トップ :: B 処理操作 運輸 :: B08 清掃

【発明の名称】 洗剤泡による洗浄方法および装置
【発明者】 【氏名】北村 仁史

【氏名】山口 重行

【氏名】伊藤 良泰

【氏名】前田 康成

【氏名】六嶋 一雅

【氏名】丹生 貴也

【氏名】柴田 尚紀

【要約】 【課題】ミストに代えて、浮遊・拡散性に優れた微小サイズの洗剤泡を、洗浄対象部位を囲む閉空間に噴霧状態で供給することで、閉空間全体に洗剤成分を均等に行き渡らせて洗浄性能を向上させることができる洗剤泡による洗浄方法および装置を提供する。

【構成】気泡2aの外表面が洗剤成分の薄膜2bで覆われて、浮遊・拡散性を有する微小サイズの洗剤泡2を、浴槽(洗浄対象部位)20内の閉空間に噴霧状態で供給することで、微小サイズの洗剤泡2は、その優れた浮遊・拡散性によって浴槽20内の全体に均等に行き渡るようになるから、浴槽20内の全体に洗剤成分が均等に行き渡るので、洗浄性能が向上するようになる。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
気泡の外表面が洗剤成分の薄膜で覆われて、浮遊・拡散性を有する微小サイズの洗剤泡を、洗浄対象部位を囲む閉空間に噴霧状態で供給することを特徴とする洗剤泡による洗浄方法。
【請求項2】
気泡の外表面が洗剤成分の薄膜で覆われて、浮遊・拡散性を有する微小サイズの洗剤泡を発生する洗剤泡発生器を備え、発生した洗剤泡を、洗浄対象部位を囲む閉空間に噴霧状態で供給することを特徴とする洗剤泡による洗浄装置。
【請求項3】
前記洗剤泡のサイズは、直径が約1〜1000μmであることを特徴とする請求項2に記載の洗剤泡による洗浄装置。
【請求項4】
前記洗剤泡に、洗浄成分とともに殺菌成分を含んでいることを特徴とする請求項2または3に記載の洗剤泡による洗浄装置。
【請求項5】
前記洗剤泡を、洗浄対象部位を囲む閉空間に噴霧状態で供給する手段は、送風ファンやエアーポンプ等の風力であり、風量や方向を調整可能であることを特徴とする請求項2〜4のいずれか一項に記載の洗剤泡による洗浄装置。
【請求項6】
前記洗剤泡の気泡は、温空気であることを特徴とする請求項2〜5のいずれか一項に記載の洗剤泡による洗浄装置。
【請求項7】
前記洗浄対象部位は、浴槽の内面であり、浴槽の上部開口が蓋で閉じられて、浴槽の内面を囲む閉空間が形成されていることを特徴とする請求項2〜6のいずれか一項に記載の洗剤泡による洗浄装置。
【発明の詳細な説明】【技術分野】
【0001】
本発明は、洗剤泡による洗浄方法および装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、洗浄対象部位、例えば浴槽の洗浄方法としては、洗剤擦り洗い洗浄、高圧水洗浄、ミスト洗浄が挙げられる。洗剤擦り洗い洗浄は、高齢者等に多大な負担がかかり、高圧水洗浄は、一般的な浴槽自動洗浄方法ではあるが、洗浄ムラや水はじき騒音が発生し、高出力ポンプを必要とするので消費電力が多くなる。
【0003】
これに対して、ミスト洗浄は、洗剤擦り洗い洗浄や高圧水洗浄のような欠点を解消できる。
【0004】
なお、洗濯機において、洗剤が溶解した洗濯水を洗剤泡にして洗濯物にかけて洗濯するものがある(特許文献1参照)。また、シャワー装置(洗浄装置)において、洗剤を含んだ温水をシャワー用のノズルから噴霧し、その噴霧した粒子に微細な気泡を含ませ、微細な洗剤泡の塊として入浴者の体表面に付着させ、この微細な洗剤泡の塊が体表面からゆっくり流れ落ちる間に洗剤を汚れに浸透させ、噴霧された粒子の刺激で汚れを浮き上がらせることにより洗浄するものがある(特許文献2参照)。
【特許文献1】特開2003−175293号公報
【特許文献2】特開2005−287994号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、ミスト洗浄では、ミスト自体は、微小サイズであるものの重量を有する水滴であるために、浮遊性や拡散性が悪いことから、浴槽全体に洗剤成分を均等に行き渡らせることが難しく、洗浄性能が悪いという問題があった。
【0006】
なお、特許文献1、2は、洗剤泡による洗浄技術であるが、いずれも洗剤泡の塊(ムース状)であるために浮遊性や拡散性が全く無く、例えば浴槽の洗浄方法として採用しても、ミスト洗浄と同様に、浴槽全体に洗剤成分を均等に行き渡らせることが難しく、洗浄性能の向上が期待できない。
【0007】
本発明は、前記問題を解消するためになされたもので、ミストに代えて、浮遊・拡散性に優れた微小サイズの洗剤泡を、洗浄対象部位を囲む閉空間に噴霧状態で供給することで、閉空間全体に洗剤成分を均等に行き渡らせて洗浄性能を向上させることができる洗剤泡による洗浄方法および装置を提供することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
前記課題を解決するために、本発明の請求項1は、気泡の外表面が洗剤成分の薄膜で覆われて、浮遊・拡散性を有する微小サイズの洗剤泡を、洗浄対象部位を囲む閉空間に噴霧状態で供給することを特徴とする洗剤泡による洗浄方法を提供するものである。
【0009】
本発明の請求項2は、気泡の外表面が洗剤成分の薄膜で覆われて、浮遊・拡散性を有する微小サイズの洗剤泡を発生する洗剤泡発生器を備え、発生した洗剤泡を、洗浄対象部位を囲む閉空間に噴霧状態で供給することを特徴とする洗剤泡による洗浄装置を提供するものである。
【0010】
請求項3のように、前記洗剤泡のサイズは、直径が約1〜1000μmであるが好ましい。
【0011】
請求項4のように、前記洗剤泡に、洗浄成分とともに殺菌成分を含んでいることが好ましい。
【0012】
請求項5のように、前記洗剤泡を、洗浄対象部位を囲む閉空間に噴霧状態で供給する手段は、送風ファンやエアーポンプ等の風力であり、風量や方向を調整可能であることが好ましい。
【0013】
請求項6のように、前記洗剤泡の気泡は、温空気であることが好ましい。
【0014】
請求項7のように、前記洗浄対象部位は、浴槽の内面であり、浴槽の上部開口が蓋で閉じられて、浴槽の内面を囲む閉空間が形成されている構成とすることができる。
【発明の効果】
【0015】
本発明の請求項1の洗浄方法および請求項2の洗浄装置によれば、ミストに代えて、浮遊・拡散性に優れた微小サイズの洗剤泡(いわゆるシャボン玉)を、洗浄対象部位を囲む閉空間に噴霧状態で供給することで、微小サイズの洗剤泡は、その優れた浮遊・拡散性によって閉空間(例えば浴槽内)全体に均等に行き渡るようになるから、閉空間全体に洗剤成分が均等に行き渡るので、洗浄性能が向上するようになる。
【0016】
請求項3によれば、洗剤泡のサイズが約1000μm(1mm)以下であるので、浮遊・拡散性がより優れるようになる。
【0017】
請求項4によれば、洗剤泡に殺菌成分を含んでいるので、洗浄性能と同時に殺菌性能も向上するようになる。
【0018】
請求項5によれば、洗剤泡の供給手段として、送風ファンやエアーポンプ等の風力を利用することができ、その風量や方向が調整可能であるので、拡散性がより向上するようになる。
【0019】
請求項6によれば、洗剤泡の気泡が温空気であるので、浮遊性がより向上するようになる。
【0020】
請求項7によれば、洗浄対象部位を浴槽の内面として、浴槽の上部開口を蓋で閉じるだけで、浴槽の内面を囲む閉空間が形成できるので、浴槽の内面を簡単かつ手間がかからずに隅々まで自動洗浄できるようになる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0021】
以下、本発明を実施するための最良の形態について、図面を参照しながら詳細に説明する。
【0022】
図1は背景技術としてのミスト1の拡大断面図であり、図2は本発明に係る洗剤泡2の拡大断面図である。ミスト1は、微小サイズ(例えば直径Dが2〜40μm)であるものの重量を有する水滴であるのに対して、洗剤泡(いわゆるシャボン玉)2は、ミスト1と同じ微小サイズ(例えば直径D)であっても、気泡(空気)2aの外表面が洗剤成分の薄膜2bで覆われているだけであるので、その重量は約1/1000程度であって、浮遊・拡散性は、ミスト1よりも格段に優れている。
【0023】
図3は洗剤泡発生器5の原理図であって、洗剤水が入ったタンク6内に、微小の孔7aが無数に形成されたメッシュやパンチングメタルのような洗剤水付着用ドラム7を設け、このドラム7をモータ8で回転させて各孔7aに洗剤水の薄膜を張らせながら、送風ファン9から送風することで、ドラム7の各孔7aから無数の微小(マイクロサイズ)な洗剤泡2が形成されながら吹き飛ばされる、つまり広範囲に遠くまで拡散されるようになる。
【0024】
洗剤水の洗剤成分は表面活性剤であって、これにより、ドラム7の各孔7aに洗剤水の薄い膜が張られるようになる。なお、洗剤水に、洗浄成分とともに殺菌成分を含ませることもできる。
【0025】
図4、図5は手動ポンプ式(電動ポンプ式でも可)の洗剤泡発生器10の例であり、密閉のタンク11内に入った洗剤水をハンドル12の操作で0.2Mpa程度で加圧した後に、噴霧ノズル部13を開けると、洗剤水に加圧圧縮されて溶解した空気が噴霧ノズル部13の微小の孔13aから噴霧される時に減圧されるため、飽和溶解量以上に溶解した空気が独立した微小な気泡となって析出し、このとき、洗剤成分(表面活性剤)により気泡が強固な薄膜で覆われて微小な洗剤泡2となって、無数の微小(マイクロサイズ)な洗剤泡2が噴霧状態で噴出されるようになる。ここで、洗剤泡2が噴霧状態で噴出されるとは、各々が独立した単泡としての無数の洗剤泡2が恰も霧のように広がりながら吹き出されることである。
【0026】
図6のように、噴霧ノズル部13に送風ファン14を設ければ、無数の洗剤泡2が吹き飛ばされる、つまり広範囲に遠くまで拡散されるようになる。
【0027】
また、送風ファン14等の風力は、風量や方向を調整可能である。さらに、空気と洗剤水の気液混合比率を変えること、あるいは加圧度合いに応じて、洗剤泡2の直径や密度(泡数)を調整することが可能である。
【0028】
図7は浴槽20の洗浄装置に適用したものであって、浴槽20の外部には、配管21から水道水を補給可能なタンク22が設けられ、このタンク22は、上部蓋22aを開けることで洗剤が補給可能であって、タンク22内に洗剤水を溜めることができる。
【0029】
また、浴槽20の外部には、噴霧ノズル部23が設けられ、この噴霧ノズル部23には、タンク22の配管22bとエアーポンプ24とが接続されている。
【0030】
エアーポンプ24、水道水用配管21のバルブ、タンク用配管22bのバルブ等は制御ボックス25に接続されて、コントローラ26の入切操作で、エアーポンプ24や各バルブ等が制御されるようになる。
【0031】
洗浄作業時には、浴槽20の上部開口が蓋(浴槽蓋)27で閉じられて、浴槽20の内面(洗浄対象部位)を囲む閉空間が形成されることになる。
【0032】
前記のような浴槽20の洗浄装置であれば、洗浄作業時にコントローラ26を操作して、タンク用配管22bのバルブを開くとともにエアーポンプ24を駆動させると、タンク22から送られた洗剤水にエアーポンプ24で加圧圧縮されて溶解した空気が噴霧ノズル部23の微小の孔から噴霧される時に減圧されるため、飽和溶解量以上に溶解した空気が独立した微小な気泡となって析出し、このとき、洗剤成分(表面活性剤)により気泡が強固な薄膜で覆われて微小な洗剤泡2となって、無数の微小(マイクロサイズ)な洗剤泡2が噴霧状態で噴出されるようになる。
【0033】
このようにして、浮遊・拡散性に優れた微小サイズの洗剤泡2を、浴槽20内に噴霧状態で供給することで、微小サイズの洗剤泡2は、その優れた浮遊・拡散性によって閉空間である浴槽20内の全体に均等に行き渡るようになるから、浴槽20内の全体に洗剤成分が均等に行き渡るので、洗浄性能が向上するようになる。そして、洗浄対象部位が浴槽20の内面であれば、浴槽20の上部開口を蓋(浴槽蓋)27で閉じるだけで、浴槽20の内面を囲む閉空間が形成できるので、浴槽20の内面を簡単かつ手間がかからずに隅々まで自動洗浄できるようになる。
【0034】
特に、浮遊性の洗剤泡2をマイクロサイズにすることで泡数を増大でき、それに伴い表面積が増えるから、浴槽20の表面(内面)への付着密度が高まって濡れ性も向上できるので、洗剤成分を効果的に利用した高い洗浄能力が得られるようになる。
【0035】
また、洗剤泡2のサイズが約1000μm(1mm)以下であるので、浮遊・拡散性がより優れるようになる。なお、洗剤泡2の直径Dは、大部分がミスト1と同じ微小サイズ(2〜40μm)であるが、浮遊・拡散中に自然合体して、一部は約1mm〜10mm(1cm)以上、時には100mm(10cm)程度までに拡径することもあり得るが、このような場合であっても、総合的には高い洗浄能力を維持することができる。
【0036】
さらに、洗剤泡2に殺菌成分を含んでいるので、洗浄性能と同時に殺菌性能も向上するようになる。
【0037】
また、洗剤泡2の供給手段として、エアーポンプ24等の風力を利用することができ、その風量や方向が調整可能であるので、拡散性がより向上するようになる。
【0038】
図8は、図7の浴槽20の洗浄装置の変形例であって、エアーポンプ24の配管中にヒータ28を設けて、洗剤泡2の気泡を外気温度よりも高い温空気とすることにより、浮遊性をより向上させたものである(矢印a参照)。
【0039】
前記実施形態は、浴槽の洗浄に適用したものであったが、本発明は、浴室、キッチンシンク、トイレ便器、洗面台ボウル、身体洗浄機能付きシャワーカラン等のような住宅水廻り設備の洗浄や食器洗い洗浄器等のような家電製品の洗浄にも適用できるものである。
【図面の簡単な説明】
【0040】
【図1】背景技術としてのミストの拡大断面図である。
【図2】本発明に係る洗剤泡の拡大断面図である。
【図3】本発明に係る洗剤泡発生器の原理図である。
【図4】本発明に係るポンプ式の洗剤泡発生器の側面断面図である。
【図5】図4の噴霧ノズル部の正面図である。
【図6】本発明に係るポンプ式の送風ファン付き洗剤泡発生器の側面断面図である。
【図7】本発明に係る浴槽の洗浄装置のシステム図である。
【図8】図7の変形例の浴槽の洗浄装置のシステム図である。
【符号の説明】
【0041】
2 洗剤泡
2a 気泡
2b 薄膜
5 洗剤泡発生装置
6 洗剤水タンク
7 洗剤水付着用ドラム
8 モータ
9 送風ファン
10 洗剤泡発生装置
11 洗剤水タンク
13 噴霧ノズル部
14 送風ファン
20 浴槽
22 タンク
23 噴霧ノズル部
24 エアーポンプ
27 蓋
28 ヒータ
【出願人】 【識別番号】000005832
【氏名又は名称】松下電工株式会社
【出願日】 平成18年6月20日(2006.6.20)
【代理人】 【識別番号】100067828
【弁理士】
【氏名又は名称】小谷 悦司

【識別番号】100096150
【弁理士】
【氏名又は名称】伊藤 孝夫

【識別番号】100099955
【弁理士】
【氏名又は名称】樋口 次郎


【公開番号】 特開2008−648(P2008−648A)
【公開日】 平成20年1月10日(2008.1.10)
【出願番号】 特願2006−170170(P2006−170170)