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【発明の名称】 ウェット洗浄装置
【発明者】 【氏名】曽根原 章夫

【氏名】高橋 達見

【氏名】小幡 博之

【要約】 【課題】フィルムを液体で洗浄するウェット洗浄装置を提供する。

【構成】ロール状に巻かれたフィルム2を巻き出す巻き出し部3aと、フィルム2を液体で洗浄する液体洗浄部63a、63bと、洗浄したフィルム2を乾燥する乾燥部64a、64bと、乾燥したフィルム2をロール状に巻き取る巻き取り部11aとをウェット洗浄装置に備えた。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ロール状に巻かれたフィルムを巻き出す巻き出し部と、前記フィルムを液体で洗浄する洗浄部と、洗浄した前記フィルムを乾燥する乾燥部と、乾燥した前記フィルムをロール状に巻き取る巻き取り部と、を備えたことを特徴とするウェット洗浄装置。
【請求項2】
前記洗浄部及び前記乾燥部により洗浄され乾燥された前記フィルムに対し、気体とともに、粒状のドライアイスを吹き付ける吹き付け部材を有し、前記フィルムを前記粒状のドライアイスで洗浄するドライアイス洗浄部を備えたことを特徴とする請求項1に記載のウェット洗浄装置。
【請求項3】
前記吹き付け部材が、気体を送り込みながら前記フィルムの進行方向を変更させるターンバーであり、前記ターンバーが、前記気体とともに前記粒状のドライアイスを吹き付けることを特徴とする請求項2に記載のウェット洗浄装置。
【請求項4】
前記ドライアイス洗浄部に対し、前記フィルムの搬送方向の下流側で隣接して、前記フィルムに付着する付着物の有無を検査する検査部を備えたことを特徴とする請求項1〜2に記載のウェット洗浄装置。
【発明の詳細な説明】【技術分野】
【0001】
本発明は、フィルムを液体で洗浄するウェット洗浄装置に関する。
【背景技術】
【0002】
液晶ディスプレイ用カラーフィルタの基板として、ガラス基板に換えて、プラスチックフィルムを基板として用いた開発が進んでいる。ガラス基板やフィルム基板上にカラーフィルタや、ITO(indium tin oxide インジウムスズ酸化物)膜といった、薄膜を精度よく形成するためには、基板に付着した付着物を除去する作業が必要となる。ガラス基板に対する洗浄装置としては、液体で洗浄するウェット方式の装置がある(例えば、特許文献1参照)が、フィルム基板に対しては、気体を吹き付けて付着物を除去するドライ方式の洗浄を行っている。フィルム基板に対して液体で洗浄する装置はなかった。
【特許文献1】特開平5−241010号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
ロール状に巻かれたフィルムを巻き出して、そのフィルム上に、例えば、薄膜形成等の加工が施される。しかし、フィルムに付着物が存在する場合、付着物の存在する箇所に薄膜を形成しても欠陥品となるため、効率が悪い。ドライ方式の洗浄では、微細な付着物までは除去できないため、フィルムの付着物を精度よく除去するためにはウェット方式の洗浄が必要である。
【0004】
そこで、本発明はフィルムを液体で洗浄するウェット洗浄装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明のウェット洗浄装置は、ロール状に巻かれたフィルム(2)を巻き出す巻き出し部(3a)と、前記フィルム(2)を液体で洗浄する洗浄部(63a、63b)と、洗浄した前記フィルム(2)を乾燥する乾燥部(63a、64b)と、乾燥した前記フィルム(2)をロール状に巻き取る巻き取り部(11a)とを備えたことにより上記課題を解決する。
【0006】
液体で洗浄する洗浄部が、フィルムに付着した微細な付着物まで除去する。洗浄した後は、洗浄したフィルムを乾燥する乾燥部を備えているため、再びロール状に巻き取ることができる。フィルムに対し、液体で洗浄することにより、高精度に付着物を除去することができる。
【0007】
本発明のウェット洗浄装置の一形態において、前記洗浄部(63a、63b)及び前記乾燥部(63a、64b)により洗浄され乾燥された前記フィルム(2)に対し、気体とともに、粒状のドライアイスを吹き付ける吹き付け部材(67)を有し、前記フィルム(2)を前記粒状のドライアイスで洗浄するドライアイス洗浄部(65)を備えてもよい。この形態によれば、液体洗浄と乾燥を行った後、吹き付け部材が粒状のドライアイスを吹き付けることで、液体洗浄では取れなかった付着物や、フィルムに固着する固着物等の異物を除去することができる。また、乾燥部にて乾燥しきれなかった水分を氷にして除去することができる。
【0008】
本発明のウェット洗浄装置の一形態において、前記吹き付け部材(67)が、気体を送り込みながら前記フィルムの進行方向を変更させるターンバー(67)であり、前記ターンバー(67)が、前記気体とともに前記粒状のドライアイスを吹き付けてもよい。この形態によれば、吹き付け部材をエアターンバーとしたことで、個別に吹き付け部材を設けることなく、装置の小型化を図ることができる。
【0009】
本発明のウェット洗浄装置の一形態において、前記ドライアイス洗浄部(65)に対し、前記フィルム(2)の搬送方向の下流側で隣接して、前記フィルム(2)に付着する付着物の有無を検査する検査部(61)を備えてもよい。この形態によれば、検査部を設けたことで、液体洗浄、ドライアイス洗浄を経て、フィルムの付着物の有無を検査することで、高精度な付着物の除去が行われたか確認することができる。
【0010】
なお、以上の説明では本発明の理解を容易にするために添付図面の参照符号を括弧書きにて付記したが、それにより本発明が図示の形態に限定されるものではない。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、フィルムを液体で洗浄するので、フィルムの付着物を高精度に除去することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
図1は、本発明の一形態に係るウェット洗浄装置が組み込まれた液晶ディスプレイの生産システムの一例を示す。生産システム1は、液晶ディスプレイ用のカラーフィルタ基板に加工を施すものであって、カラーフィルタ基板はウェブフィルム2に連続的に形成されている。
【0013】
生産システム1は、ウェブフィルム2の搬送方向上流側より、ウェブフィルム2を巻き出す巻き出し装置3と、カラーフィルタ基板上にITO膜11を形成するITO膜形成装置4と、カラーフィルタ基板上にカラムスペーサ(以下、CSと表記する)21を形成するCS形成装置5と、ウェブフィルム2を洗浄する洗浄装置6と、カラーフィルタ基板上に光配向膜22を形成する光配向膜形成装置7と、カラーフィルタ基板上に液晶25をシールするためのシール剤24及び液晶25を塗布するシール剤・液晶塗布装置8と、TFT(thin film transistor 薄膜トランジスタ)アレイ基板23とカラーフィルタ基板とを貼合するアライメント貼合装置9と、ウェブフィルム2からTFTアレイ基板23が貼合されたカラーフィルタ基板を切り抜く切り抜き装置10と、切り抜かれたウェブフィルム2を巻き取る巻き取り装置11とを順次備える。
【0014】
ITO膜形成装置4は、機能性パターンとしてのITO膜20をカラーフィルタ基板上に形成するインクジェットノズル40と、ITO膜20を乾燥させる乾燥部41とを備える。CS形成装置5は、液晶25の厚みを均一に保つCS21のもととなるCS材塗料組成物層50が形成されたCSドライフィルムを巻き出すCSドライフィルム巻き出し部51と、カラーフィルタ基板にCS材塗料組成物層50を転写するCS転写部52と、フォトリソグラフィ法によりCS21を形成するための露光部53、現像部54及びベーク部55と、形成されたCS21を検査する検査部56とを備える。洗浄装置6は、ウェブフィルム2を洗浄する洗浄部60を備える。光配向膜形成装置7は、機能性パターンとしての光配向膜22をカラーフィルタ基板上に形成するインクジェットノズル70と、光配向膜22を乾燥させる乾燥部71と、光配向膜22に紫外線を照射する紫外線照射部72とを備える。シール剤・液晶形成装置8は、シール剤24を塗布するインクジェットノズル80と、液晶25を塗布するインクジェットノズル81とを備える。アライメント貼合装置9は、TFTアレイ基板23を貼合する貼合部90を備える。なお、図1ではウェブフィルム2を巻き出し装置3から全工程を経て巻き取り装置11まで連続的に搬送しているが、工程間の適宜の位置にてウェブフィルム2を一旦ロール状に巻き取り、その巻き取られたフィルムロールを他の巻き出し装置から次工程に送り出してもよい。
【0015】
以上の生産システム1においては、洗浄装置6に関して、本形態の一形態に係るウェット洗浄装置が使用されている。図2は、そのウェット洗浄装置を洗浄装置6として構成した例を示す。図2の洗浄装置6は、上述した洗浄部60に加えて、巻き出し装置3と同様の構成でありロール状に巻かれたフィルム2を巻き出す巻き出し部3aと、洗浄したフィルム2の付着物やフィルム2の傷等の欠陥の有無を図示しないCCD(Charge Coupled Device 電荷結合素子)センサにより確認する検査を行う検査部61と、フィルム2の欠陥が検出されたときにラベルをフィルム2に貼り付けるラベラー62と、巻き取り装置11と同様の構成であり洗浄されたフィルム2をロール状に巻き取る巻き取り部11aとを順次備えている。フィルム2は、巻き出し部3aと巻き取り部11aとの間を複数のガイドローラに掛け回されて図示しない駆動源により動力を得て搬送される。
【0016】
洗浄部60は、界面活性剤を用いて洗浄する液体洗浄部63aと、液体洗浄部63aにより洗浄したフィルム2を乾燥させる乾燥部64aと、界面活性剤をすすぐため水を用いて洗浄する液体洗浄部63bと、液体洗浄部63bにより洗浄したフィルム2を乾燥させる乾燥部64bと、気体とともに粒状のドライアイスをフィルム2に対して吹き付けるドライアイス洗浄部65とを備えている。
【0017】
液体洗浄部63a、63bには、キャビテーション現象を利用したノズル対66が設けられている。ノズル対66は、各ノズル66a、66bがフィルム2の表裏面に対向して設置されている。本形態では、2組のノズル対66が各液体洗浄部63a、63bに設置されている。なお、キャビテーションとは、高圧の液体を噴射することで液体の速度の増大に伴って液体の圧力が低下し、飽和水蒸気圧まで圧力が減少した結果、液体が気泡となる現象のことである。
【0018】
図3は、キャビテーション現象を利用したノズル対66を示す。ノズル66aは、フィルム2に対向する位置に液体貯留部66cを有する。液体貯留部66cの寸法は、幅Wが5mm、長さLが1mmである。フィルム2と液体貯留部66cの間には、100μmの空隙Gが存在する。フィルム2の反対面にも同様のノズル66bが同じ条件で、お互いに対向する位置に設置されている。
【0019】
乾燥部64a、64bでは、エアナイフがフィルム2の表裏面に対向して設置されている。フィルム2の表面及び裏面から、エアナイフのエアの噴射先がお互いに対向する位置で、同程度の圧力で同時にエアを噴射する。
【0020】
ドライアイス洗浄部65では、気体を送り込みながらフィルム2の進行方向を変更するターンバー67が設置されている。吹き付け部材としてのターンバー67は、ターンバー67の表面に複数の孔が設けられ、気体とともに粒状のドライアイスをフィルム2に対して吹き付ける。ドライアイス粒子は、液化炭酸ガスの圧力を下げることにより作り出すことができる。
【0021】
次に洗浄装置6の動作を説明する。フィルム2は、巻き出し部3aにより巻き出されて搬送されて、液体洗浄部63aにおいて複数のノズル対66により液体を用いて洗浄される。図3に示す液体貯留部66cの内部では、液体が高圧で噴射されることによる噴流が発生して、フィルム2と液体との接触面で洗浄することができる。空隙Gからもれる液体は少ないため、洗浄するための液体を効率よく利用することができる。フィルム2の表裏面から、ノズル対66がお互いに対向する位置で、同程度の圧力で同時に洗浄するのでフィルム2がたわむことなく、液体での洗浄が可能となる。
【0022】
洗浄後は乾燥部64aにて、エアナイフにより、高圧のエアを帯状に噴射して、洗浄されたフィルム2の水切りを行う。
【0023】
本形態では、洗浄と乾燥の工程のセットが2回行われ、液体洗浄部63aでは界面活性剤を用いた洗浄、液体洗浄部63bでは水を用いてのリンスを行うことにより、微細な付着物を除去している。液体洗浄部63bは、液体洗浄部63aと同様の動作により、フィルム2を洗浄する。乾燥部64bでも、乾燥部64aと同様の動作により、フィルム2を乾燥する。
【0024】
フィルム2への洗浄と乾燥を行った後は、ドライアイス洗浄部65によってドライアイス洗浄を行う。液体洗浄部63a、63bで除去できなかったフィルム2の付着物や、フィルム2に固着する固着物といった異物を、ドライアイス粒子を噴射して衝突させることにより、フィルム2から除去する。また、乾燥部64bで乾燥しきれなかった水は、ドライアイスを接触させることにより氷にして除去する。ドライアイスは気化するので、乾燥等の後工程は必要ない。
【0025】
検査部61では、図示しないCCDセンサが設置され、液体洗浄、ドライアイス洗浄を経て、フィルム2の異物や傷等の欠陥の有無を検査する。欠陥が発見された場合は、ラベラー62により、欠陥のある箇所にラベルが貼られ、次工程で欠陥のある箇所を避けてフィルムを加工する。
【0026】
欠陥箇所にラベルが貼られたフィルム2は、巻き取り部11aにより巻き取られてロール状となり、次の工程ではラベルの貼られた箇所を避けて利用する。
【0027】
なお、本発明の好適な形態について説明したが、本発明は、上述した形態に限定されることなく、種々の形態にて実施することができる。例えば、本形態では、洗浄装置6としてウェット洗浄装置を使用した例を説明したが、単独の装置の構成でなくとも、生産システム1のようにシステムの一部として利用されていてもよい。生産システム1は、巻き出し装置3と、洗浄部60と、巻き取り装置11とを備え、ウェット洗浄装置を有している。
【0028】
本形態では、液体洗浄部63a、63b、と乾燥部64a、64bとして、液体洗浄部と乾燥部をそれぞれふたつずつ設けたウェット洗浄装置について説明したが、これに限定されず、例えば、液体洗浄部と乾燥部をひとつずつ設けてもよいし、3つ以上の液体洗浄部または乾燥部を設けてもよい。液体洗浄部と乾燥部の数が異なっていてもよく、数について限定されない。
【0029】
液体洗浄部63aは、界面活性剤を用いた洗浄を行うが、これに換えて、水を用いた洗浄を行ってもよい。液体洗浄部では、フィルムの条件に合わせ、任意の液体で洗浄してもよい。
【0030】
乾燥部64a、64bのエアナイフは、フィルム2の洗浄の条件に合わせ、任意の数を設置してもよい。エアナイフは、フィルム2の表裏面にお互いに対向して設置される例を説明したが、これに限定されず、例えば、エアナイフの対向として板やローラ等の支持部材を設けてもよい。また、エアナイフに換えて、熱風による乾燥を行ってもよい。
【0031】
ノズル66a、66bの寸法については、本形態に限定されることなく、幅W、長さL、空隙Gは、設計や条件に合わせて任意の寸法でよい。空隙Gや、液体の圧力を変えることにより、洗浄力を制御することができる。また、ノズル対66の個数についても洗浄の条件に合わせ、任意に設置してよい。ノズル66a、66bは、フィルム2の表裏面にお互いに対向して設置されるノズル対66として説明したが、これに限定されず、例えば、ノズル66aの対向として板やローラ等の支持部材を設けてもよい。
【0032】
ドライアイス洗浄部65では、吹き付け部材として、ターンバー67を用いた例について説明したが、これに限定されず、例えば、吹き付け部材をフィルム2の表裏面にそれぞれ設けてもよく、表裏面から同時に気体とともにドライアイス粒子を吹き付けるような構成でもよい。吹き付け部材として、スリット型ノズルや、板材に複数の孔を設けた多孔板ノズルを用いて気体とドライアイス粒子を吹き付けてもよく、これらのノズルが揺動可能であってもよい。
【0033】
検査部61のCCDセンサに換えて、例えば、レーザーの反射を利用したセンサを用いてもよく、検査手段は任意に選んでもよい。
【0034】
ラベラー62では、フィルム2の欠陥箇所にラベルを貼る例を説明したが、これに限定されず、例えば、ICタグに欠陥箇所の位置情報を記憶させてもよいし、バーコードを利用してもよい。これにより、次の工程で欠陥のある箇所を避けてフィルムを加工することができる。フィルム2の欠陥箇所を次工程で認識できれば、任意の手段を用いてよい。
【図面の簡単な説明】
【0035】
【図1】本発明の一形態に係るウェット洗浄装置が組み込まれた生産システムの概略図。
【図2】洗浄装置としてのウェット洗浄装置の一形態の構成を示す概略図。
【図3】液体洗浄部のノズル対の構成を示す図。
【符号の説明】
【0036】
1 生産システム
2 ウェブフィルム(フィルム)
3a 巻き出し部
6 洗浄装置(ウェット洗浄装置)
11a 巻き取り部
60 洗浄部
61 検査部
63a、63b 液体洗浄部
64a、64b 乾燥部
65 ドライアイス洗浄部
67 ターンバー(吹き付け部材)
【出願人】 【識別番号】000002897
【氏名又は名称】大日本印刷株式会社
【出願日】 平成18年7月3日(2006.7.3)
【代理人】 【識別番号】100099645
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 晃司

【識別番号】100101203
【弁理士】
【氏名又は名称】山下 昭彦

【識別番号】100104499
【弁理士】
【氏名又は名称】岸本 達人


【公開番号】 特開2008−12387(P2008−12387A)
【公開日】 平成20年1月24日(2008.1.24)
【出願番号】 特願2006−183708(P2006−183708)