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【発明の名称】 搬送システム
【発明者】 【氏名】関谷 卓朗

【要約】 【課題】搬送物/配送物の各種情報を一元化管理するためにそれらに電子機能部品を付与、管理する新規な搬送システムを提案する。

【解決手段】被搬送物3は主ベルトコンベア1を図の太い矢印方向に搬送されながら、途中で位置整合手段であるガイド4によって、搬送時の位置精度を確保し,液体噴射ヘッド6によって電子機能部品を形成され、さらにまた、情報書き込み/読み取り(ライター/リーダー)手段9によって所望のデータが読み取られ、主ベルトコンベア1から読み取られたデータに応じてそれぞれ分岐された従ベルトコンベア2によって図中の太い矢印方向に搬送され、それぞれの搬送先、あるいは配送先へと送られていくというものである。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
被覆部材により包まれた物品を搬送する搬送手段と、該搬送手段の搬送経路の一部に配置され、前記被覆部材により包まれた物品を搬送時に位置整合させる位置整合手段と、前記被覆部材により包まれた物品に電子機能部品を付与する付与手段と、を備えたことを特徴とする搬送システム。
【請求項2】
前記電子機能部品は、インクジェット原理の噴射ヘッドによって前記被覆部材表面に電気的機能発現材料含有液体を噴射付与し、前記被覆部材表面に前記液体中の固形分を残留させることによって形成されることを特徴とする請求項1に記載の搬送システム。
【請求項3】
前記被覆部材表面に電気的機能発現材料含有液体を噴射付与する前に、前記被覆部材表面に前処理材を付与することを特徴とする請求項2に記載の搬送システム。
【請求項4】
前記液体を噴射付与後に乾燥させる乾燥手段を前記搬送経路に配置することを特徴とする請求項2又は3に記載の搬送システム。
【請求項5】
前記乾燥手段は、前記被覆部材表面の前記電気的機能発現材料含有液体付与部を局所的に乾燥することを特徴とする請求項4に記載の搬送システム。
【請求項6】
前記電子機能部品は、RFID方式のデバイスであることを特徴とする請求項1乃至5のいずれか1項に記載の搬送システム。
【請求項7】
前記RFID方式のデバイスを被覆する被覆手段を有することを特徴とする請求項6に記載の搬送システム。
【請求項8】
前記被覆手段は、紫外線を遮断することを特徴とする請求項7に記載の搬送システム。
【請求項9】
前記RFID方式のデバイスに所望の情報を書き込むライターを前記搬送経路に配置することを特徴とする請求項6又は7に記載の搬送システム。
【請求項10】
前記情報を読み取るリーダーを前記搬送経路に配置することを特徴とする請求項9に記載の搬送システム。
【請求項11】
前記被覆部材表面に直接視認できる文字もしくは記号情報を付与することを特徴とする請求項1乃至10のいずれか1項に記載の搬送システム。
【請求項12】
前記被覆部材表面にインクジェット原理の噴射ヘッドによって液体を噴射付与して、直接視認できる文字もしくは記号情報を付与することを特徴とする請求項11に記載の搬送システム。
【請求項13】
前記液体は、前記電気的機能発現材料含有液体であることを特徴とする請求項12に記載の搬送システム。
【請求項14】
前記液体は、熱によって色が変わるサーモクロミック材料含有液体であることを特徴とする請求項12に記載の搬送システム。
【請求項15】
前記被覆部材表面にインクジェット原理の噴射ヘッドによって液体を噴射付与して、紫外光域で発色する文字もしくは記号情報を付与することを特徴とする請求項1乃至10のいずれか1項に記載の搬送システム。
【請求項16】
前記文字もしくは記号情報を形成した表面を被覆する被覆手段を有することを特徴とする請求項11乃至15のいずれか1項に記載の搬送システム。
【請求項17】
前記被覆部材表面にインクジェット原理の噴射ヘッドによって、光学スキャナーによって取り込まれる情報を付与することを特徴とする請求項11乃至16のいずれか1項に記載の搬送システム。
【請求項18】
前記被覆部材表面にインクジェット原理の噴射ヘッドによって、磁気的に判別できる情報を付与することを特徴とする請求項1乃至10のいずれか1項に記載の搬送システム。
【請求項19】
前記被覆部材表面にインクジェット原理の噴射ヘッドによって、磁気的に記憶可能となる領域を付与形成することを特徴とする請求項1乃至10のいずれか1項に記載の搬送システム。
【請求項20】
前記直接視認できる文字もしくは記号情報、光学スキャナーによって取り込まれる情報、磁気的に判別できる情報は、前記RFID方式のデバイスに書き込まれる情報の一部もしくは全てを含むことを特徴とする請求項11乃至19のいずれか1項に記載の搬送システム。
【請求項21】
前記直接視認できる文字もしくは記号情報、光学スキャナーによって取り込まれる情報、磁気的に判別できる情報のいずれかを付与する前に、前記被覆部材により包まれた物品の位置整合を行う位置整合手段を、前記搬送経路に有することを特徴とする請求項11乃至20のいずれか1項に記載の搬送システム。
【発明の詳細な説明】【技術分野】
【0001】
本発明は、各種生産物や配送物などを仕分け、搬送する搬送システムに関するものであり、特に、その搬送過程において、搬送されるものに情報を付与するようにした搬送システムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年、プリンタブルエレクトロニクス(Printable Electronics)と呼ばれる技術分野の研究開発がさかんになってきている。これは従来のように半導体製造プロセスによってIC、LSI等の電子デバイスを作るのではなく、有機あるいは無機材料を水溶液化あるいは水溶液中に分散させ、印刷インクに見立てて、印刷プロセスによって低コストで各種デバイスを製造しようというものである。印刷プロセスとしては、マイクロコンタクトプリント法やインクジェット法が有力な手法として考えられており、同一出願人により、インクジェット原理を利用して、電子源基板製造を行う発明を提案している(特許文献1参照)。
また、特許文献2には、同様な原理を利用して、基体上に電気回路と可視情報を形成する電気回路形成装置が開示されている。
【特許文献1】特開2001−319567公報
【特許文献2】特開2005−183801公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
このようにインクジェット原理を利用したこのような提案が種々行われ始めているが、このような手段で各種電子デバイス、あるいはパターン配線基板などを製作しようという考えは比較的新しい技術である。それゆえ、より具体的な方法についてはまだ未知の部分が多く、手探り状態にあるのが実情であり、今後検討すべき課題が多々ある。
一方で、近年、情報を記憶しておく小さなICチップと無線通信用のアンテナを組み込んだICタグと呼ばれる(無線ICタグ、無線タグ、RFIDタグ、RFタグとも呼ばれる)装置が注目を集めている。これは、ICタグを各種生産物、配送物、商品等に取り付け、それらの物品の持つ情報をこのICタグに記憶させておけば、その履歴、配送先などを管理できるためである。しかしながらこのICタグは、その名のとおり、ICチップによるものであり、半導体製造プロセスによって製造されるため、コスト面で十分に採算が取れる段階にはなっていない。
本発明は上述のごとき実情に鑑みてなされたもので、その目的は、工業生産品や農産物等を仕分けしたり、配送したりする物流配送システム等において、搬送物/配送物の各種情報を一元化管理するためにそれらに電子機能部品を付与、管理する新規な搬送システムを提案することにある。
【課題を解決するための手段】
【0004】
本発明はかかる課題を解決するために、請求項1は、被覆部材により包まれた物品を搬送する搬送手段と、該搬送手段の搬送経路の一部に配置され、前記被覆部材により包まれた物品を搬送時に位置整合させる位置整合手段と、前記被覆部材により包まれた物品に電子機能部品を付与する付与手段と、を備えたことを特徴とする。
請求項2は、前記電子機能部品は、インクジェット原理の噴射ヘッドによって前記被覆部材表面に電気的機能発現材料含有液体を噴射付与し、前記被覆部材表面に前記液体中の固形分を残留させることによって形成されることを特徴とする。
請求項3は、前記被覆部材表面に電気的機能発現材料含有液体を噴射付与する前に、前記被覆部材表面に前処理材を付与することを特徴とする。
請求項4は、前記液体を噴射付与後に乾燥させる乾燥手段を前記搬送経路に配置することを特徴とする。
請求項5は、前記乾燥手段は、前記被覆部材表面の前記電気的機能発現材料含有液体付与部を局所的に乾燥することを特徴とする。
【0005】
請求項6は、前記電子機能部品は、RFID方式のデバイスであることを特徴とする。
請求項7は、前記RFID方式のデバイスを被覆する被覆手段を有することを特徴とする。
請求項8は、前記被覆手段は、紫外線を遮断することを特徴とする。
請求項9は、前記RFID方式のデバイスに所望の情報を書き込むライターを前記搬送経路に配置することを特徴とする。
請求項10は、前記情報を読み取るリーダーを前記搬送経路に配置することを特徴とする。
請求項11は、前記被覆部材表面に直接視認できる文字もしくは記号情報を付与することを特徴とする。
請求項12は、前記被覆部材表面にインクジェット原理の噴射ヘッドによって液体を噴射付与して、直接視認できる文字もしくは記号情報を付与することを特徴とする。
【0006】
請求項13は、前記液体は、前記電気的機能発現材料含有液体であることを特徴とする。
請求項14は、前記液体は、熱によって色が変わるサーモクロミック材料含有液体であることを特徴とする。
請求項15は、前記被覆部材表面にインクジェット原理の噴射ヘッドによって液体を噴射付与して、紫外光域で発色する文字もしくは記号情報を付与することを特徴とする。
請求項16は、前記文字もしくは記号情報を形成した表面を被覆する被覆手段を有することを特徴とする。
請求項17は、前記被覆部材表面にインクジェット原理の噴射ヘッドによって、光学スキャナーによって取り込まれる情報を付与することを特徴とする。
請求項18は、前記被覆部材表面にインクジェット原理の噴射ヘッドによって、磁気的に判別できる情報を付与することを特徴とする。
【0007】
請求項19は、前記被覆部材表面にインクジェット原理の噴射ヘッドによって、磁気的に記憶可能となる領域を付与形成することを特徴とする。
請求項20は、前記直接視認できる文字もしくは記号情報、光学スキャナーによって取り込まれる情報、磁気的に判別できる情報は、前記RFID方式のデバイスに書き込まれる情報の一部もしくは全てを含むことを特徴とする。
請求項21は、前記直接視認できる文字もしくは記号情報、光学スキャナーによって取り込まれる情報、磁気的に判別できる情報のいずれかを付与する前に、前記被覆部材により包まれた物品の位置整合を行う位置整合手段を、前記搬送経路に有することを特徴とする。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、被覆部材により包まれた物を搬送する手段と、この搬送手段の搬送経路の一部に配置され、被覆部材により包まれた物を搬送時に位置整合させる手段と、被覆部材により包まれた物に電子機能部品を付与する手段とよりなる搬送システムにしたので、工場などの工業生産品や農産物等の在庫管理などのコンピュータによる一元的管理ができる新規な搬送システム/物流システムが実現できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
以下、本発明を図に示した実施形態を用いて詳細に説明する。但し、この実施形態に記載される構成要素、種類、組み合わせ、形状、その相対配置などは特定的な記載がない限り、この発明の範囲をそれのみに限定する主旨ではなく単なる説明例に過ぎない。
図1は、本発明の被搬送物の包装(パッケージング)プロセスを示す図であり、この例では電子辞書をセミパッケージする例を示している。
図中、205は被搬送物である電子辞書、207はパッケージ部材、207a〜207dは仮折り部、207eは下保護面、207fは上保護面、207g、207hはフラップ、208はペーパー基材、210はパッケージ終了後の電子辞書である。
工場生産された電子辞書205(図1(a))は、パッケージ部材207によって挟み込まれる(セミパッケージされる)。このパッケージ部材207は、例えば厚紙が長方形に裁断され部分的に切欠が形成されたペーパー基材208(図1(b))を207a〜207dの仮折り部で仮折りして形成される(図1(c))。
【0010】
パッケージ部材207は、面積の大きな下保護面207eが電子辞書205上に重ねられ(図1(d))、電子辞書205とパッケージ部材207とが一緒に反転される(図1(e))。そして、パッケージ部材207の他方の上保護面207fが電子辞書205上に重ねられるように仮折り部分に沿って折り畳まれ、2つのフラップ207g、207hが電子辞書205の側面を保護するように折り畳まれ、パッケージング終了後の電子辞書210ができあがる(図1(f))。
本発明では、ここでこのような電子辞書205を包装する際に、ICチップ等の電子機能部品を梱包する。ここではシリコン基板で形成した、技術も確立して信頼性も高いICチップそのものを梱包する例を挙げるが、他の例として後述するような電子機能部品を被搬送物の被覆部材に印刷形成する方法もある(図3において後述する)。ここで電子機能部品として好適に用いられるのは、RFID(Radio Frequency-Identification:電波認識)方式のデバイス(詳細は後述)である。これはメモリーと通信回路をICチップ化し、さらに長さ数μm〜数mmのワイヤー状のアンテナを組み合わせたものであり、チップとアンテナも同時に梱包する。なお、アンテナもICチップ上に形成したものも好適に利用できる。
【0011】
本発明ではこのような電子機能部品を梱包する際に、例えば接着剤のような樹脂によって、包装紙に電子機能部品をくっつけたりして固着させるが、固着後の電子機能部品は包装紙を破ることなく(非破壊で)、取り外すことが困難、あるいは不可能なように固着させる。
これは電子機能部品を簡単に取り外せる(分離できる)ようにしておくと、その電子機能部品自身の盗難の恐れ、さらにはその盗難によって内部に記憶している各種データの流出の恐れがあるからである。本発明のように電子機能部品を、包装紙を破ることなく(非破壊で)、取り外すことが困難な状態にしておいても、包装紙を破っての電子機能部品の盗難、あるいは梱包物全体が盗難にあうことを完全に避けることは不可能ではあるが、少なくとも電子機能部品が包装紙等の梱包材を非破壊では取り外せないようにしておくことにより、盗難あるいはそれに伴うデータ流出の抑止効果はある。
なおシリコン基板の代わりに紙もしくは紙をベースとした基材、あるいはPET等のプラスチック基材に後述するような電気的機能発現材料を各種組み合わせ、液体噴射原理あるいはスクリーン印刷法などの手法によって印刷形成したICチップを用いるのもよい方法である。この場合、基材のシートに可撓性があるため、被覆物(被搬送物)である工業生産品や農産物等の外形形状が複雑であったとしても、その可撓性を利用してそれにならわせることができる。
【0012】
また印刷手法によってICチップ、ICシートを形成するので、高価な設備は不要であり、製造上のコストを下げることができる。一般にこのようなシステムにおいては、電子機能部品は被覆部材(梱包材、包装紙等)とともに捨てられるので、これを本発明のように印刷手法によって低コストで製作できるようにすることは大変メリットがある。
以上は、本発明で一例として取り上げた被搬送物である電子辞書の収納(パッケージング)プロセスおよび電子機能部品を梱包する説明である。
【0013】
次に、このようなプロセスを行うための機構の一例を図2によって説明する。
図中、253はパッケージング機構、269は集積台、273はロボットアームユニット、273aはロボットハンド、274はパッケージ部材ハンドリングユニット、274aは吸着パッド、275は仮折りユニット、276は折り込みユニット、278は固定治具、279は可動治具、282は基台、283は折り込みアーム部である。
工場生産された電子辞書205は搬送されて集積台269に載置される。パッケージング機構253は、集積台269から電子辞書205を取り出すロボットアームユニット273と、パッケージ部材207を保持するパッケージ部材ハンドリングユニット274と、パッケージ部材207の仮折りを行う仮折りユニット275と、電子辞書205を挟むようにパッケージ部材207を折り込む折り込みユニット276とから構成されている。
【0014】
ロボットアームユニット273とパッケージ部材ハンドリングユニット274は、多関節のアームを備えた汎用の多軸ロボット機構である。ロボットアームユニット273のアームの先端には、電子辞書205とパッケージ部材207とを挟み込むロボットハンド273aが設けられている。パッケージ部材ハンドリングユニット274のアームの先端には、パッケージ部材207を吸着保持する吸着パッド274aが設けられている。
ロボットアームユニット273とパッケージ部材ハンドリングユニット274とは、パッケージ部材207の下保護面207eの上に、搬送されてきた電子辞書205を重ね、折り込みユニット276に移載する。
仮折りユニット275は、固定治具278と、この固定治具278の端面に重なるように下降する可動治具279と、詳しくは図示しないが、可動治具279を上下動させる移動機構とからなり、パッケージ部材207を仮折り部207a〜207dで仮折りする。
【0015】
折り込みユニット276は、パッケージ部材207に電子辞書205が重ねられた状態で載置される箱形状の基台282と、パッケージ部材207の上保護面207fを電子辞書205の上に折り込む折り込みアーム部283と、アーム部283を回動させる回動機構とからなる。ここでパッケージ部材207の上保護面207fが電子辞書205上に重ねられるように仮折り部分に沿って折り畳まれ、2つのフラップ207g、207hが電子辞書205の側面を保護するように折り畳まれ、パッケージング終了後の電子辞書210となる。
なお、このパッケージ部材207は、ここでは、紙パッケージングの例で説明しているので、多数(複数)のペーパー基材208として準備されているが、あらかじめ最終的なパッケージ部材としての形態で、多数(複数)個準備(ストック)しておいてもよい。
以上のようにしてパッケージングが終了した電子辞書210は、その後、図3のAの部分に置かれることによって、搬送、さらに配送という物流システムに流され、最終的に市場(小売店/顧客)に行き渡る。以下にその搬送、配送システムについて説明する。なお、上記説明では工業製品の例を挙げたが、本発明の梱包、搬送、配送システムは、工業製品に限定されるものではなく、広く物流システム全般に関して適用されるものである。
【0016】
図3中、1は主ベルトコンベア、2は従ベルトコンベア、3は被搬送物、4はガイド、5は被付与部前処理手段、6は液体噴射ヘッド、7は乾燥手段、8は被覆材料付与手段、9は情報書き込み/読み取り(ライター/リーダー)手段である。
本発明の概要は、被搬送物3は主ベルトコンベア1を図の太い矢印方向に搬送されながら、途中で位置整合手段であるガイド4によって、搬送時の位置精度を確保し、液体噴射ヘッド6によって電子機能部品を形成され、さらにまた、情報書き込み/読み取り(ライター/リーダー)手段9によって所望のデータが読み取られ、主ベルトコンベア1から読み取られたデータに応じてそれぞれ分岐された従ベルトコンベア2によって図中の太い矢印方向に搬送され、それぞれの搬送先、あるいは配送先へと送られていくというものである。
被付与部前処理手段5は、液体噴射ヘッド6によって、電気的機能発現材料含有液体を噴射付与する際にそのような液体が良好に付着し、良好なパターン形成ができるようにするために被付与部の表面に前処理を行うためのものであるが、被付与部によっては、そのような前処理をしなくても十分に良好なパターン形成ができるものもあり、その場合は省略することができる。
【0017】
乾燥手段7は、例えばヒーターやランプ照射などによって、液体噴射ヘッド6によって形成されたパターンの溶媒を乾燥させ、被覆部材表面に電気的機能発現材料含有液体中の固形分を残留させるためのものである。この残留固形分は電気的機能発現パターンとなる。
乾燥手段7として、例えば加熱部としてハロゲンヒータが用いられ、またハロゲンヒータからの熱線を反射させる反射板を組み合わせ、その熱線も利用することにより、より効率よく乾燥させることができる。反射板は、例えば、光輝合金アルミ等で作られ、ハロゲンヒータを覆うような湾曲部を有しており、ハロゲンヒータからの熱線が、反射板の湾曲部の内面により反射され、その熱線が液体付着面に最も効率よく到達するように設定されている。
なお加熱部としては、ハロゲンヒータに限られることなく、例えば、ハロゲンランプ、シーズヒータ、セラミックヒータ、サーミスタ等であってもよい。また反射板の他に、例えば、レンズ系の光学系によってランプ光源の光を液体付着面に集光するようにしても良い。また反射板とこのようなレンズ系光学系を組み合わせた光/熱集光光学系とすると、より効率よく乾燥させるようにすることができる。
【0018】
他の乾燥手段7としては、搬送されてきた被搬送物3の印写後の被印写面に、温風付与手段によって加熱空気流を吹きつけ、非接触手段によって液体中の溶媒成分を蒸発させ、乾燥、定着させるものがある。
本発明に好適に適用される温風付与手段は、例えば、送風手段と加熱手段ならびに温風付与領域(温風送風口)よりなる。送風手段としては、ファン、あるいはポンプ、コンプレッサーならびにそれと組み合わされたアキュムレータなどが使用される。加熱手段としては、ニクロム線のジュール抵抗加熱の他、ハロゲンランプ、シーズヒータ、セラミックヒータなどが使用できる。
これらの乾燥手段7は、被搬送物3の搬送経路であるベルトコンベアの近傍で、このような液体付着面が最も乾燥しやすいような位置の配置される。それは必ずしも図1に示したように被搬送物3の側面から乾燥されるように配置されるわけではなく、例えば液体噴射ヘッド6によって上から下へ液体を噴射付与される場合には、この乾燥手段7を被搬送物3の上部に配置されることもある。本発明ではこの配置位置も含めて、搬送経路と呼んでいる。
【0019】
また、乾燥手段7は被搬送物3全体を乾燥する必要はなく、むしろ被搬送物3の被印写領域のみを局所的に乾燥する手段の法が好ましい。例えば被搬送物3が、生鮮食品、野菜等であった場合、熱によって変質したりする場合もあるので、局所乾燥を行うほうが望ましい場合もある。さらに、省エネの観点からも、必要な部分のみ乾燥させるようにするほうがよい。
なお、自然乾燥を行うようにした場合は、これら乾燥手段7を省略することもできる。
主ベルトコンベア1によって図中の太い矢印方向に運ばれてくる被搬送物3は、例えば、紙のシートあるいはダンボール、樹脂フィルム/シートなどの被覆部材で梱包された工業生産品、工場の部品、あるいは農作物であったりする。また別の例では、郵便物や配送品の場合もある。なおここで被覆部材とは、必ずしも被搬送物3(内容物)を完全被覆するものに限定されるものではなく、梱包の機能を満たす、あるいは配送時に不具合のない程度に必要最低限の被覆、梱包を行うものでよく、内容物が表面に露出していてもかまわない。
【0020】
これらを包む包装材料、梱包材料の表面にインクジェット原理の液体噴射ヘッド6によって電気的機能発現材料含有液体を噴射付与され、電子機能部品が形成される。電子機能部品としては、例えば一例として、RFID方式のデバイスが形成される。このRFID方式のデバイスにはその後、情報書き込み/読み取り(ライター/リーダー)手段9によって各種の情報が書き込まれる。
例えば、被搬送物3が農産物であったならば、重さや産地といったその農産物が有する各種のデータや、その配送先、配送日といったその後の配送先あるいは小売先などへ配送したりするのに必要なデータである。このようなデータを付与された被搬送物3は、また情報書き込み/読み取り(ライター/リーダー)手段9によって所望のデータが読み取られ、主ベルトコンベア1から読み取られたデータに応じてそれぞれ分岐された従ベルトコンベア2によって図中の太い矢印方向に搬送され、それぞれの搬送先、あるいは配送先へと送られていく。
なお図では情報書き込み/読み取り(ライター/リーダー)手段9は、一体的に構成されているが、ライター部、リーダー部それぞれ別構成としてもよい。また乾燥手段7と同様に、被搬送物3の搬送経路であるベルトコンベアの横側に配置して示しているが、必ずしも横に配置しなければならないということではなく、ベルトコンベアの上部に配置してもよい。本発明ではこのように、横側、上部なども含めて、情報書き込み/読み取り(ライター/リーダー)手段9の通信可能領域も含めた領域を本発明の搬送経路と見なしている。
以上が本発明の概要である。
【0021】
なお、このように内容物を包む包装材料、梱包材料の表面にインクジェット原理の液体噴射ヘッド6によって電気的機能発現材料含有液体を噴射付与され、電子機能部品が形成する代わりに、図1、図2でそのパッケージングプロセスで使用する包装紙等のパッケージ部材(被覆部材)に、あらかじめこのような電子機能部品を印刷形成したもの、あるいは、ICチップを固着されたパッケージ部材(被覆部材)を使用すれば、図3のベルトコンベアによって搬送される途中で、液体噴射ヘッド6による電子機能部品形成を行う必要はない。
図3で説明したように、オンデマンドで必要に応じてこのように、液体噴射ヘッド6による電子機能部品形成を形成してもよいが、事前に印刷形成された包装紙を使用したり、あるいは事前に電子機能部品が付与された被覆部材(梱包材、包装紙等)を用いてパッケージングを行うと、大量印刷のスケールメリット、大量生産のスケールメリットが出るため低コスト化に有利である。
【0022】
次に個々の技術についてより詳細に説明する。図4は、紙などの基材10上に本発明で使用されるインクジェット原理(液滴噴射原理)の液体噴射ヘッド6によって電気的な配線パターンを形成する例を示している。
図4(A)は、このような基材10上に端子12、13が形成されている状態を示し、図の点線部11′は後述のような配線パターン11が生成される領域である。図4(B)は、電気的機能発現材料として例えば微細な導電性微粒子を含有する液体を、インクジェット原理によって、直接噴射付与、描画して、配線パターン11を形成した例である。
ここで、電気的機能発現材料を含有した液体を付与する手段として本発明ではインクジェットの技術が適用される。以下にその具体的方法を説明する。
【0023】
本発明はインクジェットの技術によって後述するような電子デバイスを被搬送物3の表面に形成するものであるが、高精度な電子デバイスを形成付与するためには、搬送されてくる被搬送物3と液体噴射ヘッド6の位置関係が重要である。本発明ではそれを実現するために図3に示したように、途中で位置整合手段であるガイド4によって、それまで主ベルトコンベア1上をふぞろいな状態で搬送されてきた被搬送物3が液体噴射ヘッド6の前を通る際には、整然と並んで搬送されるようになっている。
すなわち被搬送物3は、ガイド4の両側に開いた角度付きの導入部ならびにその後の平行通過部分を経過することにより、その主ベルトコンベア1上における位置が整えられ、液体噴射ヘッド6の前を通過する際に、液体噴射ヘッド6と被搬送物3の電気的機能発現材料含有液体を噴射付与される面との距離が、所望の距離(使用する液体噴射ヘッドによって0.3〜3mmの範囲で決められる)に保たれるようになっている。なお図3は本発明の動作をわかりやすく説明するためのものであり、上記距離が実際の寸法になっていないのはいうまでもない。
液体噴射ヘッド6としては、液滴を定量吐出できるものであればいかなる機構でも良く、特に0.1pl〜数100pl程度の液滴を形成できるインクジェット原理の機構が望ましい。
【0024】
インクジェット方式としては、たとえば米国特許第3683212号に開示されている方式(Zoltan方式)、米国特許第3747120号に開示されている方式(Stemme方式)、米国特許第3946398号に開示されている方式(Kyser方式)のようにピエゾ振動素子に、電気的信号を印加し、この電気的信号をピエゾ振動素子の機械的振動に変え、該機械的振動に従って微細なノズルから液滴を吐出飛翔させるものがあり、通常、総称してドロップオンデマンド方式と呼ばれている。
他の方式として、米国特許第3596275号、米国特許第3298030号等に開示されている方式(Sweet方式)がある。これは連続振動発生法によって帯電量の制御された記録液体の小滴を発生させ、この発生された帯電量の制御された小滴を、一様の電界が掛けられている偏向電極間を飛翔させることで、記録部材上に記録を行うものであり、通常、連続流方式、あるいは荷電制御方式と呼ばれている。
さらに他の方式として、特公昭56−9429号公報に開示されている方式がある。これは液体中で気泡を発生せしめ、その気泡の作用力により微細なノズルから液滴を吐出飛翔させるものであり、サーマルインクジェット方式、あるいはバブルジェット(登録商標)方式と呼ばれている。
このように液滴を噴射する方式は、ドロップオンデマンド方式、連続流方式、サーマルインクジェット方式等あるが、必要に応じて適宜その方式を選べばよい。
【0025】
次に本発明に好適な液体噴射ヘッド6について、図5、図6を用いて説明する。この例は7ノズルの例である。
この液体噴射ヘッド6は、液体47が導入される流路45内にエネルギー作用部としてピエゾ素子46を設けたものである。ピエゾ素子46にパルス状の信号電圧を印加して図5(A)に示すようにピエゾ素子46を機械的に歪ませると、流路45の容積が減少すると共に圧力波が発生し、その圧力波によってノズル48から液滴43が吐出する。図5(B)はピエゾ素子46の歪がなくなって流路45の容積が増大した状態である。
このような液体噴射ヘッド6で、液滴を噴射させた場合、図7、図8に示したような形状となる。すなわち、このような電気機械変換素子(ピエゾ素子)の機械的変位による作用力で液体を噴射させた場合、飛翔時の液体は、前記基材面に付着する直前にほぼ丸い滴形状である(図7)、もしくは飛翔方向に伸びた柱状であってもその長さは長くてもその直径の3倍以内の長さの柱状とすることができる(図8)。
【0026】
これは通常、このような電気機械変換素子(ピエゾ素子)の機械的変位による作用力で液体を噴射させるという原理によって液滴を噴射させた場合、この原理の持つ特性としていつもほぼこのような形状の液滴が得られる。以下にその理由を述べる。
一般にこのような電気機械変換素子(ピエゾ素子)の機械的変位による作用力で液体を噴射させるという原理によって液滴を噴射させた場合、電気機械変換素子によって液体に与える衝撃力の時間微分した値の大小によってこの形状は決まるわけであるが、この原理の噴射ヘッドの場合、液体がノズルから飛び出す時の条件と、このような丸い液滴あるいは細長い形状であったとしても最大でもその直径の3倍以内の長さの柱状となって噴射、飛翔する条件がほぼ一致している。
すなわち、このような原理で液滴を噴射させた場合、飛翔時の液滴の形状は、ほぼこのような丸い液滴あるいは細長い形状であったとしても最大でもその直径の3倍以内の長さの柱状である。そしてそのときの状態というのは、飛翔液滴が外乱によって揺らぐことなく安定して飛翔する状態である。またそのときの飛翔スピードは、5m/s〜12m/sである。
【0027】
本発明においては、このような液体噴射ヘッド6を使用して、電気的機能発現材料含有液体を噴射して、電気的なパターン配線あるいは電子デバイスを形成する場合、この条件(この飛翔時の形状)としているが、仮にそのような条件から外れる場合(通常ほとんどそのようなことはないが)においては、電気的機能発現材料含有液体あるいはそれと同等の流体物性(粘度、表面張力)を持つ液体と、同等の液体噴射ヘッド6とを使用して噴射させ、その飛翔形状を顕微鏡下で観察しながら液体噴射ヘッド6の電気機械変換素子への駆動信号を調整(その形状となるように立ち上がり波形を急峻に)して、その駆動信号の調整結果に基づいた駆動信号を、本発明に使用する液体噴射ヘッド6の電気機械変換素子へ入力することにより、所望の安定した飛翔形状が得られるようにしている。そのための顕微鏡、ストロボ発光させるLED等の光源などから構成される飛翔形状観察装置を適宜設置するようにしている。
【0028】
本発明の他の特徴として、フィルター構成が挙げられる。ノズル48直前の流路45に導入される液体47は、フィルター49を通過してきたものである。本発明ではこのように、フィルター49を液体噴射ヘッド6内に設け、ノズル48の最近傍にフィルター除去機能を持たせている。こうすることにより、本発明の電気的機能発現材料含有液体中の導電性微粒子あるいはナノ粒子とは別のそれらよりもっと大きな異物粒子をトラップし、基材上に形成される電気的な配線パターンあるいは電子デバイスの性能低下を起こさないようにしている。このようなフィルター49は小型の簡易フィルターとすることによって、図6に示したように液体噴射ヘッド6内に組み込むことが可能となっている。そして液体噴射ヘッド6そのものもコンパクト化を実現できている。
このようなフィルター49は、たとえばステンレスメッシュフィルターが好適に用いられる。あるいは、テフロン(登録商標)(4フッ化エチレン)、ポリプロピレン等の樹脂材料も好適に用いられる。要するに本発明の液体に対して腐食したり、溶解したりしない材料が適宜選ばれる。そしてその孔径(フィルターメッシュサイズ)は、液体中の微粒子粒径の30倍以上の大きさの異物はトラップできるように選定される。
【0029】
より具体的には、前述のように本発明においては、電気的機能発現材料含有液体として例えば微小な導電性微粒子を含有した液体を使用する場合、通常、粒径が0.0001〜0.2μm(0.1〜200nm)、好ましくは0.0001〜0.05μm(0.1〜50nm)の微粒子を含有した液体が使用されるので、0.003〜0.6μm、好ましくは0.003〜1.5μm以上の大きさの異物がトラップできるようなフィルターとすれば、その異物が吐出口(ノズル)を詰まらせるという問題は回避できる。なお、フィルターのメッシュサイズ(トラップできる異物の大きさ)に関しては、厳密にはその除去率が絶対除去率をさすのか、平均除去率をさすのかの定義があるが、ここでは絶対除去率の考え方で上記メッシュサイズにしている。
またフィルター49の位置であるが、図6では、液体噴射ヘッド6内に組み込んだ例で示したが、液体噴射ヘッド6内に組み込むことは必須ではない。フィルターは複数箇所に設けられることもあるので、本発明においては、吐出口(ノズル)48の上流部であって、吐出口(ノズル)48に最も近い位置のフィルターのメッシュサイズを上記範囲とすることがポイントである。なお、このフィルター49に関しては、上記構成の液体噴射ヘッドだけに設けられるのではなく、後述のサーマル方式(バブル方式)の液体噴射ヘッド、あるいは他の構成の液体噴射ヘッドにおいても同様に適用される。
【0030】
次に本発明に好適に適用される液体噴射ヘッド6の他の例について、図9を用いて説明する。この例はサーマル方式(バブル方式)の液体噴射ヘッドの例であり、前述のピエゾ素子による電気−機械変換作用によって液滴噴射を行うのではなく、液体中に短時間(1〜10μs)に加えられた高熱(300〜500℃)で瞬時(1〜10μs)に発生する膜沸騰気泡の成長作用力を液滴噴射の原動力とするものである。
ここで示した液体噴射ヘッド6は、液体が流れる流路短部から液滴が噴射するタイプのものであり、エッジシューター型と呼ばれるものである。
ここでは、液体噴射ヘッド6のノズル数を4個とした例を示している。この液体噴射ヘッド6は、発熱体基材66と蓋基材67とを接合させることにより形成されており、発熱体基材66は、シリコン基材68上にウエハプロセスによって個別電極69と共通電極70とエネルギー作用部である発熱体71とを形成することによって構成されている。
一方蓋基材67には、電気的機能発現材料含有液体が導入される流路を形成するための溝74と、流路に導入される液体を収容する共通液室を形成するための凹部領域75とが形成されており、これらの発熱体基材66と蓋基材67とを図9(A)に示すように接合させることにより、流路及び共通液室が形成される。なお、発熱体基材66と蓋基材67とを接合させた状態においては、流路の底面部に発熱体71が位置し、流路の端部にはこれらの流路に導入された液体の一部を液滴として吐出させるためのノズル65が形成されている。なおここでは、ノズル形状は矩形であるが、これは丸形状であってもよい。
【0031】
さらにより噴射安定性を考慮して、端面(ノズル65の領域)に、別途ノズルプレートを設け、所望のノズル径、ノズル形状(たとえば丸形状)としてもよい。その場合のノズルプレートとしては、たとえばNiなどが用いられ、エレクトロフォーミング等の手法によって高精度な物が形成できる。あるいは、樹脂フィルム(基材)にエキシマレーザー加工によってノズル孔を穿孔したものを用いるのも良い方法である。
なお蓋基材67には、供給手段(図示せず)によって供給液室内に液体を供給するための液体流入口76が形成されている。
このような液体噴射ヘッド6で、本発明に使用する電気的機能発現材料含有液体を噴射させた場合、図10に示したような形状となる。すなわち、このような液体中に配された発熱体が発する熱によって瞬時に発生させた気泡の成長作用力で液体を噴射させた場合、飛翔時の液体は、飛翔方向に伸びた細長柱状であってその直径の5倍以上の長さの柱状形状とすることができる(図10)。
これは通常、このような液体中に配された発熱体が発する熱によって瞬時に発生させた気泡(膜沸騰気泡)の成長作用力で液体を噴射させた場合、この原理の持つ特性としていつもほぼこのような飛翔液体の形状が得られる。以下にその理由を述べる。
【0032】
一般にこのような液体中に配された発熱体が発する熱によって瞬時に発生させた気泡(膜沸騰気泡)の成長作用力で液体を噴射させるという原理によって液体を噴射させた場合、前述のような電気機械変換素子を利用する液体噴射ヘッド6とは比較にならないくらいその噴射圧力が高く、図10で示したような液柱が細長く伸び、後方に微小なサテライト滴を引きずるような飛翔形態をとる。またそのときの飛翔スピードは、8m/s〜18m/sというように大変高速である。それゆえ、後方に微小なサテライト滴を引きずるような飛翔形態であって、それらも高速で飛翔して、基材面に先行する細長柱状の液体とほぼ同じ位置に着弾するので、電気的な配線パターン形成、電子デバイス形成上は何ら支障はない。
本発明においては、このような液体噴射ヘッド6を使用して、電気的機能発現材料含有液体を噴射して、電気的なパターン配線あるいは電子デバイスを形成する場合、この条件(飛翔方向に伸びた細長柱状であってその直径の5倍以上の長さの柱状形状)としているが、仮にそのような条件から外れる場合(通常ほとんどそのようなことはないが)においては、電気的機能発現材料含有液体あるいはそれと同等の流体物性(粘度、表面張力)を持つ液体と、同等の噴射ヘッドとを使用して噴射させ、その飛翔形状を顕微鏡下で観察しながら噴射ヘッドの発熱体への駆動信号を調整(その形状となるようにパルス電圧、あるいはパルス幅を少し増やす、つまり駆動エネルギーを増やす)して、その駆動信号の調整結果に基づいた駆動信号を、本発明で使用する液体噴射ヘッド6の発熱体へ入力することにより、所望の安定した飛翔形状が得られるようにしている。
【0033】
本発明では複数の液滴により1つの電子デバイスを形成する、あるいは、複数滴によって、電子デバイスなどを形成するパターンをドットを重ね打ちしたり接触させたりして形成する。よって、このようなマルチノズル型の液体噴射ヘッドを用いると大変効率的に電子デバイスを形成することができる。なおこの例では4ノズルの液体噴射ヘッドを示しているが、必ずしも4ノズルに限定されるものではなく、ノズル数が多ければ多いほど電子デバイスの形成が効率的になることは言うまでもない。ただし、単純に多くすればよいということではなく、多くすれば液体噴射ヘッドも高価になり、また噴射ノズルの目詰まりによる確率も高くなるので、それらも考慮し装置全体のバランス(装置コストと電子デバイスの製作効率のバランス)を考えて決められる。
【0034】
図11はこのようにして製作されたマルチノズル型の液体噴射ヘッドをノズル側から見た図を示している。本発明では、このようなマルチノズル型の液体噴射ヘッドを図12に示すように、噴射する液体ごとに設けている。図13はその斜視図である。
図12、図13にはそれぞれのマルチノズル型の液体噴射ヘッドをA、B、C、Dと符号をつけているが、それぞれ各液体噴射ヘッドA、B、C、Dはノズル部分が各液体噴射ヘッドごとに離間して構成されるとともに各液体噴射ヘッドごとに異なる種類の電気的機能発現材料含有液体を噴射することができる。
ところでこのような液体噴射ヘッドで、電子デバイスなどを形成するために所望のパターンを形成するためには、液体噴射ヘッドとこのパターンを付与される被搬送物の相対的な移動を必要とする。通常、インクジェットプリンターにおいては、液体噴射ヘッドを搭載したキャリッジが、紙の前で往復運動するとともにそれと垂直方向に紙が搬送され、液体噴射ヘッドと紙の相対的な移動時にインク滴を噴射付与することにより、2次元画像形成を行っている。
【0035】
本発明においては図3に示したように、被搬送物はベルトコンベアによって搬送されてくるので、1次元方向の移動はそれによって実現できる。また、その移動方向とほぼ垂直方向に液体噴射ヘッドのマルチノズル列が並ぶような構成にすれば、被搬送物の移動と電気的機能発現材料含有液体の噴射のタイミングを選べば一応、2次元パターン形成は実現できる。
なお後述するが、電子デバイスを形成するためには、通常はこのような電気的機能発現材料含有液体を複数種類用い、形成するパターンも複数のパターンが積層された構成をとる。よって、図3に示した液体噴射ヘッド6、乾燥手段7の右隣にさらに別の電気的機能発現材料含有液体を噴射するための液体噴射ヘッドならびに乾燥手段を組み合わせたものを複数セット配列することにより、複数層のパターンの組み合わせによる電子デバイス形成が実現する。なお前述のように、自然乾燥によってパターンを形成する場合には、乾燥手段は省略できる。
【0036】
また、必ずしも、液体噴射ヘッドならびに乾燥手段を組み合わせたものを複数セット、被搬送物の移動方向に直列に配列して置かなければいけないというわけではなく、1箇所に集中は位置しておいて、ちょうどインクジェットプリンターのキャリッジが往復運動するかのように、ベルトコンベアによる搬送の進行方向を切り替えて被搬送物を何度も往復搬送し、その間にパターン積層を行うようにしてもよい。
さらにより高精度なパターン形成を行うためには、このようなベルトコンベアによる搬送を2次元パターン形成のための走査手段として利用するのではなく、インクジェットプリンターやプロッターなどで使用されているような、液体噴射ヘッドをキャリッジ搭載した専用の走査手段を設けることもよい方法である。
例えば図14は、パターン配線基材、あるいは電子デバイスを形成する製造装置の一例である。図中、21は液体噴射ヘッド、22はキャリッジ、23は基材保持台、24は配線基材や電子デバイス形成基材等の基材、あるいは電子デバイスを形成する基材、25は電気的機能発現材料を含有する液体の供給チューブ、26は信号供給ケーブル、27は噴射ヘッドコントロールボックス(液体タンク含む)、28はキャリッジ22のX方向スキャンモータ、29はキャリッジ22のY方向スキャンモータ、30はコンピュータ、31はコントロールボックス、32(32X1、32Y1、32X2、32Y2)は基材位置決め/保持手段である。この場合は、基材保持台23に置かれた基材24の前面を液体噴射ヘッド11がキャリッジ走査により移動し、電気的機能発現材料を含有する液体を噴射付与する例である。
【0037】
つまりこのようなキャリッジ搭載された液体噴射ヘッド21は、直交する2方向(図中X、Y方向)に自由にかつ高精度に移動可能であるため、基材22上に所望の電子デバイスを形成することができる。よって、本発明においてこのような基材12に相当する部分にベルトコンベアによって被搬送物を搬送してくれば、被搬送物に高精度な電子デバイスを形成することができる。
なおこの場合、ベルトコンベアによって搬送されてきた被搬送物に対して電気的機能発現材料含有液体を上から下に噴射付与する構成となるが、必ずしもそのような構成とする必要はなく、図14で示した直交する2方向(図中X、Y方向)へのキャリッジ移動機構を垂直に立てかけた状態に構成すれば、ベルトコンベアによって搬送されてきた被搬送物に対して水平方向から電気的機能発現材料含有液体を噴射付与する構成とすることができる。またキャリッジ移動機構は、1方向だけの構成として、それに直行する方向にマルチノズル列を配列するような構成としても、2次元平面的に電子デバイスを形成することができる。
【0038】
本発明は前述のようにICチップ、ICシートを形成するものであるが、いわゆるSiウエハ上にミクロンオーダーあるいはサブミクロンオーダーのパターン幅によって形成されるIC、LSIを作る技術ではない。形成されるパターン幅も用途に応じて10μm〜10mmの範囲とされ、いわゆるSiチップのICに比較すると精度の低いデバイスである。したがって、SiチップのICを製造するための高精度かつ高価な装置は必要とせず、上記のような搬送物を搬送する程度の精度でも形成することができる。
本発明はこのような液体噴射ヘッド21によって、後述するような電気的機能発現材料含有液体を被搬送物の梱包部材である紙シートやダンボール箱表面に付着させ、電子デバイス形成を行うものであるが、紙の表面の性状は、セルロース繊維の太さ、それらが重なりあってできる間隙に起因する紙の繊維の凹凸が反映された状態になっており、良好な電子デバイス形成を行うのに必ずしも好ましい形状であるとはいえない。
そこで本発明ではこの点に鑑み、紙の表面性状と良好な電子デバイスを形成する際の関係について検討した。
紙の表面に露出しているセルロース繊維は、紙の種類にもよるが、一般に幅(太さ)が、5〜20μm程度である。紙は通常、そのままこのような大きさの繊維よりなるものではなく、一般的には紙製造工程において、叩解(こうかい)と呼ばれる繊維に機械的な力を作用させ、柔軟にする工程を経て製作されるため、実際に完成した紙の繊維の大きさはこれよりも小さくなる。通常、叩解を経て製造された紙の繊維の太さ、あるいは厚さは、4〜10μm程度である。紙はセルロース繊維によって形成される凹凸の他に、表面への塗工物質によっても紙の表面性状が異なっている。
【0039】
これらの点について検討した結果の一例を示す。ここでは、繊維の大きさ、塗工材料の有無、多少等により表面性状の異なる紙を準備し、電子デバイスを形成するためのドットパターンを形成し、形成後の1ドットの形状良好性評価(官能評価)ならびにドットパターンを半ドット分ずつ重ねて直線パターンを形成した場合の配線パターンとしての耐久性評価を行った。
なお紙への塗工材料の付与は、インクジェット法のように、ドットを付与する/付与しないというようにデジタル的な手段があるが、ここではより簡便かつ迅速に付与する手段として、ローラーコーティングにより紙面にアナログ的に全面付与する手法を採用した。他のアナログ的な全面付与手段としてスプレー塗布などもあるが、ここでは塗工材料のより均一な付与を行うために、ローラーコーティングによって行った。
また、1ドットあるいは配線パターン形成のためのドット形成は、図5、図6に示したようなピエゾ素子を利用した液体噴射ヘッドである。但し、図5、図6に示した噴射ヘッドは、流路の先端がそのまま吐出口になっているものを示したが、実験に使用したものは、この先端に流路の配列密度と同じ配列密度で形成したノズルを有するノズル板を設けたものである。ノズル板はNiのエレクトロフォーミング手法によって形成したものであり、その厚さは20μmとした。
また、その吐出口(ノズル)の数も、図5、図6に示したものは説明を簡単にするため吐出口が7個しかないものであるが、実際に使用したのは吐出口の数が256個で、その配列密度が180dpiのものである。また吐出口径はφ20μm(面積でいうならば314μm2)である。
【0040】
使用した溶液は、銀コロイド水溶液であり、以下のようにして製造した。
最初に2リットルのコルベンにディスパービック190(ビックケミー社製、固形分率40質量%)23.3g、及び、イオン交換水420.5gを入れた。このコルベンをウォーターバスに入れ、ディスパービック190が溶解するまで50℃で攪拌した。ここに、イオン交換水420.5gに溶解させた硝酸銀100gを攪拌しながら加えて、70℃で10分間攪拌した。次に、ジメチルアミノエタノール262gを加えたところ、液が一瞬で黒変し、液温が76℃まで上昇した。そのまま放置して液温が70℃まで下がったところで、この温度を保ちながら2時間攪拌を続け、黒っぽい黄色を呈する銀コロイドの水溶液が得られた。
得られた反応液を1リットルのポリ瓶に移し換え、60℃の恒温室で18時間静置した。次に、限外濾過モジュールAHP1010(旭化成社製;分画分子量50000、使用膜本数400本)、マグネットポンプ、下部にチューブ接続口のある3リットルのステンレスカップをシリコンチューブでつないで、限外濾過装置とした。先の60℃の恒温室で18時間静置した反応液をステンレスカップに入れて、更に2リットルのイオン交換水を加えてから、ポンプを稼動させて限外濾過を行った。約40分後にモジュールからの濾液が2リットルになった時点で、ステンレスカップに2リットルのエタノールを加えた。その後、濾液の伝導度が300μS/cm以下になったことを確認し、母液の量が500mlになるまで濃縮を行った。
【0041】
続いて母液を入れた500mlステンレスカップ、限外濾過モジュールAHP0013(旭化成社製;分画分子量50000、使用膜本数100本)、チューブポンプ、及び、アスピレーターを含む限外濾過装置を組んだ。このステンレスカップに先に得られた母液を入れ、固形分濃度を高めるための濃縮を行った。母液が約100mlになった時点でポンプを停止して、濃縮を終了することにより、固形分10%の銀コロイドのエタノール溶液が得られた。この溶液中の銀コロイド粒子の平均粒子径は、0.017μm(17nm)であった。また、TG−DTA(セイコーインストゥルメント社製)を用いて、固形分中の銀の含有率を計測したところ、仕込みの87質量%に対して、90質量%であった。
このようにして製造した銀コロイド水溶液を上記のような液体噴射ヘッドで噴射し、表面性状を変えた紙上に、1ドット単独で形成したものと、半ドットずつ重なり合うようにしてドットパターンを打ち込み、配線パターンとしたものを形成した。ドット径は紙の表面性状によって変動するが、φ40〜50μmである。なお配線パターンの両側には電極を0.5μmの厚さとして、先にAlスパッタリングによって形成しておいた。またこの時の液滴噴射ヘッドのピエゾ素子駆動電圧は30V、駆動周波数は12kHzとした。
【0042】
続いて、このパターン形成後の紙をオーブンに入れ100℃で10分間乾燥させ、膜厚、約0.2μmの金属光沢を有する乾燥膜を得た。得られた乾燥膜の導電性を、測定機としてロレスターGP(三菱化学社製)を用いてその表面抵抗値を測定した結果、測定不能[108Ω/□以上]であった。この乾燥膜に対し、低圧水銀灯を用いて5J/cm2の光照射を行った後に、100℃で40分加熱し金属性被膜を得た。得られた金属性被膜の導電性を、測定機としてロレスターGP(三菱化学社製)を用いてその表面抵抗値を測定した結果、37.6Ω/□であった。
次に、電極間に繰り返し通電を行い(パルス電圧30V、パルス幅50msおよびパルス間隔を100msとし、60分間)、耐久性として断線の有無を評価した。
【0043】
結果を表1、表2に示す。なおここでパターン形状判定の(○、×)は、100倍の顕微鏡画像を見ながら1ドットの形状を官能評価で判断したものであり(各々20個ずつピックアップして評価)、○は良、×は不良である。また耐久性に関しては、○は断線なし、×は断線ありである。
[表1]
実験その1(未叩解の紙を使用した場合)
・繊維太さ:6〜15μm
・繊維が重なりあってできる間隙:3〜5μm
・塗工材料:1μm粒径の炭酸カルシウムをデンプンをバインダーとして分散した溶液
No. 塗工 表面粗さ(μm) パターン形状判定 耐久性
1 未塗工 5〜10 × ×
2 1回塗工 2〜5 × ×
3 2回塗工 1〜2 ○ ○
4 3回塗工 1 ○ ○
[表2]
実験その2(叩解を経た紙を使用した場合)
・繊維太さ(厚さ):4〜7μm
・繊維が重なりあってできる間隙:3〜4μm
・塗工材料:1μm粒径の炭酸カルシウムをデンプンをバインダーとして分散した溶液
No. 塗工 表面粗さ(μm) パターン形状判定 耐久性
1 未塗工 3〜5 × ×
2 1回塗工 1〜2 ○ ○
3 2回塗工 1 ○ ○
【0044】
表1、表2の結果より、基材である紙のセルロース繊維の太さおよびそれらが重なりあってできる間隙による表面性状(凹凸)を、コート材(ここでは炭酸カルシウムとデンプンを使用)によって滑らかにする、言い換えるならば表面粗さをセルロース繊維の太さおよびそれらが重なりあってできる間隙による凹凸以下にする(凹凸を消す)ことによって、良好なパターン形状となり、配線パターンの断線もなくなり耐久性の優れたパターンが得られることがわかる。
なお、本発明においてはこのようなコート材の他に、絶縁性微粒子として、例えば酸無水物とジイソシアネートにアミン触媒を加えて反応させて製作した、多孔性ポリイミド微粒子(表面抵抗率1014Ω/□以上)、アークプラズマにAl粒子(20μm)を注入して得られるAlN微粒子(サイズ20nm〜30nm)、ガス中蒸発法によって製作されるSiO2微粒子なども好適に使用できる。
ところで、上記実験例で使用した紙の表面粗さは3〜10μmのものであるが、紙の製造時にローラー加圧工程によって平滑度を向上させたものを使用したり、形成する電子デバイスもそれほど微小なものとせず、断線などが生じにくい大きいドット(100〜500μm)やそれによる太いパターンで形成したりする場合には、電子デバイス形成前の前処理をしなくてもよい場合がある。よって、このような前処理が無くても十分に良好なパターン形成ができる場合には、この前処理は省略することができる。
【0045】
次に本発明に使用される電気的機能発現材料として使用することが可能な材料のより詳細について説明する。
液滴43の材料には、電気的機能発現材料として例えば微小な導電性微粒子を含有した液体が使用される。Au、Pt、Ag、Cu、Ni、Cr、Rh、Pd、Zn、Co、Mo、Ru、W、Os、Ir、Fe、Mn、Ge、Sn、Ga、In等の金属微粒子を含有した液体が好適に使用される。あるいはこれらの金属の酸化物微粒子も好適に使用される。特に、Au、Ag、Cuのような金属微粒子を用いると、電気抵抗が低く、かつ腐食に強い微細回路パターンを形成することができる。
本発明において、このような微小な導電性微粒子を含有した液体は、水性系液体と油性系液体がある。
【0046】
このような微小な導電性微粒子を、水を主体とする分散媒に分散せしめてなる水性系液体は、例えば、次のような方法で調整することができる。
すなわち、塩化金酸や硝酸銀のような金属イオンソース水液体に水溶性の重合体を溶解させ、撹拌しながらジメチルアミノエタノールのようなアルカノールアミンを添加する。数10秒〜数分で金属イオンが還元され、平均粒径0.5μm(500nm)以下の金属微粒子が析出する。塩素イオンや硝酸イオンを限外ろ過などの方法で除去した後、濃縮・乾燥することにより濃厚な導電性微粒子含有液体が得られる。この導電性微粒子含有液体は、水やアルコール系溶媒、テトラエトキシシランやトリエトキシシランのようなゾルゲルプロセス用バインダーに安定に溶解・混合することが可能である。
微小な導電性微粒子を油を主体とする分散媒に分散せしめてなる油性系液体は、例えば、次のような方法で調整することができる。
すなわち、油溶解性のポリマーをアセトンのような水混和性有機溶媒に溶解させ、この液体を金属イオンソース水液体と混合する。混合物は不均一系であるが、これを撹拌しながらアルカノールアミンを添加すると金属微粒子は重合体中に分散した形で油相側に析出してくる。これを濃縮・乾燥させると水性系と同様の濃厚な導電性微粒子含有液体が得られる。この導電性微粒子含有液体は、芳香族系、ケトン系、エステル系などの溶媒やポリエステル、エポキシ樹脂、アクリル樹脂、ポリウレタン樹脂等に安定に溶解・混合することが可能である。
【0047】
導電性微粒子含有液体の分散媒中における導電性微粒子の濃度は、最大80重量%とすることが可能であるが、用途に応じて適宜稀釈して使用する。
本発明において電子デバイスを形成するための電極として使用する導電性微粒子含有液体における導電性微粒子の含有量は2〜50重量%、界面活性剤および樹脂の含有量は0.3〜30重量%、粘度は3〜30センチポイズが適当である。
いずれの材料においても、本発明は液体中の揮発成分を揮発させ、固形分を基材上に残留させることによってドットによるパターンを形成し、先に形成されている電極パターンなどと電気的導通を図り、パターン配線あるいは電子デバイス形成を行うものである。この固形物がそれぞれのパターンあるいはデバイスの機能を発生させるものであり、溶媒(揮発成分)はインクジェット原理で液滴を噴射付与するための手段(vehicle)である。
液滴43の材料として他には、たとえば、CuCl等のI−VII族化合物半導体、CdS、CdSe等のII−VI族化合物半導体、InAs等のIII−V族化合物半導体、及びIV族半導体のような半導体結晶、TiO2、SiO、SiO2等の金属酸化物、蛍光体、フラーレン、デンドリマー等の無機化合物、フタロシアニン、アゾ化合物等の有機化合物からなるもの、またはそれらの複合材料等のナノ粒子を含有した液体があげられる。
【0048】
本発明において対象となる微粒子、ナノ粒子としては、通常、粒径が0.0001〜0.2μm(0.1〜200nm)、好ましくは0.0001〜0.05μm(0.1〜50nm)の微粒子があげられるが、より厳密には、液体製造上の微粒子分散安定性や、噴射時の目詰まり発生、さらにはパターン形成される基材の表面粗さなども考慮して決められる。
なお、本発明の目的を損なわない範囲で、これらナノ粒子の表面を化学的あるいは物理的に修飾しても良く、また界面活性剤や分散安定剤や酸化防止剤などの添加剤を加えても良い。このようなナノ粒子はコロイド化学的な手法、例えば逆ミセル法(Lianos、P.et al.、Chem.Phys.Lett.、125、299(1986))やホットソープ法(Peng.X.et al.、J.Am.Chem.Soc.、119、7019(1997))によって合成することができる。
本発明に好適に使用できるナノ粒子含有液体は、上記ナノ粒子を連続相が水相であり分散相が油相であるエマルション(O/Wエマルション)に分散させた分散液である。
【0049】
上記水相は水を主体とするが、水に水溶性有機溶剤を添加して用いてもよい。水溶性有機溶剤としてはエチレングリコール、プロピレングリコール、ブチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、ポリエチレングリコール(#200、#400)、グリセリン、前記グリコール類のアルキルエーテル類、N−メチルピロリドン、1、3−ジメチルイミダゾリノン、チオジグリコール、2−ピロリドン、スルホラン、ジメチルスルホキシド、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、エタノール、イソプロパノール等が挙げられる。水性分散媒体中の水溶性有機溶剤の使用量は、通常30重量%以下が好ましく、さらには20重量%とするのがより好ましい。
分散液中のナノ粒子の含有量は、所望の膜(層)構造または粒子配列構造及び膜(層)厚により異なるが分散液の全重量に対し、通常0.01〜15重量%の範囲で用いられるが、0.05〜10重量%の範囲とするのがより好ましい。ナノ粒子の含有量が少な過ぎるとデバイス機能を充分に発現することが出来なくなる可能性があり、逆に多過ぎるとインクジェット原理で液滴を噴射する際の吐出安定性が損なわれる。
【0050】
また本発明に好適に使用され、インクジェット原理で噴射されるナノ粒子含有液体は、分散液中に、界面活性剤、及びナノ粒子の分散用溶媒を共存させるのが好ましい。界面活性剤としては、例えばアニオン系界面活性剤(ドデシルスルホン酸ナトリウム、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム、ラウリル酸ナトリウム、ポリオキシエチレンアルキルエーテルサルフェートのアンモニウム塩など)、ノニオン系界面活性剤(ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルエステル、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルアミン、ポリオキシエチレンアルキルアミドなど)があげられ、これらを単独または二種以上混合して用いることができる。
界面活性剤の量は液体の全重量に対し、通常、0.1〜30重量%の範囲で用いられるが、5〜20重量%の範囲とするのがより好ましい。界面活性剤がこの範囲よりも少な過ぎると水性分散体中で油水分離が生じ、液滴噴射付与による均一なパターンのコーティングができない場合がある。逆にこの範囲より多過ぎると水性分散媒体の粘度が高くなりすぎる傾向がある。
【0051】
ナノ粒子の分散用溶媒としては、通常トルエン、ヘキサン、ピリジン、クロロホルムなどの液体であり、揮発性であることが望ましい。分散用溶媒の量は通常、0.1〜20重量%程度の範囲で用いられるが、1〜10重量%の範囲がより好ましい。分散用溶媒がこの範囲よりも少な過ぎると水性媒体中に含有させることのできる超微粒子の量が少なくなる。逆にこの範囲より多過ぎると水性分散媒体中で油水分離が生じる場合がある。
さらに、分散液中に有機化合物を溶解させておくこともできる。このような有機化合物としては、トリオクチルホスフィンオキシド(TOPO)、チオフェノール、フォトクロミック化合物(スピロピラン、フルギド等)、電荷移動型錯体、電子受容性化合物等があげられ、常温で固体であるものが好ましい。この場合、分散液中の前記有機化合物の量は、ナノ粒子の重量に対し、1/10000以上、好ましくは1/1000〜10倍程度である。
【0052】
なお本発明の目的を損なわない範囲で、懸濁液に界面活性剤や分散安定剤や酸化防止剤などの添加剤、またはポリマー、塗布・乾燥過程でゲル化する材料などのバインダーを加えても良い。
このようなナノ粒子含有液体をインクジェット原理によって基材上に液滴付与し、乾燥させてパターン配線形成、あるいは電子デバイス形成を行う。これにより得られるナノ粒子含有薄膜の厚さは特に限定されるものではないが、通常、ナノ粒子の直径〜1mm、好ましくはナノ粒子の直径〜100μm程度である。また、ナノ粒子含有薄膜内において、ナノ粒子はある程度以上の密度で存在するのが好ましい。その意味からナノ粒子の集合体における個々のナノ粒子間の平均粒子間距離は、通常粒子直径の10倍以内の範囲であり、さらには粒子直径の2倍以内の範囲であることが好ましい。この平均粒子間距離が大き過ぎるとナノ粒子は集団的機能を示さなくなる。
【0053】
液滴43の材料として他には、有機半導体材料含有溶液が挙げられる。例えば有機半導体材料として、π共役系材料が用いられ、例えばポリピロール、ポリ(N−置換ピロール)、ポリ(3−置換ピロール)、ポリ(3、4−二置換ピロール)などのポリピロール類、ポリチオフェン、ポリ(3−置換チオフェン)、ポリ(3、4−二置換チオフェン)、ポリベンゾチオフェンなどのポリチオフェン類、ポリイソチアナフテンなどのポリイソチアナフテン類、ポリチェニレンビニレンなどのポリチェニレンビニレン類、ポリ(p−フェニレンビニレン)などのポリ(p−フェニレンビニレン)類、ポリアニリン、ポリ(N−置換アニリン)、ポリ(3−置換アニリン)、ポリ(2、3−置換アニリン)などのポリアニリン類、ポリアセチレンなどのポリアセチレン類、ポリジアセチレンなどのポリジアセチレン類、ポリアズレンなどのポリアズレン類、ポリピレンなどのポリピレン類、ポリカルバゾール、ポリ(N−置換カルバゾール)などのポリカルバゾール類、ポリセレノフェンなどのポリセレノフェン類、ポリフラン、ポリベンゾフランなどのポリフラン類、ポリ(p−フェニレン)などのポリ(p−フェニレン)類、ポリインドールなどのポリインドール類、ポリピリーダージンなどのポリピリーダージン類、ナフタセン、ペンタセン、ヘキサセン、ヘプタセン、ジベンゾペンタセン、テトラベンゾペンタセン、ピレン、ジベンゾピレン、クリセン、ペリレン、コロネン、テリレン、オバレン、クオテリレン、サーカムアントラセンなどのポリアセン類およびポリアセン類の炭素の一部をN、S、Oなどの原子、カルボニル基などの官能基に置換した誘導体(トリフェノジオキサジン、トリフェノジチアジン、ヘキサセン−6、15−キノンなど)、ポリビニルカルバゾール、ポリフェニレンスルフィド、ポリビニレンスルフィドなどのポリマーを用いることができる。
【0054】
また、これらのポリマーと同じ繰返し単位を有する例えばチオフェン6量体であるα−セクシチオフェン、α、ω−ジヘキシル−α−セクシチオフェン、α、ω−ジヘキシル−α−キンケチオフェン、α、ω−ビス(3−ブトキシプロピル)−α−セクシチオフェン、スチリルベンゼン誘導体などのオリゴマーも好適に用いることができる。
さらに銅フタロシアニンやフッ素置換銅フタロシアニンなどの金属フタロシアニン類、ナフタレン1、4、5、8−テトラカルボン酸ジイミド、N、N’−ビス(4−トリフルオロメチルベンジル)ナフタレン1、4、5、8−テトラカルボン酸ジイミドとともに、N、N’−ビス(1H、1H−ペルフルオロオクチル)、N、N’−ビス(1H、1H−ペルフルオロブチル)及びN、N’−ジオクチルナフタレン1、4、5、8−テトラカルボン酸ジイミド誘導体、ナフタレン2、3、6、7テトラカルボン酸ジイミドなどのナフタレンテトラカルボン酸ジイミド類、及びアントラセン2、3、6、7−テトラカルボン酸ジイミドなどのアントラセンテトラカルボン酸ジイミド類などの縮合環テトラカルボン酸ジイミド類、C60、C70、C76、C78、C84等フラーレン類、SWNTなどのカーボンナノチューブ、メロシアニン色素類、ヘミシアニン色素類などの色素などがあげられる。
【0055】
これらのπ共役系材料のうちでも、チオフェン、ビニレン、チェニレンビニレン、フェニレンビニレン、p−フェニレン、これらの置換体またはこれらの2種以上を繰返し単位とし、かつ該繰返し単位の数nが4〜10であるオリゴマーもしくは該繰返し単位の数nが20以上であるポリマー、ペンタセンなどの縮合多環芳香族化合物、フラーレン類、縮合環テトラカルボン酸ジイミド類、金属フタロシアニンよりなる群から選ばれた少なくとも1種が好ましい。
また、その他の有機半導体材料としては、テトラチアフルバレン(TTF)−テトラシアノキノジメタン(TCNQ)錯体、ビスエチレンテトラチアフルバレン(BEDTTTF)−過塩素酸錯体、BEDTTTF−ヨウ素錯体、TCNQ−ヨウ素錯体、などの有機分子錯体も用いることができる。さらにポリシラン、ポリゲルマンなどのσ共役系ポリマーも用いることができる。
【0056】
本発明に好適に利用できる一例として、下記一般式で示される繰り返し単位を有する重合体を主成分とする有機半導体材料について、その合成法とともにより詳細に説明する。


例えば下記一般式(I)で表わされるカルボニル化合物


[一般式(I)中、A1、A2はそれぞれ置換または無置換の単環または多環式のアリレン基またはヘテロアリレン基を表わす。R1は水素、置換または無置換のアルキル基、置換または無置換のアリール基を表わす。Vは−O−、−S−、−NR2−(R2は置換または無置換の単環または多環式のアリレン基、もしくは置換または無置換の単環または多環式のヘテロアリレン基を表わす)を表わし、nは≧0を表わす]、及び
下記一般式(II)で表わされるリン化合物


[一般式(II)中、A3、A4はそれぞれ置換または無置換の単環または多環式のアリレン基またはヘテロアリレン基を表わす。R3は水素、置換または無置換のアルキルまたはアリールまたはヘテロアリール基を表わす。Wは−O−、−S−、−NR4−(R4は置換または無置換の単環または多環式のアリレン基、もしくは置換または無置換の単環または多環式のヘテロアリレン基を表わす。mは≧0を表わす。XはPO(OR5)2(R5は低級アルキル基)またはP(R6)3+Y−(R6は置換または無置換のアリール基、もしくは置換または無置換のアルキル基を表わし、Yはハロゲン原子を表わす)を表わす]を反応させ、炭素−炭素二重結合を含有する下記一般式(III)


の繰り返し単位をもつ重合体が製造される。
【0057】
以下に更に詳細に説明する。
好適に用いられる塩基化合物は、非水系溶媒に均一に溶解していれば一般に知られている塩基性化合物が全て含まれるが、ホスホネートカルボアニオンの形成能を考慮に入れると、塩基性度の点から金属アルコシド、金属ヒドリド、有機リチウム化合物等が好ましく、例えばカリウムt−ブトキシド、ナトリウムt−ブトキシド、リチウムt−ブトキシド、カリウム2−メチル−2−ブトキシド、ナトリウム2−メチル−2−ブトキシド、ナトリウムメトキシド、ナトリウムエトキシド、カリウムエトキシド、カリウムメトキシド、水素化ナトリウム、水素化カリウム、メチルリチウム、エチルリチウム、プロピルリチウム、n−ブチルリチウム、s−ブチルリチウム、t−ブチルリチウム、フェニルリチウム、リチウムナフチリド、リチウムアミド、リチウムジイソプロピルアミド等を挙げることができる。
塩基を溶解する溶媒としては、使用する塩基と安定な溶液を形成する溶媒を選択しなければならないが、その他の要因として塩基の溶解度が高いものがよく、また反応系で生成する高分子量体の反応溶媒に対する溶解性を損ねないものがよく、さらに生成する高分子量体が良好に溶解する溶媒がよく、用いる塩基と製造する高分子量体の特性に応じて、一般に知られているアルコール系、エーテル系、アミン系、炭化水素系溶媒等から任意に選択することができる。
【0058】
塩基とそれを均一に溶解する溶媒の組み合わせとしては、例えばナトリウムメトキシドのメタノール溶液、ナトリウムエトキシドのエタノール溶液、カリウムt−ブトキシドの2−プロパノール溶液、カリウムt−ブトキシドの2−メチル−2−プロパノール溶液、カリウムt−ブトキシドのテトラヒドロフラン溶液、カリウムt−ブトキシドのジオキサン溶液、n−ブチルリチウムのヘキサン溶液、メチルリチウムのエーテル溶液、リチウムt−ブトキシドのテトラヒドロフラン溶液、リチウムジイソプロピルアミドのシクロヘキサン溶液、カリウムビストリメチルシリルアミドのトルエン溶液等をはじめとして、種々の組み合わせの溶液が挙げられ、幾つかの溶液は市販品として容易に入手することができる。温和な反応条件、取り扱いの容易さの観点から好ましくは金属アルコキシド系の溶液が用いられ、生成する重合体の溶解性、取り扱いの容易さ、反応の効率性、生成する重合体の溶解性等の観点からより好ましくは金属t−ブトキシドのエーテル系が用いられ、さらに好ましくはカリウムt−ブトキシドのテトラヒドロフラン溶液が用いられる。
【0059】
リン化合物およびアルデヒド化合物が化学量論的に等しく存在する溶液と、その2倍モル量以上の塩基を含む前述の塩基溶液を混合させることにより重合反応は容易に進行し、狭い分子量分布に好ましく制御された高分子量の重合体を簡便に得ることができる。通常、塩基の量はリン化合物の重合活性点に対して同量使用するだけでよいが、さらに過剰量用いても支障ない。
上記重合反応はリン化合物およびアルデヒド化合物の溶液に塩基溶液を添加してもよく、塩基溶液にリン化合物およびアルデヒド化合物の溶液を加えてもよく、同じに反応系に加えてもよく、添加の順序に制約はない。
上記重合反応における重合時間は、用いられるモノマーの反応性、または望まれる重合体の分子量等に応じて適宜設定すればよいが、0.2時間〜30時間が好適である。また、重合体の末端を封止するための封止剤を、反応途中または反応後に添加することも可能であり、反応開始時に添加しておくことも可能である。
上記重合反応における反応温度は特に制御する必要なく室温において良好に重合反応が進行するが、反応効率をより上げるために加熱したり、またはより温和な条件に冷却することも可能である。
【0060】
以下に実施例を挙げて更に具体的に説明するが、本発明に好適に利用できる有機半導体材料はその要旨を越えない限り、この実施例によって制限されるものではない。
各種の測定は下記の方法によった。重合体の数平均分子量(Mn)、重量平均分子量(Mw)及び分子量分布(Mw/Mn)の測定は、ゲルパーミエイションクロマトグラフィ(GPC)により行い、UV吸収及び示差屈折率を用いて、単分散ポリスチレンを標準としてポリスチレン換算で行った。
[材料合成実施例]
100ml四つ口フラスコに、以下の化学式に示す





ジアルデヒドを0.852g(2.70mmol)、及び以下の化学式に示す




ジホスホネートを1.525g(2.70mmol)を入れ、窒素置換してテトラヒドロフラン75mlを加えた。この溶液にカリウムt−ブトキシドの1.0moldm−3テトラヒドロフラン溶液6.75ml(6.75mmol)を滴下し、室温で20時間撹拌した後、ベンジルホスホネート及びベンズアルデヒドを順次加え、さらに2時間30分撹拌した。酢酸およそ1mlを加えて反応を終了し、溶液を水洗した。溶媒を減圧留去し、残渣をテトラヒドロフラン15ml及びメタノール80mlを用いて再沈澱による精製を行い、以下の化学式に示す重合体を1.07g得た。


【0061】
得られた重合体の分子量及び分子量分布を測定したところ、収率:73%、重量平均分子量(Mw):104000、数平均分子量(Mn):36000、分子量分布(Mw/Mn):2.89、重合体:63であった。
上記実施例は一例であるが、他の材料であってもよい。例えば、ペンタセン等前駆体が溶媒に可溶であるものは、液体噴射原理等により形成した前駆体の膜を熱処理して目的とする有機材料の薄膜を形成してもよい。
本発明の液滴43の他の材料としては、半導体等に多用される層間絶縁膜のシリコンガラスの前駆物質であるか、シリカガラス形成材料を挙げることができる。かかる前駆物質として、ポリシラザン(例えば東燃製)、有機SOG材料等が挙げられる。
また、電極材料としては、ドーピング等で導電率を向上させた公知の導電性ポリマー、例えば導電性ポリアニリン、導電性ポリピロール、導電性ポリチオフェン(ポリエチレンジオキシチオフェンとポリスチレンスルホン酸の錯体など)など、また、白金、金、銀のナノ微粒子(サイズ1〜50nm)を分散させた溶液なども好適に利用でき、各種配線パターンや、後述のRFIDデバイスのアンテナなどのパターンを形成するのにも好適に利用できる。
【0062】
なお、液滴43の材料を本発明では電気的機能発現材料あるいは電気的機能発現材料を含有した液体と呼んでいるが、電子デバイス等を製作するために使用する材料をさすものであり、電気的絶縁性を有する材料もこれに含まれるものであることはいうまでもない。
このような有機半導体材料含有溶液や電気的絶縁性を有する材料等を用いて、本発明では例えば、図15、図16に示したような有機薄膜トランジスタ素子を形成することができる。有機薄膜トランジスタ素子構成としては、紙をベースとした基材上に有機半導体層に接したソース電極とドレイン電極を有し、その上にゲート絶縁層を介してゲート電極を有するトップゲート型と、基材上にまずゲート電極を有し、ゲート絶縁層を介して有機半導体層で連結されたソース電極とドレイン電極を有するボトムゲート型に大別されるが、具体的な素子の層構成例(1素子の断面図)は図15、図16のようになる。
【0063】
図15はトップゲート型の層構成例を示し、紙をベースとした基材50上に有機半導体層58を有し、さらに有機半導体層58に電気的接続する第1の電極としてのソース電極54及び第2の電極としてのドレイン電極55を有し、この一対の電極間に設けられるとともに、さらにこの電極間にあって、上記有機半導体層58が設けられた領域上に、ゲート絶縁層56を介して第3の電極としてのゲート電極57を有するものである。そして、ソース電極54及びドレイン電極55の間に電圧を印加し、さらにゲート電極57に電圧を印加、制御するようにしている。
図16はボトムゲート型の層構成例を示し、紙をベースとした基材50上にゲート電極57としての電極層、ゲート絶縁層56、有機半導体層58をこの順序で形成し、さらに有機半導体層58に電気的に導通するソース電極54及びドレイン電極55よりなる一対の電極層を形成し、さらに有機半導体層58の領域を素子保護層59によって封止構造としたものである。そして、ソース電極54及びドレイン電極55の間に電圧を印加し、さらにゲート電極57に電圧を印加、制御するようにしている。
【0064】
このように本発明においては、上記各種電気的機能発現材料含有液体を液体噴射ヘッドによってベルトコンベアによって搬送される被搬送物あるいはそれを包む紙や包装シート、包装樹脂フィルム、ダンボール等に形成されるが、好適に適用できる好ましい例は、RFID方式のデバイスである。
RFID方式のデバイスは、メモリーと通信回路ならびに小型アンテナを組み合わせたものである。メモリーとしては、S-RAM、EEP-ROM、Fe-RAMなどがあるが、本発明においては、被搬送物に低コストでその情報を付与することを目的としているので、記憶保持用の電源を必要せず、また記憶容量も数百バイト〜数kバイト程度のEEP-ROMやFe-RAM方式を採用する。通信方式は、交信距離として最大1mほど確保できる電磁誘導方式が好適に採用できる。
【0065】
図17でその原理を説明する。図中、81はRFID方式のデバイスであり、82はリーダーあるいはライターである。83はRFID側のループコイルアンテナ、84はリーダー/ライター側のループコイルアンテナ、85は磁束、86は受信信号、87は送信信号である。
電磁誘導方式は、リーダー/ライター側のループコイルとRFID側のループコイルを1m以内の間隔で対向配置し、135kHz以下(100kHz程度)、または13.56MHzの信号電流を通電することにより、リーダー/ライター側のコイル近傍に発生する誘導電磁界を電力・情報伝送媒体として使用するものである。媒体としている誘導電磁界の特性によるもので使用環境の悪い場所でも強く、データ伝送上の信頼性が高い。また、リーダー/ライターの指向性もそれほど強くないという特性があり、本発明のような搬送システムに好適に利用できる。なお、図ではRFID側のループコイルアンテナ83を立体的構造として示したが、本発明においては、液体噴射ヘッドによって2次元平面的に形成される。
これらは全て前述のような異なる種類の電気的機能発現材料含有液体を噴射することによってパターン形成を行い、集積回路を形成するようにそれらのパターンを積層、組み合わせることにより、印刷形成することができる。図18は本発明で形成したRFID方式のデバイスの一例である。図中、88は通信回路であり、89はメモリーであり、90はアンテナである。
【0066】
従来のようなRFIDチップはSi(シリコン)半導体プロセスによって製作し、別途形成したアンテナや電極パターンと一体にして製作していたが、本発明の技術を使用すれば、ダンボール箱などの基材上にすべて印刷によって形成することができ、大変低コストにすることができる。つまりパッケージング材料として使用されるダンボール等の紙や樹脂シートよりなる袋などに直接噴射付与により、印刷形成することができるので、梱包部材に新たな付加価値(RFID方式による商品の履歴や追跡情報など)を簡単に付与することができる。
またこのようにRFID素子を印刷形成すると、前述のような電子機能部品の盗難は包装紙等を破らない限り、つまり非破壊でこのRFID素子等を取り外すということは不可能である。
なおこの説明のように全てこのように印刷手法によって形成できるが、前述のようなSiチップでRFIDチップを形成したものに、このように印刷手法によってパッケージング材料(被覆部材)の表面に導電性パターンを形成してアンテナ構造を形成したものを、電気的接続したハイブリッド構成のデバイスとしてもよいことはいうまでもない。
【0067】
またこのパッケージング材料(被覆部材)の表面への導電性パターン形成は、図3の搬送システムの途中で液体噴射ヘッド6によって形成してもよいし、あらかじめそのような導電性パターンを別途、印刷形成したものを使用して、図1、図2で説明したようなパッケージングを行ってもよい。
このような本発明のRFID方式のデバイスは物の配送などに好適に利用されるが、その利用方法の性格上、風雨や直射日光にさらされたり、他のものとの接触、衝突、衝撃、振動を受けたりして、使用環境は劣悪である。よってたえず破損、故障の危険性にさらされている。
そこで本発明では、上記のように形成されたRFID方式のデバイスのパターン面を、樹脂ラミネート等の手法によって被覆、保護するようにしている。
ラミネート樹脂の材料としては、例えば塩化ビニル樹脂、ポリプロピレン樹脂など適宜使用できるが、ポリオレフィン系のポリプロピレン樹脂は、環境に優しい高分子材料樹脂として知られており、好ましい材料のひとつである。
その際、例えば紫外線吸収剤として酸化チタンや酸化亜鉛の微粒子をこれらの樹脂材料に添加してなる紫外線遮断(UVカット)樹脂材料を使用することが好ましい。
【0068】
さらに他の被覆、保護例としては、本発明で説明している液体噴射の原理によって樹脂含有溶液を、このようなRFID方式のデバイスのパターン面に噴射付与してもよい。この場合、加熱時に溶融状態にあり、40℃以下の通常の生活環境温度(低温)時に固体状態となるワックス系材料なども好適に使用できる。
なお、必ずしも液体噴射の原理である必要はなく、ローラーコーティングのような手法によって、樹脂層を形成してもよいのはいうまでもない。
これにより本発明においては、被搬送物の梱包部材表面に形成されたRFID方式のデバイス等の信頼性(耐水、耐衝撃、耐光、耐汚染、耐絶縁など)を確保をすることができるようになった。
なお、他の信頼性確保の手段として、このような電子デバイスを1つの被搬送物に対して複数個形成するのもよい方法である。
【0069】
本発明は、前述のようにいわゆるSiウエハ上に形成されるIC、LSI異なり、紙などのあまり精度の高くない表面に形成される電子デバイスである。したがって簡単に形成できる反面、Siチップデバイスに比べると、形成時の歩留まり、信頼性の点で、やや劣る面がある。
そこで、このような電子デバイスを1つの被搬送物に対して場所を離して複数個形成する。本発明では、インクジェット原理で形成するため、1個形成する場合も、複数個形成する場合も時間的な差異はほとんどない。
このように複数個形成しておけば、仮に、被搬送物の梱包部材表面性状のバラツキによって製造上の品質が悪いデバイスができても、別の場所に形成したデバイスが良品であれば、それを補完、補償することが可能である。あるいは、形成後にぶつかったりして破損するような場合があっても、複数個のデバイスが形成されていれば、どれか1個は破損しないで残っている可能性があり、それによって機能は補償され、この面からも信頼性が高く維持できる。
【0070】
次に本発明の他の特徴について説明する。前述のように本発明は、紙などの被搬送物の梱包部材表面に、RFID等の電子デバイスをインクジェット原理で形成するものであるが、そのようなデバイスを実際に形成する場合と、その後それを使用する場合とで、時間的ブランクが生じる場合がある。例えば、形成後何ヶ月も倉庫に保管されていて、実際に使用する場合まで時間的に間があく場合がある。
そこで、例えばこのような電子デバイスを形成する時に、同時に不要な導体パターンを形成しておき、それがつながっている間は機能しないようにしておく。そしてその導体パターンの結線を切った時に初めて機能するというような回路構成としておく。
結線を切るための手段としては、例えば、紙などの梱包部材内部に糸状部材を埋め込んだものとし、その上にこのようなパターンを形成し、使用する時になってこの糸状部材を引き剥がし、導体パターンの結線を切ればよい。
紙などの梱包部材表面に簡単にはがすことのできるビニールテープのようなものは貼っておき、その上にこのような導体パターンを形成しても、このテープをはがすことによる簡単に導体パターンの結線を切ることができる。
あるいは、導体パターンの結線を切る部分の紙の部分にミシン目を入れておき、簡単に破ることができるようにしておいてもよい。または、ナイフ等によって導体パターンの結線を切ってもよい。
【0071】
いずれにしろこのような構成をとることにより、デバイス形成と実際に使用する場合とで時間差を持たせることが可能となる。
類似した考え方で、使用後のデバイスにいつまでもデータが残っていることによる不都合を回避するために、このようなデバイスを破棄、破壊したい場合がある。
この場合も、デバイスを形成する部分の梱包部材内部に上記のように糸状部材を埋め込んだり、あるいはテープを貼った構成とすることにより、破壊したい時にその糸状部材を引き出したり、あるいはテープをはがしたりして、簡単にデバイスを破壊でき、データ朗詠などを防ぐことができる。ミシン目を入れたり、ナイフなどで簡単に切れるようにしておいてもいいのはいうまでもない。
【0072】
次に本発明の他の特徴について説明する。本発明は、物流の搬送、配送システムにおいて、被搬送物にRFID等の電子デバイスを形成するとともに、その被搬送物が有する情報をこの被搬送物に持たせ、被搬送物を所定の場所に配送、搬送させるシステムであるが、その情報はこのような電子デバイスに電子情報として記憶されている。したがって、外部にこのような情報が流出しにくいというセキュリティ面からは比較的優位ではあるが、一方で、外側からすぐにその情報を知りたいという一瞥(いちべつ)性に難がある。
本発明ではこの点に鑑み、上記のように被搬送物にRFID等の電子デバイスを形成するとともに、このような電子デバイスが内部に持つ被搬送物に関する情報の一部もしくは全てを、必要に応じて被搬送物の表面(厳密には梱包部材、被覆部材の表面)に記録するようにしている。
【0073】
例えば被搬送物の包装紙を感熱紙としたり、あるいは感熱紙のシールを被搬送物に貼り付けておけば、サーマルヘッドによって、日付や配送先や賞味期限といった情報を書き込むことができる。より好ましい例としては、液体を噴射付与するインクジェット原理の噴射ヘッドの利用があげられ、これを利用すれば、被搬送物に非接触でこのような直接視認できる文字や記号情報を付与することができる。
どのような情報をこのような直接視認できる情報として付与するかは適宜決めればよいが、被搬送物の配送先や生鮮物の賞味期限などは、一瞥(いちべつ)性が要求される情報なので、直接視認できることが好ましい。
またこれらの情報は必ずしも文字、数字で表現する必要はなく、ある程度の機密性を維持しながら一瞥(いちべつ)性が要求されるような場合には、一定のルールにのっとった文字ではない記号、図柄等によって表現するのもよい方法である。
これにより、被搬送物にRFID等の電子デバイスを形成して電子情報を担わせるだけの場合に比べて、直接視認できる情報も付加され、被搬送物の誤配があったり、あるいは誤配に到る前に簡単にそれを発見することができる。また生鮮物の賞味期限なども一目ですぐわかる。
【0074】
以上は人間の目で視認できる情報として説明したが、本発明において、このように電子デバイスを形成して電子情報を担わせるのみならず、それ以外の手段によって、被搬送物に何らかの情報を付与する方法としては、光学スキャナーによって取り込まれる情報を付与するようにするのもよい方法である。
例えば、1次元バーコード、2次元バーコード、スタック式あるいはマトリックス式2次元コード、2次元シンボルなどを、被覆部材表面にインクジェット原理の噴射ヘッドによって付与するのである。
これらの2次元コード、2次元シンボルなどは、単なる識別情報としての簡単な文字/数字列以上の情報(例えば数千行の情報も可能である)を担わせることができ、RFID等の電子デバイスに担わせた情報のバックアップとしても機能させることができる。またこれらのコード情報は、専用の光学スキャナーのみならず、2次元コード情報を読み取ることのできるデジタルカメラやカメラ付き携帯電話などを使用してその情報を読み取るようにしてもよく、これらのカメラ等を利用することによってこの搬送システムをモバイルの(ハンディ)スキャナーを利用したシステムとして拡張させることができる。
【0075】
ここでこのような視認情報、あるいは2次元コード、2次元シンボルなどをインクジェット原理の噴射ヘッドによって付与する場合のインクは、通常のインクジェット記録に使用されるインク、すなわち水性あるいは油性の各種溶媒に着色剤としての染料あるいは顔料を溶解あるいは分散させたものを使用することができる。とりわけ耐候性、耐光性に優れた色の褪せにくい顔料インクが好ましい。
なお、本発明では前述のように電気的機能発現材料含有液体を噴射することによって電子デバイスを形成するが、この液体をこのような視認情報、あるいは2次元コード、2次元シンボルなどを形成するために使用することも可能である。その場合、液体噴射ヘッドなどを共有できるのでシステムを簡略化することができる。
他のインクの例としては、可視光域、すなわち通常の自然光下では見えず(人間の目には見えない/見えづらい)、紫外線やブラックライト等の照射で発色する、すなわち紫外光域で発色する特性をもつUV蛍光インクが好適に使用できる。このインクを使用して、視認情報、あるいは2次元コード、2次元シンボルなどを形成した場合、通常の自然光下では見えないため、機密保持の役割もはたすことができる。
【0076】
さらに他のインクの例としては、湿式加熱処理で色が赤→赤褐色、紫→ピンク、黒→青などに変化するサーモクロミックインクを使用することがあげられる。これは熱によって色が変化するので、被搬送物が何らかの加熱状態を経たかどうかをチェックすることが可能となり、被搬送物が熱に弱いものである場合の内容物の変質チェック機能も持たせることが可能となる。
さらに他の例としては、磁気インクを被搬送部材の被覆部材表面にインクジェット原理の噴射ヘッドによって付与する方法がある。
この場合、磁気抵抗センサーによって、被覆部材表面に磁性体の存在を関知する(判別する)というような単純な情報の付与の仕方の他、磁気インクで印刷された特別に定めた字形の文字を磁気的に読み取るといった利用法もある。さらに高度かつ多くの情報量を付与できる方法として、磁気ストライプのような磁気的に記憶可能となる領域をインクジェット原理の噴射ヘッドによって形成付与する方法もある。どのような方法を選択するかは、利用方法、必要な情報の種類、量に応じて適宜選べばよい。
【0077】
以上、本発明の物流の搬送、配送システムにおいて、被搬送物にRFID等の電子デバイスを形成するとともに、これに加えて、直接視認できる、あるいは特定の光源下で発色する文字もしくは記号情報等を付与形成する例などを説明したが、これらをインクジェット原理の噴射ヘッドで付与形成するにあたっては、RFID等の電子デバイスを形成する場合と同様に、被搬送物と液体噴射ヘッドとの位置関係が所望の位置に高精度にある必要がある。
そこでこの場合も、図3で説明したような位置整合手段であるガイド4を必要とする。なおこのようなガイド4は、RFID等の電子デバイスを形成する場合に使用したガイド4によって、高精度な位置整合が行われ、その後もその精度を維持できているうちにここで説明している文字もしくは記号情報等を付与形成する場合は、このガイド4を共有すればよいし、必要に応じて新たに別の位置整合手段を搬送経路に設けてもよい。
また前述のように、形成されたRFID等の電子デバイスはラミネート樹脂等の付与により保護されるが、ここで形成付与された文字もしくは記号情報等も、風雨や直射日光にさらされるという周囲の使用環境を考慮すると、同様の手段によって、文字もしくは記号情報等形成後にその表面を同様の紫外線遮断(UVカット)樹脂材料によって被覆して保護することが望ましい。
【0078】
以上の説明の通り本発明の効果として、被覆部材により包まれた物を搬送する手段と、この搬送手段の搬送経路の一部に配置され、被覆部材により包まれた物を搬送時に位置整合させる手段と、被覆部材により包まれた物に電子機能部品を付与する手段とよりなる搬送システムにしたので、工場などの工業生産品や農産物等の在庫管理などのコンピュータによる一元的管理ができる新規な搬送システム/物流システムが実現できた。
また、このような搬送システムにおいて、電子機能部品は、インクジェット原理の噴射ヘッドによって被覆部材表面に電気的機能発現材料含有液体を噴射付与し、被覆部材表面に液体中の固形分を残留させることによって形成されるようにしたので、上記効果に加え、このような電子機能部品を簡単な原理ならびに低コストで被搬送物に印刷によって形成することができるようになった。
また、このような搬送システムにおいて、被覆部材表面に電気的機能発現材料含有液体を噴射付与する前に、被覆部材表面に前処理材を付与するようにしたので、上記効果に加え、良好な形状のパターンが形成できるので、このような電子機能部品をより高精度かつ断線のない高耐久に形成できるようになった。
【0079】
また、このような搬送システムにおいて、液体を噴射付与後に乾燥させる乾燥手段を搬送経路に配置するようにしたので、このような電子機能部品を形成後すぐに形成面に物理的に物が接触したりしても、パターンの未乾燥によって電子機能部品が破損するという事故がなくなった。
また、このような搬送システムにおいて、乾燥手段は、被覆部材表面の電気的機能発現材料含有液体付与部を局所的に乾燥するようにしたので、少ないエネルギーで効率よく乾燥させて電子機能部品を形成できるようになった。また、被搬送物が熱を嫌うような生鮮物などである場合にも、乾燥の熱によるダメージを受けることがなくなった。
また、このような搬送システムにおいて、電子機能部品は、RFID方式のデバイスであるようにしたので、このRFID方式のデバイスを具備した工業生産品や農産物等をベルトコンベアによって搬送して色々なところへ運んだり、あるいは各種の物流配送システムにおいて、送り先に応じて仕分けしたりするといった場面において、被搬送物の移動状況の追跡が可能となったり、あるいは倉庫等における在庫管理なども一元的に管理できる新規な搬送システム/物流システムが実現できた。また、小売店などにおける販売データも一元的に管理できるようになった。
【0080】
また、このような搬送システムにおいて、RFID方式のデバイスを被覆する手段を有するようにしたので、このようなRFID方式のデバイスを形成、付与されたものが搬送/配送中に風雨にさらされても、デバイスは破損することなく、内部のデータも消失することがなくなった。
また、このような搬送システムにおいて、被覆する手段は、紫外線を遮断するようにしたので、直射日光にさらされ、太陽光の紫外線照射を受けてもデバイスの劣化、破損がなく、内部のデータも消失することがなくなった。
また、このような搬送システムにおいて、RFID方式のデバイスに所望の情報を書き込むライターを搬送経路に配置するようにしたので、工業生産品や農産物等を出荷する出発点において、このようなRFID方式のデバイスを形成ならびにそれらに必要なデータ書き込みが簡単に行うことができるようになり、物流の配送システムのIT化を推進させることができる。
【0081】
また、このような搬送システムにおいて、情報を読み取るリーダーを搬送経路に配置するようにしたので、このようなRFID方式のデバイスに必要なデータ書き込みを行ったその場ですぐそれを確認できるようになり、IT化された物流の配送システムをより便利なものとすることができる。
また、このような搬送システムにおいて、直接視認できる文字もしくは記号情報を付与するようにしたので、搬送物/配送物に各種情報を電子情報として付与することに加えて、視認情報を付与することができるようになり、一目で所望の情報を視認でき、誤配などのチェックが容易にできるようになった。
また、このような搬送システムにおいて、被覆部材表面にインクジェット原理の噴射ヘッドによって、直接視認できる文字もしくは記号情報を付与するようにしたので、搬送物/配送物に各種情報を電子情報として付与することに加えて、視認情報を非接触で簡単に付与することができるようになり、一目で所望の情報を視認でき、誤配などのチェックが容易にできるようになった。
【0082】
また、このような搬送システムにおいて、液体は、電気的機能発現材料含有液体としたので、このような直接視認できる文字もしくは記号情報を付与する場合に特別な噴射ヘッド、インク等を準備することなく、電子デバイスを形成するのに使用する液体噴射ヘッドなどを共有でき、システムを簡素化できた。
また、このような搬送システムにおいて、液体は、熱によって色が変わるサーモクロミック材料含有液体としたので、被搬送物が、加熱状態を経たものかどうか判別できるようになり、被搬送物が持っている新たな情報も得られるようになった。
また、このような搬送システムにおいて、被覆部材表面にインクジェット原理の噴射ヘッドによって液体を噴射付与して、紫外光域で発色する文字もしくは記号情報を付与するようにしたので、視認できる情報ではあっても特殊な環境下(紫外光下)でないと見ることができないので、情報の機密保持ができるようになった。
【0083】
また、このような搬送システムにおいて、文字もしくは記号情報を形成した表面を被覆する手段を有するようにしたので、被搬送物の搬送/配送中にこのような情報形成領域が風雨にさらされても、内部に書かれた情報が消失することがなくなった。
また、このような搬送システムにおいて、被覆部材表面にインクジェット原理の噴射ヘッドによって、光学スキャナーによって取り込まれる情報を付与するようにしたので、搬送物/配送物に各種情報を電子情報として付与することに加えて、2次元コード情報も付与することができるようになり、搬送物/配送物が持つ情報を多様な手段によって付与できるようになった。それにより、例えば2次元コード情報を読み取ることのできるカメラやカメラ付き携帯電話などによってもその情報を読み取ることができ、システムの拡張性を広げることができるようになった。
また、このような搬送システムにおいて、被覆部材表面にインクジェット原理の噴射ヘッドによって、磁気的に判別できる情報を付与するようにしたので、搬送物/配送物に各種情報を電子情報として付与することに加えて、磁気手段による情報も付与することができるようになり、システムの拡張性をより広げることができるようになった。
【0084】
また、このような搬送システムにおいて、被覆部材表面にインクジェット原理の噴射ヘッドによって、磁気的に記憶可能となる領域を付与形成するようにしたので、磁気記録情報も付与することができるようになり、システムの拡張性をより広げることができるようになった。
また、このような搬送システムにおいて、直接視認できる文字もしくは記号情報、光学スキャナーによって取り込まれる情報、磁気的に判別できる情報は、RFID方式のデバイスに書き込まれる情報の一部もしくは全てを含むようにしたので、不慮の事故により、RFID方式のデバイス内の電子情報が消失した場合においても、搬送物/配送物が持っている情報の一部もしくは全部を他の手段によって読み取る/読み出すことができ、システムのバックアップ、回復ができたり、あるいはシステムダウンを回避したりすることができるようになった。
また、このような搬送システムにおいて、直接視認できる文字もしくは記号情報、光学スキャナーによって取り込まれる情報、磁気的に判別できる情報のいずれかを付与する前に、被覆部材により包まれた物の位置整合を行う手段を、搬送経路に有するようにしたので、このような各種情報を高精度に形成できるようになり、視認情報の見誤りや読み取り不可といった事故がなくなった。
【図面の簡単な説明】
【0085】
【図1】本発明の被搬送物の包装(パッケージング)プロセスを示す図である。
【図2】本発明の被搬送物の包装(パッケージング)プロセスを行うための機構の一例を示す図である。
【図3】本発明の搬送システムの概略図である。
【図4】本発明で使用されるインクジェット原理(液滴噴射原理)の液体噴射ヘッドによって電気的な配線パターンを形成する一実施例を説明するための図である。
【図5】本発明に好適に使用されるピエゾ素子利用の液体噴射ヘッドの液滴噴射原理を説明する図である。
【図6】本発明に好適に使用されるピエゾ素子利用の液体噴射ヘッドの構造を示す図である。
【図7】本発明に好適に使用されるピエゾ素子利用の液体噴射ヘッドによって噴射させた場合の液滴の形状を示す図である。
【図8】本発明に好適に使用されるピエゾ素子利用の液体噴射ヘッドによって噴射させた場合の液滴の形状で、やや細長くなった場合を示す図である。
【図9】本発明に好適に適用されるサーマル方式(バブル方式)の液体噴射ヘッドの例を示す図である。
【図10】本発明に好適に使用されるサーマル方式(バブル方式)の液体噴射ヘッドによって噴射させた場合の溶液の飛翔時の形状を示す図である。
【図11】マルチノズル型の液体噴射ヘッドをノズル側から見た図である。
【図12】マルチノズル型の液体噴射ヘッドを噴射する液体ごとに積層し、ユニット化した図である。
【図13】ユニット化したヘッドの斜視図である。
【図14】パターン配線基材あるいは電子デバイスを形成する製造装置の一例を示す図である。
【図15】本発明を利用して形成される有機トランジスタ素子の層構成例(トップゲート型)を示す図である。
【図16】本発明を利用して形成される有機トランジスタ素子の他の層構成例(ボトムゲート型)を示す図である。
【図17】RFID方式のデバイスの原理を説明するための図である。
【図18】本発明のシステムによって被搬送物に形成されるRFID方式のデバイスの一例を示す図である。
【符号の説明】
【0086】
1…主ベルトコンベア、2…従ベルトコンベア、3…被搬送物、4…ガイド、5…被付与部前処理手段、6…液体噴射ヘッド、7…乾燥手段、8…被覆材料付与手段、9…情報書き込み/読み取り(ライター/リーダー)手段、11…配線パターン、12、13…端子、21…液体噴射ヘッド、22…キャリッジ、23…基材保持台、24…基材、25…液体供給チューブ、26…信号供給ケーブル、27…噴射ヘッドコントロールボックス、28…X方向スキャンモータ、29…Y方向スキャンモータ、30…コンピュータ、31…コントロールボックス、32(32X1、32Y1、32X2、32Y2)…基材位置決め/保持手段、43…液滴、45…流路、46…ピエゾ素子、47…液体、48…ノズル、49…フィルター、50…紙をベースとした基材、54…ソース電極、55…ドレイン電極、56…ゲート絶縁層、57…ゲート電極、58…有機半導体層、59…素子保護層、65…ノズル、66…発熱体基材、67…蓋基材、68…シリコン基材、69…個別電極、70…共通電極、71…発熱体、74…溝、75…凹部領域、76…液体流入口、81…はRFID方式のデバイス、82…リーダーあるいはライター、83…RFID側のループコイルアンテナ、84…リーダー/ライター側のループコイルアンテナ、85…磁束、86…受信信号、87…送信信号、88…通信回路、89…メモリー、90…アンテナ、205…被搬送物である電子辞書、207…パッケージ部材、207a〜207d…仮折り部、207e…下保護面、207f…上保護面、207g、207h…フラップ、208…ペーパー基材、210…パッケージング終了後の電子辞書、253…パッケージング機構、269…集積台、273…ロボットアームユニット、273a…ロボットハンド、274…パッケージ部材ハンドリングユニット、274a…吸着パッド、275…仮折りユニット、276…折り込みユニット、278…固定治具、279…可動治具、282…基台、283…折り込みアーム部
【出願人】 【識別番号】000006747
【氏名又は名称】株式会社リコー
【出願日】 平成18年12月28日(2006.12.28)
【代理人】 【識別番号】100085660
【弁理士】
【氏名又は名称】鈴木 均


【公開番号】 特開2008−161837(P2008−161837A)
【公開日】 平成20年7月17日(2008.7.17)
【出願番号】 特願2006−356578(P2006−356578)