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【発明の名称】 フィルム洗浄装置
【発明者】 【氏名】鈴 木 理 之

【要約】 【課題】フィルムの洗浄中にフィルムに異物が再付着することを防止し、これにより高い清浄性を有するフィルムロールを製造することができるフィルム洗浄装置を提供する。

【構成】フィルム洗浄装置10は、フィルム11が巻き出される巻き出し部12と、フィルム11に対して加圧した洗浄水を噴射して、フィルム11に付着したパーティクルを浮き出させる洗浄部21、22を含む洗浄室20とを備えている。リンス室30は、フィルム11表面のパーティクルをリンス水により洗い流すリンス部31、32を含んでいる。また、乾燥室50は、フィルム11を乾燥する乾燥部51、52を含み、巻き取り部13は、乾燥室50からのフィルム11を巻き取る。洗浄室20、リンス室30、および乾燥室50は、この順で下方から上方へ順次配置されている。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
フィルムが巻き出される巻き出し部と、
巻き出し部からのフィルムに対して加圧した洗浄水を噴射して、フィルムに付着したパーティクルを浮き出させる洗浄部を含む洗浄室と、
洗浄室に連結され、洗浄部で洗浄水が噴射されたフィルム表面のパーティクルをリンス水により洗い流すリンス部を含むリンス室と、
リンス室に連結され、リンス室からのフィルムを乾燥する乾燥部を含む乾燥室と、
乾燥室からのフィルムを巻き取る巻き取り部とを備え、
洗浄室、リンス室、および乾燥室は、この順で下方から上方へ順次配置されていることを特徴とするフィルム洗浄装置。
【請求項2】
洗浄室、リンス室、および乾燥室は、それぞれ外気から遮断され、洗浄室とリンス室、およびリンス室と乾燥室は、それぞれの間に設けられた通過孔を介して、互いに連通されていることを特徴とする請求項1に記載のフィルム洗浄装置。
【請求項3】
上方に設けられた乾燥室には、下方に向かって流出する加圧ガスを供給する加圧ガス供給部が接続されていることを特徴とする請求項2に記載のフィルム洗浄装置。
【請求項4】
下方に設けられた洗浄室には、洗浄室内を減圧吸引する減圧部が接続されていることを特徴とする請求項3に記載のフィルム洗浄装置。
【請求項5】
洗浄室の洗浄部、リンス室のリンス部、および乾燥室の乾燥部は、それぞれフィルムの表側およびフィルムの裏側に対応して2箇所ずつ設けられていることを特徴とする請求項1乃至4のいずれかに記載のフィルム洗浄装置。
【請求項6】
洗浄室、リンス室、および乾燥室は、各々フィルムを保持して搬送するガイドロールを含み、洗浄室の洗浄部、リンス室のリンス部、および乾燥室の乾燥部は、それぞれガイドロール近傍に設けられていることを特徴とする請求項1乃至5のいずれかに記載のフィルム洗浄装置。
【請求項7】
洗浄室の洗浄部は、洗浄ノズルからなることを特徴とする請求項1乃至6のいずれかに記載のフィルム洗浄装置。
【請求項8】
乾燥室の乾燥部は、エアナイフからなることを特徴とする請求項1乃至7のいずれかに記載のフィルム洗浄装置。
【請求項9】
フィルムが巻き出される巻き出し部と、
巻き出し部からのフィルムに対して加圧した洗浄水を噴射して、フィルムに付着したパーティクルを浮き出させる洗浄部を含む洗浄室と、
洗浄室に連結され、洗浄部で洗浄水が噴射されたフィルム表面のパーティクルをリンス水により洗い流すリンス部を含むリンス室と、
リンス室に連結され、リンス部からのフィルムの乾燥を防ぐためにフィルム表面に保湿水を噴射する保湿部を含む保湿室と、
保湿室に連結され、保湿室からのフィルムを乾燥する乾燥部を含む乾燥室と、
乾燥室からのフィルムを巻き取る巻き取り部とを備え、
洗浄室、リンス室、保湿室、および乾燥室は、この順で下方から上方へ順次配置されていることを特徴とするフィルム洗浄装置。
【請求項10】
洗浄室、リンス室、保湿室、および乾燥室は、それぞれ外気から遮断され、洗浄室とリンス室、リンス室と保湿室、および保湿室と乾燥室は、それぞれの間に設けられた間仕切りにより、互いに区画されていることを特徴とする請求項9に記載のフィルム洗浄装置。
【発明の詳細な説明】【技術分野】
【0001】
本発明は、フィルムの製造工程において用いられるフィルム洗浄装置に係り、とりわけディスプレイ液晶等に用いられ、高度な清浄性が要求されるプラスチックフィルムを洗浄するフィルム洗浄装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、ディスプレイ等のエレクトロニクス関連分野においてプラスチックフィルムの利用が増加している。このようなフィルムのうち液晶に用いられるプラスチックフィルムは、例えば液晶分子の配向処理に使用されている(例えば特許文献1参照)。
【0003】
また、このようなプラスチックフィルムは、基板フィルム上に液晶性高分子層を形成し、これを透光性基板上に転写して視野角改良板、位相差板または色保証板等の光学素子を製造する際にも使用されている(例えば特許文献2参照)。
【0004】
このように、プラスチックフィルムの利用が増加してきているのに伴い、プラスチックフィルムに対する要求も高くなってきている。このような要求としては、例えば、耐熱性や耐薬品性のほか、フィルム表面の清浄性が挙げられる。このようにフィルム表面に高度な清浄性が要求されるのは、使用されるフィルム部材に異物や粉塵等のパーティクルが付着した場合、フィルムの特性に悪影響を与えるためである。
【0005】
したがって、このような高度な清浄性が要求されるプラスチックフィルムは、クリーンルーム内において製造される必要がある。このようなフィルムの製造工程において、仮にフィルムに異物が混入していたり、フィルムに微細な粉塵が付着していたりすると、この異物や粉塵の上からフィルムに液晶性高分子層を塗布した後、液晶性高分子層の塗布ムラが生じる。仮に、このような異物や粉塵の大きさが数十μm〜数百μmであっても、フィルムの塗布ムラは数mmにも達するため、フィルム表面の異物や微細な粉塵を無視することはできない。
【0006】
また、フィルムはロール状に巻取られた状態で管理されており、この際巻きずれを防止するためにフィルムが固く巻き取られる場合がある。この場合、上述したような異物がフィルムに付着していると、巻き取られたロールのうち異物の部分が膨らみ、これによりその膨らんだ部分の前後のフィルムにもこの異物に対応する凹凸が残存する。このようにして、フィルムにわずかな異物が付着していても製品の歩留まりは悪化する。
【0007】
ところで、フィルム表面の異物を除去する方法として、例えば特許文献3に示すように、プラスチックフィルムを超純水中に浸漬して洗浄する方法や、例えば特許文献4に示すように、クリーンルーム内において除電処理および振動工程を経由させ、これによりフィルム表面の異物を除去する方法が知られている。また特許文献5には、クリーンルーム内で水系または非水系の洗浄液を用いてフィルムを洗浄し、この洗浄後のフィルムに気体を吹き付け、これにより洗浄液を脱離させて異物を除去する方法が記載されている。
【0008】
このように、液体中にフィルムを浸漬させたり、エアまたは液体をフィルムに吹き付けたりすることにより、フィルムに付着している異物を一旦はフィルムから除去することができる。しかしながら、この場合、フィルムから離脱した異物自体が水槽内または装置内に拡散し、またはフィルムから離脱した異物がミスト中に取り込まれて水槽内または装置内に拡散する。したがって、一旦フィルム表面から離脱した異物のうちの一部は、ロール上に再付着し、この状態でフィルムが乾燥されて再付着した異物ごとフィルムが巻き取られる。
【0009】
また、このような異物は、フィルムを連続で処理するに従ってその数が増加するため、フィルムロールの巻きメートル数が大きくなるほどクリーンルーム内の異物が増加し、クリーンルームの環境が汚される傾向がある。
【特許文献1】特開平06−110059号公報
【特許文献2】特開平07−ll3993号公報
【特許文献3】特許第3351431号公報
【特許文献4】特開2001−151911号公報
【特許文献5】特開2001−300459号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
本発明はこのような点を考慮してなされたものであり、フィルムの洗浄中にフィルムに異物が再付着することを防止し、高い清浄性を有するフィルムロールを製造することができるフィルム洗浄装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明は、フィルムが巻き出される巻き出し部と、巻き出し部からのフィルムに対して加圧した洗浄水を噴射して、フィルムに付着したパーティクルを浮き出させる洗浄部を含む洗浄室と、洗浄室に連結され、洗浄部で洗浄水が噴射されたフィルム表面のパーティクルをリンス水により洗い流すリンス部を含むリンス室と、リンス室に連結され、リンス室からのフィルムを乾燥する乾燥部を含む乾燥室と、乾燥室からのフィルムを巻き取る巻き取り部とを備え、洗浄室、リンス室、および乾燥室は、この順で下方から上方へ順次配置されていることを特徴とするフィルム洗浄装置である。
【0012】
本発明は、洗浄室、リンス室、および乾燥室は、それぞれ外気から遮断され、洗浄室とリンス室、およびリンス室と乾燥室は、それぞれの間に設けられた通過孔を介して、互いに連通されていることを特徴とするフィルム洗浄装置である。
【0013】
本発明は、上方に設けられた乾燥室には、下方に向かって流出する加圧ガスを供給する加圧ガス供給部が接続されていることを特徴とするフィルム洗浄装置である。
【0014】
本発明は、下方に設けられた洗浄室には、洗浄室内を減圧吸引する減圧部が接続されていることを特徴とするフィルム洗浄装置である。
【0015】
本発明は、洗浄室の洗浄部、リンス室のリンス部、および乾燥室の乾燥部は、それぞれフィルムの表側およびフィルムの裏側に対応して2箇所ずつ設けられていることを特徴とするフィルム洗浄装置である。
【0016】
本発明は、洗浄室、リンス室、および乾燥室は、各々フィルムを保持して搬送するガイドロールを含み、洗浄室の洗浄部、リンス室のリンス部、および乾燥室の乾燥部は、それぞれガイドロール近傍に設けられていることを特徴とするフィルム洗浄装置である。
【0017】
本発明は、洗浄室の洗浄部は、洗浄ノズルからなることを特徴とするフィルム洗浄装置である。
【0018】
本発明は、乾燥室の乾燥部は、エアナイフからなることを特徴とするフィルム洗浄装置である。
【0019】
本発明は、フィルムが巻き出される巻き出し部と、巻き出し部からのフィルムに対して加圧した洗浄水を噴射して、フィルムに付着したパーティクルを浮き出させる洗浄部を含む洗浄室と、洗浄室に連結され、洗浄部で洗浄水が噴射されたフィルム表面のパーティクルをリンス水により洗い流すリンス部を含むリンス室と、リンス室に連結され、リンス部からのフィルムの乾燥を防ぐためにフィルム表面に保湿水を噴射する保湿部を含む保湿室と、保湿室に連結され、保湿室からのフィルムを乾燥する乾燥部を含む乾燥室と、乾燥室からのフィルムを巻き取る巻き取り部とを備え、洗浄室、リンス室、保湿室、および乾燥室は、この順で下方から上方へ順次配置されていることを特徴とするフィルム洗浄装置である。
【0020】
本発明は、洗浄室、リンス室、保湿室、および乾燥室は、それぞれ外気から遮断され、洗浄室とリンス室、リンス室と保湿室、および保湿室と乾燥室は、それぞれの間に設けられた間仕切りにより、互いに区画されていることを特徴とするフィルム洗浄装置である。
【発明の効果】
【0021】
本発明によれば、洗浄室、リンス室、および乾燥室がこの順で下方から上方へ順次配置されていることにより、前工程(下方)でフィルム表面から除去されたパーティクルが、後工程(上方)に拡散せず、フィルムに異物が再付着することを防止することができ、これにより高い清浄性を有するフィルムロールを製造することができる。
【0022】
また、本発明によれば、洗浄室、リンス室、および乾燥室は、それぞれ外気から遮断され、洗浄室とリンス室、およびリンス室と乾燥室は、それぞれの間に設けられた間仕切りにより互いに区画されていることにより、フィルム表面から除去されたパーティクルが隣接する室内に拡散するおそれがなく、フィルムに異物が再付着することを防止することができる。
【0023】
さらに、本発明によれば、上方に設けられた乾燥室から下方へ向けて加圧ガスが供給され、また下方に設けられた洗浄室内が減圧吸引されていることにより、前工程(下方)でフィルム表面から除去されたパーティクルが、後工程(上方)に拡散することをより確実に防止することができる。
【0024】
さらにまた、本発明によれば、洗浄室の洗浄部、リンス室のリンス部、および乾燥室の乾燥部が、それぞれフィルムの表側およびフィルムの裏側に対応して2箇所ずつ設けられていることにより、フィルムの両表面のパーティクルを確実に除去することができる。
【0025】
さらにまた、洗浄室の洗浄部、リンス室のリンス部、および乾燥室の乾燥部が、それぞれガイドロール近傍に設けられていることにより、洗浄部からの洗浄水、リンス部からのリンス水、および乾燥部からのエアによりフィルムがばたつくことを防止することができる。
【0026】
さらにまた、本発明によれば、乾燥室の乾燥部がエアナイフからなることにより、フィルムに熱的負荷等を与えることなくフィルム上のミスト等を除去することができる。
【0027】
さらにまた、本発明によれば、洗浄室、リンス室、保湿室、および乾燥室がこの順で下方から上方へ順次配置されていることにより、前工程(下方)でフィルム表面から除去されたパーティクルが、後工程(上方)に拡散せず、フィルムに異物が再付着することを防止することができ、これにより高い清浄性を有するフィルムロールを製造することができる。
【0028】
さらにまた、本発明によれば、洗浄室、リンス室、保湿室、および乾燥室は、それぞれ外気から遮断され、洗浄室とリンス室、リンス室と保湿室、および保湿室と乾燥室は、それぞれの間に設けられた間仕切りにより互いに区画されていることにより、フィルム表面から除去されたパーティクルが隣接する室内に拡散せず、フィルムに異物が再付着することを防止することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0029】
以下、本発明の一実施の形態について、図1を参照して説明する。
ここで、図1は、本発明の一実施の形態を示す概略断面図である。
【0030】
まず、図1により、本実施の形態によるフィルム洗浄装置の概略について説明する。
【0031】
図1に示すように、フィルム洗浄装置10は、フィルム11が巻き出される巻き出し部12と、巻き出し部12からのフィルム11に対して加圧した洗浄水を噴射して、フィルム11に付着したパーティクルを浮き出させる洗浄部21、22を含む洗浄室20と、洗浄室20に連結され、洗浄部21、22で洗浄水が噴射されたフィルム11表面のパーティクルをリンス水により洗い流すリンス部31、32を含むリンス室30とを備えている。また、リンス室30に保湿部41、42を含む保湿室40が連結され、保湿室40の保湿部41、42は、リンス部31、32からのフィルム11の乾燥を防ぐためにフィルム11表面にリンス水を噴射する。さらに、保湿室40に乾燥部51、52を含む乾燥室50が連結され、乾燥室50の乾燥部51、52は、保湿室40からのフィルム11を乾燥させる。さらに、乾燥室50にはクリーンなエアで満たされた搬送室17が連結され、この搬送室17内に巻き取り部13が配置されている。この搬送室17内の巻き取り部13は、乾燥室50からのフィルム11を巻き取るものである。
【0032】
図1に示すように、これら洗浄室20、リンス室30、保湿室40、および乾燥室50は、この順で下方から上方へ順次配置されている。また、洗浄室20、リンス室30、保湿室40、および乾燥室50は、それぞれ外気から遮断されており、洗浄室20とリンス室30、リンス室30と保湿室40、および保湿室40と乾燥室50は、それぞれの間に設けられた間仕切り33、43、53により、互いに区画されている。
【0033】
すなわち、洗浄室20は、巻き出し部12からのフィルム11が通過する通過孔24を除いて外気から遮断されている。また、洗浄室20とリンス室30との間に間仕切り33が設けられ、リンス室30は、外気から遮断されるとともに、洗浄室20からのフィルム11が通過する通過孔34を除いて洗浄室20から遮断されている。さらに、リンス室30と保湿室40との間に間仕切り43が設けられ、保湿室40は、外気から遮断されるとともに、リンス室30からのフィルム11が通過する通過孔44を除いてリンス室30から遮断されている。さらにまた、保湿室40と乾燥室50との間に間仕切り53が設けられ、乾燥室50は、外気から遮断されるとともに、保湿室40からのフィルム11が通過する通過孔54を除いて保湿室40から遮断されている。このように、洗浄室20とリンス室30とは通過孔34を介して連通され、リンス室30と保湿室40とは通過孔44を介して連通され、保湿室40と乾燥室50とは通過孔54を介して連通している。
【0034】
また、上方に設けられた乾燥室50に加圧ガス供給部14が接続され、この加圧ガス供給部14が、乾燥室50内に加圧ガスを供給する。また、洗浄室20には、洗浄室20内を減圧吸引する減圧部15が接続されている。
【0035】
すなわち、加圧ガス供給部14から乾燥室50内へ清浄な加圧ガスが送り込まれ、この加圧ガスは、乾燥室50から通過孔54を介して保湿室40へと流れ、次に保湿室40から通過孔44を介してリンス室30へと流れ、次にリンス室30から通過孔34を介して洗浄室20へと流れ込む。一方、洗浄室20内部は減圧部15により減圧吸引されている。したがって、フィルム11の各通過孔34、44、54において、清浄なエアがフィルム11の搬送方向(上方向)と逆の方向(下方向)へ流される。これにより、各通過孔34、44、54を経由して次工程(上方)へパーティクルが流入することはなく、このためフィルム11にパーティクルが再付着する2次汚染を確実に防ぐことができる。
【0036】
また、図1に示すように、巻き出し部12と洗浄室20との間に除電装置16が設けられ、この除電装置16によりフィルム11が洗浄室20に入る前にフィルム11の除電処理が行なわれる。また、巻き取り部13の近傍に除電装置19が設けられ、フィルム11が巻き取り部13により巻き取られる前に、除電装置19によりフィルム11の除電処理が行なわれる。
【0037】
ところで、フィルム11は、熱硬化性樹脂または熱可塑性樹脂からなっている。このうち熱硬化性樹脂としては、例えば、ポリイミド、エポキシ樹脂、フェノール樹脂等が挙げられる。また、熱可塑性樹脂としては、例えば、ナイロン等のポリアミド、ポリエーテルイミド、ポリエーテルケトン、ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)、ポリケトン、ポリエーテルスルフォン、ポリフェニレンサルファイド、ポリフェニレンオキサイド、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリブチレンテレフタレート等のポリエステル、ポリアセタール、ポリカーボネート、ポリ(メタ)アクリレート、トリアセチルセルロース等のセルロース系樹脂、ポリビニルアルコール等が挙げられる。
【0038】
次に、このような構成からなる本実施の形態の作用について述べる。
まず、フィルムロール11aが巻き出し部12に取り付けられる。この際、フィルムロール11aは一次包装がされた状態で外部からクリーンルーム内へ搬入される。次に、この包装が取り除かれた後に移動台車に載せられ、巻き出し部12に取り付けられる。
【0039】
その後、巻き出し部12からのフィルム11は洗浄室20内へ通され、さらに図1に示すように、順次通過孔34を介してリンス室30、次に通過孔44を介して保湿室40、次に通過孔54を介して乾燥室50へ送られ、その後搬送室17内に配置された巻き取り部13において巻き取られる。
ここで、これら洗浄室20、リンス室30、保湿室40、および乾燥室50は、それぞれ洗浄工程、リンス工程、保湿工程、乾燥工程の4つの工程に対応している。
【0040】
次に、上述した各工程における作用を詳細に説明する。
洗浄工程
洗浄工程は、上述したように、洗浄室20内において、洗浄部21、22により加圧した洗浄水を噴射して、フィルム11に付着した異物、粉塵等のパーティクルを浮き出させる工程である。
【0041】
まず、フィルム11は、巻き出し部12から通過孔24を経由して洗浄室20内へ供給される。このフィルム11は、洗浄室20内において、ガイドロール25、26、27によりガイドされ、洗浄室20に隣接するリンス室30へ向けて搬送される。この間、洗浄部21、22により加圧した洗浄水がフィルム11へ噴射される。
【0042】
洗浄部21、22は、洗浄ノズルからなり、それぞれフィルム11の表側およびフィルム11の裏側に対応して2箇所ずつ設けられている。このうち洗浄部21はガイドロール26近傍に設けられており、洗浄部22はガイドロール27近傍に設けられている。
【0043】
すなわち、まずガイドロール26近傍の洗浄部21によりフィルム11の片側の表面が洗浄される。その後、フィルム11は、ガイドロール27の方向へ搬送され、ガイドロール27近傍の洗浄部22により、洗浄部21により洗浄された表面と反対側の表面を同様にして洗浄される。このように、洗浄部21、22により加圧した洗浄水をフィルム11に対して噴射することにより、フィルム11に付着したパーティクルを浮き出させることができる。
【0044】
これら洗浄部21、22は、それぞれガイドロール26、27とフィルム11とが接触している箇所において、ガイドロール26、27とフィルム11とが接触している側と反対側のフィルム11表面に洗浄水を噴射するようになっている。このように、洗浄部21、22から洗浄水が噴射される位置は、ガイドロール26、27とフィルム11とが接触している位置であるのが好ましい。この場合、ガイドロール26、27は、洗浄部21、22からの洗浄水が噴射されたフィルム11を保持する保持機能を有する。一方、洗浄水が、ガイドロール26、27とフィルム11とが接触していない位置に噴射されると、洗浄水の噴射によりフィルム11がばたつくため、好ましくない。
【0045】
また、洗浄部21、22はそれぞれ複数の噴射ノズルを有しており、これら複数の噴射ノズルは、それぞれガイドロール26、27の軸方向と平行に設けられ、フィルム11の幅をカバーする長さに配列されている。
【0046】
ところで、洗浄部21、22の噴射ノズルからの洗浄水の噴射方法は幾つか存在し、例えばパルスをかけて高圧で洗浄水を噴射する方法や、洗浄水と空気とを混合して噴射する方法などが用いられる。このうち、前者のパルスをかけて高圧で洗浄水を噴射する方法がより好ましい。
【0047】
また、洗浄部21、22の噴射ノズルから噴射された洗浄水は水膜を形成する。この水膜がフィルム11に当たる角度は、フィルム11表面と垂直な面に対して20度〜60度の角度をなすことが好ましい。一方、この角度が20度未満であるかまたは60度を超えると、洗浄水を噴射した際、噴射された洗浄水の水線が乱れて水線を直線に保持するのが難しくなる。この場合は、ガイドロール26、27にガイドされて上昇するフィルム11に水滴が付着し、フィルム11とともに搬送されるおそれがあるため、好ましくない。
【0048】
なお、洗浄部21、22からの洗浄水は、純水からなるのが好ましい。
【0049】
リンス工程
リンス工程は、上述したように、リンス室30内において、洗浄部21、22で洗浄水が噴射されたフィルム11表面のパーティクルをリンス水により洗い流す工程である。
【0050】
すなわち、リンス工程において、洗浄工程が終了した後に洗浄室20からリンス室30内へフィルム11が搬入され、このフィルム11表面に浮き出したパーティクル、またはフィルム11に再付着したパーティクルをリンス水により洗い流される。
【0051】
まず、フィルム11は、洗浄室20から通過孔34を経由してリンス室30内へ送り込まれる。次にフィルム11は、リンス室30内において、ガイドロール35、36、37によりガイドされ、リンス室30に隣接する保湿室40へ向けて搬送される。この間、リンス室30内のリンス部31、32によりリンス水がフィルム11へ噴射される。
【0052】
このリンス部31、32は、それぞれフィルム11の表側およびフィルム11の裏側に対応して2箇所ずつ設けられている。このうちリンス部31はガイドロール36近傍に設けられており、リンス部32はガイドロール37近傍に設けられている。
【0053】
すなわち、まずガイドロール36近傍のリンス部31は、フィルム11の片側の表面にリンス水を噴射してパーティクルを洗い流す。その後、フィルム11は、ガイドロール37の方向へ搬送され、ガイドロール37近傍のリンス部32は、リンス部31によりリンス水を噴射された表面と反対側の表面に対してリンス水を噴射する。この場合、ガイドロール36、37は、洗浄部31、32からの洗浄水が噴射されたフィルム11を保持する保持機能を有する。
【0054】
これらリンス部31、32は、それぞれガイドロール36、37とフィルム11とが接触している箇所において、ガイドロール36、37とフィルム11とが接触している側と反対側のフィルム11表面にリンス水を噴射するようになっている。
【0055】
なお、リンス水としては、純水または超純水を用いることが好ましいが、適宜、水素や酸素などの気体をリンス水内に混合させても良い。
【0056】
保湿工程
保湿工程は、上述したように、保湿室40内において、リンス室30のリンス部31、32からのフィルム11の乾燥を防ぐためにフィルム11表面に保湿水を噴射する工程である。
【0057】
すなわち保湿工程は、リンス工程と同様に、フィルム11表面に付着したパーティクルを保湿水によって洗い流すとともに、フィルム11が乾燥室50に入る前にフィルム11表面が自然乾燥してミストの痕跡がフィルム11上に残るのを防止する役割を果たす。
【0058】
まず、フィルム11は、リンス室30から通過孔44を経由して保湿室40内へ送り込まれる。次にフィルム11は、保湿室40内において、ガイドロール45、46、47によりガイドされ、保湿室40に隣接する乾燥室50へ向けて搬送される。この間、保湿部41、42により保湿水がフィルム11へ噴射される。
【0059】
この保湿部41、42は、それぞれフィルム11の表側およびフィルム11の裏側に対応して2箇所ずつ設けられている。このうち保湿部41はガイドロール46近傍に設けられており、保湿部42はガイドロール47近傍に設けられている。
【0060】
すなわち、まずガイドロール46近傍の保湿部41は、フィルム11の片側の表面に保湿水を噴射する。その後、フィルム11は、ガイドロール47の方向へ搬送され、ガイドロール47近傍の保湿部42は、保湿部41により保湿水を噴射された表面と反対側の表面に対して保湿水を噴射する。
【0061】
これら保湿部41、42は、それぞれガイドロール46、47とフィルム11とが接触している箇所において、ガイドロール46、47とフィルム11とが接触している側と反対側のフィルム11表面に保湿水を噴射するようになっている。この場合、ガイドロール46、47は、洗浄部41、42からの洗浄水が噴射されたフィルム11を保持する保持機能を有する。
【0062】
なお、保湿水としては、リンス水と同じ液体を用いてもよく、またリンス水と異なる成分からなる液体を用いても良い。
【0063】
乾燥工程
乾燥工程は、上述したように、乾燥室50内において、保湿室40からのフィルム11を乾燥させる工程である。
【0064】
すなわち乾燥工程は、洗浄工程、リンス工程、および保湿工程においてフィルム11の洗浄に使用され、フィルム11上に残存する液体を除去する工程である。
【0065】
まず、フィルム11は、保湿室40から通過孔54を経由して乾燥室50内へ送り込まれる。次にフィルム11は、乾燥室50内において、ガイドロール55、56、57によりガイドされ、乾燥室50から搬送室17内の巻き取り部13へ向けて搬送される。この間、乾燥部51、52によりフィルム11を乾燥させるためエアがフィルム11へ噴射される。
【0066】
この乾燥部51、52は、それぞれフィルム11の表側およびフィルム11の裏側に対応して2箇所ずつ設けられている。このうち乾燥部51はガイドロール56近傍に設けられており、乾燥部52はガイドロール57近傍に設けられている。
【0067】
すなわち、まずガイドロール56近傍の乾燥部51は、フィルム11の片側の表面に、フィルム11を乾燥させるためのエアを吹き付ける。その後、フィルム11は、ガイドロール57の方向へ搬送され、ガイドロール57近傍の乾燥部52は、乾燥部51によりエアを吹き付けられた表面と反対側の表面に対してエアを吹き付ける。
【0068】
これら乾燥部51、52は、それぞれガイドロール56、57とフィルム11とが接触している箇所において、ガイドロール56、57とフィルム11とが接触している側と反対側のフィルム11表面にエアを吹き付けるようになっている。
【0069】
なお、フィルム11に熱的負荷等を与えずにフィルム上の液体を除去できるように、乾燥部51、52は、エアナイフからなることが好ましい。また、乾燥部51、52からのエアはフィルターを通して無塵化したエアからなっている。
【0070】
最後に、フィルム11は、クリーンなエアで満たされた搬送室17内へ送り込まれる。その後、巻き取り部13がこのフィルム11を巻き取ることにより、清浄度の高いフィルムロール11bを得ることができる。
【0071】
なお、上述した洗浄部21、22、リンス部31、32、および保湿部41、42から噴射される洗浄水、リンス水、および保湿水は、清浄度クラスが高ければ高いほど良い。また、乾燥部51、52からのエア、および洗浄室20、リンス室30、保湿室40、乾燥室50、および搬送室17内部の空気も、清浄度クラスが高ければ高いほど良い。
【0072】
また、本実施の形態において、1つの洗浄室20を経由してリンス室30内へフィルム11が搬送されるが、洗浄部21、22の洗浄度、またはフィルム11の汚染の程度に応じて複数の洗浄室20が設けられてもよい。また、リンス室30や保湿室40も、フィルム11の汚染度に応じて複数設けられても良い。
【0073】
一方、本実施の形態において、フィルム洗浄装置10に保湿室40が設けられていなくてもよい。この場合、洗浄室20、リンス室30、および乾燥室50は、この順で下方から上方へ順次配置され、それぞれ外気から遮断される。また、洗浄室20とリンス室30、およびリンス室30と乾燥室50は、それぞれの間に設けられた間仕切りにより、互いに区画される。
【0074】
このように、本実施の形態によれば、洗浄室20、リンス室30、保湿室40、および乾燥室50がこの順で下方から上方へ順次配置されていることにより、前工程(下方)でフィルム11表面から除去されたパーティクルが、後工程(上方)に拡散せず、フィルム11に異物が再付着することを防止することができる。これにより、ディスプレイ等に用いられる清浄性が高いフィルムロール11bを製造することができる。
【0075】
また、本実施の形態によれば、洗浄室20、リンス室30、保湿室40、および乾燥室50は、それぞれ外気から遮断され、洗浄室20とリンス室30、リンス室30と保湿室40、および保湿室40と乾燥室50は、それぞれの間に設けられた間仕切り33、43、53により互いに区画されている。これにより、フィルム11表面から除去されたパーティクルが隣接する室内に拡散せず、フィルム11に異物が再付着することを防止することができる。
【0076】
さらに、本実施の形態によれば、上方に設けられた乾燥室50から下方へ向けて加圧ガス供給部14から加圧ガスが供給され、また下方に設けられた洗浄室20内が減圧部15により減圧吸引されている。これにより、前工程(下方)でフィルム11表面から除去されたパーティクルが、後工程(上方)に拡散することをより確実に防止することができる。
【0077】
さらにまた、本実施の形態によれば、洗浄室20の洗浄部21、22、リンス室30のリンス部31、32、保湿室40の保湿部41、42、および乾燥室50の乾燥部51、52が、それぞれフィルム11の表側およびフィルム11の裏側に対応して各室内に2箇所ずつ設けられていることにより、フィルム11の両表面のパーティクルを確実に除去することができる。
【0078】
さらにまた、洗浄室20の洗浄部21、22、リンス室30のリンス部31、32、保湿室40の保湿部41、42、および乾燥室50の乾燥部51、52が、それぞれガイドロール26、27、36、37、46、47、56、57近傍に設けられている。これにより、洗浄部21、22からの洗浄水、リンス部31、32からのリンス水、保湿部41、42からの保湿水および乾燥部51、52からのエアによりフィルム11がばたつくことを防止することができる。
【0079】
さらにまた、本実施の形態によれば、乾燥室50の乾燥部51、52がエアナイフからなることにより、フィルム11に熱的負荷等を与えることなくフィルム11上のミスト等を除去することができる。
【図面の簡単な説明】
【0080】
【図1】本発明によるフィルム洗浄装置の一実施の形態を示す概略断面図。
【符号の説明】
【0081】
10 フィルム洗浄装置
11 フィルム
12 巻き出し部
13 巻き取り部
14 加圧ガス供給部
15 減圧部
16、19 除電装置
17 搬送室
20 洗浄室
21、22 洗浄部
24 通過孔
25、26、27 ガイドロール
30 リンス室
31、32 リンス部
33 間仕切り
34 通過孔
35、36、37 ガイドロール
40 保湿室
41、42 保湿部
43 間仕切り
44 通過孔
45、46、47 ガイドロール
50 乾燥室
51、52 乾燥部
53 間仕切り
54 通過孔
55、56、57 ガイドロール
【出願人】 【識別番号】000002897
【氏名又は名称】大日本印刷株式会社
【出願日】 平成18年7月21日(2006.7.21)
【代理人】 【識別番号】100075812
【弁理士】
【氏名又は名称】吉武 賢次

【識別番号】100091982
【弁理士】
【氏名又は名称】永井 浩之

【識別番号】100096895
【弁理士】
【氏名又は名称】岡田 淳平

【識別番号】100117787
【弁理士】
【氏名又は名称】勝沼 宏仁


【公開番号】 特開2008−23467(P2008−23467A)
【公開日】 平成20年2月7日(2008.2.7)
【出願番号】 特願2006−199840(P2006−199840)