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【発明の名称】 含水粒状物の振動篩装置
【発明者】 【氏名】濱 利雄

【氏名】鈴木 秀男

【要約】 【課題】水分を含み振動により篩面上で造粒されやすい含水粒状物を精度良く分級し、目詰まりを防止する。

【解決手段】整粒篩21の上面側に配置されて、振動により整粒篩21上の含水水砕スラグ粒と整流篩21の上面とをそれぞれ打撃する複数の帯状ゴム板32と、整粒篩21の下面側に配置されて、振動により整粒篩の下面を打撃する複数の加振ボール23と、整粒篩21および帯状ゴム板32ならびに加振ボール23をそれぞれ振動させる加振装置17とを具備した。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
含水粒状物を整粒篩により分級する振動篩装置であって、
整粒篩の上面側に配置されて、振動により整粒篩上の含水粒状物と整流篩とをそれぞれ打撃する上面打撃部材と、
整粒篩の下面側に配置されて、振動により整粒篩を打撃する下面打撃部材と、
整粒篩および上面打撃部材ならびに下面打撃部材をそれぞれ振動させる加振装置とを具備した
含水粒状物の振動篩装置。
【請求項2】
上面打撃部材は、整粒篩の上方に所定間隔をあけて張設され整粒篩と一体に振動される複数の弾性帯状材または弾性線状材からなり、
下面打撃部材は、整粒篩の下方に所定間隔をあけて配置されて整粒篩と一体に振動される支持部材と、この支持部材上に飛び跳ね自在に収容された複数の球状体により構成された
請求項1記載の含水粒状物の振動篩装置。
【請求項3】
弾性帯状材または弾性線状材の打撃面積を、整粒篩の篩面積に対して40%以上で70%以下とした
請求項2記載の含水粒状物の振動篩装置。
【発明の詳細な説明】【技術分野】
【0001】
本発明は、水砕スラグ粒や砂利、焼却残滓などの水分を含んだ粒状物を分級する含水粒状物の振動篩装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来の振動篩装置には、たとえば特許文献1に示されるように、篩面の下部に一定間隔をあけて複数本の弾性糸を交差状に張設し、振動により篩面を下方から打撃して目詰まりを防止するものが開示されている。また特許文献2のように、篩網の下部に複数のボール体を配置して、振動により篩面を下方から打撃して目詰まりを防止するものもある。
【特許文献1】特開平01−207176号公報
【特許文献2】特開平04−071671号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
穀物などの粒状物が水分を含んでいて、互いに密着することがあっても、振動を加えることで分離されやすく、特許文献1および2では、詰まりを防止しつつ良好な分級が期待できる。
【0004】
しかしながら、たとえば焼却残滓を加熱溶融した後に、水冷されて生成された水砕スラグ粒は、平均した粒径に分級されてアスファルトの骨材として利用されているが、この水砕スラグ粒などの場合、分級時に3〜6%程度の水分を含んでおり、篩面上で振動により細粒が互いに密着して造粒され、増径されやすく、これにより精度良く分級することができず、目詰まりも起こりやすいという問題があった。
【0005】
本発明は、上記問題点を解決して、水分を含むことで造粒、増径されやすい含水粒状物であっても、精度良く分級することができ、目詰まりを防止することができる含水粒状物の振動篩装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
請求項1記載の発明は、含水粒状物を整粒篩により分級する振動篩装置であって、整粒篩の上面側に配置されて、振動により整粒篩上の含水粒状物と整流篩とをそれぞれ打撃する上面打撃部材と、整粒篩の下面側に配置されて、振動により整粒篩を打撃する下面打撃部材と、整粒篩および上面打撃部材ならびに下面打撃部材をそれぞれ振動させる加振装置とを具備したものである。
【0007】
請求項2記載の発明は、請求項1記載の構成において、上面打撃部材は、整粒篩の上方に所定間隔をあけて張設され整粒篩と一体に振動される複数の弾性帯状材または弾性線状材からなり、下面打撃部材は、整粒篩の下方に所定間隔をあけて配置されて整粒篩と一体に振動される支持部材と、この支持部材に飛び跳ね自在に収容された複数の球状体により構成されたものである。
【0008】
請求項3記載の発明は、請求項2記載の構成において、弾性帯状材または弾性線状材の打撃面積を、整粒篩の篩面積に対して40%以上で70%以下としたものである。
【発明の効果】
【0009】
請求項1記載の発明によれば、下面打撃部材により整粒篩の下面から打撃を加え、さらに上面打撃部材により上方から含水粒状物に直接打撃を加えると同時に、整粒篩を上方から直接あるいは含水粒状物を介して間接的に打撃を加えるので、含水粒状物の細粒が互いにくっついて造粒、増径するのを未然に防止することができるとともに、整粒篩の目詰まりを防止し、含水粒状物を精度良く分級することができる。
【0010】
請求項2記載の発明によれば、弾性帯状材や弾性線状材により、含水粒状物を効果的に打撃して造粒、増径を未然に防止することができ、目詰まりや分級精度の低下を防止することができる。
【0011】
請求項3記載の発明によれば、弾性帯状材や弾性線状材の打撃面積を、整粒篩の篩面積に対して40%以上で70%以下とすることにより、水砕スラグ粒などの含水粒状物の造粒、増径を防止し、かつ粒形状を損なうことなく、精度良く分級することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。
[実施の形態1]
この実施の形態1は、たとえばごみ焼却炉などから排出される焼却残滓を加熱溶融して溶融スラグを形成し、この溶融スラグを冷却水中に投入して冷却固化した含水粒状物である水砕スラグ粒(粒状物)を、所定の粒径に分級する振動篩装置である。
【0013】
図1に示すように、振動篩装置は、設置台11上に複数の弾性支持脚12を介して支持された振動架台13に、一端側に投入部が設けられて水砕スラグ粒を所定量ずつ供給可能な投入ホッパ14が配置され、他端側に排出部が設けられて分級されたスラグ細粒を受け入れる細粒ホッパ15と、分級されなかったスラグ粗粒を受け入れる粗粒ホッパ16が配置されている。
【0014】
そして投入部から排出部に、所定の目の開き(たとえば2〜3mm)に設定された整粒篩21が配置され、その下面側に所定間隔をあけて、整粒篩21を通過したスラグ細粒を受け止めて細粒ホッパ15に搬送する受けトレイ(支持部材)22が設けられている。この受けトレイ22には、下方から整粒篩21を打撃して振動させる複数の加振ボール(球状体)23が飛び跳ね自在に収容されて下面打撃部材を構成している。これら加振ボール23は、材質がたとえばステンレスやタングステンなどの金属製で、外径が5mm以上で20mm以下に形成されている。これは、加振ボール23の外径が5mm未満では十分な打撃力および加振力が得られにくいからであり、20mmを越えると、整粒篩21の加振域にムラが生じやすいからである。なお、加振ボール23は、外径が8〜15mmがより好適である。
【0015】
また図2に示すように、振動架台13の整粒篩21両側に沿って隙間調整用の縁部材31がそれぞれ配置され、整粒篩21の上面側で縁部材31間に、上面打撃部材である複数本の帯状ゴム板(弾性帯状材)32が搬送方向に所定間隔をあけて幅方向に掛け渡されている。帯状ゴム板32の幅はたとえば3〜8mmで、その有効長さが50〜100cmの範囲(整粒篩21の幅)に形成され、帯状ゴム板32により水砕スラグ粒を上方から直接打撃するとともに、整粒篩21を直接上方から、あるいは水砕スラグ粒を介して上方から間接的に打撃するように構成される。上面打撃部材が帯状ゴム板32の場合、これら縁部材31の高さ、すなわち整粒篩21と帯状ゴム板32の間隔は、3〜10mmの範囲に設定されている。ここで、帯状ゴム板32と整粒篩21との間隔が3mm未満では、水砕スラグ粒がその隙間を通過しにくく搬送されず、また大きい打撃力も得られないからであり、10mmを越えると、離れすぎて打撃力が低下し造粒防止効果および加振効果が低下するからである。さらに、これら帯状ゴム板32は水砕スラグ粒を面で打撃するため、その打撃面積が整粒篩21の篩面積の40以上で、70%以下の範囲に設定されている。これは40%未満では、水砕スラグ粒への造粒防止効果が低いためであり、70%を越えると、逆に水砕スラグ粒が押しつぶされる恐れがあるからである。
【0016】
なお、上面打撃部材を帯状ゴム板32で構成したが、ゴム製や金属製(ピアノ線やステンレス線など)の弾性線状材を多数本張設したり、またはこれら弾性線状材を板状に束ねて張設してもよい。さらに弾性線状材を網状に組んで張設することもできる。上面打撃部材に金属製の弾性線状材を使用した場合、振幅が狭くなるので、たとえばピアノ線の場合には、整粒篩21との間隔は2〜6mmの範囲がよい。したがって、上面打撃部材と整粒篩21との間隔は、2〜10mmの範囲が適しているといえる。
【0017】
振動架台13の底部には、所定の周期で、2〜10mmの振幅で振動させる加振装置17が設けられている。ここで加振装置による振幅が2mm未満では十分な打撃力を得ることができないため造粒防止効果が低く、また振幅が10mmを越えると、打撃力が大きくなり過ぎて、水砕スラグ粒をつぶす恐れがあるからである。なお、より好適には、振幅を4〜7mmの範囲とすることにより、良好な打撃力と造粒防止効果および加振効果を得ることができる。またこの加振装置17の振動数は、たとえば16〜80Hzの範囲に設定される。これは、振動数が16Hz以下では、造粒防止効果が低いからであり、また80Hzを越えると、水砕スラグ粒が押しつぶされるおそれがあるからである。この振動数は50〜60Hzが好適で、造粒防止効果も高く、水砕スラグ粒が押しつぶされることがない。さらにこの加振装置17の振動方向は、投入部から排出部に向かって水砕スラグ粒を搬送可能な、投入側下部から排出側上方に沿って斜め上方の直線方向に振動するように設定されるが、投入部上位から排出部下位に所定角度で傾斜させて自重により水砕スラグ粒を搬送可能に構成することにより、篩面に対して垂直方向の振動や円方向の振動などを採用することもできる。18は、縁部材31の外側に立設されて水砕スラグ粒の飛び出しを防止するガード板である。
【0018】
上記構成において、加振装置17により振動架台13が振動され、投入ホッパ14から整粒篩21上に水分を含む水砕スラグ粒が所定量ずつ送り出され、整粒篩21上で水砕スラグ粒が振動されつつ排出部側に搬送される。この時、加振ボール23が受けトレイ22上で跳ねて整粒篩21に下面から打撃を与える。さらに加振装置17により各帯状ゴム板32がそれぞれ伸縮されて上下方向に振れ、水砕スラグ粒を上方から打撃する。これにより、互いに密着して造粒、増径されやすいスラグ細粒を解して分離させる。同時に上方から直接または水砕スラグ粒を介して間接的に整粒篩21に打撃を与えることにより、分級を促進し、加振ボール23と共働して目詰まりを防止する。そして整粒篩21を通過して受けトレイ22に受け止められたスラグ細粒は、細粒ホッパ15に送り出され、整粒篩21を通過しなかったスラグ粗粒は、粗粒ホッパ16に送り出される。これにより、水分を含む水砕スラグ粒を、造粒、増径を防止しつつ目詰まりを防止して、精度よく分級することができる。
【0019】
次に、図3に示す実験装置を使用して分級試験を行った結果を説明する。
この試験装置は、円形で直径が200mm、目の開きが2.36mmの整粒篩21を使用し、整粒篩21の下部の受けトレイ22上に、直径が9.5mmの加振ボール23を50個入れる。また実験1および2では、整粒篩21の上方で整粒篩21から5mm離れた位置に、リング形の縁部材31を介して複数本の帯状ゴム板32を張設し、実験3および4では帯状ゴム板32を設けていない。この時の帯状ゴム板32の打撃面積は、整粒篩21の篩面積に対して約50%であった。この整粒篩21上に約3または7重量%の水分を含む水砕スラグ粒を、200g投入して30秒間振動させた。この時の振動方向は、上下の直線方向で振幅は2mm、振動数は60Hzであった。
【0020】
(実験1)
約3重量%含水した水砕スラグ粒を投入した結果、表1に示すように、整粒篩21を通過して受けトレイ22に回収した水砕スラグ粒の回収率は、重量比で全投入量の91.7%であった。この時の整粒篩21上に残った8.3%のうち、整粒篩21の目の開き2.36mmより小さく、分級できなかった細粒は、その重量比で6.9%で、良好に分級することができた。
【0021】
【表1】


(実験2)
約7重量%含水した水砕スラグ粒を投入した結果、表2に示すように、整粒篩21を通過して受けトレイ22に回収した水砕スラグ粒の回収率は、重量比で全投入量の94.9%であった。この時の整粒篩21上に残った5.1%のうち、整粒篩21の目の開き2.36mmより小さく、分級できなかった細粒は、重量比でその7.5%で、良好に分級することができた。
【0022】
【表2】


(実験3)
比較実験として帯状ゴム板32を有しない装置を使用し、約3重量%含水した水砕スラグ粒を投入した結果、表3に示すように、整粒篩21を通過して受けトレイ22に回収した水砕スラグ粒の回収率は、重量比で全投入量の僅か4.9%であり、整粒篩21上に造粒された水砕スラグ粒が多く残った。この時の整粒篩21上に残った95.1%の造粒状態を解除すると、整粒篩21の目の開き2.36mmより小さく、分級できなかった細粒は、重量比でその98.7%に達し、ほとんど分級できなかった。
【0023】
【表3】


(実験4)
比較実験として帯状ゴム板32を有しない装置を使用し、約7重量%含水した水砕スラグ粒を投入した結果、表3に示すように、整粒篩21を通過して受けトレイ22に回収した水砕スラグ粒の回収率は、重量比で全投入量の僅か2.8%であり、整粒篩21上に造粒された水砕スラグ粒が多く残った。この時の整粒篩21上に残った97.2%の造粒状態を解除すると、整粒篩21の目の開き2.36mmより小さく、分級できなかった細粒は、重量比でその98.6%に達し、ほとんど分級できなかった。
【0024】
【表4】


上記実施の形態によれば、帯状ゴム板32と加振ボール23とにより、整粒篩21の上方と下方の両方から打撃を加えると同時に、帯状ゴム板32により水砕スラグ粒に上方から直接打撃を与えることで、スラグ細粒の結合状態を効果的に解して造粒、増径を未然に防止することができ、整粒篩21により含水した水砕スラグ粒を精度良く分級することができ、また目詰まりを防止することができる。
【0025】
さらに帯状ゴム板32の打撃面積を、整粒篩21の篩面積に対して40%以上で70%以下とすることにより、効果的に打撃することができて、細粒同士が極めて造粒しやすい水砕スラグ粒などの含水粒状物をより精度良く分級することができ、水砕スラグ粒が押しつぶされることもない。
【図面の簡単な説明】
【0026】
【図1】本発明に係る振動篩装置の実施の形態1を示す側面視の断面図である。
【図2】振動篩装置の帯状ゴム板を示す平面図である。
【図3】振動篩装置の実験装置を示す分解斜視図である。
【符号の説明】
【0027】
13 振動架台
14 投入ホッパ
15 細粒ホッパ
16 粗粒ホッパ
17 加振装置
21 整粒篩
22 受けトレイ
23 加振ボール
31 縁部材
32 帯状ゴム板
【出願人】 【識別番号】000005119
【氏名又は名称】日立造船株式会社
【出願日】 平成18年9月21日(2006.9.21)
【代理人】 【識別番号】100113859
【弁理士】
【氏名又は名称】板垣 孝夫

【識別番号】100068087
【弁理士】
【氏名又は名称】森本 義弘

【識別番号】100096437
【弁理士】
【氏名又は名称】笹原 敏司

【識別番号】100100000
【弁理士】
【氏名又は名称】原田 洋平


【公開番号】 特開2008−73608(P2008−73608A)
【公開日】 平成20年4月3日(2008.4.3)
【出願番号】 特願2006−255120(P2006−255120)