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【発明の名称】 剥離ベルト
【発明者】 【氏名】谷口 峯靖

【氏名】溝口 浩志

【要約】 【課題】貼付部材の剥離から接着剤・粘着剤の除去まで使用することができる剥離ベルトを提供する。

【構成】摩耗特性が5g以上であり、ゴム硬度がJIS(A)30〜80である軟質の合成樹脂又はゴムからなる剥離ベルトである。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
摩耗特性が5g以上であり、ゴム硬度がJIS(A)30〜80である軟質の合成樹脂又はゴムからなる剥離ベルト。
【請求項2】
軟質の合成樹脂又はゴム部分が0.5mm〜20.0mmの肉厚を有する請求項1に記載の剥離ベルト。
【請求項3】
基材をさらに含む請求項1又は2に記載の剥離ベルト。
【発明の詳細な説明】【技術分野】
【0001】
本発明はベルトサンダー等に用いられる剥離ベルトに関し、更に詳しくは、下地を損傷することなく、ステッカー等の貼付部材を剥離するのに適した剥離ベルトに関する。
【背景技術】
【0002】
電子機器製品、家庭用電気製品、事務機器などの再使用部品の再生処理工具として、外観再生工具が知られている(特許文献1)。この工具は外装部材の表面に付着した貼付部材剥離、接着剤除去、汚染部清掃、固着汚れ除去のうち少なくとも2つ以上の作業を実施するための表面付着物除去作業用の外装部材の外観再生工具であって、前記表面付着物除去作業用の工具としての交換可能な複数の摺擦部材、この摺擦部材交換手段及び摺擦部材駆動手段を有することを特徴とする。
【0003】
この工具を使用して外観再生を行うに際しては、外観再生の段階に応じて、複数の摺擦部材を交換する必要がある。まず第一に歯付ゴム部材からなる摺擦部材を用いて貼付部材の剥離を行う。次に平滑なゴム部材からなる摺擦部材を用いて接着剤を除去する。さらに、洗浄液の保持が可能である部材からなる摺擦部材を用いて汚染部を清掃し、最後に研磨部材からなる摺擦部材を用いて固着汚れを除去する。
【0004】
【特許文献1】特開2005−58878号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上記のように、上記特許文献1に開示の技術では、外観再生を行うにあたって、摺擦部材を交換する必要があり、工程が煩雑になるという問題があった。
【0006】
本発明は、このような従来技術の有する問題点に鑑みてなされたものであり、その課題とするところは、貼付部材の剥離から接着剤・粘着剤の除去まで使用することができる剥離ベルトを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明者らは上記課題を達成すべく鋭意検討した結果、剥離ベルトとして特定の材質を採用することによって、上記課題を達成することが可能であることを見出し、本発明を完成するに至った。
【0008】
即ち、本発明によれば、以下に示す剥離ベルトが提供される。
【0009】
[1]摩耗特性が5g以上であり、ゴム硬度がJIS(A)30〜80である軟質の合成樹脂又はゴムからなる剥離ベルト。
【0010】
[2]軟質の合成樹脂又はゴム部分が0.5mm〜20.0mm程度の肉厚を有する上記[1]の剥離ベルト。
【0011】
[3]基材をさらに含む上記[1]又は[2]に記載の剥離ベルト。
【発明の効果】
【0012】
本発明の剥離ベルトは、車両等に貼付されたステッカー等貼付部材を、下地を損傷することなく剥離させることができるという効果を奏するものである。また、本発明の剥離ベルトはベルト状であるので、多様な用途に対応が可能である。また、材質のみならず、幅及びリーチを適切に選択可能である。なお、本発明の剥離ベルトはベルトサンダーとして広く知られている回転工具を用いて使用することができる。ベルトサンダーのコンタクトホイールを適切に選択することにより、作業性や作業スピードを最適に設定可能である。市販のベルトサンダーに装着可能であるので、使用するベルトサンダーに合わせてベルトのサイズを適宜決定すれば良く、ユーザーの範囲が広く多様である。
【0013】
本発明のベルトは摩耗性を有するため、貼付部材の断片又は貼付部材に用いられている接着剤・粘着剤がベルトに付着しても、貼付部材の断片や接着剤・粘着剤と共にベルトの一部が摩耗することにより削りカスとなって脱落するためベルトは常に汚れの無い状態が保たれ、性能が維持される。
【0014】
本発明のベルトは摩耗性を有するため、摩擦エネルギーの一部が摩耗に消費され、その分摩擦熱の発生が抑制されると共に、若干温度が上昇したベルトの接触面も、その一部が摩耗することにより削りカスとなって脱落するためベルトへの蓄熱作用も抑制される。その結果、熱に起因する下地への悪影響を抑制することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
以下、本発明の実施の最良の形態について説明するが、本発明は以下の実施の形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で、当業者の通常の知識に基づいて、以下の実施の形態に対し適宜変更、改良等が加えられたものも本発明の範囲に入ることが理解されるべきである。
【0016】
本発明の剥離ベルトは、摩耗性と弾力性を有する軟質の合成樹脂又はゴムからなる。このような合成樹脂としては、フェノール樹脂、アミノ樹脂(ユリア樹脂、メラミン樹脂、ベンゾグアナミン樹脂)、不飽和ポリエステル樹脂、ジアリルフタレート樹脂(アリル樹脂)、アルキド樹脂、エポキシ樹脂(ビスフェノールA型エポキシ樹脂、ノボラック型エポキシ樹脂、多官能基エポキシ樹脂、脂環状エポキシ樹脂)、ウレタン樹脂(ポリウレタン)、塩化ビニル樹脂、ケイ素樹脂(シリコーン)を挙げることができる。中でも、塩化ビニル樹脂が好ましい。
【0017】
又、このようなゴムとしては、天然ゴム(NR)、イソプレンゴム、スチレンブタジエンゴム(SBR)、ブタジエンゴム、クロロプレンゴム、ニトリルゴム、ブチルゴム、クロロスルホン化ポリエチレンゴム、フッ素ゴム、エチレンプロピレンゴム、エピクロヒドリンゴム、アクリルゴム、ウレタンゴム、シリコンゴムを挙げることができる。中でもスチレンブタジエンゴムが好ましい。
【0018】
本明細書中摩耗特性とは、評価試験用に直径150mm、厚さ15mm、幅10mmに調製した剥離ベルトを、ダイヤ電着#30〜40のコンタクトブロックで10Nの荷重を付加しつつ、500RPMで5分間回転させたときの評価対象剥離ベルトの重量の減少量で表す。摩耗特性が5g未満であると研磨対象の削りカス等が剥離ベルト上に残り、性能の劣化に繋がるとともに、剥離ベルトへの蓄熱量が大きくなり、研磨対象物に対する熱による影響が大きくなる。従って、本発明において摩耗特性は5g以上であり、15g以上であればより好ましい。また、摩耗特性の上限は30g程度である。
【0019】
上記の摩耗特性を有する樹脂又はゴムは、次のものを例示できる。SBRを主成分とするゴムにおいて上記の摩耗特性を有するものは、SBR(日本ゼオン製、品番1502)100質量部、架橋剤(硫黄)2.5質量部、補強材(珪酸類)250質量部、その他40質量部を配合して得ることができる。この配合により製造した剥離ベルトは摩耗特性20gであった。一般に、ゴムを主成分とする場合には、適宜補強材を選択することにより上記の摩耗特性を有する剥離ベルトを得ることができる。
【0020】
また、塩化ビニル樹脂を主成分とする樹脂において上記の摩耗特性を有するものは、可塑化処理などして得ることができる。このようにして得た剥離ベルトは摩耗特性20gであった。一般に、樹脂を主成分とする場合には、上記と同様、可塑化処理することにより上記の摩耗特性を有する剥離ベルトを得ることができる。
【0021】
本発明の剥離ベルトの樹脂又はゴムとしては、ゴム硬度がJIS(A)30〜80のものを採用することができる。ここで、ゴム硬度はJIS K 6253準拠のタイプAデュロメータで測定する。硬度が30未満であると剥離能力の低下の傾向がある一方、硬度が80を越えると下地材を損傷するおそれがある。したがって、ゴム硬度は30〜80であり、40〜60であればより好ましい。このようなゴム硬度の樹脂又はゴムは補強材の添加量を適宜調節して得ることができる。
【0022】
本発明の剥離ベルトは樹脂又はゴム部分が0.5mm〜20.0mm程度の肉厚を有するのが好ましい。より好ましくは1.0mm〜5.0mmである。0.5mm未満であると使いしろが少なくなる傾向があり、20.0mmを超えると大きな径のコンタクトホイールが必要となる場合がある。
【0023】
ベルトの周長は使用するベルトサンダーに合わせて種々の長さを採用し得る。しかしながら、一般的には100mm〜1000mm程度である。
【0024】
本発明の剥離ベルトは基材をさらに含んでも良い。基材としては、天然又は合成の繊維を例示することができる。具体的には綿布を用いることができる。
【0025】
図1は、本発明の剥離ベルトの一実施形態を示す斜視図である。本実施形態の剥離ベルト1は基材2に合成樹脂又はゴムからなる研磨体3を一体に成型して製造することができる。図2を参照しつつ、より詳しい製造例を説明する。抜き型を使用して研磨体3を抜いておく(図2a)。また、成型に使用する金型6をプレス5にかけて予熱しておく(図2b)。金型6をプレス5から取り出し、金型6とパイプ8に離型剤7を吹き付ける(図2c)。パイプ8に基材2を取り付ける(図2d)。金型6の下板6a、研磨体3、基材2を取り付けたパイプ8、研磨体3、金型の上板6bの順に重ねプレス5に投入する(図2d)。プレス投入後約30分高温(140℃〜160℃)にて架橋成型させる。その後、プレス5から製品である剥離ベルト1を取り出して完成する(図2e)。
【0026】
本実施形態の剥離ベルト1は図3及び図4に示す市販のベルトサンダー4に装着して使用することができる。使用にあたっては、剥離ベルト1の回転速度は1〜30m/sの速さで、押し付け力は1〜50Nとする。また、剥離ベルト1を対象に押し付けつつ、剥離ベルト1の回転方向と逆方向にベルトサンダー4本体を移動させつつ行う。
【実施例】
【0027】
以下、本発明を実施例に基づいて具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
【0028】
(実施例1)
本発明の一実施形態である剥離ベルト(材質SBR、摩耗特性20g、硬度50(JIS(A))、厚さ4.0mm、幅10mm)を用いて、自動車の塗装面に貼られた、塩化ビニール製のステッカーを剥離した。剥離には市販のベルトサンダーを用いて、回転数2500rpmで5Nの力で押し付けつつ行った。塩化ビニール製ステッカーと粘着剤とを跡形も無く剥離することができた。また、自動車の塗装面へのダメージは無かった。
【0029】
(実施例2)
次に、本発明の一実施形態である剥離ベルト(材質SBR、摩耗特性18g、硬度48(JIS(A))、厚さ4.0mm、幅10mm)を用いて自動車のドア上部に装着されたアクリル製バイザーの粘着剤を剥離した。剥離には市販のベルトサンダーを用いて、回転数2000rpmで5Nの力で押し付けつつ行った。粘着剤を跡形も無く除去することができた。アクリル製バイザーへのダメージは無かった。
【0030】
(実施例3)
本発明の一実施形態である剥離ベルト(材質NR、摩耗特性20g、硬度52(JIS(A))、厚さ3.0mm、幅10mm)を用いてアクリル製看板に貼られた、塩化ビニール製ステッカーの剥離を行った。剥離には市販のベルトサンダーを用いて、回転数2000rpmで10Nの力で行った。塩化ビニール製ステッカーと粘着剤とを跡形もなく剥離することができた。また、アクリル製看板へのダメージは無かった。
【0031】
(比較例1)
比較のためクロロプレンゴム(CR)を用いて剥離ベルトを製造した。素材としてCRを採用した以外は上記実施例1と同様にした。なお、素材として採用したCRは耐摩耗性が高い(摩耗特性3g)。自動車の塗装面上の粘着剤を十分に除去することができなかった。
【0032】
(比較例2)
比較のため硬度25(JIS(A))の剥離ベルトを製造した。補強材を減量した以外は実施例1と同様にした。ステッカーは取れたが自動車の塗装面上の粘着剤を十分には除去することができなかった。
【0033】
(比較例3)
比較のため硬度85(JIS(A))の剥離ベルトを製造した。補強材を増量した以外は実施例1と同様にした。ステッカーは取れたが、自動車の塗装面に摺り跡が残った。
【産業上の利用可能性】
【0034】
本発明の剥離ベルトは、ステッカー等の貼付部材及び接着剤・粘着剤を剥離するのに用いることができる。
【図面の簡単な説明】
【0035】
【図1】本発明の剥離ベルトの一実施形態を示す斜視図である。
【図2】本発明の剥離ベルトの製造工程の一例を示す模式図である。
【図3】本発明の剥離ベルトを使用するベルトサンダーの一例を示す斜視図である。
【図4】本発明の剥離ベルトを使用するベルトサンダーの他の例を示す斜視図である。
【符号の説明】
【0036】
1:剥離ベルト、2:基材、3:研磨体、4:ベルトサンダー、5:プレス、6、6a、6b:金型、7:離型剤、8:パイプ
【出願人】 【識別番号】592099086
【氏名又は名称】株式会社オフィスマイン
【識別番号】597027671
【氏名又は名称】大和化成工業株式会社
【出願日】 平成18年6月23日(2006.6.23)
【代理人】 【識別番号】100088616
【弁理士】
【氏名又は名称】渡邉 一平

【識別番号】100089347
【弁理士】
【氏名又は名称】木川 幸治

【識別番号】100135987
【弁理士】
【氏名又は名称】菅野 重慶


【公開番号】 特開2008−721(P2008−721A)
【公開日】 平成20年1月10日(2008.1.10)
【出願番号】 特願2006−174586(P2006−174586)