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【発明の名称】 洗浄装置
【発明者】 【氏名】須貝 淳一

【要約】 【課題】パーティクルの再付着を防止できる洗浄装置を提供すること、また、洗浄ツールから噴射した液体の吸引ノズルを備える洗浄装置では、洗浄液の流量が多くなっても安定した運転が可能な洗浄装置を提供する。

【構成】洗浄装置は、ガラス基板2の表面のパーテクル5を離脱させるための洗浄ツール3と、該洗浄ツール3から供給された液体4を上下に分離する分離板6と、搬送ローラ2を備えている。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
被洗浄体表面の被洗浄面に液体を供給する洗浄ツールと、前記被洗浄面に供給された液体を上下に分離して前記被洗浄体の側方に流すための分離板とを備えることを特徴とする洗浄装置。
【請求項2】
前記洗浄ツールから供給された前記液体を吸引するための吸引ノズルを備え、前記吸引ノズルは、前記分離板と前記被洗浄面との間の液体を吸引するように形成されていることを特徴とする請求項1記載の洗浄装置。
【請求項3】
前記分離板は、前記分離板の上側を流れる液体が前記分離板の下側を流れる液体よりも多くなるように取付られていることを特徴とする請求項1又は2記載の洗浄装置。
【請求項4】
前記分離板は、断面形状がくさび型であることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1に記載の洗浄装置。
【請求項5】
前記分離板の上に整流板が設けられていることを特徴とする請求項1〜4のいずれか1に記載の洗浄装置。
【発明の詳細な説明】【技術分野】
【0001】
本発明は、液晶表示パネル及びプラズマディスプレイパネル等のディスプレイパネル、或いは半導体等の製造工程において、基板表面の微粒子等の汚染物質の除去に用いられる洗浄装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、例えば液晶表示パネルに用いられるガラス基板の洗浄工程では、表面に付着している微粒子等の汚染物質(以下、パーティクルという)を除去するために、水などの液体を利用した湿式洗浄装置が用いられている。
【0003】
図3は従来の洗浄装置を用いたガラス基板の洗浄方法を示し、(a)は側面図であり、(b)は平面図である。図3(a)、(b)に示すように、ガラス基板の洗浄は、ガラス基板101を搬送ローラ102により矢印C方向に移動させながら、洗浄ツール103を用いて水などの液体をガラス基板101の表面に噴射し、ブラシの毛先をガラス基板101表面に接触させる等して、パーティクル105をガラス基板101表面から離脱させる。ガラス基板101の表面から離脱したパーティクル105は、ガラス基板101の端部から液体104と共に基板外へ除去される。
【0004】
また、湿式洗浄装置として、洗浄液を導入する導入口と、導入された洗浄液を被洗浄物に噴射する噴射口と、噴射された洗浄液を回収する排出口とが一体的に形成された洗浄ノズルを備える湿式洗浄装置が公知である(例えば、特許文献1参照)。また、このような洗浄ノズルとして、洗浄液で洗浄した後の表面の洗浄液を吸引するために、先端がガラス基板表面からわずかな間隙を開けて配置した吸引ノズルが公知である(例えば、特許文献2参照)。
【0005】
【特許文献1】特開平10−163153号公報(0029、図1)
【特許文献2】特開2001−170578号公報(請求項1、図1)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
上記図3(a)、(b)に示す装置でガラス基板101を洗浄した場合、ガラス基板101の表面から離脱したパーティクル105が、ガラス基板101の表面に再付着することがある。そのため、ガラス基板101の表面からパーティクル105を完全に除去することができないという問題があった。
【0007】
すなわち、図3(b)に示すように、洗浄ツール103から噴射される液体104の圧力及び流速は、ガラス基板101上で徐徐に低下する。その結果、パーティクル105は洗浄ツール103のノズル等から噴射された液体104によって、ガラス基板101表面から一度は離脱するが、ガラス基板101の端部付近では再付着することが多くなる。特に、近年、液晶表示パネルの大型化に伴い、ガラス基板等の洗浄工程において、洗浄ツール103により離脱したパーティクルがガラス基板101表面の外側に到達するまでの距離が長くなっていることから、ガラス基板101の端部付近にパーティクル105が再付着し易くなっている。
【0008】
これに対し、上記特許文献1及び2等に記載の吸引ノズルを備える装置では、洗浄ツールから噴射した液体を基板上で回収出来ることから、ガラス基板表面にパーティクが再付着するのを防止できる。しかしながら、このような吸引ノズルを備える装置の場合、供給する液体の流量が多くなると、噴射と吸引のバランスを取るのが困難になってしまい、安定した洗浄を行うことが難しくなるという問題があった。特にガラス基板のサイズが大型化すると、噴射する液体の量も多くする必要があり、このような問題が顕著になってしまう。
【0009】
上記実状に鑑み、本発明が解決しようとする課題は、パーティクルの再付着を防止できる洗浄装置を提供すること、また、洗浄ツールから噴射した液体の吸引ノズルを備える洗浄装置において、洗浄液の流量が多くなっても安定した運転が可能な洗浄装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
このような課題を解決するために、本発明の洗浄装置は、被洗浄体表面の被洗浄面に液体を供給する洗浄ツールと、前記被洗浄面に供給された液体を上下に分離して前記被洗浄体の側方に流すための分離板とを備えることを要旨とする。
【0011】
また上記洗浄装置において、前記洗浄ツールから供給された前記液体を吸引するための吸引ノズルを備え、前記吸引ノズルは、前記分離板と前記被洗浄面との間の液体を吸引するように構成することができる。
【0012】
また上記洗浄装置において分離板は、分離板の上側を流れる液体が分離板の下側を流れる液体よりも多くなるように取付られていることが好ましい。また上記洗浄装置において、分離板の断面形状をくさび型に形成したり、分離板の上に整流板を設けることができる。
【発明の効果】
【0013】
本発明の洗浄装置は、被洗浄面に供給された液体を上下に分離して前記被洗浄体の側方に流すための分離板を備えることにより、パーティクルの再付着を良好に防止できる。
【0014】
また本発明の洗浄装置において、吸引ノズルを設けた場合には、分離板の下側の液体のみを吸引ノズルで吸引すれば良いので、吸引ノズルによって吸引する液体の量を低減させることができ、液体の供給量が多くなっても、液体の供給と吸引のバランスを取ることが容易であり、安定した洗浄を行うことができる。特に、基板が大型化した場合でも、液体の供給量を増やすことが可能であり、大型化した基板の洗浄を安定して行うことができる。
【0015】
また本発明の洗浄装置において、分離板の上方を流れる液体が分離板の下方を流れる液体よりも多くなるように分離板が取付られている場合、基板に再付着する虞のあるパーテクルを含む液体の量を減少せしめることができるから、パーテクルの再付着防止効果を更に向上させることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
以下、本発明の実施例を図面を参照して詳細に説明する。図1は本発明の洗浄装置の一例を示し、(a)は側面図であり、(b)は平面図である。図1に示す洗浄装置は、被洗浄体としてガラス基板1の被洗浄面となる表面のパーテクル5を離脱させるための洗浄ツール3と、該洗浄ツール3から供給された液体4を上下に分離してガラス基板1の左右側方に流すための分離板6と、搬送ローラ2等のガラス基板1を所定の方向に搬送するための搬送装置とから構成されている。
【0017】
洗浄ツール3は、少なくとも、ガラス基板1に液体4を噴射可能な装置を備えていればよい。洗浄ツール3に用いられる液体4としては、洗浄液、リンス液等の処理液が用いられる。これらの処理液としては、超純水、電解イオン水、オゾン水、水素水等が挙げられる。洗浄ツール3として例えば、スクラブ洗浄装置、低圧シャワー洗浄装置、高圧洗浄装置、超音波洗浄装置などが用いられる。
【0018】
スクラブ洗浄装置は、ディスクブラシ又はロールブラシ等のブラシや、スポンジ等の物理的接触手段をガラス基板等の被洗浄面に押し当てることが可能であると共に、洗浄剤や水などの液体を噴射可能に形成されている装置である。
【0019】
高圧洗浄装置は、ノズル先端から例えば1MPa以上の圧力で洗浄液を被洗浄面に高速で噴射して、噴流の衝突力とせん断力で、被洗浄面表面に付着しているパーティクル等を離脱させる装置である。
【0020】
超音波洗浄装置としては、スリット式メガソニックシャワー装置等が挙げられる。
【0021】
洗浄ツール3は、上記装置を単独で用いても、或いは複数組合わせたものを用いても何れでも良い。また洗浄ツール3は、上記以外の公知の洗浄ツールを用いても良い。
【0022】
本発明の洗浄装置において、分離板6は、洗浄ツール3に対し、ガラス基板1の搬送される進行方向に対して後方側に設けられる。分離板6は、その幅(ガラス基板1の搬送方向と直交する方向の長さ)が、少なくともガラス基板1の幅よりも大きい幅を有していれば、図1(b)に示すように、分離板6により分離した後の分離板6の上側の液体41を確実にガラス基板1の左右の両側方に流して表面外に除去することができる。
【0023】
また分離板6の長さ(ガラス基板1の搬送方向の長さ)は、特に限定されないが、例えば分離板6の幅に対し、5〜20%の大きさに形成されている。好ましい分離板6の幅は、ガラス基板1の幅+10mm以上である。また分離板6の長さは、噴射液量、前後の洗浄ツールとの干渉等の制約、装置長さの最短化(装置のコスト・排気等の使用量削減につながる。)を考慮して決定する必要がある。分離板6の長さが短いと、図4(a)、(b)に示すように、分離板6上で液体41の乱流43が生じ、逆流に至る場合がある。この場合は図4(c)、(d)に示すように、分離板6上に整流板8を設けるとよい。
【0024】
分離板6の厚さは、1mm以上であるのが、液流分離時に分離板6の端部に生じる乱流を防止できるので好ましい。ガラス基板1と分離板6の間隔は均一であることが好ましく、分離板6は「たわみ」が生じないような厚さ・形状とするのが好ましい。分離板6が厚い場合、図5(a)に示すような乱流43が生じるおそれがある。一般に厚みを小さくすることが可能な材料は高価であったり、加工が困難であったりするので、図5(b)に示すように、分離板6´の断面形状を「くさび型」とすることにより液流分離時の乱流の発生を防止できる。同図に示すようにくさび型の分離板6´の先端の傾斜角θは10度以下とするのが好ましい。また分離板6の材質は、SUS、PVC等の洗浄装置構成材料の中から選択するのが、処理液による劣化・発塵が生じないので好ましい。分離板6は、洗浄ツール3の位置から、20〜100mmの距離に設けるのが好ましい。
【0025】
本発明の洗浄装置に用いられる搬送装置は、搬送ローラ2に限定されず、公知の装置を用いることができる。また本発明の洗浄装置は、ガラス基板1が洗浄ツール3及び分離板6に対して相対的に移動するように構成されていれば良く、洗浄ツール3及び分離板6側がガラス基板1に対して移動するように形成しても良い。
【0026】
図1(a)、(b)に示すように、ガラス基板1の表面から離脱したパーティクル5を含む液体41、42は、ガラス基板1の幅方向の両端縁からガラス基板1の表面外に流れ落ちて除去される。液体4の流速及び圧力は、洗浄ツール3の噴射ノズルに近いところが最も高く、搬送方向後方の洗浄ツール3から遠くなると低くなる。そして液体4の流速、圧力が小さくなる程、パーティクル5が再付着する可能性は高くなる。
【0027】
本発明の洗浄装置は、分離板6を設けることで、流速、圧力の高い洗浄ツール3の噴射ノズルの近傍で、液体の流れが上下に分離されることから、分離板6の上側を流れる液体41は、ガラス基板1の表面に触れることなくガラス基板1の表面外に除去される。その結果、分離板6上方に含まれる液体41中に存在するパーティクル5が基板に再付着することを確実に防止できる。ガラス基板1に再付着する虞のあるパーテクル5は、分離板6の下方の液体42中に含まれるパーテクル5のみである。すなわち、液体4の噴射量が同じであっても、ガラス基板1に再付着する虞のあるパーティクル5の量を大幅に減少することができる。
【0028】
従って、分離板6の配置は、分離板6の上側を流れる液体41が、分離板6とガラス基板1との間の分離板6の下側を流れる液体42よりも多くなるように設けるのが好ましい。このように配置するには、分離板6の位置をできるだけガラス基板1の表面に近い位置に設置することである。なお、分離板6がガラス基板1の表面に近付き過ぎると、ガラス基板1の搬送精度によっては、分離板6がガラス基板1に接触してしまう虞があるので、洗浄ツール3からの液体4の供給量及びガラス基板1の搬送精度等に応じて、適宜の位置に設けることが好ましい。
【0029】
図2は本発明の洗浄装置の他の例を示し、(a)は側面図であり、(b)は平面図である。図2(a)、(b)に示す洗浄装置は、洗浄ツール3からガラス基板1の表面に供給された液体4を吸引するための吸引ノズル7が、洗浄ツール3に対してガラス基板1の進行方向の後方側に位置するように設けられている。そして吸引ノズル7は、分離板6の下側とガラス基板1の表面との間の液体42のみを吸引するように構成されていて、分離板6の上側の液体41は、ガラス基板1の側方から除かれるように、吸引ノズル7と分離板6が一体に形成されている。
【0030】
吸引ノズル7は、例えば、特開平10−163153号公報や、特開2001−170578号公報等に記載されている公知の吸引ノズル装置を利用することができる。
【0031】
図2(a)、(b)に示すように、吸引ノズル7を備える洗浄装置において、分離板6を設けた場合、ガラス基板1表面の液体4は、分離板6を境界として上下に分離され、該分離板6の下方を流れる液体42のみが、吸引ノズル7により吸引されるから、吸引ノズル7によって吸引する液体の量を低減させることができる。吸引ノズル7で吸引する液体量が少なくて済むので、液体4の供給量が多くなっても、洗浄ツール3からの液体の噴射(供給)量と吸引量とのバランスを取ることが容易であり、安定した洗浄を行うことができる。特に、ガラス基板1が大型化した場合でも、液体4の供給量を増やして、大型化したガラス基板1の洗浄を安定して行うことができる。
【0032】
上記実施例では、被洗浄体としてガラス基板1を用いたが、被洗浄体はガラス基板に限定されず、平板状の被洗浄体であれば、本発明洗浄装置を用いて、その表面を被洗浄面として洗浄することが可能である。
【0033】
本発明の洗浄装置は、ブラシや高圧洗浄などを利用した洗浄や、比較的大きいゴミなどを洗浄するのに最適に用いることができる。
【図面の簡単な説明】
【0034】
【図1】本発明の洗浄装置の一例を示し、(a)は側面図であり、(b)は平面図である。
【図2】本発明の洗浄装置の他の例を示し、(a)は側面図であり、(b)は平面図である。
【図3】従来の湿式洗浄装置を用いたガラス基板の洗浄方法を示し、(a)は側面図であり、(b)は平面図である。
【図4】供給された液量に対して分離板長さが短い場合の分離板上の液体の流れを示し、(a)は整流板無しの場合の側面図であり、(b)は(a)の平面図であり、(c)は整流板有りの場合の側面図であり、(d)は(c)の平面図である。
【図5】分離板が厚い場合の板端部の液体の流れを示し、(a)は板厚を一定とした場合の断面図であり、(b)は板端の形状をくさび形とした場合の断面図である。
【符号の説明】
【0035】
1 ガラス基板
2 搬送ローラ
3 洗浄ツール
4 液体
5 パーティクル
6 分離板
6´分離板
7 吸引ノズル
8 整流板
θ 傾斜角
【出願人】 【識別番号】000005049
【氏名又は名称】シャープ株式会社
【出願日】 平成18年7月12日(2006.7.12)
【代理人】 【識別番号】100095669
【弁理士】
【氏名又は名称】上野 登


【公開番号】 特開2008−18329(P2008−18329A)
【公開日】 平成20年1月31日(2008.1.31)
【出願番号】 特願2006−191809(P2006−191809)