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【発明の名称】 自走式選別装置
【発明者】 【氏名】田山 稔

【氏名】田村 克己

【氏名】深井 政和

【氏名】小見川 正巳

【氏名】石井 俊久

【要約】 【課題】作業員の選別作業を従来よりも行いやすくすることができる自走式選別装置をを提供する。

【解決手段】作業現場を走行することが可能な自走式の走行体1と、走行体1に設置され、選別作業の対象となる被選別物を載せるようにして搬送するベルトコンベヤ10と、ベルトコンベヤ10の左右のサイドに設けられ、選別作業を行う作業員を配置できるフロア17とを備え、ベルトコンベヤ10で搬送される被選別物をフロア17上の作業員が選別して仕分けをする自走式選別装置において、フロア17を上下方向に移動してフロア17の高さを調整するためのフロア高さ調整用のシリンダ19を設け、フロア高さ調整用のシリンダ19により移動したフロア17の上下方向の位置をフロア支持脚20により固定できるように構成した。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
作業現場を走行することが可能な自走式の走行体と、この走行体に設置され、選別作業の対象となる被選別物を載せるようにして搬送するコンベヤと、このコンベヤの両サイドのうちの少なくとも一方のサイドに設けられ、選別作業を行う作業員を配置できるフロアとを備え、コンベヤで搬送される被選別物をフロア上の作業員が選別して仕分けをする自走式選別装置において、フロアを上下方向に移動するためのフロアの上下方向移動手段を設け、この上下方向移動手段により移動したフロアの上下方向の位置を固定できるように構成したことを特徴とする自走式選別装置。
【請求項2】
作業現場を走行することが可能な自走式の走行体と、この走行体に設置され、選別作業の対象となる被選別物を載せるようにして搬送するコンベヤと、このコンベヤの両サイドのうちの少なくとも一方のサイドに設けられ、選別作業を行う作業員を配置できるフロアとを備え、コンベヤで搬送される被選別物をフロア上の作業員が選別して仕分けをする自走式選別装置において、フロア上の作業員に対して日除け乃至は雨除けの働きをする作業員防護用の覆いを備え付けて着脱可能に設置できるように構成したことを特徴とする自走式選別装置。
【請求項3】
作業現場を走行することが可能な自走式の走行体と、この走行体に設置され、選別作業の対象となる被選別物を載せるようにして搬送するコンベヤと、このコンベヤの両サイドのうちの少なくとも一方のサイドに設けられ、選別作業を行う作業員を配置できるフロアとを備え、コンベヤで搬送される被選別物をフロア上の作業員が選別して仕分けをする自走式選別装置において、被選別物を投入することができ、投入される被選別物を受けてコンベヤへ導くことができるホッパを設置するとともに、コンベヤへ搬入される被選別物をコンベヤの幅方向に分散させるように振り分ける振り分け部材をホッパに付設して構成したことを特徴とする自走式選別装置。
【請求項4】
請求項1乃至請求項3の何れか一つに記載の自走式選別装置において、選別作業時に走行体の側方に下方に傾斜させるように張り出して選別作業による選別物を機外へ導くシュートを作業員の配置場所の傍らに設置し、非選別作業時に、このシュートの上端部側を上昇させることにより、シュートを機内に格納することができるように構成したことを特徴とする自走式選別装置。
【請求項5】
請求項1乃至請求項3の何れか一つに記載の自走式選別装置において、フロアを左右方向に移動するためのフロアの左右方向移動手段を設け、この左右方向移動手段により、フロアをコンベヤに対し左右方向外方に移動して走行体上の有効スペースを横方向に拡大するとともにフロアをコンベヤに対し左右方向内方に移動して横幅を縮小することができるように構成したことを特徴とする自走式選別装置。
【発明の詳細な説明】【技術分野】
【0001】
この出願の各発明は、自走式の走行体と、この走行体に設置され被選別物を載せるようにして搬送するコンベヤと、コンベヤの側方に設けられた、選別作業を行う作業員を配置するためのフロアとを備え、コンベヤで搬送される被選別物をフロア上の作業員が選別して仕分けをする自走式選別装置に関する。
【背景技術】
【0002】
自走式選別装置として、従来、作業現場を走行することが可能な自走式の走行体と、この走行体に設置され、選別作業の対象となる廃棄物等の被選別物を搬送するベルトコンベヤ等のコンベヤと、このコンベヤの両サイド又は一方のサイドに設けられ、選別作業を行う作業員を配置し得るフロアとを備えた装置が知られている。この自走式選別装置は、こうした構造を採用することにより、コンベヤで搬送される被選別物を、コンベヤの傍らのフロア上に配置される作業員が人力により選別、仕分けして、廃棄物等の被選別物の中から、再利用することができる種々の有用な資源を回収できるようにしている。この種の自走式選別装置に関する技術は、例えば、特許文献1に記載されている。
【0003】
ここでは、この特許文献1に記載されている移動式分別コンベア車に係る技術を従来の技術として位置付けて、その技術内容を以下に概説する。また、後に、この特許文献1に記載の技術との関連の下に、本発明が解決しようとする技術的課題にも言及する。
【0004】
この特許文献1に記載されている従来の自走式選別装置としての移動式分別コンベア車は、作業現場を走行することが可能な自走式の走行体としての牽引車と、この牽引車に連結して設置される移動式分別コンベア装置とを設けて構成されている。牽引車は、車輪により自走し、後部に移動式分別コンベア装置を連結するための連結部を有する。また、移動式分別コンベア装置は、この牽引車の連結部に連結するための連結部を前部に有し、後部に走行用車輪を有する荷台と、この荷台上に前後方向に向けて搭載され、被選別物としての廃棄物を搬送する分別用コンベアとを備えている。
【0005】
分別用コンベアの両サイド又は一方のサイドの荷台上面は、分別作業員(選別作業を行う作業員)を配置するためのフロアに使用して、複数の分別作業員が乗るためのそれぞれのスペースを確保するようにしている。分別用コンベアには、ベルトコンベヤのような被選別物を載せるようにして搬送するタイプのコンベヤを使用し、これにより、分別作業員がコンベヤ上を眺めて、被選別物の中から種々の材料を目視により識別し、拾い上げることができるようにしている。分別作業員配置用の各フロアの脇には、分別作業員が選別した所定の選別物を投入して機外の所定個所に導き出すめの投入用ガイド筒のような選別物の排出手段をそれぞれ付設している。
【0006】
この従来の自走式選別装置は、このような構造を備えているので、廃棄物の選別予定場所に自走して位置決めした後、分別用コンベアの後部に廃棄物を搬入すると、この廃棄物は、分別用コンベアで前方に搬送され、同コンベアの傍らの複数の分別作業員は、その廃棄物の中から種々の有用な資源をそれぞれ分担して選別する。各分別作業員は、これらの選別された各選別物を自己の傍らの各選別物の排出手段に投入するが、この投入された各選別物は、この排出手段に導かれてコンテナ等の機外の所定個所に搬出され、その結果、廃棄物の中から選り分けられた種々の有用な資源が仕分けされることとなる。
【0007】
この従来の自走式選別装置は、分別作業員が被選別物の仕分けをするようにしていて人手により選別作業を行うため、例えば、建設廃材のような多様な材料が混じり合った被選別物であっても、種々の有用な資源を適切に選別して回収することができる。また、走行体で自走できるため、作業現場を走行して廃棄物の発生現場や集積場に接近して、選別作業に好都合な場所に容易に位置決めすることができる。さらに、この自走式選別装置は、分別用コンベアや前記選別物の排出手段等の付帯設備を移動式分別コンベア装置として予め組み立ててあるため、コンベヤや付帯設備を廃棄物の選別予定場所のそばへ持ち運んで組み立てるための手間や時間を要せず、能率的に設置することができる。
【特許文献1】特開2003ー145058号公報(2−4頁、図1−5)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
この従来の自走式選別装置は、こうした種々の使用上の利点を有するが、建設廃材のような多様な材料が混じり合った被選別物でも選別できるようにする必要上、人手により選別作業を行う方式を採用していることから、野外での手作業による長時間労働を行わなければならず、作業員の作業負担が非常に大きい。こうしたことから、作業員の選別作業を少しでも行いやすくして作業員の作業負担を軽減することが、きわめて重要なテーマとなるが、従来の自走式選別装置では、こうしたことについて、ほとんど配慮がなされていない。この種の自走式選別装置において、作業員が選別作業を行いやすくするために改善すべき事項は多種多様であるが、代表的な三つの事項を以下に言及する。
【0009】
まず、改善すべき第1の事項について述べる。この選別作業は、コンベヤの傍らの作業員がフロア上に乗りながら、コンベヤ上の被選別物の中から所定の選別物を拾い上げて選別することから、作業員の選別作業が円滑に行えるか否かは、コンベヤに対するフロアの相対的な高さにより左右される。そのため、作業員が乗るフロアのコンベヤに対する相対的な高さを適切に設定できるようにして作業員の選別作業をできるだけ行いやすくすることが望ましい。そして、例えば、作業員が分担する選別作業の種類や作業員の身長等の各作業員の作業条件に大差がない場合には、選別作業が作業員全員にとってできるだけ行いやすくなるように、作業員が乗るフロアの高さを適切に設定することが望ましい。
【0010】
一方、作業員が分担する選別作業の種類や作業員の身長等によっては、コンベヤの高さとの関係上、選別作業が極度に行いにくくなる作業員が生じることがある。例えば、作業員の中に、重い選別物を拾い上げる重労働の選別作業を分担する者がいる場合において、作業員に対するコンベヤの相対的な高さが重量物を拾い上げる上で高過ぎるときには、重い選別物を拾い上げて投入用ガイド筒等の選別物の排出手段に投入する作業が非常に行いにくくなる。それゆえ、このようなときには、この重労働の選別作業を分担する作業員の作業を行いやすくすることを優先して、作業員に対するコンベヤの相対的な高さを低くするようにコンベヤに対するフロアの高さを高めに位置決めし、これにより、重量物を持ち上げやすくすることが望ましいことがある。
【0011】
また、作業員の中に、身長が特に低い作業員がいる場合には、コンベヤに対するフロアの高さを他の作業員の身長に合わせて設定すると、その身長が低い作業員は、選別作業が非常に行いにくくなる。それゆえ、このような場合には、作業員に対するコンベヤの相対的な高さを低くするようにコンベヤに対するフロアの高さを高めに位置決めして、これにより、身長が低い作業員の選別作業に支障が生じないようにすることが望ましいこともある。こうしたことから、第1に、必要に応じて、コンベヤに対するフロアの相対的な高さを適切に設定できるようにして作業員の選別作業を行いやすくすることが望まれる。
【0012】
次に、改善すべき第2の事項について述べる。自走式選別装置での選別作業は、通常、野外で実施されるため、従来の自走式選別装置によっては、作業員が、晴天時には直射日光にさらされ、雨天時には雨にさらされることとなる。そして、こうした選別作業は、通常、長時間行われ、何日も継続して行われることもあるため、気候条件によっては、作業員に過大な肉体的負担を負わせることとなり、場合によっては、作業員の健康を害することもある。こうしたことから、第2に、日光や雨から作業員を防護して作業環境を改善することにより、作業員の選別作業を行いやすくすることが望まれる。
【0013】
最後に、改善すべき第3の事項について述べる。従来の自走式選別装置は、選別作業を行うときにコンベヤの搬入側からかなりの量の被選別物を連続的に供給するため、被選別物がコンベヤ上に常に均一に分散されて搬送されるとは限らない。しかるに、被選別物がコンベヤ上に幅方向において均一に分散されずに、コンベヤ上の特定の個所に固まって搬送されると、作業員は、このままの状態では、コンベヤ上の被選別物の中から所定の選別物を見分けることが困難となって、選別作業を円滑に行うことができなくなる。こうしたことから、第3に、選別作業時に被選別物をコンベヤで搬送する場合に、被選別物をコンベヤの幅方向に分散させて搬送するようにすることにより、作業員の選別作業を行いやすくすることが望まれる。
【0014】
この出願の各発明は、こうした各種の要求にそれぞれ応えて創作されたものであり、これらの各発明の技術的課題は、何れも、作業員の選別作業を従来よりも行いやすくすることができる自走式選別装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0015】
こうした技術的課題を達成するため、この出願の第1番目の発明に係る自走式選別装置では次の1)のように構成し、この出願の第2番目の発明に係る自走式選別装置では次の2)のように構成し、この出願の第3番目の発明に係る自走式選別装置では次の3)のように構成した。
【0016】
1)作業現場を走行することが可能な自走式の走行体と、この走行体に設置され、選別作業の対象となる被選別物を載せるようにして搬送するコンベヤと、このコンベヤの両サイドのうちの少なくとも一方のサイドに設けられ、選別作業を行う作業員を配置できるフロアとを備え、コンベヤで搬送される被選別物をフロア上の作業員が選別して仕分けをする自走式選別装置において、フロアを上下方向に移動するためのフロアの上下方向移動手段を設け、この上下方向移動手段により移動したフロアの上下方向の位置を固定できるように構成した。
【0017】
2)作業現場を走行することが可能な自走式の走行体と、この走行体に設置され、選別作業の対象となる被選別物を載せるようにして搬送するコンベヤと、このコンベヤの両サイドのうちの少なくとも一方のサイドに設けられ、選別作業を行う作業員を配置できるフロアとを備え、コンベヤで搬送される被選別物をフロア上の作業員が選別して仕分けをする自走式選別装置において、
フロア上の作業員に対して日除け乃至は雨除けの働きをする作業員防護用の覆いを備え付けて着脱可能に設置できるように構成した。
【0018】
3)作業現場を走行することが可能な自走式の走行体と、この走行体に設置され、選別作業の対象となる被選別物を載せるようにして搬送するコンベヤと、このコンベヤの両サイドのうちの少なくとも一方のサイドに設けられ、選別作業を行う作業員を配置できるフロアとを備え、コンベヤで搬送される被選別物をフロア上の作業員が選別して仕分けをする自走式選別装置において、
被選別物を投入することができ、投入される被選別物を受けてコンベヤへ導くことができるホッパを設置するとともに、コンベヤへ搬入される被選別物をコンベヤの幅方向に分散させるように振り分ける振り分け部材をホッパに付設して構成した。
【0019】
前記1)のように構成したこの出願の第1番目の発明に係る自走式選別装置では、フロアの上下方向移動手段を設けて、この上下方向移動手段により移動したフロアの上下方向の位置を固定できるように構成しているので、必要に応じて、フロアの上下方向移動手段によりフロアを上下方向に移動してフロアの上下方向の位置を固定することにより、コンベヤに対するフロアの相対的な高さを調節することができる。そのため、選別作業を行う際に、各作業員が分担する選別作業の種類や各作業員の身長等を考慮しながらコンベヤに対するフロアの相対的な高さを調節することにより、選別作業が作業員全員にとってできるだけ行いやすくなるようにフロアの高さを設定したり、選別作業が極度にやりにくくなる作業員が生じないようにフロアの高さを設定したりすることができる。このように、本発明に係る自走式選別装置によれば、コンベヤに対するフロアの相対的な高さを適切に設定することにより、作業員の選別作業を行いやすくすることができる。
【0020】
前記2)のように構成したこの出願の第2番目の発明に係る自走式選別装置では、フロア上の作業員に対して日除け乃至は雨除けの働きをする作業員防護用の覆いを備え付けて着脱可能に設置できるように構成しているので、この備付けの作業員防護用の覆いを晴天時や雨天時に設置することにより、作業員が直射日光にさらされたり、雨にさらされたりすることを防ぐことができる。このように、本発明に係る自走式選別装置によれば、日光や雨から作業員を防護して作業環境を改善することにより、作業員の選別作業を行いやすくすることができる。
【0021】
前記3)のように構成したこの出願の第3番目の発明に係る自走式選別装置では、投入される被選別物をコンベヤへ導き得るホッパを走行体に設置してこのホッパに振り分け部材を付設しているので、コンベヤへ搬入される被選別物をコンベヤの幅方向に分散させることができる。その結果、コンベヤへ載せられる被選別物は、コンベヤ上の特定の個所に固まって搬送されることなく、高さがコンベヤの幅方向において従来よりも均一になるように散らばって搬送されることとなり、これにより、コンベヤ上の被選別物の中から所定の選別物を見分ける選別作業が従来よりも容易に行えるようになる。このように、本発明に係る自走式選別装置によれば、選別作業時に被選別物をコンベヤで搬送する場合に、被選別物をコンベヤの幅方向に分散させて搬送するようにすることにより、作業員の選別作業を行いやすくすることができる。以上のように、この出願の第1番目乃至第3番目の何れの発明によっても、作業員の選別作業を従来よりも行いやすくすることができる。
【発明の効果】
【0022】
以下の説明から明らかなように、この出願の第1番目の発明に係る自走式選別装置は、前記〔課題を解決するための手段〕の項中の1)に示したように構成しているので、コンベヤに対するフロアの相対的な高さを適切に設定することにより、作業員の選別作業を行いやすくすることができる。この出願の第2番目の発明に係る自走式選別装置は、同項中の2)に示したように構成しているので、日光や雨から作業員を防護して作業環境を改善することにより、作業員の選別作業を行いやすくすることができる。この出願の第3番目の発明に係る自走式選別装置は、同項中の3)に示したように構成しているので、選別作業時に被選別物をコンベヤで搬送する場合に、被選別物をコンベヤの幅方向に分散させて搬送するようにすることにより、作業員の選別作業を行いやすくすることができる。このように、この出願の第1番目乃至第3番目の何れの発明によっても、従来よりは作業員の選別作業を行いやすくすることができる。
【0023】
この出願の第1番目乃至第3番目の発明の何れかに係る自走式選別装置を具体化する場合に、特に、請求項4に記載のように具体化すれば、選別作業時には、作業員は、傍らに設置されたシュートを走行体の側方に下方に傾斜させるように張り出すことにより、選別作業による選別物を投入して機外へ導くことができる。その結果、作業員は、ほとんど移動をすることなく選別作業を行うことができ、これにより、選別作業を能率的に行うことができる。一方、非選別作業時には、シュートの上端部側を上昇させることにより、シュートを機内に格納することができる。したがって、シュートは、使用の必要がなくなったときには、走行体上の有効空間を狭めないように簡単な操作で片付けることができ、手狭な走行体上の空間を有効利用することができるとともに、自走する際や輸送車で輸送する際には、邪魔にならないようにすることができる。
【0024】
この出願の第1番目乃至第3番目の発明の何れかに係る自走式選別装置を具体化する場合に、特に、請求項5に記載のように具体化すれば、フロアを左右方向に移動するためのフロアの左右方向移動手段を設けることとなるため、選別作業を行う際には、このフロアの左右方向移動手段を用いてフロアを左右方向外方へ移動することにより、走行体上の有効スペースを横方向へ拡大して作業員用スペース等を確保することができる。また、非選別作業時には、フロアの左右方向移動手段を用いてフロアを左右方向内方へ移動することにより、自走式選別装置の横幅を、移動の障害にならないように縮小することができて、自走式選別装置を作業現場で自走させたり、トラック、トレーラ等の輸送車で輸送したりする作業を円滑に行うことができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0025】
以下、この出願の第1番目、第2番目及び第3番目の発明が実際上どのように具体化されるのかを図1乃至図10を用いて説明することにより、この出願の各発明を実施するための望ましい形態を明らかにする。
【0026】
図1は、この出願の発明の自走式選別装置の側面図であって選別作業を行うときの状態を示す図、図2は、図1の自走式選別装置の平面図、図3は、図1の自走式選別装置の背面図、図4は、図1の自走式選別装置を断面線Aで切断して矢印方向に見た断面図、図5は、図1の自走式選別装置を断面線Bで切断して矢印方向に見た断面図、図6は、この出願の発明の自走式選別装置の側面図であって自走式選別装置を運搬するときの状態を示す図、図7は、図6の自走式選別装置の平面図、図8は、図6の自走式選別装置の背面図、図9は、図6の自走式選別装置を断面線Aで切断して矢印方向に見た断面図、図10は、図6の自走式選別装置を断面線Bで切断して矢印方向に見た断面図である。
【0027】
本明細書では、自走式選別装置の前後及び左右を特許文献1の記載に準じて定めることとする。すなわち、自走式選別装置の走行方向を前後方向として、この走行方向の前進側を前、後退側を後とする。したがって、自走式選別装置を走行方向の前進側からみた面が正面となり、走行方向の後退側からみた面が背面となる。また、自走式コンベヤ装置の走行方向に直行する方向を左右方向とする。
【0028】
最初に、ベルトコンベヤ10及びホッパ11等の選別装置並びに自走式の走行体1に関連する構造等、自走式選別装置のベースをなす構造について説明する。
【0029】
図1乃至図10において、1は種々の選別作業の作業現場を走行することが可能なクローラで走行する自走式の走行体、2はこの走行体1上に設置される諸装置の基盤としての役割をなす第1のベースフレーム、3は同様に基盤としての役割をなし第1のベースフレーム2上に後方に張り出すように設置された第2のベースフレーム、4は第1のベースフレーム2上に前方に突出するように突設された第3のベースフレーム、5は第2のベースフレーム3上に間隔を置いて設置された選別装置支持用のフレーム、6は第2のベースフレーム3を後方に延長するようにその後端部に固着された延長フレーム、7は第2のベースフレーム3の前端部に立設された支柱である。
【0030】
自走式の走行体として、ここではクローラで走行する走行体1を示しているが、自走式の走行体は、ホイールにより走行する走行体であってもよく、その種類は問わない。第1のベースフレーム2は、後述するパワーユニット8、運転席9等を設置するためのベースとなる。第2のベースフレーム3は、後述するベルトコンベヤ10、ホッパ11及び磁選機12を設けて構成された選別装置を設置するためのベースとなる。第3のベースフレーム4は、この第2のベースフレーム3と協働してベルトコンベヤ10を設置するためのベースとなる。これらのベースフレーム2,3,4は、走行体1の上部のフレームをなす。選別装置支持用のフレーム5は、前記のベルトコンベヤ10、ホッパ11、磁選機12を設けて構成された選別装置やフロア17等を支持する働きをする。この選別装置支持用のフレーム5は、後方側を延長フレーム6で支持し、前端部を支柱7で支持して、第2のベースフレーム3上に間隔が設けられるように設置する。
【0031】
8は油圧を発生させるための油圧ポンプやこれを駆動するエンジン、作動油タンク、燃料タンク、コントロールバルブ等を内蔵しているパワーユニット、9は走行体1やベルトコンベヤ10の操縦等、自走式選別装置の操縦を行う運転席、10は走行体1上に支持され、選別作業の対象となる被選別物を載せるようにして搬送するベルトコンベヤ、11は廃棄物等の被選別物を投入することができ同被選別物をベルトコンベヤ10の搬入側に導くホッパ、12は鉄クズ等の磁性体を吸着して選別する磁選機、13は第3のベースフレーム4に立設されてベルトコンベヤ10を支持する第1のコンベヤ用支柱、14は選別装置支持用のフレーム5の前端部に立設されてベルトコンベヤ10を支持する第2のコンベヤ用支柱、15は選別装置支持用のフレーム5上の後端部に後方に突出するように設置されベルトコンベヤ10を支持するコンベヤ用支持構造物である。
【0032】
パワーユニット8は、走行体1の第1のベースフレーム2の前端側に配置されている。このパワーユニット8は、油圧ポンプ、エンジン、作動油タンク、燃料タンク等の自走式選別装置の駆動に必要な主要な機器を設置しているため、質量がきわめて大きい。ところで、ベルトコンベヤ10やホッパ11や磁選機12は、走行体1の後端から遠く後方に張り出すように設けられたコンベヤ用支持構造物15で支持されており、かつ、それらの重量もきわめて大きいため、走行体1を後側へ倒そうとする転倒モーメントが作用する。ここに示す例では、こうした問題に対応して、コンベヤ用支持構造物15とは正反対の第1のベースフレーム2の前端側に、質量がきわめて大きい前記パワーユニット8を設置しており、これにより、パワーユニット8がカウンタウエイトの働きをして、選別作業時や走行時において自走式選別装置が転倒するのを防止することができる。
【0033】
ベルトコンベヤ10は、これの骨組みをなすコンベヤフレームと、モータにより回転駆動されてベルトをターンさせつつ移動させる駆動プーリと、この駆動プーリが移動させるベルトをターンさせるように案内する従動プーリと、これらの駆動プーリ及び従動プーリに無端状に掛け回されて駆動プーリの駆動により循環運動をするベルトとを設けて構成されている。このベルトコンベヤ10は、第1のコンベヤ用支柱13、第2のコンベヤ用支柱14及びコンベヤ用支持構造物15により、パワーユニット8の頂部に接触しないような高さをもって走行体1上に略水平に支持されている。ベルトコンベヤ10の駆動プーリは、油圧を動力源として油圧モータで駆動するようにしている。その場合、この油圧モータへ供給する圧油の流量をフローコントロールバルブ(流量制御弁)等で調整することにより油圧モータの回転を変速することができるようにし、これにより、選別作業の種類等に応じてベルトコンベヤ10の駆動速度を適切に調整できるようにしている。
【0034】
ベルトコンベヤ10は、自走式選別装置近傍の既存の発電機や商用電源を動力源として駆動するようにしてもよい。また、本自走式選別装置と併用される他の建設装置等、自走式選別装置近傍の機械、装置、設備等から動力の供給を受けられるようにすることができる。これら何れの場合にも、ベルトコンベヤ10の速度を変速できるようにするためのコンベヤ速度可変装置(インバータ等)を設ける。この出願の発明を実施する場合、このベルトコンベヤ10は、被選別物を載せるようにして搬送するタイプのコンベヤであれば、他のコンベヤであってもよく、要は、作業員がコンベヤ上を眺めて被選別物の中から種々の材料を識別できるようなタイプのコンベヤであれば、コンベヤの種類は問わない。
【0035】
こうしたタイプのコンベヤに載せられる被選別物の高さは、作業員が選別作業を円滑に行えるようにするため、コンベヤの幅方向においてできるだけ均一になるようにすることが望ましいが、そのための手段については、後に詳述する。ホッパ11は、ベルトコンベヤ10のベルトの直上位置に配置されてコンベヤフレームにより支持されている。被選別物中に粉状体が相当量混入している場合、被選別物の搬送中に粉状体が風等により飛散して作業環境を悪化させる恐れがあるが、こうした事態の発生を防ぐため、ベルトコンベヤ10の搬入側やホッパ11内に散水するための散水ノズルを付設するとよい。
【0036】
磁選機12は、ベルトコンベヤのように駆動プーリと従動プーリと両プーリに無端状に掛け回されて循環運動をするベルトとを備えており、鉄クズ等の磁性体をベルトで吸着するとともに適当な個所で分離して後述するシュート等の選別物の排出手段へ導入し得るように構成している。こうした磁選機12を、図1及び図3に示すように、これのベルトがベルトコンベヤ10を横断して移動するように同コンベヤ10上に間隔を置いて配置している。その場合、ホッパ11からベルトコンベヤ10に搬入された被選別物について、作業員が選別作業する前に磁選機12による磁性体の選別が行われるようにして作業員の選別作業の負担を少しでも軽減するため、磁選機12は、ホッパ11の前方(下流側)でかつ作業員配置用のフロアの後方に配置する。この磁選機12は、コンベヤ用支持構造物15上に着脱可能に支持されるが、そのための支持手段については、後に詳述する。
【0037】
次に、この出願の各発明に関連する構造等、本自走式選別装置の特徴的な事項について説明する。
【0038】
図1乃至図10において、16は選別装置支持用のフレーム5上に間隔を置いて設置されフロア17が設置されるフロア設置用フレーム、17はベルトコンベヤ10のサイドに設けられ選別作業を行う作業員が配置されるフロア、18はフロア17を左右方向に移動させるためのフロアの左右方向移動手段としての油圧駆動のフロア横移動用のシリンダ、19はフロア設置用フレーム16を上下方向に移動させることによりフロア17を上下方向に移動してフロア17の高さを調整するためのフロアの上下方向移動手段としての油圧駆動のフロア高さ調整用のシリンダ、20はこのフロア高さ調整用のシリンダ19により移動したフロア17の上下方向の位置を固定するように支持するフロア支持脚である。
【0039】
フロア17は、フロア設置用フレーム16上に載置されるようにして、ベルトコンベヤ10の左右両サイドに横移動可能に設けられており、図2に示すように、これら左右のフロア17上には、それぞれ、選別作業の作業員を配置するための作業員用スペース16a(作業員の配置場所)を3個所ずつ確保している。これら左右の各フロア17は、図5及び図10に示すように、それぞれ、フロア設置用フレーム16上に固定した左右のフロア横移動用のシリンダ18に取り付けられている。すなわち、左右の各フロア17に、左右の各フロア横移動用のシリンダ18のロッド側をそれぞれ取り付けるとともに、これら左右の各フロア横移動用のシリンダ18のボトム側をフロア設置用フレーム16上の中央部に固定している。
【0040】
したがって、左右の各フロア17は、左右の各フロア横移動用のシリンダ18を伸ばすと、フロア設置用フレーム16上をそれぞれ横方向外方へ移動して、図2乃至図5に示すように走行体1上の有効スペースを横方向へ拡大することができる。また、左右の各フロア横移動用のシリンダ18を縮めると、左右の各フロア17は、フロア設置用フレーム16上をそれぞれ横方向内方へ移動して、図7乃至図10に示すように自走式選別装置の横幅を縮小することができる。図に示す例では、作業員を配置するためのフロア17を左右両サイドに設けているが、左右一方のサイドにだけ設けるようにすることもできる。
【0041】
フロア高さ調整用のシリンダ19は、フロア設置用フレーム16の前後方向及び左右方向の中央部に配置され、図4及び図9に示すように、下側のボトム側を選別装置支持用のフレーム5やベースフレーム2,3に取り付けて固定しており、上側のロッド側をフロア設置用フレーム16に固定している。したがって、このフロア高さ調整用のシリンダ19を伸ばすと、フロア設置用フレーム16を図1、図4及び図5に示すように上昇させてフロア17の高さを最も高くすることができる。また、フロア高さ調整用のシリンダ19を縮めると、フロア設置用フレーム16を図6、図9及び図10に示すように下降させてフロア17の高さを最も低くすることができる。フロア17の高さは、フロア高さ調整用のシリンダ19の伸縮量を調節することにより多段階(図に示す例では3段階)に調整することができる。
【0042】
フロア支持脚20は、図1、図3及び図4や図6、図8及び図9に示すように、フロア設置用フレーム16の前端部、中央部及び後端部にそれぞれ一対ずつ左右に設けられている。そして、これらの各フロア支持脚20は、上端部をフロア設置用フレーム16に固着し、下端部を選別装置支持用のフレーム5に穿設した孔に挿通しており、フロア設置用フレーム16をフロア高さ調整用のシリンダ19により昇降させると、同フレーム16に随伴して昇降する。各フロア支持脚20には、多数のピン孔(図に示す例では3個のピン孔)を穿設しているとともに、選別装置支持用のフレーム5にも、対応する位置にピン孔を穿設している。
【0043】
したがって、この選別装置支持用のフレーム5のピン孔とフロア支持脚20のピン孔の何れかとにピンを挿通することにより、フロア設置用フレーム16の上下方向の位置を固定することができる。そして、ピンを挿通するフロア支持脚20のピン孔を選択することにより、固定するフロア設置用フレーム16の上下方向の位置を多段階に固定することができる。したがって、フロア17の高さは、フロア高さ調整用のシリンダ19の伸縮量を調節することにより、フロア支持脚20側のピン孔の数に応じた段階数だけ調整することができる。
【0044】
ところで、フロア設置用フレーム16は、フロア17の高さの調整後に不可避的に生じるフロア高さ調整用のシリンダ19からの圧油の漏洩により下降するため、フロア17の高さが時の経過により低くなる。このフロア支持脚20は、前記のようにフロア設置用フレーム16の上下方向の位置をピンで固定することにより、高さ調整を済ませたフロア17を下降しないように支持する働きをしてフロア17の高さ位置を常に正確に保持する。また、フロア17は、フロア高さ調整用のシリンダ19で高さ調整した後は、専らフロア支持脚20により支持されるので、高価なフロア高さ調整用のシリンダ19の設置本数を必要最小限(ここに示す例では1本)に押さえることができて経済的である。
【0045】
このように、本自走式選別装置では、フロア高さ調整用のシリンダ19を設けてこのフロア高さ調整用のシリンダ19によりフロア17を上下方向に移動した後、移動したフロア17の上下方向の位置をフロア支持脚20により固定できるように構成しているので、必要に応じて、フロア高さ調整用のシリンダ19によりフロア17を上下方向に移動してフロア支持脚20で位置固定することにより、ベルトコンベヤ10に対するフロア17の相対的な高さを調節することができる。すなわち、作業員に対する選別作業時のベルトコンベヤ10の高さを調節することができる。
【0046】
そのため、選別作業を行う際に、各作業員が分担する選別作業の種類や各作業員の身長等を考慮しながらベルトコンベヤ10に対するフロア17の相対的な高さを調節することにより、選別作業が作業員全員にとってできるだけ行いやすくなるようにフロア17の高さを設定したり、選別作業が極度にやりにくくなる作業員が生じないようにフロア17の高さを設定したりすることができる。このように、本自走式選別装置によれば、ベルトコンベヤ10に対するフロア17の相対的な高さを適切に設定することにより、作業員の選別作業を行いやすくすることができる。
【0047】
ここに示す例では、左右のフロア17の高さを同じ高さに調整するようにしているが、フロア設置用フレーム16を左右に二分割するともとに、二分割された左右のフロア設置用フレーム16にそれぞれフロア高さ調整用のシリンダ19を設けて、フロア17の高さを左右別個に調整するようにすることもできる。また、左右のフロア17を前後に分割した上で、こうした方法に準じて、フロア設置用フレーム16を前後に分割するとともにフロア高さ調整用のシリンダ19を複数設けることにより、フロア17の高さを前後別個に調整するようにすることもできる。
【0048】
一方、本自走式選別装置では、フロア17を左右に横移動させることができる油圧駆動のフロア横移動用のシリンダ18を設けているので、選別作業を行う際には、フロア横移動用のシリンダ18を伸ばして左右のフロア17をそれぞれ横方向外方へ移動することにより、図2乃至図5に示すように走行体1上の有効スペースを横方向へ拡大して、後述する通路24のほか、作業員用スペース16aを確保することができる。また、非選別作業時には、フロア横移動用のシリンダ18を縮めて左右のフロア17をそれぞれ横方向内方へ移動することにより、図7乃至図10に示すように自走式選別装置の横幅を、移動の障害にならないように縮小することができて、作業現場を自走させたり、トラック、トレーラ等の輸送車で輸送したりする作業を円滑に行うことができる。
【0049】
21は選別作業時に走行体1の側方に下方に傾斜させるように張り出して選別作業による選別物を機外へ導くシュート、22はベルトコンベヤ10の側方にガイド手段で案内されて上下方向に移動可能に立設され上端部にシュート21を揺動可能に枢着したシュート枢着部材、23はシュート21に投入された選別物を導入して貯留するコンテナ、24は選別作業時でも作業員等が通行できるようにするための通路、25はシュート21を通すことができる水平方向の隙間ができるように鋼線等の線状部材により形成され通路24の外側に立設された手摺りである。
【0050】
シュート21は、図4及び図5に示すように、選別作業時には手摺り25の隙間に通されながら下方に傾斜するようにして走行体1の側方に張り出しており、下端側の選別物の排出部をコンテナ23の上部開口上に位置させる。図に示す例では、こうしたシュート21を、作業員用スペース16aに対応してベルトコンベヤ10の左右両サイドにそれぞれ三つずつ設けてその作業員用スペース16aの傍らに配置している。シュート枢着部材22は、下降させた位置(図4及び図5参照)及び上昇させた位置(図9及び図10参照)において適宜の手段により位置固定できるように構成されている。
【0051】
シュート21をこうしたシュート枢着部材22に枢着して設置しているので、選別作業を行う際に、図4及び図5に示すように、左右の各フロア17を横方向外方へ移動した上でシュート21を手摺り25の隙間に通しながらシュート枢着部材22を下降させると、シュート21は、外側へ下方に傾斜して使用状態にセットされる。しかる後、シュート枢着部材22をこの下降させた位置に位置固定する。また、非選別作業時には、このような状態にセットされたシュート枢着部材22を上昇させると、シュート21の下端側が手摺り25の隙間をくぐり抜けて手摺り25の内側に入り、シュート21は、図9及び図10に示すように、機内に引っ込められて、シュート枢着部材22に沿うような状態で立てられる。しかる後、シュート枢着部材22をこの上昇させた位置に位置固定する。図9及び図10には、このようにしてシュート21を不使用状態にセットした後、左右の各フロア17を横方向内方へ移動して自走式選別装置の横幅を縮小させた状態を図示している。
【0052】
本自走式選別装置は、このような構造を備えているので、選別作業時には、作業員は、傍らに設置されたシュート21を走行体1の側方に下方に傾斜させるように張り出して、選別作業による選別物をシュート21に投入して機外へ導くことができる。その結果、作業員は、ほとんど移動をすることなく選別作業を行うことができ、これにより、選別作業を能率的に行うことができる。一方、非選別作業時には、シュート21の上端部側を上昇させることにより、シュート21を機内に引っ込めて立てることができ、その結果、シュート21を機内に格納することができる。したがって、シュート21は、使用の必要がなくなったときには、走行体1上の有効空間を狭めないように簡単な操作で片付けることができて、手狭な走行体1上の空間を有効利用することができるとともに、作業現場を自走する際や輸送車で輸送する際には、シュート21が邪魔にならないようにすることができる。
【0053】
手摺り25は、下方の手摺り25aの上に上方の手摺り25bを上下方向に摺動させて適宜の手段により上下の位置で位置固定できるように設けて構成している。本自走式選別装置は、こうした構造を採用することにより、選別作業時には、図1及び図3乃至図5に示すように上方の手摺り25bを上方に移動して位置固定し、これにより、通路24を通行する者の安全が図れるように手摺り25を高くすることができる。また、非選別作業時には、図6及び図8乃至図10に示すように上方の手摺り25bを下方に移動して位置固定し、これにより、自走式選別装置の高さを、移動の障害にならないように低くすることができて、作業現場を自走させたり、トラック、トレーラ等の輸送車で輸送したりする作業を円滑に行うことができる。ちなみに、地面から手摺り25の頂部までの高さは、自走式選別装置を輸送する上で2700mm以下にする必要がある。
【0054】
26は通路24の前端付近の前後方向位置において走行体1の走行サイドフレーム1a上に着脱可能に立設して作業員が通路24の高さまで登れるように架けられた昇降用ステップとしての下梯子、27はフロア設置用フレーム16に取り付けられベルトコンベヤ10よりも若干高い位置まで架けられた上梯子、28は上梯子27に連結して後記簡易屋根29を支持する屋根用の支柱部材、29はフロア17上の作業員に対して日除け乃至は雨除けの働きをする作業員防護用の覆いとしての簡易屋根である。
【0055】
下梯子26は、自走式選別装置の輸送時等の非選別作業時には、走行サイドフレーム1aから取り外されて別途保管される。上梯子27は、互いに平行な左右一対の長尺縦部材と、これら一対の長尺縦部材を連結する足掛け部としての複数の横部材とで構成され、フロア設置用フレーム16の四隅にそれぞれ立設されている。屋根用の支柱部材28は、上梯子27の一対の長尺縦部材と同様の間隔を置いて互いに平行に配置された左右一対のロッド状部材で構成されている。上梯子27の一対の長尺縦部材は、何れも中空に形成されており、これら一対のの中空部に、屋根用の支柱部材28をなす一対のロッド状部材が上下方向に摺動可能に挿入されている。
【0056】
この屋根用の支柱部材28は、図1及び図3に示すように、一対のロッド状部材を上昇させて、その下端部を上梯子27の一対の長尺縦部材の上端部に適宜の手段により位置固定したり、図6及び図8に示すように、一対のロッド状部材を下降させて長尺縦部材の中空部に格納したりすることができるようになっている。簡易屋根29は、例えば、運動会のときに使用されるテントのような部材を使用する。この簡易屋根29は、4個の屋根用の支柱部材28を、図1及び図3に示すように上昇させてフロア設置用フレーム16の四隅の上梯子27にそれぞれ固定した状態において、各支柱部材28の上端部に着脱可能に取り付けられる。
【0057】
本自走式選別装置は、このように、作業員防護用の覆いとしての簡易屋根29を備え付けて着脱可能に設置できるように構成しているので、この備付けの簡易屋根29を晴天時や雨天時に設置することにより、作業員が直射日光にさらされたり、雨にさらされたりすることを防ぐことができる。このように、本自走式選別装置によれば、日光や雨から作業員を防護して作業環境を改善することより、作業員の選別作業を行いやすくすることができる。また、非選別作業時等の簡易屋根29の不使用時には、図6及び図8に示すように格納して邪魔にならないようにすることができる。
【0058】
磁選機12をコンベヤ用支持構造物15上に着脱可能に支持するための前述の支持手段について説明する。
【0059】
磁選機12は、図1及び図3に示すように、磁選機架台30に吊すようにしてコンベヤ用支持構造物15上に支持されている。磁選機架台30は、方形の四隅に配置されたような4本の脚30aと、これら4本の脚30aの上端部同士を互いに連結する4本の連結部材30bとにより、あたかも置きこたつの支持装置のように構成されており、4本の脚30aの各下端には、それぞれ四角形の板状の取付部材30cを設けている。この取付部材30cをコンベヤ用支持構造物15上にボルト締めで固着することにより、磁選機架台30を、ベルトコンベヤ10上に架け渡すように、コンベヤ用支持構造物15上に着脱可能に取り付ける。
【0060】
磁選機12には、上部の左右に、上端側に雄螺旋を有するロッド状部材12aをそれぞれ前後一対ずつ立設している。一方、磁選機架台30の左右の連結部材30bには、ロッド状部材12aに対応する位置に、このロッド状部材12aを挿通させることができるロッド挿通孔をそれぞれ穿設している。磁選機12をベルトコンベヤ10上に配置するときには、磁選機架台30の連結部材30bに穿設したロッド挿通孔に磁選機12のロッド状部材12aを挿通するとともに、ロッド状部材12aの雄螺旋に連結部材30bを上下両方から挟むようにナットを螺合して締め付けることにより、磁選機12を取り付けて配置する。この磁選機12は、自走式選別装置にとって必ずしも必須不可欠のものではないので、アタッチメントとして顧客のオプションにより付設する。磁選機12を使用しないときや必要としないときには、図6乃至図8に示すように、磁選機12と共に磁選機架台30をコンベヤ用支持構造物15から取り外す。
【0061】
最後に、選別作業を円滑に行えるようにするため、コンベヤに載せられる被選別物の高さをコンベヤの幅方向において均一になるようにするための前述の手段を図11及び図12に基づいて説明する。
【0062】
図11は、図1の自走式選別装置に設置して有用な第1の例のホッパの内部構造を拡大して示す要部の拡大垂直断面図、図12は、図1の自走式選別装置に設置して有用な第2の例のホッパの内部構造を拡大して示す要部の拡大垂直断面図である。
【0063】
図11及び図12の何れの例のホッパ11も、本自走式選別装置に設置することにより、選別作業上顕著な効果を発揮するでものであって、ベルトコンベヤ10へ搬入される被選別物をベルトコンベヤ10の幅方向に分散させるように振り分ける振り分け部材を付設している。図11のホッパ11では、ベルトコンベヤ10での搬送方向に向けて略平行に複数のロッド状部材31を間隔を置いて内部に配置している。その場合、ホッパ11内の中央部に配置されるロッド状部材31を高く配置し、その両脇に配置されるロッド状部材31をやや低く配置するようにして、複数のロッド状部材31が全体としてホッパ11の中央部に頂点がある山形状をなすように配置する。
【0064】
図12のホッパ11では、ベルトコンベヤ10での搬送方向に向けて略平行に断面円弧状の板状部材32と、外側に向けて下方に傾斜する傾斜面を有する棒状部材33とを間隔を置いてホッパ内に配置している。その場合、断面円弧状の板状部材32を中央部に配置し、棒状部材33をこの板状部材32の両脇に配置している。図11及び図12の何れの振り分け部材も、ホッパ11内に投入される被選別物を細分化し、かつ、両脇の方へ導いて、ベルトコンベヤ10へ搬入される被選別物をベルトコンベヤ10の幅方向に分散させるように振り分ける働きをする。
【0065】
本自走式選別装置では、ホッパ11にこうした振り分け部材を付設しているので、ベルトコンベヤ10へ搬入される被選別物をベルトコンベヤ10の幅方向に分散させることができる。その結果、ベルトコンベヤ10へ載せられる被選別物は、ベルトコンベヤ10上の特定の個所に固まって搬送されることなく、高さがベルトコンベヤ10の幅方向において従来よりも均一になるように散らばって搬送されることとなり、これにより、ベルトコンベヤ10上の被選別物の中から所定の選別物を見分ける選別作業が従来よりも容易に行えるようになる。このように、本自走式選別装置によれば、選別作業時に被選別物をベルトコンベヤ10で搬送する場合に、被選別物をベルトコンベヤ10の幅方向に分散させて搬送するようにすることにより、作業員の選別作業を行いやすくすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0066】
【図1】この出願の発明の自走式選別装置の側面図であって選別作業を行うときの状態を示す図である。
【図2】図1の自走式選別装置の平面図である。
【図3】図1の自走式選別装置の背面図である。
【図4】図1の自走式選別装置を断面線Aで切断して矢印方向に見た断面図である。
【図5】図1の自走式選別装置を断面線Bで切断して矢印方向に見た断面図である。
【図6】この出願の発明の自走式選別装置の側面図であって自走式選別装置を運搬するときの状態を示す図である。
【図7】図6の自走式選別装置の平面図である。
【図8】図6の自走式選別装置の背面図である。
【図9】図6の自走式選別装置を断面線Aで切断して矢印方向に見た断面図である。
【図10】図6の自走式選別装置を断面線Bで切断して矢印方向に見た断面図である。
【図11】図1の自走式選別装置に設置して有用な第1の例のホッパの内部構造を拡大して示す要部の拡大垂直断面図である。
【図12】図1の自走式選別装置に設置して有用な第2の例のホッパの内部構造を拡大して示す要部の拡大垂直断面図である。
【符号の説明】
【0067】
1 走行体
2 第1のベースフレーム
3 第2のベースフレーム
4 第3のベースフレーム
5 選別装置支持用のフレーム
6 延長フレーム
7 支柱
8 パワーユニット
9 運転席
10 ベルトコンベヤ
11 ホッパ
12 磁選機
13 第1のコンベヤ用支柱
14 第2のコンベヤ用支柱、
15 コンベヤ用支持構造物
16 フロア設置用フレーム
17 フロア
18 フロア横移動用のシリンダ
19 フロア高さ調整用のシリンダ
20 フロア支持脚
21 シュート
22 シュート枢着部材
23 コンテナ
24 通路
25 手摺り
26 下梯子
27 上梯子
28 屋根用の支柱部材
29 簡易屋根
30 磁選機架台
31 ロッド状部材
32 板状部材
33 棒状部材
【出願人】 【識別番号】000005522
【氏名又は名称】日立建機株式会社
【出願日】 平成18年11月2日(2006.11.2)
【代理人】 【識別番号】110000442
【氏名又は名称】特許業務法人 武和国際特許事務所


【公開番号】 特開2008−114145(P2008−114145A)
【公開日】 平成20年5月22日(2008.5.22)
【出願番号】 特願2006−299127(P2006−299127)