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【発明の名称】 振動篩の異常検知方法および装置
【発明者】 【氏名】吉本 松男

【要約】 【課題】製鉄原料の整粒および篩い分けに用いられる振動篩の稼動中に、異常が発生したことを検知する方法を提供する。

【解決手段】篩本体の複数の部位、例えば4隅のそれぞれに、XY方向の振動を検出する振動検出器を配置して、各振動検出器からの振動出力を比較して、振動篩の振動状態を判定する振動篩の監視方法であって、各振動検出器間でのX方向またはY方向の振動出力を比較する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
加振機により加振される篩本体の複数の部位のそれぞれに、X方向またはY方向の振動を検出する振動検出器を配置して、各振動検出器からの振動出力を比較して、振動篩の振動状態を判定する振動篩の監視方法であって、各振動検出器間でのX方向またはY方向の振動出力を比較することを特徴とする振動篩の監視方法。
【請求項2】
振動出力として振動検出器のX方向またはY方向の振幅信号の最大振幅を比較することを特徴とする請求項1に記載の振動篩の監視方法。
【請求項3】
振動出力として振動検出器のX方向またはY方向の振幅信号の位相を比較することを特徴とする請求項1に記載の振動篩の監視方法。
【請求項4】
加振機により加振される篩本体の複数の部位のそれぞれに、XY方向の振動を検出する振動検出器を配置して、各振動検出器からの振動出力を比較して、振動篩の振動状態を判定する振動篩の監視方法であって、各振動検出器毎にX方向とY方向の振動出力のそれぞれで最大振幅値を測定してそれらの比を求め、得られた比を各振動検出器間で比較することを特徴とする振動篩の監視方法。
【請求項5】
加振機を篩本体の材料進行方向の後方に設置し、複数の部位が、篩本体の、材料進行方向に対して左右対象となる部位で、加振機近傍であることを特徴とする請求項1乃至4のいずれか一つに記載の振動篩の監視方法。
【請求項6】
複数の部位が、篩本体の4隅のそれぞれであることを特徴とする請求項1乃至4のいずれか一つに記載の振動篩の監視方法。
【発明の詳細な説明】【技術分野】
【0001】
本発明は、製鉄原料の整粒および篩い分けに用いられる振動篩に関し、その稼動中に、異常が発生したことを検知する方法および装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
図1,2に製鉄原料の整粒および篩い分けに用いられている振動篩の概略構成を示す。振動篩の本体(以下、篩本体3)は四隅(2a,2b,2c,2d)が、土台4に一端が固定されるバネ(1a,1b,1c,1d)で支持され(図1)、加振機6a,6bで水平方向に振動が与えられて往復運動(直線運動)または円運動を行い、篩5上に載置された材料は矢印方向に移動しつつ篩分けられる(図2)。
【0003】
加振機6a,6bは一定の振幅と周期(振動数)の振動を篩本体3に作用させるが、篩本体3の振幅は支持架台の調整不良や篩本体3がアンバランスな荷重分布となることなどで容易に変化する。振動数は加振機6a,6bのモータの回転数と減速比で決まるため、安定している。
【0004】
篩本体3が、不安定な作動状態となると、短時間で本体各部に異常負荷が作用するようになり、繰り返し応力によりクラックを生じ、加速度的に増大して篩本体3を破損し、操業上および設備上多大の損害が発生する。
【0005】
特許文献1は、振動篩の監視方法に関し、篩本体3の振動挙動を測定、および分析し設備異常を監視する方法として、篩本体3の複数箇所(2a,2b,2c,2d)のそれぞれにおいて、直交する2方向(XY方向)の振動を測定して監視することが記載されている。
【0006】
リサージュ波形、または直交する2方向の振動の振幅の最大振幅の出力、2方向の振動の振幅と位相差の出力、2方向の振動軌跡が描く長円の長軸と短軸の長さ、もしくは長軸と基準線とのなす角度を出力して、許容限界を超えた場合、振動篩を停止させる。
【特許文献1】特開昭56−56276号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、篩本体の局所的な場所において直交する2方向の振動のアンバランスを測定する場合、ある程度不具合が進展し、直交する2方向の振動のアンバランスが大きくならないと不具合が発生したことを検知することができず、特許文献1記載の方法では、早期発見が困難である。
【0008】
すなわち、特許文献1では、篩本体の複数箇所の振動を測定するが、比較評価するのは同一部位の直交する2方向の振動に限定しているため、支持系の偏摩耗や調整不良などの設備異常を生じた際の異常検知感度が必ずしも高いとは言えず、設備損傷の進展後に検知することになる。
【0009】
一方、4点支持された振動篩の場合、支持系の偏摩耗や調整不良、篩本体の偏摩耗、付着物によるアンバランスで生じる応力集中は、4箇所の内のいずれか1箇所で生じることが大半で、複数箇所で同時に損傷が生じることは極めて少ないが、1箇所における不具合の発生であっても、篩全体を検出対象とした場合には、篩全体に増幅されることでアンバランスの早期検知が可能である
そこで、本発明は、作動時における篩本体のアンバランスな動きを早期に検知する振動篩の異常検知方法および装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明の課題は以下の手段で達成可能である。
1.加振機により加振される篩本体の複数の部位のそれぞれに、X方向またはY方向の振動を検出する振動検出器を配置して、各振動検出器からの振動出力を比較して、振動篩の振動状態を判定する振動篩の監視方法であって、各振動検出器間でのX方向またはY方向の振動出力を比較することを特徴とする振動篩の監視方法。
2.振動出力として振動検出器のX方向またはY方向の振幅信号の最大振幅を比較することを特徴とする1に記載の振動篩の監視方法。
3.振動出力として振動検出器のX方向またはY方向の振幅信号の位相を比較することを特徴とする1に記載の振動篩の監視方法。
4.加振機により加振される篩本体の複数の部位のそれぞれに、XY方向の振動を検出する振動検出器を配置して、各振動検出器からの振動出力を比較して、振動篩の振動状態を判定する振動篩の監視方法であって、各振動検出器毎にX方向とY方向の振動出力のそれぞれで最大振幅値を測定してそれらの比を求め、得られた比を各振動検出器間で比較することを特徴とする振動篩の監視方法。
5.加振機を篩本体の材料進行方向の後方に設置し、複数の部位が、篩本体の、材料進行方向に対して左右対象となる部位で、加振機近傍であることを特徴とする請求項1乃至4のいずれか一つに記載の振動篩の監視方法。
6.複数の部位が、篩本体の4隅のそれぞれであることを特徴とする1乃至4のいずれか一つに記載の振動篩の監視方法。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、振動篩本体や篩の支持機構の偏摩耗、それらの調整不良などの設備異常や付着物など軽微な損傷を早期かつ確実に検知することが可能で、篩本体の疲労亀裂など重大な設備損傷を防止し、操業安定化に寄与し、産業上極めて有用である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
以下、図を用いて本発明を詳細に説明する。
図3は、本発明に係る振動篩の異常検知方法に好適な検知装置の構成の一例を説明する模式図で、図1,2で示した振動篩に検知装置を取り付けた状態を模式的に示す。
【0013】
図において、7a(7c,7g,7e)はX方向の振動検出器、7b(7d、7h、7f)はY方向の振動検出器、8は異常検知に用いる振動出力(振動検出器)を切り替えるセンサ切り替え装置、9はセンサ切り替え装置8に指示を与えるコントローラ、10は信号処理・出力装置を示す。
【0014】
尚、図において、図1,2と同符号のものは同じものを指す。また、X方向は水平方向、Y方向は鉛直方向とする。振動篩はX方向およびY方向を加振される方向とする。
【0015】
本発明では、篩本体3の4隅のそれぞれに、X方向の振動を検出する振動検出器7a(7c,7g,7e)、Y方向の振動を検出する振動検出器7b(7d、7h、7f)を配置する。例えば振動検出器としては圧電型振動検出器を用いる。
【0016】
全ての振動検出器からの振動出力は一端、センサ切り替え装置8に入力された後、コントローラ9からの指令により、センサ切り替え装置8で異常検知に用いるものが選択された後、信号処理・出力装置10に入力される。
【0017】
本発明では、信号処理・出力装置10に入力される振動出力、すなわち異常検知に用いる振動出力として、4隅に配置された振動検出器の全て、または、振動篩本体の、加振方向に対して左右対象となる部位で、加振機近傍に配置された振動検出器のX方向またはY方向同士の振動出力を用い、比較することを特徴とする。
【0018】
4隅に配置された振動検出器の全てとする場合は、X方向の振動出力を比較する場合、振動検出器7a、7e,7g、7cで、Y方向の振動出力を比較する場合は、振動検出器7b、7f、7h、7dとする。
【0019】
振動信号は、加振機から離れるにつれ減衰するので、振動検出器は加振機近傍に配置するのが好ましい。通常、加振機は材料進行方向の後方側にあり、加振機側(材料進行方向の後方)と非加振機側(材料進行方向の前方)での振動を比較した場合、非加振機側では加振機側に比べて振動が減衰する。
【0020】
加振機近傍で振動検出を行うと異常の場合において振動検出器間での振動信号の差が顕著に現れて好ましい。尚、左右両端には端部近傍も含む。
【0021】
具体的には、X方向の振動出力を比較する場合、2台は振動検出器7c、7gで、Y方向の振動出力を比較する場合は、2台は振動検出器7d、7hとする。
【0022】
信号処理・出力装置9は、振動検出器の信号の増幅(AMP)、帯域通過フィルタリング(BPF)、ピークホールド処理および振幅出力する回路を2系統有るとともに、2系統の位相差と振幅比を演算し出力する回路から構成されている。
【0023】
本発明に係る振動篩の異常検知方法では、好ましくは加振機側の振動検出器のX方向同士またはY方向同士の2台の振動出力を比較する。
【0024】
比較する振動出力が、振幅信号の最大振幅、振幅信号の位相の場合、予め定めている判断基準値と比較して良否を判定する。その差が予め定めておいた閾値より大きい場合に異常状態と判断する。例えば、最大振幅の場合は基準振幅の0.8〜1.2を外れた場合を異常と判断する。
尚、上記においてはX方向、Y方向を監視することとしたが、Z方向、すなわち材料の進行方向に対して幅方向を監視することも可能である。
【0025】
また、本発明では、振動篩の稼動状態の判定を、各振動検出器毎にX方向とY方向の振動出力のそれぞれで最大振幅値を測定してそれらの比を求め、得られた比を各振動検出器間で比較することとしても良い。
【0026】
図4に、振動篩のある部位における振動検出器で得られるX,Y方向の振動出力をリサージュ図形で表示する。
【0027】
例えば、図4(a)を図3の後右の振動検出器7g,7hの振動出力、図4(b)を後左の振動検出器7c,7dの振動出力によるリサージュ図形とした場合、図4(a),(b)をX方向、Y方向の振幅値で比較した場合、いずれも正常範囲(斜線部)で、正常動作の範囲と判定されるが、最大振幅の振幅比を比較すると、両者は相違するので左右のバランスが崩れていることが検出される。
【0028】
最大振幅の振幅比での比較は、振幅信号の最大振幅または振幅信号の位相で比較する場合に対して、より高感度にバランスの狂いを検知することが可能である。
【0029】
尚、本発明では、振動篩本体の加振方向の前方(加振機から遠く、加振機近くに配置した場合より振動信号が減衰し、検出感度が低下する)のいずれかの左右両端に配置することを発明の範囲から除外するものではなく、必要とする検出感度に応じて適宜、採用することが可能である。
【図面の簡単な説明】
【0030】
【図1】振動篩の構造を説明する模式図。
【図2】振動篩の構造を説明する模式図で上面図。
【図3】本発明例。
【図4】X,Y方向の振動出力のリサージュ図形の一例を示す図で、(a)はX,Y信号の最大振幅比が同じ場合、(b)はX,Y方向の最大振幅比が相違する場合を示し、(a),(b)の比較により左右のバランスの狂いを検知することが可能なことを示す図。
【符号の説明】
【0031】
1a,1b,1c,1d バネ
2a,2b,2c,2d 四隅
3 篩本体
4 土台
5 篩
6a,6b 加振機
7a(7c,7g,7e) X方向の振動検出器
7b(7d、7h、7f) Y方向の振動検出器
8 センサ切り替え装置
9 コントローラ
10 信号処理・出力装置
【出願人】 【識別番号】000001258
【氏名又は名称】JFEスチール株式会社
【出願日】 平成18年12月27日(2006.12.27)
【代理人】 【識別番号】100105968
【弁理士】
【氏名又は名称】落合 憲一郎

【識別番号】100130834
【弁理士】
【氏名又は名称】森 和弘


【公開番号】 特開2008−161757(P2008−161757A)
【公開日】 平成20年7月17日(2008.7.17)
【出願番号】 特願2006−351513(P2006−351513)