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【発明の名称】 篩い枠
【発明者】 【氏名】荒井 正義

【氏名】玉本 修

【要約】 【課題】篩い枠の耳片の適所に設けた薄肉部において超音波振動子とホーンを接続することにより、超音波振動子への熱ダメージを無くし、また、網枠の内側部分の厚みを減少させてざぐり部を設けることにより弾性サポートにおける振動摩擦を低減し、網枠への熱伝達を防ぐことにより、被処理体としての粉や粒への悪影響を無くした振動篩い機等に使用する篩い枠を提供する。

【解決手段】共振体として構成し、且つ篩い網2を張設した網枠1Aの外周にこれと一体的に形成した耳片3を縦振動の共振体を構成する超音波振動子6とホーン5により挟着して接続する振動篩い機用の篩い枠1であって、前記網枠1Aの外周に形成した耳片3の適所に、上下両面から同一の深さ及び広さの薄肉部4を形成し、該薄肉部4において前記超音波振動子6とホーン5を接続し、更に網枠1Aを、その内側部分1Bの厚みを減少させてざぐり部となして、段差を設ける。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
耳片を含めた篩い枠を所定周波数の曲げ振動の共振体として構成し、且つ篩い網を張設した網枠の外周にこれと一体的に形成した耳片を縦振動の共振体を構成する超音波振動子とホーンにより挟着して接続する振動篩い機用の篩い枠であって、前記網枠の外周に形成した耳片の適所に、上下両面から同一の深さ及び広さの薄肉部を形成し、該薄肉部において前記超音波振動子とホーンを接続したことを特徴とする篩い枠。
【請求項2】
網枠を、厚みを減少させてざぐり部として段差を設けてなる請求項1記載の篩い枠。

【発明の詳細な説明】【技術分野】
【0001】
本発明は振動容器をモータによって振動させると共に、該振動容器内に配設した共振体としての篩い枠を超音波振動子によって振動させ、該篩い枠の網枠に張設した篩い網をもって粉体、粒体等を篩い分ける振動篩い機等に使用する篩い枠に関するものである。
【背景技術】
【0002】
振動篩い機には、例えば特開平11−128842号公開公報に示された振動篩い機の如く、篩い網を振動させる超音波振動子を振動容器内に設けるものと、特開2003−145051号公開公報に示された振動篩い機の如く、篩い網を振動させる超音波振動子を振動容器の外部に設けるものとがある。本発明は斯かる二種類の振動篩い機における後者に属するものである。
【0003】
そして、斯かる後者に属するタイプの振動篩い機は、特開2003−145051号公開公報に示されたものの如く、有底円筒状の容器本体の上端開口縁に円筒体を継ぎ合わせて構成する振動容器における前記容器本体の下部に、振動用モータを接続し、一方の面に篩い網を張設し、外周に耳片を一体的に形成した平板からなる環状の網枠を、前記容器本体の上端開口縁と円筒体との間に弾性サポートを介在させて配設し、該円筒体の下縁の一部に設けた切欠部から該網枠の耳片を外部に突出せしめ、これに超音波振動子を接続してなるものである。また、図17にはその一部を示しており、100は振動篩い機、101は振動容器における有底円筒状の容器本体、102は該容器本体101の上端開口縁に継ぎ合わせる円筒体、103は一方の面に篩い網104を張設し、外周に耳片105を一体的に形成した、平板からなる環状の網枠である。また、106、107は該網枠103と前記容器本体101及び円筒体102との間に介在させた弾性サポート、108は前記網枠103の耳片105に接続した超音波振動子である。
【0004】
而して、斯かる振動篩い機100には、次の如き問題点がある。それは、超音波振動子108が作動したとき、これを接続している耳片105の振動振幅が大きく、このため超音波振動子の接続部及び網枠103と弾性サポート106、107との間において大きな振動摩擦が起こり、大きく発熱することである。そして、この熱が超音波振動子にダメージを与え、更に被処理体である粉や粒の品質に悪影響を及ぼすことになる。
【0005】
斯かる従来品の場合には、篩い枠の肉圧が厚いため、効果ある振幅で耳片を駆動した場合、超音波振動子端面が常に全面耳片と接触せず、図18に示す如く耳片が彎曲した形となるので、超音波振動子端面と耳片との間に摩擦が生じ、その部位での発熱及びその部位での摩耗が生ずる。
【0006】
また、超音波振動子108が作動したときに、耳片105は超音波振動子108の作動周波数で共振するように作られているため、耳片105は恰も大きな交流波形の如きうねり状に変形し、弾性サポート106、106との間で大きな振動摩擦が起こるものである。また、このように強い振動摩擦がおこることから超音波振動子108によって供給される振動エネルギーが減衰し、エネルギーの損失を生ずることになり、超音波振動子へのダメージ、超音波振動子接続部の摩耗等により連続した長時間の使用に耐えられない。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は上記の点に鑑みなされたものであって、耳片を含めた篩い枠を所定周波数の曲げ振動の共振体として構成した篩い枠の耳片の適所における超音波振動子取付部の肉圧を薄くすることで、超音波振動子が作動したときにおける超音波振動子と篩い枠との摩擦を最小限にし、その部位での発熱を低くすると共に接続部での摩耗を少なくすることで、超音波振動子への熱ダメージを無くし、摩耗が少ないことにより、長時間の連続使用を可能としたものである。また、耳片を含めた篩い枠全体を曲げ振動の共振体とすることで、耳片で作られる微小振動も振動振幅の減衰なく弾性サポート部にまで伝播させることができる。また、網枠の内側部分にざくり部を設けることにより段差を設けることで、弾性サポート部の振動が小さくても大きな効果が得られるようにし、弾性サポート部の発熱を少なくすることで、被処理体としての粉や粒への熱影響を無くしたものである。例えば、図19に示す如き篩い枠で弾性サポート部より網枠の断面の厚みを均一にして小さくしなかった場合には、共振周波数約40kHzで、超音波振動子の振幅を10ミクロンとすると、網枠に伝わる振動は超音波の効果を充分発揮できる振動振幅であったが、弾性サポート部での発熱は許容できるものではなかった。また同篩い枠で超音波振動子の振幅を5ミクロンとした場合には、弾性サポート部で生じる発熱は許容できるものであったが、網枠に伝わる振動振幅は超音波の効果が充分に発揮できるものではなかった。
【0008】
これに対して、図1に示す如く網枠の断面の厚みを小さくした場合には、弾性サポート部位より網側の網枠断面の厚みを小さくして網部での振動振幅が効果ある大きさまで増幅されるので、超音波振動子の振動振幅が5ミクロンで弾性サポート部での発熱は許容できるものであり、且つ網部の振動振幅も超音波振動の効果を得るのに充分なものである。更に超音波振動子の振動が効率よく耳片に伝達し、網枠の振動振幅を小さくして、網枠と弾性サポートとの間の振動摩擦を低減し、もって上記従来品の問題点を悉く解消し、併せて超音波振動子から供給する超音波振幅を小さくしても十分な篩い効果を得ることができるようになした振動篩い機用篩い枠を提供せんとするものである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
而して、本発明の要旨とするところは、耳片を含めた篩い枠を所定周波数の曲げ振動の共振体として構成し、且つ篩い網を張設した網枠の外周にこれと一体的に形成した耳片を縦振動の共振体を構成する超音波振動子とホーンにより挟着して接続する振動篩い機用の篩い枠であって、前記網枠の外周に形成した耳片の適所に、上下両面から同一の深さ及び広さの薄肉部を形成し、該薄肉部において前記超音波振動子とホーンを接続したことを特徴とする篩い枠にある。
【0010】
また、上記構成において、網枠を、その内側部分の厚みを減少させてざくり部とし、段差を設けるようになしてもよい。このようになした場合には、耳片から網枠に伝達された振動振幅を増幅して篩い網に伝えることができる。したがって、篩い作用を一層向上させることができる。且つまた、篩い枠の耳片を振動させる超音波振動子から供給する超音波振幅も小さくて済むようにすることができる。
【発明の効果】
【0011】
本発明は上記の如き構成であるから、網部の超音波振動振幅が充分効果が得られる振幅で網枠が振動でき、且つ超音波振動子が作動したときにおける網枠の耳片の振動振幅を小さくすることができるものである。したがって、従来品における問題点であった超音波振動子の接続部における発熱を少なくし、且つ超音波振動子取付部の摩擦による摩耗を少なくすることにより熱ダメージを無くすることができ、更に網枠と弾性サポートとの間の振動摩擦による発熱を防ぐことができ、且つまた、斯かる振動摩擦によるエネルギー損失も少なくなるから、長時間の連続運転を可能にすると共に被処理体への熱による悪影響を無くすことができるものである。したがって、超音波振動子から供給する超音波振幅を小さくしても充分な篩い効果を得ることができるものである。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
本発明を実施するための最良の形態は、耳片を含めた篩い枠を所定周波数の曲げ振動の共振体として構成し、且つ篩い網を張設した網枠の外周にこれと一体的に形成した耳片を縦振動の共振体を構成する超音波振動子とホーンにより挟着して接続する振動篩い機用の篩い枠であって、前記網枠の外周に形成した耳片の適所に、上下両面から同一の深さ及び広さの薄肉部を形成し、該薄肉部において前記超音波振動子とホーンを接続し、また網枠を、その内側部分の厚みを減少させてざぐり部とし、段差を設けるようになしたことにある。
【実施例】
【0013】
以下、本発明の実施例について検討する。
図1は本発明において用いる網枠であって、網枠の断面の厚みを網部に向かって小さくし、網枠全体が約40kHzで曲げ振動で共振するように製作した場合の平面図、図2は図1中A−A線拡大断面図、図3は図1中B−B線拡大断面図、図4は網枠の端部の拡大断面図、図5は耳片の薄肉部に超音波振動子を接続した状態の拡大断面図、図6は超音波振動子の一部切欠して示した正面図、図7はホーンの正面図、図8は本発明の作用説明図、図9は内側部分の厚みを減少させない網枠の振動モードをFEM解析した図、図10は図9中A−A線拡大断面図、図11は図9中A−A線断面部分の振動時の変形状態をFEM解析した図、図12は図9中A−A線断面部分の半周期後の振動時の変形状態をFEM解析した図、図13は内側部分の厚みを減少させた網枠の振動モードをFEM解析した図、図14は図13中B−B線拡大断面図、図15は図13中B−B線断面部分の振動時の変形状態をFEM解析した図、図16は図13中B−B線断面部分の半周期後の振動時の変形状態をFEM解析した図である。
【0014】
本発明に係る振動篩い機は、前記従来の振動篩い機と同様であり、有底円筒状の容器本体の上端開口縁に円筒体を継ぎ合わせて構成する振動容器における前記容器本体の下部に、振動用モータを接続し、一方の面に篩い網を張設し、外周に耳片を一体的に形成した環状の網枠を、前記容器本体の上端開口縁と円筒体との間に弾性サポートを介在させて配設し、該円筒体の下縁の一部に設けた切欠部から該網枠の耳片を外部に突出せしめ、該耳片にホーンを用いて超音波振動子を接続してなるものである。したがって、その図面と詳細な説明は省略する。また、本発明において特徴とする部分については、別符号を付して説明する。
【0015】
而して、本発明において特徴とするところは、一方の面に篩い網2を張設した網枠1Aの外周に形成した耳片3の幅方向の中心部に、上下両面から同一の深さ及び広さに切削して薄肉部4を形成し、該薄肉部4にホーン5を用いて超音波振動子6を接続したことにある。また、前記網枠1Aは、本発明の一例を示した本実施例ではステンレスの平板を環状に成形したものであり、周波数は40kHzである。また、篩い枠1の厚みは約8mm、その耳片に設けた薄肉部の厚みは約2.4mm、直径は約35mmであり、また網枠の外径は約495mm、内径は435mmであり、ざくり部の内径は約461mm、ざぐり部の切削段差の厚みは約1.7mm、である。尚、4aは前記耳片3に形成した薄肉部4の中心に穿設したねじ挿通孔である。また、網枠1Aへの篩い網2の張設は、図4に示す如く樹脂製の接着剤Gで接着するか、金属製の鑞材で鑞付けして行う。そしてまた、前記網枠1Aは、切削してざぐり部となしてその内側部分1Bの厚みを減少させ断面段状に形成して段差を設けている。また、ホーン5を用いる超音波振動子6の前記薄肉部4への接続は、ホーン5の雄ねじ5aを薄肉部4のねじ挿通孔4aに通し、該薄肉部4の反対側の面において該雄ねじ5aを超音波振動子6の雌ねじ6aに螺合して行うものである。
【0016】
次に本発明の作用について説明する。
図5に示す状態において超音波振動子6を作動させると、超音波振動子6とホーン5が両側から挟み付けるようにして接続されている部分は必要な程度にまで肉圧を減じた薄肉部4であることから、図8に示す如く、篩い枠1の肉圧の一部を薄肉部とし、その部位を振動力に充分打ち勝つ力で超音波振動子6とホーン5により締め付けることにより、ホーン及び超音波振動子端面と薄肉部は振動中常に摩擦がない状態で接触することができ、発熱及び摩耗を生ずることがないものである。これにより、従来品の如き超音波振動子の接続部における熱ダメージや、網枠1Aと弾性サポート(図示せず。)との間の振動摩擦による熱は大幅に低減されるものである。また、このように大きな振動摩擦が生じないことから、振動摩擦による大きなエネルギーの減衰、即ちエネルギーの損失は起こらず、もって超音波振動子から供給する超音波振幅を小さくしても充分な篩い効果を得ることができるものである。
【0017】
また、網枠1Aは、その内側部分1Bの厚みを減少させてざぐり部となして段差を設けているから、耳片3から網枠1Aに伝達された振動振幅を増幅して篩い網2に伝えることができるものである。したがって、篩い作用を一層向上させることができるものである。且つまた、篩い枠11の耳片3を振動させる超音波振動子6から供給する超音波振幅も小さくて済むようにすることができるものである。尚、この点については、図9乃至図12に示した網枠と、図13乃至図14に示した網枠との振動時の変位量A、Bの差からも明らかである。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】本発明において用いる網枠を示すものであって、網枠の断面の厚みを網部に向かって小さくし、網枠全体が約40kHzで曲げ振動で共振するように製作した場合を示す平面図である。
【図2】図1中A−A線拡大断面図である。
【図3】図1中B−B線拡大断面図である。
【図4】網枠の端部の拡大断面図である。
【図5】耳片の薄肉部に超音波振動子を接続した状態の拡大断面図である。
【図6】超音波振動子の一部切欠して示した正面図である。
【図7】ホーンの正面図である。
【図8】本発明の作用説明図である。
【図9】内側部分の厚みを減少させない網枠の振動モードをFEM解析した図である。
【図10】図9中A−A線拡大断面図である。
【図11】図9中A−A線断面部分の振動時の変形状態をFEM解析した図である。
【図12】図9中A−A線断面部分の半周期後の振動時の変形状態をFEM解析した図である。
【図13】内側部分の厚みを減少させた網枠の振動モードをFEM解析した図である。
【図14】図13中B−B線拡大断面図である。
【図15】図13中B−B線断面部分の振動時の変形状態をFEM解析した図である。
【図16】図13中B−B線断面部分の半周期後の振動時の変形状態をFEM解析した図である。
【図17】従来の振動篩い機の部分断面図である。
【図18】従来の振動篩い機における問題点の説明図である。
【図19】網枠の断面を均一にし、網枠全体が約40kHzで曲げ振動で共振するように製作した場合を示す平面図である。
【符号の説明】
【0019】
1 篩い枠
1A 網枠
1B 網枠1Aの内側部分
2 篩い網
3 耳片
4 薄肉部
5 ホーン
6 超音波振動子

【出願人】 【識別番号】505361196
【氏名又は名称】伊藤 仁彦
【出願日】 平成18年11月2日(2006.11.2)
【代理人】 【識別番号】100073324
【弁理士】
【氏名又は名称】杉山 一夫

【識別番号】100134898
【弁理士】
【氏名又は名称】岩田 克子


【公開番号】 特開2008−114133(P2008−114133A)
【公開日】 平成20年5月22日(2008.5.22)
【出願番号】 特願2006−298482(P2006−298482)