トップ :: B 処理操作 運輸 :: B07 固体相互の分離;仕分け

【発明の名称】 分別装置
【発明者】 【氏名】寺澤 武

【氏名】金子 法正

【氏名】高桑 晋

【氏名】中里 弘海

【要約】 【課題】分別対象に含まれる質量の異なる複数の物体を、質量に応じて実時間処理で効率良く分別する。

【解決手段】分別装置1の吐出口側に吸引装置を接続し、ダストを吸入口から吸引すると、ダストに含まれる質量の異なる複数の物体は流れfl_in,fl_ex,fl_downからの力を受け、また重力による力も加わって底部まで運ばれ、一旦、格納槽14に搬入される。格納槽14に搬入された物体は、中心軸に向かう流れの力を受け続け、内筒体7の外周壁面に沿って上昇する流れfl_upによって上方向の力を受け、質量の小さい物体は、内筒体7壁面の上昇流れfl_upによって重力に抗して舞い上げられて内筒体7の内部から外部に排出されて回収され、質量の大きい物体は、上昇流れfl_upから受ける力よりも重力加速度による力の方が大きいため格納槽14に残る。これにより、質量の異なる複数の物体を実時間処理で効率良く分別することができる。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
互いに質量の異なる複数の物体を含む分別対象を流体と共に導入し、物体の質量に応じた分別を行う分別装置であって、
上記分別対象を上記流体と共に導入する導入流路に接続され、上記分別対象を格納する格納槽となる底部と、この底部から離間した位置で流れを排出する開口部とを有する分離塔を備え、
上記分離塔を重力方向に配置して上記導入流路からの流れを上記分離塔内部の壁面に沿って重力方向と反対に上昇する上昇流れを生成させ、該上昇流れから受ける流体抵抗力が重力加速度による力を下回る物体を上記底部に堆積させる一方、該上昇流れから受ける流体抵抗力が重力加速度による力を上回る物体を上記開口部から排出することを特徴とする分別装置。
【請求項2】
上記分離塔を、
上記導入流路に接続され、上記格納槽となる上記底部を有する中空状の外筒体と、
上記外筒体の内部に上記底部を介して立設され、上記開口部を上記外筒体の内部で上記底部から長手方向に離間した位置に配置した中空状の内筒体と
を備えて構成し、
上記外筒体及び上記内筒体を重力方向に配置し、上記外筒体の内壁面に沿って重力方向に下降する下降流れから上記底部を介して上記内筒体の外壁面に沿って重力方向と反対に上昇する上昇流れを生成させ、該上昇流れから受ける流体抵抗力が重力加速度による力を下回る物体を上記底部に堆積させる一方、該上昇流れから受ける流体抵抗力が重力加速度による力を上回る物体を上記内筒体上端の上記開口部から上記底部を貫通する排出口を通過させて排出することを特徴とする請求項1記載の分別装置。
【請求項3】
上記外筒体及び上記内筒体を中空の円筒状部材で構成すると共に、上記外筒体と上記内筒体とを同軸的に配設したことを特徴とする請求項2記載の分別装置。
【請求項4】
上記分離塔を振動させて上記底部に堆積した分別対象を加振し、上記分離塔内の上昇流れによる分別を促進する加振機構を設けたことを特徴とする請求項1〜3の何れか一に記載の分別装置。
【請求項5】
上記分離塔内の上昇流れの流速を可変し、上記開口部から排出する物体を決定する分別閾値を、上記開口部の上記底部からの高さによって設定することを特徴とする請求項1〜4の何れか一に記載の分別装置。
【請求項6】
上記分離塔内の上昇流れの流速を可変し、上記開口部から排出する物体を決定する分別閾値を、上記分離塔内の上昇流れの壁面までの上記底部の長さによって設定することを特徴とする請求項1〜4の何れか一に記載の分別装置。
【発明の詳細な説明】【技術分野】
【0001】
本発明は、分別対象に含まれる質量の異なる複数の物体を、質量に応じて分別する分別装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、各種のゴミや塵芥等を分別して集塵する技術として、例えば、特許文献1や特許文献2に開示されているような遠心分離法によって代表される技術が知られている。特許文献の技術は、吸引した含塵気体を旋回させ、衝突壁に衝突して落下するダスト類を回収するものであり、また、特許文献2の技術は、濾過式集塵機前段のプレダスト分離として、含塵気体の旋回流から重力によって落下するダスト類を回収するものである。
【0003】
一方、遠心分離法によらない分別技術も提案されており、例えば、特許文献3には、下方から流入するガスを偏向板に衝突させることにより、或いは偏向板によって横方向に反転して所定の経路に沿って通流する過程で重力や慣性力により、ダストをガス流入口周囲に設けた環状溝に堆積させて回収する技術が開示されている。
【特許文献1】特開平10−192628号公報
【特許文献2】特開平10−235123号公報
【特許文献3】特開平11−309319号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1,2に開示の遠心力を利用した分別技術や、特許文献3に開示の分別技術は、原理的に流体中に含まれる塵等の非流体を流体から分離するものであり、質量の異なる物体を、質量に応じて互いに分離することは考慮されていない。
【0005】
すなわち、特許文献1,2に示されるような遠心分離による分別技術では、分別物体の全てに遠心力が働くため、分離層に全て格納されてしまい、複数の物体同士の分離は至難である。また、特許文献3に開示の分別技術は、流体中の物体を、重力や慣性力によって分離するため、同様に複数の物体同士を分離することは至難である。
【0006】
このように従来の分別技術では、質量の異なる物体を分離して分別することは考慮しておらず、例えば、事務所内の床上ゴミにクリップ等の未だ使用に耐えうるべき資源が混在されていても、クリップとその他のダストをリアルタイムに分別することは困難であり、資源の効率的かつリアルタイムの分別を求められても、その要求に対応することは困難であった。
【0007】
本発明は上記事情に鑑みてなされたもので、分別対象に含まれる質量の異なる複数の物体を、質量に応じて実時間処理で効率良く分別することのできる分別装置を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成するため、本発明による分別装置は、互いに質量の異なる複数の物体を含む分別対象を流体と共に導入し、物体の質量に応じた分別を行う分別装置であって、上記分別対象を上記流体と共に導入する導入流路に接続され、上記分別対象を格納する格納槽となる底部と、この底部から離間した位置で流れを排出する開口部とを有する分離塔を備え、上記分離塔を重力方向に配置して上記導入流路からの流れを上記分離塔内部の壁面に沿って重力方向と反対に上昇する上昇流れを生成させ、該上昇流れから受ける流体抵抗力が重力加速度による力を下回る物体を上記底部に堆積させる一方、該上昇流れから受ける流体抵抗力が重力加速度による力を上回る物体を上記開口部から排出することを特徴とする。
【発明の効果】
【0009】
本発明による分別装置は、互いに質量の異なる複数の物体を含む分別対象を流体と共に分離塔内に導入し、分離塔内に堆積させる物体と排出する物体とを質量に応じて実時間処理で効率良く分別できるため、未だ使用に耐えうるべき資源を回収する等して資源の効率的な活用が可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
以下、図面を参照して本発明の実施の形態を説明する。図1〜図5は本発明の実施の一形態に係り、図1は分別装置の全体構成図、図2は分別の原理を示す説明図、図3は内筒体の壁面高さが高い場合の流速分布を示す説明図、図4は内筒体の壁面高さが低い場合の流速分布を示す説明図、図5は分離塔の変形例を模式的に示す説明図である。
【0011】
図1に示す分別装置1は、質量の異なる物体を含むダスト等の分別対象を流体を介して装置内部に導入し、分別対象に含まれる個々の物体を、それぞれに作用する流体抵抗力と重力との大小関係によって分別するものである。本形態においては、分別装置1は、分別機能を担う分離塔2の下部に、分離塔2に振動を与えて分別効率を向上させるための加振機構3を配設している。分離塔2は、中心軸を重力方向に向けて配置され、下部側の加振機構3と共にガイド管4内に収納されている。ガイド管4は、分離塔2の振動による往復運動の案内となるものであり、このガイド管4を所定の部位に固定して装置全体を固定する。
【0012】
また、本形態においては、流体として空気を用い、図示しない真空ポンプ等の吸引装置によってダスト等の分別対象(以下では、分別対象を代表して適宜ダストと記載する)を吸引口から分離塔2内に吸引する。分離塔2は、外殻を構成する本体5の主要部である外筒体6と、この外筒体6内に外筒体6と同軸的に立設された内筒体7との二重構造を有しており、本体5の上部が図1中に破線で示す吸引ホース等の吸入管8を接続する細径の導入筒9として構成され、ダストを装置内に導入する吸引口を形成している。
【0013】
外筒体6及び内筒体7は、中空の円筒状部材や中空の多角形状部材で形成することが可能であるが、以下に説明する分離塔2内部の流れに分布をより均一にするため、円筒形状であることが望ましい。本形態においては、外筒体6及び内筒体7を円筒形状として同軸的に配設し、円筒二重管構造で分離塔2を構成するものとする。
【0014】
導入筒9は、下方に向かって径方向に拡開された拡開部10を介して、太径の外筒体6に接続されている。拡開部10の内部には、略円錐形のガイド体11が本体5の中心軸上に配設され、このガイド体11と拡開部10とにより、下方に傾斜した環状流路が形成され、吸引口から流入する空気の流れに横方向の速度成分が与えられて環状流れが生成される。この環状流れは、本体5の内壁面に沿った流れとなる。
【0015】
尚、ガイド体11は、空気の流れを乱さないような細径の部材(図示せず)により、径方向に数箇所で支持されている。
【0016】
また、ガイド体11の下方には、上述の内筒体7が配設されている。内筒体7は両端が開口され、上端開口部がガイド体11の下端部と所定の間隔を持って対向すると共に、下端開口部が図1中に破線で示すホース等の排出管12を接続するための吐出口として形成されている。
【0017】
外筒体6及び内筒体7の下端部には、板状の蓋体13が接合され、この蓋体13によって外筒体6の内周壁下端と内筒体7の外周壁下端とが封止されて本体5の底部を形成している。この本体5の底部は、ダスト中に含まれる質量の異なる物体のうち、相対的に質量の大きい物体を堆積させて格納する格納槽14として構成される。相対的に質量の小さい物体は、内筒体7の外周壁面に沿って上昇する気流に乗って、外筒体6の底部から長手方向(軸方向)に離間した位置に配置される内筒体7の上端開口部から内筒体7内部に運ばれ、内筒体7内部から排出管12を通って外部に排出される。
【0018】
格納槽14の下部には、排出管12を収納する収納部15が設けられ、外筒体6に一体的に結合されている。排出管12は、収納部15の側方に設けた開口孔15aから延出され、更に、この開口孔15aに対応してガイド管4の側方に設けられた開口孔4aから外部に延出され、図示しないフィルタ等を介して吸引装置に接続される。
【0019】
分離塔2下部(収納部15下部)には、前述の加振機構3が配設され、この加振機構3により、分離塔2に上下運動の振動が加えられる。すなわち、分離塔2に振動を与えることにより、質量の小さい物体の上に質量の大きい物体が重なって内筒体7の外周壁に沿った上昇気流に乗ることなく格納槽14に堆積されることを防止し、質量の小さい物体を、効率良く内筒体7の外周壁に沿った上昇気流に乗せることができる。また、格納槽14において質量の小さい物体の上に質量の大きい物体が重なって堆積されても、振動によって質量の大きい物体と質量の小さい物体との重なりをなくし、格納槽14から質量の小さい物体を内筒体7の外周壁に沿った上昇気流に乗せ、分別を促進することができる。
【0020】
加振機構3は、図1においては、収納部15下部にチューブラーソレノイド16の可動鉄心を当接させて加振機構を構成する例を示しており、図示しない駆動回路によってチューブラーソレノイド16を進退動作させ、分離塔2を上下動させて振動を与える。この加振機構3としては、ソレノイドを用いた機構に限定されることなく、例えば、モータ等で駆動される回転軸の運動をカムを用いて上下の往復運動に変換し、分離塔2を上下動させる機構としても良い。
【0021】
尚、ガイド管4の開口孔4aは、加振による排出管12の上下運動を妨げないよう、軸方向に長孔状に形成されている。また、分離塔2下部の収納部15は、外筒体6を延長して形成することも可能であるが、振動によって分離塔2が回転し、排出管12が分離塔2の上下運動を阻害する虞があるため、例えば、収納部15を角柱状に形成したり、回り止めのピンを設ける等して分離塔2の回転を規制することが望ましい。
【0022】
以上の構成を有する分別装置1は、前述したように、分別対象に含まれる個々の物体を、それぞれに作用する流体抵抗力と重力との大小関係によって分別する。以下、本分別装置1における分別作用について説明する。
【0023】
分別装置1の吐出口側に排出管12を介して吸引装置を接続し、ダストを吸入管8を介して分離塔2の吸引口から吸引すると、図1に示すように、分離塔2内に流入する所定の流量及び流速の空気は、導入筒9における管内流れfl_inから拡開部10とガイド体11との間の環状隙間を通過して径方向に拡大する流れfl_exとなる。この流れfl_exは、一部がガイド体11と内筒体7の上端開口との間から内筒体7内に流入するが、大部分は外筒体6の内周壁面に沿って降下する流れfl_downとなる。
【0024】
外筒体6の内周壁面に沿って下降する流れfl_downは、底面に沿って中心軸方向に流れ、更に内筒体7の外周壁面で方向転換され、外周壁面に沿って上昇する流れfl_upとなる。この内筒体7の外周壁面に沿って上昇する流れfl_upは、内筒体7の上端開口から内筒体7内部に流入し、下端開口側に接続された排出管12を通って外部の吸引装置側に吸引される。
【0025】
このような分離塔2内の流れの状態において、ダストに含まれる質量の異なる複数の物体は、比較的エネルギーの大きい流れfl_in,fl_ex,fl_downからの力を受け、また重力による力も加わって底部まで運ばれ、一旦、格納槽14に搬入される。この格納槽14に搬入された物体は、中心軸に向かう流れの力を受け続け、内筒体7の外周壁面に沿って上昇する流れfl_upによって上方向の力を受け、物体の質量に応じた重力との大小関係によって分別される。
【0026】
すなわち、質量の小さい物体は、内筒体7壁面の上昇流れfl_upによって重力に抗して舞い上げられ、内筒体7の上端開口部から内筒体7の内部を通過して下端の吐出口へと吸い出される。一方、質量の大きい物体は、上昇流れfl_upから受ける力よりも重力による力の方が大きいため、格納槽14に残り、また、上昇流れfl_upからの力を受けて一旦上昇しても、内筒体7の上端開口部まで到達することはできず、最終的に格納槽14に残ることになる。
【0027】
このとき、流れからの力を受け、また重力による力も加わって下方に向かって移動した質量mの物体の慣性力f_inerは、格納槽14の底部との衝突によって大幅に弱まり、図2に示すように、内筒体7の外周壁方向へ作用する僅かな力のみが残る。この状態では、質量mの物体に働く慣性力の上下方向への影響を無視することができ、質量mの物体を内筒体7から外部に排出可能か否かは、物体に作用する上方向の壁面上昇流れfl_upによる力(空気抵抗力)f_flowと、物体に作用する重力加速度gによる下方向の力mgとの大小関係によって決定することができる。換言すれば、重力加速度gによる下方向の力mgは一定に働くため、空気抵抗力f_flowをコントロールすることにより、任意の質量の物体に対する分別が可能となる。
【0028】
空気抵抗力f_flowは、以下の(1)式に示すように、流速vの二乗と、物体の流線と垂直方向の投影面積Dとに比例する。従って、物体に作用する重力は一定であることから、分別対象とする物体の質量mに応じて上昇流れfl_upの流速vを設定することにより、所望の物体を分別することができる。
f_flow=(1/2)×ρ×C×D×v2 …(1)
但し、ρ:空気密度
C:空気抵抗係数
【0029】
上昇流れfl_upの流速vは、分離塔2の大きさと前後の圧力差を一定とした場合、分離塔2内の各部の幾何学的な形状パラメータ間の関係によって変化する。この流速vに影響を与える主要なパラメータとしては、図2に示すように、ガイド体11下端部の径D1、内筒体7の開口径D2、ガイド体11下端部と内筒体7の上端開口部との隙間l、内筒体7の格納槽14底部からの壁面高さh、外筒体6の内壁面と内筒体7の外壁面との間の径方向の距離d等が挙げられる。
【0030】
これらの主要なパラメータのうち、ガイド体11と内筒体7との関係を定める径D1,D2及び隙間lは、拡開部10及びガイド体11による環状流れを外筒体6の内壁面に沿って導くために適切に設定される必要がある。径D1に対して径D2が大き過ぎたり、隙間lが広過ぎると、拡開部10及びガイド体11からの流れの大部分が内筒体7内部に流れ込んでしまい、外筒体6の内壁面に沿った下降流れから内筒体7の外壁面に沿った上昇流れを有効に発生させることができず、分別効率が低下する。
【0031】
従って、内筒体7の外壁面に沿った上昇流れを有効に発生させるためには、以下の(2)式に示す条件下で隙間lを適切に設定することが望ましい。この(2)式の条件下で隙間lを適切に設定した状態においては、主として、内筒体7の壁面高さhと、外筒体6及び内筒体7の間の距離dとを、内筒体7の外壁面に沿った上昇流れfl_upの流速vを決定する支配的なパラメータとして用いることができる。
D1>D2 …(2)
【0032】
内筒体7の壁面高さhは、底部を形成する蓋体13から内筒体7の上端開口部までの高さを意味し、外筒体6及び内筒体7の間の距離dは、分離塔2内の上昇流れの壁面までの底部の長さを意味するものであり、内筒体7の壁面高さhが高くなるにつれて流速vが小さくなり、また、外筒体6と内筒体7との間の距離dが大きくなるにつれて流速vが小さくなる。このため、分別する物体の質量mに応じて高さhや距離dを設定することにより、所望の物体の分別が可能となる。ここでは、内筒体7の壁面高さhを所望の物体を分別するための閾値として用いる例を主として説明する。
【0033】
内筒体7の壁面高さhと流速vとの関係は、厳密には、Navier-Stokesの方程式等による流体解析によって得る必要があるが、近似的な数値シミュレーションや実験等を実施した結果、以下の(3)式に示すように、高さhと流速vとは、所定のゲイン定数kに基づく逆比例関係にあることが見い出されている。
v=k×(1/h) …(3)
【0034】
従って、(1)式及び(3)式に基づいて、内筒体7の壁面高さhと、内筒体7の外壁面に沿った上方向の流れによる空気抵抗力f_flowとは、二次関数的な関係にあると見做すことができ、物体に働く空気抵抗力f_flowと物体に作用する重力mgとの大小関係を決定する分別閾値を、壁面高さhによって設定することができる。この壁面高さhによる分別閾値は、例えば、分別対象に応じて内筒体7の高さhが異なる複数種類の分離塔2を用意したり、一種類の分離塔2で内筒体7の高さhを可変できる可変機構を備える等して設定する。
【0035】
図3及び図4は、内筒体7の壁面高さhを変化させたときの流線の分布をシミュレーションによって解析したものであり、これらの図においては、太線で示す流線が最も流速vが速く、細線、破線の順に流速vが遅くなることを示している。このシミュレーション結果では、図3に示す内筒体7の壁面高さh1での流速と図4に示す壁面高さh2での流速とを比較すると(h1>h2)、壁面高さが高くなる程、内筒体7周辺の流速が小さくなることがわかり、相対的に質量の小さい物体を外部に排出し、相対的に質量の大きい物体を格納槽14に残留させることができる。一方、壁面高さを低くする程、内筒体7周辺の流速を速くし、より質量の大きい物体同士を分別可能となることがわかる。
【0036】
尚、図3及び図4における流速の分布は、説明を容易にするため、シミュレーション結果を簡略的に表示している。
【0037】
更に、分別閾値として外筒体6及び内筒体7の間の距離dを用いる場合には、例えば、分別対象に応じて距離dが異なる複数種類の分離塔2を用意したり、一種類の分離塔2で距離dに変化幅を持たせて複数の分別閾値を設定可能とするため、内筒体7を外筒体6に対して偏芯させて配置したり、断面楕円の内筒体7とすることも可能である。この内筒体7の偏芯配置や断面楕円形状の採用は、簡略な構成でありながら、壁面高さhの可変機構と同様な作用を得ることを可能としており、コスト低減に寄与することができる。
【0038】
また、質量の異なる物体のそれぞれに作用する流体抵抗力と重力との大小関係によって分別を行う際には、内筒体7壁面に達するまでに、質量の大きい物体が質量の小さい物体の上に重なってしまい、質量の小さい物体が内筒体7壁面の上昇流れにうまく乗らない場合がある。このため、質量の異なる複数種類の物体を含む分別対象を分離塔2内に吸引すると同時に加振機構3を作動させ、分離塔2を上下方向(重力方向)に振動させる。
【0039】
この分離塔2に加える振動により、質量の小さい物体の上に重なる物体を排除することができ、質量の小さい物体を効果的に内筒体7の外周壁に沿った上昇気流に乗せて分別を促進し、分別効率を向上させることができる。分離塔2に加える振動の周期及び振幅は、分別対象に応じて設定され、例えば、数Hz程度の振動を加える。
【0040】
尚、分離塔2に加える振動としては、重力方向に対して横方向の振動とすることも可能であるが、上昇流れの流体抵抗力と下向きの重力との大小関係によって分別を行うことから、重力方向の上下振動であることが望ましい。
【0041】
以上のように、本実施の形態における分別装置1は、流体から受ける物体の慣性力を弱めた状態で、内筒体7の外壁面に沿って重力方向と反対に上昇する上昇流れから受ける流体抵抗力が重力を下回る物体を、外筒体6と内筒体7との間の底部に形成された格納槽14に堆積させる一方、上昇流れから受ける流体抵抗力が重力を上回る物体を、内筒体7内部から外部に排出して回収する。
【0042】
これにより、極めて短時間に質量の異なる物体を効率良く分別することができ、実時間処理による分別プロセス全体のリアルタイム性を維持することができる。しかも、内筒体7の壁面高さ等の形状パラメータを適宜設定して分別閾値を可変することにより、所望の質量の物体を分別することができ、広範囲の分別対象への適用が可能となるばかりでなく、未だ使用に耐えうるべき資源の回収を容易にし、資源の効率的な活用が可能となる。
【0043】
尚、以上では、分離塔2を外筒体6と内筒体7との二重構造による構成で説明したが、分離塔2内の上昇流れの壁面高さhと底部の長さdを質量の異なる物体を分別する分別閾値として用いることができることは、分離塔2を簡略化した変形が可能であることを意味している。
【0044】
すなわち、分離塔2は、内筒体7を省略した外筒体6のみの構成とすることも可能であり、例えば、図5に示すように、断面矩形状の中空部材で形成した簡略的な分離塔2Aを採用することも可能である。この断面矩形状の分離塔2Aでは、長手方向の両端面を蓋体で封止すると共に、分別対象の格納槽となる底部空間50を共通空間として残した上で内部を仕切板51で仕切って第1,第2の室52,53を形成し、格納槽と反対側の端面に、それぞれ、各室に連通する開口部54,55を設ける。
【0045】
そして、以上の内部2室を有する分離塔2Aを格納槽を下にして重力方向に配置し、第1室52上部の開口部54から分別対象を吸引して重力方向の下降流れから底部を介して第2室53の壁面に沿って上昇する上昇流れを発生させ、上部の開口部55から排出することにより、上述したと同様の作用・効果を得ることができる。更には、図5中に破線で示すように、第1室52の側部下方に開口部54Aを設けることで、重力方向に下降する下降流れを発生させることなく、第2室53の壁面に沿った上昇流れを発生させることも可能であり、同様の作用効果を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0046】
【図1】分別装置の全体構成図
【図2】分別の原理を示す説明図
【図3】内筒体の壁面高さが高い場合の流速分布を示す説明図
【図4】内筒体の壁面高さが低い場合の流速分布を示す説明図
【図5】分離塔の変形例を模式的に示す説明図
【符号の説明】
【0047】
1 分別装置
2 分離塔
3 加振機構
6 外筒体
7 内筒体
fl_up 上昇流れ
f_flow 空気抵抗力
g 重力加速度
h 底部から内筒体の開口部までの高さ
d 分離塔内の上昇流れの壁面までの底部の長さ
m 質量
v 流速
【出願人】 【識別番号】000005348
【氏名又は名称】富士重工業株式会社
【出願日】 平成18年10月6日(2006.10.6)
【代理人】 【識別番号】100076233
【弁理士】
【氏名又は名称】伊藤 進


【公開番号】 特開2008−93520(P2008−93520A)
【公開日】 平成20年4月24日(2008.4.24)
【出願番号】 特願2006−275471(P2006−275471)