トップ :: B 処理操作 運輸 :: B07 固体相互の分離;仕分け

【発明の名称】 円筒スクリーン式分級機のスクリーン破れ検知装置
【発明者】 【氏名】大野 隆司

【要約】 【課題】

【構成】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
合成樹脂製のスクリーンを円筒状に加工し、それに張力を与えて保持する機構を備え、その円筒スクリーンの中心線上で回転する回転軸に、複数のブレードを保持したローターが取り付けられていて、そのブレードの外周縁の回転軌跡と円筒スクリーンの内面との間に小さな間隙を設け、この円筒スクリーンの内面の一端から粉体原料を供給し、前記スクリーンの目開きより大きな粗粒と、小さな細粒に篩い分ける、または粉体原料中の異物を除去する、円筒スクリーン式分級機において:
前記分級機の外装面に、前記円筒スクリーンが破れた時に発生する異常音を検知するための、異常音検知手段を設けたことを特徴とする円筒スクリーン式分級機のスクリーン破れ検知装置。
【請求項2】
前記異常音検知手段が、コンデンサーマイクなどの感音素子、アンプ部、及び表示部から成ることを特徴とする請求項1記載の円筒スクリーン式分級機のスクリーン破れ検知装置。
【請求項3】
前記異常音検知手段が、前記円筒スクリーンに破れが生じた時に発生する特定音圧を分離検出するために、特定周波数帯域を有するバンドパスフィルターを備えていることを特徴とする請求項1、又は、2記載の円筒スクリーン式分級機のスクリーン破れ検知装置。
【請求項4】
前記異常音検知動作時に、一時的に粉体原料の供給を停止させることを特徴とする請求項1、2、又は、3記載の円筒スクリーン式分級機のスクリーン破れ検知装置。
【請求項5】
前記異常音検知動作時に、一時的に粉体原料の供給を停止させて、さらにローターの回転数を常時使用回転数から機械的に可能な範囲の最大回転数まで上昇させた状態で、その発生音を検知することを特徴とする請求項1、2、又は、3記載の円筒スクリーン式分級機のスクリーン破れ検知装置。
【発明の詳細な説明】【技術分野】
【0001】
本発明は、金、銀粉・ニッケル粉等の金属粉、炭酸カルシウム・アルミナ・シリカ等の無機物や無機工業原料、熱可塑性樹脂・熱硬化性樹脂等の有機化合物、医薬品、食品・食品添加物、ファンデーション等の化粧品、静電画像現像用トナー、粉体塗料等の粉状原料を篩い分ける円筒スクリーン式分級機に関するものであり、更に述べると、円筒スクリーンの破れを検知するための、異常音検知装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
上記の円筒スクリーン式分級機は、高速回転する回転軸に支持板を介して僅かに捩れ角を付け、該回転軸に対して略平行放射状に付設された複数枚の平板状回転ブレードにより、粉状原料を円筒スクリーンの内側に沿って螺旋状に分散、旋回させる事により、該粉状原料に重力の数十倍の遠心力を作用させて、前記円筒スクリーンの網目より細かい粉体は速やかにこの網目を通過させて篩下産物とし、前記円筒スクリーンの内側に残った網目より粗い粉体は、該円筒スクリーンの他端より排出させて篩上産物とするものである。
【0003】
この円筒スクリーンは回転軸に平行に張力を与えて保持された合成樹脂製織網であるため、前記の回転ブレードの作用により合成樹脂製円筒スクリーンに、振幅の小さな微小振動が励起され、スクリーンの網目に粉状原料が詰まること無く、数mmから数ミクロンの粒子を篩い分けるとともに、単位面積当たり大きな能力が発揮出来る。
【0004】
【特許文献1】特開昭 60-220173 号公報
【特許文献2】特開平 4-61971 号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところが、前記合成樹脂製織網を用いた円筒スクリーン式分級機では前記円筒スクリーンの目開きが数百ミクロンと小さい場合、特に150ミクロン以下のような場合には、目開きに比例してスクリーン網を構成する糸径も必然的に細くなり、該スクリーンの耐久寿命も短くなる傾向にある。 また金属粉等の嵩比重が高い粉状原料を処理する場合にはスクリーン単位面積にかかる荷重も大きくなり、その結果スクリーンの振幅が大きくなり、スクリーンの寿命が短くなる傾向にある。 さらに、原料粒子形状がガラス微粉の様な鋭利な形状の無機物の場合にもスクリーンの摩耗が促進され、寿命が短くなる。
【0006】
この様な場合に、確実なスクリーンの寿命を事前に予測する事は難しく、今までは実績上の連続使用可能時間を目安に、定期的な目視検査をおこないながら、余裕を持ってスクリーンを交換するなどの対応をして来た。
また、過去に運転実績の無い、初めての処理原料の場合には、運転開始初期にはスクリーンの寿命管理を頻繁に細心の注意を払って行う事が必要であった。

【0007】
一部に導電性繊維をスクリーンに織込み、該繊維の断線の有無によりスクリーンの破れを検知する方法が発案されているが、該繊維を織り込むために、スクリーンの形状に制限が生じ、高価となるとともに、導体部分以外のスクリーンの寿命と 導体部分の繊維の寿命が必ずしも一致せず、スクリーンの実際の寿命を判定することは不可能であった。
【0008】
さらに、円筒スクリーンを単独に取り付け、取り外しをおこなうためには、前記粉状原料の拡散する分級機内に電気的接点を設ける必要が生じ、構造的に複雑になると共に、防爆仕様などには対応が出来ない欠点があった。
【0009】
本発明は、このような従来の課題に鑑みてなされたものであり、これまでのようにスクリーン網を破れの有無を検知するために、円筒スクリーンを分級機本体内から取り出す必要も無く、また、高価な検知機構 や複雑な構成を必要としない、破れ検知装置を提供できるようにすることを目的とするものである。

【課題を解決するための手段】
【0010】
上記課題を解決するための、請求項1に係る本発明は、合成樹脂製のスクリーンを円筒状に加工し、それに張力を与えて保持する機構を備え、その円筒スクリーンの中心線上で回転する回転軸に、複数のブレードを保持したローターが取り付けられていて、そのブレードの外周縁の回転軌跡と円筒スクリーンの内面との間に小さな間隙を設け、この円筒スクリーンの内面の一端から粉体原料を供給し、前記スクリーンの目開きより大きな粗粒と、小さな細粒に篩い分ける、または粉体原料中の異物を除去する、円筒スクリーン式分級機において:前記分級機の外装面に、前記円筒スクリーンが破れた時に発生する異常音を検知するための、異常音検知手段を設けたことを特徴とする。
【0011】
請求項2に係る発明は、前記異常音検知手段が、コンデンサーマイクなどの感音素子、アンプ部、及び表示部から成ることを特徴とする。
【0012】
請求項3に係る発明は、前記異常音検知手段が、前記円筒スクリーンに破れが生じた時に発生する特定音圧を分離検出するために、特定周波数帯域を有するバンドパスフィルターを備えていることを特徴とする。
【0013】
請求項4に係る発明は、前記異常音検知動作時に、一時的に粉体原料の供給を停止させることを特徴とする。請求項5に係る発明は、前記異常音検知動作時に、一時的に粉体原料の供給を停止させて、さらにローターの回転数を常時使用回転数から機械的に可能な範囲の最大回転数まで上昇させた状態で、その発生音を検知することを特徴とする。

【発明の効果】
【0014】
本発明は、異常音検知手段を備えているので、円筒スクリーンが破れ、異常音が発生すると、該異常音検知手段が該異常音を検知する。そのため、円筒スクリーンの破れを確実に知ることができるので、必要な処置を迅速に行うことができる。
【0015】
又、本発明によれば、収納装着した円筒スクリーンを分級機本体より取り外す必要がなく、該分級機本体に装着したままで前記円筒スクリーンの破れ検査を行う事が出来る。
さらに、分級機運転中、原料粉体雰囲気中に配設される前記円筒スクリーン及び、その近傍に該円筒スクリーンの破れ検知を行うための付帯機能を施す必要が無いため、安全で、耐久性に優れた検知装置を提供することが出来る。
【0016】
この際、検出回路に特定周波数帯域を通過させるバンドパスフィルターを配設する事で、前記分級機本体及び、周辺機器から生じる発生音から検知に必要な特定音圧を分離検出することが容易となり、さらに、検出装置の動作時に一時的に原料粉体の供給を停止することで、前記原料粉体が起因で発生する特有な篩過時発生音をより確実に排除出来る。
同様に検出装置の動作時に一時的に原料粉体の供給を停止すると共に、ローター回転数を最大使用回転数まで上昇させることによって、より明確な破れ検知が可能となる。
【0017】
本分級機に使用される合成樹脂製円筒スクリーンの寿命は、原料の種類により様々であり、従来、確実な寿命の判定手段は無く、機械を停止してスクリーンの点検を行うなど、保守管理に多くの手間と細心の注意を繰り返して来たが、本発明により、あらゆる原料に対して、確実な寿命の判定が容易に出来ることとなった。
【発明を実施するための最良の形態】
【0018】
円筒スクリーン式分級機は、電動機で駆動されるために、駆動音としては電動機の音と回転制御に使用するインバーターの音以外は、人の耳には特別な駆動音は聞き取れない。
しかし、本発明者は、スクリーンが破れると、何らかの異常音が発生するのではないか、と考えた。 そこで、周波数分析を行い、感音素子で音を拾って、それにフィルターをかけ、検証した結果、スクリーンが破れた時には、人の耳で聞くことは困難ではあるが、ある周波数帯域では、異常音が発生しているがわかった。
【0019】
又、この異常音が何故発生するのか、について検討したところ、次のことが分かった。
(1)円筒スクリーン内でブレードが回転しており、ブレードが回転すれば、それに付随して、空気が流れ、円筒スクリーンには空気が常時当っている。ここに小さな破れが生じると、円筒スクリーンにはある一定の張力を両端に掛けて、弛まないように装着しており、ここに微小な破れが生じれば、スクリーン全体の張力は変わらなくても、局部的に弛みが生じて、そこを流れる気流がその弛み部分の振動(振幅)を大きくしているためである。
【0020】
(2)原料が流れている場合には、この破れの部分から原料が漏れ出すことにより、やはりスクリーンの振動(振幅)が増幅されるためである。
【0021】
本件発明は、上記知見に基づいてなされたものであり、円筒スクリーン式分級機の外装面に、前記円筒スクリーンが破れた時に発生する異常音を検知するための、異常音検知手段を設けることにより、前記課題を解決するものである。
前記異常音検知装置として、コンデンサーマイクなどの感音素子、アンプ部、及び表示部から成る検音装置が用いられるが、その他の検音装置、例えば、圧電素子などの変移感応素子を用いたものも、利用することができるのは勿論である。
【実施例1】
【0022】
以下、本発明の実施例を図1乃至図5に基づいて説明する。
本発明の一実施の形態に係る円筒スクリーン式分級機の一例を図1に示す。
図1に於いて、支持架台1に配置された軸受部2に対して、図中右側に電動機3、左側に原料供給口4を備えた原料供給部5を介して篩下排出口6を備えた篩箱部7及び、篩上排出口8を備えた篩上排出部9より構成され、前記篩箱部7外装面にスクリーンの破れ検知装置10が付設されている。 なお、前記電動機3の制御及び原料供給部5への供給量の制御は、図示しない制御手段により行われる。
【0023】
図2は前記篩箱部7を中心とした構造断面図であり、粉体原料を分級する際、原料供給口4より機内に供給された粉体原料(図示せず)は前記電動機3より延長した回転軸11に配設された供給スクリュー12より円筒スクリーン13の一端に送り込まれ、該スクリュー12同様に回転軸11に配設された複数枚のブレード14を有すローター15によって前記円筒スクリーン13内面に分散させられる。
【0024】
前記ブレード14には若干のねじれ角を与えてある事によって、該粉体原料は該円筒スクリーン13内面に押し付けられながら、図示左方向他端へと移動するが、この間に円筒スクリーン13の目開きより細かい粉体原料G1は、スクリーンを通過して篩下排出口6より篩下産物として機外に排出され、目開きより粗い粉体原料G2は、篩上排出部9を経て、篩上産物として機外に排出される。
【0025】
この際、前記高速回転するローター15に配設された複数枚のブレード14で加速された粉体原料がスクリーン内面に押し付けられ、同時に該ブレード14の前後でスクリーン面には非常に細かい振動が励起され、連続的に振動が発生する事により、スクリーンの目に粒子が詰ることなく篩い分けることができる。
この円筒スクリーン式分級機の篩箱部7内にスクリーン枠17とテンション棒18を用いて円筒形に保持収納された円筒スクリーン13には前記テンション棒18により規定の張力が加えられている。
【0026】
スクリーンの経時劣化、摩耗、鋭利な異物混入等により該円筒スクリーン13に破れが生じた場合には、前記ブレード14の作用で加速され、遠心力を受けた粉体原料が、該円筒スクリーン13の微小破れ開口部から漏れ出し、その遠心力により開口が促進され、その結果スクリーンに部分的な張力の低下、弛みが発生し、該円筒スクリーン13の破れ部分の振幅が局部的に大きくなり、正常動作時にはない特異な音が発生する。
【0027】
図3は、前記篩箱部7外装より10mmの距離で騒音計を用い測定した発生音圧グラフの一実施例である。 本測定には280ミクロンの目開きを持つ円筒スクリーン13を用いており、スクリーン正常品19と、約10mmの破れが生じたスクリーン20を比較したとして測定したものである。
このグラフより明らかなようにローター15の回転数に比例して両者の音圧差は大きくなる傾向を持つ。 更に、スクリーン目開きが小さく、スクリーンの線径が細くなる程、スクリーンの開口率が低くなるため、同じ大きさの破れが生じた場合に、より大きな音圧差を生じ、検知が容易になる。
【0028】
図4は、スクリーン破れ装置として標準マイク及びFFTアナライザーを用い、該標準マイクを該篩箱部7の外装面より10mmの距離に設置して、スクリーン破れ品20の発生音周波数分析を行った一例である。 本測定時の機械の仕様は、ローター15に3枚のブレード14が取りつけられており、測定時のローター15の回転数は1600rpmの時を表している。
【0029】
すなわち、円筒スクリーン13に破れ部(図示せず)が発生した場合、破れ部を毎秒80回 ブレード14が通過する事となり、ブレード14に起因する空気流による破れ部の振動音が80Hzのピーク波(発生波)21として生じ、2倍の160Hzを基本波22とする整数n次高調波として基本波の2倍、すなわち320Hzのピーク波23が発生する。 さらに、この後基本波の3倍に相当する480Hzの3倍のピーク波(図示せず)も発生している。
【0030】
したがって、上記測定で用いた円筒スクリーン分級機では、粉体原料の物理的性質、スクリーン目開き等の条件によりローターの回転数は様々であるが、通常使用範囲は1000〜1800rpmであるため、50〜90Hzの発生波の2倍の周波数である100〜180Hzを基本波22として、2倍波23で200〜360Hz、3倍波(図示せず)300〜540Hzの周波数範囲に収まる。
【0031】
すなわち、発生波21から2倍波23、または基本波22から3倍波(図示せず)を通過周波数とする、バンドパスフィルター(帯域通過フィルター)26を破れ検知装置10の回路に用いる事により、周囲機械騒音や本機の運転音に左右されることなく、10〜20dBの音圧差が得られ、より円筒スクリーン13の破れを容易に検出する事が出来る。
【0032】
更に、この破れの検出際、一時的に被篩過原料の供給を停止させる事により、粉体原料が機内を通過する外乱音などを排除出来ると共に、ローター15の回転数を最高回転数の1800rpmに上昇させれば、破れによる発生音圧レベルを20〜30dBにまで上げる事が出来ると共により狭い周波数範囲のバンド パスフィルーターを使用出来、より一層高い精度での円筒スクリーン破れ検出が可能となる。
【0033】
図5は本発明の破れ検知装置10のブロック回路図の一例である。
検知部である集音マイク24 は上記の如く可聴範囲の周波数を検知出来れば良いため、安価な一般音声帯域用コンデンサーマイクで充分であり、前記篩箱部7外装面より
10mm程度に近接されて配置されるため、無指向性のマイクでも問題なく検知できる。
【0034】
プリアンプ25は集音マイクの感度特性を平坦化させる働きをし、バンドパスフィルター26は上記の如く、必要通過周波数を予め設定する事により、機械の周囲の騒音や機械内部の音からスクリーン破れの特異な振動音(異常音)の検出を容易にする。
【0035】
更にコンパレータ27にて円筒スクリーン13の破れ時における発生音圧出力レベルを比較検出、スイッチングを行う事により、次段の通知部28を動作させる。
なお、この通知部28は異常を通知するブザー、点灯器、さらに機械への粉体原料の供給停止や機械の停止などの制御手段を意味する。
【図面の簡単な説明】
【0036】
【図1】本発明の第1実施例を示す図で、円筒スクリーン式分級機の外形図である。
【図2】本発明の円筒スクリーン式分級機の正面断面図である。
【図3】騒音計を用い測定した発生音圧を示すグラフである。
【図4】スクリーン破れ装置を用いて測定した発生周波数を示すグラフである。
【図5】本発明の検知装置ブロック回路図である。
【符号の説明】
【0037】
1 支持架台
2 軸受部
3 電動機
4 原料供給口
5 原料供給部
6 篩下排出口
7 篩箱部
8 篩上排出口
9 篩上排出部
10 破れ検知装置
11 回転軸
12 供給スクリュー
13 円筒スクリーン
14 ブレード
15 ローター
17 スクリーン枠
18 テンション棒
19 スクリーン正常品
20 スクリーン破れ品
21 80Hz波 又は 発生波
22 基本波
23 2倍波
24 集音マイク
25 プリアンプ
26 バンドパス フィルター
27 レベルコンパレーター
28 通知部
【出願人】 【識別番号】000108487
【氏名又は名称】ターボ工業株式会社
【出願日】 平成18年6月29日(2006.6.29)
【代理人】 【識別番号】100061284
【弁理士】
【氏名又は名称】斎藤 侑

【識別番号】100088052
【弁理士】
【氏名又は名称】伊藤 文彦


【公開番号】 特開2008−6383(P2008−6383A)
【公開日】 平成20年1月17日(2008.1.17)
【出願番号】 特願2006−180044(P2006−180044)