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【発明の名称】 液体移送方法および液体移送装置
【発明者】 【氏名】山嵜 和幸

【氏名】坂田 和之

【氏名】中條 数美

【氏名】片岡 正紀

【要約】 【課題】移送効率を向上できて省エネルギー化及び移送配管内洗浄を達成できる液体移送方法および液体移送装置を提供する。

【構成】この液体移送装置によれば、マイクロナノバブル発生ユニット7によってマイクロナノバブルを液体に含有させて移送配管11内を移送する。これより、マイクロナノバブルを含有していない液体を移送する場合に比べて、移送配管11内での配管摩擦抵抗を低減できる。また、マイクロナノバブルを含有する液体によって移送配管内洗浄ができる。よって、移送効率を向上でき、移送ポンプの消費電力を低減できて、省エネルギー化を達成できる。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
液体にマイクロナノバブルを含有させて、透視度計による上記液体の透視度が15cm以下となるようにし、
このマイクロナノバブルを含有する液体を、移送ポンプによって移送配管を経由して移送先装置に移送することを特徴とする液体移送方法。
【請求項2】
請求項1に記載の液体移送方法において、
上記移送ポンプによって、マイクロナノバブル発生機を有するマイクロナノバブル発生ユニットへ液体を移送し、
上記マイクロナノバブル発生ユニットで上記液体にマイクロナノバブルを含有させ、
上記マイクロナノバブルを含有した液体を移送配管を経由して移送先装置に移送することを特徴とする液体移送方法。
【請求項3】
請求項2に記載の液体移送方法において、
上記移送ポンプは、上記マイクロナノバブル発生機へ上記液体を移送すると共に上記マイクロナノバブルを含有した液体を上記移送先装置に移送することを特徴とする液体移送方法。
【請求項4】
液体にマイクロナノバブルを含有させるマイクロナノバブル発生ユニットと、
透視度計による透視度が15cm以下となる様にマイクロナノバブルを含有した液体を移送配管を経由して移送先装置に移送する移送ポンプを有することを特徴とする液体移送装置。
【請求項5】
請求項4に記載の液体移送装置において、
上記マイクロナノバブル発生ユニットは、
上記移送ポンプによって液体が導入されると共にこの液体にマイクロナノバブルを含有させて上記マイクロナノバブルを含有する液体を上記移送配管に吐出することを特徴とする液体移送装置。
【請求項6】
請求項4に記載の液体移送装置において、
上記移送先装置が生物処理装置であることを特徴とする液体移送装置。
【請求項7】
請求項4に記載の液体移送装置において、
上記移送先装置が物理処理装置であることを特徴とする液体移送装置。
【請求項8】
請求項4に記載の液体移送装置において、
上記移送先装置が化学処理装置であることを特徴とする液体移送装置。
【請求項9】
請求項4に記載の液体移送装置において、
液体が導入される原水槽を備え、
上記移送ポンプは、上記原水槽内の液体を上記マイクロナノバブル発生ユニットに送出する原水槽ポンプであることを特徴とする液体移送装置。
【請求項10】
請求項9に記載の液体移送装置において、
上記マイクロナノバブル発生ユニットが吐出するマイクロナノバブル含有液体を上記原水槽に返送する返送部を有することを特徴とする液体移送装置。
【請求項11】
請求項4に記載の液体移送装置において、
上記移送先装置は、急速ろ過機と3塔以上の活性炭吸着塔とを有することを特徴とする液体移送装置。
【請求項12】
請求項4に記載の液体移送装置において、
上記液体はスラリー含有水であり、
上記移送先装置は膜を有する脱水機又は道路における排水管路又は建物の排水管であることを特徴とする液体移送装置。
【請求項13】
請求項4に記載の液体移送装置において、
上記移送先装置は、精密ろ過膜装置であることを特徴とする液体移送装置。
【請求項14】
請求項4に記載の液体移送装置において、
上記移送先装置は、限外ろ過膜装置であることを特徴とする液体移送装置。
【請求項15】
請求項4に記載の液体移送装置において、
上記移送先装置は、逆浸透膜装置であることを特徴とする液体移送装置。
【請求項16】
請求項4に記載の液体移送装置において、
上記移送先装置は、ナノろ過膜装置であることを特徴とする液体移送装置。
【発明の詳細な説明】【技術分野】
【0001】
この発明は、液体移送方法および液体移送装置に関する。例えば、ポンプの吐出側にマイクロナノバブル発生ユニットを設置して、マイクロナノバブルを効率的に発生させてマイクロナノバブル含有液体を作製することで、吐出側配管内の洗浄作用及び吐出側配管内の摩擦抵抗を低減する液体移送方法および液体移送装置に関する。また、この発明は、一例として、液体の移送先の各種装置に対して、マイクロナノバブルの持つ、生物処理における微生物活性作用、各種膜に対する摩擦抵抗低減作用により、移送先の各種装置の性能向上を図れる液体移送方法および液体移送装置に関する。
【背景技術】
【0002】
液体の移送方法や移送装置では、電気エネルギーでポンプを駆動して、液体を移送するのであるが、効率を向上させて省エネルギー化を達成することが求められている。又、液体を配管を用いて移送する場合、配管内の洗浄が求められている。
【特許文献1】特開2004−121962号公報
【特許文献2】特開2003−334548号公報
【特許文献3】特開2004−321959号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
そこで、この発明の課題は、移送効率を向上できて省エネルギー化を達成できると同時に移送配管内を洗浄できる液体移送方法および液体移送装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0004】
上記課題を解決するため、この発明の液体移送方法は、液体にマイクロナノバブルを含有させて、透視度計による上記液体の透視度が15cm以下となるようにし、
このマイクロナノバブルを含有する液体を、移送ポンプによって移送配管を経由して移送先装置に移送することを特徴としている。
【0005】
この発明の液体移送方法によれば、マイクロナノバブルを液体に含有させて移送配管内を移送することによって、マイクロナノバブルを含有していない液体を移送する場合に比べて、移送配管内での配管摩擦抵抗が低減する。これにより、移送効率を向上でき、移送ポンプの消費電力を低減できて、省エネルギー化を達成できる。また、上記マイクロナノバブル含有液体で移送配管内を洗浄する事ができる。一例として、本発明によれば、同じ消費電力でも従来に比べて、液体移送量を約2割程度増やすことができた。
【0006】
なお、マイクロバブルとは、その発生時において、10〜数10μmの気泡径を有する気泡であり、このマイクロバブルは、発生後に収縮運動により『マイクロナノバブル』に変化する。このマイクロナノバブルとは、10μmから数百nm前後の直径を有する超微細気泡である。また、ナノバブルとは、数百nm以下の直径を有する超微細気泡である。
【0007】
また、一実施形態の液体移送方法は、上記移送ポンプによって、マイクロナノバブル発生機を有するマイクロナノバブル発生ユニットへ液体を移送し、
上記マイクロナノバブル発生ユニットで上記液体にマイクロナノバブルを含有させ、
上記マイクロナノバブルを含有した液体を移送配管を経由して移送先装置に移送する。
【0008】
この実施形態の液体移送方法によれば、マイクロナノバブル発生機を有するマイクロナノバブル発生ユニットでもって、効率よくマイクロナノバブルを発生させて、液体に含有させることができる。
【0009】
また、一実施形態の液体移送方法は、上記移送ポンプは、上記マイクロナノバブル発生機へ上記液体を移送すると共に上記マイクロナノバブルを含有した液体を上記移送先装置に移送する。
【0010】
この実施形態の液体移送方法によれば、上記移送ポンプに、マイクロナノバブル発生機へ液体を供給する役割と、移送先装置へ液体を移送する役割との両方の役割を兼ねさせることができる。
【0011】
また、一実施形態の液体移送装置は、液体にマイクロナノバブルを含有させるマイクロナノバブル発生ユニットと、
透視度計による透視度が15cm以下となる様に上記マイクロナノバブルを含有した液体を移送配管を経由して移送先装置に移送する移送ポンプを有する。
【0012】
この実施形態の液体移送装置によれば、マイクロナノバブルを液体に含有させて移送配管内を移送することによって、マイクロナノバブルを含有していない液体を移送する場合に比べて、移送配管内での配管摩擦抵抗が低減する。また、マイクロナノバブルを含有する液体で移送配管内を洗浄することができる。これにより、移送効率を向上でき、移送ポンプの消費電力を低減できて、省エネルギー化を達成できる。一例として、本発明によれば、同じ消費電力でも従来に比べて、液体移送量を約2割程度増やすことができた。
【0013】
また、一実施形態の液体移送装置は、上記マイクロナノバブル発生ユニットは、上記移送ポンプによって液体が導入されると共にこの液体にマイクロナノバブルを含有させて上記マイクロナノバブルを含有する液体を上記移送配管に吐出する。
【0014】
この実施形態の液体移送装置によれば、移送ポンプは、マイクロナノバブル発生ユニットに液体を導入する役割と、移送先装置へ液体を移送する役割との両方の役割を兼ねさせることができる。
【0015】
また、一実施形態の液体移送装置は、上記移送先装置が生物処理装置である。
【0016】
この実施形態の液体移送装置によれば、生物処理装置までの移送配管における配管摩擦抵抗を低減できる上に移送配管を洗浄でき、液体が含有するマイクロナノバブルによって、生物処理装置における微生物を活性化でき、生物処理装置による生物処理性能を向上させることができる。
【0017】
また、一実施形態の液体移送装置は、上記移送先装置が物理処理装置である。
【0018】
この実施形態の液体移送装置によれば、物理処理装置までの移送配管における配管摩擦抵抗を低減できる上に移送配管を洗浄でき、液体が含有するマイクロナノバブルによって、物理処理装置における物理処理の性能を向上させることができる。
【0019】
また、一実施形態の液体移送装置は、上記移送先装置が化学処理装置である。
【0020】
この実施形態の液体移送装置によれば、化学処理装置までの移送配管における配管摩擦抵抗を低減できる上に移送配管を洗浄でき、液体が含有するマイクロナノバブルによって、化学処理装置における化学処理の性能を向上させることができる。
【0021】
また、一実施形態の液体移送装置は、液体が導入される原水槽を備え、上記移送ポンプは、上記原水槽内の液体を上記マイクロナノバブル発生ユニットに送出する原水槽ポンプである。
【0022】
この実施形態の液体移送装置によれば、液体移送装置の構成をシンプルにできるので、液体移送装置を容易に構築できる。また、マイクロナノバブル発生ユニットも原水槽に比べて小さなユニットであることから、液体移送装置を低コストで実現可能となる。
【0023】
また、一実施形態の液体移送装置は、上記マイクロナノバブル発生ユニットが吐出するマイクロナノバブル含有液体を上記原水槽に返送する返送部を有する。
【0024】
この実施形態の液体移送装置によれば、返送部がマイクロナノバブル含有液体を原水槽に返送するので、移送配管での配管摩擦抵抗を低減できるだけでなく、原水ポンプでの摩擦抵抗を低減できる。よって、より一層の効率向上を図れる。
【0025】
また、一実施形態の液体移送装置では、上記移送先装置は、急速ろ過機と3塔以上の活性炭吸着塔とを有する。
【0026】
この実施形態の液体移送装置によれば、1台の移送ポンプによって、従来よりも多くの3塔以上の活性炭吸着塔まで通水できることとなる。従来では、通水摩擦抵抗に起因して、2塔の活性炭吸着塔までしか通水できなかった。
【0027】
また、一実施形態の液体移送装置では、上記液体はスラリー含有水であり、上記移送先装置は膜を有する脱水機又は道路における排水管路又は建物の排水管である。
【0028】
この実施形態の液体移送装置によれば、液体にマイクロナノバブルを含有させることで、配管摩擦抵抗を低減させて移送能力を増強させているので、配管摩擦抵抗を招くスラリーを含有する水を、膜を有する脱水機に通水することが可能となる。又、道路における排水管路又は建物の排水管をマイクロナノバブルで洗浄する事ができる。従来は、例えば、スラリーによる配管摩擦抵抗に起因して、通水量を充分に確保できないという課題があった。又、道路における排水管路又は建物の排水管を洗浄しにくい課題があった。
【0029】
また、一実施形態の液体移送装置では、上記移送先装置は、精密ろ過膜装置である。
【0030】
この実施形態の液体移送装置によれば、液体が含有するマイクロナノバブルによって精密ろ過膜装置における摩擦抵抗を低減できるので、精密ろ過膜装置の処理能力を向上できる。
【0031】
また、一実施形態の液体移送装置では、上記移送先装置は、限外ろ過膜装置である。
【0032】
この実施形態の液体移送装置によれば、液体が含有するマイクロナノバブルによって限外ろ過膜における摩擦抵抗を低減できるので、限外ろ過膜装置の処理能力を向上できる。
【0033】
また、一実施形態の液体移送装置では、上記移送先装置は、逆浸透膜装置である。
【0034】
この実施形態の液体移送装置によれば、液体が含有するマイクロナノバブルによって逆浸透膜における摩擦抵抗を低減できるので、逆浸透膜装置の処理能力を向上できる。
【0035】
また、一実施形態の液体移送装置では、上記移送先装置は、ナノろ過膜装置である。
【0036】
この実施形態の液体移送装置によれば、液体が含有するマイクロナノバブルによってナノろ過膜における摩擦抵抗を低減できるので、ナノろ過膜装置の処理能力を向上できる。
【発明の効果】
【0037】
この発明の液体移送方法によれば、マイクロナノバブルを液体に含有させて移送配管内を移送することによって、マイクロナノバブルを含有していない液体を移送する場合に比べて、移送配管内での配管摩擦抵抗が低減する。また、マイクロナノバブル含有液体による配管内の洗浄もできる。これにより、移送効率を向上でき、移送ポンプの消費電力を低減できて、省エネルギー化を達成できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0038】
以下、この発明を図示の実施の形態により詳細に説明する。
【0039】
(第1の実施の形態)
図1は、この発明の液体移送装置の第1実施形態を模式的に示す図である。
【0040】
符号1は、原水槽であり、移送するべき液体としての水等が導入される。
【0041】
この第1実施形態の液体移送装置は、原水槽1、原水槽ポンプ2、マイクロナノバブル発生ユニット7、マイクロナノバブル発生ユニット7に対して遠距離に設置されている移送先装置13を備えている。この遠距離とは、一例として、50m〜100mであるが、例えば、下限値としては10mであり、上限値としては400mであるが、この範囲に限定されるものではないことは勿論である。
【0042】
この第1実施形態における液体としては、具体的にはあらゆる産業界で発生する排水、工業用水、上水などが適合する。また、上記移送先装置13としては、例えば、上記排水を処理する装置、上記工業用水を使用する工業機械、上記上水を使用する各種装置等が挙げられる。
【0043】
符号2は、移送ポンプとしての原水槽ポンプである。この原水槽ポンプ2は、バルブ3を有する配管L1,L2でマイクロナノバブル発生ユニット7に接続されている。この配管L2は、マイクロナノバブル発生ユニット7内に設置されたマイクロナノバブル発生機10に接続されている。また、配管L1とL2は、上下に合わさったフランジ部23Aでつなぎ合わされている。
【0044】
したがって、原水槽ポンプ2は、原水槽1に貯留された液体を配管L1,L2を通してマイクロナノバブル発生ユニット7のマイクロナノバブル発生機10に供給する。なお、原水槽ポンプ2がマイクロナノバブル発生機10に供給する流量は、バルブ3によって調整される。
【0045】
マイクロナノバブル発生ユニット7では、マイクロナノバブル発生機10は配管L2から供給された液体に対してマイクロナノバブルを発生する。これにより、上昇水流6が発生する。また、このマイクロナノバブル発生機10への空気の供給は空気吸い込み管5で行われるが、この空気の供給量はバルブ4によって調整される。なお、このバルブ4はニードルバルブとするが望ましい。ニードルバルブは空気量を調整するのに最も適している。そして、マイクロナノバブル発生ユニット7では、例えば、バルブ3,バルブ4を調節することで、マイクロナノバブル発生機10によるマイクロナノバブルの発生量を調整できる。この調整により、例えば、このマイクロナノバブル発生ユニット7内では、マイクロナノバブルを含有する液体の透視度計による透視度を15cm以下にできる。
【0046】
なお、マイクロナノバブル発生機7は、市販されているものを採用可能であるが、メーカーを限定するものではない。具体的一例としては、ここでは、マイクロナノバブル発生機7として、株式会社 ナノプラネット研究所と株式会社オーラテックのものを採用した。
【0047】
このマイクロナノバブル発生ユニット7は、槽8Aと、槽8Aの上方開口を塞ぐフランジ蓋8Bを有し、フランジ蓋8Bは槽8Aにボルト9で締結されている。このフランジ蓋8Bには配管L3が接続され、この配管L3は槽8A内に連通している。また、配管L3はフランジ部23Bで移送配管11に接続されている。ここで、上記マイクロナノバブル発生ユニット7は、上記ボルト9をゆるめることでフランジ蓋8Bを取り外すことができる。また、上下フランジ部23A,23Bの接合を解除することによって、配管L1,移送配管11からマイクロナノバブル発生ユニット7を取り外すことができる。
【0048】
なお、槽8A,蓋8Bの両方または一方を透明な材料で構成すれば、マイクロナノバブルの発生状態を容易に視認可能となる。
【0049】
上記移送配管11は、移送先装置13に接続されている。なお、移送配管11は、符号12で表される遠距離配管を含んでいる。この遠距離配管12は、寸法が長い配管であり、例えば、100mである。この遠距離配管12の長さは、具体例として、400m乃至600mである場合があるが、この範囲に限定されるものではないことは勿論である。この遠距離配管12は、配管の寸法が長いので、この配管12内を流れる液体による配管摩擦抵抗が相当ある。このため、目的とする移送先装置13まで液体を移送するに際し、上記配管摩擦抵抗に起因して、移送ポンプとしての原水槽ポンプ2の負荷が増加し、原水槽ポンプ2の電力消費量が増加する。ここで、この実施形態では、マイクロナノバブル発生ユニット7において、上記液体をマイクロナノバブル含有液体にして、このマイクロナノバブル含有液体を透視度計による透視度が15cm以下となる様にしている。これにより、配管摩擦抵抗に起因する電力消費量の増大を抑制でき、一例として、従来に比べて、20%以上の電力消費量の低減を図れる。また、上記透視度が15cm以下のマイクロナノバブル含有液体によって配管内を洗浄できる。すなわち、この実施形態によれば、一例として、従来と同様の電力消費量でもって、液体移送量を20%以上増やすことができる。
【0050】
また、移送ポンプである原水槽ポンプ2の揚程が大きい場合(例えば10m〜15mもしくは15m以上である場合)に、液体がマイクロナノバブルを含有していることで、液体がマイクロナノバブルを含有していない場合に比べて揚水量を増やすことができる。したがって、この実施形態では、原水槽ポンプ2の揚程が大きい程、従来に比べて、より液体移送量を増やすことができる。
【0051】
一例として、図13に、渦巻きポンプ(動力1.5KW)を使用した場合において、揚程(m)と揚水量(リットル/分)との関係特性を示す。図13において、マイクロナノバブル含有水を使用した場合の特性K1を破線で示し、マイクロナノバブルを含有しない通常の水を使用した場合の特性K2を実線で示す。図13に示すように、通常水による特性K1では、揚程が10mである時に吐出量は220(リットル/分)であった。これに対し、マイクロナノバブル含有水による特性K1では、揚程が10mである時に吐出量は250(リットル/分)であった。つまり、揚程10mの一例では、マイクロナノバブル含有水を使用することで、通常水を使用する場合に比べて、揚水量を約14%増加することが分る。
【0052】
なお、マイクロバブルとは、その発生時において、10〜数10μmの気泡径を有する気泡であり、このマイクロバブルは、発生後に収縮運動により『マイクロナノバブル』に変化する。このマイクロナノバブルとは、10μmから数百nm前後の直径を有する超微細気泡である。また、ナノバブルとは、数百nm以下の直径を有する超微細気泡である。
【0053】
尚、上記第1実施形態では、マイクロナノバブル発生ユニット7を備えたが、原水槽1の中にマイクロナノバブル発生機10を設置して、原水槽1内でマイクロナノバブルを含有する液体を作製してもよい。
【0054】
(第2の実施の形態)
次に、図2に、この発明の液体移送装置の第2実施形態を示す。この第2実施形態は、図1に示す第1実施形態の移送先装置13に替えて、生物処理装置14を備えた点だけが、前述の第1実施形態と異なる。よって、この第2実施形態では、前述の第1実施形態と同じ部分については、同じ符号を付して詳細説明を省略し、前述の第1実施形態と異なる部分を説明する。
【0055】
この第2実施形態は、液体の移送先が、生物処理装置14である。よって、この第2実施形態によれば、マイクロナノバブル発生ユニット7から移送配管11に送出されたマイクロナノバブル含有液体は、配管摩擦抵抗を低減させるのみならず、生物処理装置14における微生物の活性を増加させることができる。よって、生物処理装置14による生物処理性能を向上できる。
【0056】
(第3の実施の形態)
次に、図3に、この発明の液体移送装置の第3実施形態を示す。この第3実施形態は、図1に示す第1実施形態の移送先装置13に替えて、物理処理装置15を備えた点だけが、前述の第1実施形態と異なる。よって、この第3実施形態では、前述の第1実施形態と同じ部分については、同じ符号を付して詳細説明を省略し、前述の第1実施形態と異なる部分を説明する。
【0057】
この第3実施形態は、液体の移送先が、物理処理装置15である。よって、この第3実施形態によれば、マイクロナノバブル発生ユニット7から移送配管11に送出されたマイクロナノバブル含有液体は、配管摩擦抵抗を低減させるのみならず、配管内洗浄及び物理処理装置15における物理的な単位操作に対して性能を向上できる。この物理処理装置15における物理的な単位操作の一例としては、各種膜による物理的なろ過がある。そして、マイクロナノバブル含有液体は、ろ過操作に対しても、性能を向上させることができる。
【0058】
(第4の実施の形態)
次に、図4に、この発明の液体移送装置の第4実施形態を示す。この第4実施形態は、図1の第1実施形態の移送先装置13に替えて、化学処理装置16を備えた点と、マイクロナノバブル発生ユニット7の空気吸い込み管5の先にオゾン発生機17が設置されている点とが、前述の第1実施形態と異なる。よって、この第4実施形態では、前述の第1実施形態と同じ部分については、同じ符号を付けて詳細説明を省略し、前述の第1実施形態と異なる部分を説明する。
【0059】
この第4実施形態では、液体の移送先が化学処理装置16であると共に、オゾン発生機17によって空気吸い込み管5からマイクロナノバブル発生機10にオゾンが供給される。よって、マイクロナノバブル発生ユニット7から移送配管11にオゾンマイクロナノバブル含有液体が送出される。このオゾンマイクロナノバブル含有液体は、配管摩擦抵抗を低減させるのみならず、配管内洗浄及び化学処理装置16における化学的な単位操作に対して性能を向上できる。例えば、オゾンマイクロナノバブル含有液体によれば、オゾンマイクロナノバブルによって酸化性能を向上できる。
【0060】
(第5の実施の形態)
次に、図5に、この発明の液体移送装置の第5実施形態を示す。この第5実施形態は、図1の第1実施形態の移送配管11がフランジ部23Aの先で分岐して原水槽1に至る返送部としての分岐配管L50を有している点が、前述の第1実施形態と異なる。よって、この第5実施形態では、前述の第1実施形態と同じ部分については同じ符号を付けて詳細な説明を省略して、前述の第1実施形態と異なる部分を説明する。
【0061】
図5に示すように、この第5実施形態では、分岐配管L50によって、マイクロナノバブル発生ユニット7から送出されるマイクロナノバブル含有液体を原水槽1に移送し導入している。なお、分岐配管L50,移送配管11は、それぞれバルブ53B,53Aを有し、このバルブ53B,53Aによって原水槽1に移送するマイクロナノバブル含有液体の流量を調節できる。
【0062】
この第5実施形態では、マイクロナノバブル発生ユニット7から送出されるマイクロナノバブル含有液体を移送先装置13だけでなく、原水槽1にも振り分けている。これにより、原水槽1には、マイクロナノバブル含有液体が貯留されることとなり、原水槽ポンプ2で、液体を配管L1,L2を通してマイクロナノバブル発生ユニット7に移送する際の配管摩擦抵抗を最大限低減できる。また、マイクロナノバブル含有液体でもって配管内洗浄ができる。そして、原水槽ポンプ2自体での摩擦抵抗も低減でき、一層の効率向上を図れる。
【0063】
(第6の実施の形態)
次に、図6に、この発明の液体移送装置の第6実施形態を示す。この第6実施形態は、図1の第1実施形態の移送先装置13に替えて、急速ろ過機18,第1活性炭吸着塔19,第2活性炭吸着塔20,第3活性炭吸着塔21を備えた点が、前述の第1実施形態と異なる。よって、この第6実施形態では、前述の第1実施形態と同じ部分については同じ符号を付けて詳細説明を省略し、前述の第1実施形態と異なる部分を説明する。
【0064】
図6に示すように、この第6実施形態では、マイクロナノバブル含有液体の移送先が、急速ろ過機18、第1活性炭吸着塔19、第2活性炭吸着塔20、第3活性炭吸着塔21である。すなわち、この実施形態では、液体が含有するマイクロナノバブルが配管摩擦抵抗を低減する上に、急速ろ過機18,第1〜第3活性炭吸着塔19〜21での摩擦抵抗を低減する。これにより、1台の移送ポンプとしての原水槽ポンプ2によって、従来よりも多くの3塔の活性炭吸着塔19〜21まで通水できることとなる。なお、第3活性炭吸着塔21を通った液体は処理水槽22に導入される。
【0065】
従来では、通水摩擦抵抗に起因して、2塔の活性炭吸着塔までしか通水できなかったのに対して、この第6実施形態では、3塔の活性炭吸着塔19〜21を備えたことで、従来の限界を越えたより高性能な水処理システムを構築できる。
【0066】
(第7の実施の形態)
次に、図7に、この発明の液体移送装置の第7実施形態を示す。この第7実施形態は、図1の第1実施形態における原水槽1に、界面活性剤を供給するための界面活性剤タンク28、界面活性剤タンク定量ポンプ29、配管L70を備えた点が、前述の第1実施形態と異なる。よって、この第7実施形態では、前述の第1実施形態と同じ部分については同じ符号を付けて詳細説明を省略して、前述の第1実施形態と異なる部分を説明する。
【0067】
この第7実施形態では、界面活性剤タンク28からの界面活性剤が界面活性剤タンク定量ポンプ29によって、配管L70を経由して、原水槽1に添加されている。よって、原水槽1では、界面活性剤が液体に添加されて混合され、この界面活性剤が添加された液体が原水槽ポンプ2によって、配管L1,L2を経由してマイクロナノバブル発生機10に圧送される。このマイクロナノバブル発生機10は、界面活性剤が混合されている液体によって、マイクロナノバブルの発生効率が格段に向上し、マイクロナノバブルを多量に発生する。
【0068】
したがって、遠距離に設置されている移送先装置13までの移送配管11における配管摩擦抵抗をより一層低減でき、より少ない電力使用量でもって液体を移送できる。また、上記マイクロナノバブルを含有する液体でもって、移送配管11の配管内の洗浄ができる。
【0069】
尚、界面活性剤は、低価格でしかも分解性の良いタイプを選定することが望ましいが、そのような界面活性剤は市場に多く存在している。
【0070】
(第8の実施の形態)
次に、図8に、この発明の液体移送装置の第8実施形態を示す。この第8実施形態は、図5の第5実施形態の液体がスラリー含有水である点と、移送先装置13が膜を有する脱水機24又は道路における排水管路又は建物の排水管である点とが、前述の第5実施形態と異なる。よって、この第8実施形態では、前述の第5実施形態と同じ部分については、同じ符号を付けて詳細説明を省略し、前述の第5実施形態と異なる部分を説明する。
【0071】
スラリー含有水は、配管摩擦抵抗が大きいので、特に、長距離配管である移送配管11の移送先装置としての膜を有する脱水機24まで移送することは、従来においては困難であった。また、従来においては道路における排水管路や建物の排水管を洗浄することは困難であった。
【0072】
この第8実施形態では、スラリー含有水を原水槽1に導入した後、マイクロナノバブル発生ユニット7からのマイクロナノバブルを含むスラリー含有水を左右のバルブ53B,53Aの開度を調整して、分岐配管L50から原水槽1に返送する。そして、マイクロナノバブル発生ユニット7は、マイクロナノバブルを含むスラリー含有水を作製して、従来とは全く性状の異なるマイクロナノバブル,スラリー含有水を、移送配管11を経由して膜を有する脱水機24に移送する。そのことにより、配管摩擦抵抗と脱水機24が有する膜に対する摩擦抵抗とが減少して、一例として、従来と同じ消費電力でもって移送量を2割増加させることができる上に、脱水機24の処理能力も1割程度向上できた。又、マイクロナノバブルを含むスラリー含有水を道路における排水管路や建物の排水管に導入する事によって排水管路や排水管を洗浄できた。
【0073】
つまり、この第8実施形態では、液体にマイクロナノバブルを含有させることで、配管摩擦抵抗を低減させて移送能力を増強させているので、配管摩擦抵抗を招くようなスラリーを含有する水を、膜を有する脱水機24に通水することが可能となる。又、排水管路や排水管をマイクロナノバブル含有スラリーで洗浄できた。
【0074】
(第9の実施の形態)
次に、図9に、この発明の液体移送装置の第9実施形態を示す。この第9実施形態は、図1の第1実施形態の移送先装置13を精密ろ過膜装置25にした点が前述の第1実施形態と異なる。よって、この第9実施形態では、前述の第1実施形態と同じ部分については同じ符号を付けて詳細な説明を省略し、前述の第1実施形態と異なる部分を説明する。
【0075】
この第9実施形態では、マイクロナノバブル発生ユニット7から移送配管11に送出されたマイクロナノバブル含有液体を移送先としての精密ろ過膜装置25に送出する。このマイクロナノバブル含有液体は、配管摩擦抵抗および膜に対する摩擦抵抗を低減できるので、精密ろ過膜装置25の膜面積当りの処理能力を向上できる。又、配管をマイクロナノバブル含有液体で洗浄できる。
【0076】
(第10の実施の形態)
次に、図10に、この発明の液体移送装置の第10実施形態を示す。この第10実施形態は、図1の第1実施形態の移送先装置13を限外ろ過膜装置26にした点が前述の第1実施形態と異なる。よって、この第10実施形態では、前述の第1実施形態と同じ部分については同じ符号を付けて詳細な説明を省略し、前述の第1実施形態と異なる部分を説明する。
【0077】
この第10実施形態では、マイクロナノバブル発生ユニット7から移送配管11に送出されたマイクロナノバブル含有液体を移送先としての限外ろ過膜装置26に送出する。このマイクロナノバブル含有液体は、配管摩擦抵抗および膜に対する摩擦抵抗を低減できるので、限外ろ過膜装置26の膜面積当りの処理能力を向上できる。又、配管をマイクロナノバブル含有液体で洗浄できる。
【0078】
(第11の実施の形態)
次に、図11に、この発明の液体移送装置の第11実施形態を示す。この第11実施形態は、図1の第1実施形態の移送先装置13をナノろ過膜装置27にした点が前述の第1実施形態と異なる。よって、この第11実施形態では、前述の第1実施形態と同じ部分については同じ符号を付けて詳細な説明を省略し、前述の第1実施形態と異なる部分を説明する。
【0079】
この第11実施形態では、マイクロナノバブル発生ユニット7から移送配管11に送出されたマイクロナノバブル含有液体を移送先としてのナノろ過膜装置27に送出する。このマイクロナノバブル含有液体は、配管摩擦抵抗および膜に対する摩擦抵抗を低減できるので、ナノろ過膜装置27の膜面積当りの処理能力を向上できる。又、配管をマイクロナノバブル含有液体で洗浄できる。なお、このナノろ過膜装置27は、2nm(ナノメートル)より小さい粒子や高分子を阻止する液体分離膜である。
【0080】
(第12の実施の形態)
次に、図12に、この発明の液体移送装置の第12実施形態を示す。この第12実施形態は、図1の第1実施形態の移送先装置13を逆浸透膜装置30にした点が前述の第1実施形態と異なる。よって、この第12実施形態では、前述の第1実施形態と同じ部分については同じ符号を付けて詳細な説明を省略し、前述の第1実施形態と異なる部分を説明する。
【0081】
この第12実施形態では、マイクロナノバブル発生ユニット7から移送配管11に送出されたマイクロナノバブル含有液体を移送先としての逆浸透膜装置29に送出する。このマイクロナノバブル含有液体は、配管摩擦抵抗および膜に対する摩擦抵抗を低減できるので、逆浸透膜装置30の膜面積当りの処理能力を向上できる。又、配管をマイクロナノバブル含有液体で洗浄できる。
【0082】
(実験例)
図1に示した第1実施形態の液体移送装置に対応する実験装置を製作した。この実験装置では、原水槽1の容量を約1mとし、原水ポンプ2の吐出量を150リットル/分とし、マイクロナノバブル発生ユニット7の容量を0.5mとし、移送配管11の配管距離を50mとして水を移送した。この実験装置において、水にマイクロナノバブルを含有させた場合と、水にマイクロナノバブルを含有させていない場合とで水の移送量を比較した。この比較の結果、水にマイクロナノバブルを含有させた場合は、移送配管11の末端で移送量が177リットル/分となり、水にマイクロナノバブルを含有させていない場合に比べて、移送量が18%増加した。
【図面の簡単な説明】
【0083】
【図1】この発明の水処理装置の第1実施形態を模式的に示す図である。
【図2】この発明の水処理装置の第2実施形態を模式的に示す図である。
【図3】この発明の水処理装置の第3実施形態を模式的に示す図である。
【図4】この発明の水処理装置の第4実施形態を模式的に示す図である。
【図5】この発明の水処理装置の第5実施形態を模式的に示す図である。
【図6】この発明の水処理装置の第6実施形態を模式的に示す図である。
【図7】この発明の水処理装置の第7実施形態を模式的に示す図である。
【図8】この発明の水処理装置の第8実施形態を模式的に示す図である。
【図9】この発明の水処理装置の第9実施形態を模式的に示す図である。
【図10】この発明の水処理装置の第10実施形態を模式的に示す図である。
【図11】この発明の水処理装置の第11実施形態を模式的に示す図である。
【図12】この発明の水処理装置の第12実施形態を模式的に示す図である。
【図13】マイクロナノバブルの摩擦抵抗低減による揚水量増加効果を示す特性図である。
【符号の説明】
【0084】
1 原水槽
2 原水槽ポンプ
3、4、53A、53B バルブ
5 空気吸い込み管
6 水流
7 マイクロナノバブル発生ユニット
8A 槽
8B フランジ蓋
9 ボルト
10 マイクロナノバブル発生機
11 移送配管
12 遠距離配管の略式記号
13 移送先装置
14 生物処理装置
15 物理処理装置
16 化学処理装置
17 オゾン発生機
18 急速ろ過機
19 第1活性炭吸着塔
20 第2活性炭吸着塔
21 第3活性炭吸着塔
22 処理水槽
23A、23B フランジ部
24 膜を有する脱水機
25 精密ろ過膜装置
26 限外ろ過膜装置
27 ナノろ過膜装置
28 界面活性剤タンク
29 界面活性剤タンク定量ポンプ
30 逆浸透膜装置
【出願人】 【識別番号】000005049
【氏名又は名称】シャープ株式会社
【出願日】 平成18年7月28日(2006.7.28)
【代理人】 【識別番号】100084146
【弁理士】
【氏名又は名称】山崎 宏

【識別番号】100100170
【弁理士】
【氏名又は名称】前田 厚司


【公開番号】 特開2008−29955(P2008−29955A)
【公開日】 平成20年2月14日(2008.2.14)
【出願番号】 特願2006−206240(P2006−206240)