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【発明の名称】 粒状物の光学式選別方法及びその装置
【発明者】 【氏名】田中 謙光

【要約】 【課題】選別運転を停止させることなくしきい値の変更が可能な光学式選別装置を提供する。

【解決手段】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
原料粒状物を層状にして移送する移送工程と、
該移送手段から放出・落下した原料粒状物に光を照射して当該原料粒状物からのRGB光を受光する光学検出工程と、
該光学検出手段で検出したRGB光に基づく良否判定を、前記光学検出手段において検出が想定される複数のRGB光のそれぞれについて、予め設定しきい値と対比した良否判定情報を有する判定テーブルに基づいて行う判定工程と、
該判定手段が判定した不良品の粒状物を選別する選別工程と、
を有する光学式選別方法において、
前記判定工程は、前記判定テーブルを二つ備えるとともに、一方の判定テーブルを使って選別運転中に前記しきい値を変更する場合には、変更後のしきい値に基づいて他方の前記判定テーブルの各良否判定情報を再演算して更新し、該更新が終了した時点で選別運転を停止させることなく前記一方の判定テーブルから他方の判定テーブルに切換えることを特徴とする粒状物の光学式選別方法。
【請求項2】
選別運転中に前記しきい値を変更する場合、前記判定工程は、変更後のしきい値に基づいて、良否判定に使用していない他方の前記判定テーブルの全組合せのうち任意の低解像度の階調分における良否判定情報を再演算して更新し、該更新が終了した時点で選別運転を停止することなく良否判定に使用する判定テーブルを一方のものから他方のものに切換え、
その後、前記一方の判定テーブルの全組合せのそれぞれについて良否判定情報を再演算して更新し、該更新が終了した時点で選別運転を停止することなく良否判定に使用する判定テーブルを他方のものから一方のものに再度切換えることを特徴とする請求項1に記載の粒状物の光学式選別方法。
【請求項3】
前記光学検出手段で検出したRGB光をL*a*b*表色系又はL*u*v*表色系の均等色空間における値に変換する変換手段を設ける一方、前記判定テーブルは、前記均等色空間において設定したしきい値と前記各変換値とを対比して判定した良否判定情報を有してなることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の粒状物の光学式選別方法。
【請求項4】
原料粒状物を層状にして移送する移送手段と、
該移送手段から放出・落下した原料粒状物に光を照射して当該原料粒状物からのRGB光を受光する光学検出手段と、
該光学検出手段で検出したRGB光に基づく良否判定を、前記光学検出手段において検出が想定される複数のRGB光のそれぞれについて、予め設定しきい値と対比した良否判定情報を有する判定テーブルを参照して行う判定手段と、
該判定手段が判定した不良品の粒状物を選別する選別手段と、
を有する光学式選別装置において、
前記判定手段は、第一判定テーブル及び第二判定テーブルを有する判定テーブルと、該判定テーブルのうち前記良否判定を行う際に参照する判定テーブルを選択する選択手段と、変更後のしきい値に基づいて、前記良否判定する際に参照されていない判定テーブルについて良否判定情報を再演算して更新する再演算更新手段と、該再演算更新手段によって更新が終了した判定テーブルに切換える切換手段とを備えることを特徴とする粒状物の光学式選別装置。
【発明の詳細な説明】【技術分野】
【0001】
本発明は、穀物、雑穀、豆類又は樹脂ペレットなどの原料粒状物に含まれた不良品を光学的に判別して選別する光学式選別装置に係り、特に、不良品の判定を行う判定手段に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、この種の光学式選別装置は、前記原料粒状物を帯状に移送・落下させて該原料粒状物に光を照射し、当該原料粒状物から得られたRGBのフルカラー検出光(RGB光)に基づいて不良品を判別(以下「不良品のフルカラー判別」という)して不良品を選別するものとして知られている。前記光学式選別装置は、前記判定手段に良否判定参照テーブル(以下、「判定テーブル」という)を備え、前記検出光が不良品であるか否かの判別が、前記判定テーブルを参照することで瞬時に行われる(いわゆるRGB判定方式)。前記判定テーブルは、検出が想定される任意の複数の検出光(RGB光)について、予め、それぞれを設定しきい値と対比した判定結果(良品か不良品か)を定めたものである。前記判定テーブルの作成については、検出光(RGB光)の各色の光度(光量)について、R(赤)を例えば255階調、G(緑)を255階調、B(青)を255階調、のようにそれぞれを複数の区分に分け、このR・G・Bの各区分(組合せ)について設定しきい値と対比し、その判定結果(良品か不良品か)を一覧表としたものである(図11参照)。
【0003】
一方、前記不良品のフルカラー判別の方法には、上述のように単に原料粒状物から検出したRGB光から良・不良の判定を行う方式(いわゆるRGB光判定方式)以外に、前記検出したRGB光を更に、人間の視覚(色感覚)に近いとされる均等色空間(L*a*b*表色系やL*u*v*表色系)の値に変換して良・不良の判定を行う方式(いわゆる均等色空間判定方式)がある(例えば、特許文献1)。この均等色空間判定方式の場合においても、前記判定手段に前述のような判定テーブルを構成し、該判定テーブルを参照することで検出光(RGB光)の良・不良の判定を瞬時に行うようにしてある。前記均等色空間判定方式における判定テーブルの作成については、検出光(RGB光)の各色の光度(光量)について前記同様に、R(赤)を例えば255階調、G(緑)を255階調、B(青)を255階調、のようにそれぞれを複数の区分に分け、この後に、このR・G・Bの各区分(組合せ)について均等色空間(L*a*b*表色系など)の値に変換し、該各変換値を設定しきい値と対比し、その判定結果(良品か不良品か)が一覧表とされる(図11参照)。選別運転中においては、原料粒状物から検出したRGB光の色の光度組合せが、前記判定テーブルを参照して瞬時に良否判定される(例えば、特許文献1)。
【0004】
【特許文献1】特開2005−186053号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、上記光学式選別装置には、以下の問題点があった。すなわち、選別運転中に、前記しきい値を変更して選別感度を変更したい場合があり、この場合、前記判定テーブル(良否判定結果)を変更後のしきい値に対応したものに更新する必要があるため、少なくとも、この更新に係る再演算時間(数分間)だけは選別運転を停止させなくてはならず、このため、選別運転の効率が低下するという問題が生じていた。
そこで、本願発明は上記問題点にかんがみ、選別運転を停止させることなくしきい値の変更が可能な光学式選別方法及びその装置を提供することを技術的課題とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するため、請求項1により、
原料粒状物を層状にして移送する移送工程と、
該移送手段から放出・落下した原料粒状物に光を照射して当該原料粒状物からのRGB光を受光する光学検出工程と、
該光学検出手段で検出したRGB光に基づく良否判定を、前記光学検出手段において検出が想定される複数のRGB光のそれぞれについて、予め設定しきい値と対比した良否判定情報を有する判定テーブルに基づいて行う判定工程と、
該判定手段が判定した不良品の粒状物を選別する選別工程と、
を有する光学式選別方法において、
前記判定工程は、前記判定テーブルを二つ備えるとともに、一方の判定テーブルを使って選別運転中に前記しきい値を変更する場合には、変更後のしきい値に基づいて他方の前記判定テーブルの各良否判定情報を再演算して更新し、該更新が終了した時点で選別運転を停止させることなく前記一方の判定テーブルから他方の判定テーブルに切換える、という技術的手段を講じた。
【0007】
また、請求項2により、
選別運転中に前記しきい値を変更する場合、前記判定工程は、変更後のしきい値に基づいて、良否判定に使用していない他方の前記判定テーブルの全組合せのうち任意の低解像度の階調分における良否判定情報を再演算して更新し、該更新が終了した時点で選別運転を停止することなく良否判定に使用する判定テーブルを一方のものから他方のものに切換え、
その後、前記一方の判定テーブルの全組合せのそれぞれについて良否判定情報を再演算して更新し、該更新が終了した時点で選別運転を停止することなく良否判定に使用する判定テーブルを他方のものから一方のものに再度切換える、という技術的手段を講じた。
【0008】
さらに、請求項3により、
前記光学検出手段で検出したRGB光をL*a*b*表色系又はL*u*v*表色系の均等色空間における値に変換する変換手段を設ける一方、前記判定テーブルは、前記均等色空間において設定したしきい値と前記各変換値とを対比して判定した良否判定情報を有してなる、という技術的手段を講じた。
【0009】
また、請求項4により、
原料粒状物を層状にして移送する移送手段と、
該移送手段から放出・落下した原料粒状物に光を照射して当該原料粒状物からのRGB光を受光する光学検出手段と、
該光学検出手段で検出したRGB光に基づく良否判定を、前記光学検出手段において検出が想定される複数のRGB光のそれぞれについて、予め設定しきい値と対比した良否判定情報を有する判定テーブルを参照して行う判定手段と、
該判定手段が判定した不良品の粒状物を選別する選別手段と、
を有する光学式選別装置において、
前記判定手段は、第一判定テーブル及び第二判定テーブルを有する判定テーブルと、該判定テーブルのうち前記良否判定を行う際に参照する判定テーブルを選択する選択手段と、変更後のしきい値に基づいて、前記良否判定する際に参照されていない判定テーブルについて良否判定情報を再演算して更新する再演算更新手段と、該再演算更新手段によって更新が終了した判定テーブルに切換える切換手段とを備える、という技術的手段を講じた。
【発明の効果】
【0010】
本発明の請求項1によれば、原料粒状物から検出したRGB光に基づいて良否判定を行う際に参照する判定テーブルを二つ設け、しきい値を変更しない平常の選別運転の際には、前記判定テーブルのうち一方を使って良否判定を行い、一方、選別運転中に前記しきい値を変更する際には、変更後のしきい値に基づいて、良否判定に使用していない他方の前記判定テーブルの全組合せについて良否判定情報を全て再演算して更新し、該更新が終了した時点で、当該更新後の判定テーブルに切換えて良否判定(選別運転)を継続して行うので、選別運転を停止させることなくしきい値の変更が可能となり、選別運転効率の低下を防止できる。
【0011】
また、請求項2によれば、選別運転中に前記しきい値を変更する場合には、変更後のしきい値に基づいて、全組合せのうち任意の低解像度の階調分のみを対象として短時間のうちに再演算(更新)して仮の判定テーブルを作成し、この後、該仮の判定テーブルに切換えて良否判定(選別運転)を継続し、さらに、良否判定に使用していない他方の判定テーブルについて、全組合せを再演算(更新)して正式の判定テーブルを作成し、この後、該正式の判定テーブルに切換えて良否判定を継続するので、前述の選別運転を停止することなくしきい値の変更が可能である効果に加えて、仮の判定テーブルの早期作成・切換による、変更後のしきい値の良否判定(選別)への反映がスピーディーになる。また、正式の判定テーブルが完成するとこれに切換えて良否判定がなされるので、しきい値変更前と同様の高解像度による良否判定が行え、微妙な色味の差による良否判定が行える。
【0012】
さらに、請求項3によれば、
前記光学検出手段で検出したRGB光をL*a*b*表色系又はL*u*v*表色系の均等色空間における値に変換する変換手段を設けるとともに、前記判定テーブルは、前記各変換値と前記均等色空間において設定したしきい値とを対比して判定される各良否判定情報から構成することにより、請求項1又は請求項2の作用効果が、均等色空間においても得られる。
【0013】
また、請求項4によれば、
選択手段により、第一判定テーブル又は第二判定テーブルのいずれかを良否判定に参照(使用)する判定テーブルとして選択決定して選別運転を行い、選別運転中に前記しきい値を変更する場合には、再演算更新手段によって、良否判定に使用していない判定テーブルについて良否判定情報を再演算して更新し、切換手段によって、更新が終了した前記判定テーブルに切換えるので、選別運転を停止させることなくしきい値の変更が可能となり、これにより、選別運転効率の低下を防止した光学式選別装置を提供できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
実施例1:
実施例1は、原料粒状物から検出したRGB光に基づいて不良粒(不良品)を判定して行う、いわゆる前記RGB光判定方式の光学式選別装置に関する実施例である。
【0015】
本発明における光学式選別装置1の全体構成を説明する(図1参照)。
【0016】
移送手段:
前記光学式選別装置1は前記原料穀粒の移送手段2を構成する。本実施例では移送手段2としてベルト式コンベア2を用いた。該ベルト式コンベア2は、無端状ベルトを左右の回転軸に架け渡して略水平状とし、前記回転軸の一方にモータ2aの出力を伝達させて回転させるようにして、前記無端ベルトが一方向(矢印Y)に回転するようになっている。前記ベルト式コンベアの上流方向の一端側には、原料供給部3を配設する。該原料供給部3は、原料タンク4と、該原料タンク4の排出口の下方に配設した振動供給部5とからなる。該振動供給手段5は、原料粒状物を振動移送しながら一層状にして前記無端ベルトに供給させる振動移送樋5aと、該振動移送樋5aの底面を支持して振動を与える振動部5bとからなる。なお、前記移送手段については、傾斜状の流下樋からなるシュート方式のものであってもよい。
【0017】
光学検出手段:
前記ベルト式コンベア2の搬送終端部の近傍には、光学検出手段6を配設する。該光学検出手段6は光学部6a,6bから構成し、該光学部6a,6bは、前記ベルト式コンベア2から移送・落下した原料粒状物の落下軌跡Gを挟んだ上方側と下方側の各位置に互いに対向するようにして配設する。前記光学部6a,6bは、それぞれ、前記落下軌跡G上の光学検出位置Pに光を照射する光源7と、受光素子としてのCCD(charge coupled device)センサーを内蔵したCCDカメラ8と、バックグランド(背景板)8aとを有してなる。
【0018】
前記CCDカメラ8は、それぞれ、該CCDカメラ8の光軸が前記光学検出位置Pを通過して他方側のバックグランド(背景板)8aに当接するように調整がなされて配設してある。前記光源7は白色の蛍光灯とする。また、前記CCDセンサーは、RGB(赤緑青)光の受光が可能なフルカラーラインCCDセンサー(2048素子、Siセンサ)とし、前記光学検出位置Pの横一線上を走査するようになっている。なお、CCDカメラ8内には、前記CCDセンサーが検出した光(電圧アナログ信号)を増幅するアンプ(図示ぜず)やアナログ信号をデジタル信号に変換するA/D変換器(図示ぜず)が内蔵されている。
【0019】
選別手段:
前記光学検出位置Pよりも下流側で、かつ、落下軌跡Gに沿った位置には、選別手段としての、高圧エアーを噴風するノズル9が配設してある。該ノズルは、複数が互いに並設して配設してある。また、各ノズルは、高圧エアーの搬送管を介して電磁バルブに接続し、各電磁バルブは高圧エアーの供給源(図示せず)と接続している。各電磁バルブは、後述の噴射駆動回路19からの出力信号によって駆動する。
【0020】
判定手段:(図2参照)
次に、前記CCDカメラ8からの出力信号を処理する信号処理手段(以下、「判定手段」という)10について説明する(図2参照)。該判定手段10は、前記CCDカメラ8に接続した前処理回路11を構成し、該前処理回路11を介して、二値化処理回路12、後処理回路13、演算処理部(CPU)14を順次接続して構成する。また、前記二値化処理回路12には、RAM(書き込み・読み取り兼用記憶部)15を接続し、該RAM15には演算処理部(CPU)16を接続する。該CPU16は、60メガヘルツ動作前後以上のものを使用する。前処理回路11は前記CCDカメラ8からの出力信号に対してノイズ処理等を行うものであり、公知のものを使用する。
【0021】
前記RAM15には予め作成された判定テーブル(詳細は後述)が記憶してあり、前記二値化処理回路12は、前記判定テーブルを参照にして、CCDカメラ8からの出力信号(検出RGB光)について良否判定を行う回路である。なお、前記二値化処理回路12には、後述する切捨て処理プログラムを記憶した記憶部を内蔵する。
【0022】
前記後処理回路13は、前記二値化処理回路12で判定した不良画素が複数連続して塊(群)をなす不良画素群を特定するための回路である。前記演算処理部(CPU)14は、前記後処理回路13で確定した不良画素群を不良粒として認識し、該不良粒を高圧エアー噴風によって選別するために、対応する前記ノズル9(電磁バルブ)を割り当てる回路である。前記演算処理部(CPU)14は、遅延回路を構成し、所定の遅延時間を経た後に選別信号が噴風駆動回路19に送られるようになっている。
【0023】
また、前記二値化処理回路12と前記RAM15とには、前記演算処理部(CPU)18を接続し、前記二値化処理回路12に、RGB光の良否判定するために参照する判定テーブルを前記第1判定テーブル又は第2判定テーブル17のどちらを使うかを指示するようにしてある。しきい値等を設定入力するための入力部20を構成し、前記CPU18は前記入力部20と接続する。
【0024】
判定テーブル:図11参照
前記RAM15に内蔵させる判定テーブル(前記第1判定テーブル又は第2判定テーブル17)を説明する。判定テーブルは、前記CCDカメラ8によって検出が想定される任意の複数の検出光(RGB光)について、予め、それぞれを設定しきい値と対比して良否の判定結果(良品か不良品か)を定めたものである。前記判定テーブルは、検出光(RGB光)の各色の光度(光量)について、R(赤)を例えば255(8ビット(2=256))階調(解像度)、G(緑)を255階調、B(青)を255階調、のようにそれぞれを複数の区分に分け、このR・G・Bの各区分(組合せ)について設定しきい値と対比し、その良否判定結果(良否判定情報)を一覧表にしたものである。本発明の特徴点の一つは、同一の前記判定テーブルを二つ前記RAM15に内蔵させた点にある。説明の便宜上、前記判定テーブルのうち一方を第1判定テーブル16、他方を第2判定テーブル17とする。
【0025】
実施例1の作用:
前記光学式選別装置1の駆動(選別運転)を開始すると、前記原料粒状物は、原料タンク4から振動供給部5を介してベルトコンベア2に流下し、該ベルトコンベア2によって層状にされて移送し、終端部から放出される。放出された原料粒状物は層状のまま前記落下軌跡Gに沿って落下し、前記光学検出位置Pにおいて光学検出される。原料粒状物は前記光学検出位置Pにおいて前記光源(白色の蛍光灯)7からの照射光を受け、前記原料粒状物からのRGB光が、前記CCDカメラ(フルカラーラインCCDセンサー)8によって検出(走査)される。
【0026】
前記CCDカメラ(フルカラーラインCCDセンサー)8は、受光したRGB光の画素単位の電圧アナログ検出信号を増幅して電圧デジタル信号に変換し、前記前処理回路11を介して、順次、画素データが前記二値化処理回路12に送られる。該二値化処理回路12は前記CPU18の指令により、順次送られる各画素データ(RGB光)の良否判定を前記第1判定テーブル16(良否判定情報)を参照して行う。これらの良否判定結果に基づいて、前記後処理回路13は不良画素群を判別して不良粒を認識し、前記CPU14は、前記不良粒に対応した電磁バルブを駆動させるべく所定の遅延時間をおいて前記噴風駆動回路19に駆動信号を出力し、対応したノズル9から高圧エアーを噴風させて当該不良品を選別する。以上が、平常運転(しきい値の変更がない選別運転)の説明である。
【0027】
特徴的な作用(実施例1):図2及び図3参照
STEP1:
選別運転中にしきい値を変更する場合、まず、前記入力部20から前記CPU18に対して新しいしきい値を設定入力する。
STEP2:
次いで、前記CPU18は、前記RAM15に内蔵された、現在良否判定に使用されていない前記第2判定テーブル17の良否判定情報を、全て初期化し、変更後のしきい値と各区分の光度組合せとを対比・再演算して更新する。この再演算中における良否判定(選別運転)は、変更前のしきい値に基づく前記第1判定テーブル16が継続使用される。
【0028】
STEP3:
前記第2判定テーブル17の再演算が全て終了すると、前記CPU18は前記二値化処理回路に対して、参照する判定テーブルを、前記第1判定テーブル16から前記第2判定テーブル17に瞬時に切換えて、変更後のしきい値に基づく判定テーブルによる良否判定(選別運転)が行われる。このように、しきい値を変更する際は、良否判定に使用していない他方の判定テーブルを再演算して更新し、該更新終了後に瞬時に切換えるので、選別運転を停止させることなく、また、選別精度等にも影響がない。よって、選別効率が低下しない。
【0029】
実施例2:
実施例2は、実施例1と同じ前記RGB光判定方式の光学式選別装置に関し、選別運転を停止させることなくしきい値の変更に伴って行う判定テーブルの再演算(更新)方法を、実施例1とは異なる方法で行う実施例である。
【0030】
実施例2の構成は、上述のように判定テーブルの再演算(更新)方法以外については実施例1と同一であるため、その点の説明は省略する。以下、実施例1と異なる特徴的作用等を中心に説明する。
【0031】
特徴的な作用等(実施例2):図4参照
STEP1:
選別運転中にしきい値を変更する場合、まず、実施例1と同様に、前記入力部20から前記CPU18に対して新しいしきい値を設定入力する。この後から、実施例2は実施例1と異なる。
STEP2:
前記CPU18は、前記RAM15に内蔵された、現在良否判定に使用されていない前記第2判定テーブル17について、全ての良否判定情報を初期化するとともに、全255階調(全組合せ)のうち、低解像度の64階調(64の組合せ)についてのみ、変更後のしきい値(新しいしきい値)に基づいて再演算して更新する(図5参照)。この低解像度の64階調の更新は、全255諧調の四分の一の諧調数(組合せ数)の更新であり、また、前記CPU18の処理速度が60メガヘルツ動作で比較的高速であるため、更新が瞬時に終了する。
【0032】
STEP3:
前記第2判定テーブル17の更新が終了すると、前記CPU18は前記二値化処理回路12に切換指令を出し、現在良否判定に使用している第1判定テーブル16(旧しきい値に対応)を第2判定テーブル17(変更後のしきい値に対応して64階調分のみを更新)に切換える。
【0033】
また、この切換指令と同時に、前記CPU18は前記二値化処理回路12に対して指令を出し、前記切捨て処理プログラムを実行する。前記切捨て処理プログラムは、前記二値化処理回路12に順次送られた各画素データ(RGB光)を第2判定テーブル17における変更後のしきい値に対応した64階調に当てはめるために行う処理である。これにより、選別運転(良否判定)は、変更後のしきい値に対応して更新された仮の判定テーブルである第2判定テーブル17(変更後のしきい値に対応して64階調分のみを更新)により、変更後のしきい値に基づいて継続的に行われる。
【0034】
STEP4:
一方、良否判定に使用される判定テーブルが第2判定テーブル17(変更後のしきい値に対応して64階調分のみを更新)に切換えられると、現在良否判定に使用されていない第1判定テーブル16が前記CPU18によって更新される。前記第1判定テーブル16の更新は、全255階調の良否判定情報を初期化するとともに、全255階調(全組合せ)のそれぞれを変更後のしきい値と比較・再演算して行われる(図6参照)。これにより、前記第1判定テーブル16は、全255階調(全組合せ)が変更後のしきい値に対応した正式な判定テーブルとなる。
【0035】
STEP5:
前記第1判定テーブル16(正式)の更新が終了すると、前記CPU18は前記二値化処理回路12に切換指令を出し、現在良否判定に使用している第2判定テーブル17(仮の判定テーブルで変更後のしきい値に対応して64階調分のみを更新)を第1判定テーブル16(正式)に切換えて選別運転(良否判定)を継続する。なお、該切換と同時に、前記切捨て処理プログラムの実行中止指令も出され、順次送られた各画素データ(RGB光)は切捨て処理されることなく、第1判定テーブル16(正式、全255階調分を更新)によって良否判定される。
【0036】
このように、実施例2の判定テーブルの再演算(更新)方法よれば、選別運転中にしきい値を変更する際に、変更後のしきい値に基づいて、二つの判定テーブルのうち、現選別運転中に良否判定に使用されていない方の判定テーブルを、全255階調分の各良否判定情報を変更後のしきい値に基づいて再演算して更新するのではなく、64階調分(低解像度)のみを更新して短時間のうちに仮の判定テーブルを完成し、これに切換えて選別運転を継続し、この後、他方の判定テーブルを全255階調分(高解像度)について更新し、正式な判定テーブルを完成させてこれに切換えて選別運転を継続する。したがって、選別運転中にしきい値を変更した際に、変更後のしきい値が良否判定に早く反映され、しかも、選別運転を停止させることもない。
【0037】
実施例3:
実施例3は、実施例1及び実施例2とは異なり、良・不良の判定を前記均等色空間判定方式によって行う光学式選別装置1において、本発明の判定テーブルの再演算(更新)方法を実施した一例である。
【0038】
実施例1及び実施例2の前記RGB光判定方式は、CCDカメラ8が原料粒状物から検出したRGB光に基づいて良・不良の判定を行うものであった。これに対し、実施例3の前記均等色空間判定方式は、前記RGB光を均等色空間の値に変換し、均等色空間において、しきい値と変換値とを比較して良否判定するものである。なお、均等色空間は、人間の視覚(色感覚)に近いとされる表色系(L*a*b*表色系やL*u*v*表色系)として一般的に知られたものである(CIE(国際照明委員会)が定める)。
【0039】
前記均等色空間判定方式では、CCDカメラ8が原料粒状物から検出したRGB光を、前記均等色空間(L*a*b*表色系やL*u*v*表色系)の値に変換する処理を、実施例1,2と同様の、前記信号処理手段(判定手段)10の前記CPU18で行わせる(図7参照)。該CPU18には、前記RGB光の各画素データを前記L*a*b*表色系(又はL*u*v*表色系)の値に変換するための公知の演算式を内蔵する。前記CPU18には、図7及び図8参照に示すように前記前処理回路11(ノイズ処理等)から、順次、検出したRGB光の各画素データ(電圧デジタル信号=RGB値)が送られ、この後、該RGB値はXYZ値に変換され、次いで、該XYZ値はLab値(L*a*b*表色系の値)に変換される。前記CPU18で演算されたLab値は、順次、前記二値化処理回路12に送られ、該二値化処理回路12は、前記RAM15に内蔵された判定テーブルを参照して良否判定を行う。
【0040】
一方、しきい値は、実施例1,2と同様に、前記入力部20からCPU18に設定できるようにし、該CPU18は、設定しきい値(球状)に基づいて判定テーブルの一方について、全255階調(全組合せ)の良否判定情報(良否判定結果)を演算し、選別運転前における判定テーブルの設定を行う。
【0041】
特徴的な作用(実施例3):
選別運転中にしきい値を変更する場合には、前記実施例1及び実施例2と略同様に、まず、前記入力部20から前記CPU18に対してしきい値の変更を行う(図9参照)。すると、前記CPU18は、前記実施例1のように、良否判定に使用していない他方の判定テーブルを、全255階調について、変更後のしきい値に基づいて再演算して更新し、完成した後に、前記二値化処理回路12に対して当該他方の判定テーブルに切換えて良否判定するように指令を出す。該切換は、瞬時に行われるので、選別運転中に行うことができる。
【0042】
一方、前記CPU18は、前記実施例2の判定テーブルの再演算(更新)方法も実施可能である(図10参照)。すなわち、良否判定に使用していない他方の判定テーブルを前述のようにして仮の判定テーブル(全255階調のうち、64階調分のみを更新)を完成させてこれに切換えて選別運転(良否判定)を継続し、この後に、他方の判定テーブルの全255階調分を再演算しれ各良否判定情報を更新し、この後に当該他方の全諧調の更新が完了した正式の判定テーブルに切換えて選別運転(良否判定)を継続するようにして、変更後のしきい値を早く良否判定に反映させることも可能である。
【図面の簡単な説明】
【0043】
【図1】本発明の光学式選別装置の全体構成を示す。
【図2】実施例1における信号処理手段(判定手段)のブロック図を示す。
【図3】実施例1における判定テーブルの再演算(更新)方法のフローを示す。
【図4】実施例2における判定テーブルの再演算(更新)方法のフローを示す。
【図5】(1)は、本発明において、任意の低解像度の階調分(64階調)における組合せ数を概念的に示した参考図、(2)は、前記任意の低解像度の階調分(64階調)の判定テーブルの概念図を示す。
【図6】(1)は、本発明において、任意の高解像度の階調分(255階調)における組合せ数を概念的に示した参考図、(2)は、前記任意の高解像度の階調分(255階調)の判定テーブルの概念図を示す。
【図7】実施例3における信号処理手段(判定手段)のブロック図を示す。
【図8】RGB光を均等色空間(L*a*b*表色系)に変換する概念図を示す。
【図9】実施例3における判定テーブルの再演算(更新)方法のフローを示す。
【図10】実施例3における判定テーブルの再演算(更新)方法のフローを示す。
【図11】判定テーブルの例である。
【符号の説明】
【0044】
1 光学式選別装置
2 ベルト式コンベア(移送手段)
2a モータ
3 原料供給部
4 原料タンク
5 振動供給部
5a 振動供給樋
5b 振動部
6a 光学検出手段
6b 光学検出手段
7 光源
8 CCDカメラ(フルカラーラインCCDセンサー)
8a バックグランド(背景板)
9 ノズル(選別手段)
10 信号処理手段(判定手段)
11 前処理回路
12 二値化処理回路
13 後処理回路
14 演算処理部(CPU)
15 書き込み・読み込み兼用記憶部(RAM)
16 第1判定テーブル
17 第2判定テーブル
18 演算処理部(CPU)
19 噴風駆動回路
G 落下軌跡
P 光学検出位置
【出願人】 【識別番号】000001812
【氏名又は名称】株式会社サタケ
【出願日】 平成18年11月14日(2006.11.14)
【代理人】
【公開番号】 特開2008−119639(P2008−119639A)
【公開日】 平成20年5月29日(2008.5.29)
【出願番号】 特願2006−308063(P2006−308063)