すなわち,陥没室の板状部材走行方向下流側の壁面を,板状部材端部側に向かうにつれて,板状部材走行方向下流側に向けて傾斜して形成することで,陥没室200にたまったミストを上記傾斜壁面204に沿って流し,排気室202に誘導することで,ミストの除去効率が向上することになる。
【0041】
ここで,上記ノズル体100に作用する力F(縦軸,以下,作用力Fという)と,上記ノズル体100及び上記板状部材Tの上面T1間の離間距離d(横軸)との関係について図3及び図5を用いて説明する。ここに,図3は上記作用力Fと上記離間距離dとの関係を示す図であり,図5は噴射口101の近傍の圧力分布を示す図であって,(a)は離間距離dが距離d0のときの圧力分布,(b)は離間距離dが距離d1(>d0)のときの圧力分布,(c)は離間距離dが距離d2(<d0)のときの圧力分布を示す。なお,ここでは,上記作用力Fには,圧縮空気の噴射圧により上記ノズル体100を移動方向W1の上方へ押し上げようとする押上力と,後述するように上記ノズル体100を上記板状部材Tへ吸着させようとする吸着力とが含まれるものとし,上記ノズル体100の重力を無視して説明する。
【0042】
図3に示すグラフから理解できるように,上記離間距離dが上記距離d0のときは,上記作用力Fは0となる。このとき,図5(a)に示すように,圧縮空気の噴射圧により上記ノズル体100を押し上げようとする押上圧P1の積分値(即ち,押上げ力)と,上記ノズル体100を上記板状部材Tへ吸着させようとする吸着圧P2の積分値(即ち,吸着力)とがバランスよく均衡した関係が維持されることにより,上記距離d0離れた位置で上記ノズル体100が浮遊している状態にある。なお,上記吸着圧P2は,上記ノズル体100と上記板状部材Tとの隙間から圧縮空気が流れ出るときに生じる負圧であり,この負圧により上記吸着力が生じる。
【0043】
ここで,上記板状部材Tの圧延時或いは搬送時に発生する振動等により上記板状部材Tの上面T1が下方向へ移動して上記離間距離dが距離d0より大きい距離d1(>d0)となった場合は,上記離間距離dの空間内における圧縮空気の流れを妨げようとする抵抗が小さくなり,圧縮空気が逃げ易くなって,流れ出る空気の流速が増加する。そのため,図5(b)に示すように上記吸着圧P2が大きくなって上記吸着力が上記押上力に勝り,この吸着力によって上記ノズル体100が下方へ移動し,離間距離dが距離d1から距離d0に縮められる。従って,上記板状部材Tの上面T1が下方向へ移動した場合でも,すぐに上記ノズル体100は上記均衡状態に復元され,上記距離d0離れた位置で浮遊することになる。
一方,上記離間距離dが距離d0より小さい距離d2(<d0)となった場合は,上述とは逆に,上記離間距離dの空間内における圧縮空気の流れを妨げようとする抵抗が大きくなり,圧縮空気が逃げ難くなって,流れ出る空気の流速が減少する。そのため,図5(c)に示すように上記吸着圧P2が小さくなって上記押上力が上記吸着力に勝るため,この押上力によって上記ノズル体100が上方へ移動し,離間距離dが距離d2から距離d0に広げられる。従って,この場合でも,すぐに上記ノズル体100は上記均衡状態に復元される。
【0044】
このように,本付着物除去装置Xにおいては,上記板状部材Tの上面T1が上下した場合であっても,その上下に追従して上記ノズル体100が上下移動するため,上記板状部材Tの上面T1から上記ノズル体100までの離間距離dが常に略一定に維持されることになる。すなわち,たとえ上記板状部材Tが振動した場合であっても,常に一定の離間距離dが維持されるため,上記離間距離dを限りなく0に近い距離d0(例えば0.1mm)に設定したとしても,ノズル体100が上記板状部材Tに接触することはなく,そのため上記板状部材Tが損傷することもない。
ここで,上記板状部材Tが急激に上下変動した場合は,この上下変動に追従して上記ノズル体100も急激に上下変動するため,上記ノズル体100が上下方向へオーバーシュート或いはアンダーシュートを起こすおそれがある。また,このオーバーシュート及びアンダーシュートが周期的に起こり上記ノズル体100がハンチングするおそれもある。従って,ノズル体100は,上記オーバーシュートやハンチング等を防止するため,バネ等の弾性部材によって弾性的に支持することが望ましい。具体的には,前記スライドバー111につるまきバネを介在させる手法や,オイルダンパー等の緩衝部材で構成されたスライドバー111を用いる手法等が考えられる。
【0045】
ところで,上記ノズル体100の対向面102に形成された上記噴射口101の開口面積及び上記対向面102の面積は,上記ノズル体100を浮上させる上で重要な要素となる。その理由を図5を用いて以下に説明する。なお,ここでも便宜上,上記ノズル体100の重量を無視して説明する。
図5(b)に示すように,離間距離dが大きくなると,上述したように,上記離間距離dの空間内における圧縮空気の流れを妨げようとする抵抗が小さくなり,外部へ流れ出る圧縮空気の流量が増加する。そのため,上記ノズル体100の対向面102(特に上記噴射口101の周辺部分)に対して上記吸着圧P2(負圧)が発生する。この吸着圧P2は,上記ノズル体100を上記板状部材Tに吸着させようとする力となって作用する。ここで,圧縮空気の噴射圧により上記ノズル体100を押し上げようとする押上圧P1(>0),上記吸着圧P2(<0),すべての噴射口101の開口面積の合計値をS1,上記ノズル体100の対向面102における上記吸着圧P2が作用する面積の合計値をS2とすると,(P1×S1)+(P2×S2)<0の条件を満たす場合は,ノズル体100を上方へ押し上げようとする押上力よりも,上記板状部材Tに吸着しようとする吸着力が勝るため,上記ノズル体100は下方へ引き下げられることになる。
従って,離間距離dの大きさにかかわらず,距離d0を維持した状態で上記ノズル体100を浮遊させるには,P1×S1>P2×S2の条件を満足すれば足りると考えられる。ここで,噴射圧P1と平均圧P2とは相関関係にあるため,上記条件を満足するためには面積S1及びS2を変動値として捉えて上記条件を満たすようにすればよい。
一方,板状部材Tの付着物は上記ノズル体100の対向面102を流れる圧縮空気によって除去されるため,上記面積S2を面積S1と較べてあまりにも小さくすると付着物が除去されにくくなり除去効果が低下することになる。
【0046】
そこで,本出願の発明者は,ノズル体100を上記距離d0を維持した状態で浮遊させる条件と,上記除去効果を高めるための条件との両方を満足する条件として,
1<2S2…(1)
が最適であるということを実験,研究を繰り返し行うことにより見出している。ここで,上記ノズル体100の対向面102の面積をSとすると,この面積Sは,S≒S1+S2と近似することができるため,上式(1)は以下のように変形することができる。
3S1<2S…(2)
即ち,上記噴射口101それぞれの開口部の面積の合計値が上記対向面102の面積の略3分の2未満となるように上記噴射口101が形成されていれば,圧縮空気の圧力に影響されずに上記押上力と上記吸着力とのバランスがとり易くなり,上記ノズル体100を板状部材Tの振動等に追従して安定的に浮遊させると共に,充分な除去効果を得ることができる。
【0047】
ところで,本実施の形態例では上記距離d0が比較的0に近い0.1mmとなるようにノズル体100に供給される圧縮空気圧が調整されている。このように,離間距離dを0に近い値に設定する理由を以下に述べる。
図4に示すように,板状部材Tの上面T1に対して垂直方向に圧縮空気が吹き付けられて,上記圧縮空気が上記板状部材Tに衝突する範囲の面積(図4中の破線で囲まれた面積)をW,上記板状部材Tに圧縮空気が衝突するまでの圧縮空気の流速(離間距離dにおける平均流速)をVとすると,WV2の値が大きいほど,板状部材Tの上面T1上の付着物を除去する力が大きいと考えられる。ここで,上記ノズル体100の噴射口101から噴射される圧縮空気の流量をQとすると,Q≒WVと近似することができるため,
WV2≒QV…(3)
と表わすことができる。ここで,噴射される流量Qが一定の場合は,上式(3)より,流速Vが大きいほど付着物を除去する力が大きいということは容易に理解できる。
一般に,ノズル体100の噴射口101から圧縮空気が噴射されると,その圧縮圧が解放されて圧縮空気が放射状に吹き出されるため,流速Vは噴射口101から離れるに従って低下する。また,上記離間距離dの空間に介在する大気も抵抗となって流速Vを低下させる要因となる。従って,流量Qが一定の場合は,離間距離dが小さいほど,上記流速Vは大きくなるため,上記付着物を除去する力が大きくなる。このような理由により,本実施の形態例では上記距離d0が比較的0に近い値0.1mmとなるようにノズル体100に供給される圧縮空気圧を設定している。
【実施例1】
【0048】
次に,図6を用いて,本発明の第1の実施例に係る付着物除去装置X1について説明する。
この実施例における付着物除去装置X1が上記実施の形態における付着物除去装置Xと異なるところは,図6に示されるように,前記ノズル体100に代えて,板状部材Tの上面T1に対向する対向面102に溝107が設けられたノズル体100aを用いる点にある。なお,上述の実施の形態の構成要素と同一の構成要素については上述の実施の形態と同符号を付してその説明を省略する。ここに,図6(a)は上記ノズル体100aの長手方向(図6の左右方向)の鉛直断面を示す断面模式図であり,(b)は(a)の矢印Bからみた上記ノズル体100aの模式図である。図6中には前記ノズル体100に形成された溝106(図2参照)は図示されていないが,上記ノズル体100aは上記溝106が形成されたものであってもかまわない。
図6に示すように,上記溝107は,上記板状部材Tの搬送方向W2(図6(b)参照)に直交する方向に4つの噴射口101それぞれを連通するよう形成されている。これにより,例えば上記噴射口101が少数であっても,4つの噴射口101から噴射された圧縮空気を上記板状部材Tの上面T1の幅方向全域に均等に噴射させることが可能となる。
【実施例2】
【0049】
続いて,図7を用いて,本発明の第2の実施例に係る付着物除去装置X2について説明する。
この実施例では,前記ノズル体100に代えて図7に示されるノズル体100bが用いられる。上記付着物除去装置X2が具備するノズル体100bは,その対向面102に,板状部材Tの搬送方向W2(図7(a)参照)及びノズル体100bの移動方向W1(図7(b)参照)と略直交する方向W3に直列に4つの噴射口101が配列されており,更に,上記直列に配列された4つの噴射口を1組とする噴射口列101aと略同じ噴射口列101bが上記方向W3に並列に所定間隔を隔てて上記方向W2の下流側に配列されている。このように上記噴射口列101a,101bが並列に配列されることにより,上記噴射口列101aでは除去できなかった付着物が上記板状部材Tに残存した場合でも,上記板状部材Tの搬送方向W2下流側に配列された上記噴射口列101bによって付着物の除去処理が行われるため,付着物の除去効果がより一層向上され得る。なお,この実施例では,上記したように2列の噴射口列(101a,101b)が形成されたノズル体100bについて例示したが,特に2列に限定されることはない。
また,上記ノズル体100bには,上記板状部材Tの搬送方向W2及び上記ノズル体100bの移動方向W1と略直交する方向W3に長い開口部を有する平面ノズル108が形成されている。このような平面ノズル108が形成されることにより,圧縮空気を上記板状部材Tの上面T1の幅方向全域に均等に噴射させることが可能となる。
ここで,上述した噴射口101はいずれも上記ノズル体100,100a等をその移動方向W1に移動させるために上記板状部材Tに対して略垂直に圧縮空気を噴射するように形成されている。しかし,上記板状部材Tに垂直に噴射された圧縮空気は専ら付着物を剥離するよう作用するが,剥離した付着物を板状部材Tの搬送方向W2上流側へ吹き飛ばす作用は少ない。もちろん,上記付着物除去装置X2には,上記噴射口101から噴射された圧縮空気を上記板状部材Tの搬送方向上流側へ導く溝106が形成されているが,この溝106を流れる空気流は上記噴射口101から噴射された圧縮空気の一部を利用したものであるため,剥離した付着物を搬送方向W2上流側へ吹き飛ばす作用はさほど大きくない。また,噴射した圧縮空気の一部が上記溝106を流れるため,付着物を剥離させる力が低減されることにもなる。そのため,この実施例では,図7(b)に示すように,上記板状部材Tの搬送方向上流側に圧縮空気を噴射させるべく,上記平面ノズル108に傾斜角がつけられている。
【0050】
また,上記ノズル体100bには,上記噴射口101から噴射され,上記対向面102と上記板状部材Tとの間の空間を流れる空気を滞留させる空気溜まり109a(気体溜まりの一例に相当)が形成されている。これは,剥離された付着物を効率よく取り除くために,上記対向面102側に剥離された付着物を有する空気を溜めるためのものである。また,上記対向面102とは逆の面103側には上記空気溜まり109a内の空気を外部に逃がすために,上記空気溜まり109aを外部へ導く空気逃がし孔109b(連通孔の一例に相当)が形成されている。
上記空気溜まり109a及び空気逃がし孔109bが無ければ,圧縮空気の噴射により剥ぎ取られた付着物が上記対向面102に衝突して再付着し,上記噴射口101などが付着物で詰まったり,吹き飛ばされた付着物が上記板状部材Tに再付着するという問題が生じるおそれがあるが,本実施例では,上記空気溜まり109a及び空気逃がし孔109bが設けられているため,剥がされた付着物を含む空気が上記空気溜まり109aに滞留し,その滞留した空気が上記空気逃がし孔109bを通って外部へ押し出されるようにして排出される。そのため,上記問題が軽減される。
なお,上記空気逃がし孔109bに配管やフレキシブルホースなどで接続されたブロアファン(吸気手段の一例に相当)を配設してもよい。上記ブロアファンを駆動させて,上記空気逃がし孔109bから上記空気溜まり190a内の空気を吸引するようにすれば,付着物を含む空気をより効率よく排出することが可能となる。
【実施例3】
【0051】
次に,図8のブロック図を用いて,本発明の第3の実施例について説明する。この実施例に係る付着物除去装置X3は,ノズル体100b(第2の実施例,図7参照)に設けられた上記空気逃がし孔109bと,吸気手段の一例であるブロアファン121とを接続する管路に,上記空気逃がし孔190bから排出された空気内に含まれる液状或いは霧状の圧延油(液状付着物の一例)を空気と分離して装置外に設けられたオイルタンク130などに回収する油分離機120(付着物分離回収手段の一例)と,分離された圧延油をオイルタンク130に導くイジェクタ122とを備えて構成されている。なお,本付着物除去装置X3の他の構成要素については上述の第2の実施例に係る付着物除去装置X2の構成と同様であるため,ここでは他の構成要素の説明を省略する。
【0052】
上記油分離機120としては種々のものが考えられるが,ここでは,空気から圧延油のみを分離するオイルフィルタ120aが内部に配設され,上記オイルフィルタ120aにより分離された圧延油を貯留するドレン孔120c付きのドレン層120bを有する装置を例示する。
上記イジェクタ122は,上記ドレン孔120cに連結されており,外部から供給される圧縮空気を上記イジェクタ122で還流させることにより上記イジェクタ122内部で生じる負圧を利用して,上記ドレン層120bから圧延油を吸引してオイルタンク130へ導くものである。上記ブロア121の運転中は,上記上記油分離機120では,ノズル体100bからオイルフィルタ120aを通ってブロア121へ抜ける流路に沿って空気が流れるため,その空気流により生じる負圧が原因となって上記ドレン層120bの圧延油が上記ドレン孔120cから排出されにくくなるが,本付着物除去装置X3には上記イジェクタ122が設けられているため,上記ブロア121の運転中であっても,上記圧延油を強制的に排出させることが可能となる。
【0053】
このように構成された本付着物除去装置X3では,上記空気逃がし孔190bから排出された空気が上記油分離機120に送り込まれると,上記オイルフィルタ120aによって圧延油が分離される。そして,圧延油が分離された空気は,上記ブロアファン121により上記油分離機120から吸い出されて外部に排出される。一方,上記オイルフィルタ120aにより分離された圧延油は,上記ドレン層120bに貯留される。そして,上記ドレン層120bに溜まった圧延油は,上記イジェクタ122によって上記ドレン孔120cから吸い出されて,上記オイルタンク130へ向けて排出される。
なお,上記イジェクタ122へ圧縮空気を常時供給すると,ドレン層120bの圧延油が全て排出された場合は,上記ドレン孔120cから空気が排出されてしまい,圧延油の分離効率が低下だけでなく,ブロア121が高負荷となるというおそれがある。そのため,間欠的に,即ち,所定時間毎に上記イジェクタ122へ圧縮空気を供給することが好ましい。或いは,上記ドレン層120bにフロースイッチなどを設けておき,所定の圧延油が貯留されたことを示す上記フロースイッチからの出力信号を受けたことを条件に,圧縮空気切換弁などを動作させて所定時間だけ圧縮空気を供給するようにしてもかまわない。
【0054】
このように,本付着物除去装置X3では,空気と圧延油とが分離され,圧延油がオイルタンク130に回収されるため,圧延油を含む空気が大気中に放出されずに済み,人体或いは環境に与える害を除去することが可能となる。排出された圧延油が回収されるため,圧延油の再利用が可能となりうる。
この実施例では,圧延油を分離して回収する例について述べてきたが,例えば,圧延油以外の液状の付着物を分離回収する場合にも,本実施例に係る付着物除去装置X3を適用することが可能である。
また,上記オイルフィルタに代えて塵埃などの固形の付着物を排出された空気から分離する図示しないエアフィルタを設ければ,液状付着物に限らず,固形の付着物をも分離回収することが可能となる。
【実施例4】
【0055】
次に,図9を用いて,本発明の第4の実施例について説明する。この実施例に係る付着物除去装置X4には,上記板状部材Tの上面T1側だけでなく,下面T2側にも上述した実施の形態におけるノズル体100が設けられている。ここで,上記ノズル体100が上記板状部材Tの下面T2側に設けられた場合は,上記上面T1側に設けた場合とは逆方向に圧縮空気を噴射させるように上記ノズル体100を配置しなければならない。そのため,この場合は,図9に示されるように,上記ノズル体100がその自重により下方に移動することを防止すると共に,上記ノズル体100を板状部材Tの下面T2に略垂直な方向W1へ移動自在に支持するため,上記ノズル体100をつるまきバネ等の弾性部材113により弾性的に支持している。このように構成されることにより,上記板状部材Tの両面における付着物を除去することが可能となるだけでなく,上記ノズル体100の上下方向へのオーバーシュートやアンダーシュート,或いはハンチングを防止することが可能となる。
【実施例5】
【0056】
上述の実施の形態及び各実施例に係る付着物除去装置では,上記板状部材の上方に上記ノズル体100が配設されている場合は,上記空気圧源5から供給される圧縮空気の圧力が何らかの原因で低下することにより,上記ノズル体100が落下して上記板状部材Tを損傷させるという問題点がある。ここで説明する本発明の第5の実施例に係る付着物除去装置X5は,上記問題点を解決し得るよう構成されている。
具体的には,図10のブロック図に示すように,前記した減圧弁3,エアフィルタ4,コントローラ1,及びノズル体100に加え,予め定められた作動圧力値(規定圧力値)に設定された圧力スイッチ7と,圧縮空気が供給されることにより作動するシリンダ140(駆動手段の一例)とを備えて構成されている。また,上述の実施形態及び実施例の構成とはことなり,上記電磁弁2に代えて3方切り換え可能な3方電磁弁2aが用いられている。
【0057】
上記シリンダ140は,内部にバネなどの弾性部材140aとピストン140bとを備えた単動式のシリンダであって,所定の圧力(少なくとも上記弾性部材140aによる付勢力以上の力をピストン140bに作用させ得る空気圧力)以上の圧縮空気が空気供給室140dに供給されると,上記弾性部材140aの付勢方向とは逆の方向(上記弾性部材140aを圧縮させる方向)へ上記ピストン140bが作動するものである。このシリンダ140は,上記ピストン140bが鉛直方向へ作動し,かつ,圧縮空気の供給により上記ピストン140bが上方向へ作動するように支持部材141に取り付けられている。
また,上記ピストン140bの下方に伸びるピストン軸140cは,前記した弾性部材113(図9参照)を介して上記ノズル体100を支持する支持部材142に連結されている。このように連結されることで,上記ピストン140bが作動すると,上記ノズル体100が板状部材Tの表面に略垂直な方向へ持ち上げられることになる。
【0058】
上記電磁弁2aは,1つの入力ポートと2つの出力ポートを有する3方電磁弁であり,入力ポートP1は空気圧源5に配管接続されている。一方,2つの出力ポートのうち,消磁されることにより空気圧減5と連通するポートP2は上記シリンダ140の空気供給室140dに配管接続されており,励磁されることにより空気圧減5と連通するポートP3は上記減圧弁3に配管接続されている。
上記圧力スイッチ7は,上記ノズル体100に供給される圧縮空気が予め定められた規定圧力未満となった場合に検出信号をコントローラ1に送信する。なお,上記規定圧力は,ノズル体100を浮上させるのに最低限必要な圧力である。
【0059】
このように構成された本付着物除去装置X5では,圧縮空気が供給されることにより上記ノズル体100が浮遊(浮上)している最中に,上記圧力スイッチ7から上記コントローラ1へ検出信号が出力されると,上記3方電磁弁2aが上記コントローラ1によって消磁される。これにより,上記3方電磁弁2aが作動して,出力ポートP3が閉じられ,そして,出力ポートP2が開けられる。その後,上記出力ポートP2を介して圧縮空気が上記空気供給室140dに供給される。なお,上述の如く上記3方電磁弁2aを制御する上記コントローラ1が駆動制御手段に相当する。
上記シリンダ140では,上記空気供給室140dに圧縮空気が供給されると,ピストン140bが上方へ移動し,上記ノズル体100が上記ピストン140bの移動に伴って上方へ持ち上げられる。
このように,ノズル体100へ供給される圧縮空気の圧力が規定圧力未満になった場合は,上記ノズル体100が上記シリンダ140により持ち上げられるため,上記ノズル体100の落下による上記板状部材Tの損傷が防止される。
【0060】
なお,この第5の実施例では,板状部材Tの上面側にノズル体100が配設された場合について説明したが,もちろん,上述の第4の実施例で説明したように,上記板状部材Tの下面側にノズル体100が配設された場合にも同じように適用することが可能である。 なお,この場合は,ピストン140bが作動することにより上記板状部材Tの下面から下方へノズル体100を引き下げるように上記シリンダ140が配設される。
また,この実施例では,駆動手段として単動式のシリンダ140を用いた例について示したが,例えば,複動式のシリンダを用いる例であってもかまわない。
【図面の簡単な説明】
【0061】
【図1】本発明の実施の形態に係る付着物除去装置Xの空気制御システムの概略を説明するブロック図。
【図2】付着物除去装置Xのノズル体及びを説明する模式図。
【図3】ノズル体100に作用する力Fと,離間距離dとの関係を表す図。
【図4】離間距離dと付着物除去効果との関係を説明する模式図。
【図5】噴射口101の近傍の圧力分布を示す図。
【図6】本発明の第1の実施例に係る付着物除去装置X1のノズル体100aを説明する模式図。
【図7】本発明の第2の実施例に係る付着物除去装置X2のノズル体100bを説明する模式図。
【図8】本発明の第3の実施例に係る付着物除去装置X3の概略構成を示すブロック図。
【図9】本発明の第4の実施例に係る付着物除去装置X4のノズル体100cを説明する模式図。
【図10】本発明の第5の実施例に係る付着物除去装置X5の概略構成を示すブロック図。
【図11】本発明の実施形態に用いられる磁石の配置を示す図。
【図12】図11に示した磁石の磁力線の概念を示す図。
【図13】磁石の数と振動抑制効果(振動減衰率)の関係を示すグラフ。
【図14】図11に示した磁石の詳細図。
【図15】本発明における振動抑制原理を示す図。
【符号の説明】
【0062】
1…コントローラ
2…電磁弁
3…減圧弁
4…エアフィルタ
5…空気圧源
6…管路
7…圧力スイッチ
100…ノズル体
101…噴射口
102…対向面
104…供給口
105…連通路
106…溝
107…溝
108…平板ノズル
109a…空気溜まり
109b…空気逃がし孔
110…スライド機構
111…スライドバー
112…スライドガイド
113…弾性部材
120…油分離機
121…ブロア
122…イジェクタ
130…オイルタンク
140…シリンダ
300…磁石
302…磁石ホルダ
【出願人】 【識別番号】000001199
【氏名又は名称】株式会社神戸製鋼所
【出願日】 平成18年8月11日(2006.8.11)
【代理人】 【識別番号】100084135
【弁理士】
【氏名又は名称】本庄 武男


【公開番号】 特開2008−43858(P2008−43858A)
【公開日】 平成20年2月28日(2008.2.28)
【出願番号】 特願2006−220704(P2006−220704)